JPH1112319A - オレフィンの多段気相重合における重合条件変更方法 - Google Patents

オレフィンの多段気相重合における重合条件変更方法

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JPH1112319A
JPH1112319A JP16577397A JP16577397A JPH1112319A JP H1112319 A JPH1112319 A JP H1112319A JP 16577397 A JP16577397 A JP 16577397A JP 16577397 A JP16577397 A JP 16577397A JP H1112319 A JPH1112319 A JP H1112319A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流動層型重合器を用いてオレフィンを多段気
相重合する際の、少なくとも前段の重合条件の変更を含
む重合条件変更方法において、規格外品の生成を少なく
し得るような重合条件変更方法を提供すること。 【解決手段】 前段の重合条件の変更が終了した時に、
後段の流動状態の固体触媒の容積が定常状態の70%以
下となるように、前段の重合条件変更時または変更前に
後段の流動状態の固体触媒の容積を減少させ、前段の重
合条件の変更が終了した後に、後段の流動状態の固体触
媒の容積を定常状態に復元する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリオレフィンを多
段気相重合法で製造する場合の、重合条件変更方法に関
する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来から、エチレン(共)重合
体、プロピレン(共)重合体などのポリオレフィンを製
造する方法としては、チタン化合物と有機アルミニウム
化合物とからなるチタン系触媒および、ジルコノセンな
どの遷移金属化合物と有機アルミニウムオキシ化合物
(アルミノキサン)とからなるメタロセン系触媒の存在
下にオレフィンを液相または気相で重合させる方法が知
られている。また、複数の重合器を直列に結合した多段
重合装置を用いてポリオレフィンを製造する方法があ
り、この方法では、前段と後段で同じ重合条件でオレフ
ィンを重合してポリオレフィンを製造するか、または前
段と後段で異なる重合条件でオレフィンを重合して異な
る物性のポリオレフィンからなるポリオレフィン組成物
を製造することが行われる。
【0003】ところで、ポリオレフィンを製造する場合
において重合条件を変更する際には、重合条件変更中に
規格外品が発生する。特に多段重合装置を用いたポリオ
レフィン(組成物)の製造では、前段の重合条件を変更
した後であっても、後段の重合器中には重合条件変更中
に前段で生成したポリオレフィンが存在することとな
り、このポリオレフィンが後段の重合器から排出される
までは規格外品が生成するため多くの規格外品が発生す
る。
【0004】そこでこのような重合条件変更時の規格外
品の生成量が少ない、オレフィンの多段気相重合におけ
る重合条件変更方法が求められている。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑み
てなされたものであって、規格外品の生成を少なくし得
るオレフィンの多段気相重合における重合条件変更方法
を提供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】本発明に係るオレフィンの多段気相重合
における重合条件変更方法は、流動層型重合器を用いて
オレフィンを多段気相重合する際の、少なくとも前段の
重合条件の変更を含む重合条件変更方法であって、前段
の重合条件の変更が終了した時に、後段の流動床の容積
が定常状態の70%以下となるように、前段の重合条件
変更時または変更前に後段の流動床の容積を減少させ、
前段の重合条件の変更が終了した後に、後段の流動床の
容積を定常状態に復元することを特徴としている。
【0007】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るオレフィンの
多段気相重合における重合条件変更方法について具体的
に説明する。
【0008】まず多段気相重合方法の一例を、図1を参
照しながら説明する。図1は、多段気相流動床反応装置
の一例を示す概略図である。図1に示す多段気相流動床
反応装置ではオレフィン重合用触媒(固体触媒)は、た
とえば触媒供給ライン2を介して通常粉末状態で前段の
流動床反応器10に供給される。ガス状のオレフィンな
どは、たとえばモノマー供給ライン9から連続的に供給
され、循環ガスブロワー7により、循環ライン6を介し
て流動床反応器10下方から多孔板などのガス分散板4
を介して吹き込まれる。これにより流動床(反応系)5
は、流動状態に保持される。固体触媒が流動状態に保持
された流動床5に吹き込まれたオレフィンは、ここで重
合反応して、ポリマー粒子(ポリオレフィン)が生成す
る。生成したポリマー粒子は、前段の流動床反応器10
から連続的に抜き出されポリマー輸送ライン12を介し
て後段の流動床反応器20に連続的に供給される。流動
床5を通過した未反応のガス状のオレフィンなどは、流
動床反応器10上方に設けられた減速域3で減速されて
流動床反応器10外に排出され、熱交換器8において重
合熱が除去されて循環ライン6から再び流動床5に循環
される。水素などの分子量調節剤は、気相流動床反応装
置の任意の場所、たとえばモノマー供給ライン9から供
給することができる。
【0009】後段では、流動床反応器20に前段の流動
床反応器10で製造されたポリマー粒子がポリマー輸送
ライン12を介して供給されること以外は、前段と同様
に重合が行われ、生成したポリマー粒子は、ポリマー排
出ライン21を介して連続的に抜き出される。なお図中
13は減速域であり、14はガス分散板であり、15は
流動床(反応系)であり、16は循環ラインであり、1
7は循環ガスブロワーであり、18は熱交換器であり、
19はモノマー供給ラインである。
【0010】本発明は、例えば上述したような多段流動
床反応器を用いて、気相でオレフィンを多段重合する際
の、少なくとも前段の重合条件の変更を含む重合条件変
更方法である。
【0011】前段の重合条件の変更方法としては特に限
定されないが、たとえば以下のような方法が採用され
る。 固体触媒を重合器に定常状態のまま供給しながら、コ
モノマー組成、水素濃度、重合温度等の重合条件を順次
変更する方法 固体触媒の供給量を減少させるかまたは固体触媒の供
給を停止して、重合器内の重合量が定常状態の50%以
下となった後に、モノマー組成、水素濃度、重合温度等
の重合条件を同時にまたは順次変更し、次に固体触媒の
供給量を定常状態に復元する方法。この場合、重合器か
らのポリマー粒子の排出を減少させても、増加させても
よく、排出を停止してもよい。
【0012】重合条件の変更幅は、コモノマー組成では
通常0.1〜10モル%、好ましくは1〜5モル%の範
囲である。水素濃度では通常1〜2000ppm、好ま
しくは20〜600ppmの範囲である。
【0013】重合温度では通常30〜200℃、好まし
くは40〜150℃の範囲である。前記の方法は、重
合条件変更前後のポリオレフィンのメルトフローレート
(MFR)の値の比が1/2以下または2以上、特に1
/3以下または3以上となるように変更する場合、また
は密度の値(g/cm3 )を0.005以上、特に0.
010以上変更する場合に好適である。
【0014】本発明では上記のような前段の重合条件変
更時に、または重合条件変更前に後段の重合器の流動床
の容積を減少させ、前段の重合条件の変更が終了した時
(定常状態になった時)に、後段の流動床の容積を定常
状態の70%以下、好ましくは30〜60%の範囲内と
する。後段の重合器の流動床の容積を減少させる方法と
しては、前段の重合器から供給するポリマー粒子の量を
減少させる方法、ポリマー粒子の供給を停止させる方
法、後段の重合器から排出するポリマー粒子の量を増加
させる方法などがある。
【0015】後段の重合条件を変更する場合は、前段の
重合条件の変更と同時に行ってもよく、前段の重合条件
の変更が終了した後に行ってもよい。後段の重合条件の
変更方法としては、前段の重合条件の方法と同じ方法を
採用することができる。
【0016】後段の流動床の容積は、前段の重合条件の
変更が終了した後に定常状態に復元するが、後段の重合
条件を変更する場合には、後段の重合条件を変更した後
に定常状態に復元することが好ましい。
【0017】本発明では、オレフィンを多段気相重合す
る際において少なくとも前段の重合条件の変更を含む重
合条件の変更方法であって、前段の重合条件の変更が終
了した時に、後段の流動床の容積を定常状態の70%以
下としているので、規格外品の生成を少なくすることが
できる。
【0018】本発明の方法は、固体状チタン触媒成分と
有機アルミニウム化合物触媒成分とからなる固体状チタ
ン系触媒または、ジルコノセンなどの遷移金属のメタロ
セン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノ
キサン)などが微粒子状担体に担持されてなる固体状メ
タロセン系触媒を用いたオレフィンの気相重合に適用す
ることができる。
【0019】前記固体状チタン系触媒は、後述するよう
な固体状チタン触媒成分(a-1) と、有機アルミニウム化
合物(b-1) とからなる。また、前記固体状メタロセン系
触媒は、後述するような周期表第4族から選ばれる遷移
金属のメタロセン化合物(a-2) と、有機アルミニウムオ
キシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物(b-
2) と、微粒子状担体とからなる。
【0020】固体チタン触媒成分(a-1) は、下記のよう
なマグネシウム化合物、チタン化合物、および電子供与
体を接触させることにより調製される。固体チタン触媒
成分(a-1) の調製に用いられるチタン化合物としては、
たとえばTi(OR)g 4-g (式中、Rは炭化水素
基、Xはハロゲン原子、0≦g≦4)で示される4価の
チタン化合物を挙げることができる。これらの中で、ハ
ロゲン含有チタン化合物、特にテトラハロゲン化チタン
が好ましい。中でも、四塩化チタンが特に好ましく用い
られる。また、3価のチタン化合物を用いることもでき
る。
【0021】固体チタン触媒成分(a-1) の調製に用いら
れるマグネシウム化合物としては、還元性を有するマグ
ネシウム化合物および還元性を有しないマグネシウム化
合物を挙げることができる。ここで還元性を有するマグ
ネシウム化合物としては、たとえばマグネシウム−炭素
結合あるいはマグネシウム−水素結合を有するマグネシ
ウム化合物を挙げることができる。還元性を有しないマ
グネシウム化合物は、上述した還元性を有するマグネシ
ウム化合物から誘導した化合物あるいは触媒成分の調製
時に誘導した化合物であってもよい。なお、マグネシウ
ム化合物は上記の還元性を有するマグネシウム化合物お
よび還元性を有しないマグネシウム化合物の他に、マグ
ネシウム化合物と他の金属との錯化合物、複化合物ある
いは他の金属化合物との混合物であってもよい。さらに
上記の化合物を2種以上組み合わせた混合物であっても
よい。マグネシウム化合物としては、還元性を有しない
マグネシウム化合物が好ましく、特に好ましくはハロゲ
ン含有マグネシウム化合物であり、さらに、これらの中
でも塩化マグネシウム、アルコキシ塩化マグネシウム、
アリロキシ塩化マグネシウムが好ましく用いられる。
【0022】固体チタン触媒成分(a-1) の調製に用いら
れる電子供与体としては、有機カルボン酸エステル、多
価カルボン酸エステルなどが挙げられる。固体チタン触
媒成分(a-1) は、上記したようなマグネシウム化合物
(もしくは金属マグネシウム)、電子供与体およびチタ
ン化合物を接触させることにより製造することができ
る。固体チタン触媒成分(a-1) を製造するには、マグネ
シウム化合物、チタン化合物、電子供与体から高活性チ
タン触媒成分を調製する公知の方法を採用することがで
きる。なお、上記の成分は、たとえばケイ素、リン、ア
ルミニウムなどの他の反応試剤の存在下に接触させても
よい。
【0023】有機アルミニウム化合物触媒成分(b-1) と
しては、少なくとも分子内に1個のAl−炭素結合を有
する化合物が利用できる。このような化合物としては、
たとえば、 (i)一般式(R1m Al(O(R2))n p q (式中、R1 およびR2 は、互いに同一でも異なってい
てもよく、炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜
4個含む炭化水素基を示す。Xはハロゲン原子を示し、
mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、q
は0≦q<3を満たす数であって、しかも、m+n+p
+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合
物、 (ii)一般式(M1)Al(R14 (式中、M1 はLi、NaまたはKを示し、R1は前記
(i)におけるR1と同じである。)で表わされる第1
属金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などを挙げる
ことができる。
【0024】固体状チタン系触媒は、固体チタン触媒成
分(a-1) と、有機アルミニウム化合物触媒成分(b-1)
と、必要に応じて電子供与体触媒成分とから形成される
が、これら触媒成分にはオレフィンが予備重合されてい
てもよい。
【0025】電子供与体触媒成分としては、下記一般式
(iii)で示される有機ケイ素化合物を用いることがで
きる。 Rn Si(OR’)4-n …(iii) (式中、RおよびR’は炭化水素基であり、nは0<n
<4を満たす数である。) さらに電子供与体触媒成分として、下記一般式(iv)で
示される有機ケイ素化合物を用いることもできる。
【0026】 SiR1 2 m (OR3 3-m …(iv) (式中、R1 はアルキル基を有していてもよいシクロペ
ンチル基であり、具体的には、シクロペンチル基、2-メ
チルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2-
エチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル
基などのアルキル基を有するシクロペンチル基が挙げら
れる。R2 はアルキル基、シクロペンチル基およびアル
キル基を有するシクロペンチル基からなる群より選ばれ
る基であり、R3 は炭化水素基である。mは0≦m≦2
を満たす数である。) 次に固体状メタロセン系触媒を形成するメタロセン化合
物(a-2) 、有機アルミニウムオキシ化合物、イオン化イ
オン性化合物(b-2) および微粒子状担体について説明す
る。
【0027】周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタ
ロセン化合物(a-2) は、具体的には、下記一般式(v)
で表される。 M2 x …(v) 式中、M2 は周期表第4族から選ばれる遷移金属であ
り、具体的にジルコニウム、チタンまたはハフニウムで
あり、xは遷移金属の原子価である。
【0028】Lは遷移金属に配位する配位子であり、こ
れらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジ
エニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジ
エニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよ
い。
【0029】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
としては、たとえば、シクロペンタジエニル基、メチル
シクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル
基、n-またはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-,
i-,sec-,t-ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチル
シクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタ
ジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メ
チルベンジルシクロペンタジエニル基などのアルキルま
たはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基、さら
にインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、
フルオレニル基などが挙げられる。これらの基は、ハロ
ゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていて
もよい。
【0030】前記一般式(v)で示される化合物が配位
子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個
以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエ
ニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレンなど
のアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレ
ンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチル
シリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシ
リレン基などの置換シリレン基などを介して結合されて
いてもよい。
【0031】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
以外のLとしては、炭素原子数が1〜12の炭化水素
基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基
(−SO3a)、ハロゲン原子または水素原子(ここ
で、Ra はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアル
キル基、アリール基またはハロゲン原子またはアルキル
基で置換されたアリール基である。)などが挙げられ
る。
【0032】炭素数原子数が1〜12の炭化水素基とし
ては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基などが挙げられ、より具体的には、メチル
基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチ
ル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル
基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基な
どのアリール基;ベンジル基、ネオフィル基などのアラ
ルキル基が挙げられる。
【0033】アルコキシ基としては、メトキシ基、エト
キシ基、n-プロポキシ基などが挙げられる。アリーロキ
シ基としては、フェノキシ基などが挙げられる。スルホ
ン酸含有基(−SO3a)としては、メタンスルホナト
基、p-トルエンスルホナト基、トリフルオロメタンスル
ホナト基、p-クロルベンゼンスルホナト基などが挙げら
れる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨ
ウ素が挙げられる。
【0034】またメタロセン化合物として、下記一般式
(vi)で表される化合物を用いることもできる。 La 3 1 2 …(vi) (式中、M3 は周期表第4族またはランタニド系列の金
属であり、La は、非局在化π結合基の誘導体であり、
金属M活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、X1
は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素、ハロゲ
ンまたは20以下の炭素、ケイ素またはゲルマニウムを
含有する炭化水素基、シリル基またはゲルミル基であ
る。) このような前記一般式で表される化合物のうちでも、下
記一般式で示される化合物が好ましい。
【0035】
【化1】
【0036】式中、M4 はチタン、ジルコニウムまたは
ハフニウムであり、X1 は、上記と同様である。Cpは
4 にπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シク
ロペンタジエニル基である。Zは酸素、イオウ、ホウ素
または周期表第14族の元素(たとえばケイ素、ゲルマ
ニウムまたは錫)であり、Yは窒素、リン、酸素または
イオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成し
てもよい。
【0037】上記のようなメタロセン化合物は、1種単
独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。有
機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノオ
キサンであってもよく、また特開平2−78687号公
報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミ
ニウムオキシ化合物であってもよい。なお.有機アルミ
ニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属
の有機化合物成分を含有していてもよい。
【0038】イオン化イオン性化合物は、前記遷移金属
化合物(a-2) と反応してイオン対を形成する化合物であ
って、特表平1−501950号公報、特表平1−50
2036号公報、特開平3−179005号公報、特開
平3−179006号公報、特開平3−207703号
公報、特開平3−207704号公報、特開平4−25
3711号公報などに記載されたルイス酸、イオン性化
合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示する
ことができる。
【0039】固体状メタロセン系触媒は、上記メタロセ
ン化合物(a-2) および、上記有機アルミニウムオキシ化
合物および/またはイオン化イオン性化合物(b-2) が、
微粒子状担体に担持されている。
【0040】微粒子状担体としては、たとえばSi
2 、Al23 、B23 、MgO、ZrO2 、Ca
O、TiO2 、ZnO、SnO2 、BaO、ThOなど
の無機酸化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1
-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、スチレン-ジビニ
ルベンゼン共重合体などの樹脂を用いることができる。
微粒子状担体としては、通常SiO2 またはSiO2
主成分とする担体が用いられる。これらの微粒子状担体
は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることが
できる。
【0041】また固体状メタロセン系触媒を形成するに
際しては、メタロセン化合物(a-2)および有機アルミニ
ウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合
物(b-2) とともに前述した有機アルミニウム化合物を用
いてもよい。
【0042】固体状メタロセン系触媒は、メタロセン化
合物(a-2) と、有機アルミニウムオキシ化合物および/
またはイオン化イオン性化合物(b-2) とが、微粒子状担
体に担持されて形成されるが、固体状メタロセン系触媒
にはオレフィンが予備重合されていてもよい。
【0043】
【発明の効果】本発明によると、流動層型重合器を用い
たオレフィンの多段気相重合において重合条件を変更す
る際に、規格外品の生成量が少ない。
【0044】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0045】
【実施例1】内径が1.0m、流動床高さが1.4mの
気相重合器および内径が0.8m、流動床高さが1.6
mの2つの気相重合器を用い、触媒としてメタロセン化
合物およびメチルアルミノキサンをシリカに担持したも
のを使用してエチレンの2段重合および重合条件の変更
を行った。前段の重合器の圧力は20kg/cm2-G、
モノマー組成を57モル%とし、後段の重合器の圧力は
17kg/cm2-G 、モノマー組成を94モル%とし
た。コモノマーはともに1-ヘキセンを用いた。また変更
前の重合条件は、前段の重合温度が80℃、後段が85
℃、メルトフローレートおよび密度は、前段、後段のい
ずれも4.0g/10分および0.915g/cm3 であ
り、目標とする重合条件は、前段の重合温度が70℃、
メルトフローレートが0.5g/10分、密度が0.90
5g/cm3 、後段の重合温度が85℃、2段重合品の
メルトフローレートが2.0g/10分、密度が0.91
5g/cm3 とした。
【0046】まず前段の条件変更を行ない、前段のガス
組成およびポリマー組成が所定の条件になるまでの間
に、後段の流動床容積を定常時の50%とし、後段のガ
ス組成を目標とする値に設定した。その後、後段ポリマ
ーの排出速度を下げることにより流動床容積を徐々に定
常時の値に戻した。なお流動床容積を測定する方法とし
ては、特開平8−259612号公報に示される流動床
内の高さの異なる2点間の差圧を測定することにより流
動床高さを測定する方法を用いた。その結果、前段の条
件変更が終わってから4時間で条件変更が完了し、この
間規格外品は定常時の3時間分であった。
【0047】
【比較例1】装置および変更前後の重合条件を実施例1
と同じとする条件変更を行った。前段のガス組成および
ポリマー組成が所定の条件になるまでの間に、後段のガ
ス組成を目標とする値に設定した。ただしこのときに後
段の流動床容積は変化させなかった。その結果、前段の
重合条件の変更が終わってから5時間で条件変更が完了
し、この間の規格外品は定常時の5時間分であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多段気相流動床反応装置の一例を示す概略図
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流動層型重合器を用いてオレフィンを多
    段気相重合する際の、少なくとも前段の重合条件の変更
    を含む重合条件変更方法であって、 前段の重合条件の変更が終了した時に、後段の流動床の
    容積が定常状態の70%以下となるように、前段の重合
    条件変更時または変更前に後段の流動床の容積を減少さ
    せ、前段の重合条件の変更が終了した後に、後段の流動
    床の容積を定常状態に復元することを特徴とするオレフ
    ィンの多段気相重合における重合条件変更方法。
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