JPH11126531A - 接点材料及び接点 - Google Patents

接点材料及び接点

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JPH11126531A
JPH11126531A JP9306649A JP30664997A JPH11126531A JP H11126531 A JPH11126531 A JP H11126531A JP 9306649 A JP9306649 A JP 9306649A JP 30664997 A JP30664997 A JP 30664997A JP H11126531 A JPH11126531 A JP H11126531A
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JP9306649A
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English (en)
Inventor
Takeshi Hirasawa
壮史 平澤
Kiyoshi Yamamoto
潔 山本
Yasukazu Ohashi
泰和 大橋
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 電気伝導性がよく、アーク放電による消耗が
小さく、溶着、粘着が起こり難く、安価で動作寿命が長
く、安定している接点材料を提供する。 【解決手段】 Cr、Mn、Fe、Co、またはNiの
群から選ばれる少なくとも1種が0.5〜40at%、
Zn、Cd、In、Tl、Sn、Pb、As、Sb、ま
たはBiの群から選ばれる少なくとも1種が0.5〜3
0at%、Cu、Agの群から選ばれる少なくとも1種
が59at%以上、及び不可避元素からなる接点材料で
あり、例えば、この接点材料は、被覆層2として基材1
の上に形成され封入接点として用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接点材料及び接点
に係り、特にリードスイッチ、封入型リレーなどの封入
接点材料及び封入接点に関する。
【0002】
【従来の技術】封入接点は、ガラスやプラスチックなど
で作られる封入容器の中に接点部が密封された構造にな
っているもので、その封入接点の材料としては、電気伝
導性がよく、アーク放電による消耗移転が小さく、溶
着、粘着が起こり難いものが要求されている。従来の封
入接点材料としては、Ni−Fe合金等で接点基材を構
成し、まずAg、Au、Cu等の金属をめっきし、さら
にその上にRh、Ru等をメッキして製造されたRh、
Ru接点等が知られている。また、接点基材としてNi
−Fe合金等を用い、この接点基材上にCu−Ni拡散
層を形成したCu−Ni接点材料が知られている(特開
昭57−191912)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術のNi−Fe合金の接点基材の表面がRh、Ru
で被覆された接点材料は、高価なRh、Ruを用いるた
め、材料コストが高くなるという問題があり、またNi
−Fe合金の接点基材上にCu−Ni拡散層を形成した
接点材料は、低負荷〜中負荷で用いられており、高負荷
まで用いる場合には、接点材の消耗移転が激しくなると
いう問題があった。このCu−Ni拡散層を形成した接
点材料は、高負荷での消耗移転の問題を解決するには、
Rh、Ru層を形成する必要があり、これは工数が多く
生産性に劣り、またRh、Ru等を用いるため、材料コ
ストが高くなるという問題があった。そこで、本発明の
目的は、安価で動作寿命が長く、安定している接点材料
であり、電気伝導性がよく、アーク放電による消耗が小
さく、溶着、粘着が起こり難い接点材料、特に封入接点
材料を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、Cr、Mn、
Fe、Co、またはNiの群から選ばれる少なくとも1
種が0.5〜40at%、Zn、Cd、In、Tl、S
n、Pb、As、Sb、またはBiの群から選ばれる少
なくとも1種が0.5〜30at%、Cu、Agの群か
ら選ばれる少なくとも1種が59at%以上、及び不可
避元素からなることを特徴とする接点材料である。また
本発明は、接点材料が、基材の上に形成された被覆層の
薄膜であり、その厚さが、0.1μm〜20μmである
ことを特徴とするものである。
【0005】また本発明は、接点材料の組成が、厚さ方
向での変動が、±5at%以内の均質なものであること
を特徴とする接点材料である。また本発明は、接点材料
の組成が、厚さ方向でその組成比に勾配を付けたもので
あり、その全体の組成が、Cr、Mn、Fe、Co、ま
たはNiの群から選ばれる少なくとも1種が0.5〜4
0at%、Zn、Cd、In、Tl、Sn、Pb、A
s、Sb、またはBiの群から選ばれる少なくとも1種
が0.5〜30at%、Cu、Agの群から選ばれる少
なくとも1種が59at%以上、及び不可避元素からな
るものであることを特徴とする接点材料である。
【0006】また本発明は、接点材料が、その組成比の
異なる層を組み合わせた多層構造のものであることを特
徴とするものである。
【0007】また本発明は、多層構造の接点材料の少な
くとも1つの層の組成が、Cr、Mn、Fe、Co、N
iの群から選ばれる少なくとも1種が、0.5〜40a
t%、Zn、Cd、In、Tl、Sn、Pb、As、S
b、Biの群から選ばれる少なくとも1種が、0〜30
at%含まれ、Cu、Agの群から選ばれる少なくとも
1種が59at%以上、その他不可避不純物なり、接点
材料の組成が全体で、Cr、Mn、Fe、Co、または
Niの群から選ばれる少なくとも1種が0.5〜40a
t%、Zn、Cd、In、Tl、Sn、Pb、As、S
b、またはBiの群から選ばれる少なくとも1種が0.
5〜30at%、Cu、Agの群から選ばれる少なくと
も1種が59at%以上、及び不可避元素からなること
を特徴とする接点材料である。
【0008】また本発明は、多層構造の接点材料の少な
くとも1つの層の組成が、Cr、Mn、Fe、Co、N
iの群から選ばれる少なくとも1種が、0〜40at
%、Zn、Cd、In、Tl、Sn、Pb、As、S
b、Biの群から選ばれる少なくとも1種が、0.5〜
30at%含まれ、Cu、Agの群から選ばれる少なく
とも1種が59at%以上、その他不可避不純物からな
り、接点材料の組成が全体で、Cr、Mn、Fe、C
o、またはNiの群から選ばれる少なくとも1種が0.
5〜40at%、Zn、Cd、In、Tl、Sn、P
b、As、Sb、またはBiの群から選ばれる少なくと
も1種が0.5〜30at%、Cu、Agの群から選ば
れる少なくとも1種が59at%以上、及び不可避元素
からなることを特徴とする接点材料である。
【0009】また本発明は、多層構造の接点材料の少な
くとも1つの層の組成が、厚さ方向でその組成比に勾配
を付けたものであることを特徴とする接点材料である。
【0010】さらに本発明は、接点材料が、封入接点材
料として用いられるものである。さらに、また本発明
は、上記した接点材料が、接点基材の上に形成されてい
ることを特徴とする接点である。
【0011】
【作用】本発明の接点材料は、高導電性を有し、アーク
損傷時には被覆層表面で容易に溶融して接点間の接触部
で潤滑効果をもたらし、粘着による動作不良を防止し、
寿命向上が図られるものである。
【0012】本発明の接点材料の組成を限定した理由を
説明する。まず、Cu、Agの群から選ばれる少なくと
も1種が、ベース金属であり、59at%以上含有する
ことにより、接点材料、例えば薄膜の被覆層が高導電性
を有するものである。
【0013】Zn、Cd、In、Tl、Sn、Pb、A
s、Sb、またはBi(以下「本発明の耐粘着性成分」
という)は、粘着による開閉不良を抑えたものであり、
これらはいずれも比較的低融点であるため、アーク損傷
時には表面で容易に溶融し、これが接点間の接触部で潤
滑効果をもたらすため、粘着による動作不良を防止す
る。その含有量は、Zn、Cd、In、Tl、Sn、P
b、As、Sb、またはBiの群から選ばれる少なくと
も1種が0.5〜30at%であり、0.5at%未満
では粘着による開閉不良を抑えことができず、また30
at%を越えると接点材料、例えば薄膜の被覆層の導電
性、アーク損傷に悪影響を与えることになる。
【0014】Cr、Mn、Fe、Co、またはNi(以
下「本発明の損傷分散成分という)は、アーク放電を分
散させるもので、部分的な損傷を防止するものである。
その含有量は、Cr、Mn、Fe、Co、またはNiの
群から選ばれる少なくとも1種が0.5〜40at%で
あり、0.5at%未満ではアーク放電を分散させ部分
的な損傷を防止することができず、また40at%を越
えると、接点材料、例えば薄膜の被覆層の導電性、粘着
による開閉不良に悪い影響を与えることになる。
【0015】すなわち、本発明は、接点材料、例えば薄
膜の被覆層が安価で高導電性を有するベース金属である
Cu、Agを有しているが、これらCu及び/又はAg
のみの被覆層では粘着に起因する動作不良が生ずるの
で、このような動作不良を抑えるために、本発明の耐粘
着性成分と本発明のアーク損傷分散成分を含有させたも
のである。
【0016】ここで、本発明の耐粘着性成分はいずれも
比較的低融点であるため、アーク損傷時には被覆層表面
で容易に溶融し、これが接点間の接触部で潤滑効果をも
たらすため、粘着による動作不良を防止し、寿命向上に
寄与するものである。また、ベース金属と耐粘着性成分
だけの接点では、アーク放電が一個所に集中し、この場
所の接点基材が露出した時点で動作不良が発生するが、
アーク損傷を分散させる効果のある本発明の損傷分散成
分を含有させることで、接点を広い範囲で均一に損傷さ
せることができるため、接点基材が露出するまでの回数
が飛躍的に高まり、結果として寿命向上を果たすことが
できる。
【0017】また、不可避元素としては例えば酸素が挙
げるれる。これは製法上接点材料に酸素が混入する場合
がある。例えば、薄膜である被覆層をマグネトロンスパ
ッタ法により基材に形成する場合に、チャンバーに付着
している酸素、あるいは雰囲気中に存在する酸素が被覆
層に不可避的に含まれることがある。
【0018】このように接点材料、例えば薄膜の被覆層
中に酸素が混入する場合でも、酸化されていない部分の
組成が、Cr、Mn、Fe、Co、またはNiの群から
選ばれる少なくとも1種が0.5〜40at%、Zn、
Cd、In、Tl、Sn、Pb、As、Sb、またはB
iの群から選ばれる少なくとも1種が0.5〜30at
%、Cu、Agの群から選ばれる少なくとも1種が59
at%以上の被覆層であれば、動作寿命への影響はな
く、上記したように、耐粘着性、損傷分散性、高導電性
等の要求される機能を有するものである。このように、
製法上接点材料、例えば薄膜である被覆層中に酸素が不
可避的に混入する場合があっても許容できるので、簡便
な装置の使用や、様々な製造環境での製作などが可能と
なる。
【0019】また、接点材料が基材の上に形成する被覆
層では、その厚さが、0.1μm〜20μmであり、好
ましくは0.1μm〜10μm、より好ましくは0.1
μm〜5μmである。これは、0.1μm未満では、耐
粘着性、アーク損傷分散性、高導電性等の効果が充分に
得られないためである。また20μmを越えてもその効
果は飽和し、In、Ag等の高価な金属を使用する場合
はコスト面から見ても20μm以下が好ましい。尚、本
接点材料は、基材上に被覆層として形成するのではな
く、接点材料単体として用いることも可能である。この
場合は、機械的強度の点から、0.1〜0.5mm程度
の厚さであることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の接点材料は、その組成
が、Cr、Mn、Fe、Co、またはNiの群から選ば
れる少なくとも1種が0.5〜40at%、Zn、C
d、In、Tl、Sn、Pb、As、Sb、またはBi
の群から選ばれる少なくとも1種が0.5〜30at
%、Cu、Agの群から選ばれる少なくとも1種が59
at%以上、及び不可避元素からなるものであり、接点
材料全体として、前記の組成であればよい。すなわち接
点材料の組成が、厚さ方向でその組成比に勾配を付けた
ものであっても接点材料全体として、前記の組成であれ
ばよく、また接点材料が、その組成比の異なる層を組み
合わせた多層構造のものであっても接点材料全体とし
て、前記の組成であればよい。
【0021】また、本発明(請求項2)の接点材料は薄
膜で基材の上に被覆層として形成されものであるが、そ
の場合用いられる接点の基材は格別限定されるものでは
なく、従来から封入接点用の基材として用いられている
ものであればよい。例えば、材料のコストを低減させる
ことを意図して、Fe、Ni、Co、Ni−Fe、Co
−Fe−Nb、Co−Fe−V、Fe−Ni−Al−T
i、Fe−Co−Ni、炭素鋼、リン青銅、洋白、黄
銅、ステンレス鋼、Cu−Ni−Sn、Cu−Ti等を
用いることができる。
【0022】本発明の接点材料が薄膜で被覆層の場合に
ついて、その被覆層の形態について、図1、図2を参照
して説明する。図1は、接点基材(1)の上に被覆層
(2)が形成された構造の断面図である。図2は、接点
基材(1)の上に形成された被覆層(2)が、基材側の
層(3)と表面側の層(4)の組成比の異なる層を組み
合わせた多層構造の断面図である。
【0023】図1に示す接点基材(1)及び被覆層
(2)よりなる封入接点材料において、被覆層(2)
は、その全体の組成が、Cr、Mn、Fe、Co、また
はNiの群から選ばれる少なくとも1種が0.5〜40
at%、Zn、Cd、In、Tl、Sn、Pb、As、
Sb、またはBiの群から選ばれる少なくとも1種が
0.5〜30at%、Cu、Agの群から選ばれる少な
くとも1種が59at%以上、及び不可避元素からなる
ものである。
【0024】図1に示す被覆層(2)の厚さ方向の組成
について、被覆層(2)の基材側t1 、中間部のt2
表面側のt3 3点で説明する。本発明において、被覆層
の厚さ方向の組成変動が、±5at%以内の均質なもの
とは、被覆層(2)のt1 の組成、t2 の組成、t3
組成の変動が、±5at%以内で、基材側t1 、中間部
のt2 、表面側のt3 の厚さ方向のいずれの位置でもほ
ぼ均質な組成になっているもので、最も単純な構造を有
するものある。
【0025】本発明において、接点材料が厚さ方向でそ
の組成比に勾配を付けた場合を、被覆層が基材側から表
面に向けてその組成比に勾配を付けたものを例に図1で
説明する。被覆層(2)の厚さ方向の組成比が、被覆層
(2)のt1 の組成、t2 の組成、t3 の組成を勾配を
付けて、被覆層内で連続的に組成を変化させたものであ
る。例えば、損傷分散成分を基材側から表面に向けて連
続的に増加させた被覆層を形成し、被覆層に含まれる損
傷分散成分が少量でも、アーク損傷の分散をより効率よ
く実現させることができる。
【0026】また、耐粘着性成分を基材側から表面に向
けて次第に連続的に減少させた被覆層を形成して、耐粘
着性成分自身がもたらす動作初期の粘着を抑えつつ、そ
の効果をさらに持続させることができる。また、損傷分
散成分を基材側から表面に向けて連続的に増加させ、耐
粘着性成分を基材側から表面に向けて次第に連続的に減
少させた被覆層を形成することもできる。さらに、損傷
分散成分を基材側から表面に向けて連続的に減少させ、
耐粘着性成分を基材側から表面に向けて連続的に増加さ
せた被覆層を形成することもできる。
【0027】具体的例を、損傷分散成分がMn、耐粘着
性成分がPb、ベース金属がAgである場合について、
図1を参照して示すと、接点基材(1)上の被覆層
(2)の基材側t1 の組成は、損傷分散成分のMn:0
at%で基材側t1 から連続的に増加させ、中間部t2
では10at%、表面側t3 では20at%とする。一
方、耐粘着性成分Pbは、基材側t1 の組成は、20a
t%で基材側t1 から次第に連続的に減少させ、中間部
2 では10at%、表面側t3 では0at%とする。
そして被覆層(2)の全体の組成は、損傷分散成分M
n:10at%、耐粘着性成分Pb:10at%、ベー
ス金属Ag:80at%である。
【0028】本発明の被覆層が、組成比の異なる層を組
み合わせた多層構造のものについて図2を参照して説明
する。図2は、接点基材(1)上に基材側の層(3)と
表面側の層(4)の組成比の異なる層を組み合わせた2
層構造の被覆層(2)が形成されたものである。基材側
の層(3)は損傷分散成分が少なく耐粘着性成分が多い
層、表面側の層(4)は耐粘着性成分が少なく損傷分散
成分が多い層として、このように組成の異なる層を組み
合わせた2層構造のものである。これによりアーク損傷
の分散をより効率よく実現させ、耐粘着性成分自身がも
たらす動作初期の粘着を抑えつつ、その効果をさらに持
続させることができる。
【0029】具体的例を、損傷分散成分がNi、耐粘着
性成分がZn、ベース金属がCuである場合について、
図2を参照して示すと、接点基材(1)上の基材側の層
(3)は、損傷分散成分Ni:20at%、耐粘着性成
分Zn:15at%、Cu:65at%であり、表面側
の層(4)は耐粘着性成分Zn:0at%、損傷分散成
分Ni:25at%、Cu:75at%であり、そして
被覆層(2)の全体の組成は、損傷分散成分Ni:2
2.5at%、耐粘着性成分Zn:7.5at%、C
u:70at%である。
【0030】また、図2に示す組成比の異なる基材側の
層(3)と表面側の層(4)を組み合わせた2層構造の
ものにおいて、封入接点の使用条件に対応して、基材側
の層(3)及び/又は表面側の層(4)に組成比の勾配
を付け、被覆層内で連続的に組成を変化させ、その効果
をさらに持続させることができる。
【0031】本発明において、接点基材の上に被覆層を
形成する手段としては、スパッタ法、真空蒸着法、イオ
ンプレーティング法が挙げられる。また、接点基材に被
覆層を形成するにあたり、接点材料と被覆層との間に、
構成元素の拡散を防止するための中間層、例えば薄いN
i膜、Au膜等を設けてもよい。
【0032】
【実施例1】本発明の実施例1は、接点材料が薄膜であ
る被覆層について、図3及び表1、表2を参照して説明
する。図3(a)(b)は、実施例1の接点基材の上に
被覆層を形成する手段である3元RFマグネトロンスパ
ッタ法を説明する図であり、図3(a)は側面図、図3
(b)は(a)の断面図である。
【0033】図3(a)、(b)に示すように、排気部
(16)、ガス導入部(17)が設けられたチャンバ
(15)内の回転する基板ホルダ(5)に接点基材
(1)がセットされる。またベース金属のターゲット
(6)、耐粘着性成分のターゲット(7)、損傷分散成
分のターゲット(8)が配置される。ベース金属のター
ゲット(6)にはマッチングボックス(9)、RF電源
(12)が接続され、耐粘着性成分のターゲット(7)
にはマッチングボックス(10)、RF電源(13)が
接続され、損傷分散成分のターゲット(8)にはマッチ
ングボックス(11)、RF電源(14)が接続されて
いる。またRF電源(12)(13)(14)は、回転
基板ホルダにも接続されている。
【0034】まず、接点基材(1)として、52%Ni
−Fe合金からなる、縦1mm、横1mm、厚さ0.5
mmの板を封入接点の接点基材として用意した。この接
点基材(1)の表面を、アセトンを用いて5分間超音波
洗浄し、さらにリン酸電解研磨して表面洗浄を行った。
次に、接点基材(1)を真空チャンバ(15)の中にセ
ットし、チャンバ(15)内を2×10-4Pa以下まで
排気部(16)より真空ポンプで排気した後、真空ポン
プのバルブを半開状態にして排気コンダクタンスを小さ
くしながら、ガス導入部(17)よりArガスを導入
し、チャンバ(15)内が1×10-1Paで安定するよ
うにした。その後、RF電流の極性を入れ替え逆スパッ
タを行い、基板基材(1)の表面をArガスでスパッタ
し清浄にした。
【0035】この接点基材(1)を真空チャンバ(1
5)の中にセットしたまま、0.66PaのArガスを
導入した。また接点基材の温度を400℃に保持した。
ベース金属をターゲット(6)として、耐粘着性成分を
ターゲット(7)として、損傷分散成分をターゲット
(8)として、3元RFマグネトロンスパッタ法を用
い、それぞれのターゲットに接続されているRF電源に
より、蒸着レートを種々変化させる。それぞれのターゲ
ットにRFを印加し、その際ターゲットの誘電率により
効率良くプラズマが発生するインピーダンスが異なるの
で、マッチングボックスでL(インダクタンス)、C
(キャパシタンス)を調整して、接点基材(1)に表1
の本発明例品、表2の比較例品に示す接点被覆層を成膜
した。
【0036】成膜後一対の各被覆層を形成した接点材料
を用いて、封入ガスがN2である封入型接点を製造し、
室温下においてアーク放電の発生する負荷である100
V−0.5Aを選択し、試験を行った。40AT(Am
pere Turn)の駆動磁界により封入型接点の開
閉動作を反復し、障害発生までの動作回数を計測した。
障害発生の時点は、開閉不良が現れた時点とした。それ
ぞれの水準に対して10サンプルずつ試験を行った。そ
の結果を表1に示す。またその比較例を表2に示す。
【0037】表1の結果から明らかなように、No.1
〜15の本発明例品はいずれも動作寿命が長く、且つ突
発的な動作不良などが見られず、非常に安定しているこ
とがわかる。これに対し表2の比較例品では、そのN
o.1〜3は耐粘着性元素がないため、4〜6は損傷分
散元素を含有しないため、No.7及び8は耐粘着性元
素が多すぎるため、No.9及び10は膜厚が薄すぎる
ため、それぞれ本発明例品に対し平均寿命が著しく劣る
など、いずれも課題を含んだ接点であることがわかる。
【表1】
【表2】
【0038】
【実施例2】本発明の実施例2は接点材料が薄膜である
被覆層について、表3、表4及び表5を参照して説明す
る。上記実施例1と同様に接点基材として、52%Ni
−Fe合金の縦1mm、横1mm、厚さ0.5mmの板
を封入接点の接点基材として用意し、3元RFマグネト
ロンスパッタ法を用い、マッチングボックス、RF電源
で、表3、表4及び表5に示す被覆層の組成、厚さにな
るように条件毎に操作を行うことにより、積層構造、傾
斜組成構造の被覆層を形成した。
【0039】表3は、接点基材に被覆層が、組成比の異
なる層を組み合わせた多層構造のもの、即ち積層構造の
被覆層を作製したものである。これら作製した被覆層を
形成した接点材料を用いて、上記実施例1と同様な条件
で開閉動作試験を行い、障害発生までの動作回数を計測
した。その結果を表3に示す。表3において1層は基材
側に位置する層であり、2層は表面側に位置する層であ
る。
【0040】表4は、被覆層に基材側から表面に向けて
その組成比に勾配を付けたもの、即ち傾斜組成構造のも
ので、これは上記実施例1と同様の操作を、目的の傾斜
組成となるように、ベース金属のターゲット、耐粘着性
成分のターゲット、損傷分散成分のターゲットの投入パ
ワーをRF電源により連続的に変化させ、接点基材に傾
斜組成の被覆層を作製した。これら傾斜組成の被覆層を
形成した接点材料を用いて、上記実施例1と同様な条件
で開閉動作試験を行い、障害発生までの動作回数を計測
した。その結果を表4に示す。表5は、比較例品を示す
ものである。
【0041】表3の結果から明らかなように、本発明例
品のNo.16〜22の積層構造の被覆層を形成した封
入接点材料は、いずれも動作寿命が長く、著しく良好な
ことがわかる。また、表4に示した本発明例品のNo.
23〜29の傾斜組成構造の被覆層を形成した封入接点
材料も、いずれも動作寿命が長く、良好なことがわか
る。
【0042】これら表3、表4の結果に対して表5の比
較例品では、表5のNo.11は耐粘着性元素を全く含
んでいないため、No.12は損傷分散元素を全く含ん
でいないため、No.13は耐粘着性元素及び損傷分散
元素を含んでいないため、No.14及びNo.17は
所定の膜厚より薄いため、No.15、No.16は耐
粘着性元素が多すぎるため、いずれも寿命が極端に短
い、また寿命のばらつきが多い、など本発明例品に対し
著しく劣った寿命特性であることがわかる。これらのこ
とより、本発明例品は比較例品に比べいずれも優れてい
ることがわかる。
【表3】
【表4】
【表5】
【0043】以上で説明した実施例1、2では、接点サ
イズの基材上に被覆層を形成する場合について説明した
が、本発明は大型基材上に被覆層を形成し、これを接点
サイズにサイジングして接点としても同様の効果が得ら
れるものである。また本発明は、広くベース金属である
Cu、Agが大気中の硫化物と化合して接点特性が劣化
しないような環境に置かれる接点に関してはいずれも有
効で、リードスイッチ、封入型リレー、封入型スイッチ
など様々な分野に応用できる。
【0044】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よる接点材料によれば、アーク放電の発生する負荷にお
いても動作寿命の長い接点が得られ、高導電性で粘着に
起因する動作不良が抑えられ、アーク損傷時には被覆層
表面で容易に溶融して接点間の接触部で潤滑効果をもた
らし、寿命向上が図られるという効果を有するものであ
る。また、製法上接点材料中に酸素が不可避に混入する
場合があっても許容できるので簡易な装置にて製造が可
能であり、さらに、Rh、Ru等高価な材料の使用を抑
えることができるため、封入接点材料の低コスト化が著
しく促され、その工業的価値は大である等の効果が奏さ
れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接点基材に被覆層が形成された構造を
説明する図
【図2】本発明の接点基材に被覆層が形成された構造を
説明する図
【図3】本発明の実施例の被覆層を形成する手段を説明
する図
【符号の説明】 1 接点基材 2 被覆層 3 基材側の層 4 表面側の層 5 基板ホルダ 6,7,8 ターゲット 9,10,11 マッチングボックス 12,13,14 RF電源 15 チャンバ 16 排気部 17 ガス導入部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cr、Mn、Fe、Co、またはNiの
    群から選ばれる少なくとも1種が0.5〜40at%、
    Zn、Cd、In、Tl、Sn、Pb、As、Sb、ま
    たはBiの群から選ばれる少なくとも1種が0.5〜3
    0at%、Cu、Agの群から選ばれる少なくとも1種
    が59at%以上、及び不可避元素からなることを特徴
    とする接点材料。
  2. 【請求項2】 接点材料が、基材の上に形成された被覆
    層の薄膜であり、その厚さが、0.1μm〜20μmで
    あることを特徴とする請求項1に記載の接点材料。
  3. 【請求項3】 接点材料の組成が、厚さ方向での変動
    が、±5at%以内の均質なものであることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の接点材料。
  4. 【請求項4】 接点材料の組成が、厚さ方向でその組成
    比に勾配を付けたものであり、その全体の組成が、C
    r、Mn、Fe、Co、またはNiの群から選ばれる少
    なくとも1種が0.5〜40at%、Zn、Cd、I
    n、Tl、Sn、Pb、As、Sb、またはBiの群か
    ら選ばれる少なくとも1種が0.5〜30at%、C
    u、Agの群から選ばれる少なくとも1種が59at%
    以上、及び不可避元素からなるものであることを特徴と
    する請求項1または2に記載の接点材料。
  5. 【請求項5】 接点材料が、その組成比の異なる層を組
    み合わせた多層構造のものであることを特徴とする請求
    項1または2に記載の接点材料。
  6. 【請求項6】 多層構造の接点材料の少なくとも1つの
    層の組成が、Cr、Mn、Fe、Co、Niの群から選
    ばれる少なくとも1種が、0.5〜40at%、Zn、
    Cd、In、Tl、Sn、Pb、As、Sb、Biの群
    から選ばれる少なくとも1種が、0〜30at%含ま
    れ、Cu、Agの群から選ばれる少なくとも1種が59
    at%以上、その他不可避不純物からなり、接点材料の
    組成が全体で、Cr、Mn、Fe、Co、またはNiの
    群から選ばれる少なくとも1種が0.5〜40at%、
    Zn、Cd、In、Tl、Sn、Pb、As、Sb、ま
    たはBiの群から選ばれる少なくとも1種が0.5〜3
    0at%、Cu、Agの群から選ばれる少なくとも1種
    が59at%以上、及び不可避元素からなることを特徴
    とする請求項5に記載の接点材料。
  7. 【請求項7】 多層構造の接点材料の少なくとも1つの
    層の組成が、Cr、Mn、Fe、Co、Niの群から選
    ばれる少なくとも1種が、0〜40at%、Zn、C
    d、In、Tl、Sn、Pb、As、Sb、Biの群か
    ら選ばれる少なくとも1種が、0.5〜30at%含ま
    れ、Cu、Agの群から選ばれる少なくとも1種が59
    at%以上、その他不可避不純物なり、接点材料の組成
    が全体で、Cr、Mn、Fe、Co、またはNiの群か
    ら選ばれる少なくとも1種が0.5〜40at%、Z
    n、Cd、In、Tl、Sn、Pb、As、Sb、また
    はBiの群から選ばれる少なくとも1種が0.5〜30
    at%、Cu、Agの群から選ばれる少なくとも1種が
    59at%以上、及び不可避元素からなることを特徴と
    する請求項5に記載の接点材料。
  8. 【請求項8】 多層構造の接点材料の少なくとも1つの
    層の組成が、厚さ方向でその組成比に勾配を付けたもの
    であることを特徴とする請求項5、6、7のいずれかに
    記載の接点材料。
  9. 【請求項9】 接点材料が、封入接点材料として用いら
    れるものであることを特徴とする請求項1乃至8のいず
    れかに記載の接点材料。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9のいずれかに記載の接
    点材料が、接点基材の上に形成されていることを特徴と
    する接点。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009252739A (ja) * 2008-04-10 2009-10-29 Samsung Electronics Co Ltd 傾斜組成封止薄膜およびその製造方法
CN102747248A (zh) * 2012-07-20 2012-10-24 浙江乐银合金有限公司 银-氧化三元合金电触头材料及其制备方法
KR101203697B1 (ko) * 2010-11-02 2012-11-21 주식회사 에스티 다층 접점 재료 및 그 제조 방법
JP2014120408A (ja) * 2012-12-19 2014-06-30 Toshiba Corp 真空バルブ用接点材料
RU170476U1 (ru) * 2016-01-29 2017-04-26 Общество с ограниченной ответственностью "Патентное бюро" (ООО "Патентное бюро") Электрический контакт на основе графита

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