JPH11125331A - 車両用油圧式無段変速機のリリーフ圧制御装置 - Google Patents

車両用油圧式無段変速機のリリーフ圧制御装置

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JPH11125331A
JPH11125331A JP29191397A JP29191397A JPH11125331A JP H11125331 A JPH11125331 A JP H11125331A JP 29191397 A JP29191397 A JP 29191397A JP 29191397 A JP29191397 A JP 29191397A JP H11125331 A JPH11125331 A JP H11125331A
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hydraulic
control
relief pressure
pressure
pump
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Application number
JP29191397A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Katagiri
好浩 片桐
Shigeru Morimoto
茂 森本
Akihito Okuda
昭仁 奥田
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 運転状況に応じて発生する様々な異常高圧を
効果的に除去でき、スムーズな動力伝達を可能にする。 【解決手段】 油圧リリーフ装置が、油圧ポンプ24と
油圧モータ25とを繋ぐ油圧閉回路を構成する第1およ
び第2油路26a,26bのうち、エンジンにより駆動
される状態のときに高圧となる駆動側油路のリリーフ油
圧を制御する駆動側リリーフ圧制御バルブ75Fと、油
圧ポンプ斜板角度センサと、エンジンスロットル開度セ
ンサ検出手段とを有する。さらに、理論的に発生し得る
最大駆動側リリーフ圧を油圧ポンプ効率を加味して油圧
ポンプの斜板角およびエンジンスロットル開度に対応し
て求めたデータを記憶したメモリを有し、駆動側リリー
フ圧制御バルブは、ポンプ斜板角およびスロットル開度
に対応する最大駆動側リリーフ圧を読み出し、これを最
大駆動側リリーフ圧としてリリーフ圧制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可変容量型の油圧
ポンプと油圧モータとから構成され、エンジンにより油
圧ポンプを駆動するとともに油圧ポンプからの吐出油に
より油圧モータを駆動し、油圧モータにより車両を駆動
するようになった車両用油圧式無段変速機に関し、さら
に詳しくは、この油圧式無段変速機における油圧閉回路
内のリリーフ圧を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】可変容量タイプの油圧ポンプと油圧モー
タの組み合わせからなる油圧式無段変速機は従来から種
々提案されている。なおこのような可変容量タイプのポ
ンプ、モータとしては斜板プランジャ式のポンプ、モー
タが良く知られている。さらに、動力伝達効率の向上な
どを目的として、油圧ポンプ、モータからなる動力伝達
機構と並列に、機械的な動力伝達を行う機構を設けた油
圧式無段変速機(いわゆる、ハイドロメカニカルタイプ
の無段変速機)も知られている(例えば、特開昭62−
147148号公報参照)。なお、油圧ポンプおよびモ
ータのみからなる無段変速機は、一般的に、ハイドロス
タティックタイプの無段変速機と称されているが、ここ
では両タイプを総称して油圧式無段変速機と称する。
【0003】このような油圧式無段変速機においては、
油圧モータの出力トルクが車輪に伝達されて車両の駆動
がなされのであるが、この駆動トルクは油圧ポンプと油
圧モータを接続して構成される油圧閉回路内の油圧に対
応しており、この油圧はエンジン(エンジン)により回
転駆動される油圧ポンプの吐出油により発生する。この
ことに鑑みれば、油圧閉回路内の発生油圧を制御すれ
ば、油圧ポンプおよび油圧モータ間での伝達トルク制
御、油圧モータから車輪に伝達される駆動トルク制御等
を適正に行うことができることが分かる。例えば、特公
平4−27427号公報には、油圧閉回路を構成する二
つの油路のうち、エンジンにより油圧ポンプを駆動して
いる状態で高圧となる油路の油圧を、エンジン回転に応
じて制御し、これとは逆に減速走行時のように車輪側か
ら駆動を受けてエンジンブレーキ作用がなされるときに
高圧となる油路の油圧を、車速に応じて制御することが
開示されている。
【0004】なお、上記公報に記載の油圧式無段変速機
は固定容量ポンプと可変容量モータとの組み合わせによ
り構成されるものであり、エンジンが駆動するポンプ容
量は一定であるためエンジン回転に対応したリリーフ圧
制御を行い、スムーズな発進制御を可能としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、油圧閉回路
内のリリーフ圧を制御することは、エンジンに駆動され
た油圧ポンプからの吐出油が瞬間的に異常に高くなる
(すなわち、サージ圧が発生する)ようなことを防止
し、油圧モータから衝撃的なトルクが出力されるのを防
止するという目的も有している。このような目的を考え
た場合、上記従来のリリーフ圧制御では、状況に応じて
発生し得る様々な異常高圧を効果的に防止することは難
しい。
【0006】本発明はこのような事情に鑑みたもので、
各種の運転状況に応じて発生する様々な異常高圧を効果
的に除去でき、スムーズな動力伝達を可能とする油圧式
無段変速機のリリーフ圧制御装置を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的達成のた
め、本発明のリリーフ圧制御装置は、油圧ポンプと油圧
モータとを繋ぐ油圧閉回路を構成する第1および第2油
路のうち、エンジンにより駆動される状態のときに高圧
となる駆動側油路のリリーフ圧を制御する駆動側リリー
フ圧制御手段と、油圧ポンプの容量を検出する容量検出
手段と、エンジンのスロットル開度検出手段と、エンジ
ン出力に応じて求められる目標リリーフ圧をポンプ容量
とスロットル開度とに応じて予め定められたポンプ効率
に基づいて補正し、補正目標リリーフ圧を駆動側目標リ
リーフ圧として設定する駆動側目標リリーフ圧設定手段
とから構成される。そして、駆動側リリーフ圧制御手段
は、駆動側油路のリリーフ圧を、油圧ポンプの容量およ
びエンジンスロットル開度に対応して駆動側目標リリー
フ圧設定手段により設定される駆動側目標リリーフ圧と
するようにリリーフ圧制御を行う。
【0008】エンジン出力を受けて駆動された油圧ポン
プの吐出油により油圧閉回路内に発生する最大油圧はエ
ンジン出力および油圧ポンプの容量に対応し、エンジン
出力が大きいほど高くなり、油圧ポンプの容量が大きい
ほど低くなる。この場合、エンジン出力を油圧ポンプに
与えたときに発生し得る最大駆動側リリーフ圧を油圧ポ
ンプ効率を加味して油圧ポンプの斜板角およびエンジン
スロットル開度に対応して予め求めておくことが可能で
ある。このため、本発明では、上記のように駆動側目標
リリーフ圧設定手段により、ポンプ効率を加味するとと
もに油圧ポンプ容量とスロットル開度に対応する駆動側
目標リリーフ圧を設定し、これをリリーフ圧として高圧
リリーフ制御を行う。これにより、どのような運転状態
においても、異常な(サージ的な)駆動トルクが作用し
た場合等に発生する油圧ポンプの吐出油圧のサージ圧的
な部分を駆動側リリーフ圧制御手段によりカットでき、
油圧ポンプおよびモータ間の滑らかなトルク伝達が可能
となる。
【0009】なお、駆動側目標リリーフ圧設定手段にお
いて、エンジン出力を油圧ポンプに与えたときに発生し
得る最大駆動側リリーフ圧を、油圧ポンプの効率を加味
して車速およびエンジンスロットル開度に対応して設定
し、駆動側リリーフ圧制御手段は、車速とスロットル開
度に対応して駆動側目標リリーフ圧を駆動側目標リリー
フ圧設定手段により設定し、駆動側油路のリリーフ圧を
この駆動側目標リリーフ圧とするようにリリーフ圧制御
を行うようにすることもできる。この場合においても、
上記の場合と同様にサージ的なトルクを吸収してスムー
ズな動力伝達が可能となる。
【0010】ところで、エンジンの駆動トルクを一定と
した場合に、油圧閉回路内に発生する最大油圧は油圧ポ
ンプの容量が小さくなるのに応じて高くなり、この容量
が零となる近傍では最大油圧は理論的には無限大とな
る。このようなリリーフ圧設定を行ったのでは、閉回路
内の油圧が過度に高圧となり、装置がダメージを受ける
おそれがある。このため、駆動側目標リリーフ圧を油圧
閉回路を構成する部材に許容される最大許容油圧を越え
ないように設定するのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る車両用油圧式
無段変速機の好ましい実施形態について説明する。
【0012】
【変速機の構成】図1に無段変速機Tの構成を示すが、
この図から分かるように、本例では変速機TはFF駆動
方式もしくはRR駆動方式として用いられる。無段変速
機Tは、いわゆるハイドロメカニカル式無段変速機であ
り、機械伝動ユニット1とハイドロスタティック式無段
変速ユニット2とを組み合わせて構成される。この無段
変速機Tを駆動するエンジンEは、機械伝動ユニット1
を挟むようにして無段変速ユニット2と反対側に配設さ
れている。
【0013】機械伝動ユニット1は、動力分割装置3、
動力伝達装置4、終減速装置5を第1ケーシング1c内
に配設して構成される。動力分割装置3は、エンジンE
の出力軸7とトルクダンパ8を介して接続された変速機
入力軸9と、この入力軸9に直結されたキャリア11
と、このキャリア11に対向するとともに入力軸9と同
軸に延びたポンプ入力軸10とを有する。さらに、キャ
リア11には入力軸9の周りを公転する位置に複数のピ
ニオン軸12が一体に設けられ、これら各ピニオン軸1
2の上には、一体結合された大小一対のビニオンギヤ1
3,14が回転自在に配設されている。ポンプ入力軸1
0には大径ピニオン13と噛合する小径サンギヤ15が
結合配設されており、さらに、小径ピニオン14と噛合
する大径サンギヤ16がポンプ入力軸10の上に回転自
在に配設されている。
【0014】大径サンギヤ16と一体結合した中間ドラ
イブギヤ18がポンプ入力軸10の上に回転自在に配設
され、この中間ドライブギヤ18と噛合する中間ドリブ
ンギヤ19がモータ出力軸17に結合して配設されてい
る。なお、これらドライブおよびドリブンギヤ18,1
9により動力伝達装置4が構成されている。モータ出力
軸17にはファイナルドライブギヤ20も結合されてお
り、ディファレンシャル機構22を内蔵するファイナル
ドリブンギヤ21がこのファイナルドライブギヤ20と
噛合し、これにより終減速装置5が構成されている。デ
ィファレンシャル機構22からは左右の車輪駆動軸23
L,23Rが延びており、これら駆動軸23L,23Rを介
して左右の車輪(図示せず)に駆動力が伝達され、車両
が駆動される。
【0015】無段変速ユニット2は、可変斜板プランジ
ャタイプの油圧ポンプ24、可変斜板プランジャタイプ
の油圧モータ25およびこれらを相互に連通する油圧閉
回路26を形成した制御盤27から構成される。制御盤
27は機械伝動ユニット1の側部に接合配設されてお
り、ポンプ入力軸10およびモータ出力軸17を回転自
在に支持する。このため、制御盤27は、機械伝動ユニ
ット1と油圧ポンプ24および油圧モータ25との間に
配置される。
【0016】油圧ポンプ24は、ポンプ入力軸10と同
軸に連結されるとともに制御盤27のバルブプレート面
27aに回転摺接自在に配設されたポンプシリンダ28
と、このポンプシリンダ28の回転軸を囲む環状配列で
形成された複数のシリンダ孔29に摺動自在に嵌合挿入
された複数のポンププランジャ30と、各ポンププラン
ジャ30の先端に首振り自在に取り付けられたシュー3
1が摺動可能に当接する可変揺動可能なポンプ斜板32
とを備えて構成されている。すなわち、この油圧ポンプ
24は、可変容量タイプの斜板プランジャポンプであ
る。
【0017】ポンプ斜板32はポンプ入力軸10に直交
する(図1における紙面に直交する)トラニオン軸33
を中心として揺動可能であり、図において実線で示すよ
うにポンプ入力軸10と直交する直立位置(このときポ
ンプ斜板角α=0)と、二点鎖線で示すように左右に揺
動傾斜した所定の左右各最大傾斜位置(α=αR(MAX),
αF(MAX))との間で揺動し得るようになっており、これ
によりポンプシリンダ28が回転されたときにおけるポ
ンププランジャ30の往復ストロークが変化する。直立
位置でポンプ入力軸10がエンジンEにより回転駆動さ
れても、往復ストロークは零でポンプ吐出油量は零であ
り、最大傾斜位置に向かって揺動角を増加させるに応じ
て往復ストロークが増加してポンプ吐出量が増加する。
なお、左右いずれに傾斜するかによって吐出方向が逆転
し、後述するように、この傾斜方向により車両の前後進
方向が決まる。
【0018】油圧モータ25は、モータ出力軸17と同
軸に連結されるとともに制御盤27のバルブプレート面
27aに回転摺接自在に配設されたモータシリンダ34
と、このモータシリンダ34の回転軸を囲む環状配列で
形成された複数のシリンダ孔35に摺動自在に嵌合挿入
された複数のモータププランジャ36と、各モータプラ
ンジャ36の先端に首振り自在に取り付けられたシュー
37が摺動可能に当接する可変揺動可能なモータ斜板3
8とを備えて構成されている。すなわち、この油圧モー
タ25は、可変容量タイプの斜板プランジャモータであ
る。
【0019】モータ斜板38はモータ出力軸17に直交
する(図1における紙面に直交する)トラニオン軸39
を中心として揺動可能であり、図において二点鎖線で示
すようにモータ出力軸17と直交する直立位置(モータ
斜板角β=0)と、実線で示すように右方に揺動傾斜し
た所定の最大傾斜位置(β=β(MAX))との間で揺動し
得るようになっている。
【0020】上記油圧ポンプ24および油圧モータ25
を収容する第2ケーシング2cは制御盤27及び機械伝
動ユニット1が収容される第1ケーシングに結合され
る。
【0021】
【変速機の作動】以上の構成の無段変速機の作動を説明
する。エンジンEが駆動されると、その出力軸7からト
ルクダンパ8を介して変速機にエンジン出力が伝達さ
れ、変速機入力軸9およびキャリア11がエンジン出力
軸7と同一の速度で回転駆動される。キャリア11が回
転駆動されると、エンジン動力は大小径ピニオン13,
14を介して小径および大径サンギヤ15,16に分割
して伝達される。
【0022】このような動力の分割は、油圧ポンプ24
および油圧モータ25の斜板角に応じて異なるので、両
斜板角α,βと変速機の総合速度比eとの関係を図2に
示し、この図を参照して説明する。なお、総合速度比e
は変速機Tの入出力回転数の比であり、式(1)により
求められる。また、図2における縦軸がポンプおよびモ
ータ斜板角度を表し、プラス側が右方向揺動、マイナス
側が左方向揺動を意味する。横軸は総合速度比eを表
し、プラス側が前進方向の速度比、マイナス側が後進方
向の速度比を意味する。図において実線がポンプ斜板角
を示し、破線がモータ斜板角を示す。
【0023】
【数1】 総合速度比e=(No)/(Ni) ・・・(1) 但し、Ni : 変速機入力軸9の回転速度 No : ファイナルドリブンギヤ21の回転速度
【0024】ここでポンプ斜板32が直立位置(α=
0)にあり、モータ斜板38が最大揺動位置(β=β(M
AX))にあるときには、ポンプシリンダ28はフリー回
転可能で吐出が零となり、モータシリンダ34は油圧ポ
ンプ24からの供給油がないため油圧的にロックした状
態となり固定保持される。このため、大径サンギヤ16
および中間ドライブギヤ18が静止した状態で、キャリ
ア11の回転に応じて小径サンギヤ15(およびこれに
繋がるポンプ入力軸10とポンプシリンダ28)が自由
に回転し、エンジン出力は空転消費され、左右車輪駆動
軸23L,23Rには伝えられない。この状態は図2に
おける縦線aで示す状態であり、総合速度比e=0であ
り、変速機Tは無限大の変速比の状態となる。
【0025】但し、この中立状態はシフトレバー(運転
席において運転者が操作するシフトレバー)ポジション
がD,Rレンジのように走行レンジにあるときに設定さ
れる状態である。シフトレバーがPもしくはNレンジ位
置にあるときには、モータ斜板角β=0として、モータ
シリンダ34もフリー回転可能な状態を作り出す制御が
行われる。
【0026】この状態からポンプ斜板32を右方向に揺
動させると、この揺動に応じて油圧ポンプ24から作動
油の吐出が開始され、この吐出作動油が油圧モータ25
に供給されて油圧モータ25のモータ出力軸17(およ
びモータシリンダ34)が駆動される。なお、このとき
の回転駆動力がモータ出力軸17から左右の車輪駆動軸
23L,23Rを介して車輪に伝達されると車輪は前進方
向に駆動されるようになっている。モータ出力軸17の
回転速度はポンプ斜板角αが大きくなるのに応じて増加
し、これが最大斜板角αF(MAX)となると図2の縦線bで
示す状態となる。このため、総合速度比eは、零(縦線
a)から、e1(縦線b)まで増加する。但し、このよ
うにモータ出力軸17の回転が増加するとき、小径ピニ
オン14、大径サンギヤ16、中間ドライブギヤ18お
よび中間ドリブンギヤ19を介して(動力伝達装置を介
して)機械的な動力伝達が同時に行われ、それに対応し
てポンプ入力軸10の回転は減少する。
【0027】ポンプ斜板角が最大斜板角αF(MAX)となる
と(縦線bの状態に達すると)、次に、モータ斜板角β
が最大角から徐々に小さくなるように揺動される。これ
によりモータ出力軸17の回転速度が縦線bの状態から
さらに増加し、モータ斜板角βが零(直立位置)となっ
た時点で最大となる(縦線cの状態であり、このとき総
合速度比e2となる)。
【0028】但し、上述のように、このようにモータ出
力軸17の回転速度が増加するのに応じて動力伝達装置
4を介して行われる機械的な動力伝達も増加し、ポンプ
入力軸10の回転は減少し、モータ斜板角βが零(直立
位置)となった時点でポンプ入力軸10(およびポンプ
シリンダ28)の回転が零となるように、動力分割装置
3および動力伝達装置4のギヤ比が設定されている。な
お、モータ斜板角βが零(直立位置)となった時にはモ
ータシリンダ34はフリー回転可能な状態となり、且つ
ポンプシリンダ28は油圧ロック状態となり静止保持さ
れる。このため、この状態(縦線cの状態)では動力伝
達装置4により機械的な動力伝達のみが行われる。
【0029】一方、縦線aの状態からポンプ斜板32を
左方向に揺動させると、油圧ポンプ24から作動油が油
圧閉回路26において上記と逆方向に吐出される。この
ため、この作動油の供給により油圧モータ25のモータ
出力軸17(およびモータシリンダ34)が上記と逆方
向(後進方向)に駆動される。モータ出力軸17の回転
速度はポンプ斜板角αが大きくなるのに応じて増加し、
これが最大斜板角αR(MAX)となると図2の縦線dで示す
状態となる。このため、総合速度比eは、零(縦線a)
から、e3(負の値)まで変化する。
【0030】
【動力伝達用油圧閉回路】上記油圧式無段変速ユニット
2における油圧閉回路26およびその制御油圧回路系に
ついて図3を参照して説明する。この図においては油圧
ポンプ24および油圧モータ25を記号化して表してお
り、油圧ポンプ24の一方のポート24bと油圧モータ
25の一方のポート25aとを繋ぐ第1油路26aと、
油圧ポンプ24の他方のポート24aと油圧モータ25
の他方のポート25bとを繋ぐ第2油路26bとから油
圧閉回路26が構成される。
【0031】前述のように、油圧ポンプ24のポンプ斜
板32は直立位置(中立位置)を中心として左右に揺動
可能であり、これを右方向(前進方向)に揺動させると
ポート24aから吸入した作動油をポート24bから吐
出し、油圧モータ25のポート25aに供給して油圧モ
ータ25を前進方向に回転駆動する。駆動後は作動油は
ポート25bから排出されてポート24aに供給され、
閉回路26内を循環される。このとき、油圧モータ25
の回転駆動により車輪を駆動しているのであれば、第1
油路26a内の油圧が駆動力に対応した高圧となり、第
2油路26b内の油圧が低圧となる。一方、コースティ
ング走行を行っているときのように、車輪の回転をエン
ジンブレーキ作用により減速する状態の場合には、第2
油路26b内の油圧がエンジンブレーキ力に対応した高
圧となり、第1油路26a内の油圧が低圧となる。
【0032】なお、ポンプ斜板32を左方向(後進方
向)に揺動させると、上記と全く逆の作動油の流れが発
生して、油圧モータは後進方向に回転駆動される。この
ときの第1および第2油路26a,26b内の油圧も上
記と逆関係となる。
【0033】上記のように油圧ポンプ、モータ間で駆動
力伝達が行われるのであるが、油圧閉回路26内を循環
される作動油は動力伝達に応じて発熱して油温が上昇
し、ゴミなどが溜まり、且つ一部はプランジャの隙間等
を通ってタンク内に漏れ出すため、油圧閉回路内の作動
油の一部を交換して作動油の冷却、補給、および清浄化
(フラッシング)を行うようになっている。そのため、
オイルタンク41内の作動油をサクションフィルター4
2を介して第1ライン100に供給するチャージポンプ
43が配設されている。なお、チャージポンプ43はエ
ンジンEにより直接駆動されるものであり、エンジン回
転数に比例した吐出量となる。
【0034】チャージポンプ43から第1ライン100
に吐出された作動油は、レギュレータバルブ60により
調圧されて所定のライン圧PLとなる。第1ライン10
0は図示のように分岐されており、分岐第1ライン10
0aには減圧バルブからなるモジュレータバルブ65が
繋がっており、このモジュレータバルブ65の出力側に
繋がる第2ライン101の油圧を所定のモジュレート圧
Pmに調圧する。このモジュレータバルブ65の構成を
図5に示しており、ハウジング内にスプリング67によ
り左方に付勢された状態でスプール66を配設して構成
される。ポート65aに繋がる分岐第1ライン100a
の作動油圧が、スプリング67の押力と制御ライン10
1の油圧力とがバランスする油圧(一定油圧)まで減圧
されて制御ライン101内にモジュレート圧Pmが作り
出される。なお、図における×印はドレンに繋がること
を意味する。
【0035】第2ライン101も複数に分岐しており、
分岐第2ライン101aには第1リニアソレノイドバル
ブ51が繋がる。第1リニアソレノイドバルブ51は制
御電流(I)に基づいてモジュレート圧Pmを調圧し、
図6に示すように制御電流(I)に比例する制御圧PCL
を制御ライン110を介してレギュレータバルブ60に
作用させる。
【0036】レギュレータバルブ60の構成を図4に示
しており、図において左右に摺動するスプール61と、
このスプール61を左方に付勢するスプリング62と
を、ハウジング内に配設して構成される。ハウジングに
は図示のように複数のポート60a〜60eが設けられ
ており、ポート60a,60bが第1ライン100に繋
がり、ポート60cがチャージライン130に繋がり、
ポート60dが排出ライン131に繋がり、ポート60
eが上記制御ライン110に繋がる。
【0037】このため、スプール61は内部連通孔61
aを介して左端部に第1ライン100からのライン圧P
L を受け、右端にはスプリング62の付勢力と制御圧P
CLを受ける。上述のように制御圧PCLは第1リニアソレ
ノイドバルブ51により調圧可能であるため、第1リニ
アソレノイドバルブ51に通電される制御電流(I)を
制御することによりライン圧PL を図7に示すように制
御可能である。レギュレータバルブ60においてはこの
ようにしてライン圧PL の調圧が行われるが、このと
き、余剰油はスプール61が右動してまずボート60c
側がポート60a側と連通してチャージライン130に
流れ、さらに余剰油があるときにはポート60d側がポ
ート60b側と連通して排出ライン131に排出され
る。
【0038】チャージライン130は、図3に示すよう
に、第1および第2油路26a,26bに繋がるチャー
ジ供給ライン105a,106aと、チェックバルブ4
4a,44bを介して繋がっている。このため、チャー
ジライン130に流れる作動油は、チャージライン13
0からいずれかのチェックバルブ44a,44bを介し
て第1および第2油路26a,26bのうちの低圧側の
油路に供給され、これにより油圧閉回路26内への作動
油の補給が行われる。
【0039】また、排出ライン131に排出された作動
油は、オイルクーラー151により冷却された後、潤滑
部152を通ってタンク41に戻される。
【0040】図3に示すように、油圧閉回路26を構成
する第1および第2油路26a,26bにはそれぞれチ
ャージ排出ライン105b,106bが繋がっており、
これら排出ライン105b,106bにはシャトルバル
ブ70が接続されている。シャトルバルブ70の構成を
図8に示しており、ハウジング内に左右に摺動自在に配
設されたスプール71と、このスプール71を左右から
付勢する一対のスプリング72,73とから構成され
る。
【0041】両排出ライン105b,106bの油圧は
それぞれスプール71の右端および左端に作用するよう
になっており、第1および第2油路26a,26bのい
ずれか一方が高圧で他方が低圧となると、スプール71
は高圧側の押圧力により押されて移動する。これにより
ポート70a,70bのうちの低圧側の作動油を受ける
側がポート70c側と連通し、低圧側の油路の作動油が
排出ライン132に排出される。これにより、油圧閉回
路26内の作動油の補給分に対応する量の作動油が排出
され、作動油の冷却、フラッシング等が行われる。但
し、この排出ライン132には低圧リリーフバルブ74
が設けられており、低圧側の油路の油圧はこのリリーフ
バルブ74により設定される。なお、排出ライン132
に排出された作動油もオイルクーラー151で冷却され
た後、潤滑部152を通ってタンク41に戻される。
【0042】この油圧閉回路26には、さらに、第1お
よび第2油路26a,26b内の最大油圧を設定する高
圧リリーフバルブ75F,75Rがリリーフライン10
5c,106cを介して接続配設されている。これら高
圧リリーフバルブはその構成が同一なので、一方のバル
ブ75Fを例にして図9を参照して説明する。
【0043】このバルブ75Fはハウジング内に二つの
独立したスプール76,77を有し、第1スプール76
は第1スプリング79aにより右方に付勢されており、
この付勢力により右動されるとポート75aとポート7
5bとを遮断し、この付勢力に抗して左動されると両ポ
ート75a,75bを連通させる。ポート75aはリリ
ーフライン105cを介して第1油路26aと連通し、
ポート75bは分岐チャージライン130aと連通す
る。第1スプール76にはオリフィス76aが設けられ
ており、ポート75aに作用する第1油路26aの油圧
は定常状態においては第1スプール76の左右両側に作
用し、第1スプリング79aの付勢力を受けて第1スプ
ール76は右動した状態となる。
【0044】一方、第2スプール77は第2スプリング
79bにより左方に付勢されている。第2スプリング7
9bは右端部において閉塞弁部材78を右方に付勢して
おり、これにより閉塞弁部材78は、第1スプール79
aの挿入空間と連通するとともにオリフィスを有した連
通路79cを閉塞する。第2スプール77の左端部が対
向するポート75cは制御ライン107を介して第2リ
ニアソレノイドバルブ52と繋がっている。第2リニア
ソレノイドバルブ52は分岐ライン100bからのライ
ン圧PL を調圧して制御電流に応じた制御油圧PCHを制
御ライン107に供給するものであり、これにより第2
スプール77の左端に作用する油圧力を第2リニアソレ
ノイドバルブ52の制御電流に基づいて制御することが
できる。
【0045】この高圧リリーフバルブ75Fにおいて、
閉塞弁部材78には、右方向から第1油路26a内の油
圧が作用し、左方向から第2スプリング79bの付勢力
が作用する。ところで、第2スプリング79bは左端部
が第2スプール77に当接しており、制御ライン107
からの制御油圧PCHにより押圧力が加算された付勢力と
なる。このことから分かるように、第2リニアソレノイ
ドバルブ52により制御油圧PCHを制御すれば、閉塞弁
部材78を右方向に押圧する力を制御することができ
る。
【0046】このような右方向への押圧力を受けて閉塞
弁部材78は連通路79cを閉塞しているが、連通路7
9cに作用する第1油路26a内の油圧がこの押圧力よ
り高くなると閉塞弁部材78は左動されて連通路79c
をドレンに連通させる。これにより第1スプール76の
オリフィス76aを通る油の流れが生じて第1スプール
76の左右に油圧差が発生し、第1スプール76は左動
され、ポート75aと75bとが連通する。この結果、
第1油路26a内の作動油は分岐チャージライン130
aに排出され、チェックバルブ44bを介して第2油路
26bに送られる。
【0047】すなわち、第1油路26a内の油圧が所定
圧以上となると、閉塞弁部材78が開放されて第1スプ
ール76が左動し、第1油路26a内の作動油が低圧側
の第2油路26bに排出され、第1油路26a内の油圧
を所定圧以下に保持する。なお、第2油路26b内の油
圧が高圧の場合には、他方の高圧リリーフバルブ75R
により低圧側となる第1油路26aに排出され、第2油
路26b内が所定圧以上となるのが抑制される。このよ
うに高圧リリーフバルブ75F,75Rにより第1およ
び第2油路26a,26b内の油圧が所定圧以上となる
のを防止するのであるが、この所定圧は上記説明から分
かるように、第2および第3リニアソレノイドバルブ5
2,53の電流制御により可変設定可能である。なお、
本例では、図10に示すように、制御電流(I)に比例
して、高圧リリーフ圧(PHF,PHR)を可変設定可能で
ある。
【0048】本例の油圧ポンプ24および油圧モータ2
5の制御盤27のバルブプレート面27aには、それぞ
れ図11に示すような形状のバルブ板が形成されてい
る。なお、油圧ポンプおよび油圧モータのバルブ板はサ
イズ等は異なるが基本形状およびその役割は同一なの
で、油圧ポンプ24のバルブ板150を例にして図11
を参照しながら説明する。
【0049】油圧ポンプ24においてはポンプシリンダ
28の端面がバルブ板150と摺接しながらエンジン駆
動により図における矢印A方向(時計回り)に回転す
る。ここで、ポンプ斜板32が前進側に傾動されるとポ
ンプシリンダ28の回転に応じてポンププランジャ30
はシリンダ孔内で往復動される。このとき、ポンププラ
ンジャ30は、図11における下端において上死点(T.
D.C.)に位置し、上端において下死点(B.D.C.)に位置
し、左半分における上死点から下死点まで移動する行程
では油の吸入を行い、右半分における下死点から上死点
まで移動する行程では油の吐出を行う。
【0050】このため、バルブ板150の左半分には第
2油路26bに繋がる半円形状の第1ポート151が形
成され、右半分には第1油路26aに繋がる半円形上の
第2ポート152が形成されている。ここで、第1ポー
ト151の回転方向入口側および第2ポート152の回
転方向入口側には、ポンプシリンダ28の回転に応じて
各シリンダ孔29が各ポート151,152と連通を開
始するときの急激な油圧変化を抑えるためのメインノッ
チ151a,152aが入口側に向かって延びて形成さ
れている。さらに、これらメインノッチ151a,15
2aに並んでサブノッチ153,154が図示のように
独立して形成されている。
【0051】サブノッチ153,154はメインノッチ
151a,152aおよび両ポート151,152から
は離れて独立しているため、このままでは、ノッチとし
ての役割は果たさない。しかしながら、サブノッチ15
3,154は図において破線で示すように、それぞれ短
絡油路155a,155bおよび156a,156bを
介して吸入および第2ポート151,152と連通して
いる。但し、両短絡路にはそれぞれ可変ノッチバルブ8
0A,80Bが設けられており、この短絡油路の連通・
遮断を制御する。
【0052】可変ノッチバルブ80A,80Bは同一構
成であり、図12に示すように構成される(この図では
可変ノッチバルブ80Aを例にして示している)。この
バルブ80Aは、ハウジング内に左右に摺動自在に配設
されたバルブスプール81と、このバルブスプール81
を右方に付勢するスプリング82と、バルブスプール8
1の左端部に摺動自在に嵌合する支持スプール83とか
ら構成される。ハウジングには、短絡油路155aと連
通する第1ポート80aと、短絡油路155bと連通す
る第2ポート80bと、制御ライン102と連通する第
3ポート80cが設けられている。バルブスプール81
がスプリング82に付勢されて図示のように右動した状
態では、スプール81の右端により第1および第2ポー
ト80a,80b間が遮断され、バルブスプール81が
左動されると両ポート80a,80bが連通する。な
お、第1ポート80aに作用する油圧はスプール81内
の小孔81aを介して支持スプール83との間の空間8
4にも作用するため、バルブスプール81がこの油圧に
よりスラスト力を受けることがない。
【0053】制御ライン102は、図3に示すように、
オリフィス45aを介して分岐第2ライン101bと繋
がるとともに、開閉制御ソレノイドバルブ45と繋が
る。開閉制御ソレノイドバルブ45は制御ライン102
をドレンに開放可能なバルブであり、これをドレンに開
放させることにより制御ライン102内を低圧にする。
一方、開閉制御ソレノイドバルブ45により制御ライン
102がドレンから遮断されるときには制御ライン10
2内には分岐第2ライン101bからのモジュレート圧
Pmが発生する。
【0054】開閉制御ソレノイドバルブ45により制御
ライン102が低圧に保持された状態では、可変ノッチ
バルブ80A内において、バルブスプール81はスプリ
ング82に付勢されて右動して短絡油路155a,15
5b間は遮断される。このため、このときにはサブノッ
チ153は作用しない。一方、開閉制御ソレノイドバル
ブ45により制御ライン102にモジュレート圧Pmが
発生すると、この油圧によりバルブスプール81は左動
されて短絡油路155a,155bが連通し、サブノッ
チ153が使用可能となる。
【0055】なお、ここでは、可変ノッチバルブ80A
について説明したが可変ノッチバルブ80Bについても
同様の制御が同時に行われる。また、油圧モータ25に
ついても同様のサブノッチが設けられており、開閉制御
ソレノイドバルブ46により制御ライン103内の油圧
を可変設定して可変ノッチバルブ80C,80Dの作動
を制御し、サブノッチの使用制御がなされる。
【0056】
【斜板角制御系】次に、ポンプ斜板32およびモータ斜
板38の揺動角制御系について、図13を参照して説明
する。この制御は分岐第1ライン100dからのライン
圧PL と、分岐第2ライン101cからのモジュレート
圧Pmとを用いて行われる。なお、図3および図13の
丸囲み記号aおよびb同士がそれぞれ接続していること
を意味する。
【0057】ポンプ斜板32の揺動を行わせるために、
一対のサーボシリンダ92a,92bが図示のように設
けられており、これらが摺合配設されたサーボシリンダ
孔91a,91bには、サーボ制御ライン121,12
2を介してポンプコントロールバルブ84が繋がる。こ
のバルブ84は四方弁からなり、スプール85の位置に
応じて分岐第1ライン100dからのライン圧PL をサ
ーボ制御ライン121,122に振り分け供給する。ス
プール85はスプリング86により右方に付勢されると
ともに、左端ポート84aに作用する油圧力を受け、両
者のバランスによりその位置が設定される。
【0058】すなわち、左端ポート84aに作用する油
圧力を制御すれば、スプール85の位置制御が可能であ
り、これによりサーボシリンダ92a,92bの作動を
制御してポンプ斜板32の角度制御が可能である。この
ため、左端ポート84aには制御ライン111を介して
第4リニアソレノイドバルブ54からのポンプ制御油圧
PCPが供給される。第4リニアソレノイドバルブ54は
分岐第2ライン101cからのモジュレート圧Pmを制
御電流に基づいて調圧し、制御電流に比例するポンプ制
御油圧PCPを作り出し、これを制御ライン111に供給
するバルブである。このため、第4リニアソレノイドバ
ルブ54の通電電流制御によりポンプコントロールバル
ブ84の作動制御を行い、ポンプ斜板32の角度制御が
可能となっている。
【0059】モータ斜板38の角度制御も同様であり、
一対のサーボシリンダ96a,96bが摺合配設された
サーボシリンダ孔95a,95bに、サーボ制御ライン
123,124を介してモータコントロールバルブ87
が繋がる。このバルブ87もポンプコントロールバルブ
84と同様に、左端ポート87aに作用する油圧力を制
御して、スプール88の位置制御が可能であり、これに
よりサーボシリンダ96a,96bの作動を制御してモ
ータ斜板38の角度制御が可能である。左端ポート87
aには制御ライン112を介して第5リニアソレノイド
バルブ55からモータ制御油圧PCMが供給される。この
ため、第5リニアソレノイドバルブ55の通電電流制御
によりモータコントロールバルブ87の作動制御を行
い、モータ斜板38の角度制御が可能となっている。
【0060】本例の油圧ポンプ24にはさらに、ポンプ
シリンダ28を静止保持するロックアップブレーキ93
が設けられている。前述のように、前進側においてポン
プ斜板角α=αF(MAX)で且つモータ斜板角β=0となっ
た状態(図2における縦線cの状態)では、理論的には
(伝達ロスがない場合には)ポンプシリンダ28の回転
は零となり動力伝達装置4により機械的な動力伝達のみ
が行われる。しかしながら、実際には油の漏れ等による
ロスがあるため、ポンプシリンダ28が若干回転し、そ
れだけ動力伝達装置4による動力伝達が低下する。そこ
で、このようなときに、ロックアップブレーキ93によ
りポンプシリンダ28を強制的に静止保持し、機械的な
動力伝達のみを行わせて、伝達効率を高めるようにして
いる。
【0061】ロックアップブレーキ93は湿式多板式ブ
レーキからなり、ピストン104の押圧力を受けてブレ
ーキを作動させる。このピストン104に押圧力を付与
するためのロックアップ油圧PLBは、第6リニアソレノ
イドバルブ56により作り出されて、ロックアップライ
ン113を介して供給される。なお、第6リニアソレノ
イドバルブ56は制御電流に比例するロックアップ油圧
PLBを作り出すことが可能であり、これによりロックア
ップブレーキ93を部分係合から完全係合までの間で任
意に制御可能である。
【0062】
【作動制御】以上のような構成および制御回路を有する
無段変速機Tの作動制御について説明する。この制御装
置の概略構成を図14に示しており、各種センサ201
〜214の検出信号に基づいて、コントロールユニット
ECUから各ソレノイドバルブ45,46,51〜56
(これらは油圧回路において用いられるもので既に説明
済み)に制御信号を出力する。コントロールユニットE
CUは、各センサからの信号を取り込むための入力イン
ターフェースとソレノイドバルブに制御信号を出力する
ための出力インターフェースとを備え、メモリROM
1,ROM2に記憶されたプログラムに基づいて演算器
CPUにより各種演算を行い、制御信号を求めて出力す
る。
【0063】なお、各種センサとしては、エンジンEの
回転数Neを検出するエンジン回転数センサ201、車
速Vを検出する車速センサ202(車速検出手段)、シ
フトレバーポジションを検出するシフトポジションセン
サ203、車両のブレーキ作動を検出するブレーキセン
サ204、エンジンスロットル開度θTHを検出するスロ
ットル開度センサ205(スロットル開度検出手段)、
ポンプ斜板角度αを検出するポンプ斜板角度センサ20
6(ポンプ容量検出手段)、モータ斜板角度βを検出す
るモーター斜板角度センサ207(モータ容量検出手
段)、加速時に高圧となる第1油路26aの油圧P1を
検出する圧力センサ208、減速時に高圧となる第2油
路25bの油圧P2を検出する圧力センサ209、運転
者により操作されてクリープ力を設定するクリープレバ
ーの操作量ACRを検出するクリープレバーセンサ21
0、ポンプ斜板角度の初期設定値を更新するためのEX
Cスイッチの作動を検出するEXCスイッチセンサ21
1、エンジン吸気負圧PBを検出するPBセンサ21
2、変速機油温を検出するミッション油温センサ21
3、エンジン冷却水温を検出するエンジン水温センサ2
14がある。
【0064】この制御は図15に示すメインフローに従
って行われ、まずステップB1において各ソレノイド出
力電流値に初期値をセットするイニシャル制御を行う。
次に、車速Vとスロットル開度θTHとシフトレバーポジ
ションとに基づいて目標エンジン回転数Ne’を設定す
る(ステップB2)。これは、例えば、図16に示すよ
うなマップを用いて設定される。このマップは、横軸に
車速V、縦軸に目標エンジン回転数Ne’を取り、スロ
ットル開度毎に対応する目標エンジン回転数を示してい
る。このため、現在の車速Vおよびスロットル開度θTH
が検出されれば、これに対応する目標エンジン回転数N
e’がこのマップから読み取られる。なお、図16はシ
フトレバーがDレンジ位置にあるときのマップであり、
その他のレンジ位置に対してそれぞれ異なるマップが設
定されている。このため、シフトレバーポジションが検
出されるとその検出ポジションに対応するマップを読み
出して目標エンジン回転数Ne’が設定される。
【0065】次に、ステップB3に進み、角度制御(B
4)に進むか、Ne制御(B5)に進むかの判断を行う
(この制御内容の詳細は後述する)。角度制御(B4)
はポンプ斜板角度を所定の角度にする制御でありその詳
細は後述する。また、Ne制御は、エンジン回転数Ne
に基づいて、ポンプ斜板角度およびモータ斜板角度と、
ロックアップブレーキ作動とをフィードバック制御する
ものであり、その詳細は後述する。
【0066】角度制御(B4)およびNe制御(B5)
のいずれかが行われるときに、ステップB6において高
圧リリーフバルブ75F,75Rの制御がなされれ、ス
テップB7において可変ノッチバルブ80A〜80Dの
作動制御がなされ、ステップB8においてレギュレータ
バルブ60によるライン圧PL の設定制御がなされる。
以下、図15の制御が繰り返されるのであるがこれら各
制御の詳細についても以下に説明する。
【0067】まず、ステップB3における制御方法判断
について図17を参照して説明する。最初にシフトポジ
ションがNもしくはPレンジか否かの判断を行い(ステ
ップC1)、NもしくはPレンジであるときには角度制
御B4を行う。これ以外のレンジのときには、加速中で
あるか否か、すなわち、車速Vが増加しているか否かを
判定し(ステップC2)、加速中ではないときには車速
Vが所定車速V1(例えば、5.0km/h)以下か否
かの判定がなされ(ステップC3)、所定車速以下であ
るときには角度制御B4を行う。所定車速を超えるとき
にはステップC4に進む。
【0068】一方、ステップC2において加速中である
と判定されたときには、ステップC6に進み、エンジン
スロットル開度θTHがほぼ零であるか否か(すなわち、
アクセルが戻されているか否か)の判断がなされる。こ
こで、スロットル開度θTHが零ではないと判断されると
ステップC4に進む。スロットル開度θTHがほぼ零であ
ると判断されるとステップC7に進み、車速Vが所定車
速以下か否かを判断し、所定車速以下のときには、角度
制御B4を行う。すなわち、加速中であっても、スロッ
トルが全閉で且つ非常に低速(所定車速以下)のときに
は、運転者は加速の意志が無いと判断し、角度制御B4
を行う。なお、車速Vが所定車速を超えるときにはステ
ップC4に進む。
【0069】ステップC4においては、実際のエンジン
回転数NeがステップB2において設定された目標エン
ジン回転数Ne’より小さいか否かの判断を行う。ここ
で、Ne≧Ne’であると判断されたときには、Ne制
御B5を行う。一方、Ne<Ne’であると判断された
ときには、ポンプ斜板角αが所定値α’以下か否かが判
断され、所定値以下であるときには角度制御B4を行
い、所定値を超えるときにはNe制御B5を行う。な
お、この所定値α’としては、後述する制御方法判断フ
ロー(図18および図19)において設定される目標斜
板角の値α’が用いられる。
【0070】このような制御方法判断フローから分かる
ように、角度制御B4を行うのは、(1)シフトポジシ
ョンがN(ニュートラル)もしくはP(パーキング)の
場合、(2)加速中では無く、且つ所定車速以下で走行
する場合、(3)加速中であるが、スロットル全閉で且
つ所定車速以下の場合、(4)ポンプ斜板角αが所定値
以下で且つ実エンジン回転数Neが目標エンジン回転数
Ne’を下回る場合である。
【0071】次に、角度制御B4について、図18〜図
20を参照して説明する。上記制御方法判断フローから
分かるように、角度制御B4は中立状態近傍において
(すなわち、図2の縦線aの近傍において)行われるも
のであり、モータ斜板角βは0もしくは最大値β(MAX)
のいずれかに設定される。すなわち、シフトポジション
がNもしくはPではβ=0に設定され、それ以外ではβ
=β(MAX) に設定される。このようなモータ斜板角の設
定は、モータコントロールバルブ87の左端ポート87
aに作用するモータ制御油圧PCMを零もしくは最大値に
して、スプール88を左端位置もしくは右端位置に移動
させ、簡単に行うことができる。
【0072】角度制御B4はこのようなモータ斜板角制
御と、ポンプ斜板についての位置フィードバック制御と
を行うものである。この制御ではまずシフトポジション
がNもしくはPか否かが判断され(ステップD1)、N
もしくはPレンジであるときにはポンプ斜板目標偏差角
α1=0に設定する(ステップD6)。
【0073】NおよびPレンジ以外のときにはエンジン
回転数Neが所定回転数(例えば、アイドル回転数70
0rpmより若干低い600rpm)以下か否かが判断
され(ステップD2)、このエンジン回転数Neが所定
回転数以下であるときにはポンプ斜板目標偏差角α1=
0に設定する(ステップD6)。このことから分かるよ
うに、ポンプ斜板についての位置フィードバック制御
(角度制御)が行われるときに、エンジン回転数がアイ
ドル回転以下になるようなときには、無条件にポンプ目
標偏差角α1=0に設定し、ポンプ容量を増加させる制
御は禁止する。
【0074】一方、エンジン回転数が所定値を越える場
合には、エンジンスロットル開度が全閉(θTH=0)か
否かが判断され(ステップD3)、スロットルが開放さ
れているときにはステップD17に進む。スロットルが
全閉であるときにはステップD4に進んで車速Vが所定
車速(例えば、5km/h)以下か否かが判断される。
所定車速を超える場合にはステップD17に進み、所定
車速以下であるときには、ステップD5に進んでブレー
キがONか否か、すなわちブレーキペダルが踏まれてい
るか否かが判断される。ブレーキがONのときにはステ
ップD6に進み、OFFのときにはステップD9に進
む。
【0075】以下、各場合毎にそれぞれポンプ斜板目標
偏差角α1が設定されるのであるが、まずステップD9
に進んだときの設定を説明する。ステップD9ではま
ず、シフトポジションが前進側ポジション(すなわち、
D,L,S,Mのいずれかのポジションもしくはレン
ジ)であるか、後進側ポジション(すなわち、Rポジシ
ョンもしくはレンジ)であるかが判断され、前進側ポジ
ションのときにはステップD10に進み、後進側ポジシ
ョンのときにはステップD15に進む。
【0076】まず、前進側ポジションの場合を説明す
る。ここで本例の変速機を有した車両の運転席には、図
21に示すように、運転者が操作可能なクリープレバー
220と、ポンプ斜板角初期値を更新設定するEXCス
イッチ221とが設けられている。ステップD10にお
いてはクリープレバー220の操作量ACRに基づいてポ
ンプ斜板目標偏差角α1の設定を行う。具体的には、ク
リープレバー220の操作量ACRとポンプ斜板目標偏差
角α1との関係が図22に示すように予め設定されてお
り、この関係に基づいて上記設定が行われる。
【0077】なお、図21に示すように、クリープレバ
ー220は直立した中立位置Nから前後に揺動可能であ
るが、クリープレバー220は中立自動復帰タイプのレ
バーであり、操作しない状態では図示のように中立位置
Nに位置する。このように中立位置Nに位置するときの
ポンプ斜板目標偏差α1は零であり、レバー220を+
側に操作すればその操作量に比例する正のポンプ斜板目
標偏差α1が設定され、−側に操作すればその操作量に
比例する負のポンプ斜板目標偏差α1が設定される。但
し、このような設定が行われるのは、ステップD1にお
いてシフトポジションがN,P以外と判断され、且つ、
ステップD2においてエンジン回転数が所定値(例え
ば、600rpm)以上であると判断された場合のみで
ある。すなわち、エンジン回転数が所定値以下となるよ
うな場合には、クリープレバー220の操作の如何に拘
わらず、ポンプ斜板目標偏差α1は零に設定され、ポン
プ斜板角が増加するようなことはない。
【0078】次に、ステップD11において、ポンプ斜
板角初期値α0と、モータ斜板角初期値β0とを設定す
る。この値は、最初は、図23の表に示すようにシフト
ポジションに対応して設定される。ステップD11に進
む場合には、所定車速以下でスロットル開度が全閉であ
り、ブレーキがOFFで、且つD,L,S,Mレンジの
いずれかのレンジであるので、この表から、ポンプ斜板
角初期値α0=所定値2、モータ斜板角初期値β0=M
AX.に設定される。
【0079】このようにして設定されたポンプ斜板目標
偏差α1とポンプ斜板角初期値α0とからポンプ目標斜
板角α’が算出される(ステップD12)のであるが、
この算出について、図24を参照して詳しく説明する。
ここでは、クリープレバー220が操作されたときに上
記のようにしてポンプ斜板目標偏差α1が設定される
が、この操作を行っているときに運転者がEXCスイッ
チ221を押したときの値(すなわち、運転者が設定す
るという意志表示を行ったときの値)をポンプ斜板目標
偏差α1として用いてポンプ目標斜板角を設定する。な
お、このEXCスイッチ221は押したときにのみON
となり、押圧力を解除するとOFF状態に戻るモーメン
タリータイプのスイッチである。
【0080】ここでは、まず、EXCスイッチ221が
ON操作されたときに立てられるフラグが1か否かを判
断し(ステップD51)、このフラグEXCスイッチ=
0であればステップD54に進み、ポンプ斜板目標偏差
α1=0か否かが判断される。α1=0ではないとき、
すなわち、クリープレバー220が操作されているとき
には、ステップD55において目標斜板角α’(=α0
+α1)を算出する。この時点から所定時間のカウント
を行うタイマーをスタートさせ(ステップD56)、E
XCスイッチ221がON操作されたか否かを判断する
(ステップD57)。このスイッチがOFFのときには
本フローの最初に戻るが、スイッチがON操作されたと
きにはフラグEXCスイッチ=1とし(ステップD5
8)、このときにおける目標斜板角α’をαexとして記
憶する(ステップD59)。
【0081】このようにしてフラグEXCスイッチ=1
となると、フローの最初に戻りステップD51からステ
ップD52に進み、タイマー設定時間が経過するまで目
標斜板角α’=αexのまま保持する(ステップD5
3)。そして、タイマー設定時間が経過すると、ステッ
プD54においてポンプ斜板目標偏差α1=0か否かが
判断される。α1=0のとき、すなわち、上記のように
してEXCスイッチ221が押された後にクリープレバ
ー220の操作が解除されたときには、ステップD60
においてフラグEXCスイッチ=1か否かが判断され
る。このフラグに1が立っている状態では、ステップD
61においてポンプ斜板角初期値α0として、ステップ
D59で記憶されている目標斜板角αexを新たなポンプ
斜板角初期値α0として再設定する。そして、フラグE
XCスイッチ=0とする(ステップD62)とともに、
このように再設定された初期値α0を目標斜板角α’と
して設定する(ステップD63)。
【0082】以上ステップD12の制御を要約すると、
クリープレバー220が操作状態でEXCスイッチ22
1が押されると、そのとき操作量に対応するポンプ斜板
目標偏差α1にポンプ斜板角初期値α0を加えてポンプ
目標斜板角α’が設定される。この後、クリープレバー
220が中立位置に戻されても、このように設定された
ポンプ目標斜板角α’はそのまま保持され、且つこのよ
うに設定されたポンプ目標斜板角α’(=αex)が新た
なポンプ斜板角初期値α0となる。このため、この後、
クリープレバー220を操作してEXCスイッチ221
を押すと、このときの操作量に対するポンプ斜板目標偏
差α1が現在のポンプ目標斜板角α’に加算される。す
なわち、クリープレバー220を操作してEXCスイッ
チ221を押す操作を繰り返せば、これに応じてポンプ
斜板目標偏差α1が積算されてポンプ目標斜板角α’が
設定される。
【0083】このようにしてステップD12においてポ
ンプ目標斜板角α’が設定されると、この設定された値
α’がステップD11において設定したポンプ斜板角初
期値α0より大きいか否かを判断し(ステップD1
3)、α’≦α0のときには、α’=α0に設定する
(ステップD14)。すなわち、クリープレバー220
を負側に操作すれば、α’≦α0となる得るが、このと
きでもポンプ斜板角を初期値α0より小さくすることが
ないようにしている。
【0084】一方、後進側ポジション(Rレンジ)が設
定されてステップD15に進んだ場合にも上記と類似す
る制御が行われる。すなわち、クリープレバー220の
操作に対応するポンプ斜板目標偏差角α1を設定し、さ
らに、ステップD16に進んで、図23の表に示される
Rレンジに対応するポンプ斜板角初期値α0と、モータ
斜板角初期値β0とを設定する。ここでは、所定車速以
下でスロットル開度が全閉であり、且つブレーキOFF
であるので、ポンプ斜板角初期値α0=所定値1、モー
タ斜板角初期値β0=MAX.に設定される。
【0085】このようにして設定されたポンプ斜板目標
偏差α1とポンプ斜板角初期値α0とからポンプ目標斜
板角α’が前述の場合と同様にして算出され(ステップ
D12)、この設定された値α’がステップD16にお
いて設定したポンプ斜板角初期値α0より大きいか否か
を判断し(ステップD13)、α’≦α0のときには、
α’=α0に設定する(ステップD14)。
【0086】次に、ステップD17に進んだ場合につい
て説明する。ステップD17では、シフトポジションが
前進側ポジション(すなわち、D,L,S,Mのいずれ
かのポジションもしくはレンジ)であるか、後進側ポジ
ション(すなわち、Rポジションもしくはレンジ)であ
るかが判断され、前進側ポジションのときにはステップ
D18に進み、後進側ポジションのときにはステップD
20に進む。
【0087】前進側ポジションが設定されたときにはス
テップD18において、一方後進側ポジションが設定さ
れたときにはステップD20において、それぞれ、クリ
ープレバー220の操作に対応するポンプ斜板目標偏差
角α1を設定する。さらに、ステップD19およびステ
ップD21にそれぞれ進んで、図23の表に示される前
進側ポジション(D,L,S,Mレンジ)および後進側
ポジション(Rレンジ)に対応するポンプ斜板角初期値
α0と、モータ斜板角初期値β0とを設定する。ここで
は、所定車速以上もしくはスロットル開度が全閉ではな
い状態であるので、前進側ポジションの場合には、ポン
プ斜板角初期値α0=所定値5、モータ斜板角初期値β
0=MAX.に設定され、一方、後進側ポジションの場
合には、ポンプ斜板角初期値α0=所定値4、モータ斜
板角初期値β0=MAX.に設定される。
【0088】このようにして設定されたポンプ斜板目標
偏差α1とポンプ斜板角初期値α0とからポンプ目標斜
板角α’が前述の場合と同様にして算出され(ステップ
D22)、この設定された値α’がステップD19もし
くはステップD21において設定したポンプ斜板角初期
値α0より大きいか否かを判断し(ステップD23)、
α’≦α0のときには、α’=α0に設定する(ステッ
プD24)。
【0089】一方、ステップD6においてはクリープレ
バー220の操作の如何に拘わらずポンプ斜板目標偏差
α1=0に設定される。そしてステップD7において図
23の表からポンプ斜板角初期値α0と、モータ斜板角
初期値β0とを設定する。ここで、ステップD6に進む
のは、シフトポジションがNもしくはPの場合か、これ
以外のシフトポジションでブレーキがONであるので、
シフトポジションが前進側レンジ(D,L,S,M)の
ときにはこの表から所定値3が読み込まれ、後進側レン
ジ(R)のときにはこの表から所定値0が読み込まれ
る。なお、(所定値2>所定値3)および(所定値1>
所定値0)となる値、すなわち、ブレーキが踏まれてい
るときには小さなポンプ斜板角初期値が設定される。そ
して、このように設定されたポンプ斜板角初期値α0と
ポンプ斜板目標偏差α1とを加えてポンプ目標斜板角
α’が算出される(ステップD8)。
【0090】なお、図23に示す各所定値の大小関係は
次の表1ように設定される。
【0091】
【表1】 1) 所定値5≧所定値2>所定値3 ・・・(D,L,S,Mの場合) 2) 所定値4≧所定値1>所定値0 ・・・(Rの場合) 3) 所定値3>所定値0 4) 所定値5>所定値4
【0092】次に、現在のポンプ斜板角αと、上記のよ
うにして算出したポンプ目標斜板角α’との偏差Δα
(=α−α’)を算出する(ステップD25)。そして
このような角度偏差Δαを得るに必要な第4リニアソレ
ノイドバルブ54の制御偏差電流の目標値(目標偏差電
流DICMDp)を設定する(ステップD26)。リニアソレ
ノイドバルブ54の作動に対するポンプ斜板32の作動
特性に基づいて、角度偏差Δαと目標偏差電流DICMDpと
の関係が図25に示すように予め設定されており、ステ
ップD15において求めた偏差Δαに対応する目標偏差
電流DICMDpを図25から読み取る。
【0093】この目標偏差電流DICMDpを用いてポンプ斜
板をポンプ目標斜板角α’に設定するフィードバック制
御が行われるのであるが、制御方向設定のため、現在の
ポンプ斜板角αがポンプ目標斜板角α’より大きいか否
かが判断される(ステップD27)。
【0094】α>α’の場合には、ステップD29に進
んでRレンジか否かを判断し、Rレンジではないときに
は、ポンプコントロールバルブ84のスプール85を中
立位置に保持するに必要な制御電流値IOp に目標偏差電
流DICMDpを加えて目標電流ICMDp を求め(ステップD3
1)、Rレンジのときには、ポンプコントロールバルブ
84のスプール85を中立位置に保持するに必要な制御
電流値IOp から目標偏差電流DICMDpを減じて目標電流IC
MDp を求める(ステップD30)。
【0095】一方、α≦α’の場合には、ステップD2
8に進んでRレンジか否かを判断し、Rレンジのときに
は、ポンプコントロールバルブ84のスプール85を中
立位置に保持するに必要な制御電流値IOp に目標偏差電
流DICMDpを加えて目標電流ICMDp を求め(ステップD3
1)、Rレンジではないときには、ポンプコントロール
バルブ84のスプール85を中立位置に保持するに必要
な制御電流値IOp から目標偏差電流DICMDpを減じて目標
電流ICMDp を求める(ステップD30)。
【0096】そして、この目標電流ICMDp を用いて第4
リニアソレノイドバルブ54を駆動すれば(ステップD
32)、ポンプ斜板角をポンプ目標斜板角α’に近づけ
る制御となる。一方、モータ斜板角βについては、上述
のように既にモータ斜板角初期値β0が設定されてお
り、この値は零もしくは最大値であるため、目標電流値
(ICMDm)として、最大電流もしくは零電流が設定される
(ステップD33)。そして、この目標電流を用いて第
5リニアソレノイドバルブ55が駆動され(ステップD
34)、モータ斜板は直立位置もしくは最大揺動位置に
制御される。
【0097】以上の説明から分かるように、Nもしくは
Pレンジではポンプ斜板角は零に設定されるが、それ以
外のレンジ(走行レンジ)においては所定の目標斜板角
α’となる制御が行われ、クリープ走行状態となる。な
お、クリープレバー220の操作量に応じてポンプ目標
斜板角α’が変動するため、クリープレバー操作により
インチング操作が可能である。
【0098】次に、Ne制御B5について図26に基づ
いて説明する。この制御はポンプ、モータ斜板角および
ロックアップブレーキの作動制御であり、この作動制御
によりエンジン回転数Neを目標エンジン回転数Ne’
に一致させるフィードバック制御を行う。ここではま
ず、目標エンジン回転数Ne’から実エンジン回転数N
eを減じてエンジンの偏差回転数ΔNe(=Ne’−N
e)を求める(ステップE1)。
【0099】そして、現在どの制御領域にあるか否かの
判断を行う(ステップE2)。図2にポンプ及びモータ
の斜板角α,β制御に伴う総合速度比の変化の関係を示
したが、このように変速制御を行うときに、図27に示
すように、制御領域を四つの制御領域(領域I〜IV)に
分割して制御を行う。このため、現在どの制御領域にあ
るか否かの判断をステップE2において行うのである
が、この判断フローを図28を参照して説明する。
【0100】まず、ポンプ斜板角α>αmか否かの判
断、すなわち、図27から良く分かるように、ポンプ斜
板角が前進側最大斜板角αF(MAX)の近傍か否かを判断す
る(ステップF1)。α≦αmのときは、図27におけ
る領域Iに属するため、ステップF5の制御を行う。ス
テップF5の制御内容を図29(a)に示しており、ロ
ックアップブレーキ制御がOFF(ステップF51)、
ポンプ斜板制御がON(ステップF52)、モータ斜板
制御がOFF(ステップF53)となる。このように、
領域Iにおいてはポンプ斜板制御のみが行われる。ま
た、この領域において角度制御B4とNe制御との持ち
替えが行われる。すなわち、発進および停止時の制御も
含まれる。
【0101】α>αmのときにはモータ斜板角β>βm
か否かの判断、すなわち、モータ斜板角が最大傾斜角近
傍か否かを判断する(ステップF2)。β>βmのとき
には図27における領域IIに属するため、ステップF6
の制御を行う。この制御は図29(b)に示され、ロッ
クアップブレーキ制御がOFF(ステップF61)、ポ
ンプ斜板制御(ステップF62)およびモータ斜板制御
がON(ステップF63)となる。このように領域IIに
おいてはポンプ斜板制御とモータ斜板制御とが同時に行
われ、両者の制御のスムーズな持ち替えを行わせるよう
になっている。
【0102】β≦βmのときにはモータ斜板角βが零と
なったか否かの判断がなされる(ステップF3)。モー
タ斜板角βが零ではないときには、図27における領域
IIIに属するため、ステップF7の制御を行う。この制
御は図29(c)に示され、ロックアップブレーキ制御
がOFF(ステップF71)、ポンプ斜板制御がOFF
(ステップF72)、モータ斜板制御がON(ステップ
F73)となる。このように領域III においてはモータ
斜板制御のみが行われる。実際の車両の走行はこの領域
III と次の領域IVとでほとんど行われる。
【0103】モータ斜板角βが零となったときには、車
速Vが所定車速以下か否かの判断がなされる。所定車速
以下のときには上記領域III の制御(ステップF7)を
行う。これにより、所定車速以下ではロックアップはな
されず、急ブレーキが作動されたような場合でもエンジ
ン回転数が極端に低下するのを防止する。一方、所定車
速を超えるときには、図27における領域IVに属し、ス
テップF8の制御を行う。ここでは、ロックアップブレ
ーキ制御がONとなる(ステップF81)。そして、こ
のロックアップブレーキ制御のための第6リニアソレノ
イドバルブ56の制御目標電流(ICMDL)が所定値以下か
否かが判断され(ステップF82)、所定値以下のとき
(ロックアップブレーキの係合力が弱いとき)には、ポ
ンプ制御がOFF(ステップF72)でモータ制御はO
N(ステップF73)となり、所定値を超えるとき(ロ
ックアップブレーキがある程度以上係合しているとき)
にはポンプ制御のみならずモータ制御もOFFとなる
(ステップF83およびF84)。
【0104】以上のようにして図26における制御領域
判断(ステップE2)が行われると、次にステップE3
において変速速度ゲイン係数(K)が設定される。この
ゲイン係数Kは、図30に示すように、車速Vに対応し
て予め設定されており、現在の車速Vに対応するゲイン
係数Kが設定される。なお、図から明らかなように、車
速Vが小さいほど大きなゲイン係数Kとなる。次にこの
ゲイン係数KをステップE1で算出したエンジンの偏差
回転数ΔNeに乗じて変速速度DI(=K×ΔNe)を
算出する(ステップE4)。
【0105】この後、ステップE5,E7,E9におい
て、ポンプ制御、モータ制御およびロックアップブレー
キ制御がONか否かをそれぞれ判断する。そして、ポン
プ制御がONのときにはステップE6においてポンプ斜
板制御を行い、モータ制御がONのときにはステップE
8においてモータ斜板制御を行い、ロックアップブレー
キ制御がONの時にはステップE10においてロックア
ップ制御を行う。
【0106】まず、ステップE6のポンプ斜板制御につ
いて、図31を参照して説明する。ポンプ斜板32は前
進側(αF)もしくは後進側(αR)に傾動制御される
が、両者は傾動方向が逆であるだけで制御内容は同一な
ので前進側への斜板傾動制御を例にして説明する。この
制御はエンジン回転数を制御値として第4リニアソレノ
イドバルブ54の電流制御を行う。例えば、目標エンジ
ン回転数Ne’より実エンジン回転数Neが小さいとき
には、変速比を大きく(LOW側に変速)するようにす
なわちポンプ斜板角αを小さくする制御を行う。逆に目
標エンジン回転数Ne’より実エンジン回転数Neが大
きいときには、変速比を小さく(TOP側に変速)する
ようにすなわちポンプ斜板角αを大きくする制御を行
う。
【0107】この制御では、図31に示すように、まず
目標偏差電流(DICMDp)を設定する(ステップG1)。目
標偏差電流(DICMDp)は図32に示すように変速速度DI
に対応して予め設定されており、この関係から図26の
ステップE4で算出した変速速度DI(1) に対応する目
標偏差電流DICMDp(1) を読み取って設定する。次に、ス
テップG2において目標エンジン回転数Ne’が実エン
ジン回転数(現在のエンジン回転数)Neより大きいか
否かの判断がなされる。
【0108】Ne’>Neのときには、ステップG3に
進んで変速比を大きく(LOW側に変速)するために必
要な目標電流(ICMDp) を算出する。この算出は、ポンプ
コントロールバルブ84のスプール85を中立位置に保
持するために必要な制御電流IOp に目標偏差電流(DICMD
p)を加えて求められる。一方、Ne’≦Neのときに
は、ステップG4に進んで変速比を小さく(TOP側に
変速)するために必要な目標電流(ICMDp) を算出する。
この算出はスプール85を中立位置に保持するために必
要な制御電流IOp から目標偏差電流(DICMDp)を減じて求
められる。
【0109】このようにして求めた目標電流(ICMDp) を
制御電流として第4リニアソレノイドバルブ54の駆動
が制御される(ステップG5)。リニアソレノイドバル
ブ54に加えられる目標電流(ICMDp) と制御圧PCとの
関係を図33に示しており、目標電流(ICMDp) がIOp で
あるときにポンプコントロールバルブ84は中立とな
り、この値から電流が増減するのに応じてLOW側もし
くはTOP側に変速される。その結果、実エンジン回転
数Neを目標エンジン回転数Ne’に近づけるフィード
バック制御となる。
【0110】次に、ステップE8のモータ斜板制御につ
いて、図34を参照して説明する。この制御はエンジン
回転数を制御値として第5リニアソレノイドバルブ55
の電流制御を行う。例えば、目標エンジン回転数Ne’
より実エンジン回転数Neが小さいときには、変速比を
大きく(LOW側に変速)するようにすなわちモータ斜
板角βを大きくする制御を行う。逆に目標エンジン回転
数Ne’より実エンジン回転数Neが大きいときには、
変速比を小さく(TOP側に変速)するようにすなわち
モータ斜板角βを小さくする制御を行う。
【0111】この制御では、図34に示すように、まず
目標偏差電流(DICMDm)を設定する(ステップH1)。目
標偏差電流(DICMDm)は図35に示すように変速速度DI
に対応して予め設定されており、この関係から図26の
ステップE4で算出した変速速度DI(1) に対応する目
標偏差電流DICMDm(1) を読み取って設定する。次に、ス
テップH2において目標エンジン回転数Ne’が実エン
ジン回転数(現在のエンジン回転数)Neより大きいか
否かの判断がなされる。
【0112】Ne’>Neのときには、ステップH3に
進んで変速比を大きく(LOW側に変速)するために必
要な目標電流(ICMDm) を算出する。この算出は、モータ
コントロールバルブ87のスプール88を中立位置に保
持するために必要な制御電流IOm に目標偏差電流(DICMD
m)を加えて求められる。一方、Ne’≦Neのときに
は、ステップH4に進んで変速比を小さく(TOP側に
変速)するために必要な目標電流(ICMDm) を算出する。
この算出はスプール88を中立位置に保持するために必
要な制御電流IOm から目標偏差電流(DICMDm)を減じて求
められる。
【0113】このようにして求めた目標電流(ICMDm) を
制御電流として第5リニアソレノイドバルブ55の駆動
が制御される(ステップH5)。リニアソレノイドバル
ブ55と制御圧MCとの関係を図36に示しており、目
標電流(ICMDm) がIOm であるときにモータコントロール
バルブ87は中立となり、この値から電流が増減するの
に応じてLOW側もしくはTOP側に変速される。その
結果、実エンジン回転数Neを目標エンジン回転数N
e’に近づけるフィードバック制御となる。
【0114】次に、ステップE10のロックアップブレ
ーキ制御について、図37を参照して説明する。この制
御は実エンジン回転数Neと目標エンジン回転数Ne’
との大小関係からロックアップの強弱を判断して第6リ
ニアソレノイドバルブ56の電流制御を行う。例えば、
目標エンジン回転数Ne’より実エンジン回転数Neが
大きいときには、第6リニアソレノイドバルブ56の制
御電流を小さくしてロックアップ力を弱める制御を行
う。逆に目標エンジン回転数Ne’より実エンジン回転
数Neが小さいときには、第6リニアソレノイドバルブ
56の制御電流を大きくしてロックアップ力を強める制
御を行う。
【0115】この制御では、図37に示すように、まず
目標偏差電流(DICMDL)を設定する(ステップI1)。目
標偏差電流(DICMDL)は図38に示すように変速速度DI
に対応して予め設定されており、この関係から図26の
ステップE4で算出した変速速度DI(1) に対応する目
標偏差電流DICMDL(1) を読み取って設定する。次に、ス
テップI2において目標エンジン回転数Ne’が実エン
ジン回転数(現在のエンジン回転数)Neより大きいか
否かの判断がなされる。
【0116】Ne’>Neのときには、ステップI4に
進み、現在での第6リニアソレノイドバルブ56の制御
電流(ICMDL) から目標偏差電流(DICMDL)を減じて新たな
制御電流(ICMDL) を求める。これにより、現在のロック
アップ力を弱める目標電流が設定される。一方、Ne’
≦Neのときには、ステップI3に進み、現在での第6
リニアソレノイドバルブ56の制御電流(ICMDL) に目標
偏差電流(DICMDL)を加えて新たな制御電流(ICMDL) を求
める。これにより、現在のロックアップ力を強める目標
電流が設定される。
【0117】このようにして求めた目標電流(ICMDL) を
制御電流として第6リニアソレノイドバルブ56の駆動
が制御される(ステップI5)。リニアソレノイドバル
ブ56と制御圧LCとの関係を図39に示しており、目
標電流(ICMDL) に比例する制御圧LCcが得られ、所望
のロックアップ制御が行われる。
【0118】次に、図15のステップB6に示したリリ
ーフ制御について説明する。この制御では、油圧閉回路
26を構成する第1および第2油路26a,26bに設
けられた高圧リリーフバルブ75R,75Fのリリーフ
圧を調整する。第1および第2油路26a,26bの油
圧は、進行方向(前進か後進か)および加減速条件(加
速か減速か)に応じて図42のように変化する。このた
め、このリリーフ制御ではこのような変化に対応して適
切な高圧リリーフ制御を行う。なお、低圧側油路の油圧
については、シャトルバルブ70を介して低圧リリーフ
バルブ74により制御される。
【0119】本システムにおいては、高圧側の油路のリ
リーフは通常、高圧サージ圧発生によるショックの緩和
のために使用する。すなわち、予想以上の高圧が発生し
た場合に、速やかにリリーフを作動させてこの高圧を所
定値まで低下させる役割を高圧リリーフバルブが有して
いる。但し、加速時にはエンジンスロットル開度および
ポンプの斜板角に応じて発生高圧の最大値が異なるた
め、エンジンスロットル開度およびポンプ斜板角に応じ
て目標リリーフ圧を制御する。また、減速時には適切な
エンジンブレーキ力を超えることがないように車速に応
じた目標リリーフ圧を設定する。
【0120】この制御は図40および図41に示すフロ
ーからなるが、両図において丸囲みB同士が繋がる。こ
の制御ではまず、シフトポジションがNもしくはPレン
ジか否かが判断され(ステップJ1)、NもしくはPレ
ンジのときにはステップJ8,J9に進む。一方、Nも
しくはP以外のレンジのときには、エンジン回転数Ne
が所定回転以下か否かが判断され(ステップJ2)、所
定回転以下のときにもステップJ8,J9に進む。所定
回転を超えるときには、車速Vが所定車速以下か否かが
判断され(ステップJ3)、所定車速を超えるときには
ステップJ6,J7に進む。所定車速以下であるときに
はエンジンスロットル開度θTHが所定開度以下か否かが
判断され(ステップJ4)、所定開度を超えるときにも
ステップJ6,J7に進む。所定開度以下であるときに
はブレーキがONか否かが判断され(ステップJ5)、
これがONであればステップJ8,J9に進み、OFF
であればステップJ6,J7に進む。
【0121】ステップJ6においては、ポンプ斜板角α
とエンジンスロットル開度とに応じて図43に示すよう
な高圧リリーフ圧(Pha)を設定する。この図には4本
の線a1,b1,c1,d1が示されているが、線a1
はスロットル開度が全開(WOT=8/8)、線b1は
スロットル開度が6/8、線c1はスロットル開度が4
/8、線d1はスロットル開度が2/8のときをそれぞ
れ示す。これらの値は、各エンジンスロットル開度での
エンジン出力が油圧ポンプ24に作用したときに、油圧
閉回路の駆動側の油路26a内に理論的に発生しえる油
圧を、油圧ポンプ効率を加味するとともにポンプ斜板角
に対応して演算した結果をプロットしたものであり、こ
のデータはコントロールユニットECU内のメモリRO
M1,ROM2に設定記憶されている。
【0122】また、この図43における最大油圧Ph
(max)は、装置に許容される最大圧(最大許容油
圧)であり、上記のようにして演算された油圧がこの最
大許容油圧を越えても、リリーフ圧設定はこの最大許容
油圧を越えないように設定される。さらに、この演算油
圧はポンプ効率を加味しており、小さなポンプ斜板角の
領域ではポンプ効率が小さくなるため、リリーフ圧も小
さな値に設定されている。このポンプ効率はポンプ斜板
角度とエンジンスロットル開度に対応して図44のよう
になる。
【0123】このことから分かるように、図43に示す
油圧は、ポンプ効率を加味した上で、正常な状態で実際
に油圧閉回路内に発生し得る最大油圧を示しており、こ
の油圧を越える油圧は、サージ油圧等のような異常高圧
である。よって、この例では、駆動側の高圧リリーフ圧
(Ph)をこの図に示すように、スロットル開度とポン
プ斜板角に対応して設定し、各運転条件において常に正
常な状態で発生し得る油圧以上となる異常油圧をリリー
フしてカットするようになっている。これにより、エン
ジンからのサージトルク成分をカットし、モータ側に滑
らかなトルク伝達を行わせることが可能となる。
【0124】なお、本例では、油圧ポンプのみならず油
圧モータの斜板角度を制御して変速制御を行っているた
め、全変速制御範囲内での高圧リリーフ制御を適切に行
うために、図45に示すような高圧リリーフ圧設定を行
っても良い。この図にも4本の線a2,b2,c2,d
2が示されているが、線a2はスロットル開度が全開
(WOT=8/8)、線b2はスロットル開度が6/
8、線c2はスロットル開度が4/8、線d2はスロッ
トル開度が2/8のときをそれぞれ示す。これらの値
は、各エンジンスロットル開度でのエンジン出力が油圧
ポンプ24に作用したときに、油圧閉回路の駆動側の油
路26a内に理論的に発生しえる油圧を、油圧ポンプ効
率およびモータ効率を加味するとともに車速に対応して
演算した結果をプロットしたものである。また、この図
44における最大油圧Ph(max)は、装置に許容さ
れる最大圧(最大許容油圧)である。なお、この場合に
はポンプおよびモータのトータル効率は車速とエンジン
スロットル開度に対応して図46に示すようになる。
【0125】すなわち、図45に示す油圧も、ポンプお
よびモータの効率を加味した上で、正常な状態で実際に
油圧閉回路内に発生し得る最大油圧を示しており、この
油圧を越える油圧は、サージ油圧等のような異常高圧で
ある。よって、図45に示すような駆動側の高圧リリー
フ圧(Ph)の設定を行っても、各運転条件において常
に正常な状態で発生し得る油圧以上となる異常油圧をリ
リーフしてカットすることができ、エンジンからのサー
ジトルク成分をカットし、モータ側に滑らかなトルク伝
達を行わせることが可能となる。
【0126】さらに、ステップJ7においては、車速V
に応じて図47に示す高圧リリーフ圧(Phb)を設定す
る。このリリーフ圧は必要エンジンブレーキ力に基づい
て設定した目標高圧リリーフ圧である。
【0127】一方、ステップJ8,J9においては、ス
テップJ1〜J5において判断された特定の条件下での
高圧リリーフ圧を図48に示すように設定する。具体的
には、シフトポジションがNもしくはPの場合には
(ステップJ1)目標リリーフ圧(Ph)を0とし、閉
回路をバイパスした状態にして車両のニュートラル状態
を得る。エンジン回転がアイドル回転(所定回転)よ
り低下した場合には(ステップJ2)、その低下量に応
じて目標リリーフ圧を低く設定し、エンジンストールを
防止する。シフトポジションが走行レンジ(Nもしく
はP以外)で、エンジン回転がアイドル回転を越え、車
速が所定車速(低速)以下であり、スロットル開度が所
定開度(低開度)以下であり、ブレーキが作動されてい
るときには、車両停止相当であると判断して目標リリー
フ圧を所定値に設定する。この所定目標リリーフ圧とし
ては、加速側と減速側とをほぼ等しい圧、すなわち、P
ha=Phbもしくはほぼ同圧とする。その圧力はレギュレ
ータバルブ60より排出された圧力になる。また、Pha
=Phbでないときには、シャトルバルブ70が作動し、
低い方の圧はリリーフバルブ74により調圧された圧に
なる。もしくは、ブレーキを解除してアクセルを踏み込
むときに違和感が生じない程度の小さな目標リリーフ圧
を設定しても良い。
【0128】高圧リリーフ圧は前述のように、第2およ
び第3リニアソレノイドバルブ52,53の電流制御に
より任意に設定可能であるため、上記のようにして目標
高圧リリーフ圧が設定されると、加速側および減速側そ
れぞれについてこのリリーフ圧設定に必要な目標制御電
流(ICMDa,ICMDb)を設定する(ステップJ10,J1
1)。なお、両者の関係は図49に示すようになり、こ
の関係に基づいて目標リリーフ圧(Ph)を得るために
必要な目標制御電流(ICMD)を読み取る。
【0129】そして、シフトポジションがR(後進)レ
ンジか否かが判断され(ステップJ12)、Rレンジ以
外では、第2リニアソレノイドバルブ52(第1油路2
6aのリリーフ圧を制御)を加速側目標制御電流(ICMD
a)により駆動する(ステップJ13)とともに、第3リ
ニアソレノイドバルブ53(第2油路26bのリリーフ
圧を制御)を減速側目標制御電流(ICMDb)により駆動す
る(ステップJ14)。一方、Rレンジの場合には、第
2リニアソレノイドバルブ52を減速側目標制御電流
(ICMDb)により駆動する(ステップJ15)とともに、
第3リニアソレノイドバルブ53を加速側目標制御電流
(ICMDa)により駆動する(ステップJ16)。
【0130】次に、可変ノッチ制御B7について図50
を参照して説明する。この制御は、油圧ポンプ24,油
圧モータ25の吐出流量、発生高圧に応じて各シリンダ
孔内圧の変化を最適化するために行われ、例えば油圧ポ
ンプ24の場合には、図51に示すような開閉制御を行
う。
【0131】この制御ではまず、ポンプ斜板角度αから
ポンプ吐出容量(Vp)を求める(ステップK1)。こ
れは、式(2)から求められるが、図52で示すような
関係である。そして、ポンプ吐出量Qp(=Vp×N
p)を算出する(ステップK2)。なお、Npはポンプ
回転数であり、これはエンジン回転数Neとタイヤ回転
数Nvとを検出して、式(3)から求められる。
【0132】
【数2】 Vp=S×PD×tanα×N ・・・(2) 但し、S :各シリンダーのボア部面積 PD:シリンダーピッチ円径 N :シリンダー本数
【0133】
【数3】 Np={Ne−i1×i2×(1+ip)×Nv}/ip ・・・(3) 但し、i1: 動力伝達装置4の減速比 i2: 終減速装置5の減速比 ip: 動力分割装置3の減速比 (図53参照)
【0134】この後、ステップK3においてポンプ吐出
量Qpが所定値Qpoより大きいか否かが判断され、Qp
>QpoのときにはステップK7,K8の制御を行う。Q
p≦Qpoのときには高圧側油路の発生高圧Phが所定圧
Phoより大きいか否かが判断される。Ph>Phoのとき
には、ステップK5,K6の制御を行い、Ph≦Phoの
ときにはステップK7,K8の制御を行う。ステップK
5では可変ノッチバルブを閉じる制御を行うもので、こ
のためソレノイドバルブ45,46をONにする(ステ
ップK6)。一方、ステップK7では可変ノッチバルブ
を開放する制御を行うもので、このためソレノイドバル
ブ45,46をOFFにする(ステップK8)。
【0135】次に、レギュレータ制御B8について図5
4を参照して説明する。レギュレータバルブ60により
得られるライン圧PL はポンプおよびモータ斜板の傾動
制御に用いられるが、この傾動には、油圧閉回路の高圧
側油路の油圧が高いほど大きな駆動力が必要である。こ
のため、高圧側油路の最大油圧でも必要駆動力が得られ
るだけの高圧となるようにライン圧PL を設定すること
も可能であるが、これでは常時高圧ライン圧PL を発生
させるため、エンジン駆動力のロスが大きく、燃費が低
下する。そこで、レギュレータ制御B8を行って必要最
低限のライン圧PL の設定を行い、燃費向上を図ってい
る。
【0136】このため、この制御では、図55を用い
て、高圧側油路の油圧(Ph)に対応して第1リニアソ
レノイドバルブ51の駆動に必要な目標電流(ICMDr)を
設定し(ステップL1)、この目標電流(ICMDr)で第1
リニアソレノイドバルブ51を駆動する(ステップL
2)。これにより、図55および図56から分かるよう
に、高圧側油路の油圧(Ph)に対応した必要最小限の
ライン圧PL を設定することができ、燃費向上を図れ
る。
【0137】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のリリーフ
圧制御装置によれば、駆動側リリーフ圧制御手段は、油
圧ポンプの容量およびエンジンスロットル開度に対応す
る最大駆動側リリーフ圧をリリーフ圧設定記憶手段から
読み出し、駆動側油路のリリーフ圧をこのようにして読
み出した最大駆動側リリーフ圧とするようにリリーフ圧
制御を行うので、実際の運転状態において、理論的に発
生し得る最大油圧以上の高圧が駆動側油路に発生したと
してもこの油圧はリリーフされてカットされる。このた
め、どのような運転状態においても、異常な(サージ的
な)駆動トルクが作用した場合等に発生する油圧ポンプ
の吐出油圧のサージ圧的な部分を駆動側リリーフ圧制御
手段によりカットでき、油圧ポンプおよびモータ間の滑
らかなトルク伝達が可能である。
【0138】なお、リリーフ圧設定記憶手段において、
エンジン出力を油圧ポンプに与えたときに発生し得る最
大駆動側リリーフ圧を、油圧ポンプの効率を加味して車
速およびエンジンスロットル開度に対応して求めたデー
タを記憶しておき、駆動側リリーフ圧制御手段は、車速
とスロットル開度に対応する最大駆動側リリーフ圧をリ
リーフ圧設定記憶手段から読み出し、駆動側油路のリリ
ーフ圧をこの最大駆動側リリーフ圧とするようにリリー
フ圧制御を行うようにすることもできる。この場合にお
いても、上記の場合と同様にサージ的なトルクを吸収し
てスムーズな動力伝達が可能となる。
【0139】ところで、エンジンの駆動トルクを一定と
した場合に、油圧閉回路内に発生する最大油圧は油圧ポ
ンプの容量が小さくなるのに応じて高くなり、この容量
が零となる近傍では最大油圧は理論的には無限大とな
る。このようなリリーフ圧設定を行ったのでは、閉回路
内の油圧が過度に高圧となり、装置がダメージを受ける
おそれがある。このため、最大リリーフ圧を油圧閉回路
を構成する部材に許容される最大許容油圧を越えないよ
うに設定するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用油圧式無段変速機の構成を
示す概略図である。
【図2】この油圧式無段変速機におけるポンプおよびモ
ータの斜板角度と総合速度比との関係を表すグラフであ
る。
【図3】この油圧式無段変速機における油圧閉回路およ
びその制御油圧回路系の構成を示す油圧回路図である。
【図4】上記制御油圧回路系に用いられるレギュレータ
バルブの構成を示す概略断面図である。
【図5】上記制御油圧回路系に用いられるモジュレータ
バルブの構成を示す概略断面図である。
【図6】第1リニアソレノイドバルブにおける制御電流
(I)と制御圧(Pc)との関係を示すグラフである。
【図7】レギュレータバルブにおける制御圧(P)とラ
イン圧(PL )との関係を示すグラフである。
【図8】上記制御油圧回路系に用いられるシャトルバル
ブの構成を示す概略断面図である。
【図9】上記制御油圧回路系に用いられる高圧リリーフ
バルブの構成を示す概略断面図である。
【図10】この高圧リリーフバルブによる高圧リリーフ
圧(PH )と第2及び第3リニアソレノイドバルブの制
御電流(I)との関係を示すグラフである。
【図11】油圧ポンプのバルブ板のバルブプレート面形
状および可変ノッチバルブ配設構成を示す概略図であ
る。
【図12】可変ノッチバルブの構成を示す概略断面図で
ある。
【図13】ポンプ及びモータの斜板の揺動角制御系を示
す油圧回路図である。
【図14】本発明に係る無段変速機の作動制御装置の構
成を示す概略図である。
【図15】この制御装置による制御内容を示すメインフ
ローチャートである。
【図16】車速およびエンジンスロットル開度(アクセ
ル開度)と目標エンジン回転数との関係を表すグラフで
ある。
【図17】メインフローにおける制御方法判断内容を示
すサブフローチャートである。
【図18】メインフローにおける角度制御内容を示すサ
ブフローチャートである。
【図19】メインフローにおける角度制御内容を示すサ
ブフローチャートである。
【図20】メインフローにおける角度制御内容を示すサ
ブフローチャートである。
【図21】運転席に設けられるクリープレバーとEXC
スイッチを示す側面図である。
【図22】クリープレバー操作量とポンプ斜板目標偏差
との関係を表すグラフである。
【図23】ポンプ及びモータ斜板角初期値を示す表図で
ある。
【図24】目標斜板角算出内容(ステップD12)を示
すサブフローチャートである。
【図25】第4リニアソレノイドバルブに加えられるべ
き目標偏差電流値と角度偏差との関係を表すグラフであ
る。
【図26】メインフローにおけるNe制御内容を示すサ
ブフローチャートである。
【図27】油圧式無段変速機におけるポンプおよびモー
タの斜板角度と、総合速度比と、制御領域との関係を表
すグラフである。
【図28】Ne制御サブフロー(図26)における制御
領域判断内容を示すサブフローチャートである。
【図29】この制御領域判断サブフロー(図28)にお
ける各領域制御内容をそれぞれ示すサブフローチャート
である。
【図30】Ne制御サブフロー(図26)において設定
される変速速度ゲイン係数と車速との関係を表すグラフ
である。
【図31】Ne制御サブフロー(図26)におけるポン
プ斜板制御内容を示すサブフローチャートである。
【図32】ポンプ用目標偏差電流と変速速度との関係を
表すグラフである。
【図33】第4リニアソレノイドバルブに加えられる目
標電流(ICMDp) と制御圧PCとの関係を表すグラフであ
る。
【図34】Ne制御サブフロー(図26)におけるモー
タ斜板制御内容を示すサブフローチャートである。
【図35】モータ用目標偏差電流と変速速度との関係を
表すグラフである。
【図36】第5リニアソレノイドバルブに加えられる目
標電流(ICMDm) と制御圧MCとの関係を表すグラフであ
る。
【図37】Ne制御サブフロー(図26)におけるロッ
クアップ制御内容を示すサブフローチャートである。
【図38】ロックアップ用目標偏差電流と変速速度との
関係を表すグラフである。
【図39】ロックアップ用目標電流とロックアップ制御
圧LCとの関係を表すグラフである。
【図40】メインフローにおけるリリーフ制御内容を示
すサブフローチャートである。
【図41】メインフローにおけるリリーフ制御内容を示
すサブフローチャートである。
【図42】車両進行方向および加減速条件に対応する第
1および第2油路内油圧の状態を示す表図である。
【図43】加速状態において用いられるポンプ斜板角度
と高圧リリーフ圧とエンジンスロットル開度との関係を
表すグラフである。
【図44】ポンプ斜板角とポンプ効率との関係をエンジ
ンスロットル開度に対応して示すグラフである。
【図45】加速状態において用いられる車速と高圧リリ
ーフ圧とエンジンスロットル開度との関係を表すグラフ
である。
【図46】車速とポンプおよびモータのトータル効率と
の関係をエンジンスロットル開度に対応して示すグラフ
である。
【図47】減速状態において用いられる車速と目標高圧
リリーフ圧との関係を表すグラフである。
【図48】特定条件の下で設定される目標高圧リリーフ
圧を示す表図である。
【図49】目標高圧リリーフ圧とこれを得るために必要
な第2および第2リニアソレノイドバルブの目標制御電
流との関係を表すグラフである。
【図50】メインフローにおける可変ノッチ制御内容を
示すサブフローチャートである。
【図51】ポンプ吐出量および発生高圧と可変ノッチバ
ルブの開閉制御との関係を示す表図である。
【図52】ポンプ斜板角度とポンプ吐出容量との関係を
表すグラフである。
【図53】本発明に係る無段変速機を用いた車両の動力
伝達系を表すスケルトン図である。
【図54】メインフローにおけるレギュレータ制御内容
を示すサブフローチャートである。
【図55】第1リニアソレノイドバルブの制御電流と高
圧側油路の油圧との関係を示すグラフである。
【図56】第1リニアソレノイドバルブの制御電流とラ
イン圧PL との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 機械伝動ユニット 2 無段変速ユニット 3 動力分割装置 4 動力伝達装置 5 終減速装置 24 油圧ポンプ 25 油圧モータ 26 油圧閉回路 32 ポンプ斜板 38 モータ斜板 60 レギュレータバルブ 65 モジュレータバルブ 70 シャトルバルブ 75 高圧リリーフバルブ 80 可変ノッチバルブ 84 ポンプコントロールバルブ 87 モータコントロールバルブ 93 ロックアップブレーキ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可変容量型の油圧ポンプと可変もしくは
    固定容量型の油圧モータとからなり、エンジンにより駆
    動された前記油圧ポンプの吐出油により前記油圧モータ
    を駆動し、前記油圧モータにより車両を駆動する車両用
    油圧式無段変速機において、 前記油圧ポンプの一方のポートと前記油圧モータの一方
    のポートとを繋ぐ第1油路および前記油圧ポンプの他方
    のポートと前記油圧モータの他方のポートとを繋ぐ第2
    油路から構成される油圧閉回路と、 前記第1油路および前記第2油路のうち、前記油圧ポン
    プの吐出油により前記油圧モータを駆動する状態のとき
    に高圧となる駆動側油路のリリーフ圧を制御する駆動側
    リリーフ圧制御手段と、 前記油圧ポンプの容量を検出する容量検出手段と、 前記エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開
    度検出手段と、 前記エンジンの出力に応じて求められる目標リリーフ圧
    を前記油圧ポンプの容量と前記エンジンのスロットル開
    度とに応じて予め定められたポンプ効率に基づいて補正
    し、このように補正された補正目標リリーフ圧を駆動側
    目標リリーフ圧として設定する駆動側目標リリーフ圧設
    定手段とを備え、 前記駆動側リリーフ圧制御手段は、前記駆動側油路のリ
    リーフ圧を、前記容量検出手段により検出された前記油
    圧ポンプの容量と前記スロットル開度検出手段により検
    出されたスロットル開度とに対応して前記駆動側目標リ
    リーフ圧設定手段により設定される駆動側目標リリーフ
    圧とすることを特徴とする車両用油圧式無段変速機のリ
    リーフ圧制御装置。
  2. 【請求項2】 少なくともいずれか一方が可変容量型の
    油圧ポンプおよび油圧モータからなり、エンジンにより
    駆動された前記油圧ポンプの吐出油により前記油圧モー
    タを駆動し、前記油圧モータにより車両を駆動する車両
    用油圧式無段変速機において、 前記油圧ポンプの一方のポートと前記油圧モータの一方
    のポートとを繋ぐ第1油路および前記油圧ポンプの他方
    のポートと前記油圧モータの他方のポートとを繋ぐ第2
    油路から構成される油圧閉回路と、 前記第1油路および前記第2油路のうち、前記油圧ポン
    プの吐出油により前記油圧モータを駆動する状態のとき
    に高圧となる駆動側油路のリリーフ圧を制御する駆動側
    リリーフ圧制御手段と、 前記車両の速度を検出する車速検出手段と、 前記エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開
    度検出手段と、 前記エンジンの出力に応じて求められる目標リリーフ圧
    を、前記車両の速度と前記エンジンのスロットル開度と
    に応じて予め定められたポンプ効率に基づいて補正し、
    このように補正された補正目標リリーフ圧を駆動側目標
    リリーフ圧として設定する駆動側目標リリーフ圧設定手
    段とを備え、 前記駆動側リリーフ圧制御手段は、前記駆動側油路のリ
    リーフ圧を、前記車速検出手段により検出された車速と
    前記スロットル開度検出手段により検出されたスロット
    ル開度とに対応して前記駆動側目標リリーフ圧設定手段
    により設定される駆動側リリーフ圧とすることを特徴と
    する車両用油圧式無段変速機のリリーフ圧制御装置。
  3. 【請求項3】 前記駆動側リリーフ圧制御手段は前記油
    圧閉回路を構成する部材に許容される最大許容油圧を越
    えないようにリリーフ圧制御を行い、前記駆動側目標リ
    リーフ圧設定手段により設定された駆動側リリーフ圧が
    前記最大許容油圧より大きいときには、前記駆動側油路
    のリリーフ圧を前記最大許容油圧とすることを特徴とす
    る請求項1もしくは2に記載の車両用油圧式無段変速機
    のリリーフ圧制御装置。
JP29191397A 1997-09-05 1997-10-24 車両用油圧式無段変速機のリリーフ圧制御装置 Pending JPH11125331A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010529378A (ja) * 2007-06-08 2010-08-26 オルビタル2 リミテッド 可変比トランスミッション

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