JPH11123452A - 丸管からの角管製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 角管四隅のコ−ナ−を均等にすることのでき
る丸管から角管の製造方法を確立する。 【解決手段】 水平ロールと垂直ロールのロール径が異
なるスケアリングスタンドで、丸管を角管に成形する角
管製造方法において、最終のスケアリングスタンドにお
けるリダクションを０．１５％以上、１．０％以下と
し、最終のスケアリングスタンドに供給する素管の縦長
比η＝Ｌ／Ｗ（Ｌは上下水平ロール間の素材の寸法、Ｗ
は左右垂直ロール間の素材の寸法）を、１．８以上と
し、かつ最終スタンド以外のスケアリングスタンドにお
ける左右の垂直ロールの胴部上下方向中心を結ぶ直線
が、成形中の被成形材料の断面中心よりも溶接部のある
側にずれて存在し、その垂直方向のずれ量Ｃと製品辺長
Ｄとの比Ｃ／Ｄが、０．５％を超え、５％未満である丸
管からの角管製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、丸管から角管を
製造する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】角管を製造する方法の一つとして、製造
された丸管を素材とし、成形ロールを使用して角管に成
形する方法がある。

【０００３】上述した角管の製造方法は、例えば図２に
示すように、電縫管製造設備のサイジングスタンドS1お
よびS2に引き続いて、複数基のスケアリングスタンドR
1、R2、R3およびR4を設け、これらのスケアリングスタ
ンドR1、R2、R3およびR4により、図３に示すように、丸
管２１から順次成形して角管２２を製造するようにして
いる。

【０００４】スケアリングスタンドは、図４に示すよう
に、上下１対の水平ロール３１と、左右に配置した１対
の垂直ロール３２とから構成され、一般に水平ロール３
１を駆動ロール、垂直ロール３２を無駆動ロールとして
いるため、スペース上水平ロール３１の径のほうが、垂
直ロール３２の径よりも大きくなっている。

【０００５】また、水平ロール３１と垂直ロール３２
は、水平ロール３１の回転軸と、垂直ロール３２の回転
軸が、同一の垂直平面内に位置するように配置されてい
る。

【０００６】上述したような複数基のスケアリングスタ
ンドにより、丸管から角管を製造する場合、水平ロール
３１の径のほうが、垂直ロール３２の径よりも大きいの
で、被成形材の水平ロール３１で成形される部分の成形
状態と、垂直ロール３２で成形される部分の成形状態と
は異なるので、コーナーＲの精度が悪くなるという問題
がある。

【０００７】このように丸管から角管を製造する過程に
おいて、コーナーＲの精度が悪くなるというメカニズム
を図５により説明すると、次のとおりである。すなわ
ち、図５においては、中心線Ａから上は水平ロール３１
で丸管４１が角形状に成形されている状態を側面から見
た図であり、中心線Ａから下は垂直ロール３２で丸管４
１が角形状に成形されている状態を側面から見た図であ
る。水平ロール３１の回転軸と垂直ロール３２の回転軸
とは、前述したように同一の垂直平面内に位置するよう
に配置されているので、水平ロール３１および垂直ロー
ル３２とも、丸管４１の成形終了位置は同一位置（水平
ロール３１の回転軸と垂直ロール３２の回転軸とを結ん
だ線Ｂ上）であるが、成形開始位置は水平ロール３１の
径が垂直ロール３２の径よりも大きいため、Ｌの長さだ
け早くなっている。すなわち、成形開始から成形終了ま
でに丸管４１がロールに接触している長さ（接触弧とい
う）は、水平ロール３１で成形される側が垂直ロール３
２で成形される側に比較して、略Ｌの長さだけ長くなっ
ている。このことにより、水平ロール３１で成形される
側のコーナー部の変形量は大きくなり、垂直ロール３２
で成形される側のコーナー部の変形量は小さくなる。そ
の結果、図６に示すように、水平ロール３１側のＳ値Ｘ
が、垂直ロール３２側のＳ値Ｙよりも小さくなるので、
コーナーＲの精度が悪くなるのである。なお、ここでい
うＳ値とは、隣り合う辺に定規を当てた場合に、一方の
定規の辺から他方の定規が成形後の角管に接触するまで
の距離をいい、コーナーＲの精度を評価する値として用
いている。

【０００８】また、角管製造の素管となる丸管は通常電
縫鋼管であり、この場合電縫鋼管の溶接部を上面側とな
るようにして成形する。このようにして成形すると、溶
接部が他の部分に比較して固いので、スケアリングスタ
ンドにおける材料の長手方向の予変形領域が、上面の辺
で長くなる傾向がある。すなわち、見かけ上の接触弧が
下面の辺よりも上面の辺のほうが長くなる傾向がある。

【０００９】このことに起因して、成形中の上側の２コ
ーナーと下側の２コーナーとでは変形過程が異なり、成
形後の角管の４つのコーナーのうち、上側の２コーナー
のＳ値Ｘが下側の２コーナーのＳ値Ｘよりも大きくなる
傾向がある。

【００１０】このような、コーナーＲの精度を向上させ
る技術として、特開昭６３−１６８２２３号公報に開示
された角管の製造方法がある。この方法は、水平ロール
と垂直ロールのロール径が異なるスケアリングスタンド
で、丸管を角管に成形する角管製造方法であって、スケ
アリングスタンドに供給する素管形状を楕円形とし、こ
の楕円形素管を、径の大きいロール間に短径が、径の小
さいロール間に長径が位置するように、スケアリングス
タンドに供給するものである。

【００１１】そして、このようにすることにより、径の
大きいロールの成形開始点と、径の小さいロールの成形
開始点が一致し、コーナーＲの精度が向上するというも
のである。

【００１２】また、特公平６−６１５７９号公報におい
ては、垂直ロールの軸芯を水平ロールの軸芯よりも成形
入口側にずらすという技術が開示れている。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特開昭６３−１６８２２３号公報に開示された角管の
製造方法においては、Ｓ値ＸがＳ値Ｙより大きいという
傾向を助長するという問題点があり、一概にコーナーＲ
の精度が向上するとはいえないという問題点がある。

【００１４】また、特公平６−６１５７９号公報に開示
された技術は、角管の辺の平坦度を改善できるという効
果はあるが、コーナーのＳ値ＸとＳ値Ｙの差がロール径
差に起因しているため、垂直ロールの軸芯を成形入口側
にずらしただけでは、Ｓ値ＸとＳ値Ｙの差を小さくする
という効果は期待できないという問題点がある。

【００１５】この発明は、従来技術の上述のような問題
点を解消するためになされたものであり、丸管から角管
を製造する際に、コーナーＲの精度、特に角管四隅のコ
ーナーＲを均等にすることのできる丸管から角管を製造
する方法を提供することを目的としている。

【００１６】

【課題を解決するための手段】この発明に係る丸管から
の角管製造方法は、水平ロールと垂直ロールのロール径
が異なるスケアリングスタンドで、丸管を角管に成形す
る角管製造方法において、最終のスケアリングスタンド
におけるリダクションを０．１５％以上、１．０％以下
とし、最終のスケアリングスタンドに供給する素管の下
記（１）式で求まる縦長比ηを、１．８以上とし、かつ
最終スタンド以外のスケアリングスタンドにおける左右
の垂直ロールの胴部上下方向中心を結ぶ直線が、成形中
の被成形材料の断面中心よりも溶接部のある側にずれて
存在し、その垂直方向のずれ量Ｃと辺長Ｄとの比Ｃ／Ｄ
が、０．５％を超え、５％未満であるものである。

【００１７】η＝Ｌ／Ｗ……（１） ただし、Ｌ：上下水平ロール間の素材の寸法 Ｗ：左右垂直ロール間の素材の寸法

【００１８】

【発明の実施の態様】本発明の実施の態様の丸管からの
角管製造方法を、図１により説明する。

【００１９】この角管製造方法においては、電縫鋼管製
造設備により製造した５００ｍｍ径×１２ｍｍ厚の丸鋼
管を、サイジングスタンドで整径した後、Ｒ１〜Ｒ４の
４基のスケアリングスタンドを用いて、４００角×１
２、０ｍｍ厚の角鋼管を製造した。このときのＲ１〜Ｒ
４のスケアリングスタンド出側における被成形材の大き
さ（上下方向寸法Ｖと水平方向寸法Ｈ）は、表１の通り
である。

【００２０】

【表１】

【００２１】上述のようにして成形した角鋼管のＳ値
を、図１に示す角鋼管１の四隅１ａ、１ｂ、１ｃおよび
１ｄのそれぞれにつき調べた。なお、Ｓ値の改善の度合
いは、前記図６で示した水平方向のＳ値Ｘと、垂直方向
のＳ値Ｙとがあるが、各Ｓ値の最大差を管厚ｔで除した
値により判定した。

【００２２】上記調査結果を、表２に示す。

【００２３】

【表２】

【００２４】また、従来の製造方法におけるＲ１〜Ｒ４
のスケアリングスタンド出側の被成形材の大きさを表３
に、そのときのＳ値を表４に示す。

【００２５】

【表３】

【００２６】

【表４】

【００２７】なお、表４における四隅部の符号は、ｕ
ａ、ｕｂが上部の２コーナー、ｄａ、ｄｂが下部の２コ
ーナーを意味する。

【００２８】上記した表１〜表４から、Ｒ４入側におけ
る被成形材の寸法（縦×横の寸法）を大きくし、かつ縦
長比（縦寸法／横寸法）を大きくすることにより、水平
方向のＳ値Ｘと、垂直方向のＳ値Ｙとの間に差がなくな
り、コーナーＲが均等化されたことが分かる。

【００２９】

【発明の効果】この発明により、丸管からの角管製造方
法において、コーナーＲの均等化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】Ｓ値測定カ所を示す角管の横断面図である。

【図２】角管の製造方法を示す説明図である。

【図３】丸管から順次成形して角管を製造する工程を示
す工程図である。

【図４】スケアリングスタンドの正面図である。

【図５】水平ロールと垂直ロールで角形成形開始点がず
れることを説明した説明図である。

【図６】Ｓ値を説明する説明図である。

【符号の説明】

１ 角鋼管 １ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄ 角鋼管の四隅

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水平ロールと垂直ロールのロール径が異
   なるスケアリングスタンドで、丸管を角管に成形する角
   管製造方法において、最終のスケアリングスタンドにお
   けるリダクションを０．１５％以上、１．０％以下と
   し、最終のスケアリングスタンドに供給する素管の下記
   （１）式で求まる縦長比ηを、１．８以上とし、かつ最
   終スタンド以外のスケアリングスタンドにおける左右の
   垂直ロールの胴部上下方向中心を結ぶ直線が、成形中の
   被成形材料の断面中心よりも溶接部のある側にずれて存
   在し、その垂直方向のずれ量Ｃと製品辺長Ｄとの比Ｃ／
   Ｄが、０．５％を超え、５％未満であることを特徴とす
   る丸管からの角管製造方法。 η＝Ｌ／Ｗ……（１） ただし、Ｌ：上下水平ロール間の素材の寸法 Ｗ：左右垂直ロール間の素材の寸法