JP3861108B2 - コウ合器調節システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上顎に対する下顎の相対的で立体的な位置関係を示す画像データをパーソナルコンピュータに入力し、画像処理して得た顎間関係データをデイスプレイ上にグラフイック表示して、顎位の設定とコウ合器の調節を行うことを目的とした、コウ合器調節システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、全調節性コウ合器の調節を目的とした電子的パントグラフは、フエースボウ様の比較的大型な口外装置を患者に装着するために、無歯顎患者に使用することが困難であった外、特定のコウ合器の調節値を算出するよう特化したものであったため、不特定多数のコウ合器の調節に汎用的に使用できるものではなかった。
また、デジタイザーを顎位のセンサーとしたゴシックアーチトレーサーでコウ合器の矢状カ路角を調節するには、コウ合平面傾斜角の測定、あるいは顎間距離の測定を必要とし、測定システムが複雑となる欠点を有していた。
その外、一部の測定系を省略し、統計処理された相関値を用いての調節システムでは、必ずしも性差や人種差が反映されておらず、個々の顎運動機能を正確に反映させるものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、顎位の設定とコウ合器調節に必要な水平的顎運動経路と顎間関係を同時に測定してデイスプレイ上に表示し、電子的なデータにもとづいたコウ合採得とチエツクバイト法によるコウ合器の調節を行うことを目的とした、コウ合器調節システムの開発を課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本システムでは、1台の電子カメラと3側定点を有する一つの測定用被写体をゴシックアーチトレーサーに設置して上下顎的に対向させ、セントラルベアリングによってコウ合高径を規定しながら、水平的な顎運動経路と相対的な上下顎顎間関係を示す画像データをパーソナルコンピュータに入力する顎間関係センサーの開発を第一の手段とし、顎間関係センサーを生体での測定とコウ合器装着された上下顎模型による顎間関係の測定にも用いることとし、顎間関係センサーの生体での立体的設置条件とコウ合器装着された上下顎模型上での立体的設置条件とを等しくすることによって、顎間関係センサーが示す生体上での顎間関係とコウ合器上での顎間関係とで、立体的な互換性を持たせることを第二の手段とするものである。さらに、パーソナルコンピュータの画像処理によって、電子カメラのセンサー座標系における3測定点の2次元座標値を求めることを第三の手段とするものである。
【0005】
具体的には、ゴシックアーチトレーサーベアリングプレートに設置された2次元イメージセンサーをセンサーとする電子カメラと、ゴシックアーチトレーサー描記板に描かれた正三角形を測定用被写体とする顎間関係センサーを、コウ合床を介して患者の上下顎に装着し、水平的な顎運動に伴う測定用被写体の上顎に対する立体的な変位を、パーソナルコンピュータに入力された画像データを画像処理して検出する3頂点のセンサー座標系における2次元座標値として記録する。
【0006】
3頂点の運動軌跡の表示を参考にしてコウ合採得を行った後、患者での測定と同等な設置条件にて顎間関係センサーをコウ合器装着された上下顎模型上に移設し、コウ合器上でリアルタイムに検出する3頂点の2次元座標値が、生体におけるチックバイト位で記録されたそれぞれの値に等しくなるようにコウ合器を調節操作して、患者が示したチエックバイト位での顎間関係にコウ合器装着された上下顎模型の顎間関係を一致させ、チエックバイト法にもとずくコウ合器のカ路を設定する。
本発明は、以上のことを手段とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例にもとずき図面を参照して説明する。
a.図1は、バッテリーを電源としマイクロ波による無線通信にて画像データを制御回路部に送信するコードレスCCDカメラをゴシックアーチトレーサーベアリングプレートに設置し、ゴシックアーチトレーサー描記板上面に測定用被写体とする正三角形を描いた顎間関係センサーの、制御回路部を除く斜視図である。
b.図2は制御回路部を除く顎間関係センサーの平面図である。
c.図3は、顎間関係センサーを上下顎コウ合床を介して患者の上下顎に装着すると共に、制御回路部を画像処理回路を搭載したパーソナルコンピュータと接続して、生体での測定術式と本発明の構成を示した模式図である。
d.測定用被写体を撮影して得た電子カメラの画像データをパーソナルコピュータに入力し、パーソナルコンピュータに組み込んだ画像処理回路で2値化処理と変化点座標の取り込みを行い、取り込んだ座標値のX座標とY座標大小関係を比較して、センサー座標系における正三角形の3頂点の2次元座標値を検出する。
e.検出したセンサー座標系における3頂点の2次元座標値を顎間関係データとして1フレーム毎に配列メモリーに格納し時系列記録すると共に、デイスプレイ座標系に変換して表示した3頂点を結んだ三角形をリアルタイムな顎間関係表示として、連続的にデスプレイ上に表示する。(図4)
f.三角形の各頂点の表示位置と各々の前回の各頂点の表示位置とを線分で結び、フレームの更新毎にこれを消去せずに繰り返すことにより、3箇所でのゴシックアーチとなる3頂点各々の、デイスプレイ上での運動軌跡を表示する。
g.停止コマンドが発せられるまで上記処理を1フレーム毎に繰り返し、ゴシックアーチとなる3頂点の運動軌跡とリアルタイムな顎間関係を三角形で表示することにより、顎運動経路上の顎位と顎間関係を同時に表示する。(図5)
h.コウ合採得材を用いて中心位における顎間関係を物理的に記録し患者での測定を終了する際に、顎間関係センサーのコウ合器上への移設と中心位の電子的記録を目的として、上顎側に設置した電子カメラで下顎側に設置した測定用被写体を撮影し、患者の中心位における電子的な顎間関係データとして顎運動経路と共に別途メモリーに記憶させる。(図6)
i.中心位の電子的な記録後、画面をクリアーして生体での測定を終了し、顎間関係センサーをゴシックアーチトレーサーとコウ合採得材で立体的な位置関係を固定したまま、上下顎コウ合床と共に一塊として口腔外に取り出す。
j.フエイスボウにてコウ合器付着された上顎模型に上記一塊の上顎コウ合床側を適合させ、下顎コウ合床側にコウ合器から分離した下顎模型を適合させてコウ合器を閉じ、測定された中心位における下顎模型のコウ合器付着を行う。
k.下顎模型の付着終了後、先に別途記録した中心位における顎間関係をデイスプレイ上に表示する。
l.電子カメラでコウ合器上での測定用被写体を撮影して、上下顎模型による顎間関係を三角形としてデイスプレイ上にリアルタイム表示し、中心位で記録した顎間関係を示す三角形の表示位置と一致することを確認する。
m.コウ合採得材を撤去し、測定された中心位でのコウ合器再付着を終了する。(図7)
n.コウ合器上に移設された顎間関係センサーによって検出される3測定点のセンサー座標系における2次元座標値をデイスプレイ座標系に変換して、コウ合器上の上下顎模型が示すリアルタイムな顎間関係として連続的にデイスプレイ上に三角形表示し、システムの作動を確認して、一旦、画面をクリアーにする。
o.生体で記録された顎運動経路を表示してチエックバイト位を決定し、チエックバイト位における顎間関係データをデイスプレイ上に表示する。(図8)
p.同一画面上にて、コウ合器上のリアルタイムな顎間関係を示す三角形表示を再開する。(図9)
q.チエックバイト位での顎間関係を表示した画面上に、コウ合器運動に連動する上下顎模型のリアルタイムな顎間関係である三角形を色別表示して、二つの顎間関係の同一画面上での表示位置を一致させるようコウ合器を調節操作し、コウ合器のカ路を設定する。(図10)
上記のようにしてなる請求項1のコウ合器調節システム。
その他の実施の例として、ゴシックアーチトレーサーベアリングプレートに測定用被写体を設置しゴシックアーチトレーサー描記板に電子カメラを設置して顎間関係センサーとなすことも可能である。
【0008】
【発明の効果】
以上のように構成した本発明の効果を示す。
a.測定用被写体とした正三角形描記パターンの、一定な光学系を経由してセンサー面上に結像する位置、面積、形状等は、上顎側に設置された単焦点電子カメラの光学系と下顎側に設置された測定用被写体との、方向、距離、対面姿勢とに一義的に対応するので、一眼式の簡略化された相対的な測定と言えども、コウ合器上での利用では、3頂点のセンサー座標系における2次元座標値がそのまま顎間関係を3次元的に特定するに十分なデータとなり、パーソナルコンピュータによる画像処理を必要とするもの、患者に装着するセンサー部を軽量小型化できることから、無歯顎患者に適応できる利点がある。
b.測定の開始に際して、中心コウ合位付近にてカメラ部と測定用被写体とを上下顎において垂直的に対向させ、測定用被写体とした正三角形パターンを、底辺を左右下顎頭間軸と平行に、対角の頂点を前方にして、面をコウ合平面と平行に設定することにより、ゴシックアーチトレーサーを用いた水平的な下顎運動において側方限界運動をおこなっても、電子カメラのセンサー座標系における正三角形の各頂点が結像する位置的特徴が定性的に変化しない。これによって、画像データの2値化処理によって抽出した変化点座標を、X座標あるいはY座標において、その最大値あるいは最小値を判別処理することにより、測定点である正三角形の3頂点のセンサー座標系における2次元座標値を検出することができる。
センサー面上の像の位置と形態だけでも、コウ合器上の顎間関係を特定することが可能であるが、3頂点のセンサー座標系における2次元座標値を時系列的に連続記録する本実施例では、水平的顎運動経路の測定後においてこれを再生表示し、中心位の決定や任意の顎位をチエックバイト位として決めることが可能であることから、コウ合採得とチェックバイト測定を同時に行う術式を可能とするばかりでなく、顎運動の定量的解析を可能とする利点がある。
c.測定用センサー部が小型軽量でゴシックアーチトレーサーに搭載されていることから、臨床上最も必要とされる無顎患者への適応が容易である外、電子的なゴシックアーチ描記と電子的なチェックバイト記録とを同時に行い、測定に要する時間を短縮する効果がある。
d.デイスプレイ上にて、ゴシックアーチ上のチエックバイト位における顎間関係を三角形で表示し、その表示位置に半調節性コウ合器の調節機構を操作して、コウ合器上の上下顎模型のリアルタイムな顎間関係を示す三角形の表示位置を合わせることは、電子的なデータを元に位置と方向をデイスプレイ上でナビゲーションされながら、チエックバイト法による半調節性コウ合器の調節をビジュアルに行うものであり、コウ合器調節に要する高度な熟練を不要とする効果がある。
e.デイスプレイ上に表示する画像を拡大することによって、コウ合器の調節精度を高めることができる。
f.被写界深度の深い固定焦点レンズを用いた光学系では、下顎安静位からの開閉口運動を測定することが可能である。
g.センサーがコードレスなので測定の術式が簡単で容易である。
h.ゴシックアーチを描く要領で、立体的な顎運動範囲の水平的な一断面を菱形として描き、描かれた菱形の最後方点であるエイペックスと、菱形の一頂点である最前出点を結ぶことにより、生体における機能的な前方方向を規定して顎機能の解析に利用することができる。
i.顎運動経路上の顎位と顎間関係を同時に表示できるので、左右下顎頭を含む顎運動動態の観察と顎機能の推測に便利である。
【0009】
【図面の簡単な説明】
【図1】顎間関係センサーの制御回路部を除く斜視図である。
【図2】顎間関係センサーの平面図である。
【図3】生体上での測定術式を示す模式図である。
【図4】測定開始時の顎間関係表示例
【図5】測定中の顎運動経路と顎間関係の表示例
【図6】コウ合採得時における中心位での表示例
【図7】コウ合器再付着を終了し、コウ合器上での測定の術式を示す模式図
【図8】前方チエックバイト位における顎間関係データの表示例
【図9】前方チエックバイト調節におけるコウ合器操作中の表示例
【図10】前方チエックバイト調節におけるコウ合器操作終了時の表示例
【符号の説明】
1.ゴシックアーチトレーサーベアリングプレート
2.コードレス式CCDカメラ
3.ゴシックアーチトレーサー描記板
4、測定用被写体
5.セントラルベアリング
6.レンズ孔
7.上顎コウ合床
8.上顎コウ合堤
9.下顎コウ合床
10.下顎コウ合堤
11.コードレス式CCDカメラ制御回路部
12.接続コード
13.パーソナルコンピュータ
14.顎間関係表示
15.顎運動経路
16.コウ合器上での上下模型による顎間関係表示
17.コウ合器
Claims (1)
- ゴシックアーチトレーサーを構成要素をして含む顎運動測定装置において、
パーソナルコンピュータと接続した一個の電子カメラをゴシックアーチトレーサーベアリングプレートに設置し、3測定点を有する一つの測定用被写体をゴシックアーチトレーサー描記板に設置して、パーソナルコンピュータを用いたコウ合器調節システムのコウ合器上における顎間関係センサーとなすことを特徴とする、コウ合器調節システム。
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