JP2003305065A - 顎運動計測方法、顎運動計測プログラム、および顎運動計測プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

顎運動計測方法、顎運動計測プログラム、および顎運動計測プログラムを記録した記録媒体

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JP2003305065A
JP2003305065A JP2002232083A JP2002232083A JP2003305065A JP 2003305065 A JP2003305065 A JP 2003305065A JP 2002232083 A JP2002232083 A JP 2002232083A JP 2002232083 A JP2002232083 A JP 2002232083A JP 2003305065 A JP2003305065 A JP 2003305065A
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movement
measurement position
jaw
measurement
jaw movement
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JP2002232083A
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English (en)
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Taiji Shiyoumura
泰治 荘村
Junzo Takahashi
純造 高橋
Fumio Takashima
史男 高島
Takashi Nakamura
隆志 中村
Tetsuya Kojima
哲也 小島
Kazumichi Wakabayashi
一道 若林
Soichiro Kinuta
宗一郎 絹田
Mitsumichi Nagao
光理 長尾
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Japan Science and Technology Agency
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Japan Science and Technology Corp
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  • Dental Tools And Instruments Or Auxiliary Dental Instruments (AREA)
  • Image Analysis (AREA)
  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 精度が高く、容易かつ安価に実施が可能であ
り、また、被験者への負担をかけない顎運動計測方法を
提供する。 【解決手段】 被験者の下顎近辺における測定位置、お
よび基準となる相対位置にマーカーを取り付け、被験者
に顎運動を行わせた様子をビデオカメラによって撮影す
る。この撮影された動画データに基づいて、測定位置お
よび相対位置の変位を計測する。そして、測定位置の変
位量から、相対位置の変位量を差し引くことによって、
頭の移動などが含まれない、顎運動のみによる測定位置
の変位を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科領域の研究お
よび臨床において顎運動の分析を行う際に必要とされ
る、顎運動の計測を実現する顎運動計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】歯科医療において、個人個人の持つ顎運
動を解析することには重要な意義がある。すなわち、顎
運動を解析することによって、咀嚼、咬合、発声等の機
能を診断することが可能となったり、かみ合わせの様子
を調べることによって、より適切な歯科補綴物を作成す
ることが可能となる。そこで、患者の顎運動を簡単に高
い精度で計測する装置の開発が試みられてきた。
【0003】従来、顎運動を計測するには、顎運動にお
いて特徴的に動く部位を測定位置とし、そこに標識点を
付して、その動きをセンサによって認識する方法が用い
られてきた。まず、標識点として磁気を発生するものを
使用し、その動作に伴う磁場の変化をセンサにより認識
するものについて説明する。
【0004】マンディブラーキネジオグラフは、下顎中
切歯に標識点としてマグネットを付着させ、その磁力線
の変化を、メガネフレームに取り付けたセンサによって
とらえ、電気的に記録するものである。
【0005】他に、シロナソグラフという装置もある。
これは、下顎中切歯唇面に瞬間接着剤などで小さなマグ
ネットを付着させ、その磁場の変化を、頭部に固定した
4組のホールトランスデューサーからなるセンサを設置
したアンテナにより感知し、記録するものである。
【0006】また、標識点として光源などを付設し、そ
の動作を光学的に認識する装置も開発されている。グナ
チックレプリケーター(Gnathic Repricator)は、上下
顎それぞれにフェイスボウと呼ばれる装置を設け、クラ
ッチと呼ばれる支柱によってそれぞれのフェイスボウを
全歯に固定するようになっている。上下顎のフェイスボ
ウ間には、6ヶ所のフォトセル(photocell)が設置さ
れ、その光の強さを感知することで、下顎の運動がテー
プレコーダに記録され、コンピュータにより解析され
る。さらに、この記録に基づき、運動再現装置に下顎運
動を再現させることもできる。
【0007】また、標識点として近赤外光LED(ligh
t emitting diode)を発する光源を使用したものもあ
る。サホンビジトレーナーは、下顎前歯部にレジンシー
ネを作り、それに光源を取り付け、ヘッドバンドに取り
付けたセンサにより一平面上での動作を検出するもので
ある。
【0008】また、ナソヘキサグラフは、標識点である
LEDを、前方の上下2ヵ所に設置したカメラから撮影
し、ステレオ法、つまり、2台のカメラの視差から前後
方向の動作を認識して、3次元化するものである。この
場合、標識点を認識するカメラが被験者とは別の位置に
固定されるので、顎運動以外の頭全体の動作も標識点の
動作として認識される。そのため、この装置では、頭全
体の動作を認識して除去するために、光源を測定位置と
は別の相対位置にも設ける。相対位置としては、頭部に
光源を設けたヘッドフレームを装着させ、頭部前面およ
び両側面に光源が配される構成とする。測定点として
は、下顎前歯部唇面にクラッチを設置し、それに光源を
設けたフェイスボウを取り付けることで、光源が前歯
部、頬側面とに設置される。
【0009】LEDの動作認識は上記の撮影カメラに電
子シャッター機能を有したものを使用して行われる。L
EDは毎秒90回程度の周期で点滅させ、これにカメラ
の電子シャッターを同期させる。これにより得られた時
系列に記録された静止画像から、LEDの時間による位
置変化を認識することができる。そして、測定点の動作
を相対位置の動作により補正して、顎運動の動作認識を
行う。
【0010】このナソヘキサグラフを使用した顎運動計
測方法は、特開2000−107207号公報(公開日
2000.4.18)や、日本コンピュータ支援外科学会会誌8
巻3号(2000年9月)p42〜p46などに示されてい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような従来技術で用いられる標識点は、磁石やLED光
源など比較的重いもので、顎部の負担となっていた。さ
らに、位置検出に特別な装置が必要となり、複雑な測定
工程を含むこととなる。
【0012】これに加え、精度に問題のあるものもあ
る。マンディブラーキネジオグラフでは、センサがメガ
ネフレームに取り付けられており、センサの設置位置が
制約され、後方への動作や上方への動作を正確に認識す
ることができず、顎運動計測に特有の歪みが生じてしま
う。また、サホンビジトレーナーは、一つの動作のう
ち、一平面における特定の動作しか記録できない。
【0013】一方、精度を保つために、標識点の装着が
煩雑になるものもある。グナチックレプリケーターで
は、上下顎それぞれにクラッチを設置し、さらにフェイ
スボウを全歯に固定する作業が煩雑であり、また、顎運
動が妨げられ、自然な顎運動を測定できない。ナソヘキ
サグラフにおいても、ヘッドフレーム、クラッチ、フェ
イスボウの装着が煩雑である。また、磁気的検出方法で
は、口腔粘膜に直接磁石を貼り付ける必要があるが、特
にシロナソグラフでは、測定位置に接着剤により磁石を
貼付するので、被験者への負担となる。
【0014】また、ナソヘキサグラフでは、標識点認識
に高価なセンサ等の特殊機械を用いる代わりに、CCD
を使用して行っているが、そのためには、LEDの点灯
パルスを電流周期によってコントロールし、それをカメ
ラの電子シャッターに同期させる必要があり、これも複
雑な作業となる。
【0015】以上のように、精度を保ちつつ、簡単で、
被験者への負担をかけない顎運動計測器は、未だ提案さ
れていない。
【0016】そこで、本願発明者らは、動作認識の手段
として、コンピュータグラフィック(CG)の分野で開
発された、モーションキャプチャー法に注目した。これ
は、対象者の動き成分だけを取り出してデータ化し、C
G上のアニメーションキャラクターに与えるという、方
法である。この方法は、特開2001―133300号
公報(公開日2001.5.18)などに開示されている。
【0017】モーションキャプチャー法の中でも、動き
が制約されず、精度の高い3次元計測のできる光学的検
出法が注目されている。その方法が、映画テレビ技術5
49巻(1998年5月)のp40〜43に記載されてい
る。このモーションキャプチャー法は一般的には、反射
スクリーンを張った軽量の球体マーカーを用いて行われ
る。対象者の各関節に上記マーカーをつけて、対象者の
動作を撮影し、球体だけが明るく光り、他は黒に近いコ
ントラスト映像を得る。その2次元映像を、後に専用の
プログラムによって3次元化し、3次元の軌跡を算出す
る。これを補正し、骨格に近い形が動くモーションデー
タを得る。さらに、このデータをCGに取り込み、キャ
ラクターの骨格に貼り付けることで、モーションキャプ
チャー法を用いたCGアニメーションを作成する。
【0018】このような方法は、CG上のキャラクター
にさせる複雑な動作データを取得するために開発された
ものであり、対象者の手や足の関節に標識点を付し、そ
の姿勢を記録するものである。しかし、歯科医療におけ
る顎運動計測への利用は提案されていない。
【0019】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、精度が高く、容易かつ安価
に実施が可能であり、また、被験者への負担をかけない
顎運動計測方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明にかかる顎運動計測方法は、被験者の顎運
動を計測する顎運動計測方法であって、上記顎運動によ
って変位する測定位置に連動して移動するマーカー、お
よび、上記顎運動によっては変位せず、上記被験者の頭
の移動によって変位する相対位置に連動して移動するマ
ーカーが取り付けられた被験者が顎運動を行う様子を撮
影した動画データから、該動画データにおける2次元平
面内での測定位置および相対位置の変位を計測するステ
ップと、上記相対位置に対する上記測定位置の相対変位
に基づいて、上記測定位置の、顎運動のみによる変位を
計測するステップとを有することを特徴としている。
【0021】上記の方法では、まず、被験者に対して、
測定位置および相対位置にマーカーが取り付けられる。
ここで、測定位置とは、被験者の顎運動にともなって変
位する位置であり、相対位置とは、被験者の顎運動によ
っては変位せずに、頭の移動によって変位する位置であ
る。以上のようにマーカーが取り付けられた被験者に顎
運動を行わせ、この様子を例えばビデオカメラなどによ
って撮影することによって得られた動画データには、特
定位置および相対位置に連動して動くマーカーの変位が
記録されていることになる。
【0022】ここで、測定位置の変位には、顎運動によ
る変位と、頭の移動による変位とが含まれていることに
なるので、測定位置の変位のみを考慮するだけでは、純
粋な顎運動の動作を解析することはできない。これに対
して、本発明の方法では、相対位置に対する測定位置の
相対変位に基づいて、顎運動のみによる測定位置の変位
を計測するようになっている。これにより、顎運動の正
確な解析を行うことが可能となる。
【0023】また、従来では、顎運動の計測を行う場
合、前記したように、例えば測定位置に、比較的重量の
あるマグネットを装着し、かつ、磁気を検出するアンテ
ナを被験者の頭部に取り付けたり、あるいは、測定位置
にLEDを装着し、光を検出するセンサを被験者の頭部
に取り付けたりというような、比較的煩雑であり、かつ
被験者に負担をかけるような器具の装着が必要とされて
いた。これに対して、本発明の方法では、被験者に対し
て取り付ける必要があるものとしては、測定位置および
相対位置に連動して移動するマーカーのみとなる。この
ようなマーカーは、撮影された動画内で目印として認識
することが可能となる程度のものでよいので、被験者に
対する負担は極めて僅かなものであり、その装着も極め
て容易である。よって、顎運動の計測を容易かつ迅速に
行うことが可能となるとともに、装着物の軽減によっ
て、被験者はより自然な顎運動を行うことが可能とな
り、より的確な顎運動の計測を行うことが可能となる。
【0024】また、本発明の方法を実施する際に必要と
されるものとしては、被験者に取り付けるマーカー、被
験者の動作を動画として撮影するビデオカメラ、および
データの処理を行うためのコンピュータとなる。これら
は、全て比較的安価に、かつ容易に入手できるものであ
るので、従来のように、特殊で高価な装置を用意する必
要はない。よって、例えば小規模の歯科診療所などにお
いても、容易に顎運動の計測を行うことが可能となり、
治療に役立てることが可能となる。
【0025】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記の方法において、上記動画データを、時系列の複数の
静止画像データに変換するステップと、上記複数の静止
画像データに基づいて、該静止画像内における、上記測
定位置および上記相対位置の移動量を計測するステップ
と、上記測定位置の移動量から、上記相対位置の移動量
を差し引くことによって、上記測定位置の相対移動量を
算出し、実際の測定位置の変位量を算出するステップと
を有する方法としてもよい。
【0026】上記の方法では、被験者の顎運動の様子を
撮影した動画データを、まず時系列の複数の静止画像デ
ータに変換する処理を行っている。そして、得られた複
数の静止画像データ同士を比較することによって、測定
位置および相対位置の画像内におけるそれぞれの移動量
を計測する。その後、これらより、測定位置の相対移動
量を算出するとともに、スケール変換を行うことによっ
て、被験者における実際の測定位置の変位量を算出して
いる。このような処理は、例えばパーソナルコンピュー
タなどによって比較的容易に行うことが可能であるの
で、本発明の顎運動計測方法を容易に実施することが可
能となる。
【0027】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記の方法において、上記動画データが、1台の動画撮影
手段によって撮影されたものである方法としてもよい。
【0028】上記の方法によれば、被写体の撮影は、1
台の動画撮影手段、例えばビデオカメラによって行えば
よいことになる。したがって、例えば立体撮影を行うた
めにビデオカメラを2台用意しなければならない場合と
比較して、必要とされる装置が少なくて済むことにな
り、顎運動を計測するために必要とする装置コストを低
減することができる。
【0029】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記の方法において、上記相対位置に連動して移動するマ
ーカーを、互いに異なる少なくとも2か所の位置に設け
るとともに、上記測定位置に連動して移動するマーカー
も、互いに異なる少なくとも2か所の位置に設ける方法
としてもよい。
【0030】上記の方法によれば、相対位置および測定
位置のそれぞれに関して、互いに異なる少なくとも2か
所の位置の距離の変化を計測することによって、相対位
置および測定位置の、撮影画像平面に対する前後方向の
移動量を算出することが可能となる。よって、上記のよ
うに、1台の動画撮影手段によって撮影された動画デー
タからでも、測定位置の3次元空間での変位を認識する
ことが可能となる。
【0031】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記の方法において、上記動画データが、変位を計測すべ
き測定位置が複数設定され、それぞれの測定位置にマー
カーが取り付けられた被験者の顎運動が撮影されたもの
である方法としてもよい。
【0032】従来、例えば磁気を利用して顎運動を計測
する方法では、1回の計測では1か所の変位の計測しか
できず、また、例えばLEDからの光をフォトセンサに
よって検知することによって顎運動を計測する方法にお
いても、1回に計測できる個所は限定されていた。これ
に対して、上記の方法によれば、1回の撮影によって、
顎運動に伴う複数箇所の変位の様子を同時に計測するこ
とが可能となる。したがって、例えば、顎運動時の顔面
皮膚表面の連続的な動きの計測が、容易にかつ短時間で
行うことが可能となり、より詳細な顎運動の計測を行う
ことが可能となる。
【0033】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記の方法において、上記動画データにおける画面内に、
被験者の顎運動を直接撮影した直接画像に加えて、被験
者の顎運動を横方向あるいは斜め横方向から映した鏡像
画像が含まれているとともに、上記動画データにおける
2次元平面内において、上記直接画像における測定位置
の変位、および上記鏡像画像における上記測定位置の変
位に基づいて、撮影方向に平行な方向における上記測定
位置の変位を計測するステップをさらに有する方法とし
てもよい。
【0034】上記の方法では、撮影画像内に、被験者の
顎運動を横方向あるいは斜め横方向から映した鏡像画像
が含まれるようになっている。そして、撮影方向に平行
な方向における測定位置の変位、すなわち、前後方向に
おける測定位置の変位を、動画データ中の直接画像にお
ける測定位置の変位および鏡像における測定位置の変位
に基づいて計測するようになっている。ここで、鏡像
は、被験者の顎運動を横方向あるいは斜め横方向から映
し出したものであるので、この鏡像における測定位置の
変位は、測定位置の変位における前後方向の成分を含ん
だものとなっている。すなわち、前後方向の成分を含ん
だ鏡像における測定位置の変位と、直接画像における測
定位置の変位との両方を考慮して計測することによっ
て、精度良く測定位置の前後方向の変位を求めることが
可能となる。
【0035】また、この方法を実現する上で新たに必要
となる構成としては、被験者の鏡像を映し出す鏡のみで
あるので、比較的安価に上記の方法を実現することが可
能である。
【0036】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記の方法において、上記撮影方向に平行な方向を前後方
向と称することにすると、上記直接画像における測定位
置の左右方向成分の変位量を求めるステップと、上記鏡
像画像における測定位置の左右方向成分の変位量を求め
るステップと、上記直接画像における測定位置の左右方
向成分の変位量に対応する、上記鏡像画像における左右
方向成分の変位量を求めるステップと、上記鏡像画像に
おける測定位置の左右方向成分の変位量と、上記直接画
像における測定位置の左右方向成分の変位量に対応す
る、上記鏡像画像における左右方向成分の変位量とに基
づいて、実際の測定位置の前後方向成分の変位量に対応
する、上記鏡像画像における左右方向成分の変位量を求
めるステップと、上記実際の測定位置の前後方向成分の
変位量に対応する、上記鏡像画像における左右方向成分
の変位量に基づいて、実際の測定位置の前後方向成分の
変位量を求めるステップとを有する方法としてもよい。
【0037】上記の方法において、直接画像における測
定位置の左右方向成分の変位量は、動画データ中の直接
画像における測定位置の変位を計測することによって求
められるものである。また、鏡像画像における測定位置
の左右方向成分の変位量は、動画データ中の鏡像画像に
おける測定位置の変位を計測することによって求められ
るものである。
【0038】そして、直接画像における測定位置の左右
方向成分の変位量に対応する、鏡像画像における左右方
向成分の変位量は、鏡像を映し出す鏡の鏡面と、上記動
画データを撮影する際の撮影方向とがなす角度と、直接
画像における測定位置の左右方向成分の変位量とによっ
て求められるものである。また、実際の測定位置の前後
方向成分の変位量に対応する、上記鏡像画像における左
右方向成分の変位量は、鏡像画像における測定位置の左
右方向成分の変位量と、直接画像における測定位置の左
右方向成分の変位量に対応する、鏡像画像における左右
方向成分の変位量とによって求められるものである。そ
して、実際の測定位置の前後方向成分の変位量は、実際
の測定位置の前後方向成分の変位量に対応する、上記鏡
像画像における左右方向成分の変位量と、鏡像を映し出
す鏡の鏡面と、上記動画データを撮影する際の撮影方向
とがなす角度とに基づいて求められるものである。
【0039】したがって、上記の方法によれば、直接画
像における測定位置の変位、および上記鏡像画像におけ
る上記測定位置の変位に基づいて、簡単な計算によって
実際の測定位置の前後方向成分の変位量を精度良く求め
ることが可能となる。
【0040】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記の方法において、上記鏡像を映し出す鏡の鏡面と、上
記動画データを撮影する際の撮影方向とがなす角度を、
15°〜30°の範囲とする方法としてもよい。
【0041】鏡像を映し出す鏡の鏡面と、上記動画デー
タを撮影する際の撮影方向とがなす角度を上記で規定し
た範囲となるように設定することによって、前後方向の
測定位置の変位量を精度良く計測することができるとと
もに、必要以上に鏡の大きさを大きくしたりすることな
く、的確に顎運動の鏡像を映し出すことが可能となる。
【0042】また、本発明に係る顎運動計測プログラム
は、上記本発明に係る顎運動計測方法における各ステッ
プをコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0043】上記プログラムをコンピュータシステムに
ロードすることによって、上記顎運動計測方法を実現す
ることが可能となる。
【0044】また、本発明に係る顎運動計測プログラム
を記録した記録媒体は、上記本発明に係る顎運動計測方
法における各ステップをコンピュータに実行させるプロ
グラムが記録されていることを特徴としている。
【0045】上記記録媒体に記録されたプログラムをコ
ンピュータシステムにロードすることによって、上記顎
運動計測方法を実現することが可能となる。
【0046】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)本発明の実施の
一形態について図1ないし図14に基づいて説明すれ
ば、以下のとおりである。
【0047】本実施形態に係る顎運動計測システムは、
被験者の顎部近辺ならびに頭部に対してマーカーを取り
付け、被験者が顎運動を行う際の様子をビデオカメラに
よって撮影し、マーカーの動きを解析することによって
顎運動を分析するシステムとなっている。図2は、本実
施形態に係る顎運動計測システムの概略構成を示すブロ
ック図である。同図に示すように、この顎運動計測シス
テムは、ビデオカメラ(動画撮影手段)1およびPC
(パーソナルコンピュータ)2を備えた構成となってい
る。
【0048】ビデオカメラ1は、被験者に取り付けられ
たマーカー群3の動きを動画として記録することが可能
なビデオカメラである。本実施形態では、ビデオカメラ
1として、撮影した動画をデジタルデータとしてテープ
媒体などの記録媒体に記録するデジタルビデオカメラを
用いることとする。なお、この記録媒体としては、テー
プ媒体に限らず、ディスク媒体やフラッシュメモリなど
の各種記録媒体であってもよい。
【0049】また、ビデオカメラ1は、デジタル記録を
行うものに限定されるものではなく、テープ媒体などに
アナログ記録を行うものであってもよい。この場合、撮
影された動画データをPC2に転送する際には、例えば
PC2側でのインターフェースにおいてA/D変換をし
てデータをデジタル化することによってPC2における
各種処理が可能となる。さらに、ビデオカメラ1自身で
は、動画データを記録媒体に記録する処理を行わずに、
撮影している動画を直接PC2に転送して、PC2にお
いてデータを記録、保存するようなシステムであっても
よい。
【0050】PC2は、一般的に用いられているいわゆ
るパーソナルコンピュータであり、図2に示すように、
ビデオ入力インターフェース7、CPU8、メモリ9、
およびハードディスク10を備えた構成となっている。
ビデオ入力インターフェース7は、ビデオカメラ1で撮
影された動画データをPC2へ取り込む際のインターフ
ェースである。本実施形態では、このビデオ入力インタ
ーフェース7として、IEEE1394インターフェー
スを用いるものとするが、これに限定されるものではな
く、USB2.0やSCSIなどの各種インターフェー
スや、無線を利用したインターフェースなどを用いるシ
ステムであってもかまわない。
【0051】CPU8は、PC2における各種演算処理
を行う中枢として機能するものであり、例えばRAMな
どによって構成されるメモリ9を作業領域として上記演
算処理を行う。
【0052】ハードディスク10は、PC2における記
憶手段として機能するものであり、各種データ、たとえ
ば、OS(Operating System)プログラム、各種処理プロ
グラム、ビデオカメラ1から送られてきた動画データ、
およびその他各種データなどを記録、保存している。そ
して、このハードディスク10には、図2に示すよう
に、動画変換プログラム11、移動計測プログラム1
2、および移動量補正プログラム13が記憶されてい
る。
【0053】動画変換プログラムは、取得した動画デー
タを時系列に記録した静止画に変換する処理を行うもの
である。移動計測プログラムは、変換された静止画像を
基に、静止画像におけるマーカー群3のそれぞれの移動
距離を数値化した移動距離データを求める処理を行うも
のである。移動量補正プログラムは、計測位置および相
対位置の移動距離データから、顎運動に伴う計測位置の
移動距離を数値化した相対移動距離データを求める。
【0054】これらのプログラムは、必要に応じてメモ
リ9に読み出され、CPU8によって処理が行われるこ
とになる。なお、これらのプログラムは、例えばCD−
ROMや、その他のリムーバブルメディアから読み出さ
れて処理が行われてもよく、また、通信回線を介して外
部サーバからダウンロードしてくることによって処理が
行われる形態であってもよい。さらに、これらのプログ
ラムが外部サーバに記録されており、通信回線を介して
PC2から外部サーバにアクセスし、その外部サーバ上
で上記プログラムを実行させる形態であってもかまわな
い。
【0055】また、図2に示すように、PC2は、表示
部4、入力部5、および出力部6と接続されている。表
示部4は、PC2における処理内容を表示するものであ
り、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置などの各
種ディスプレイによって構成される。入力部5は、例え
ばキーボードやマウスなどによって構成されるものであ
り、PC2の操作者からの入力を受け付けるものであ
る。出力部6は、PC2における処理の結果を、例えば
紙などに出力するものであり、プリンタやプロッタなど
によって構成される。
【0056】次に、この顎運動計測システムにおける処
理の流れを図1のフローチャートを用いて説明する。ま
ず、ステップ1(以降、S1のように称する)におい
て、被験者の顔面における、計測位置および相対位置に
マーカー群3が付設される。ここで、計測位置とは、顎
運動を計測する上で移動を検出すべき箇所のことであ
り、相対位置とは、頭の移動をキャンセルするために、
頭の移動を検出することが可能となる箇所のことであ
る。これら計測位置および相対位置の詳細については後
述する。
【0057】マーカー群3の付設が完了すると、S2に
おいて、被験者が口の開閉運動などを行う様子がビデオ
カメラ1によって撮影される。撮影された動画は、例え
ばビデオカメラ1においてデジタルビデオテープに記録
される。その後、ビデオカメラ1によって記録された動
画データが、ビデオ入力インターフェース7を介してP
C2に転送され、PC2におけるハードディスク10に
保存される(S3)。
【0058】動画データがPC2に転送されると、S4
において、動画データが、動画ファイル変換プログラム
11によって時系列に並んだ静止画像データに変換され
る。そして、S5において、移動計測プログラム12を
用いて、得られた静止画像データに基づいて、マーカー
群3のそれぞれの移動状態の計測が行われる。
【0059】その後、S6において、移動量補正プログ
ラム13によって、S5で計測された相対位置の移動距
離に基づき、計測位置の移動距離が補正される。そし
て、S7において、計測位置の移動の計測結果が表示部
4に表示される。ここで、計測結果が出力部6から出力
されてもよい。
【0060】以下に、本実施形態の顎運動計測システム
における実用性を検証するために実際に行った具体的な
処理およびその結果について説明する。
【0061】[実施例1]本発明の顎運動計測システム
の精度を調べるために、マーカーを平行移動させた場合
に、PC2において計測される移動距離と、マーカーの
実際の移動距離とを比較する実験を行った。マーカーと
しては白色円盤を用いた。
【0062】まず、上記のようなマーカーを、左右方向
に50mm間隔で3つならべて配置したマーカー支持部
材を用意した。このマーカー支持部材において、3つの
マーカーの中心位置を向かって左側から順にR、I、L
とする。このマーカー支持部材をCAMマシン CAM
M−3(商品名)(Roland社製)のステージに配置し、
ステージを含む、周辺200mm×150mmの範囲
を、前方30cmの距離から、ビデオカメラ1として、
家庭用デジタルビデオカメラ(DVカメラ)DCR−T
RV900(商品名)(SONY株式会社製)により撮
影した。
【0063】上記のCAMマシンは10μm単位でステ
ージを左右前後方向に移動させることが可能なものであ
る。このCAMマシンによって、マーカー支持部材を左
右方向に所定量移動させて、PC2によってIの位置の
マーカーの移動量を計測した。また、上下の移動は、C
AMマシンによってマーカー支持部材を左右方向に移動
させた状態を、ビデオカメラ1の上下方向を90°傾け
て撮影することによって計測した。つまり、ビデオカメ
ラ1の上下方向を90°傾けて撮影した場合、マーカー
支持部材の左右方向の移動は、撮影された動画において
は上下移動となることを利用した。CAMマシンによる
マーカー支持部材の移動量は、10mm、20mm、3
0mmとし、その移動距離をビデオカメラにより5回ず
つ計測を行った。なお、スケール換算は、上記のRとL
との間の距離を100mmとして行った。
【0064】ビデオカメラ1により撮影された映像はデ
ジタルビデオテープに記録される。この映像は、IEE
E1394インターフェースを介して、32ビットパー
ソナルコンピュータ(PC2)に入力され、ビデオキャ
プチャープログラムにより、AVI動画データとしてハ
ードディスク10に保存される。この動画データは、動
画変換プログラム「Motion Capture AVI」(デジモ社
製)により、時系列に記録されたビットマップ静止画像
に変換される。そして、この静止画像に基づいて、移動
計測プログラム「Image tracker PTV」(デジモ社製)
によってマーカーの移動距離が計測される。
【0065】図3は、移動距離が10mm、20mm、
30mmのそれぞれの場合における、左右方向および上
下方向の計測誤差を示すグラフである。このグラフで
は、計測誤差の平均値(柱状領域で示す)、および計測
誤差の変化範囲が示されている。この結果より、PC2
における計測によって算出された移動距離と、CAMマ
シンによる実際の移動距離との差は、ほぼ0.1mm以
内となることがわかる。この計測誤差範囲は、十分に実
用範囲であることは明らかである。
【0066】なお、この計測誤差範囲の結果は、本実施
例で用いてデジタルビデオカメラの解像度(720×4
80ピクセル)と計測範囲(200mm×150mm)
とから導かれる分解能、200/720mm〜150/
720mm、すなわち0.2〜0.3mmと比べても高
精度である事がわかる。これは、本実施例で用いて移動
計測プログラムが、サブピクセル処理を行っていること
によると考えられる。
【0067】サブピクセル処理とは次のようなものであ
る。画像データを用いて座標計測を行う場合、ピクセル
のどの場所に光信号が入ったかということをもとに座標
が算出される。このときの精度は、ピクセルの細かさに
支配されることになる。ここで、そのピクセルの周辺の
ピクセルにおよぶ光信号の強度分布曲線を求め、その強
度のピーク値が存在する場所を決定することによって、
当該1ピクセル内の一番高い光信号の位置を求める。こ
れにより、ピクセルの解像度以上の精度で、位置を検出
することが可能となる。
【0068】以上より、本実施例におけるシステムが、
測定対象の移動量の測定を十分な精度で行うことが可能
であることが確認された。
【0069】[実施例2]次に、本実施形態の顎運動計
測システムにおいて、前後方向の移動を計測する際の処
理について説明する。前後方向の移動を2次元映像から
計測するには、遠近法、すなわち一定の長さの基準線
が、画面上で、カメラに近い位置にある場合には長く、
遠い位置にある場合は短く表示される現象を応用すれば
よい。そこで、基準線の後方移動の距離と、画像におけ
る基準線の減少量との相互関係を調べる実験を行った。
【0070】前後方向の移動は、実施例1と同様に、左
右方向に100mm間隔でならんだ2点R、Lに配置さ
れたマーカーを、CAMマシンにより前後方向に移動さ
せて、DVカメラによる撮影を行った。ここでは、後方
へ、3mm、6mm、9mm、12mm、15mm移動
させて、それぞれ5回ずつ計測を行った。撮影された映
像は、実施例1と同様に、動画データに変換され、時系
列に記録された静止画像に変換された。
【0071】この静止画像において、マーカーの後方移
動の距離と、R−L間の長さ(基準線とする)の減少量
との関係を示したのが図4である。これによれば、マー
カーの後方移動の距離と、R−L間の長さの減少量とは
比例関係にある(R2=0.9994)。したがって、
顎運動の2次元映像における、R−L間の長さの減少量
から、前後方向の移動距離を計算することが可能となる
ことがわかる。
【0072】[実施例3]次に、本実施形態の顎運動計
測システムを用いて、実際に被験者の顎運動を測定した
結果と、比較例としての従来の装置による測定とを比較
した。比較例としては、シロナソグラフアナライジング
システムIII カノープス(東京歯科産業社製)を用い
た。
【0073】被験者は顎口腔機能に異常を認めない25
歳女性とし、本発明の顎運動計測システムおよびシロナ
ソグラフの両方によって動作を検出できる標識点を計測
位置に付し、ひとつの顎運動を同時に両方の装置で計測
して比較を行った。
【0074】まず、計測位置および相対位置について、
図5を用いて説明する。計測位置Iは下顎中切歯部とし
た。この計測位置Iは、被験者の顎運動とともに移動す
る箇所であり、この移動を計測することによって顎運動
を解析することになる。相対位置F1・F2は頭の上部
における左右の側面、両耳の上部あたりにおいて水平な
2点とした。この相対位置F1・F2は、基本的には被
験者の顎運動に伴って移動することはなく、被験者の頭
の移動を検出するためのものである。
【0075】以上のような計測位置および相対位置に
は、直径1mmのマーカーを付設した。なお、計測位置
Iにはシロナソグラフでの検出が可能となるように磁界
を発生する磁石も付設した。
【0076】なお、計測位置Iについては、被験者下唇
にマーカー支持部材を固定して、マーカーが下顎中切歯
部の前方約20mmに配されるように設置した。このマ
ーカー支持部材は、実施例1において示したマーカー指
示部材と同様のものとし、計測位置Iの左右方向両側5
0mmの位置にそれぞれ位置R,Lとなるマーカーが設
けられている。
【0077】また、相対位置F1・F2については、シ
ロナソグラフに用いる計測アンテナ22の適当な位置に
マーカーを付した。なお、本実施例では、シロナソグラ
フによる計測を同時に行っているので、相対位置F1・
F2のマーカーを計測アンテナ22に設けているが、本
発明による顎運動計測システムのみを実施する場合に
は、相対位置F1・F2は、顎運動によっては移動せ
ず、頭の移動のみを検出することが可能な位置、例えば
被験者の両眉毛の上部近傍などにマーカーを付着させる
ようにすればよい。すなわち、本発明による顎運動計測
システムを実施する場合には、被験者に対するマーカー
の装着は極めて容易に行うことが可能であり、かつ、被
験者に対する装着時の負担も極めてわずかなものとな
る。
【0078】図6は、本実施例におけるビデオカメラ1
による被験者の撮影の様子を示す図である。同図に示す
ように、計測位置Iにマーカーおよび磁石が設けられた
マーカー支持部材21、および、相対位置F1・F2に
マーカーが設けられた計測アンテナ22が装着された被
験者を椅子23に座らせてビデオカメラ1によって撮影
を行った。この椅子23は、計測時に頭部が動くことを
最小限に抑えるため、頭までの高さの背もたれ24と、
頭部後方にあたるように設置されたヘッドレスト25と
を備えている。
【0079】ビデオカメラ1は、計測位置が設けられて
いる領域、すなわち対象者の顎近傍領域の正面前方に三
脚26を用いて設置される。そして、椅子に座った被験
者が顎運動をする様子をビデオカメラ1にて撮影すると
ともに、計測アンテナ22を用いてシロナソグラフによ
る測定を行った。
【0080】まず、シロナソグラフを用いた顎運動計測
システムによる計測について説明する。顎に付設された
磁石が顎運動により移動する様子が、シロナソグラフに
よって検出される。この検出結果は、3.5インチのフ
ロッピー(登録商標)ディスクに記録され、このデータ
が、PC2によって下顎運動分析プログラム「IPMAP」
を用いて分析される。
【0081】次に、本発明における顎運動計測システム
による計測について説明する。ビデオカメラ1によって
撮影された映像は、前記したようにPC2に伝送され、
各マーカーの移動距離が計測される。ここで、被験者の
顎運動を計測する場合、マーカーの移動には、頭全体の
揺れなど顎運動と関係のない動作が含まれているので、
これを補正しなければならない。この補正は、相対位置
F1・F2の移動を計測位置の移動から差し引くことに
よって行うことになる。
【0082】ここで、ビデオカメラ1によって撮影され
た画像の平面内における計測位置の実際の移動量の算出
方法について説明する。図7(a)および図7(b)
は、相対位置F1・F2、および計測位置Iの移動状態
を示す図である。被験者が顎運動を行うことによって、
相対位置F1・F2、および計測位置Iが同図(a)の
状態から同図(b)の状態に変位したとする。ここで、
単に計測位置Iの平面内での移動距離を計測しただけで
は、頭全体の移動分が含まれたものとなり、純粋な顎運
動の計測を行うことはできない。よって、相対位置F1
・F2と、計測位置Iとの相対移動量を算出することに
よって、顎運動のみにともなう計測位置Iの変位を計測
することが可能となる。
【0083】具体的には、まず図7(a)の状態におい
て、直線F1−F2に対して、計測位置Iから垂線を下
ろし、この交点と相対位置F1との距離S1、および、
垂線の長さT1を算出する。同様にして、図7(b)の
状態においても、交点と相対位置F1との距離S2、お
よび、垂線の長さT2を算出する。すると、計測位置I
の顎運動のみにともなう左右方向の移動量はS1−S2
で求められ、上下方向の移動量はT1−T2で求められ
ることになる。
【0084】このような計測を順次行うことにより、頭
の移動に関係のない、顎運動のみによる計測位置Iの左
右方向および上下方向の移動軌跡、つまり、顎運動の2
次元的な軌跡を測定することができる。
【0085】以上のような実施例における顎運動計測シ
ステムによる計測方法を図8のフローチャートを用いて
説明する。
【0086】まず、S11において、被験者による顎運
動がデジタルビデオカメラによって撮影され、デジタル
ビデオテープに記録される。この映像は、S12におい
て、ビデオキャプチャープログラムによりAVI動画フ
ァイルとしてPC2に記憶される。このAVI動画ファ
イルは、S13において、動画変換プログラム11とし
てのAVIファイル変換プログラムにより時系列のビッ
トマップ静止画に変換される。そして、S14におい
て、このビットマップ静止画に基づいて、移動計測プロ
グラム12としての2次元移動計測プログラムにより計
測位置の移動距離が算出され、そのデータがテキストフ
ァイルとして記録される。その後、S15において、こ
のデータを、移動量補正プログラム13としての表計算
プログラムに入力し、上記のような移動量補正演算によ
って、顎運動のみによる計測位置の変位を算出する。こ
の結果が、表示部4に表示されるとともに、必要に応じ
て出力部6からプリントアウトされる。
【0087】なお、上記の処理では、動画変換プログラ
ム11、移動計測プログラム12、および移動量補正プ
ログラム13による処理を、それぞれ単体のプログラム
によって行うようになっているが、これらのプログラム
を統合した単独のプログラムを用いるようにしてもよ
い。すなわち、被験者による顎運動が撮影された動画デ
ータを入力すれば、上記の各プログラムにおける処理が
行われて結果が表示されるような顎運動計測プログラム
を用いるようにしてもよい。このように、1つのプログ
ラムによって上記の各処理を行えるようにすれば、操作
者は、そのプログラムの指示に従って処理を行えばよい
ことになるので、操作上の負担を軽減することができ
る。
【0088】次に、上記実施例における、本発明の顎運
動計測システムによる計測結果、およびシロナソグラフ
による測定結果を図9に示す。図9は、顎運動計測時の
初期位置を原点とし、顎の限界運動に伴う計測位置の移
動軌跡を表している。左右方向はx軸方向、上下方向は
y軸方向の座標に対応している。本発明の顎運動計測シ
ステムによる計測結果を実線で、シロナソグラフによる
計測結果を破線で示している。
【0089】この結果に示すように、本発明の顎運動計
測システムによる計測結果は、シロナソグラフによる計
測結果と比較して、最大開口途中の計測位置の変位状況
を見ればわかるように、ほぼ同様の結果となっているこ
とが確認された。すなわち、本発明の顎運動計測システ
ムは、比較的簡単なシステムでありながら、精度の高い
計測を行うことが可能であることがわかる。
【0090】なお、図9において、最大開口時のy座標
が、シロナソグラフによる測定値よりも大きな値を示し
ているが、これは、計測位置Iにおけるマーカーが、上
記のように、下顎切歯の前方約20mmに配置されてい
るために、下顎の回転に伴ってこのマーカーが実際の下
顎切歯部よりも下方に位置してしまうことなどによるも
のであると考えられる。
【0091】以上では、ビデオカメラ1によって撮影さ
れた画像の平面内における計測位置の移動、すなわち、
2次元平面内での移動を計測する例を示したが、さらに
前後方向の移動をも計測することも可能である。前記し
た実施例2では、水平方向に所定の距離だけ離れて配置
された2つのマーカーの間の距離を測定することによっ
て、これらのマーカーの前後方向の移動を計測する方法
を示した。これを利用すれば、計測位置の前後方向の移
動を計測することが可能である。
【0092】図5に示すように、計測位置Iの左右方向
両側には、それぞれ50mmの距離をおいて位置R・L
にマーカーが配置されている。この位置R・Lにおける
マーカーは、被験者の顎運動に伴って、計測位置Iとと
もに移動するものである。したがって、この位置R・L
間の距離を計測することによって、計測位置Iの前後方
向の移動を算出することが可能である。
【0093】この際に、顎運動のみによる計測位置Iの
前後方向の移動を検出するために、頭全体の前後方向の
移動をも計測する必要がある。この頭全体の前後方向の
移動は、相対位置F1・F2間の距離の変化を計測する
ことによって算出することができる。すなわち、計測位
置Iの前後方向の移動量から、相対位置F1・F2の前
後方向の移動量を差し引くことによって、顎運動のみに
よる計測位置Iの前後方向の移動を計測することができ
る。
【0094】このように、計測位置Iの2次元平面内の
移動、すなわち左右および上下方向の移動を計測すると
ともに、前後方向の移動をも計測することによって、計
測位置Iの移動を3次元で把握することが可能となる。
すなわち、本発明の顎運動計測システムによれば、1台
のビデオカメラ1による撮影によって、顎運動の3次元
的な解析を行うことが可能となる。
【0095】なお、上記の前後方向の移動の計測では、
相対位置F1・F2および位置R・Lの前後方向の移動
は、顔の正面方向に垂直な平面に対して平行を保った状
態で移動していることを前提としている。これに対し
て、顔の正面方向に垂直な平面に対して平行ではない状
態で各位置が移動する場合、例えば、顔や顎の向きが変
わるような移動が行われる場合も考えられる。
【0096】このような場合を考慮しなければならない
場合には、相対位置F1・F2の他に、さらに少なくと
ももう一点、F1−F2線上ではない位置に新たな相対
位置を設け、この少なくとも3点の位置関係を計測する
ことによって、顔の向きの変化を算出することができ
る。さらに、顔の向きと顎の向きとを独立して考慮すべ
き場合には、計測位置Iに連動する位置として、位置R
・Lに加えてR−L線上ではない位置に少なくとももう
一点位置を設定し、この少なくとも3点の位置関係を計
測することによって、顎の向きの変化を算出することが
できる。以上のような方法によれば、顎運動に関して、
さらに詳細な3次元運動を解析することが可能となる。
【0097】また、顎運動の3次元での認識を行う方法
としては、ビデオカメラを2台設置し、この2台のビデ
オカメラによって同時に被験者の顎運動を撮影する方法
が考えられる。この場合、2つの映像の相違をステレオ
法によって解析することによって、計測位置の3次元的
な把握が可能となる。
【0098】[実施例4]実施例3と同様の実験を、複
数の計測位置について同時に行った。計測位置は、図1
0に示すように、切歯部I、口角右部K1、口角左部K
2、オトガイ右部K3、オトガイ左部K4、オトガイ上
部K5、オトガイ部K6とし、それぞれの計測位置にマ
ーカーを付して、ビデオカメラ1による測定を行った。
切歯部Iには磁石を付設し、シロナソグラフによる測定
を行った。
【0099】切歯部におけるマーカーの移動軌跡を表し
たのが、図11であり、これを相対位置により補正した
ものが、図12である。また、シロナソグラフによる切
歯部の移動の測定結果を表したのが図13である。この
実施例においても図10と図11はほぼ同様な計測結果
であった。
【0100】その他の計測位置での測定結果を、図14
(a)ないし図14(f)に示す。同図(a)はオトガ
イ部K6、同図(b)はオトガイ上部K5、同図(c)
はオトガイ左部K4、同図(d)はオトガイ右部K3、
同図(e)は口角右部K1、同図(f)は口角左部K2
に設置したマーカーの顎運動に伴う動作軌跡をそれぞれ
示している。
【0101】このように、本発明の顎運動計測システム
では、顎周辺における多数の計測位置の移動軌跡を同時
に計測することが可能であることがわかる。これに対し
て、シロナソグラフによる計測では、磁気による計測を
行うものであるので、一度の計測で1箇所の移動の計測
しか行えないことになる。すなわち、本発明の顎運動計
測システムによれば、位置移動の多点同時測定が可能で
あるので、顎運動のみならず、顔面皮膚表面の動きを連
続的に測定・解析することが可能となる。
【0102】(実施の形態2)本発明の実施の他の形態
について図15ないし図28に基づいて説明すれば、以
下のとおりである。なお、前記した実施の形態1で説明
した構成と同様の機能を有する構成には、同一の符号を
付記し、その説明を省略する。
【0103】前記した実施の形態1では、計測位置Iの
前後方向の移動を検出する方法として、計測位置Iの左
右方向両側の位置R・Lに設けられたマーカーの距離の
変化を計測する方法を採用している。これに対して、本
実施形態では、計測位置Iの前後方向の移動に関して、
より精度良い計測を行うために、計測位置Iの移動状態
を鏡に映した画像を解析する方法を採用する。
【0104】本実施形態における顎運動計測システムの
概略構成を図15に示す。この顎運動計測システムは、
基本的には、前記した図2に示す構成の顎運動計測シス
テムと同様の構成となっており、異なる点としては、被
験者に取り付けられたマーカー群3の鏡像を映し出す鏡
ユニット31が設けられている点である。鏡ユニット3
1以外の構成については、前記したものと同様であるの
で、ここではその説明を省略する。
【0105】鏡ユニット31は、鏡部および鏡部を所定
位置に固定するアーム部とを備えたユニットである。鏡
部は、被験者の顔面に対して横方向あるいは斜め横方向
に配置され、被験者の顎運動を横方向あるいは斜め横方
向から見た状態を映し出すようになっている。
【0106】次に、本実施形態の顎運動計測システムに
おける処理の流れを図16に示すフローチャートに基づ
いて説明する。まず、S21において、被験者の顔面に
おける、計測位置および相対位置にマーカー群3が付設
される。計測位置および相対位置については前述したと
おりである。
【0107】マーカー群3の付設が完了すると、S22
において、鏡ユニット31における鏡部を所定位置、す
なわち被験者の顔面に対して横方向あるいは斜め横方向
に配置する処理が行われる。ここで、鏡部の配置位置が
設定されるとともに、鏡部の向きも所定の向きに設定さ
れる。
【0108】その後、S23において、被験者が口の開
閉運動などを行う様子が鏡部に写っている鏡像とともに
ビデオカメラ1によって撮影される。撮影された動画
は、例えばビデオカメラ1においてデジタルビデオテー
プに記録される。その後、ビデオカメラ1によって記録
された動画データが、ビデオ入力インターフェース7を
介してPC2に転送され、PC2におけるハードディス
ク10に保存される(S24)。
【0109】動画データがPC2に転送されると、S2
5において、動画データが、動画ファイル変換プログラ
ム11によって時系列に並んだ静止画像データに変換さ
れる。そして、S26において、移動計測プログラム1
2を用いて、得られた静止画像データに基づいて、被験
者の正面からの画像および鏡像におけるマーカー群3の
それぞれの移動状態の計測が行われる。
【0110】その後、S27において、移動量補正プロ
グラム13によって、S26で計測された相対位置の移
動距離に基づき、計測位置の移動距離が補正される。そ
して、S28において、計測位置の移動の計測結果が表
示部4に表示される。ここで、計測結果が出力部6から
出力されてもよい。
【0111】以下に、本実施形態の顎運動計測システム
における実用性を検証するために実際に行った具体的な
処理およびその結果について説明する。
【0112】[実施例5]本実施形態の顎運動計測シス
テムにおける前後方向の移動検出精度を調べるために、
前記した実施例2によって計測される前後移動距離、本
実施例によって計測される前後移動距離、および、実際
の前後移動距離とを比較する実験を行った。
【0113】図17(a)は、上記実験を行うシステム
を上側から見た際の平面図である。同図に示すように、
ビデオカメラ1における撮影領域内に、CAMマシン3
3に載置されたマーカー支持部材34と、鏡ユニット3
1が備える鏡部32とが配置されている。図17(b)
は、ビデオカメラ1によって撮影される画像を示してい
る。同図に示すように、マーカー支持部材34には、3
つのマーカーが左右方向に50mm間隔で並んで設けら
れている。これらの3つのマーカーの中心位置を向かっ
て左側から順にR、I、Lとする。また、鏡部32の鏡
面には、マーカー支持部材34を斜め横方向から見た際
の鏡像が映し出されている。
【0114】なお、実施の形態1と同様に、CAMマシ
ン33としては、CAMM−3(商品名)(Roland社
製)を用い、ビデオカメラ1としては、家庭用デジタル
ビデオカメラ(DVカメラ)DCR−TRV900(商
品名)(SONY株式会社製)を用いた。
【0115】上記CAMマシン33によって、マーカー
支持部材34を、前方に5mm、後方に5,10,1
5,20mmと段階的に移動させ、これを実施例2によ
る方法(以降、距離法と称する)、および本実施例によ
る方法(以降、鏡像法と称する)によってIの位置の移
動量を計測した。そして、この計測を30回繰り返し、
2つの方法における計測誤差の統計を行った。
【0116】まず、距離法について、ここで改めて簡単
に説明しておく。距離法では、撮影された画像におい
て、R−L間の長さの変化を検出することによって、I
の位置の前後方向の変化量を計測するようになってい
る。
【0117】次に、本実施例による鏡像法について説明
する。鏡像法では、撮影された画像において、正面方向
から見た際の標点の移動、および鏡像における標点の移
動に基づいて、標点の前後方向の移動距離を算出するよ
うになっている。以下に、この算出方法について詳しく
説明する。
【0118】図20(a)は、標点Iの移動、および標
点Iの鏡像に対応する標点I´の移動の状態を模式的に
示す図であり、図20(b)は、標点Iの移動状態を拡
大して示す図であり、図20(c)は、標点I´の移動
状態を拡大して示す図である。
【0119】まず図20(a)について説明する。この
図におけるシステムでは、ビデオカメラ1による撮影方
向の中心線上に標点Iがあるものとし、鏡部32の鏡面
が、この中心線に対してθの角度をなすように配置され
ているものとしている。そして、標点Iが図中に示す矢
印Mの方向に移動した場合、標点I´は、図中のM´の
方向に移動することになる。
【0120】図20(b)において、標点Iが矢印Mの
方向に移動した場合、撮影された画像においては、その
左右方向成分の移動である矢印RMの移動が観察される
ことになる。すなわち、標点Iの正面からの画像によっ
て、標点Iの左右方向成分の移動量、つまり、同図の例
では、左方向への移動量rmが検出されることになる。
一方、標点Iの前後方向成分の移動は矢印BMで示され
ているが、この矢印BMの長さ(前後方向の移動量)
は、正面からの画像のみからでは確認できない。
【0121】図20(c)において、標点I´は図中に
示す矢印M´の方向に移動することになる。この際に、
撮影された画像においては、矢印M´の左右方向成分の
移動である矢印MMの移動が観察されることになる。す
なわち、同図の例では、右方向への移動量mmが検出さ
れることになる。
【0122】ここで、図20(c)における矢印RM´
および矢印BM´は、図20(b)における矢印RMお
よび矢印BMの鏡像に相当するものである。したがっ
て、矢印RM´の長さrm´は、図20(b)における
rmと同じ長さである。また、矢印RM´と左右方向と
がなす角度は2θとなることもわかっている。よって、
矢印RM´の左右方向成分の移動である矢印MRMの移
動量、つまり、図20(c)の例では、右方向への移動
量mrmは、 mrm=rm´×cos2θ (1) なる式で求められる。
【0123】以上のようにしてmmおよびmrmが求ま
ると、矢印BM´の左右方向成分の移動である矢印MB
Mの移動量であるmbmは、 mbm=mrm−mm (2) なる式で求められる。
【0124】以上のようにしてmbmが求まると、矢印
BM´と左右方向とがなす角度はπ/2−2θであるこ
とはわかっているので、矢印BM´の移動量であるbm
´は、 bm´=mbm/(cos(π/2−2θ)) (3) なる式で求められる。
【0125】ここで、上記したようにbm´=bmであ
るので、以上のような計算を行うことによって、標点I
の前後方向成分の移動量を算出することができることが
わかる。
【0126】図18は、前述の距離法を行う際に用いら
れる左右標点間距離(R−L間距離)の画像上での変化
を示すグラフである。同図において、横軸は時間経過を
表し、縦軸は左右標点間(2点間)距離を表している。
同図に示すように、CAMマシン33のステージの段階
的な前後方向の動きに対応して標点間距離は変化してい
るが、同じ位置であっても測定値がわずかに変動してい
ることがわかる。この同じ位置における測定値の変動の
大きさは、計30回の計測において、前後方向の移動距
離に換算して約1mm程度となっていた。
【0127】一方、図19は、本実施例における上記の
鏡像法を行う際に用いられる鏡像内での標点I´の移動
量の画像上での変化を示すグラフである。同図におい
て、横軸は時間経過を表し、縦軸は標点I´の移動量を
表している。同図に示すように、標点I´の移動量は、
前後方向の動きに正確に追従しており、大きな変動も見
られないことがわかる。また、同じ位置における測定値
の変動の大きさは、計30回の計測において、前後方向
の移動距離に換算して約0.1mm程度であった。これ
は、上記の距離法の結果と比較して約10倍の精度が得
られたことになる。
【0128】以上より、本実施例における鏡像法を用い
たシステムが、測定対象の前後方向の移動量の計測を極
めて精度良く行うことが可能であることが確認された。
【0129】[実施例6]次に、上記鏡像法において、
鏡部32の鏡面の角度θの変化に伴う標点Iの前後方向
の移動量の計測精度を測定する実験を行った。この実験
を行う上で用いたシステムは、上記実施例5において用
いたシステムと同様であるので、ここではその説明を省
略する。
【0130】CAMマシン33によって、マーカー支持
部材34を等速で後方に30mm移動させ、これを鏡部
32の鏡面の角度θを15°、22.5°、および30
°の3通りに変化させて、それぞれ5回標点Iの前後方
向移動量の計測を行った。また、比較例として、上記の
距離法による前後方向移動量の計測も5回行った。
【0131】図21は、鏡像法において上記の角度θを
3通りに変えた場合、および距離法による計測誤差の結
果を示すグラフである。このグラフでは、計測誤差の平
均値(柱状領域で示す)、および計測誤差の変化範囲が
示されている。ここで、本実験での計測誤差とは、計測
値の時間変化を直線で近似した近似直線と、各計測値と
の差の平均を表しているものである。
【0132】図21に示す結果より、鏡像法において、
上記の角度θが大きくなるほど計測精度が向上すること
がわかる。これは、角度θが大きくなるほど、鏡像内で
の標点Iの前後方向の移動に伴う標点I´の移動量が大
きくなることに起因するものであると思われる。ただ
し、角度θを大きくしすぎると鏡部32の鏡面の大きさ
を著しく大きくする必要が生じるとともに、鏡像上の標
点I´を認識することが困難になるので、適当な角度に
することが好ましい。角度θとして良好な範囲として
は、15°〜30°が挙げられ、より好ましい角度とし
ては、30°が挙げられる。
【0133】また、上記の計測結果に対して、Bonferro
niの多重比較検定を行ったところ、全群間で有意差が認
められた。つまり、距離法に比べて前後方向の計測精度
が有意に向上したことが確認され、また、角度が大きく
なるにつれてその精度はさらに有意に向上したことが確
認された。
【0134】[実施例7]次に、本実施形態の顎運動計
測システムを用いて、実際に被験者の顎運動を測定した
結果と、比較例としての従来の装置による測定とを比較
した。比較例としては、シロナソグラフアナライジング
システムIII カノープス(東京歯科産業社製)を用い
た。
【0135】被験者は顎口腔機能に異常を認めない26
歳男性とし、本発明の顎運動計測システムおよびシロナ
ソグラフの両方によって動作を検出できる標識点を計測
位置に付し、ひとつの顎運動を同時に両方の装置で計測
して比較を行った。
【0136】まず、計測位置および相対位置について、
図22を用いて説明する。計測位置Iは下顎中切歯部と
した。この計測位置Iは、被験者の顎運動とともに移動
する箇所であり、この移動を計測することによって顎運
動を解析することになる。相対位置F1・F2は頭の上
部における左右の側面、両耳の上部あたりにおいて水平
な2点とした。この相対位置F1・F2は、基本的には
被験者の顎運動に伴って移動することはなく、被験者の
頭の移動を検出するためのものである。
【0137】以上のような計測位置および相対位置に
は、直径1mmのマーカーを付設した。なお、計測位置
Iにはシロナソグラフでの検出が可能となるように磁界
を発生する磁石も付設した。
【0138】なお、計測位置Iについては、被験者下唇
にマーカー支持部材を固定して、マーカーが下顎中切歯
部の前方約20mmに配されるように設置した。なお、
このマーカー支持部材は、前記した実施例3では、計測
位置Iの左右方向両側50mmの位置にそれぞれ位置
R,Lとなるマーカーが設けられているものであった
が、本実施形態では前後方向の移動は鏡像法を用いて検
出するので、計測位置Iのマーカーのみが設けられたマ
ーカー支持部材を用いている。
【0139】また、相対位置F1・F2については、シ
ロナソグラフに用いる計測アンテナ22の適当な位置に
マーカーを付した。なお、本実施例では、シロナソグラ
フによる計測を同時に行っているので、相対位置F1・
F2のマーカーを計測アンテナ22に設けているが、本
発明による顎運動計測システムのみを実施する場合に
は、相対位置F1・F2は、顎運動によっては移動せ
ず、頭の移動のみを検出することが可能な位置、例えば
被験者の両眉毛の上部近傍などにマーカーを付着させる
ようにすればよい。すなわち、本発明による顎運動計測
システムを実施する場合には、被験者に対するマーカー
の装着は極めて容易に行うことが可能であり、かつ、被
験者に対する装着時の負担も極めてわずかなものとな
る。
【0140】図23は、本実施例におけるビデオカメラ
1による被験者の撮影の様子を示す図である。同図に示
すように、計測位置Iにマーカーおよび磁石が設けられ
たマーカー支持部材21、および、相対位置F1・F2
にマーカーが設けられた計測アンテナ22が装着された
被験者を椅子23に座らせてビデオカメラ1によって撮
影を行った。この椅子23は、計測時に頭部が動くこと
を最小限に抑えるため、頭までの高さの背もたれ24
と、頭部後方にあたるように設置されたヘッドレスト2
5とを備えている。
【0141】また、椅子23には、鏡部32およびアー
ム部33とを備えた鏡ユニット31が取り付けられてお
り、鏡部32が被験者の頭部近傍横側に配置されるよう
にセッティングされている。また、鏡部32の鏡面が、
ビデオカメラ1による撮影方向の中心線に対して30°
の角度をなすように配置されている。
【0142】ビデオカメラ1は、計測位置が設けられて
いる領域、すなわち対象者の顎近傍領域の正面前方約3
0cmの箇所に三脚26を用いて設置される。そして、
椅子に座った被験者が顎運動をする様子を鏡像とともに
ビデオカメラ1にて撮影するとともに、計測アンテナ2
2を用いてシロナソグラフによる測定を行った。
【0143】まず、シロナソグラフを用いた顎運動計測
システムによる計測について説明する。顎に付設された
磁石が顎運動により移動する様子が、シロナソグラフに
よって検出される。この検出結果は、3.5インチのフ
ロッピーディスクに記録され、このデータが、PC2に
よって下顎運動分析プログラム「IPMAP」を用いて分析
される。
【0144】次に、本発明における顎運動計測システム
による計測について説明する。ビデオカメラ1によって
撮影された映像は、前記したようにPC2に伝送され、
実像および鏡像における各マーカーの移動距離が計測さ
れる。ここで、計測位置Iの左右方向および上下方向で
の移動の計測は、前記した実施例3と同様の方法によっ
て実像画像に基づいて行われることになる。
【0145】そして、計測位置Iの前後方向での移動の
計測は、前記した実施例5において図20(a)ないし
図20(c)で示した方法によって計測されることにな
る。図24(a)は、ビデオカメラ1によって撮影され
た被写体の口部近傍領域およびその鏡像の映像を示して
おり、図24(b)は、図24(a)における鏡像内の
A領域を拡大して示したものである。
【0146】図24(a)において、被写体の正面画像
からは、計測位置Iの左右方向成分の移動を計測するこ
とができる。この計測位置Iの移動は、図20(b)に
おける矢印RMに相当するものとなる。一方、図24
(b)において、鏡像における計測位置I´の移動は、
図20(c)における矢印MMに相当するものとなる。
よって、前記した実施例5において示した方法によっ
て、矢印RMの移動量および矢印MMの移動量に基づい
て計測位置Iの前後方向の移動量を算出することができ
る。
【0147】なお、上記では、計測位置Iの前後方向の
移動量の計測について説明したが、計測位置Iの左右方
向および上下方向の移動に関しては、前記した実施の形
態1における方法と同様の方法によって計測すればよ
い。
【0148】以上のような実施例における顎運動計測シ
ステムによる計測方法を図25のフローチャートを用い
て説明する。
【0149】まず、S31において、被験者による顎運
動がデジタルビデオカメラによって撮影され、デジタル
ビデオテープに記録される。この映像は、S32におい
て、ビデオキャプチャープログラムによりAVI動画フ
ァイルとしてPC2に記憶される。このAVI動画ファ
イルは、S33において、図15に示す動画変換プログ
ラム11としてのAVIファイル変換プログラムにより
時系列のビットマップ静止画に変換される。そして、S
34において、このビットマップ静止画に基づいて、移
動計測プログラム12としての2次元移動計測プログラ
ムにより計測位置の正面画像および鏡像における移動距
離がそれぞれ算出され、そのデータがテキストファイル
として記録される。その後、S35において、このデー
タを、移動量補正プログラム13としての表計算プログ
ラムに入力し、前記実施の形態1で示した移動量補正演
算によって、顎運動のみによる計測位置の変位を算出す
るとともに、上記本実施例で示した方法によって前後方
向の移動量を算出する。すなわち、本実施例では、移動
量補正プログラム13は、前記実施の形態1で示した移
動量補正演算を行うとともに、本実施例で示した前後方
向の移動量の演算をも行うことになる。この結果が、表
示部4に表示されるとともに、必要に応じて出力部6か
らプリントアウトされる。
【0150】なお、上記の処理では、動画変換プログラ
ム11、移動計測プログラム12、および移動量補正プ
ログラム13による処理を、それぞれ単体のプログラム
によって行うようになっているが、これらのプログラム
を統合した単独のプログラムを用いるようにしてもよ
い。すなわち、被験者による顎運動が撮影された動画デ
ータを入力すれば、上記の各プログラムにおける処理が
行われて結果が表示されるような顎運動計測プログラム
を用いるようにしてもよい。このように、1つのプログ
ラムによって上記の各処理を行えるようにすれば、操作
者は、そのプログラムの指示に従って処理を行えばよい
ことになるので、操作上の負担を軽減することができ
る。
【0151】次に、上記実施例における、本発明の顎運
動計測システムによる計測結果、およびシロナソグラフ
による測定結果を図26および図27に示す。図26
は、顎運動計測時の初期位置を原点とし、顎の限界運動
に伴う計測位置の移動軌跡を表しており、左右方向はx
軸方向、上下方向はy軸方向の座標に対応している。ま
た、図27は、同じ運動において、計測位置の左右方向
および前後方向での移動軌跡を表しており、左右方向は
x軸方向、前後方向はy軸方向の座標に対応している。
これらの図において、本実施の形態2の顎運動計測シス
テムによる計測結果を実線で、シロナソグラフによる計
測結果を破線で示している。また、これらの図におい
て、で示す移動は、下顎が右方向に運動している状態
を示しており、で示す移動は、下顎が左方向に運動し
ている状態を示しており、で示す移動は、下顎が前方
に運動している状態を示しており、で示す移動は、口
を大きく開けた状態(最大開口)を示している。なお、
〜の運動は、歯をすりあわせながらの運動であり、
限界運動と呼ばれる運動である。
【0152】この結果に示すように、本発明の顎運動計
測システムによる計測結果は、シロナソグラフによる計
測結果と比較して、最大開口途中の計測位置の変位状況
を見ればわかるように、上下左右方向に加えて前後方向
の移動に関しても、ほぼ同様の結果となっていることが
確認された。すなわち、本発明の顎運動計測システム
は、比較的簡単なシステムでありながら、精度の高い計
測を行うことが可能であることがわかる。
【0153】また、図28は、実施の形態1における左
右方向および前後方向の移動の計測結果を示している。
図27と比較すればわかるように、実施の形態1による
前後方向の移動の計測を行う場合、測定誤差によって計
測点が前後方向に細かくぶれているが、本実施形態によ
る前後方向の移動の計測によれば、このような計測点の
前後方向でのぶれは生じていない。すなわち、本実施形
態の計測方法によれば、実施の形態1における計測方法
と比較して、実際の計測において、前後方向の移動の計
測の精度を向上させることができることが、この計測結
果によって証明された。
【0154】また、本実施形態の計測方法は、前記した
実施例4のように、複数の計測位置について同時に計測
することも可能である。すなわち、本実施形態における
顎運動計測システムは、顎周辺における多数の計測位置
の移動軌跡を、前後方向の移動を含めて同時に計測する
ことが可能なものである。よって、顎運動のみならず、
顔面皮膚表面の動きを前後方向の移動を含めて連続的に
測定・解析することが可能となる。
【0155】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る顎運動計測
方法は、被験者の顎運動を計測する顎運動計測方法であ
って、上記顎運動によって変位する測定位置に連動して
移動するマーカー、および、上記顎運動によっては変位
せず、上記被験者の頭の移動によって変位する相対位置
に連動して移動するマーカーが取り付けられた被験者が
顎運動を行う様子を撮影した動画データから、該動画デ
ータにおける2次元平面内での測定位置および相対位置
の変位を計測するステップと、上記相対位置に対する上
記測定位置の相対変位に基づいて、上記測定位置の、顎
運動のみによる変位を計測するステップとを有する方法
である。
【0156】これにより、相対位置に対する測定位置の
相対変位に基づいて、顎運動のみによる測定位置の変位
を計測するようになっているので、顎運動の正確な解析
を行うことが可能となるという効果を奏する。
【0157】また、被験者に対して取り付ける必要があ
るマーカーは、撮影された動画内で目印として認識する
ことが可能となる程度のものでよいので、被験者に対す
る負担は極めて僅かなものであり、その装着も極めて容
易である。よって、顎運動の計測を容易かつ迅速に行う
ことが可能となるとともに、装着物の軽減によって、被
験者はより自然な顎運動を行うことが可能となり、より
的確な顎運動の計測を行うことが可能となるという効果
を奏する。
【0158】また、本発明の方法を実施する際に必要と
されるものとしては、被験者に取り付けるマーカー、被
験者の動作を動画として撮影するビデオカメラ、および
データの処理を行うためのコンピュータとなる。これら
は、全て比較的安価に、かつ容易に入手できるものであ
るので、例えば小規模の歯科診療所などにおいても、容
易に顎運動の計測を行うことが可能となり、治療に役立
てることが可能となるという効果を奏する。
【0159】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記動画データを、時系列の複数の静止画像データに変換
するステップと、上記複数の静止画像データに基づい
て、該静止画像内における、上記測定位置および上記相
対位置の移動量を計測するステップと、上記測定位置の
移動量から、上記相対位置の移動量を差し引くことによ
って、上記測定位置の相対移動量を算出し、実際の測定
位置の変位量を算出するステップとを有する方法として
もよい。
【0160】これにより、上記の方法による効果に加え
て、例えばパーソナルコンピュータなどによって比較的
容易に行うことが可能な処理となるので、本発明の顎運
動計測方法を容易に実施することが可能となるという効
果を奏する。
【0161】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記動画データが、1台の動画撮影手段によって撮影され
たものである方法としてもよい。
【0162】これにより、上記の方法による効果に加え
て、例えば立体撮影を行うためにビデオカメラを2台用
意しなければならない場合と比較して、必要とされる装
置が少なくて済むことになり、顎運動を計測するために
必要とする装置コストを低減することができるという効
果を奏する。
【0163】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記相対位置に連動して移動するマーカーを、互いに異な
る少なくとも2か所の位置に設けるとともに、上記測定
位置に連動して移動するマーカーも、互いに異なる少な
くとも2か所の位置に設ける方法としてもよい。
【0164】これにより、上記の方法による効果に加え
て、1台の動画撮影手段によって撮影された動画データ
からでも、測定位置の3次元空間での変位を認識するこ
とが可能となるという効果を奏する。
【0165】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記動画データが、変位を計測すべき測定位置が複数設定
され、それぞれの測定位置にマーカーが取り付けられた
被験者の顎運動が撮影されたものである方法としてもよ
い。
【0166】これにより、上記の方法による効果に加え
て、1回の撮影によって、顎運動に伴う複数箇所の変位
の様子を同時に計測することが可能となるので、例え
ば、顎運動時の顔面皮膚表面の連続的な動きの計測が、
容易にかつ短時間で行うことが可能となり、より詳細な
顎運動の計測を行うことが可能となるという効果を奏す
る。
【0167】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記動画データにおける画面内に、被験者の顎運動を直接
撮影した直接画像に加えて、被験者の顎運動を横方向あ
るいは斜め横方向から映した鏡像画像が含まれていると
ともに、上記動画データにおける2次元平面内におい
て、上記直接画像における測定位置の変位、および上記
鏡像画像における上記測定位置の変位に基づいて、撮影
方向に平行な方向における上記測定位置の変位を計測す
るステップをさらに有する方法としてもよい。
【0168】これにより、上記の方法による効果に加え
て、前後方向の成分を含んだ鏡像における測定位置の変
位と、直接画像における測定位置の変位との両方を考慮
して計測することによって、精度良く測定位置の前後方
向の変位を求めることが可能となるという効果を奏す
る。
【0169】また、この方法を実現する上で新たに必要
となる構成としては、被験者の鏡像を映し出す鏡のみで
あるので、比較的安価に上記の方法を実現することが可
能であるという効果を奏する。
【0170】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記撮影方向に平行な方向を前後方向と称することにする
と、上記直接画像における測定位置の左右方向成分の変
位量を求めるステップと、上記鏡像画像における測定位
置の左右方向成分の変位量を求めるステップと、上記直
接画像における測定位置の左右方向成分の変位量に対応
する、上記鏡像画像における左右方向成分の変位量を求
めるステップと、上記鏡像画像における測定位置の左右
方向成分の変位量と、上記直接画像における測定位置の
左右方向成分の変位量に対応する、上記鏡像画像におけ
る左右方向成分の変位量とに基づいて、実際の測定位置
の前後方向成分の変位量に対応する、上記鏡像画像にお
ける左右方向成分の変位量を求めるステップと、上記実
際の測定位置の前後方向成分の変位量に対応する、上記
鏡像画像における左右方向成分の変位量に基づいて、実
際の測定位置の前後方向成分の変位量を求めるステップ
とを有する方法としてもよい。
【0171】これにより、上記の方法による効果に加え
て、直接画像における測定位置の変位、および上記鏡像
画像における上記測定位置の変位に基づいて、簡単な計
算によって実際の測定位置の前後方向成分の変位量を精
度良く求めることが可能となるという効果を奏する。
【0172】また、本発明に係る顎運動計測方法は、上
記鏡像を映し出す鏡の鏡面と、上記動画データを撮影す
る際の撮影方向とがなす角度を、15°〜30°の範囲
とする方法としてもよい。
【0173】これにより、上記の方法による効果に加え
て、前後方向の測定位置の変位量を精度良く計測するこ
とができるとともに、必要以上に鏡の大きさを大きくし
たりすることなく、的確に顎運動の鏡像を映し出すこと
が可能となるという効果を奏する。
【0174】また、本発明に係る顎運動計測プログラム
は、上記本発明に係る顎運動計測方法における各ステッ
プをコンピュータに実行させる構成である。
【0175】これにより、上記プログラムをコンピュー
タシステムにロードすることによって、上記顎運動計測
方法を実現することが可能となるという効果を奏する。
【0176】また、本発明に係る顎運動計測プログラム
を記録した記録媒体は、上記本発明に係る顎運動計測方
法における各ステップをコンピュータに実行させるプロ
グラムが記録されている構成である。
【0177】これにより、上記記録媒体に記録されたプ
ログラムをコンピュータシステムにロードすることによ
って、上記顎運動計測方法を実現することが可能となる
という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る顎運動計測システ
ムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】上記の顎運動計測システムの概略構成を示すブ
ロック図である。
【図3】マーカーを平行移動させた場合に、PCにおい
て計測される移動距離と、マーカーの実際の移動距離と
の計測誤差の結果を示すグラフである。
【図4】マーカーの後方移動の距離と、R−L間の長さ
(基準線とする)の減少量との関係を示すグラフであ
る。
【図5】顎運動の計測の一実施例において、計測位置お
よび相対位置を被験者の顔部に配置した様子を示す図で
ある。
【図6】上記実施例におけるビデオカメラによる被験者
の撮影の様子を示す図である。
【図7】同図(a)および(b)は、相対位置および計
測位置の移動状態を示す図である。
【図8】顎運動計測システムによる計測方法の一実施例
の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】一実施例における、本発明の顎運動計測システ
ムによる計測結果、およびシロナソグラフによる測定結
果を示しており、顎の限界運動に伴う計測位置の移動軌
跡を示すグラフである。
【図10】顎運動の計測の他の実施例において、被験者
の顔部に複数の計測位置を配置した場合の様子を示す図
である。
【図11】図10に示す実施例において、本発明の顎運
動計測システムにおける、顔移動補正を行う前の、切歯
部の計測位置の移動を計測した結果を示すグラフであ
る。
【図12】図10に示す実施例において、本発明の顎運
動計測システムにおける、顔移動補正を行った後の、切
歯部の計測位置の移動を計測した結果を示すグラフであ
る。
【図13】図10に示す実施例において、シロナソグラ
フによる、切歯部の移動を計測した結果を示すグラフで
ある。
【図14】同図(a)ないし(f)は、図10に示す実
施例において、各計測位置における移動を計測した結果
を示すグラフであり、同図(a)はオトガイ部、同図
(b)はオトガイ上部、同図(c)はオトガイ左部、同
図(d)はオトガイ右部、同図(e)は口角右部、同図
(f)は口角左部に設置したマーカーの顎運動に伴う動
作軌跡をそれぞれ示している。
【図15】本発明の他の実施形態に係る顎運動計測シス
テムの概略構成を示すブロック図である。
【図16】上記顎運動計測システムにおける処理の流れ
を示すフローチャートである。
【図17】同図(a)は、前後方向の移動検出精度を調
べる実験を行うシステムを上側から見た際の平面図であ
り、同図(b)は、この実験においてビデオカメラによ
って撮影される画像を示す図である。
【図18】距離法を行う際に用いられる左右標点間距離
(R−L間距離)の画像上での変化を示すグラフであ
る。
【図19】鏡像法を行う際に用いられる鏡像内での標点
の移動量の画像上での変化を示すグラフである。
【図20】同図(a)は、正面画像における標点の移
動、および標点の鏡像に対応する標点の移動の状態を模
式的に示す図であり、同図(b)は、正面画像における
標点の移動状態を拡大して示す図であり、同図(c)
は、鏡像における標点の移動状態を拡大して示す図であ
る。
【図21】鏡像法において鏡部の鏡面の角度θを3通り
に変えた場合、および距離法による計測誤差の結果を示
すグラフである。
【図22】顎運動の計測の他の実施例において、計測位
置および相対位置を被験者の顔部に配置した様子を示す
図である。
【図23】上記実施例におけるビデオカメラによる被験
者の撮影の様子を示す図である。
【図24】同図(a)は、ビデオカメラによって撮影さ
れた被写体の口部近傍領域およびその鏡像の映像を示し
た図であり、同図(b)は、同図(a)における鏡像内
のA領域を拡大して示した図である。
【図25】上記実施例における顎運動計測システムによ
る計測方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【図26】顎運動計測時の初期位置を原点とし、顎の限
界運動に伴う計測位置の移動軌跡を表すグラフである。
【図27】計測位置の左右方向および前後方向での移動
軌跡を表すグラフである。
【図28】実施の形態1における左右方向および前後方
向の移動の計測結果を示すグラフである。
【符号の説明】 1 ビデオカメラ(動画撮影手段) 2 PC 3 マーカー群 4 表示部 5 入力部 6 出力部 7 ビデオ入力インターフェース 8 CPU 9 メモリ 10 ハードディスク 11 動画変換プログラム(顎運動計測プログラム) 12 移動計測プログラム(顎運動計測プログラム) 13 移動量補正プログラム(顎運動計測プログラ
ム) 31 鏡ユニット 32 鏡部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 隆志 兵庫県宝塚市中山台1−6−2 (72)発明者 小島 哲也 大阪府豊中市少路2−3−50−601 (72)発明者 若林 一道 大阪府大阪市東住吉区杭全1−16−29 (72)発明者 絹田 宗一郎 兵庫県西宮市上大市4−9−5 (72)発明者 長尾 光理 大阪府箕面市小野原東6−2−14−303 Fターム(参考) 4C052 AA06 AA20 NN02 NN03 NN15 5L096 BA18 CA02 FA69 HA04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被験者の顎運動を計測する顎運動計測方法
    であって、 上記顎運動によって変位する測定位置に連動して移動す
    るマーカー、および、上記顎運動によっては変位せず、
    上記被験者の頭の移動によって変位する相対位置に連動
    して移動するマーカーが取り付けられた被験者が顎運動
    を行う様子を撮影した動画データから、該動画データに
    おける2次元平面内での測定位置および相対位置の変位
    を計測するステップと、 上記相対位置に対する上記測定位置の相対変位に基づい
    て、上記測定位置の、顎運動のみによる変位を計測する
    ステップとを有することを特徴とする顎運動計測方法。
  2. 【請求項2】上記動画データを、時系列の複数の静止画
    像データに変換するステップと、 上記複数の静止画像データに基づいて、該静止画像内に
    おける、上記測定位置および上記相対位置の移動量を計
    測するステップと、 上記測定位置の移動量から、上記相対位置の移動量を差
    し引くことによって、上記測定位置の相対移動量を算出
    し、実際の測定位置の変位量を算出するステップとを有
    することを特徴とする請求項1記載の顎運動計測方法。
  3. 【請求項3】上記動画データが、1台の動画撮影手段に
    よって撮影されたものであることを特徴とする請求項1
    または2記載の顎運動計測方法。
  4. 【請求項4】上記相対位置に連動して移動するマーカー
    を、互いに異なる少なくとも2か所の位置に設けるとと
    もに、上記測定位置に連動して移動するマーカーも、互
    いに異なる少なくとも2か所の位置に設けることを特徴
    とする請求項3記載の顎運動計測方法。
  5. 【請求項5】上記動画データが、変位を計測すべき測定
    位置が複数設定され、それぞれの測定位置にマーカーが
    取り付けられた被験者の顎運動が撮影されたものである
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記
    載の顎運動計測方法。
  6. 【請求項6】上記動画データにおける画面内に、被験者
    の顎運動を直接撮影した直接画像に加えて、被験者の顎
    運動を横方向あるいは斜め横方向から映した鏡像画像が
    含まれているとともに、 上記動画データにおける2次元平面内において、上記直
    接画像における測定位置の変位、および上記鏡像画像に
    おける上記測定位置の変位に基づいて、撮影方向に平行
    な方向における上記測定位置の変位を計測するステップ
    をさらに有することを特徴とする請求項1ないし5のい
    ずれか一項に記載の顎運動計測方法。
  7. 【請求項7】上記撮影方向に平行な方向を前後方向と称
    することにすると、 上記直接画像における測定位置の左右方向成分の変位量
    を求めるステップと、 上記鏡像画像における測定位置の左右方向成分の変位量
    を求めるステップと、 上記直接画像における測定位置の左右方向成分の変位量
    に対応する、上記鏡像画像における左右方向成分の変位
    量を求めるステップと、 上記鏡像画像における測定位置の左右方向成分の変位量
    と、上記直接画像における測定位置の左右方向成分の変
    位量に対応する、上記鏡像画像における左右方向成分の
    変位量とに基づいて、実際の測定位置の前後方向成分の
    変位量に対応する、上記鏡像画像における左右方向成分
    の変位量を求めるステップと、 上記実際の測定位置の前後方向成分の変位量に対応す
    る、上記鏡像画像における左右方向成分の変位量に基づ
    いて、実際の測定位置の前後方向成分の変位量を求める
    ステップとを有することを特徴とする請求項6記載の顎
    運動計測方法。
  8. 【請求項8】上記鏡像を映し出す鏡の鏡面と、上記動画
    データを撮影する際の撮影方向とがなす角度を、15°
    〜30°の範囲とすることを特徴とする請求項6または
    7記載の顎運動計測方法。
  9. 【請求項9】請求項1ないし8のいずれか一項に記載の
    顎運動計測方法における各ステップをコンピュータに実
    行させる顎運動計測プログラム。
  10. 【請求項10】請求項1ないし8のいずれか一項に記載
    の顎運動計測方法における各ステップをコンピュータに
    実行させる顎運動計測プログラムを記録した記録媒体。
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