JPH11124721A - 易分解性デンプン含有ビスコースレーヨン繊維およびその製造法 - Google Patents

易分解性デンプン含有ビスコースレーヨン繊維およびその製造法

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JPH11124721A
JPH11124721A JP30940597A JP30940597A JPH11124721A JP H11124721 A JPH11124721 A JP H11124721A JP 30940597 A JP30940597 A JP 30940597A JP 30940597 A JP30940597 A JP 30940597A JP H11124721 A JPH11124721 A JP H11124721A
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starch
fiber
viscose rayon
fibers
cross
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JP30940597A
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Tomoki Koseki
関 智 樹 小
Osamu Inoue
上 修 井
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Teijin Ltd
SHINYEI KAISHA
Original Assignee
Toho Rayon Co Ltd
SHINYEI KAISHA
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 滲出デンプンによる結着の問題を伴わない、
優れた生分解性を持つデンプン含有ビスコースレーヨン
繊維の提供。 【解決手段】 繊維軸に直交する断面において断面周
辺部が断面中心部に比べて低デンプン含量である、デン
プン含有ビスコースレーヨン繊維、及び デンプンを溶解させたビスコースを、紡出ザンデー
ト繊維の脱水凝固及び凝固ザンデート繊維からのセルロ
ースの再生によるレーヨン繊維の形成を行う1浴又は複
数浴からなる紡糸浴に通して製造する方法において、セ
ルロースの再生後で再生セルロース繊維が未だ湿潤状態
にある間に、該再生セルロース繊維を、非アルカリ性水
からなり80℃以上の温度の浴に通して、再生セルロー
ス繊維の表面から含有デンプンを溶出させることからな
る、上記繊維の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】[発明の背景]
【発明の属する技術分野】この発明は、デンプンを含有
していて生分解性の向上したビスコースレーヨン繊維お
よびその製造法に関する。さらに具体的には、本発明
は、繊維軸に直交する繊維断面において含有デンプンの
賦存状態が、中心部に比べて周辺部が低濃度、典型的に
は実質的にデンプン不含、であるようにした、易分解性
デンプン含有ビスコースレーヨン繊維およびその製造法
に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースからなる人造繊維であるレー
ヨン繊維は、合成重合体からなる所謂合成繊維に比べれ
ばセルロース固有の生分解性を持つといえようが、この
生分解性も当該繊維の用途によっては不十分なことがあ
って、より一層の生分解性が求められることがある。
【0003】そのような易生分解性が求められるレーヨ
ン繊維の一つの用途として、レーヨン布からなる生ゴミ
収納袋がある。たとえば、台所で出される生ゴミは、ゴ
ミ処理機、たとえば厨芥処理装置に投入し、ゴミ処理機
を運転して、微生物により生ゴミを分解させることから
なる生ゴミ処理法が知られているが、従来のゴミ袋、た
とえば台所流しの三角コーナー水切り袋はゴミに比較し
て分解速度が遅いためこれを取り除き生ゴミのみ処理す
るのが一般的であった。しかし生ゴミ収納袋が易分解性
であれば、当該収納袋ごと生ゴミ処理機にかけられるの
で、取り扱い上あるいは衛生上便利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、現在生産ない
し使用されているレーヨン繊維はこのような用途に求め
られている程度には生分解性ではない。
【0005】ところで、デンプン含有レーヨン繊維は公
知である。すなわち、特開昭55−116814号公報
の記載によれば、デンプン含有レーヨン繊維は、40%
以上のアミロペクチン含量を持つデンプン粒子の水性ス
ラリーを形成し、該スラリーにNaOHを添加してアル
カリ性水性デンプン液をつくり、該液をデンプンの量が
約5〜100%(boc)となるような量でビスコース
と混合し、該デンプン含有ビスコースを繊維状に押出
し、押出されたビスコース中のセルロースを慣用法によ
り再生して繊維を作ること、を特徴とする方法によって
製造されるとされている(特許請求の範囲第1項)。
【0006】そして、この先行技術に係るデンプン含有
レーヨン繊維はヨウ素染色(デンプンの存在を示す)に
おいて、染色は繊維断面の全体にわたって均一であるこ
とが判明したとされており(同公報第4頁右下欄第15
〜18行)、また、この繊維はデンプンの分離に対して
抵抗性を持つとされている(同公報第5頁右上欄第4〜
12行)。
【0007】この先行技術はそれなりの提案をなしたと
はいえ、本発明者らが知る限りでは、いくつかの問題点
を内包しているようである。たとえば、デンプン含量が
多いときには、繊維表面へのデンプンの滲出があって、
このデンプン含有レーヨン繊維をレーヨン等価物として
利用する場合にこの滲出デンプンによって繊維が結着し
てしまって、繊維の体をなさないことが多い。
【0008】
【課題を解決するための手段】
[発明の概要]本発明は、この点に解決を与えることを
目的とするものであり、デンプン含有レーヨン繊維の繊
維軸方向に直交する断面でのデンプン含量について中心
から周辺部に向けて低減する濃度勾配を設けたデンプン
含有ビスコースレーヨン繊維を得させることによってこ
の目的を達成しようとするものである。 <要旨>従って、本発明によるデンプン含有ビスコース
レーヨン繊維は、その繊維軸に直交する断面において断
面周辺部が断面中心部に比べて低デンプン含量であるこ
と、を特徴とするものである。本発明の好ましい実施態
様では、繊維軸に直交する断面において断面周辺部が実
質的にデンプン不含である。
【0009】本発明は、また、デンプン含有ビスコース
レーヨン繊維の製造法を提供するものである。
【0010】すなわち、本発明によるデンプン含有ビス
コースレーヨン繊維の製造法は、デンプンを溶解させた
ビスコースを、紡出ザンテート繊維の脱水凝固および凝
固ザンテート繊維からのセルロースの再生によるレーヨ
ン繊維の形成を行なう1浴または複数浴からなる紡糸浴
に通してデンプン含有ビスコースレーヨン繊維を製造す
る方法において、セルロースの再生後で再生セルロース
繊維が未だ湿潤状態にある間に、該再生セルロース繊維
を、80℃以上の温度の実質的に非アルカリ性の熱水と
接触させることからなる熱水処理に付して、再生セルロ
ース繊維の表面から含有デンプンを溶出させて、繊維軸
に直交する断面において断面周辺部が断面中心部に比べ
て低デンプン含量となるデンプン濃度勾配を生じさせる
こと、を特徴とするものである。本発明の好ましい実施
態様では、繊維内の溶存デンプンの溶出によって、繊維
軸に直交する断面において断面周辺部が実質的にデンプ
ン不含となる。 <効果>本発明によるデンプン含有ビスコースレーヨン
繊維は、前記した先行技術のものと異なって、繊維軸に
直交する断面において溶存デンプン含量が中心部から周
辺部に向って低減する濃度勾配を持っており、好ましい
あるいは典型的な実施態様では、断面周辺部、すなわち
繊維表面部分は、実質的にデンプン不含である。その結
果、本発明によるデンプン含有ビスコースレーヨン繊維
は、滲出デンプンによる結着の問題を伴わない。この利
点は、このレーヨンをステープルとするときに特に顕著
である。短繊維でありかつステープル製造での開綿工程
で捲縮状態となりがちなステープルにあっては、ステー
プル自身の粘着性は乾燥ステープルを塊状化してしまっ
て綿状の開綿体を与えないからである。
【0011】前記先行技術(特開昭55−116814
号公報)ではデンプンの滲出はないとされていることか
ら(同公報第5頁左上欄第4〜12行)、本発明者らの
見出したこの事実は思いがけなかったことといえよう。
【0012】このような繊維内含有デンプンの濃度勾配
は熱水による含有デンプンの溶出によって行なうが、再
生工程後で再生セルロース繊維が未だ湿潤状態にあると
きに、従って紡糸後比較的短時間で、この熱水処理を行
なうので、熱水処理前までの滲出デンプンによる結着の
問題は事実上存在しない。前記先行技術がそのデンプン
含有レーヨン繊維(デンプン含量はセルロース繊維に対
して10%)の可溶化を促進する筈のNaOH水溶液
(1N)に浸漬(ただし、室温で約1/2時間)した場
合のデンプンの溶出が事実上認められなかったとしてデ
ンプンの分離に対して抵抗を持つことをこの先行デンプ
ン含有レーヨン繊維の特色としていることからすると、
本発明による熱水処理でデンプンを溶出させることがで
きたのは、前記先行技術からみて思いがけなかったこと
といえよう。
【0013】なお、繊維表面が実質的にデンプン不含で
ある本発明によるデンプン含有ビスコースレーヨン繊維
は、デンプンが繊維断面にわたって均一に分布している
前記先行技術によるデンプン含有ビスコースレーヨン繊
維に比べて同一デンプン含量において、生分解性に実質
的な差が見出せない(詳細後記)。微生物の作用が繊維
表面から及ぶことを考えれば、デンプン不含のスキンを
有する本発明デンプン含有ビスコースレーヨン繊維のこ
の性質もまた、思いがけなかったことといえよう。
【0014】
【発明の実施の形態】
[発明の具体的説明] 〔デンプン含有ビスコースレーヨン〕 <物理的特徴>本発明によるデンプン含有ビスコースレ
ーヨンは、前記の通りに定義されたものである。
【0015】すなわち、本発明によるデンプン含有ビス
コースレーヨン繊維は、その繊維軸に直交する断面にお
いて断面周辺部が断面中心部に比べて低デンプン含量で
ある、ということを特徴とするものである。
【0016】この繊維断面でのデンプンの賦存状態は、
デンプン含量が繊維中心から繊維表面に向けて低下する
濃度勾配を有する、ということもできる。あるいは、本
発明によるデンプン含有ビスコースレーヨン繊維は、そ
のデンプン含量ないし濃度に関して、所謂スキン‐コア
構造を有しているということもできる。なお、濃度勾配
といっても、必ずしも滑らかとは限らず、中心部で半径
方向の濃度がほぼ一定であってそこから周辺部が実質的
にデンプン不含という場合も濃度勾配の一具体例である
(この場合は、典型的なスキン‐コア構造となっている
ということができる)。
【0017】デンプン含有量は、(デンプン+セルロー
ス)重量基準で、10〜50重量%、好ましくは20〜
40重量%、である。
【0018】ビスコースレーヨン繊維の繊維軸に直交す
る断面は一般に凹凸の多い不規則な円形ないし偏平円形
である。本発明によるデンプン含有ビスコースレーヨン
繊維は、それが本質的には常法による紡糸を行なって得
られるビスコースレーヨンであることに相当して、同様
な凹凸の多い不規則な円形をなしているが、含有デンプ
ンの有意量を溶出させたことに相当して、凹凸の数およ
び(または)程度は一層増大している。
【0019】添付の第1図は、本発明によるデンプン含
有ビスコースレーヨン繊維の断面を示す顕微鏡写真(4
00倍)であって、断面をヨウ素溶液と接触させてデン
プンを紫色の発色させたものである。
【0020】繁言するように、本発明によるデンプン含
有ビスコースレーヨン繊維は、デンプンコアを有すると
いう点を除けばビスコースレーヨン繊維と本質的に変わ
らない。従って、その繊度は0.5〜20デニール程度
であり、強度は1〜3程度であり、またその長さに関し
ても事実上無限長のフィラメントから0.3〜20cm
の長さのステープルまで各種のものがあり得る。また、
延伸を行なったものでも、捲縮させたものでもありう
る。 <化学的特徴>本発明によるデンプン含有ビスコースレ
ーヨン繊維は、高デンプン含量コアを有するという点を
除けばその化学的本体は慣用のビスコースレーヨンと本
質的には変わらないといえる。
【0021】従って、そのセルロース成分は、ビスコー
ス法レーヨンに使用される原料(詳細後記)から出発し
て形成されたものであり、また慣用される添加剤、たと
えばダル化剤としてのTiO等の充填剤、強力レーヨ
ン用添加剤として知られるアミン類(1〜4級)、ジチ
オカーバメート類、トリチオカーボネート類、ポリアル
キレンオキシド類、その他、イオン性または非イオン性
ポリマー類、その他、を必要に応じて含有することがで
きる。
【0022】一方、デンプンは各種のものがありえて、
具体的には、たとえばコーンスターチ、ポテトスター
チ、その他が挙げられる。
【0023】なお、本発明によるデンプン含有ビスコー
スレーヨン繊維は、典型的にはデンプン含有ビスコース
の紡糸によって製造されるので、ビスコースの脱水凝固
およびセルロースの再生の過程でデンプンが何らかの変
性を受けているかもしれないが、この発明ではそのよう
な製法由来の変性物をも含めて「デンプン」と呼ぶこと
にする。 <用途>本発明によるデンプン含有ビスコースレーヨン
繊維は、含有デンプンによる易生分解性ならびに向上し
た吸湿生および染色性を有し、しかも含有デンプンによ
る結着性を伴わないので、フィラメント、ヤーン、ステ
ープル等として、あるいは織布または不織布として、そ
れ自身または他繊維と併用して、上記の特性を生かした
用途に使用することができる。
【0024】本発明によるデンプン含有ビスコースレー
ヨン繊維の最大の特徴は、易生分解性であるが、そのよ
うな特徴を生かした用途として、生ゴミ処理用のゴミ袋
がある。
【0025】最近、生ゴミ処理問題の対策商品として、
電気メーカー各社から微生物分解型の生ごみ処理機が上
市されていて、そのような処理機では微生物の床材とし
てセルロース系チップを使用し、そのセルロース系チッ
プの含水率が通常10〜70%で運用されるが、この分
解条件下では本発明によるデンプン含有ビスコースレー
ヨン繊維製のゴミ袋は、生ゴミを収納して処理機に投入
すると、微生物分解型生ゴミ処理機中の分解性が著しく
改善される。また、通常のレーヨン繊維を利用した製品
と比較して微生物分解型生ゴミ処理機の撹拌翼へまき付
き停止が低減される等の著しい効果が認められる。セル
ロース系チップの性能が低下して廃棄または堆肥として
利用される段階となっても、本発明による製品は、完全
に自然分解して、天然物に再生される。なお、そのよう
な処理機としては、たとえば特開平8−84980号お
よび同9−72660号公報を挙げることができる。 〔デンプン含有ビスコースレーヨン繊維の製造〕 <概要>本発明によるデンプン含有ビスコースレーヨン
繊維の製造法は、前記した通りに定義される。
【0026】前記したところから明らかなように、ビス
コースにデンプンを溶存させたことならびに再生セルロ
ース繊維を熱水処理に付して繊維のデンプンを繊維外に
溶出させることを除けば、本発明によるデンプン含有ビ
スコースレーヨン繊維の製造法は、慣用のビスコースレ
ーヨン繊維の製造法と本質的には異ならないといえる。
【0027】ビスコースレーヨン繊維の製造法は、フィ
ラメントないしヤーンおよびステープルのいずれについ
ても各種の刊行物に記載されていて周知となっている。
従って、本明細書においては、ビスコースレーヨン繊維
製造の一般的な事柄については公知刊行物にその記載の
一部を委ねることは許容されよう。そのような公知刊行
物として、たとえば「繊維便覧−原料編−」(昭和43
年11月40日 丸善株式会社発行)を挙げることがで
きる。 <原料>基本的原料の一つであるセルロースは、ビスコ
ース用セルロース原料として知られているものがいずれ
も使用可能であって、具体的には、ビスコースレーヨン
用として使用されることの多いα‐セルロース含量90
%以上のもの、が代表的である。強力レーヨンやポリノ
ジック用としてのα‐セルロース含量95%前後のもの
も、本発明の原料とすることができる。
【0028】デンプンもまたデンプンの範疇に属するも
のはその基本2成分であるアミロースおよびアミロペク
チンの含量にかかわらず、いずれも本発明で使用するこ
とができる。その供給源からいえば、サツマイモデンプ
ン、ジャガイモデンプン、小麦デンプン、トウモロコシ
デンプン、その他、がある。 <ビスコースの製造>本発明でのビスコースは、デンプ
ンを溶存させてあるという点で慣用のビスコースレーヨ
ン繊維製造用のそれと相違する。
【0029】デンプン含有ビスコースは、ビスコース形
成の合目的的な任意の過程でデンプンを導入することに
よって製造することができる。例えば、アルカリセルロ
ース製造過程において、たとえばセルロースパルプのア
ルカリ浸漬時、圧搾時および(または)粉砕時に、硫化
過程において、たとえば二硫化炭素添加時あるいはセル
ロースザンテート生成後に、あるいはビスコース形成過
程において、たとえばカセイソーダ添加によるセルロー
スザンテートの溶解時あるいはビスコース生成後に、行
なうことができる。
【0030】添加時のデンプンは、合目的的な任意の形
態にあることができる。たとえば、デンプン粉末をビス
コースに添加して、必要に応じて加熱する方法、デンプ
ンを予め温水に溶解させて糊化しておき、それをビスコ
ースに添加する方法、デンプンを予め常温または加熱ア
ルカリ水溶液に溶解させて糊化しておき、それをビスコ
ースに添加する方法、その他がありうる。
【0031】好ましい方法は、デンプンを予め糊化して
おいて(温水またはアルカリ水溶液)、それをビスコー
スに添加することからなる。
【0032】セルロース再生後の熱水処理でデンプンの
一部を溶出させるのであるから、ビスコースに導入する
デンプンの量は、生成デンプン含有ビスコースレーヨン
繊維に期待する含量(前記)よりも大きくなければなら
ないことはいうまでもない。上記のようにして製造した
デンプン含有ビスコースは、紡糸前に脱泡および濾過を
行なって紡糸時の糸切れの原因を除いておくことはいう
までもない。好ましくは老成ないし熟成を行なうことも
常法通りである。 <紡糸および附随工程>紡糸工程そのものも、紡糸原液
が上記のようなデンプン含有ビスコースであることを除
けば、基本的には慣用のビスコースレーヨンの製造のと
きのそれと変わらない。
【0033】従って、ビスコースの脱水凝固によるザン
テート繊維の形成過程および形成されたザンテート繊維
についてのセルロース繊維の形成過程を実施するため
の、これらの両単位過程を単一操作として行なう1槽ま
たは複数槽からなる浴あるいはこれら両単位過程のそれ
ぞれを別々の経時的操作として行なう各過程につき1槽
または複数槽からなる浴にビスコースを紡出し、必要に
応じて水洗および(または)酸洗を行なって、デンプン
含有ビスコースレーヨン原糸(熱水処理前の繊維をい
う)を得る。
【0034】ビスコースの脱水凝固浴およびセルロース
再生浴は、いずれも基本的には無機塩の酸性水溶液から
なり、無機塩としては硫酸ナトリウムおよび硫酸亜鉛
が、酸としては硫酸が、それぞれ典型的なものとして例
示することができる(さらなる詳細ならびに改変につい
ては、前記の「繊維便覧」を参照されたい)。
【0035】これらの浴は比較的低温であるが、強力レ
ーヨンの場合のように再生工程を延伸下に行なうときに
は、90℃程度の温度の浴を使用することもできる。
【0036】紡糸の附随工程としては、繊維の延伸、よ
り掛け、その他の繊維物性ないし外観に影響を与える操
作の外に、水洗、酸洗、その他の精練操作がある。 <含有デンプンの溶出>本発明の本質的な特徴は、上記
のようにして製造したデンプン含有ビスコースレーヨン
原糸を、それが紡糸工程以降で未だ湿潤状態にあるとき
に、80℃以上、好ましくは85℃以上、特に好ましく
は95℃以上、の熱水で処理して、原糸中に含有されて
いるデンプンを繊維表面から外部へ溶出させることにあ
る。デンプン溶出用の熱水は、被処理繊維の過度の捲縮
を防止するため非アルカリ性であるべきである。紡糸工
程でのビスコースの脱水凝固および(または)セルロー
スへの再生をより一層完成させるために、補完的に熱水
は前記紡糸浴に類似した組成のものであってもよいが、
無機塩を実質的に含まない単純な熱水あるいは酸性(た
とえば硫酸による)にした熱水であることがふつうであ
り、また好ましい。なお、熱処理を紡糸工程後で被処理
繊維が未だ湿潤状態のうちに行なうことから、熱処理浴
には被処理原糸に付着して無機塩が持込まれることがあ
るが、そのような持込み無機塩の存在は本発明による熱
水処理において「単純な熱水」の範疇に属するものとし
て許容されるものとする。
【0037】熱水処理は、フィラメントないしトウを熱
水浴に通すこと、あるいはフィラメントないしトウをロ
ーラーに捲取りつつ熱水と接触させること、その他、合
目的的な適切な方法によって実施することができる。デ
ンプン含有ビスコースレーヨン原糸を熱水浴に通過させ
る方法が好ましい。
【0038】熱水処理時間は、デンプン含有ビスコース
レーヨン原糸の表面から所望深さにデンプン含量が減
少、好ましくは少なくとも表面近傍が実質的にデンプン
不含、となるのに十分な時間である。この時間は、典型
的には、95℃の熱水浴(pH3)通過の場合には、5
〜20分である。
【0039】熱水処理は、繊維の延伸が生じない条件下
で行なうことが好ましい。延伸条件下で熱水処理を行な
うと、セルロース分子の延伸配向による剛直化によっ
て、該分子間にトラップされているデンプンの溶出が阻
害されがちであるからである。しかし、本発明によるデ
ンプン含有ビスコースレーヨン繊維が延伸されたもので
あってもよいことは前記したところであって、上記のよ
うに熱水処理/デンプン溶出の後に、延伸工程を実施す
ることは本発明の範囲内である。また、希望するなら
ば、熱水処理/デンプン溶出前に延伸を行なってもよ
い。 <後処理>熱水処理/デンプン溶出後は、常法に従って
ビスコースレーヨン繊維に施される各種の後処理、たと
えば水洗、酸洗、漂白、油剤処理、その他、を行なうこ
とができる。その詳細もまた前記「繊維便覧」その他に
見出すことができる。
【0040】
【実施例】実施例1 アルカリ濃度2重量%、デンプン10重量%のデンプン
水溶液(25℃)を調製した。このデンプン水溶液8リ
ットルとビスコースレーヨン紡糸原液10リットル(セ
ルロース分10重量%、アルカリ4.7重量%)を均一
に混合した。通常のレーヨン再生浴中(47℃、硫酸1
00g/リットル、硫酸亜鉛17g/リットル、ぼう硝
340g/リットル)にノズルを通して吐出して、約3
g/dの再生繊維/原糸を得た。得られた繊維/原糸を
90℃の熱水浴に浸漬し、5分間洗浄して、表面部のデ
ンプンを除去し、原糸内のデンプンを溶出させた。この
洗浄でデンプン添加量に対し約2〜4%のデンプンが除
去される。後、常法に従って、洗浄および漂白、油剤処
理、乾燥して得られた繊維を、過剰のヨ−ド溶液で染色
し、繊維横断面におけるデンプンの分布状態を観察し
た。結果は、添付の写真1に示した通りであった。
【0041】比較例1 実施例1と同様に、デンプン溶液とビスコースレーヨン
原液を混合し、再生浴中に吐出して、約3g/dの再生
繊維/原糸を得た。得られた繊維/原糸を60℃の温水
浴で10分間洗浄した。後、常法に従って、洗浄および
漂白、油剤処理、乾燥して得られた繊維を、過剰のヨ−
ド溶液で染色して、繊維横断面におけるデンプンの分布
状態を観察した。結果は、添付の写真2に示した通りで
あった。なお、この場合における温水浴でのデンプンの
除去率は0.5%以下であった。
【0042】<生分解性の評価>実施例1で得た3デニ
ール、40mmカットのステープル状のデンプン含有レ
ーヨン繊維をカード機に通して50g/m2目付けのウ
ェブにした。得られたウェブをニードルパンチ加工して
不織布化し、三洋電機(株)製生ゴミ処理機中での分解
性を調査した。48時間経過後に生分解を受けたサンプ
ルを目の開きが4.75mmのふるいで回収して分解率
を調べた。結果は下記の表の実施例1に示される通りで
ある。比較例1で得た3デニール、40mmカットのス
テープル状のデンプン含有レーヨン繊維を実施例1と同
様に加工して不織布化し分解性を調査した。結果は下記
の表の比較例1に示される通りである。常法により調製
したデンプンを含有しない3デニール、40mmカット
のビスコースレーヨン繊維を実施例1と同様に加工して
分解性を調査した。結果は下記の表の比較例2に示され
る通りである。 例 デンプン含有状態 不織布加工性 生分解性能 含有率 分布状態 48時間後の分解率 (wt%) (wt%) 実施例1 43 断面中心部に 良好 75 多く存在 比較例1 44 均一に存在 不良(カード 75 する 切れ多発) 比較例2 0 − 良好 5
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、滲出デンプンによる結
着の問題を伴わなず、優れた生分解性を持つデンプン含
有ビスコースレーヨン繊維が得られることは、〔発明の
概要〕の項において前記したところである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において得られた本発明によるデンプ
ン含有ビスコースレーヨン繊維の、繊維の形状(繊維軸
に直交する断面)を示す顕微鏡写真である。
【図2】比較例1において得られた繊維の、繊維の形状
(繊維軸に直交する断面)を示す顕微鏡写真である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】デンプン含有ビスコースレーヨン繊維であ
    って、その繊維軸に直交する断面において断面周辺部が
    断面中心部に比べて低デンプン含量であることを特徴と
    する、デンプン含有ビスコースレーヨン繊維。
  2. 【請求項2】デンプン含有量が、セルロースとデンプン
    の合計重量を基準にして10〜50重量%である、請求
    項1に記載のデンプン含有ビスコースレーヨン繊維。
  3. 【請求項3】繊維軸に直交する断面において断面周辺部
    が実質的にデンプン不含である、請求項1または請求項
    2に記載のデンプン含有ビスコースレーヨン繊維。
  4. 【請求項4】デンプンを溶解させたビスコースを、紡出
    ザンテート繊維の脱水凝固および凝固ザンテート繊維か
    らのセルロースの再生によるレーヨン繊維の形成を行な
    う1浴または複数浴からなる紡糸浴に通してデンプン含
    有ビスコースレーヨン繊維を製造する方法において、セ
    ルロースの再生後で再生セルロース繊維が未だ湿潤状態
    にある間に、該再生セルロース繊維を、80℃以上の温
    度の実質的に非アルカリ性の熱水と接触させることから
    なる熱水処理に付して、再生セルロース繊維の表面から
    含有デンプンを溶出させて、繊維軸に直交する断面にお
    いて断面周辺部が断面中心部に比べて低デンプン含量と
    なるデンプン濃度勾配を生じさせることを特徴とする、
    デンプン含有ビスコースレーヨン繊維の製造法。
  5. 【請求項5】熱水の温度が85℃以上である、請求項4
    に記載のデンプン含有ビスコースレーヨン繊維の製造
    法。
  6. 【請求項6】熱水の温度が90℃以上である、請求項4
    に記載のデンプン含有ビスコースレーヨン繊維の製造
    法。
  7. 【請求項7】熱水処理を、再生セルロース繊維を実質的
    に延伸しない条件下に実施する、請求項4〜6のいずれ
    か1項に記載のデンプン含有ビスコースレーヨン繊維の
    製造法。
  8. 【請求項8】熱水処理を、再生セルロース繊維を熱水浴
    に通過させることにより行なう、請求項4〜7のいずれ
    か1項に記載のデンプン含有ビスコースレーヨン繊維の
    製造法。
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