JPH11213787A - 封入接点材料およびそれを用いた封入接点 - Google Patents

封入接点材料およびそれを用いた封入接点

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JPH11213787A
JPH11213787A JP1290298A JP1290298A JPH11213787A JP H11213787 A JPH11213787 A JP H11213787A JP 1290298 A JP1290298 A JP 1290298A JP 1290298 A JP1290298 A JP 1290298A JP H11213787 A JPH11213787 A JP H11213787A
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JP1290298A
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Inventor
Kiyoshi Yamamoto
潔 山本
Masato Sakata
正人 坂田
Takeshi Hirasawa
壮史 平澤
Yasukazu Ohashi
泰和 大橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高電力負荷範囲においても、低電力負荷範囲
においても接触抵抗が上昇せずかつ安定化し、また安価
に製造することができる封入接点材料を提供する。 【解決手段】 接点基材1の表面が、Mo,Zr,N
b,Hf,Ta,Wの群から選ばれる少なくとも1種を
マトリックスとし、前記マトリックスに、Zn,Cd,
Hg,Al,Ga,In,Tl,Ge,Sn,Pb,A
s,Sb,Biの群から選ばれる少なくとも1種が0.5
〜50原子%含まれている材料から成り、かつ、厚みが
0.1μm以上である少なくとも1層の下層2Aと、F
e,Co,Ni,Cu,Ag,Au,Ru,Rh,P
d,Os,Ir,Ptの群から選ばれる少なくとも1種
から成り、かつ、厚みが1nm以上である上層2Bとを有
する積層構造の接点被覆層2で被覆されている封入接点
材料において、前記接点被覆層2の表面が、Ru,R
h,Pd,Os,Ir,Ptの群から選ばれる少なくと
も1種の酸化物から成り、かつ厚みが1nm以上である層
3で被覆されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は封入接点材料とそれ
を用いた封入接点に関し、更に詳しくは、開閉動作時に
おける抵触抵抗のばらつきが小さく、また、接触点近傍
で放電を起こさないような低電力負荷時においても抵触
抵抗の上昇は起こらず、動作寿命特性が優れており、し
かも安価に製造することができる封入接点材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】リードスイッチなどに使用されている封
入接点は、ガラスなどで作られている封入容器の中に、
封入接点材料が例えばN2ガスなどと一緒に封入された
構造になっている。従来、封入接点材料としては、接点
基材を例えばFe−Ni合金などで構成し、その表面を
Rh,Ruなどで被覆して接点被覆層として機能させる
ものが多用されてきた。これは、RhやRuなどが電気
伝導性に優れ、高硬度でかつ高融点の材料であり、また
耐摩耗性も優れているからである。
【0003】上記した従来の封入接点材料においては、
接点基材の表面に、まず、Ag,Au,Cuなどの金属
を例えば電気めっき法でメッキして中間層を形成し、更
にその上に、Rh,Ruなどをめっきして接点被覆層を
形成することにより製造されていた。この中間層は、接
点基材と接点被覆層との密着性を高めたり、また接点の
開閉動作時に、接点被覆層のRh,Ruなどが接点基材
に拡散してくることを防止するために設けられている。
【0004】しかしながら、上記した封入接点材料は、
高価なRhやRuなどを使用しているのでその材料コス
トは高くなり、経済性の点で問題視されている。そのた
め、最近では、接点基材には依然として従来と同じよう
にFe−Ni合金などを使用し、接点被覆層には、Mo
やWまたはその合金のような高融点材料を使用すること
により、材料コストを低減した封入接点材料が提案され
ている。
【0005】この封入接点材料は、接点被覆層に要求さ
れる特性のうち、高融点,高硬度,高い導電性という点
では優れている。しかしながら、この材料は次のような
挙動を示すことが明らかになりつつある。すなわち、例
えば接点被覆層がWからなる材料の場合、10Hzで開閉
動作を反復させる接点使用試験を行うと、抵触抵抗のば
らつきが大きくなり、またしばしば、接点被覆層にアー
ク放電の集中発生が認められることがある。封入接点材
料の抵触抵抗のばらつきが大きくなると、封入接点の開
閉動作時における抵触抵抗の変動が起こりやすくなるだ
けではなく、封入接点の発熱量が増加する。その結果、
封入接点の動作寿命は短くなり、しかもその動作寿命そ
れ自体のばらつきも大きくなって、実使用時における信
頼性の低下を招くことになる。
【0006】また、封入接点は、通常、電圧(電流)を
印加した状態で開閉動作が行われる。しかしながら、通
常、電気製品の使用時には負荷側に断線などを発生する
こともあり、その場合には、電圧(電流)が印加されて
いない状態で封入接点の開閉動作が進むことになる。例
えば、発光ダイオードと封入接点が接続されていた場
合、その発行ダイオードの寿命がつきたことなどにより
断線したとしても、封入接点は、無負荷状態で開閉動作
を反復することになる。
【0007】とくにリードスイッチの場合、無負荷状態
になってもスイッチの開閉用マグネットが作動すること
で、その封入接点は無負荷状態の開閉動作を余儀なくさ
れる可能性は大である。接点被覆層が、Mo,Wまたは
その合金から成る前記した封入接点材料が封入されてい
る封入接点の場合、上記した無負荷状態での開閉動作を
反復すると接触抵抗は上昇し、スイッチとしての安定性
や信頼性に劣るという問題がある。とくに、封入接点材
料の接点被覆層の表面に酸化膜が形成されている場合に
は、前記した問題が起こりやすい。
【0008】接点被覆層がW,Moまたはその合金で形
成されている封入接点材料における上記した問題を解決
するために、本発明者らは、接点基材の表面が、Mo,
Zr,Nb,Hf,Ta,Wの群から選ばれる少なくと
も1種が0.5〜50原子%含まれている材料から成り、
かつ、厚みが0.1μm以上である少なくとも1層の接点
被覆層で被覆されている封入接点材料、前記マトリック
スに、Zn,Cd,Hg,Al,Ga,In,Tl,G
e,Sn,Pb,As,Sb,Biの群から選ばれる少
なくとも1種の元素の酸化物が0.1〜0.5モル%含まれて
いる材料から成り、かつ、厚みが0.1μm以上である少
なくとも1層の接点被覆層で被覆されている封入接点材
料、および接点基材の表面が、Mo,Zr,Nb,H
f,Ta,Wの群から選ばれる少なくとも1種から成る
少なくとも1層の下層と、Zn,Cd,Hg,Al,G
a,In,Tl,Ge,Sn,Pb,As,Sb,Bi
の群から選ばれる少なくとも1種から成る少なくとも1
層の上層とを有する積層構造を成し、かつ、前記下層お
よび上層の厚みはいずれも0.1μm以上である少なくと
も1層の接点被覆層で被覆されている封入接点材料を開
発し、また、これら封入接点材料における前記接点被覆
層の表面を、Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt,A
g,Auのいずれか1種またはそれらの合金や、RuO
2,Rh23,RhO2,ReO3,OsO4,IrO2
Ir23などの酸化物の層で被覆したタイプの封入接点
材料を開発し、いずれも、特願平8−24462号とし
て既に出願した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特願平8−24462
号で提案した封入接点材料は、抵触抵抗が低くかつその
ばらつきが小さく、接点動作寿命特性は優れており、し
かも高価な材料の使用を抑制しているので製造コストの
低減を可能にするという点で、従来にない優れた封入接
点材料である。
【0010】しかしながら、その後の研究で、上記した
封入接点材料の場合、動作時に、接点の接触部近傍で放
電が生じるような電力負荷範囲における接触抵抗は安定
しているが、接触部近傍で放電が生じないような低電力
負荷範囲における接触抵抗は上昇していくという事実が
明らかとなった。本発明は、特願平8−24462号の
封入接点材料における上記した問題を解決し、特願平8
−24462号の封入接点材料の優れた特性が維持され
ることは勿論のこと、接触部近傍で放電が生じないよう
な低電力負荷範囲における接触抵抗の上昇も抑制するこ
とに成功した封入接点材料とそれを用いた封入接点の提
供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記した目
的を達成するために、接触部近傍で放電が生じないよう
な低電力負荷範囲における接触抵抗の上昇原因について
考察を加え、この抵触抵抗の上昇は、接点基材の表面に
形成されている接点被覆層に何らかの形で絶縁性の層が
生成することに起因する現象であるとの着想を抱いた。
そして、その着想の内容を次のように整理した。
【0012】(1) まず、一般に次のことがいえる。
封入容器に封入される前の封入接点材料は大気に曝され
た状態にあるため、その表面には、水の外に、大気中に
浮遊しているブタン,ヘキサン,ベンゼン,トルエンな
どの炭素系物質が吸着されている。この吸着の態様は物
理吸着と化学吸着に大別されるが、物理吸着の場合には
接点の封入時に作用する熱の影響で炭素系物質は接点表
面から容易に脱離していくと考えられる。
【0013】しかし、化学吸着である場合には、この炭
素系物質は脱離することなく、熱が加われば加わるほど
接点表面に強固に結合することになると考えられる。 (2) 封入接点材料の表面が金属または合金層で形成
されている場合は、その表面に大気中の前記炭素系物質
は化学吸着される。そして、接点表面と強固に結合した
炭素系物質は、接点の動作時に、接点接触部で接点の摩
擦により有機物が変質して重合体を形成し、茶褐色また
は黒褐色の粉末であって一般にブラウンパウダと呼ばれ
る炭素系絶縁物質に転化し、接触抵抗を上昇させること
になるであろう。
【0014】仮に、接点材料の表面が金属酸化物で形成
されているとすれば、この表面へ前記炭素系物質は物理
吸着するのみであるから、この炭素系物質は接点封入時
の熱で脱離するであろう。したがって、この場合には、
表面が金属または合金である場合のような炭素系絶縁物
質は生成しないので、接触抵抗の上昇は起こらないもの
と考えられる。
【0015】(3) しかし、接点材料の表面が金属酸
化物層で形成されていると、接点の動作(摺動)時に発
生する熱でその酸化物層から酸素が下の方に拡散して、
下層と酸化物層の間に酸化層が生成し、その結果、接点
被覆層全体の抵抗が上昇するものと考えられる。したが
って、接点材料の表面を金属酸化物層で形成した場合、
その下層としては、酸化物層ではなく耐酸化性と導電性
に優れた金属の層にすれば、上記した接触抵抗の上昇を
抑制することができるものと考えられる。
【0016】本発明は、以上の着想に基づいて開発され
た封入接点材料であり、特願平8−24462号の封入
接点材料を改良したものである。すなわち、本発明の封
入接点材料は、接点基材の表面が、Mo,Zr,Nb,
Hf,Ta,Wの群から選ばれる少なくとも1種をマト
リックスとし、前記マトリックスに、Zn,Cd,H
g,Al,Ga,In,Tl,Ge,Sn,Pb,A
s,Sb,Biの群から選ばれる少なくとも1種が0.5
〜50原子%含まれている材料から成り、かつ、厚みが
0.1μm以上である少なくとも1層の下層と、Fe,C
o,Ni,Cu,Ag,Au,Ru,Rh,Pd,O
s,Ir,Ptの群から選ばれる少なくとも1種から成
り、かつ、厚みが1nm以上である上層とを有する積層構
造の接点被覆層で被覆されている封入接点材料におい
て、前記接点被覆層の表面が、Ru,Rh,Pd,O
s,Ir,Ptの群から選ばれる少なくとも1種の酸化
物から成り、かつ厚みが1nm以上である層で被覆されて
いることを特徴とする。
【0017】そして、本発明においては、上記した封入
接点材料を用いた封入接点が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の封入接点材料の1例を図
1に示す。この接点材料は、接点基材1の表面が後述す
る下層2Aと上層2Bとから成る積層構造の接点被覆層
2で被覆され、更にその接点被覆層2の表面が後述する
酸化物層3で被覆されている。ここで、接点基材1の材
料は格別限定されるものではなく、従来から封入接点の
基材材料として用いられるものであれば何であってもよ
く、製造コストの低減ということを考えると、例えば、
Fe,Ni,Co,Ni−Fe,Co−Fe−Nb,C
o−Fe−V,Fe−Ni,Ni−Al−Ti,Fe−
Co−Ni,炭素鋼,リン青銅,洋白,黄銅,ステンレ
ス鋼,Cu−Ni−Sn,Cu−Tiなどを用いること
ができる。
【0019】下層2Aは、Mo,Zr,Nb,Hf,T
a,Wの群から選ばれる少なくとも1種、例えば、これ
ら金属の単体や、Hf−Nb,Hf−Ta,Hf−M
o,Hf−Zr,Hf−W,Mo−Nb,Mo−Ta,
Mo−Zr,Mo−W,Nb−Ta,Nb−W,Nb−
Zr,Ta−W,Ta−Zr,W−Zrのような合金を
マトリックス(以下、マトリックス金属という)とし、
このマトリックス金属の中に、Zn,Cd,Hg,A
l,Ga,In,Tl,Ge,Sn,Pb,As,S
b,Biの群から選ばれる少なくとも1種の元素が添加
元素として含有されている材料で構成されている。以
下、これらの元素を添加元素という。
【0020】下層2Aのマトリックスを構成する上記マ
トリックス金属は、いずれも、高融点でありかつ高硬度
であるため、下層2Aと上層2Bとから成る接点被覆層
2全体の耐摩耗性を高める働きをする。そして、このマ
トリックスに含有される上記添加元素は、開閉動作時に
おける接点被覆層2の抵触抵抗を安定化し、耐摩耗性や
耐酸化性の向上に貢献する。
【0021】とくに、接点被覆層の形成時や封入接点の
製造時に、大気中の酸素が接点被覆層の表面から内部に
取り込まれたとしても、取り込まれたこの酸素は、上記
した添加元素によって例えば吸着されるものと考えられ
る。すなわち、酸素は添加元素によって捕捉され、その
ため、下層2Aのマトリックス金属の酸化は抑制され
て、下層2Aと上層2Bとの界面や下層2Aと接点基材
1との界面に酸化層が形成されにくくなるものと考えら
れる。
【0022】このようなことからすると、下層2Aとし
ては、上記添加元素の機能を有効に発揮させるために、
当該添加元素は、後述する下層2Aの形成時にマトリッ
クス金属との間で金属間化合物を生成することなく、マ
トリックスの金属内に単体として分散している状態にあ
ることが好ましい。このような下層2Aを構成するマト
リックス金属と添加元素との組み合わせとしては、例え
ば、Mo−Bi,Mo−Cd,Mo−Hg,Mo−P
b;Nb−Bi,Nb−Hg,Nb−Pb;Ta−B
i,Ta−Hg,W−Bi,W−Cd,W−Ga,W−
Hg,W−In,W−Pb,W−Sb,W−Sn,W−
Zn;などを好適な組み合わせとしてあげることができ
る。
【0023】下層2Aにおける上記添加元素の含有量は
0.5〜50原子%に設定される。この含有量が0.5原子
%より少ない場合には、添加元素の前記した効果が充分
に発揮されず、開閉動作時における抵触抵抗は不安定化
する傾向を示し、また50原子%より多く含有せしめる
と、その下層2Aの電気抵抗は高くなって導電性の低下
が引き起こされる。好ましい含有量は5〜30原子%で
あり、とくに好ましくは10〜20原子%である。
【0024】また、この下層2Aの厚みは0.1μm以上
に設定される。厚みが0.1μmより薄い場合には耐摩耗
性が乏しくなり、封入接点としての満足すべき動作寿命
特性が得られなくなるからである。そして、下層2Aの
厚みの上限は、目的とする封入接点の使用条件や製造コ
ストなどの観点から適宜に決められるが、例えば後述す
る成膜法で成膜する場合に、その厚みをあまり厚くする
と、最終的に形成された接点被覆層2の表面は粗面にな
りやすく、そのため、接触抵抗の増大を招きやすくな
り、また成膜コストの上昇を招く。そのようなことか
ら、下層2Aの厚みの上限は100μmにすることが好
ましい。
【0025】この下層2Aでは、マトリックス金属に上
記添加元素が均一に含有されていてもよいし、また厚み
方向で添加元素の濃度勾配が形成されていてもよい。厚
み方向で添加元素の濃度勾配を形成する場合には、下層
2Aの表層側ほど添加元素が高濃度になるようにする。
逆に言えば、接点基材側ほどマトリックス金属は高濃度
になっているようにする。
【0026】下層内にこのような態様の濃度勾配を形成
すると、まず、接点基材1の方には、高融点,高硬度の
マトリックス金属が多量に存在するので封入接点材料と
しての強度特性は向上して接点被覆層2の構造は確保さ
れやすくなる。そして、表層側には、前記した効果を発
揮する添加元素の濃度が高いので、例えば、接点被覆層
2の表面から酸素が拡散してきたとしても、直ちに当該
酸素を捕捉する。そのため、マトリックス金属それ自体
の酸化と、その酸化反応が内部にまで進行することが抑
制され、もって開閉動作時における抵触抵抗の安定化が
一層好適に実現するからである。
【0027】このような濃度勾配は直線的であってもよ
いが、後述する成膜法で形成することを考えると、段階
的な濃度勾配の方が形成しやすい。例えば、接点基材側
の下層の部分ではマトリックス金属は51〜100原子
%(添加元素は0〜49原子%)にし、表層側の部分で
は0〜49原子%(添加元素は51〜100原子%)に
すればよい。
【0028】なお、下層2Aに添加元素の上記したよう
な濃度勾配を形成する場合でも、当該添加元素の含有量
は、平均値として、前記した0.5〜50原子%に設定さ
れなければならない。また、前記した組成を有する下層
2Aに、更に、酸素を1〜40原子%含有させると、メ
カニズムは明らかでないが、封入接点の開閉動作時に、
発生するアークの一様化,均一化が促進されるので好適
である。この場合、酸素の含有量が1原子%より少なく
なると上記した効果は乏しくなり、また40原子%より
多くなると下層2Aの電気抵抗が高くなり、導電性の低
下が引き起こされるので好ましくない。
【0029】この下層2Aは、1層であってもよいが、
複数層を積層して構成してもよい。その理由は、現在広
く採用されている各種の成膜法の場合、成膜された層内
には不可避的にピンホールが発生してくるが、そのと
き、層の厚みをある程度薄くした方が層内における発生
ピンホールの数が少なくなるからである。すなわち、複
数の薄い層を積層して下層2Aを形成すれば、全体のピ
ンホールの数は減少し、接点特性を向上させることがで
きるからである。
【0030】下層2Aを積層構造にする場合、互いに重
なり合う層は同じ材料であってもよく、また互いに異な
った材料であってもよい。後者の場合は、各層の特性を
相互補完的に機能させることも可能になるので好適であ
る。封入接点材料においては、接点基材1と下層2Aの
間に、両者の密着性を高めるために、中間層を介在させ
てもよい。その中間層の材料としては、Ag,Al,A
uまたはこれらの合金をあげることができる。これら
は、導電性が良好でまた軟質であるという点で好適であ
る。
【0031】次に、この下層2Aの上に形成される上層
2Bは、接点被覆層2の導電性を確保し、また、接点被
覆層2の表面から拡散してくる酸素によって前記下層2
Aが酸化されることを防止するために設けられ、もっ
て、封入接点の初期接触抵抗のばらつきを小さくする働
きをする。この上層2Bを構成する金属としては、例え
ば、Fe,Co,Ni,Cu,Ag,Au,Ru,R
h,Pd,Os,Ir,Ptの1種、または、Ag−A
u,Ag−Pd,Ag−Pt,Ag−Rh,Au−P
d,Au−Pt,Au−Rh,Ir−Os,Ir−P
t,Ir−Ru,Os−Pd,Os−Ru,Pd−P
t,Pd−Rh,Rd−Ru,Pt−Rh,Fe−N
i,Fe−Co,Co−Ni,Ni−Cu,Ag−C
u,Au−Cuなどの1種または2種以上をあげること
ができる。
【0032】この上層2Bの厚みは1nm以上に設定され
る。厚みが1nmより薄い場合には、上記した効果が充分
に発揮されないからである。そして、厚みの上限は格別
限定されるものではないが、封入容器に封入されたとき
の材料の相互間隔やサイズ、また成膜コストの関係から
適宜に設定すればよく、概ね、300nmであればよい。
【0033】本発明の封入接点材料は、上記した上層2
Bの表面に、意識的に厚み1nm以上の金属酸化物層3が
形成されている。この金属酸化物層3は、前記したよう
に、大気中の炭素系物質を接点被覆層に化学吸着させ
ず、物理吸着にとどめ、もって、接点動作時に、接点接
触部近傍で放電が生じないような低電力負荷範囲におけ
る接触抵抗の上昇を抑制する働きをする。
【0034】このような酸化物層は、Ru,Rh,P
b,Os,Ir,Ptのいずれか1種の酸化物の1種ま
たは2種以上で構成されている。具体的には、Ru
2,Rh23,OsO2,OsO4,IrO2,PtOな
どの1種または2種以上をあげることができる。この酸
化物層3の厚みは1nm以上に設定される。厚みが1nmよ
り薄い場合は、上記した効果が発揮されないからであ
る。また50nmよりも厚くなると導電性が悪くなって接
触抵抗の上昇を招きやすくなるので、上限は50nmにす
ることが好ましい。
【0035】この封入接点材料は次のようにして製造す
ることができる。すなわち、まず、例えばAr,Ne,
Krのような希ガスのイオンを用いたイオンボンバード
や電子シャワーによって接点基材1の表面洗浄を行い、
ついで、例えば、スパッタリング法,イオンアシスト蒸
着法,イオンプレーティング法,プラズマCVD法のよ
うな常用の物理蒸着法や化学蒸着法により、洗浄された
接点基材1の表面に所定の下層2A,上層2Bをこの順
序で形成する。
【0036】次に、酸化物層3の形成は、前記した各種
の成膜法において、反応系の雰囲気中の酸素分圧を制御
し、所定の金属または合金を酸化しながら、その酸化物
を既に形成されている上層2Bの表面に成膜すればよ
い。本発明の封入接点は、上記したようにして製造した
封入接点材料を封入容器の中に不活性ガスと一緒に封入
することにより製造される。
【0037】
【実施例】実施例1〜60,比較例1〜14 次のようにして図1で示した接点材料を製造した。ま
ず、52%Ni−Fe合金から成り、縦1mm,横1mmの
板をリードピンの接点基材として用意した。この接点基
材の表面を、アセトンを用いて5分間超音波洗浄し、更
にリン酸を用いて電解研磨して表面洗浄を行った。
【0038】ついで、接点基材を真空蒸着装置のチャン
バの中にセットし、チャンバ内を2×10-4Pa以下まで
真空排気したのち、真空ポンプのバルブを半開状態にし
て排気コンダクタンスを小さくし、チャンバ内が1×1
-1PaになるまでArガスを導入した。その後、接点基
材に−400Vの電圧を印加し、チャンバ内の高周波ア
ンテナから0.2kWの高周波を発生させ、Arイオンでイ
オンボンバード処理を行って表面を洗浄した。
【0039】ついで、チャンバ内圧が0.66Paを維持す
るようにArガスの流量を制御し、接点基材1を加熱す
ることなく、2元DCマグネトロンスパッタ法でチャン
バ内の各ターゲットを堆積速度2nm/secで接点基材1の
表面に堆積させ、表1〜4で示した組成と厚みの下層2
Aを成膜した。ついで、RFマグネトロンスパッタ法で
チャンバ内の各ターゲットを堆積速度0.5nm/secで前記
下層2Aの上に堆積させ、表1〜4で示した組成と厚み
の上層2Bを成膜した。
【0040】その後、真空チャンバ内に酸素ガスを導入
し、酸素ガスとArガスの流量を制御しながら、RFマ
グネトロンスパッタ法でチャンバ内の各ターゲットを堆
積速度0.1nm/secで前記上層2Bの上に堆積させ、表1
〜4に示した組成と厚みの酸化物層3を成膜した。得ら
れた各接点材料につき、その寿命試験を行った。
【0041】すなわち、一対の各接点材料を用いて封入
ガスがN2であるリードスイッチを製造し、室温下で、
このリードスイッチに、直流電圧5V,電流100μA
の負荷を印加しながら40AT(ampare turn)の駆動
磁界により10Hzで開閉動作を行い、障害発生までの開
閉動作の回数を調べる寿命試験、また、直流電圧100
V,電流0.5Aの負荷を印加する同様の寿命試験を行
い、それぞれの場合の障害発生までの動作回数を調べ
た。
【0042】なお、障害発生の時点とは、開閉不良が現
れた時点、またはリードスイッチの両極間の抵抗値が1
Ω以上になった時点を言う。以上の結果を一括して表1
〜4に示した。なお、表中には、参考のために、材料製
造時における製造コストの高低を併記した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】また、実施例2の接点材料を組み込んだリ
ードスイッチと比較例5の接点材料を組み込んだりリー
ドスイッチにつき、開閉動作の回数と両極間の抵抗値と
の関係を調べた。その結果を図2に示した。図2で、−
●−は実施例2の材料を組み込んだリードスイッチ,−
□−印は比較例5の材料を組み込んだリードスイッチの
場合をそれぞれ示す。
【0048】以上の結果から次のことが明らかである。 (1) 実施例の接点材料は、いずれも、5V−100
μAという接点接触部で放電が生じない低電力負荷範囲
において接触抵抗が安定しており、優れた寿命試験結果
を示している。しかも、100−0.5Aという高電力負
荷範囲においても、例えば比較例10〜16の材料と同
等の寿命試験結果を示している。
【0049】(2) そして、実施例1〜60と比較例
1〜4を対比して明らかなように、接点被覆層は同じよ
うな構成であっても、比較例1〜4のように酸化物層の
厚みが1nmより薄くなると、高電力負荷範囲における寿
命試験の結果は良好であっても低電力負荷範囲における
寿命試験の結果は大幅に悪くなっている。このようなこ
とから、酸化物層の厚みは1nm以上に設定すべきことが
わかる。
【0050】(3) また、例えば実施例2と比較例1
1〜14を対比して明らかなように、実施例2の場合は
高価なRuの使用量が大幅に少ないにもかかわらず、低
電力負荷範囲における寿命試験の結果は略同等であり、
しかも高電力負荷範囲における寿命試験の結果は大幅に
優れたものになっている。
【0051】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
封入接点材料は、接点接触部近傍で放電が生じる高電力
負荷範囲における接触抵抗が安定しているとともに、接
点接触部近傍で放電が生じない低電力負荷範囲における
接触抵抗も安定しており、その接点動作寿命特性が非常
に優れている。
【0052】しかも、従来は接点材料としてはあまり用
いられていなかったMo,Zr,Nb,Hf,Ta,W
などを有効に使用し、しかもRh,Ru,Ptなどの高
価な材料の使用量が少なく、製造コストは低減するの
で、その工業的価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の封入接点材料を示す断面図である。
【図2】実施例2と比較例5の接点材料を組み込んだリ
ードスイッチにおける開閉動作の回数と両極間の抵抗値
との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 接点基材 2 接点被覆層 2A 接点被覆層2を構成する下層 2B 接点被覆層2を構成する上層 3 金属酸化物層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 泰和 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接点基材の表面が、Mo,Zr,Nb,
    Hf,Ta,Wの群から選ばれる少なくとも1種をマト
    リックスとし、前記マトリックスに、Zn,Cd,H
    g,Al,Ga,In,Tl,Ge,Sn,Pb,A
    s,Sb,Biの群から選ばれる少なくとも1種が0.5
    〜50原子%含まれている材料から成り、かつ、厚みが
    0.1μm以上である少なくとも1層の下層と、Fe,C
    o,Ni,Cu,Ag,Au,Ru,Rh,Pd,O
    s,Ir,Ptの群から選ばれる少なくとも1種から成
    り、かつ、厚みが1nm以上である上層とを有する積層構
    造の接点被覆層で被覆されている封入接点材料におい
    て、 前記接点被覆層の表面が、Ru,Rh,Pd,Os,I
    r,Ptの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物から
    成り、かつ厚みが1nm以上である層で被覆されているこ
    とを特徴とする封入接点材料。
  2. 【請求項2】 請求項1の封入接点材料が不活性ガスと
    ともに封入容器に封入されていることを特徴とする封入
    接点。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100390913C (zh) * 2006-03-02 2008-05-28 乐百令 三复合电触头制造工艺
JP2010232681A (ja) * 2003-10-14 2010-10-14 Olin Corp 耐フレッチング性及び耐ウィスカー性の被覆装置及び方法
RU2629954C2 (ru) * 2015-12-28 2017-09-05 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Рязанский государственный радиотехнический университет" Градиентное защитное покрытие

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JP2010232681A (ja) * 2003-10-14 2010-10-14 Olin Corp 耐フレッチング性及び耐ウィスカー性の被覆装置及び方法
CN100390913C (zh) * 2006-03-02 2008-05-28 乐百令 三复合电触头制造工艺
RU2629954C2 (ru) * 2015-12-28 2017-09-05 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Рязанский государственный радиотехнический университет" Градиентное защитное покрытие

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