JPH11123201A - 顎運動シミュレータおよび顎運動シミュレートシステム - Google Patents

顎運動シミュレータおよび顎運動シミュレートシステム

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JPH11123201A
JPH11123201A JP28999697A JP28999697A JPH11123201A JP H11123201 A JPH11123201 A JP H11123201A JP 28999697 A JP28999697 A JP 28999697A JP 28999697 A JP28999697 A JP 28999697A JP H11123201 A JPH11123201 A JP H11123201A
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JP
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lower jaw
jaw
model
fixed
movement
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Application number
JP28999697A
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English (en)
Inventor
Susumu Fukushima
晋 福島
Masanao Ohashi
正尚 大橋
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Ono Sokki Co Ltd
Original Assignee
Ono Sokki Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、上顎を型取った上顎モデルと下顎を
型取った下顎モデルが取り付けられ、上顎モデルに対し
下顎モデルを相対的に動かす顎運動シミュレータ、およ
び被検者の顎の動きを撮影して得たデータに基づいて上
記の顎運動シミュレータにその被検者の顎の動きを再現
させる顎運動シミュレートシステムに関し、顎の運動を
高精度にシミュレートする。 【解決手段】パラレルメカニズムにより6自由度を持た
せた稼動プレート40に下顎モデル310を固定してお
き、人体の顎の動きから得たデータに基づいてその下顎
モデル310を動かす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上顎を型取った上
顎モデルと下顎を型取った下顎モデルが取り付けられ、
上顎モデルに対し下顎モデルを相対的に動かす顎運動シ
ミュレータ、および被検者の顎の動きを撮影して得たデ
ータに基づいて上記の顎運動シミュレータにその被検者
の顎の動きを再現させる顎運動シミュレートシステムに
関する。
【0002】
【従来の技術】歯科領域、特に補綴の分野において、上
歯(上顎)と下歯(下顎)をそれぞれ型取り、それらの
型(ここでは、それらを、それぞれ上顎モデル、下顎モ
デルと称する)を、顎の運動を模擬した咬合器に取り付
けて上歯と下歯との咬み合わせの様子を調べることが行
なわれており、その咬み合わせの様子に応じて適切な形
状の補綴物(例えば義歯等)が作製される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図1は、人体の顎の部
分の模式図である。上顎2と下顎3は顆頭4を関節とし
て結合しているが、下顎3は、上顎2に対し、口を単純
に上下に開閉する動作のほか、下顎3を上顎2に対し前
後に動かしたり左右に動かしたり、口を斜めに開いたり
など、様々な動きを行なうことができ、顆頭4はこれら
様々な動きを実現することができる複雑な関節となって
いる。しかもこの顆頭の形状や動きは各人によりそれぞ
れ異なっている。
【0004】従来、上顎モデルと下顎モデルを取り付け
てそれらの咬合の様子を観察するための咬合器には、例
えば口の単純な開閉動作のみを行なうことのできる平線
咬合器や、顆頭4を含めた上顎2や下顎3の骨格を模擬
し、人体の顆頭に相当する部分に人体の顆頭と同様な自
由度を持たせた全調節性咬合器や、それらの中間に位置
する自由度を持たせた咬合器など、様々な咬合器が考案
されているが、大きな自由度を持たせるほど人間の顎の
動きと同様な動きを再現できるものの、そのような再現
性の高い動きを実現するための調節が極めて大変であ
り、歯科医師や歯科技工師の経験や勘に基づく調整が行
なわれ、どうしても多数の人の平均的な顎の動きが再現
される結果となり、各人各人の顎の動きを正確に再現す
ることは極めて困難である。このように咬合器を用いて
顎の動きを再現させても各人の顎の動きに完全には合致
しない部分が残ることから、補綴物の作製にあたっては
どうしても歯科医師や歯科技工師の経験に頼る部分が残
る結果となっている。
【0005】また、顎の動きや歯の咬み合わせの異常か
ら肩こりや頭痛、めまいといった症状があらわれること
があり、近年、それらの症状の原因が顎の動きなどにあ
ることを如何にして把握するかが1つの課題となってい
るが、この課題の解決のためには、その個人の顎の運動
を正確に再現することのできる装置が必要となる。本発
明は、上記事情に鑑み、顎運動を正確にシミュレートす
ることができる顎運動シミュレータ、およびその顎運動
シミュレータを使い、被検者の顎の動きを正確に再現す
ることのできる顎運動シミュレートシステムを提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の顎運動シミュレータは、上顎の少なくとも一部分を
型取った上顎モデルと下顎の少なくとも一部分を型取っ
た下顎モデルが取り付けられ、上顎モデルに対し下顎モ
デルを相対的に動かす顎運動シミュレータにおいて、 (1−1)基体 (1−2)下顎モデルが固定される下顎固定部 (1−3)上記基体に対する下顎固定部の三次元空間内
の位置および姿勢の変更が自在に、その下顎固定部を支
持する下顎固定部支持部材 (1−4)下顎固定支持部材を動かすことにより下顎固
定部の位置および姿勢を動かす下顎駆動手段 (1−5)所定の初期位置および初期姿勢にある下顎固
定部に固定された下顎モデルに対し上顎モデルが所定の
位置関係に固定される、上記基体に固定された上顎固定
部 (1−6)上顎に対する下顎の相対的な位置および姿勢
をあらわすデータに基づいて、下顎固定部に固定された
下顎モデルがそのデータに応じた位置および姿勢となる
ように下顎駆動手段を制御する下顎制御手段 を備えたことを特徴とする。
【0007】ここで、上記本発明の顎運動シミュレータ
において、下顎固定部支持部材が、下顎固定部を、相互
に異なる6箇所で支持する6本のリンクを有し、下顎駆
動手段が、それら6本のリンクそれぞれを独立に駆動す
るものであることが好ましい。この場合に、上記6本の
リンクそれぞれが、下顎固定部との間にボールジョイン
トを介してその下顎固定部に結合されたものであり、下
顎駆動手段が、それら6本のリンクそれぞれに対応して
1台ずつ備えられた、それぞれが、モータと、そのモー
タの回転軸に固定されるとともに対応する1本のリンク
にボールジョイントを介して接続され、その回転軸の回
転に伴って回転する回転部材とを有する、合計6台の下
顎駆動装置を有するものであることが好ましい。
【0008】また、上記本発明の顎運動シミュレータに
おいて、上記下顎固定部に対する下顎モデルの固定位置
を求める下顎モデル固定位置演算手段を備え、上記下顎
制御手段が、上記データとともに、下顎モデル固定位置
演算手段により求められた、下顎モデルの固定位置をあ
らわすデータに基づいて、下顎駆動手段を制御するもの
であることが好ましい。
【0009】この場合に、上記下顎固定部に固定された
下顎モデルが接触したことを検知する接触検知プローブ
と、下顎モデルがその接触検知プローブに接触した時点
における下顎固定部の位置および姿勢を検知するセンサ
とを備え、下顎モデル固定位置演算手段が、上記センサ
により検知された位置および姿勢に基づいて、下顎固定
部に対する下顎モデルの固定位置を求めるものであるこ
とも好ましい形態である。
【0010】あるいは、上記下顎固定部に固定された下
顎モデルが接触したことを検知する接触検知プローブ
と、下顎固定部に固定された下顎モデルを動かすための
操作子とを備えるとともに、下顎制御手段が、上記操作
子の操作を受けて下顎駆動手段を制御するものであっ
て、下顎モデル固定位置演算手段が、下顎モデルが接触
検知プローブに接触した時点における下顎固定部の位置
および姿勢に基づいて、下顎固定部に対する下顎モデル
の固定位置を求めるものであることも好ましい形態であ
る。
【0011】さらに、上記本発明の顎運動シミュレータ
において、上記下顎固定部が、下顎固定部支持手段に支
持された第1の部分と、下顎モデルが固定される、上記
第1の部分とは位置の異なる第2の部分とを有するもの
であることも好ましい形態であり、あるいは、上記下顎
固定部が、下顎固定支持手段に支持された第1の部材
と、下顎モデルが固定される第2の部材と、第1の部材
に固定され、その第1の部材に対し上記第2の部材を上
下方向に回動させる回転関節とを備えたものであること
も好ましい形態であり、さらには、上記6本のリンクを
備えた形態の場合に、それら6本のリンクそれぞれに対
応して備えられ、対応するリンクをそのリンクの長手方
向に伸縮させるリニアアクチュエータを有すことも好ま
しい形態である。
【0012】さらに、上記本発明の顎運動シミュレータ
において、上記下顎固定部のガタつきを除去もしくは低
減する引っ張りバネを備えることが好ましい。さらに、
上記本発明の顎運動シミュレータにおいて、上記上顎固
定部に固定された上顎モデルと上記下顎固定部に固定さ
れた下顎モデルを咬み合わせたときの、それら上顎モデ
ルと下顎モデルとの最初の接触に起因する力による荷重
を少なくとも3点で測定する複数の荷重センサと、複数
の荷重センサにより測定された荷重に基づいて、上顎モ
デルと下顎モデルの、咬合時の最初の接触点を求める接
触点演算手段とを備えることが好ましい。
【0013】また、上記本発明の顎運動シミュレートシ
ステムは、(2−1)被検者の顎の動きを撮影する顎運
動撮影装置であって、被検者を相互に異なる方向から撮
影する複数台のカメラと、それら複数台のカメラそれぞ
れにより視認される、撮影により得られた画像上で座標
計測の指標となる所定のターゲットを相互に異なる少な
くとも3点に有する、被検者の頭部に取着されるヘッド
フレームと、それら複数台のカメラそれぞれにより視認
される、撮影により得られた画像上で座標計測の指標と
なる所定のターゲットを相互に異なる少なくとも3点に
有する、被検者の下顎に固定される下顎用フレームとを
備えた顎運動撮影装置、(2−2)頭部に上記ヘッドフ
レームが固定されるとともに下顎に上記下顎用フレーム
が固定されてなる被検者を複数台のカメラで撮影したと
きに得られる画像上でターゲットを検出しその画像上で
のターゲットの位置に基づいて、その被検者の、頭部を
基準としたときの下顎の位置および姿勢をあらわすデー
タを求める顎運動演算装置、(2−3)上顎の少なくと
も一部分を型取った上顎モデルと下顎の少なくとも一部
分を型取った下顎モデルが取り付けられ、上顎モデルに
対し下顎モデルを相対的に動かす顎運動再生装置であっ
て、基体と、下顎モデルが固定される下顎固定部と、基
体に対する下顎固定部の三次元空間内の位置および姿勢
の変更が自在に、その下顎固定部を支持する下顎固定部
支持部材と、下顎固定支持部材を動かすことにより下顎
固定部の位置および姿勢を動かす下顎駆動手段と、所定
の初期位置および初期姿勢にある下顎固定部に固定され
た下顎モデルに対し上顎モデルが所定の位置関係に固定
される、上記基体に固定された上顎固定部とを備えた顎
運動再生装置、(2−4)顎運動演算装置により求めら
れたデータに基づいて、顎運動再生装置の下顎駆動手段
を制御することにより、その顎運動再生装置の下顎固定
部に固定された下顎モデルに被検者の下顎の運動を再現
させる顎運動再生制御装置を具備したことを特徴とす
る。
【0014】
【発明の実施の形態】ここでは、先ず、被検者の顎運動
を提供する顎運動撮影装置の一例と、その撮影により得
られた画像に基づいて下顎の運動をあらわすデータを求
める下顎運動演算装置の一例について説明し、その後、
顎運動シミュレータについて説明する。
【0015】図2は、顎運動撮影装置を構成するヘッド
フレームの一形態を示す模式図である。この図2に示す
ヘッドフレーム17は、その全体が被検者1の頭部に装
着されるようになっており、ヘッドフレーム17が頭部
に装着された際の前頭部に対応する位置と、頭部左右の
耳の上部であって、頭頂よりも高い位置との合計3箇所
に、座標計測の指標となるターゲットとしてLED17
A,17B,17Cが固定されている。
【0016】ここでは、これら3つのLED17A,1
7B,17Cを点灯させて2台のCCDカメラで撮影を
行ない、画像信号に基づいてこれら3つのLED17
A,17B,17Cの三次元座標を定め、これらの三次
元座標により、頭部(上顎)の座標系が定められる。図
3は、顎の動きを計測している状態の室内の様子を示す
模式図、図4は、顎の動きの計測のためにヘッドフレー
ムおよび下顎用フレームを取り付けた様子を示す模式図
である。
【0017】頭部には、図2に示もすヘッドフレーム1
7が固定されている。このヘッドフレーム17には、前
述したように、前頭部と、頭部左右の頭頂よりも高い位
置にそれぞれ1つずつ、合計3つのLED17A,17
B,17Cが配置されている。また、口の中の下歯には
下顎用フレーム18が固定されている。この下顎用フレ
ーム18にも、口の前、および左右の耳の下の位置にそ
れぞれ1つずつ合計3つのLED18A,18B,18
Cが配置されている。
【0018】ポインタペン19には2つのLED19
A,19Bが埋め込まれており、このポインタペン19
により被検者1の一点を指示するとそのときのLED1
9A,19Bの位置が計測され、それらのLED19
A,19Bの位置座標からポインタペン19の先端19
aの位置が求められる。図4に示すようなヘッドフレー
ム17および下顎用フレーム18を装着した被検者1
を、図3に示すように椅子に座らせ、縦並びに配置され
た2台のCCDカメラ12,14により、被検者1が撮
影され、これにより得られた画像信号がコンピュータシ
ステム20に入力され、LED17A,17B,17
C;18A,18B,18Cの各位置が求められ、それ
らの位置に基づいて上顎に対する下顎の動きが計測され
る。ここでは、ヘッドフレーム17、下顎用フレーム1
8、および2台のCCDカメラ12,14により、顎運
動撮影装置10が構成されている。
【0019】CCDカメラ12,14の配置位置を、図
3に示すような縦並びではなく、横並びに配置したとす
ると、それらのCCDカメラ12,14は、被検者1を
斜め横から睨むこととなるが、ここでは、CCDカメラ
12,14を縦並びに配置したことから、2台のCCD
カメラ12,14のいずれもが被検者1を正面から撮影
することとなり、ヘッドフレーム17の左右のLED1
7B,17Cが頭頂よりも上方に位置することと相俟っ
て、被検者1が動いたときの、LED17A,17B,
17CのいずれかがCCDカメラ12,14のいずれか
で撮影されなくなってしまい、その結果上顎もしくは下
顎の座標系を定めることができなくなってしまう事態に
至るまでの余裕度が極めて大きくなる。
【0020】尚、図3に示すコンピュータシステム20
は、本発明にいう顎運動演算装置と顎運動再生制御装置
とを兼ねており、このコンピュータシステム20の顎運
動演算装置の機能に着目したときは、このコンピュータ
システム20を顎運動演算装置21と称し、このコンピ
ュータシステム20の顎運動再生制御装置の機能に着目
したときは、このコンピュータシステム20を顎運動再
生制御装置22と称する。
【0021】次に、図3に示す顎運動演算装置21内で
実行される、上記のような、2台のカメラ12,14に
よる撮影に得られた画像上のターゲット位置から、上顎
を基準としたときの下顎の動きをあらわすデータの求め
方について説明する。図3に示す顎運動撮影装置および
顎運動演算装置では以下に説明するステレオ法が応用さ
れている。
【0022】図5は、ステレオ法による三次元座標計測
方法の一例を模式的に示した図である。互いに所定の距
離dだけ離れた2台のCCDカメラ12,14により被
写体6を撮影する。このとき、被写体6上の一点Pの、
2台のCCDカメラ12,14による各撮影画面上の各
像点の二次元座標と、点Pの実際の三次元座標(これを
ワールド座標と称する)との間の座標変換式を求め得る
場合、上記像点の二次元座標から点Pのワールド座標を
求めることができる。
【0023】図6は、上記座標変換式の求め方を説明す
るための、ピンホールカメラに基づいた透視変換モデル
を表わした図である。2本の直線13,15(図5参
照)の交点によって3次元空間の1点P(ターゲット
点)が決定できその座標は任意のワールド座標系で記述
できる。よって2台のカメラ12,14の視線がなす直
線などを数式化し、得られた方程式を連立させることに
よってそれらの交点つまりターゲット点Pの座標を求め
ることができる。ここではカメラのレンズによる結像光
学系をモデル化しそのモデルを透視変換モデルと呼ぶ。
カメラに関するパラメータとしてはその位置、姿勢、画
角などがある。
【0024】カメラを理想化したこの透視変換モデル
は、レンズ面の中心にピンホールが開いたものであり、
視線はこの点を通る1本の直線として定義される。ガラ
スレンズを用いた一般の結像系も、歪曲収差が無視でき
るほど小さい場合、この簡易なモデルで表現できる。実
際のカメラは対象−レンズ−結像面と配置されている
が、これでは像が逆転してわかりにくいため、ここでは
仮想的に結像面をレンズの前に置き、対象−結像面−レ
ンズと配置する。結像面をカメラに固定した座標系の基
準に考えているため、結像面Iの中心を座標系の原点と
する。
【0025】空間内のある1点P(X,Y,Z)を結像
面Iへ透視した点P’(Xc,Yc,Zc)、すなわち
測定点Pへ向かっている視線と結像面との交点は、
【0026】
【数1】
【0027】但しα≡f/(f+Z) で与えられる。また、表現を変えれば Xc=fX/(f+Z), Yc=fY/(f+Z), Zc=0 …(2) と表される。透視変換はこのように非線形な変換である
が、3次元の座標を媒介する変数を一つ加え、1次元高
めた表現を用いることにより、線形化することができ
る。これは同次座標系(homogeneous co
ordinates)と呼ばれている。3次元の点
(X,Y,Z)を、次のようにWhを媒介とする4次元
の点(Xh,Yh,Zh,Wh)で表現したものが同次
表現である。
【0028】 X=Xh/Wh, Y=Yh/Wh, Z=Zh/Wh …(3) この同次座標系により、透視変換は
【0029】
【数2】
【0030】の4×4の行列演算で記述することができ
る。上記の透視変換は点Pと点P’が共にカメラに固定
した座標系で表現されているときに適用できるものであ
るが、一般的には測定対象である点Pはワールド座標系
で表わされ、点P’はカメラ中心を原点としカメラから
みた座標系であるカメラ座標系で表わされる。この二つ
の座標系を関係づける変換Tは、同次座標系表現では回
転と平行移動を含めて、
【0031】
【数3】
【0032】で表わすことができる。ワールド座標系で
の点Pからカメラ座標系での点P’への変換は、
【0033】
【数4】
【0034】と表わすことができる。カメラ座標系での
結像面はZch=0なので、結像面上での二次元座標
(Xc,Yc)、つまり入力画像中での画素の位置で上
記の式を簡略化すると、
【0035】
【数5】
【0036】と記述される。この3×4のCa行列がカ
メラパラメータである。次にこのパラメータをキャリブ
レーションする方法について述べる。図7は、カメラパ
ラメータのキャリブレーションのための校正体をモデル
化して示した図である。
【0037】カメラパラメータを求めるには通常図7に
示されるような3次元形状が既知の校正体、すなわち図
7の点1〜点8のようにワールド座標系での座標が既知
の基準となる物体を利用しそれを3次元計測することに
よってパラメータをキャリブレーションする。式(7)
を展開して整理すると、 Ca11X+Ca12Y+Ca13Z+Ca14−Ca31(ベクトルXc) −Ca32YXc−Ca33ZXc−Ca34Xc=0 Ca21X+Ca22Y+Ca23Z+Ca24−Ca31XYc−Ca32 (ベクトルYc)−Ca33ZYc−Ca34Yc=0 …(8) の二つの式が成立する。
【0038】従ってカメラパラメータCa11からCa34
まで12個の未知数を求めるにはワールド座標系で基準
となる点(X,Y,Z)とそれに対応するカメラ座標系
での位置(Xc,Yc)の組が6組以上であればよいこ
とになる。通常、キャリブレーションの精度を高めるた
めに6個を越える多数の基準点を用い、最小2乗法によ
ってパラメータを同定する。n点の基準点のワールド座
標(Xi,Yi,Zi)とそれに対応するカメラ座標
(Xci,Yci)が既知であればCa34=1と置くこ
とにより
【0039】
【数6】
【0040】となる。これを Aa・Ca=Ra …(10) と表わせば、最小2乗法により Ca=(Aat Aa)-1Aat Ra …(11) となりカメラパラメータがキャリブレーションされる。
【0041】以上のようにしてカメラパラメータを求め
た後、今後はカメラの視野内に、校正体に代えて三次元
座標が未知の被測定体(ターゲット)を配置し、このタ
ーゲットの3次元座標(=ワールド座標系でのターゲッ
ト座標)(X,Y,Z)を撮影によって得られたカメラ
座標系のターゲット座標(Xc,Yc)から算出する場
合について考察する。
【0042】式(7)を展開して整理すると、 (Ca11−Ca31Xc)X+(Ca12−Ca32Xc)Y +(Ca13−Ca33Xc)Z=Ca34Xc−Ca14 (Ca21−Ca31Yc)X+(Ca22−Ca32Yc)Y +(Ca23−Ca33Yc)Z=Ca34Yc−Ca24 …(12) となる。上記の式は未知数がX,Y,Zの3個であるの
に対し式の本数が2本であるため一意には解けず解は1
本の直線となりターゲットがこの直線に乗っていること
がわかるのみである。
【0043】そこで空間上の異なる位置に置かれたもう
一つのカメラによる測定結果を同時に用いる。こちらの
カメラについてもあらかじめカメラパラメータBa11
Ba 34をキャリブレーションしておく。こちらのカメラ
で得られたカメラ座標系のターゲット座標を(Xb,Y
b)とすると下式が得られる。 (Ba11−Ba31Xb)X+(Ba12−Ba32Xb)Y +(Ba13−Ba33Xb)Z=Ba34Xb−Ba14 (Ba21−Ba31Yb)X+(Ba22−Ba32Yb)Y +(Ba23−Ba33Yb)Z=Ba34Yb−Ba24 …(13) (12),(13)式をまとめて行列の形式で表わすと
【0044】
【数7】
【0045】となり、ここで
【0046】
【数8】
【0047】とおけば(14)式は Fa=Qa・Va …(16) と行列演算の形で表現できる。したがってQaの逆行列
が存在するならば Va=Qa-1Fa となりワールド座標系のターゲット座標が求められる。
【0048】以上に説明したステレオ法を応用し、ワー
ルド座標系に対する、上顎に固定された上顎座標系を決
定し、次に下顎に固定された下顎座標系で与えられた任
意点の座標を上顎座標系での座標値に変換することによ
り、上顎を基準としたときの下顎の動きを求めることが
できる。以下、この手法を具体的に説明する。 [ワールド座標により与えられた任意点の座標値を上顎
座標系での座標値に変換する。]図8は、ワールド座標
系と上顎座標系を示した図、図9は、ワールド座標系と
下顎座標系を示した図、図10は、上顎座標系と下顎座
標系を示した図である。
【0049】ワールド座標を(0g −Xggg )、
上顎座標を(0g ’−Xg ’Yg ’Zg ’)とする。任
意点Pのワールド座標系での座標値を(xg ,yg ,z
g )、上顎座標系での座標値を(xg ’,yg ’,z
g ’)とする。ワールド座標系および上顎座標系は、い
ずれも直交座標であるので、点Pの座標値(xg ,y
g ,zg )と(xg ’,yg ’,zg ’)には次の関係
が成立する。
【0050】
【数9】
【0051】ここで(gx ,gy ,gz )はワールド座
標系での上顎座標原点0g ’の座標値、(C11,C12
13)はワールド座標系でのXg ’軸単位ベクトルの成
分、(C21,C22,C23)はワールド座標系でのYg
軸単位ベクトルの成分、(C 31,C32,C33)はワール
ド座標系でのZg ’軸単位ベクトルの成分である。式
(18)を行列式で表すと式(19)になる。
【0052】
【数10】
【0053】ワールド座標系と上顎座標系は、いずれも
直交座標であるから、式(20)は、
【0054】
【数11】
【0055】とも表わすことができる。上顎座標(0
g ’−Xg ’Yg ’Zg ’)のXg ’軸と、ワールド座
標(0g−Xggg )のXg 軸,Yg 軸,Zg 軸そ
れぞれとのなす角を、ηx ,ηy,ηz とする。また上
顎座標のYg ’軸と、ワールド座標のXg 軸,Yg 軸,
g 軸それぞれとのなす角をθx ,θy ,θz 、上顎座
標のZg ’軸と、ワールド座標のXg 軸,Yg 軸,Zg
軸それぞれとのなす角をιx ,ιy ,ιz とすると、C
11,C21,C31,C12,C22,C32,C13,C23,C33
は次のようになる。
【0056】 (C11,C21,C31)=( cosηx , cosηy , cosηz ) (C12,C22,C32)=( cosθx , cosθy , cosθz ) (C13,C23,C33)=( cosιx , cosιy , cosιz ) 上式を式(20)に代入すると
【0057】
【数12】
【0058】となる。ここで前出の上顎座標(0g ’−
g ’Yg ’Zg ’)は次のように決定される。上顎座
標系を決定する3点M0 ,M1 ,M2 のワールド座標系
での座標値をそれぞれ、 M0 =(mg0x ,mg0y ,mg0z ) M1 =(mg1x ,mg1y ,mg1z ) M2 =(mg2x ,mg2y ,mg2z ) とする。
【0059】上顎座標系の原点0g ’を点M1 ,点M2
の中点
【0060】
【数13】
【0061】とし、Yg ’軸の方向を(ベクトル0g
2 )の方向 (ベクトル0g ’M2 )=(ベクトルYg ’) =(mg2x −gx ,mg2y −gy ,mg2z −gz ) …(23) Zg ’軸は平面M0 ,M1 ,M2 の法線とする。
【0062】Zg ’軸に一致する(ベクトルZg ’)と
g ’軸に一致する(ベクトルXg’)は次のように求
められる。 (ベクトルZg ’)=(ベクトルYg ’)×(ベクトル0g ’M0 ) (ベクトルXg ’)=(ベクトルZg ’)×(ベクトルYg ’) 以上のようにして、上顎座標系0g ’−Xg ’Yg ’Z
g ’を決定する。
【0063】ここで(ベクトルXg ’),(ベクトルY
g ’),(ベクトルZg ’)のワールド座標系での成分
を以下のように置く。 (ベクトルXg ’)(exx,exy,exz) …(24) (ベクトルYg ’)(eyx,eyy,eyz) …(25) (ベクトルZg ’)(ezx,ezy,ezz) …(26) ワールド座標系のXg 軸の単位ベクトルを(ベクトルX
g )(1,0,0),Yg 軸の単位ベクトルを(ベクト
ルYg )(0,1,0),Zg 軸の単位ベクトルを(ベ
クトルZg )(0,0,1),とすると、ηx ,ηy
ηz が上顎座標のXg ’軸とワールド座標の各軸とのな
す角度、θx ,θy ,θz が上顎座標のYg ’軸とワー
ルド座標の各軸とのなす角度、ιx ,ιy ,ιz が上顎
座標のZ g ’軸とワールド座標の各軸とのなす角度であ
ることから、内積より、
【0064】
【数14】
【0065】が成り立つ。よって、式(27)より
【0066】
【数15】
【0067】式(28)より
【0068】
【数16】
【0069】式(29)より
【0070】
【数17】
【0071】となる。以上より、式(30),(3
1),(32)より
【0072】
【数18】
【0073】が求められ、式(22)を使用し、任意な
点Pのワールド座標系(0g −Xg gg )での座標
値が(xggg )と与えられたとき、上顎座標での
座標値(xg ’yg ’zg ’)は次式より得られる。
【0074】
【数19】
【0075】また、ワールド座標系、上顎座標系はいず
れも直交座標であるから、式(34)においても同様で
ある。
【0076】
【数20】
【0077】[下顎座標系で与えられた任意点の座標を
上顎座標系での座標値に変換]下顎座標系(0D −XD
DD )を決定する3点D0 ,D1 ,D2 のワールド
座標系(0g −Xggg )での座標値をそれぞれ、 D0 (dg0x ,dg0y ,dg0z ) D1 (dg1x ,dg1y ,dg1z ) D2 (dg2x ,dg2y ,dg2z ) とする。
【0078】下顎座標系は、上顎座標系を決定したとき
と同様にして決定し、ワールド座標から下顎座標への変
換行列Lを求める。以上よりワールド座標系において
(xg ,yg ,zg )と表わされる点の下顎座標系での
座標値(xd ,yd ,zd )は次式より求められる。 (xddd )=(xg −dxg −dyg −dz )L …(36) ここで、(dx ,dy ,dz )はワールド座標系での下
顎座標原点OD の座標値である。
【0079】上顎座標系(0g ’−Xg ’Yg ’Z
g ’)を決定する3点M0 ,M1 ,M2のワールド座標
系(0g −Xggg )での座標値を M0 (mg0x ,mg0y ,mg0z ) M1 (mg1x ,mg1y ,mg1z ) M2 (mg2x ,mg2y ,mg2z ) とし、上顎座標系を上述のように決定し、ワールド座標
から上顎座標の変換行列Mを求める。
【0080】変換行列Mを使用し、下顎座標系を決定す
る点D0 ,D1 ,D2 の上顎座標系での座標値
【0081】
【数21】
【0082】を求める。上顎座標系での3点D0 ,D
1 ,D2 の座標値をあらわす式(36)から、上述の方
法により上顎座標系から下顎座標系への変換行列L’を
求める。任意な点Pが存在し、その点の座標が下顎座標
系で P(pdx,pdy,pdz) …(37) と与えられている。
【0083】もし、点Pの座標がワールド座標系で与え
られているときには、式(35)によって下顎座標系へ
の座標値に変換する。点Pを上顎座標系でみたときの座
標値を P(pgx’,pgy’,pgz’) …(38) とすると、式(37)と式(38)の間には次の関係が
成立する。
【0084】 (pgx’−dgx’ pgy’−dgy’ pgz’−dgz’)L’ =(pdxdydz) …(39) ここで、(dgx’,dgy’,dgz’)は、上顎座標系で
の下顎座標原点0D の座標値である。以上より、任意な
点Pの下顎座標系での座標値が(pdx,pdy,pdz)と
与えられているとき、その点Pの上顎座標系での座標値
(pgx’,pgy’,pgz’)は次式より得られる。
【0085】 (pgx’−dgx’ pgy’−dgy’ pgz’−dgz’) =(pdxdydz)L’-1 …(40) 図3に示す顎運動演算装置21では、顎運動撮影装置1
0(ヘッドフレーム17,下顎用フレーム18,および
2台のCCDカメラ12,14)で得られた画像信号に
基づきLED17A,17B,17C;18A,18
B,18C(図4参照)の画像上の座標が求められ、以
上説明した理論に基づき、被検者1の、上顎を基準とし
たときの下顎の動きをあらわすデータが求められる。
【0086】次に、顎運動シミュレータについて説明す
る。図11は、顎運動シミュレータの第1実施形態を示
した模式図である。この実施形態では顎運動シミュレー
タは、図3に示すコンピュータシステム20の内部に実
現された顎運動再生制御装置22と、上顎モデル210
と下顎モデル310が着脱自在に取り付けられ下顎モデ
ル310の動きを再現する顎運動再生装置30とにより
構成されている。ここでは、図2に示す被験者1の上顎
(上歯)、下顎(下歯)が型取られて作製された上顎モ
デル210,下顎モデル310が、この顎運動再生装置
30に取り付けられる。
【0087】顎運動再生制御装置22は、下顎制御手段
221と下顎モデル固定位置演算手段222とから構成
されている。この顎運動再生制御装置22の作用につい
ては後述する。顎運動再生装置30には、基板31と、
この基板31に柱32を介して固定された天板33が備
えられている。この天板33の下面には、上顎モデル2
10が取り付けられ、したがってこの天板33は、本発
明にいう上顎固定部の役割りを担っている。
【0088】また、基板31の上に3つの台34が固定
され、各台34の上に2台ずつ、合計6台のサーボモー
タ35が設置されている。各サーボモータ35には、自
分の回転軸35aの回転角度の調整のために、その回転
軸35aの回転角度を検出する角度検出器35bが備え
られている。各サーボモータ35の回転軸35aには、
円板形状のホーン36が取り付けられている。このホー
ン36は、その円板形状の円中心がサーボモータ35の
回転軸に固定されている。
【0089】図12は、このホーン36と、後述する稼
働プレート40との間の接続構造を示す模式図である。
ホーン36の一端部には、ボールジョイント37を介し
てリンク38の一端が取り付けられており、そのリンク
38の他端は、もう1つのボールジョイント39を介し
て稼働プレート40に接続されている。稼働プレート4
0には、その上面に下顎モデル31が着脱自在に固定さ
れる。
【0090】稼働プレート40は、図11に示すよう
に、6本のアーム38で支持されており、6台のサーボ
モータ35の回転軸35aが回転すると、稼働プレート
40が移動し、その稼働プレート40に固定された下顎
モデル310が天板33に固定された上顎モデル210
に対し相対的に移動する。ここで稼働プレート40は、
6本のアーム38で支持されており、それら6本のアー
ム38は、独立に移動可能であるため、稼働プレート4
0に固定された下顎モデル310は三次元的な位置や姿
勢を自由に変えることができる。すなわち、ここには、
いわゆるパラレルメカニズムによる6自由度アクチュエ
ータが構成されている。
【0091】従来のいわゆる咬合器は、人体の上顎や下
顎、および顆頭の形状や構造をそのまま模擬していた
が、下顎の動きを模擬することに主眼をおいた場合、人
体の骨格(顆頭など)を形状ないし構造上模擬するより
は、図1に示すパラレルメカニズムを採用した方が下顎
モデルの動きを制御するのが容易である。ここで、顎運
動再生制御装置22を構成する下顎制御手段221に
は、顎運動演算装置21(図3参照)において前述のよ
うにして求められた被検者1の上顎に対する下顎の動き
を表わすデータが入力され、下顎制御手段221は、そ
のデータに基づき、移動プレート40の上に固定された
下顎モデル31が、その被験者1の上顎に対する下顎の
相対的な動きと同一の動きとなるように6台のサーボモ
ータ35それぞれの回転軸35aの各回転角度を制御す
る。ただし、下顎モデル310が被検者1の下顎と同じ
動きをするためには、稼働プレート40に対する下顎モ
デル310の正確な配置位置(稼動プレート40上のど
の位置に下顎モデル310が配置されているか)を知る
必要があり、ここでは、以下に説明するようにしてその
正確な配置位置が検出される。
【0092】図13は、基準プレートの説明図であり、
図13(A)は基準プレートが固定された下顎モデルの
正面図、図13(B)は基準プレートが固定された下顎
モデルの底面図である。この基準プレート311は、下
顎モデル310を作製する際にその下顎モデル310に
一体的に固定されるものであって、下顎モデル310の
底面から見ると略T字形状を有し、稼動プレート40
(図11参照)に対する位置決め用の2つのピン311
D、311Eが立設している。また、その略T字形状の
基準プレート311の3つの端は直角に折り曲げられて
おり、下顎モデル310の底面から同一の高さ位置に3
つの基準点マーク311A,311B,311C(例え
ば孔)が設けられている。一方、稼動プレート40に
は、基準プレート311に立設した2つのピン311
D,311Eに対応した位置に、それらのピン311
D,311Eが嵌合する穴が設けられている。
【0093】このように、基準プレート311が固定さ
れた下顎モデル310を稼動プレート40に固定し、被
検者1の顎の動きを撮影するときにその被検者1の下顎
に取り付けた下顎用フレームを、稼動プレート40上に
固定された下顎モデル310の、撮影時と同じ位置に取
り付け、図3に示す2台のカメラ12,14で撮影しな
がら、ポインタペン19(図4参照)で、基準点マーク
311A,311B,311Cを指し示す。こうするこ
とにより、被検者1の撮影時と同じ状態に取り付けられ
た下顎用フレーム18の3つのLED18A,18B,
18Cと、下顎モデル310に一体的に固定された基準
プレート311上の基準点マーク311A,311B,
311Cとの位置関係が判明し、下顎モデル310の稼
動プレート40上の配置位置が定められる。すなわち、
図11に示す顎運動再生制御装置22を構成する下顎モ
デル固定位置演算手段222には、下顎モデル310に
取り付けた下顎用フレーム18の3つのLED18A,
18B,18Cと下顎モデル310に固定された基準プ
レート311上の3つの基準点マーカ311A,311
B,311Cとの相対的な位置関係を表わす情報が入力
され、下顎モデル固定位置演算手段222では、入力さ
れた情報に基づいて、稼動プレート40に対する下顎モ
デル310の固定位置を表わすデータが求められる。こ
こでは、このデータは、稼動プレート40を所定の初期
状態(初期位置および初期姿勢)においたときの、その
稼動プレート40上の下顎モデル310に固定された座
標系を表わすデータとして求められる。この下顎モデル
固定位置演算手段222で求められたデータは、下顎制
御手段221に入力され、下顎制御手段221は、顎運
動演算装置21(図3参照)から送られてきた、被検者
1の上顎に対する下顎の動きを表わすデータと、下顎モ
デル固定位置演算手段22で求められた、稼動プレート
40上の下顎モデル310に固定された座標で表わすデ
ータとに基づいて、撮影時における被検者1の上顎に対
する下顎の動きが再現されるように、6台のサーボモー
タ35の回転軸35aの回転角度を制御する。ここで、
先ず、下顎モデル310が固定された稼動プレート40
を所定の初期位置に配置し、その初期位置にある稼動プ
レート40上の下顎モデル310に対し上顎モデル21
0が所定の初期状態となるように(例えば上歯と下歯と
が咬合した状態を初期状態とする)、上顎モデル310
を天板33に固定し、下顎制御手段211は、その初期
状態からの下顎モデルの動きを制御する。このような手
順を踏むことにより、図11に示す顎運動再生装置30
に、被検者1の上顎に対する下顎の動きをそっくり真似
た動きを再現させることができる。
【0094】以下に、上記の手法により下顎の運動を再
現することができることを理論上説明する。 [3点で決まる平面上の座標の、基準座標系に対する回
転角の算出]図14は、基板31に固定された基準座標
系(XYZ)と、稼働プレート40に固定された座標系
(rst)とを示した図、図15は、解りやすさのた
め、各座標軸X’,Y’,Z’がそれぞれ基準座標系
(XYZ)の各座標軸X,Y,Zと平行であって、原点
が点P1 に一致した座標系(X’Y’Z’)と、稼働プ
レート40に固定された座標系(rst)とを示した図
である。
【0095】XYZ座標において3点P0 (x0 ,y
0 ,z0 ),P1 (x1 ,y1 ,z1),P2 (x2
2 ,z2 )を考える。3点P0 ,P1 ,P2 において
決定される面A上に2軸をもち、面Aの法線をt軸とす
るrst座標系を考える。s軸は、(ベクトルP1
2 )と同一方向とする。ここで、(ベクトルP12
=(ベクトルPs )とおく。
【0096】このときrst座標とXYZ座標のそれぞ
れの各軸が同一方向になるための、X軸中心での回転角
α、Y軸中心での回転角β、Z軸中心での回転角γを求
める。X,Y,Z方向の位置の相違は、XYZ座標系の
原点とrst座標系の原点とのずれ量として単純に求め
られる。今、点P1 を始点とする2つのベクトル、(ベ
クトルP12 )と(ベクトルP10 )を考えると各
ベクトルの成分は、 (ベクトルP12 )(x2 −x1 ,y2 −y1 ,z2 −z1 ) (ベクトルP10 )(x0 −x1 ,y0 −y1 ,z0 −z1 ) となる。
【0097】(ベクトルP10 )と(ベクトルP1
2 )の外積(ベクトルP10 )×(ベクトルP1
2 )を考えると、このベクトルは面Aの法線となり、方
向はt軸と同方向となる。このベクトルを(ベクトルP
t )とおくと (ベクトルPt ) ={(y0 −y1 )(z2 −z1 )−(z0 −z1 )(y2 −y1 ), (z0 −z1 )(x2 −x1 )−(x0 −x1 )(z2 −z1 ), (x0 −x1 )(y2 −y1 )−(y0 −y1 )(x2 −x1 )} となる。
【0098】ここで Ptx=(y0 −y1 )・(z2 −z1 )−(z0 −z1 )・(y2 −y1 ) Pty=(z0 −z1 )・(x2 −x1 )−(x0 −x1 )・(z2 −z1 ) Ptz=(x0 −x1 )・(y2 −y1 )−(y0 −y1 )・(x2 −x1 ) とおくと となる。
【0099】次に(ベクトルP12 )と(ベクトルP
t )の外積ベクトルは方向がr軸と同一方向になる。 (ベクトルP12 )×(ベクトルPt ) =(ベクトルPr ) ={(y2 −y1 )・Ptz−(z2 −z1 )・Pty, (z2 −z1 )・Ptx−(x2 −x1 )・Ptz, (x2 −x1 )・Pty−(y2 −y1 )・Ptx} 以上より、(ベクトルPr ),(ベクトルPs ),(ベ
クトルPt )は、それぞれ座標軸r,s,tの正側と同
一方向のベクトルとなる。
【0100】次に、3つのベクトルをそれぞれの絶対値
で割りrst座標系における単位ベクトルとする。この
単位ベクトルをそれぞれ(ベクトルpr ),(ベクトル
s),(ベクトルpt )とすると
【0101】
【数22】
【0102】
【数23】
【0103】rst座標で各軸に対しての単位ベクトル
を(ベクトルpr ),(ベクトルp s ),(ベクトルp
t )とし、XYZ座標系での各ベクトルの成分を以下の
値とする。 (ベクトルpr )=(xr ,yr ,zr ) (ベクトルps )=(xs ,ys ,zs ) (ベクトルpt )=(xt ,yt ,zt ) 今、(ベクトルp)を考え、XYZ座標系に対する成分
を(x,y,z),rst座標系に対する成分を
(x’,y’,z’)とする。今XYZ座標をX軸中
心、Y軸中心、Z軸中心の順でα,β,γ回転させたと
き、X軸,Y軸,Z軸がそれぞれr軸,s軸,t軸と同
一方向になったとすると、以下のような関係がある。
【0104】
【数24】
【0105】となる。(ベクトルpr ),(ベクトルp
s ),(ベクトルpt )が、XYZ座標系をX軸中心に
α、Y軸中心にβ、Z軸中心にγ、α、β、γの順に回
転させたrst座標系である場合は、それぞれが単位ベ
クトルであることから、式(41)より
【0106】
【数25】
【0107】となる。よって式(42)より
【0108】
【数26】
【0109】となる。式(43)を展開すると xr = cosβ cosγ …(46) yr = cosβ sinγ …(47) zr =− sinβ …(48) 式(44)を展開すると xs = sinα sinβ cosγ− cosα sinγ …(49) ys = sinα sinβ sinγ+ cosα cosγ …(50) zs = sinα cosβ …(51) 式(45)を展開すると xt = cosα sinβ cosγ+ sinα sinγ …(52) yt = cosα sinβ sinγ− sinα cosγ …(53) zt = cosα cosβ …(54) となる。ここで−(π/2)≦α≦(π/2),−(π
/2)≦β≦(π/2),−(π/2)≦γ≦(π/
2)として、式(46)〜(54)よりα,β,γを求
めると
【0110】
【数27】
【0111】以上のようにして、基板31に固定された
基準座標系(XYZ)(すなわち、上顎モデル210は
天板53、柱32を介して基板31に固定されているた
め、上顎モデル210の座標系)からみたときの、稼動
プレート40に固定された座標系(rst)(この座標
系(rst)は基準点P1 ,P2 ,P3 を基準にして求
めたものであるため稼動プレート40上に固定された下
顎モデル310の座標系である)の位置および姿勢が求
められる。
【0112】図11に示す顎運動再生制御装置22の下
顎モデル固定位置演算手段222では、以上のような理
論に基づき、下顎モデル310の初期状態が求められ、
下顎制御手段221では、その初期状態を基準として下
顎モデル310の位置や姿勢の制御が行なわれる。この
下顎制御手段221での下顎モデル310の位置および
姿勢の制御は、直接的には、6台のサーボモータ35の
回転軸35aの回転角度を制御することにより行なわ
れ、したがって、各サーボモータ35の回転軸35aの
回転角度と稼動プレート40上の下顎モデル310の位
置や姿勢との関係を求める必要がある。この関係は、稼
動プレート40に取り付けられたリンク38の、稼動プ
レート40への取付け位置(ボールジョイント39の回
転中心)を中心点とし、そのリンク38の長さ(ボール
ジョイント38の回転中心とボールジョイント39の回
転中心との間の距離)を半径とした球と、円板形状のホ
ーン36上の、サーボモータ35の回転軸35aの回転
中心を中心とし、その回転中心と、そのホーン36に取
り付けられたリンク38の取付位置(ボールジョイント
38の回転中心)との間の距離を半径とした円との交点
として求められる。すなわち、下顎モデル310に固定
した座標系では、ボールジョイント39の回転中心の座
標は下顎モデル310をどのような位置および姿勢に移
動しても変化せず、下顎モデル310を所望の位置およ
び姿勢に移動させた場合の各ボールジョイント39の回
転中心の座標は、上述の説明により基準座標系(XY
Z)であらわすことができる。ここでは代表的に一本の
リンク38について説明すると、リンク38を移動プレ
ート40に取り付けているボールジョイント39の回転
中心を中心とし、そのリンク38の長さを半径とした球
と、そのリンク38に対応するホーン36上の、サーボ
モータ35の回転軸35aの回転中心を中心とし、その
回転中心とボールジョイント37の回転中心との間の距
離を半径とした円との交点の座標を求め、その交点の座
標をサーボモータ35の回転軸35aの回転角度に置き
換え、そのサーボモータ35の回転軸35aがその回転
角度となるようにそのサーボモータ35を制御し、この
ような制御を6台のサーボモータ35の全てについて行
なうことにより、下顎モデル310を所望の位置および
姿勢に配置することができる。
【0113】以下に、上記の球と円との交点の求め方を
理論的に説明する。 [球と円の交点の算出]図16は、XYZ座標系と、そ
のXYZ座標系をZ軸を中心に角度θだけ回転させたu
vz座標系とを示した図である。XYZ座標系で中心座
標(x0 ,y0 ,z0 )、半径Rの球Bと、Z軸に平行
で法線とX軸が面Aの法線と一致する新たなuvz座標
を考える。
【0114】球Bの中心P0 のuvz座標系での座標を
(u0 ,v0 ,z0 ’)とすると
【0115】
【数28】
【0116】となる。以後、uvz座標系で考える。面
Aとu軸との交点PAuを(ua ,0,0)とする。球B
と面Aの交点の点群は円になり、その円CA の式は次の
ようになる。 (u−u02 +(v−v02 +(z−z02 =R
2 u=ua だから (v−v02 +(z−z02 =R2 −(ua −u
02a −u0 =εとすれば (v−v02 +(z−z02 =R2 −ε2 …(56) また、面A上でPh (vh ,zh )で半径rの円Ch
考えると円Ch の式は次のようになる。
【0117】 (v−vh2 +(z−zh2 =r2 …(57) 円CA と円Ch の交点は式(56),(57)の連立方
程式を解くことにより求められる。
【0118】
【数29】
【0119】式(57)’に(58)’を代入すると
【0120】
【数30】
【0121】τを戻し
【0122】
【数31】
【0123】とすると式(59)は βz2 +γz+δ=0 のようになる。よって、解は以下のようになる。
【0124】
【数32】
【0125】
【数33】
【0126】ここで、円Ch の中心座標がPh (vh
0)のとき、交点の座標はzh =0だから
【0127】
【数34】
【0128】
【数35】
【0129】となる。ここで、6本のリンク38を稼動
プレート40に取り付けている6個のボールジョイント
39は、2個ずつがペアになって120°ずつ角度を回
転させた位置に配置されており、上記角度θ(図16参
照)を各ボールジョイント39それぞれの配置位置に対
応する角度に設定することにより、6台のサーボモータ
35それぞれの回転軸35aの回転角度を定めることが
できる。
【0130】以上のようにして6台のサーボモータ35
を制御することにより、稼動プレート40上に固定され
た下顎モデル310を所望の位置及び姿勢に移動するこ
とができる。図17は、顎運動シミュレータの第2実施
形態を示した模式図である。図11に示す第1実施形態
との相違点について説明する。
【0131】この図17に示す顎運動シミュレータは、
顎運動再生装置30Aと顎運動再生制御装置22Aとで
構成されており、そのうちの顎運動再生装置30Aに
は、天板33に着脱自在に装着され、下顎モデル310
が触れるとその下顎モデル310が触れたことが検知さ
れる接触検知プローブ41が備えられている。尚、この
図17に示す顎運動再生装置30Aには上顎モデル21
0(図11参照)は図示されていないが、上顎モデル2
10は、天板33から接触検知プローブ41を取り外し
た後天板33に固定されるのであって、この図17に上
顎モデル210が図示されていないことは、図11に示
す実施形態との差異ではない。
【0132】また、図17に示す顎運動再生制御装置2
2Aには、接触検知プローブ41からの接触検知信号と
6台の各サーボモータ35の回転軸35Aの回転角度を
検出する角度検出器35bの角度検出信号が入力され、
顎運動再生制御装置22Aの下顎モデル固定位置演算手
段222Aではこれらの信号に基づいて稼動プレート4
0上の下顎モデル310の配置位置ずれを考慮した、基
板31に固定された基準座標系に対する下顎モデル31
0の座標が定められる。
【0133】すなわち、この図17に示す第2実施形態
は、図1に示した第1実施形態と比べ、稼動プレート4
0上の下顎モデル310の配置位置の同定方法が異な
る。この図17に示す第2実施形態の場合、下顎モデル
310に基準プレート311(図3参照)を固定する必
要はなく、それに代わり、顎運動の撮影の(図3参照)
際に、被験者1に口を開けさせ、その状態で下歯のうち
の相互に離れた3つの歯に図4に示すポインタペン19
の先端19Aをあてがって2つのLED19A、19B
の延長点としてそれら3つの歯の位置を指定しておく。
【0134】この3つの歯の位置情報は、図17に示す
顎運動再生制御装置22Aの下顎モデル固定位置演算手
段222Aに入力される。図17に示す顎運動シミュレ
ータでは、顎運動再生装置20Aの稼動プレート40上
に下顎モデルを固定し、さらに接触検知プローブ41を
セッティングして、撮影時にポインタペン19(図3参
照)で指し示した歯と同じ歯(ただし下額モデル310
の場合はモデル上での歯をいう)を接触検知プローブ4
1の先端に当接させ、そのときの各サーボモータ35の
角度検出器35bにより検出された回転軸35aの回転
角度を読み取る。接触検知プローブ19の先端に下顎モ
デル310の歯を当接させるにあたっては、6台のサー
ボモータ35の回転軸35aが自由に回転できる状態に
しておいて稼動プレート40を手で動かし、下顎モデル
310の目的とする歯を接触検知プローブ41の先端に
当接させる。
【0135】以上の動作を、撮影時にポインタペン19
で指定した3本の歯それぞれについて行ない、下顎モデ
ル固定位置演算手段222Aでは、各歯それぞれが接触
検知プローブ41の先端に接触したときの6個の角度検
出器35bの角度検出信号が読み取られ、下顎モデル固
定位置演算手段222Aでは、このようにして収集した
データを基に、基板31に固定された基準座標系に対す
る下顎モデルに固定された座標系の位置および姿勢が同
定される。角度検出器35bの角度検出信号を読み取っ
て得た情報を基に下顎モデルへの座標系を同定するアル
ゴリズムについては後述する。
【0136】図18は、顎運動シミュレータの第3実施
形態を示した模式図である。図17に示す第2実施形態
との相違点について説明する。この図18に示す顎運動
シミュレータのうち、顎運動再生装置30Aは、図17
に示す顎運動シミュレータの顎運動再生装置30Aと同
じ構造のものである。ただし、各サーボモータ35の角
度検出器35bの角度検出信号を顎運動再生制御装置に
伝達するための配線は不要である。
【0137】この図18に示す顎運動シミュレータを構
成する顎運動再生制御装置22Bには、稼働プレート4
0上に固定された下顎モデルを動かすための操作子22
3が備えられている。この操作子223は、具体的に
は、図3に示すキーボード23等で構成される。図17
に示す第2実施形態では、6台のサーボモータ35の回
転軸35aが自由に回転できる状態にしておいて稼働プ
レート40を手で動かす旨説明したが、図18に示す第
3実施形態の場合、操作子223を操作することによ
り、稼働プレート40上の下顎モデル310を動かし、
下顎モデル310の目的とする歯を接触検知プローブ4
1の先端に当接させる。
【0138】下顎モデル固定位置演算手段222Bでは
サーボモータ35の角度検出器35bにより検出される
回転軸35aの回転角度を読み取ることなく、操作子2
23の操作情報に基づいて、基板31に固定された基準
座標系に対する、下顎モデルに固定された座標系の位置
および姿勢が固定される。次に、図17に示す第2実施
形態の場合の下顎モデルの座標系の同定アルゴリズム、
すなわち、角度検出器35bの角度検出信号を読み取っ
て得た情報を基に下顎モデルの座標系を同定するアルゴ
リズムについて説明する。
【0139】図19は、基板31に固定された基準座標
系(XYZ)と、稼動プレート40が初期状態にあると
きの稼動プレート40に固定された座標系(rst)
と、稼動プレート40に固定された下顎モデル310に
固定された座標系(ijk)とを示した図、図20は、
図19に示す初期状態から稼動プレート40が移動した
時の状態を示した、図19と同様な図、図21は、稼動
プレート40に固定された座標系(rst)と、下顎モ
デル310に固定された座標系(ijk)とを示した
図、図22は、基本座標系(XYZ)と下顎モデル31
0に固定された座標系(ijk)とを示した図である。
【0140】ここでは、稼動プレート40が初期状態
(初期位置および初期姿勢)にあるとき稼動プレート4
0は基板31に対し平行に広がるように配置されている
ものとし、図19に示すように、基準座標系(XYZ)
の原点と稼動プレート40上の座標系(rst)の原点
とを合わせ、基準座標系(XYZ)のX軸,Y軸,Z軸
それぞれと、稼動プレート上の座標系(rst)のr
軸,s軸,t軸それぞれとの方向が互いに合致している
ものとする。また、ここでは、3つの基準点P1 ,P
2 ,P3 は、上述したようにしてポインタペン19を被
検者1の下歯および下顎モデル310の下歯にあてるこ
とにより指定されたものであり、稼動プレート40に固
定された座標系(rst)の各軸と下顎モデル310に
固定された座標系(ijk)の各軸は互いに平行とは限
らず、ここでは、これらの座標系(rst),(ij
k)を分けて考える。
【0141】図21のように面Aに固定された点P0
1 ,P2 がある。ここで、面Aは、稼働プレート40
の上面を意味し、点P0 ,P1 ,P2 は、上記のように
して特定された、下顎モデル310上の3つの歯の位置
を想定している。面Aの中心点Pc を原点とし、法線を
t軸とする直交座標系rst座標を考える。また、線分
12 の中点Pb を原点とし、点P0 ,P1 ,P2
より形成される面Bの法線をk軸、(ベクトルPb
2 )をj軸とする直交座標系ijk座標を考える。
【0142】rst座標系での点P0 ,P1 ,P2 の座
標値が P0 (r0 ,s0 ,t0 ) P1 (r1 ,s1 ,t1 ) P2 (r2 ,s2 ,t2 ) と与えられているものとする。
【0143】初期状態としては図19に示すように、X
YZ座標系の原点0とrst座標系の原点Pc が一致
し、r軸がx軸、s軸がY軸、t軸がz軸と一致してい
る(図19)。この状態から点Pc がΔx,Δy,Δz
移動し、r,s,t軸それぞれを回転軸として、r軸中
心、s軸中心、t軸中心に、この順にそれぞれα,β,
γ回転し、図20に示す状態になったものとする。
【0144】ここでは、以上の条件下において、図20
の状態でのXYZ座標系での点P0,P1 ,P2 が P0 (x0n,y0n,z0n) P1 (x1n,y1n,z1n) P2 (x2n,y2n,z2n) と与えられたとき、Δx,Δy,Δz,α,β,γを求
める。
【0145】[rst座標に対するijk座標の関係を
求める]点P0 ,P1 ,P2 のrst座標系での座標値
より、ijk座標の単位ベクトル(ベクトルi),(ベ
クトルj),(ベクトルk)のrst座標系での成分を
求める。ijk座標系の原点Pb の座標は、
【0146】
【数36】
【0147】となり、各成分をそれぞれrb ,sb ,t
b とする。(ベクトルPb2 )(ベクトルPb0
の成分は次のようになる。 (ベクトルPb2 )(r2 −rb ,s2 −sb ,t2 −tb ) =(ベクトルPj )(Pjr,Pjs,Pjt) (ベクトルPb0 )(r0 −rb ,s0 −sb ,t0 −tb ) k軸に一致した(ベクトルPk )を考えたとき、条件を
満たすベクトルは次式より得られる。
【0148】 (ベクトルPk )=(ベクトルPb0 )×(ベクトルPb2 ) =(Pkr,Pks,Pkt) …(61) 次にi軸に一致した(ベクトルPi )を考えたとき、条
件を満たすベクトルは次式より得られる。 (ベクトルPi )=(ベクトルPb2 )×(ベクトルPk ) =(Pir,Pis,Pit) …(62) よって単位ベクトル(ベクトルi),(ベクトルj),
(ベクトルk)の各成分は次のように求められ次のよう
におく。
【0149】
【数37】
【0150】今、rst座標に対しての、ijk座標の
回転を求める。rst座標をr軸に対しa、s軸に対し
b、t軸に対しcを、r,s,t軸の順に回転させたと
き2つの座標系の各軸が同一方向になったとすると、
【0151】
【数38】
【0152】となる。rst座標,ijk座標はいずれ
も直交座標であるので、次の関係が成立する。
【0153】
【数39】
【0154】但し、上記a,b,cはr軸,s軸,t軸
の順に回転させたときの回転角である。式(64)を展
開すると ri = cosb cosc si = cosb sinc ti =−sinb rj = sina sinb cosc− cosa sinc sj = sina sinb sinc+ cosa cosc tj = sina cosb rk = cosa sinb cosc+ sina sinc sk = cosa sinb sinc− sina cosc tk = cosa cosb となる。 −(π/2)≦a≦(π/2),−(π/2)≦b≦
(π/2),−(π/2)≦c≦(π/2)として、上
式よりa,b,cを求めると
【0155】
【数40】
【0156】以上より、任意の点Pn が存在し、その点
のrst座標系による座標値がPn (rn ,sn ,t
n )で与えられているとき、ijk座標系での座標値は
次式より求めることができる。
【0157】
【数41】
【0158】[XYZ座標系に対するijk座標系の関
係を求める]XYZ座標系での点P0 ,P1 ,P2 の座
標値が次のように与えられている。 ijk座標の原点Pb のXYZ座標での座標値は
【0159】
【数42】
【0160】となる。また、(ベクトルPb2 )と
(ベクトルPb0 )のXYZ座標での成分は、 (ベクトルPb2 )=(ベクトルPj ) =(x2 −xb ,y2 −yb ,z2 −zb ) =(Pjx,Pjy,Pjz) (ベクトルPb0 )(x0 −xb ,y0 −yb ,z0 −zb ) (ベクトルPk )のXYZ座標での成分は (ベクトルPk )=(ベクトルPb0 )×(ベクトルPb2 ) =(Pkx,Pky,Pkz) …(71) (ベクトルPi )のXYZ座標での成分は (ベクトルPi )=(ベクトルPb2 )×(ベクトルPk ) =(Pix,Piy,Piz) …(72) よって単位ベクトル(ベクトルi),(ベクトルj),
(ベクトルk)のXYZ座標での成分は以下のようにな
る。
【0161】
【数43】
【0162】[ijk座標に対してのXYZ座標の関係
を求める。]今、XYZ座標とijk座標において、i
jk座標を、k軸に対しζ,j軸に対してε、i軸に対
してδ、k軸,j軸,i軸の順に回転させたときに、こ
れら2つの座標系の各軸が同一方向になったとすると次
の関係式が得られる。
【0163】
【数44】
【0164】となる。式(74)を展開すると xi = cosζ cosε yi =− sinζ cosε zi = sinε xj = sinζ cosδ+ cosζ sinε sinδ yj = cosζ cosδ− sinζ sinε sinδ zj =− cosε sinδ xk = sinζ sinδ− cosζ sinε cosδ yk = cosζ sinδ+ sinζ sinε cosδ zk = cosε cosδ となる。 −(π/2)≦ζ≦(π/2),−(π/2)≦ε≦
(π/2),−(π/2)≦δ≦(π/2)とすると、
【0165】
【数45】
【0166】以上より、任意の点Pn が存在し、その点
のijk座標系による座標値がPn (in ,jn ,k
n )で与えられているとき、XYZ座標系での点Pn
座標値(xn ,xn ,xn )は次式より求めることがで
きる。
【0167】
【数46】
【0168】[点P0 ,P1 ,P2 の座標値が与えられ
たときXYZ座標系でのrst座標原点の座標値とr
軸,s軸,t軸に対する回転角を求める。]図23は、
稼働プレート40に固定されたrst座標系と、その稼
働プレート40の表面A上の3点A0 ,A1 ,A2 で決
定される座標系(uvw)とを示した図である。
【0169】面A上に点A0 ,A1 ,A2 を考え線分A
12 の中点を原点とし面Aの法線をw軸,(ベクトル
1 ,A2 )をv軸とした直交座標系uvw座標と考え
たとき、v軸と、rst座標系でのs軸が平行であると
する。このとき、rst座標系での点A0 ,A1 ,A2
の座標系が次のようであったとする。
【0170】A0 (ra0,sa0,0) A1 (ra1,sa1,0) A2 (ra2,sa2,0) 上記の条件によりra1=ra2 式(78)によりijk座標系での点A0 ,A1 ,A2
の座標値を求めると以下のようになる。
【0171】
【数47】
【0172】式(78)によりXYZ座標系での点A
0 ,A1 ,A2 の座標値を求めると以下のようになる。
【0173】
【数48】
【0174】[点A0 ,A1 ,A2 のXYZ座標系での
値よりuvw座標系での単位ベクトル,(ベクトル
u),(ベクトルv),(ベクトルw)の、XYZ座標
系での成分を求める。]図24は、基本座標系(XY
Z)と、図23に示した2つの座標系(rst),(u
vw)を示した図である。
【0175】XYZ座標でのuvw座標原点Pe の座標
値は
【0176】
【数49】
【0177】となる。v軸に一致した(ベクトルPe
2 )と(ベクトルPe0 )の成分は (ベクトルPe2 )=(ベクトルPv ) =(xa2−xe ,ya2−ye ,za2−ze ) =(Pvx,Pvy,Pvz) (ベクトルPe0 )(xa0−xe ,ya0−ye ,za0−ze ) 次にw軸に一致した(ベクトルPw )は (ベクトルPw )(Pwx,Pwy,Pwz)=(ベクトルP
e0 )×(ベクトルPe2 ) より求めることができる。
【0178】次にu軸に一致した(ベクトルPu )は (ベクトルPu )(Pux,Puy,Puz)=(ベクトルP
e2 )×(ベクトルPw ) より求めることができる。よって単位ベクトル(ベクト
ルu),(ベクトルv),(ベクトルw)の成分は
【0179】
【数50】
【0180】今、uvw座標とXYZ座標系において、
XYZ座標をX軸中心にα,Y軸中心にβ、Z軸中心に
γ、X軸,Y軸,Z軸の順に回転させたとき、これら2
つの座標系の各軸が同一方向になったと考える。このこ
とにより次の式が導き出される。
【0181】
【数51】
【0182】ここでXYZ座標とuvw座標は直交座標
系だから
【0183】
【数52】
【0184】となる。式(84)を展開すると次のよう
になる。 xu = cosβ cosγ yu = cosβ sinγ zu =− sinβ xv = sinα sinβ cosγ− cosα sinγ yv = sinα sinβ sinγ+ cosα cosγ zv = sinα cosβ xw = cosα sinβ cosγ+ sinα sinγ yw = cosα sinβ sinγ− sinα cosγ zw = cosα cosβ −(π/2)≦α≦(π/2),−(π/2)≦β≦
(π/2),−(π/2)≦γ≦(π/2)として、
α,β,γを求めると、
【0185】
【数53】
【0186】となり、XYZ座標に対してのrst座標
の回転角α,β,γ(X,Y,Z軸の順に回転)が求ま
る。次にrst座標の原点Pc のXYZ座標における座
標値を求める。rst座標におけるPc の座標値はrs
t座標の原点なので(0,0,0)である。式(78)
によりPc のijk座標における座標値(ic ,jc
c )は
【0187】
【数54】
【0188】となる。次に式(78)により、Pc のX
YZ座標における座標値(xc ,yc ,zc)を求める
【0189】
【数55】
【0190】となる。以上より、点P0 ,P1 ,P2
座標値が、XYZ座標系とrst座標系で与えられたと
きの式(87)よりX軸(r軸)中心の回転角α 式(88)よりY軸(s軸)中心の回転角β 式(89)よりZ軸(t軸)中心の回転角γ (上記の順に回転) 式(89)より基準点Pc (rst座標の原点)のXY
Z座標での座標値を、それぞれ求めることができる。
【0191】回転角α,β,γ、および基準点Pc (r
st座標の原点)のXYZ座標での座標値を以上のよう
にして求めた後の、図17に示す第2実施形態における
動作は、図11を参照して説明した第1実施形態の場合
と同じであり、重複説明は割愛する。以上は、撮影時に
ポインタペン19で指し示した歯と同じ、下顎モデルを
構成する歯を接触検知プロー部41の先端に当接させ、
そのときの各サーボモータ35の回転軸35aの回転角
度を角度検出器25bから読み取り、その読み取りによ
り得られた情報を基に下顎モデルの座標を同定する場合
のアルゴリズムの説明であるが、図18に第3実施形態
として示したように、稼働プレート40に固定された下
顎モデル310を手動操作で動かすための操作子を備
え、その操作子の操作量を加減して下顎モデルの所望の
歯を接触検知プローブの先端に当接させてもよい。この
場合は、図17に示す第2の実施形態の場合と比べ、一
般的には接触検知プローブの先端に歯を当接させるまで
に比較的長時間を要するが、接触検知プローブに歯が当
接した状態における操作子からの入力はそのまま稼働プ
レートの位置情報を表わすものであり、下顎モデルの座
標系を同定するための演算時間が短縮されるという利点
を有する。
【0192】図25は、顎運動シミュレータを構成する
顎運動再生装置の第4実施形態を示す模式図である。図
11に示す第1実施形態との相違点について説明する。
この図25に示す顎運動再生装置30Bの稼動プレート
40は、単純な一枚の円板ではなく、一枚の円板からな
る第1の部材40aと、この第1の部材40aとは離れ
た位置に設置された、下顎モデル310が固定される第
2の部材40bを備えており、これら第1の部材40a
と第2の部材40bは、結合部材40cで互いに固定さ
れている。
【0193】尚、ここでは、移動プレート40は1枚の
「プレート」ではないが、図11に示す第1の実施形態
との対比上、「稼動プレート」という用語をそのまま用
いる。以下に示す各実施形態でも同様である。ここで、
第1の部材40aの、結合部材40cと結合された点4
0dは、厳密である必要はないが、図1に示す人体の顎
の、顆頭4の位置に対応している。下顎は、口の開閉方
向に大きく動くため、下顎モデル310を図11に示す
円板状の稼動プレート40上に直接に配置すると、その
稼動プレート40を大きく動かす必要があり、径の大き
なホーン36を採用する必要がある。これに対し、顆頭
の動きは小さいため、図25に示す構造の場合、稼動プ
レート40を構成する第1の部材40aの動きは小さく
て済み、径の小さいホーン36を使用することができ、
装置全体を小型化することができる。
【0194】尚、稼動プレート40を構成する第1の部
材40aと第2の部材40bは、結合部材40cを介し
て互いに固定されているため、特に新たな座標系を考え
る必要はなく、稼動プレート40全体を一体的なものと
して取り扱えばよい。図26は、顎運動シミュレータを
構成する顎運動再生装置の第5実施形態を示した模式図
である。図25に示す第4実施形態との相違点について
説明する。
【0195】図26に示す第5実施形態では、サーボモ
ータ35等は、天板33および柱32に配置されてお
り、上顎モデル210は、天板33に結合部材33bを
介して結合されたプレート33aに固定されている。下
顎モデル310が固定される稼動プレート40は、図2
5に示した第4実施形態と同様な構造を有しており、径
の小さいホーン36で済む点も、図25に示す第4実施
形態と同様である。
【0196】この図26に示す構造の場合も、新たな座
標系を考慮する必要はない。図27は、顎運動シミュレ
ータを構成する顎運動再生装置の第6実施形態の、図1
1に示す第1実施形態との相違部分のみを示した模式図
である。この図27に示す顎運動再生装置30Dを構成
している稼動プレート40は、ボールジョイント39を
介してリンク38に結合された第1の部材411と、下
顎モデル310が固定される第2の部材412と、第1
の部材411に固定され、その第1の部材411に対し
第2の部材412を上下方向に回動させる回転関節41
3とを備えている。この場合、下顎制御手段221は、
図11に示す6台のサーボモータ35の回転軸35aそ
れぞれの回転角度を制御するとともに、回転関節413
の回転角度も制御対象とする。
【0197】この図27に示す第6実施形態の場合も、
回転関節413を備えたことにより、その回転関節41
3に口の開閉方向の動作を担わせ、サーボモータ35に
よる稼動プレート40の動きは小さくて済み、ホーン3
6を小型化して装置全体を小型化することができる。こ
の図27に示す第6実施形態の場合、第1の部材411
と第2の部材412との間に回転関節413というパラ
レルメカニズムが配置されているため、これまで説明し
てきたアルゴリズムとは別のアルゴリズムを考慮する必
要がある。
【0198】[パラレルメカニズムとシリアルメカニズ
ムを組合わせた場合のアルゴリズム]今下顎の動きをあ
らわすデータとして、下顎モデル底面の3点P0 ,P
1 ,P 2 の運動データが与えられているものとする。3
点P0 ,P1 ,P2 により決定されるijk座標系を考
え、その座標系の単位ベクトルのXYZ座標系での成分
が (ベクトルi)=(xi ,yi ,zi ) (ベクトルj)=(xj ,yj ,zj ) (ベクトルk)=(xk ,yk ,zk ) であるとする。
【0199】今シリアルメカニズムによりY軸を中心と
した回転を行うものとする(Y軸を中心とした回転の一
部をシリアルメカニズムにより行うことも可能であ
る)。3点P0 ,P1 ,P2 により決定される面の姿勢
を、X軸,Z軸,Y軸の順に回転させてつくるとする。
X軸中心での回転角度をα、Y軸中心での回転角度を
β、Z軸中心での回転角度をγとすると、
【0200】
【数56】
【0201】となる。 xi = cosγ cosβ yi = sinγ zi =− cosγ sinβ xj =− cosα sinγ cosβ+ sinα sinβ yj = cosα cosγ zj = cosα sinγ sinβ+ sinα cosβ xk = sinα sinγ cosβ+ cosα sinβ yk =−sin α cosγ zk =− sinα sinγ sinβ+ cosα cosβ −(π/2)≦α≦(π/2),−(π/2)≦β≦
(π/2),−(π/2)≦γ≦(π/2)とすると
【0202】
【数57】
【0203】以上よりX軸中心、Z軸中心、Y軸中心の
順に回転させたときの各回転角α,γ,βが求まる。X
軸、Z軸の回転運動とX軸、Y軸、Z軸の並進運動をパ
ラレルメカニズムで行ない、Y軸回転をシリアルメカニ
ズムで行うと考える。
【0204】パラレルメカニズム稼働プレートのボール
ジョイント中心のアクチュエータ座標(XYZ座標)系
での座標値(x0 ,y0 ,z0 )は、稼働プレート上の
座標系(rst座標系)に対するジョイント中心の座標
を(r0 ,s0 ,t0 )とすると次式より求めることが
できる。
【0205】
【数58】
【0206】同様に他のボールジョイントの座標値も求
めることができる。6個のボールジョイントの座標値よ
り、前述したようにして球と円の交点を求めることで、
ホーンの回転角度を得ることができる。Y軸回転をシリ
アルメカニズムとパラレルメカニズムとの双方で行う場
合でも、変換行列Eの代わりに以下の式を使用すること
で可能である。
【0207】
【数59】
【0208】β’:パラレルメカニズムでのY軸回転角
度 図28は、顎運動シミュレータを構成する顎運動再生装
置の第7実施形態を示す模式図、図29は、図28に示
す顎運動再生装置を構成する一本のリンクの部分を示す
模式図である。図11に示す第1実施形態との相違点に
ついて説明する。
【0209】図28に示す顎運動再生装置30Eには、
6本のリンク38それぞれの中央部分にリニアアクチュ
エータ381を備えている。この場合、図29に示すよ
うに、下顎制御手段221は、6台のサーボモータの回
転軸の回転位置とともに、6台のリニアアクチュエータ
381の動作量も制御する。このようなリニアアクチュ
エータ381を備えた場合も、ホーン36の半径を小さ
くすることができ、装置全体の小型化が図られる。
【0210】このようなアクチュエータ381を備えた
場合のアルゴリズムは以下のようになる。 [回転アクチュエータとリニアアクチュエータを使用し
たパラレルメカニズムのアルゴリズム]稼働プレート4
0上に中心を原点とする直交座標rst座標を考え、ア
クチュエータの座標系(XYZ座標)でのプレート中心
座標値(x,y,z)とプレート座標軸中心での回転角
(α,β,γ)が与えられたとき、稼働プレートのボー
ルジョイント中心のXYZ座標系での座標値(x0 ,y
0 ,z0 )は次式より求められる。
【0211】
【数60】
【0212】(r0 ,s0 ,t0 )はrst座標系での
ボールジョイント中心の座標値 (ホーン回転時での動作)ホーンの回転角度は、前述し
たように、球と円の交点を算出することにより求められ
る。 (リンク長を変えたときの動作)このときも球と円の交
点の関係から求められる。
【0213】球Bと面Aの交点の点群は円になりその円
A は次式により与えられる。 (u−u02 +(v−v02 +(z−z02 =R
2 Rは球Bの半径となりリンク長となる。このときホーン
は、ある角度で停止しているので、上式のu,v,z
は、既知の値となりその値をそれぞれu=uhb,v=v
hb,z=zhbとすると R=√{(uhb−u02 +(vhb−v02 +(zhb
−z02 } により求められる。
【0214】稼働プレートの動作をホーン回転により行
なうか、リンク長を可変させて行なうかの選択は任意で
ある。例えば、リンク長を最小にしておきホーン回転に
より動作を行なう。ホーンが真上になった状態でホーン
の回転を停止し、その後はリンク長を伸ばしていくこと
により動作をさせる。または逆の選択等が考えられる。
【0215】図30は、顎運度シミュレータを構成する
顎運動再生装置の第8実施形態を示す模式図、図31
は、図30に示す顎運動再生装置を構成する一本のリン
クの部分を示す模式図である。図11に示す第1実施形
態との相違点について説明する。稼動プレート40は、
6自由度を持っており、6自由度を確保するために、6
本のリンク38は、いずれもボールジョイント39を介
して稼動プレート33に接続され、もう一方のボールジ
ョイント38を介してホーン36に接続されており、そ
れらのボールジョイント38,39のバックラッシュ
(ガタつき)を完全になくすことは困難であり、そのガ
タつきが下顎モデル310の動作精度の悪化を招く恐れ
がある。
【0216】ボールジョイント38,39のバックラッ
シュを問題にするほどの高精度動作が要求される場合、
図31に示すように、稼動プレート40の、ボールジョ
イント39の近傍と、ホーン36の、ボールジョイント
37の近傍との間に引っ張りバネ382を備える。こう
することにより、ボールジョイント37,39のバック
ラッシュに起因する動作精度の悪化を防止することがで
きる。引っ張りバネ382の、図31に示すような掛け
方は、その引っ張りバネ328の引っ張り力がサーボモ
ータ35への直接の負荷とはならないという利点もあ
る。
【0217】図32は、顎運動シミュレータを構成する
顎運動再生装置の第9実施形態を示す模式図である。図
30に示す第8実施形態との相違点について説明する。
図30に示す顎運動再生装置30Fでは、6本のリンク
38それぞれに対応して引っ張りバネ382が備えられ
ていたが、図32に示す顎運動再生装置30Gでは引っ
張りバネ382は、基板31の中央部と稼動プレート4
0の中央部との間に一本のみ備えられている。この場
合、ボールジョイントのバックラッシュのみならず、サ
ーボモータ35の回転軸35aのバックラッシュ等、様
々な部分のバックラッシュを一括して除去することがで
きる。ただし、この場合、引っ張りバネ382の引っ張
り力は、サーボモータ35の直接の負荷となり、トルク
の大きなサーボモータを使用する必要がある。
【0218】図33は、顎運動再生装置の第10実施形
態を示す模式図であり、図32に示す顎運動再生装置に
おける天板33、上顎モデル210、および下顎モデル
310を取り除いて上から見た状態を示す概略平面図で
ある。図32に示す第9実施形態との相違点について説
明する。この図33に示す顎運動再生装置30Hには、
基板31と稼動プレート40との間に3本の引っ張りバ
ネ382が備えられている。このようにボールジョイン
トのバックラッシュのみでなく、基板31の稼動プレー
ト40との間に介在する様々な部品のバックラッシュを
一括して取り除くにあたり、図32に示す用に引っ張り
バネを1本備えてもよいが、この図33に示すように複
数本の引っ張りバネ382を備え、それら複数の引っ張
りバネ382に基板31と稼動プレート40との間の引
っ張り力を分担させてもよい。
【0219】図34は、顎運動再生装置の第11実施形
態の一部分を示す模式図、図35は、図34に示す第1
1実施形態の稼動プレート40を上から見た平面図であ
る。図34に示す顎運動再生装置30Iは、稼動プレー
ト40が、2枚の平行平板40e,40fからなり、そ
れら2枚の平板40e,40fの間の、図35に示す各
位置(X0 ,Y0 ),(X1 ,Y1 ),(X2 ,Y2
に、合計3つの荷重センサ401を備えている。
【0220】人体の下顎運動において、咬合時に上顎と
最初に接触する位置(咬合初期接触位置)がどこである
かを知ることは大変重要である。この咬合初期接触位置
を人体から直接知ることは困難である場合が多く、ここ
では荷重センサ401a,401b,401cを備えた
顎運動再生装置30Iを用い、以下のようにして咬合初
期接触位置を求める。
【0221】ここで、顎運動再生装置30Iを用い、下
顎モデル310を動かして口を閉じる動作を行なったと
き、下顎モデル310が上顎モデル(図34には図示せ
ず)と接触し、下顎モデル310のある一点に、図34
に実線の矢印で示す力Fが加わったものとする。ここで
は、移動プレート40は、咬合初期接触が発生する時点
では水平に配置されていると近似して差し支えないもの
とし、かつ力Fは下顎モデル310に対し垂直に加わる
ものと仮定する。このときは、各荷重センサ401は、
垂直方向のみの一軸の荷重を測定することのできる荷重
センサでよい。
【0222】咬合初期接触により各荷重センサ401に
それぞれ荷重S0,S1,S2が加わったものとする
と、力の釣り合いから S0 +S1 +S2 =P …(90) X軸に対するモーメントの釣り合いより S00 +S11 +S22 −PX=0 …(91) Y軸に対するモーメントの釣り合いより S00 +S11 +S22 −PY=0 …(92) (90),(91),(92)式より X=(S00 +S11 +S22 )/(S0 +S1
+S2 ) Y=(S00 +S11 +S22 )/(S0 +S1
+S2 ) このようにして移動プレート40上での荷重点位置
(X,Y)を求めることができる。
【0223】次に、図34に破線の矢印で示すような斜
めの力F’が加わることを予定した場合について説明す
る。このとき、図35に示す3つの荷重センサ401と
しては、X,Y,Z3軸方向の荷重を測定することので
きる3軸荷重センサが採用される。 [3個の3軸荷重センサを用いたときの荷重点算出]稼
働プレート上にXYZ座標を考え、3軸荷重センサの測
定軸をXYZ軸にそれぞれ平行になるように3個取付け
る。各荷重センサの位置はXYZ座標でそれぞれ S0 (x0 ,y0 ,z0 ) S1 (x1 ,y1 ,z1 ) S2 (x2 ,y2 ,z2 ) 各荷重センサの各軸の荷重を S0 (S0x,S0y,S0z) S1 (S1x,S1y,S1z) S2 (S2x,S2y,S2z) とする。
【0224】座標値(x,y,z)の点PにF’の荷重
がかかり、荷重F’の各軸の成分を(Fx ,Fy ,F
z )とする。力のつりあいより Fx =S0x+S1x+S2x …(93) Fy =S0y+S1y+S2y …(94) Fz =S0z+S1z+S2z …(95) X軸に対するモーメントのつりあいより Fz y+S0z0 +S1z1 +S2z2 +Fy z+S0y0 +S1y1 +S2y2 =0 …(96) Y軸に対するモーメントのつりあいより Fz x+S0z0 +S1z1 +S2z2 +Fx z+S0x0 +S1x1 +S2x2 =0 …(97) Z軸に対するモーメントのつりあいより √(Fx 2+Fy 2)√(x2 +y2 ) +√(S0x 2 +S0y 2 )√(x0 2+y0 2) +√(S1x 2 +S1y 2 )√(x1 2+y1 2) +√(S2x 2 +S2y 2 )√(x2 2+y2 2) =0 …(98) となる。
【0225】ここで A=S0z0 +S1z1 +S2z2 +S0y0 +S1y
1 +S2y2 B=S0z0 +S1z1 +S2z2 +S0x0 +S1x
1 +S2x2 C=√(Fx 2+Fy 2とすると式(96),(97),(98)は以下のよう
に表わされる。
【0226】 Fz y+Fy z+A=0 …(99) Fz x+Fx z+B=0 …(100) C√(x2 +y2 )+E=0 …(101) 以上より、上記3式よりx,y,zを求めることによ
り、荷重点の位置、すなわち、図34の高さ方向(Z軸
方向)を含めた咬合初期接触位置を知ることができる。
【0227】図36は、顎運動再生装置の第12実施形
態を示す模式図である。この図36に示す顎運動再生装
置30Jには、各リンク38の途中部分に荷重センサ4
01がそれぞれ備えられている。図34,図35に示す
顎運動再生装置30Iの場合、荷重センサ401は、稼
動プレート40に備えられているが、荷重センサ401
を備える位置は、例えば図36に示すようにリンク38
の途中であってもよく、あるいは図示は省略するが上顎
モデル210側、すなわち天板33側であってもよい。
【0228】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、顎
運動を正確にシミュレートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】人体の顎の部分の模式図である。
【図2】顎運動撮影装置を構成するヘッドフレームの一
形態を示す模式図である。
【図3】顎の動きを計測している状態の室内の様子を示
す模式図である。
【図4】顎の動きの計測のためにヘッドフレームおよび
下顎用フレームを取り付けた状態を示す模式図である。
【図5】ステレオ法による三次元座標計測方法の一例を
模式的に示した図である。
【図6】ピンホールカメラに基づいた透視変換モデルを
表わした図である。
【図7】カメラパラメータのキャリブレーションのため
の校正体をモデル化した図である。
【図8】ワールド座標系と上顎座標系を示した図であ
る。
【図9】上顎座標系と下顎座標系を示した図である。
【図10】上顎座標系と下顎座標系を示した図である。
【図11】顎運動シミュレータの第1実施形態を示した
模式図である。
【図12】ホーンと稼働プレートとの間の接続構造を示
す模式図である。
【図13】基準プレートが固定された下顎モデルの正面
図(A)および基準プレートが固定された下顎モデルの
底面図(B)である。
【図14】基板に固定された基準座標系(XYZ)と、
稼働プレートに固定された座標系(rst)とを示した
図である。
【図15】各座標軸X’,Y’,Z’がそれぞれ座標系
(XYZ)の各座標軸X,Y,Zと平行であって、原点
が点P1 に一致した座標系(X’Y’Z’)と稼働プレ
ートに固定された座標系(rst)とを示した図であ
る。
【図16】XYZ座標系と、そのXYZ座標系をZ軸を
中心に角度θだけ回転させたuvz座標系とを示した図
である。
【図17】顎運動シミュレータの第2実施形態を示した
模式図である。
【図18】顎運動シミュレータの第3実施形態を示した
模式図である。
【図19】基板に固定された基準座標系(XYZ)と、
稼動プレートが初期状態にあるときの稼動プレートに固
定された座標系(rst)と、稼動プレートに固定され
た下顎モデルに固定された座標系(ijk)とを示した
図である。
【図20】図19に示す初期状態から稼動プレートが移
動した時の状態を示した、図19と同様な図である。
【図21】稼動プレートに固定された座標系(rst)
と、下顎モデルに固定された座標系(ijk)とを示し
た図である。
【図22】基本座標系(XYZ)と下顎モデルに固定さ
れた座標系(ijk)とを示した図である。
【図23】稼働プレートに固定されたrst座標系と、
その稼働プレートの表面A上の3点A0 ,A1 ,A2
決定される座標系(uvw)を示した図である。
【図24】基本座標系(XYZ)と、図23に示した2
つの座標系(rst),(uvw)を示した図である。
【図25】顎運動シミュレータを構成する顎運動再生装
置の第4実施形態を示した模式図である。
【図26】顎運動シミュレータを構成する顎運動再生装
置の第5実施形態を示した模式図である。
【図27】顎運動シミュレータを構成する顎運動再生装
置の第6実施形態の、図11に示す第1実施形態との相
違部分のみを示した模式図である。
【図28】顎運動シミュレータを構成する顎運動再生装
置の第7実施形態を示す模式図である。
【図29】図28に示す顎運動再生装置を構成する一本
のリンクの部分を示す模式図である。
【図30】顎運度シミュレータを構成する顎運動再生装
置の第8実施形態を示す模式図である。
【図31】図30に示す顎運動再生装置を構成する一本
のリンクの部分を示す模式図である。
【図32】顎運動シミュレータを構成する顎運動再生装
置の第9実施形態を示す模式図である。
【図33】顎運動再生装置の第10実施形態を示す模式
図である。
【図34】顎運動再生装置の第11実施形態の一部分を
示す模式図である。
【図35】図34に示す第11実施形態の稼動プレート
を上から見た平面図である。
【図36】顎運動再生装置の第12実施形態を示す模式
図である。
【符号の説明】
1 上顎モデル 10 顎運動撮影装置 12,24 CCDカメラ 17 ヘッドフレーム 17A,17B,17C LED 18 下顎用フレーム 18A,18B,18C LED 19 ポインタペン 19A,19B LED 22,22A,22B 顎運動再生制御装置 30,30A,30B,30C,30D,30E,30
F,30G,30H,30I,30J 顎運動再生装置 31 基板 32 柱 33 天板 34 台 35 サーボモータ 35a 回転軸 35b 角度検出器 36 ホーン 37 ボールジョイント 38 リンク 39 ボールジョイント 40 稼動プレート 40a 第1の部材 40b 第2の部材 40c 結合部材 40d 点 41 接触検知プローブ 221 下顎制御手段 222,222A,222B 下顎モデル固定位置演算
手段 210 上顎モデル 310 下顎モデル 311 基準プレート 311A,311B,311C,311D,311E
基準点マーク 381 リニアアクチュエータ 382 引っ張りバネ 401 荷重センサ 411 第1の部材 412 第2の部材 413 回転関節

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上顎の少なくとも一部分を型取った上顎
    モデルと下顎の少なくとも一部分を型取った下顎モデル
    が取り付けられ、上顎モデルに対し下顎モデルを相対的
    に動かす顎運動シミュレータにおいて、 基体と、 下顎モデルが固定される下顎固定部と、 前記基体に対する前記下顎固定部の三次元空間内の位置
    および姿勢の変更が自在に、該下顎固定部を支持する下
    顎固定部支持部材と、 前記下顎固定支持部材を動かすことにより前記下顎固定
    部の位置および姿勢を動かす下顎駆動手段と、 所定の初期位置および初期姿勢にある下顎固定部に固定
    された下顎モデルに対し上顎モデルが所定の位置関係に
    固定される、前記基体に固定された上顎固定部と、 上顎に対する下顎の相対的な位置および姿勢をあらわす
    データに基づいて、前記下顎固定部に固定された下顎モ
    デルが該データに応じた位置および姿勢となるように前
    記下顎駆動手段を制御する下顎制御手段とを備えたこと
    を特徴とする顎運動シミュレータ。
  2. 【請求項2】 前記下顎固定部支持手段が、前記下顎固
    定部を、相互に異なる6箇所で支持する6本のリンクを
    有し、 前記下顎駆動手段が、前記6本のリンクそれぞれを独立
    に駆動するものであることを特徴とする請求項1記載の
    顎運動シミュレータ。
  3. 【請求項3】 前記6本のリンクそれぞれが、前記下顎
    固定部との間にボールジョイントを介して該下顎固定部
    に結合されたものであり、 前記下顎駆動手段が、前記6本のリンクそれぞれに対応
    して1台ずつ備えられた、それぞれが、モータと、該モ
    ータの回転軸に固定されるとともに、対応する1本のリ
    ンクにボールジョイントを介して接続され、該回転軸の
    回転に伴って回転する回転部材とを有する、合計6台の
    下顎駆動装置を有するものであることを特徴とする請求
    項2記載の顎運動シミュレータ。
  4. 【請求項4】 前記下顎固定部に対する下顎モデルの固
    定位置を求める下顎モデル固定位置演算手段を備え、 前記下顎制御手段が、前記データとともに、前記下顎モ
    デル固定位置演算手段により求められた、下顎モデルの
    固定位置をあらわすデータに基づいて、前記下顎駆動手
    段を制御するものであることを特徴とする請求項1記載
    の顎運動シミュレータ。
  5. 【請求項5】 前記下顎固定部に固定された下顎モデル
    が接触したことを検知する接触検知プローブと、前記下
    顎モデルが前記接触検知プローブに接触した時点におけ
    る前記下顎固定部の位置および姿勢を検知するセンサと
    を備え、 前記下顎モデル固定位置演算手段が、前記センサにより
    検知された位置および姿勢に基づいて、前記下顎固定部
    に対する下顎モデルの固定位置を求めるものであること
    を特徴とする請求項4記載の顎運動シミュレータ。
  6. 【請求項6】 前記下顎固定部に固定された下顎モデル
    が接触したことを検知する接触検知プローブと、前記下
    顎固定部に固定された下顎モデルを動かすための操作子
    とを備えるとともに、前記下顎制御手段が、前記操作子
    の操作を受けて前記下顎駆動手段を制御するものであっ
    て、 前記下顎モデル固定位置演算手段が、前記下顎モデルが
    前記接触検知プローブに接触した時点における前記下顎
    固定部の位置および姿勢に基づいて、前記下顎固定部に
    対する下顎モデルの固定位置を求めるものであることを
    特徴とする請求項4記載の顎運動シミュレータ。
  7. 【請求項7】 前記下顎固定部が、前記下顎固定部支持
    手段に支持された第1の部分と、下顎モデルが固定され
    る、前記第1の部分とは位置の異なる第2の部分とを有
    するものであることを特徴とする請求項1記載の顎運動
    シミュレータ。
  8. 【請求項8】 前記下顎固定部が、前記下顎固定支持手
    段に支持された第1の部材と、下顎モデルが固定される
    第2の部材と、前記第1の部材に固定され、該第1の部
    材に対し前記第2の部材を上下方向に回動させる回転関
    節とを備えたものであることを特徴とする請求項1記載
    の顎運動シミュレータ。
  9. 【請求項9】 前記6本のリンクそれぞれに対応して備
    えられ、対応するリンクを該リンクの長手方向に伸縮さ
    せるリニアアクチュエータを有すことを特徴とする請求
    項3記載の顎運動シミュレータ。
  10. 【請求項10】 前記下顎固定部のガタつきを除去もし
    くは低減する引っ張りバネを備えたことを特徴とする請
    求項1記載の顎運動シミュレータ。
  11. 【請求項11】 前記上顎固定部に固定された上顎モデ
    ルと前記下顎固定部に固定された下顎モデルを咬み合わ
    せたときの、該上顎モデルと該下顎モデルとの最初の接
    触に起因する力による荷重を少なくとも3点で測定する
    複数の荷重センサと、 該複数の荷重センサにより測定された荷重に基づいて、
    上顎モデルと下顎モデルの、咬合時の最初の接触点を求
    める接触点演算手段とを備えたことを特徴とする請求項
    1記載の顎運動シミュレータ。
  12. 【請求項12】 被検者の顎の動きを撮影する顎運動撮
    影装置であって、被検者を相互に異なる方向から撮影す
    る複数台のカメラと、前記複数台のカメラそれぞれによ
    り視認される、撮影により得られた画像上で座標計測の
    指標となる所定のターゲットを相互に異なる少なくとも
    3点に有する、被検者の頭部に取着されるヘッドフレー
    ムと、前記複数台のカメラそれぞれにより視認される、
    撮影により得られた画像上で座標計測の指標となる所定
    のターゲットを相互に異なる少なくとも3点に有する、
    被検者の下顎に固定される下顎用フレームとを備えた顎
    運動撮影装置、 頭部に前記ヘッドフレームが固定されるとともに下顎に
    前記下顎用フレームが固定されてなる被検者を前記複数
    台のカメラで撮影したときに得られる画像上でターゲッ
    トを検出し該画像上でのターゲットの位置に基づいて、
    該被検者の、頭部を基準としたときの下顎の位置および
    姿勢をあらわすデータを求める顎運動演算装置、 上顎の少なくとも一部分を型取った上顎モデルと下顎の
    少なくとも一部分を型取った下顎モデルが取り付けら
    れ、上顎モデルに対し下顎モデルを相対的に動かす顎運
    動再生装置であって、基体と、下顎モデルが固定される
    下顎固定部と、前記基体に対する前記下顎固定部の三次
    元空間内の位置および姿勢の変更が自在に、該下顎固定
    部を支持する下顎固定部支持部材と、前記下顎固定支持
    部材を動かすことにより前記下顎固定部の位置および姿
    勢を動かす下顎駆動手段と、所定の初期位置および初期
    姿勢にある下顎固定部に固定された下顎モデルに対し上
    顎モデルが所定の位置関係に固定される、前記基体に固
    定された上顎固定部とを備えた顎運動再生装置、 前記顎運動演算装置により求められたデータに基づい
    て、前記顎運動再生装置の下顎駆動手段を制御すること
    により、該顎運動再生装置の下顎固定部に固定された下
    顎モデルに前記被検者の下顎の運動を再現させる顎運動
    再生制御装置を具備したことを特徴とする顎運動シミュ
    レートシステム。
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