JPH11130422A - 硫酸処理精製アロフェン土及びその製造方法 - Google Patents

硫酸処理精製アロフェン土及びその製造方法

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JPH11130422A
JPH11130422A JP9298435A JP29843597A JPH11130422A JP H11130422 A JPH11130422 A JP H11130422A JP 9298435 A JP9298435 A JP 9298435A JP 29843597 A JP29843597 A JP 29843597A JP H11130422 A JPH11130422 A JP H11130422A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体(気体及び液体)用の処理剤として有用
な天然産腐植質アロフェン土の水処理適性を改善し、そ
の他の特性、殊に吸着特性を向上させること。 【解決手段】 天然産腐植質アロフェン土を予備水洗浄
処理しまたは予備水洗浄処理することなく硫酸処理に付
して、含有有機質を低減除去し、更に中性付近のpHと
なるまで水すすぎを実施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体、液体のよう
な流体を接触処理するための処理剤として有用な硫酸処
理精製したアロフェン土に関する。
【0002】
【従来の技術】堆積火山灰由来の風化生成物である火山
灰土壌の表層部分は、非晶質粘度鉱物であるアロフェン
を主成分とし、これに比較的多量の腐植(フミン酸群及
びフルボ酸群等)を併せ含む黒色土壌であり、「暗土」
や「黒音地」と称されることもある。本明細書ではこれ
を天然産腐植質アロフェン土、あるいは腐植質アロフェ
ン土、あるいは単にアロフェン土と称する。
【0003】腐植質アロフェン土が吸着、吸収、交換、
緩衝作用等の物理化学的に興味ある挙動を示すことは、
従来土壌学の分野で知られていた。またそのような物理
的化学的性質を利用して水処理、排水処理、空気脱臭処
理等を行なうことも提案されてきており、例えば特公昭
64−6838号公報明細書には、火山噴出物を原料と
し、その主成分がアロフェンとフミン酸である黒音地
を、火山灰及び活性炭(両者は黒音地の吸着性能等を一
層強化補足するために配合される。)と共に、大小様々
な多数の細孔を有する多孔質の火山礫(軽石)からなる
母体に結着剤で一体に混合結着した塊状の水浄化剤が記
載されている。
【0004】また、特開平8−71414号公報明細書
には、天然産腐植質アロフェン土を有効主成分として含
み、これを接合剤を用いて固型化または被覆とした流体
(水、空気等)の処理剤が開示されている。
【0005】しかしながら天然産腐植質アロフェン土
を、風乾、その他の乾燥手段により水分を低減し、解砕
粉化し、夾雑物(礫や外来異物、例えば植物根等)を排
除する程度の軽妙な精製を施した状態で、湖沼、河川の
水処理に用いた場合に、いくつかの不都合な現象が生ず
ることがある。例えば、そのような天然産腐植質アロフ
ェン土を水に混入し、撹拌すると水面に白色ないし薄黄
褐色の泡が発生する。この泡は安定であり長時間にわた
って消滅せず水の表面を覆った状態となり、脱臭効率の
低減や浄化処理速度の低減が認められる。被処理原水に
植物プランクトン「アオコ」が含まれている場合には、
そのような天然産腐植質アロフェン土で処理すると、目
的に反して、処理後の水に「アオコ」の旺盛な発生、生
育が見られることがある。また天然産腐植質アロフェン
土で処理した水には、そのアロフェン土除去後でも、い
わゆる「ヘドロ」の発生が見られることが多い。従っ
て、一般的には天然産腐植質アロフェン土は水処理のた
めには不適当であると考えられる。
【0006】そこで本発明者等は、前記の如きアロフェ
ン土の本来の有用な物理化学的特性に鑑み、アロフェン
土を水処理のために有効に利用可能とすべく鋭意研究検
討を重ねた。その一環として天然産腐植質アロフェン土
が水処理に使用されるときに上記の如き不都合な結果を
もたらす理由を探究するため、国内の多くの火山帯から
の天然産のアロフェン土を微視的に観察し、分析したと
ころ、多くの場合にアロフェン土には土壌中の腐葉土と
それから由来する栄養分が存在することが確認され、さ
らには土壌微生物の生活菌体、胞子、それらの死骸;動
物の排泄物;植物の種子、花粉等;の「有機質」が見出
された。従って天然産アロフェン土中に存在するこれら
の「有機質」が水処理に際して、複合的に作用して水中
の植物性プランクトン及び微生物に対して生育のための
栄養源(炭素)及びエネルギー源(窒素)を提供し、ま
たそれらの生育、繁殖のために良好な環境ないし条件を
与えていることが推定された。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者等は、
天然産の腐植質アロフェン土に含まれるそれらの内在及
び外来の有機質の含量を低減することによって、水処理
用途に満足に使用できるようにすることを着想し、腐植
質アロフェン土に含有される有機質を効率的にかつ経済
的に低減ないし除去する方法を広く探究し、本発明を完
成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、かくして、天
然産腐植質アロフェン土を硫酸で処理し、その含有有機
質を低減させた精製アロフェン土を提供する。
【0009】さらに本発明は、上記硫酸処理精製アロフ
ェン土を製造するに際して: (イ)天然産腐植質アロフェン土を準備し、(ロ)水で
予備洗浄して含有有機質の少なくとも一部を洗い出し、
またはそのような予備洗浄を行なうことなく、(ハ)
0.05%以上の濃度のH2SO4を存在させるような量
の硫酸を添加し、水性スラリーとし、強く撹拌して暗褐
色から暗黒色への変色を生じさせ、1時間以上放置し、
(ニ)次いでこの硫酸処理した水性スラリー混合物を洗
液がほぼ中性pHとなるまで水ですすぎ洗いし、(ホ)
脱水及び/または乾燥する、諸工程を含む精製アロフェ
ン土の製造方法を提供する。
【0010】さらに本発明は上記の硫酸処理して精製し
たアロフェン土を単味で、あるいは他の成分、好ましく
はゼオライトと組合せて含むことを特徴とする流体処理
剤をも提供する。この流体処理剤は、目的に応じて粉状
体の形、あるいは適当な有機系または無機系バインダー
を用いて固型化した粒状、塊状、その他の種々の形状と
して提供され、あるいは適当なビヒクルに懸濁した形、
及びそれから基材(紙、濾材等)に塗着した被覆物また
は層の形で提供されうる。この明細書において「流体」
とは気体及び液体を包含するものである。本発明の流体
処理剤を用いての処理の対象とする「気体」の代表的な
例は、空気である。種々の生活及び作業環境空間におけ
る脱臭及び/またはガス吸収の目的、場合によっては調
湿の目的等に使用できる。また液体の例は、上下水道、
工業用水及び排水、湖沼水、河川水、庭園、公園及びゴ
ルフ場等の池及び流水、ならびに有機溶剤等である。
【0011】本発明の硫酸処理精製アロフェン土は、ア
オコのような植物プランクトンやその他の水性藻類等を
含む水の処理にすぐれた適性を示すのみならず、原料の
未処理天然産アロフェン土と比較して吸着性及び吸収性
の特性も著しく改善向上していることが見出された。
【0012】本発明による硫酸処理の概要を以下に例示
説明する。
【0013】採取した天然産腐植質アロフェン土を、風
乾、その他の乾燥手段によりその水分を低減させ、解砕
粉化し、含有されている礫や植物根等の外来固型物等の
夾雑物をフルイ等で除去した粉体を準備する(以下
「Q」と称することがある)。このものには、前述の
「有機質」が含まれている。
【0014】このQ粉体を適量(例えば32l、重量と
して約23〜24kg)採り、撹拌機付きの適当な大き
さ(例えば70l)の容器に入れ、適量の水(例えば2
1〜23l)を加注して撹拌機で撹拌してゼリー状とす
る(撹拌時間は数分、例えば1〜2分間)。次いで追加
量(例えば25〜35l)の水を注入し撹拌を数分間
(例えば1〜5分間)継続する。撹拌を停止して混合物
を静置してアロフェン土を沈降させる。この静置時間は
少なくとも約15分、であり、作業能率の面からは20
〜30分であるが、それ以上例えば1時間またはそれ以
上であってもよい。原料Q中に含まれている有機質の一
部が撹拌中に水相へ移行し、次いで静置中に水面上に形
成される泡の薄膜中に可成り濃厚化されて存在すること
が認められる。この泡は「アク」と称され、安定であ
り、静置する限り可成りの時間にわたり消えることはな
い。
【0015】静置後にデカンテーションにより上記のよ
うな有機質担持泡(アク)を浮かべている上澄液部をそ
のアクと共に流し去る。この時に大量の水が除去された
後の混合物中の水とQとの容量比(計算上)は水24l
/Q(粉体として)30l前後であり、濃厚なスラリー
状である。さらにこのスラリー状混合物に適量の水(例
えば前記のように30l)を加え撹拌し、静置し、アク
(表面浮上有機質担持気泡)を上澄液と共に流去させ
る。この再洗はさらに繰り返して実施することもでき
る。以上は原料の予備洗浄工程であり、一般には実施す
るのが好ましいが、後続の硫酸処理工程が充分に行なわ
れるならば、この予備洗浄工程は省略することもでき
る。さらには、例えば原料Qにおける有機質含量が著し
く低い場合には、上記予備洗浄工程を行なわなくてもよ
い。
【0016】予備洗浄工程で有機質を少なくとも部分的
に除去されたアロフェン土のスラリーは、次いで、スト
レーナ(例えばJIS標準840μまたはそれ以上の網
装着)に掛けて、細かい夾雑固型分等を除去するのが好
ましい。このストレーナ掛けは、後続の適宜な段階で別
にまたはさらに加えて行なうこともできる。
【0017】次に上記の予備洗浄工程からのアロフェン
土スラリー(または前記のように予備洗浄を受けないア
ロフェン土)は、硫酸処理工程に付される。この場合の
アロフェン土/水混合比はアロフェン土(乾燥粉体とし
て)3容に対し水2〜5容(好ましくは2〜2.5容)
程度である。このような混合物に対して硫酸を、存在す
る水に対して0.05重量%以上のH2SO4、好ましく
は0.1〜0.3重量%H2SO4となるように量で添加
する。このH2SO4濃度範囲は作業効率上及び精製品の
性能の面から好ましい。濃度がこれより低いと処理時間
が長くなり、また濃度がこれより高いと余り経済的でな
い。次いでこの混合物をよく撹拌し(好ましくは酸素が
導入されて気泡ができるように)、硫酸とアロフェン土
とが良好に接触して、最初の暗褐色から次第に暗黒色へ
の変色が生じるようにする(撹拌時間は普通3〜5分程
度である)。この変色が生じたならば、混合物を少なく
とも1時間、通常は1〜6時間(常温時)放置する(こ
の撹拌〜放置段階における水性スラリーのpHは6以下
の酸性値であり、通常は5〜6付近である)。この放置
の間に硫酸とアロフェン土との接触及び反応によって有
機質が実質的にアロフェン土から脱離し、駆逐されるこ
とが確認された。またアロフェン土がある種の化学的な
変性を受ける。この放置中には時々撹拌を行なってもよ
い。
【0018】次いで上記の硫酸処理を受けた混合物を水
ですすぎ洗いする。このすすぎ洗いの程度は、洗液のp
Hが中性の値(約7)となるまでである。
【0019】最後にこのすすぎ洗いされた混合物を脱水
及び/または乾燥して精製製品とする。アロフェン土の
個々の粒子が極めて微細であるため、この脱水は工業的
には、デカンテーション法、遠心分離法、サイフォン
法、遠心濾過法等を選択し、単独または適切に組合せて
実施するのが好ましい。また静置時間を長くして、アロ
フェン土粒子の沈降をできる限り完全に行なわせること
も後続の脱水の効率化には好ましい。製品の用途に応じ
て、製品は完全に乾燥されていなくても良いことは明ら
かであろう。
【0020】例えば、本発明の精製アロフェン土を顆粒
や成形品とするとき、バインダーとして水性樹脂エマル
ジョンを用いる場合である。
【0021】本発明の硫酸処理精製アロフェン土は、粉
体として、顆粒状またはその他の成形品として、あるい
は他の吸着剤等と組合せた複合物(そのまま、または顆
粒状もしくはその他の成形品)として流体処理(例えば
水処理、空気脱臭処理等)に用いられて、すぐれた効果
を示す。特に湖沼の水質汚染による淡水赤潮の発生原因
とされ、また取水のカビ臭の原因とされるアオコの除去
に有効である。本発明の精製アロフェン土は急性毒性
(マウス使用:経口)を示さないことが公的試験機関の
試験によって確認されている。
【0022】さら本発明による水処理剤は鉛及びガドミ
ウムの重金属イオンを効率よく吸収除去する。
【0023】
【実施例】以下本発明の硫酸処理精製アロフェン土の製
造例、それを用いての硫酸処理剤の製造ならびに湿式及
び乾式使用例を示す。
【0024】
【実施例1】硫酸処理による精製 天然腐植質アロフェン土を風乾、解砕、夾雑物除去した
粉末(Q;見掛比重約0.71〜0.75)32容に精
製水22容を添加し、撹拌機で2分間撹拌してゼリー状
となし、さらに精製水30容を添加し、2分間撹拌した
後、30分間静置して、アロフェン土固相と濁水液相と
に分離させた。このときに水相の表面には、大小無数の
気泡(これらの気泡には多くの有機質が担持されてお
り、いわゆる「アク」と称される状態にあった)が形成
され、残存していた。このような気泡を水相と共にデカ
ンテーション法で流去し、水/Q(乾粉体として)の比
がほぼ24/30(容)の混合物を得た。この流動性混
合物をJIS標準840μ網付きストレーナに掛けて砂
等の夾雑固型分を除去した。ストレーナ掛け後の流動性
混合物に再び30容の精製水を加え2分間撹拌した後6
時間静置して、固相と液相とを可及的に分離させ、デカ
ンテーション法で上澄液相を流去させた。
【0025】以上のように予備洗浄した、濃厚な水性ス
ラリーの状態にあるQ(水/Q容積比は前記と同じくほ
ぼ24/30)を次いで硫酸での処理に付した。濃度6
2.5%の1級試薬級硫酸を、上記スラリーの水分に対
し0.2%H2SO4となる量で、上記スラリーに添加
し、酸素(空気)がスラリー中に導入されるように気泡
を立てながらスラリー全体を良く撹拌して硫黄とQとを
接触させた。このときスラリーは最初は暗褐色であった
が暗黒色に変化した。pHはアロフェン土(Q)の緩衝
作用のためかほぼ5〜6の値であった。次いで3時間放
置した。
【0026】上記硫酸処理したスラリーに30容の精製
水を加え撹拌、洗浄し、静置して、上澄液(pH6.
4)をデカンテーションで棄て、この洗浄操作をさらに
2回繰り返した。最後の上澄液(洗液)のpHは6.9
5であった。
【0027】上記水洗後のスラリーを遠心分離法で脱水
し、次いで乾燥、解砕して、本発明による硫酸処理精製
アロフェン土を得た(以下、これをSと称することがあ
る)。
【0028】
【実施例2】重金属イオン含有水の処理 実施例1で使用したQ(本発明外)及び実施例1で得た
S(本発明)を、それぞれ内径100mmの透明プラス
チック製円筒内に層厚350mmに充填して濾過装置と
した。
【0029】東京都朝霞水処理実験所の水処理プラント
の沈殿槽から採取した水に鉛イオン(0.057mg/
l)、カドミウムイオン(0.018mg/l)及び六
価クロムイオン(0.099mg/l)を添加し、上記
のそれぞれの濾過装置に150m/日の濾過速度で流通
させて、それぞれのイオンの除去率を測定した。結果は
表1の通りであった。
【0030】
【表1】
【0031】本発明による硫酸処理精製アロフェン土
(S)は、鉛及びカドミウムイオンのの除去において天
然産アロフェン土(Q)よりも著しくすぐれている。六
価クロムイオンの除去についてはS及びQ共に効果を示
さない。
【0032】
【実施例3】実施例2と同様なS及びQをそれぞれ充填
した濾過装置を用いて、実施例2と同じ原水(ただし金
属イオンを添加せず)を濾過し、原水中のアンモニア性
窒素の除去効果を調べた。なお実施例2のような原水
(水処理プラントの沈殿池水)は、一般に高温時(夏
期)にはアンモニア性窒素の含量が低い傾向を示すの
で、この実施例では冬期のアンモニア性窒素が高い原水
を異なる時間帯に採取して2回実施した。結果を表2に
示す。
【0033】
【表2】
【0034】本発明による硫酸処理によってアロフェン
土のアンモニア性窒素吸収性能が著しく改善される。
【0035】
【実施例4】 A. 本発明により実施例1で調製した硫酸処理精製ア
ロフェン土粉末(前記S)を、バインダーとして酢酸ビ
ニル水性エマルジョン(コニシ株式会社製:酢酸ビニル
41重量%及び水59重量%)接着剤を15倍に水で希
釈したものを用いて造粒した。この造粒操作の際の水分
量はSの重量に対し35%であった。この造粒品の粒径
はほぼ5〜2mmの範囲(4〜8メッシュ)に仕上げ
た。
【0036】B. 上記操作AにおけるSの代りに、S
にゼオライト(日東ゼオライト#2号:商標、1.9〜
0.8mm径)を30%混合したものを用いて、同様な
寸法の造粒品を得た。
【0037】C. 比較のために実施例1で用いた原料
Qを上記操作AにおいてSの代りに用いて同様に造粒品
を得た。
【0038】D. 比較のために市販の3種の活性炭脱
臭剤I(塩基性)、II(酸性)及びIII(中性)を準備し
た。粒度はいずれも4〜8メッシュであった。
【0039】〈アンモニア吸着性能試験〉上記A、B、
Cの造粒品及びDの活性炭を用いてアンモニア吸着性能
試験を行なった。
【0040】試験装置は図1に示すように、空気吹込
(気泡)管(1)及び空気調整弁(2)を備え、アンモ
ニア水を収容したガス発生槽(3)でアンモニアガスを
発生させ、ポンプ(P)を介して順次に、ガス貯留室
(4)、流量計(5)を経て、3段の容器I、II、IIIを
直列配置してなる吸着塔(6)を通過させるようになっ
ており、吸着塔の上流側及び下流側にマノメータ静圧計
(7及び8)を備えていた。試験中には吸着塔(6)の
前後の試料採取位置(図示せず)で流動ガスのサンプリ
ングを行ない検知管でアンモニアガス濃度を測定した。
ガス発生槽(3)には水1l当り10mlのアンモニア
NH4(OH)を含むアンモニア水を収容した。吸着塔
(6)は下から、I、II、IIIの区画容器(それぞれ10
×10×5cm)を直列に積み重ねて構成し、各区画容
器間にはガス流動メッシュを備えていた。吸着塔の総容
量は1500cm3であった。前記の試料A(嵩比重=
0.728)を904g、試料B(嵩比重=0.76
8)を1,152g、そして試料C(嵩比重=0.81
4)を1,211gをそれぞれ区画容器I、II、IIIに均
等に充填するようにした。試料D(市販活性炭;嵩比重
=0.494)については、アンモニアのアルカリ性に
鑑み塩基性活性炭を区画容器I、酸性活性炭を区画容器I
I、そして中性活性炭を区画容器IIIにそれぞれ229g
ずつ充填した。
【0041】試験中のガス流量は20l/分付近に維持
し、吸着塔内での平均流速を3cm/秒、平均ガス接触
時間を5秒とした。試験中、ときどき吸着塔の入口及び
出口におけるアンモニア濃度を測定し、両者の差から吸
着率を算出した。
【0042】結果を図2〜5に吸着率の経時変化のグラ
フとして表わす。図2は試料A(本発明による硫酸処理
精製アロフェン土造粒品)、図3は試料B(本発明によ
る硫酸処理精製アロフェン土にゼオライトを35%添加
した混合物の造粒品)、図4は(本発明による硫酸処理
を受けない原料の天然産腐植質アロフェン土の造粒品:
本発明外)、図5は(市販の活性炭)についてのアンモ
ニア吸着率経時変化のグラフをそれぞれ示している。こ
れらのグラフの比較から本発明による精製アロフェン土
のすぐれた脱臭性能及び吸着容量(製品の寿命)が明ら
かである(図2、3)。
【0043】
【実施例5】500mlの無色透明ビンに実施例1で原
料として用いた天然産腐植質アロフェン土(Q;本発明
外)を5グラム、別の同じビンに実施例1で得た硫酸処
理精製アロフェン土(S;本発明)を5グラム入れた。
淡水性植物プランクトンの繁殖で淡緑色に懸濁している
沼の水をそれぞれのビンに400ml入れ、1分間激し
く振とう撹拌した後、静置しアロフェン土を沈降させ、
15時間後に原水と比較観察したところ、上記Sで処理
した水からはアオコがアロフェン土と共に沈澱して、透
明度が著しく上昇していたが、上記Qで処理した水のア
オコはそのまま懸濁しており、透明度は原水と同等であ
った。さらに両者を1週間屋外放置したところS処理水
は透明度を維持したが、Q処理水では汚濁度が高くな
り、底の沈降アロフェン土層の上に暗色モヤ状堆積物が
生じていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱臭試験装置のフローシート。
【図2】硫酸処理精製アロフェン土のアンモニア吸着率
経時変化のグラフ。
【図3】硫酸処理精製アロフェン土/ゼオライト混合物
のアンモニア吸着率経時変化のグラフ。
【図4】天然産腐植質アロフェン土のアンモニア吸着率
経時変化のグラフ。
【図5】活性炭のアンモニア吸着率経時変化のグラフ。
【符号の説明】
3 ガス発生槽 4 ガス貯留室 6 吸着塔

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)天然産腐植質アロフェン土を硫酸
    で処理し、その含有有機質を低減させた精製アロフェン
    土。
  2. 【請求項2】 (イ)天然産腐植質アロフェン土を準備
    し、 (ロ)水で予備洗浄して含有有機質の少なくとも一部を
    洗い出して除き、またはそのような予備洗浄を行なうこ
    となく、 (ハ)0.05%以上の濃度のH2SO4を存在させるよ
    うな量の硫酸を添加し、水性スラリーとし、強く撹拌し
    て暗褐色から暗黒色への変色を生じさせ、1時間以上放
    置し、 (ニ)次いでこの硫酸処理した水性スラリー混合物を洗
    液がほぼ中性pHとなるまで水ですすぎ洗いし、 (ホ)脱水及び/または乾燥する、諸工程を含む請求項
    1の精製アロフェンの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の精製アロフェンを含むことを
    特徴とする流体処理剤。
  4. 【請求項4】 さらにゼオライトを含むことを特徴とす
    る請求項3の流体処理剤。
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