JPH1112299A - 微小管形成促進物質およびその製造方法 - Google Patents

微小管形成促進物質およびその製造方法

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JPH1112299A
JPH1112299A JP18043897A JP18043897A JPH1112299A JP H1112299 A JPH1112299 A JP H1112299A JP 18043897 A JP18043897 A JP 18043897A JP 18043897 A JP18043897 A JP 18043897A JP H1112299 A JPH1112299 A JP H1112299A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 細胞機能の活性化をもたらす健康食品、ある
いはアルツハイマー型痴呆症等の予防、治療に用いられ
る、微小管形成促進物質を提供すること。 【解決手段】(1)大麦の分級粉を水で抽出し、水抽出
物を取得する工程; (2)該水抽出物をゲル濾過クロマトグラフィーに供
し、低分子画分を取得する工程; (3)該低分子画分をイオン交換クロマトグラフィーに
供する工程;および (4)該得られた画分をゲル濾過クロマトグラフィーに
供し、微小管形成促進物質画分を取得する工程;を含む
工程により、微小管形成促進物質を取得する。この物質
は酵母の生育、生菌数を増加させる。真核生物の細胞機
能(細胞分裂、細胞形態の維持)の促進に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、細胞機能の維持
に関与する微小管形成促進物質に関する。
【0002】
【従来の技術】チューブリンは細胞骨格の主要蛋白質で
あり、真核細胞に普遍的に存在する蛋白質である。チュ
ーブリンは、重合して、細胞分裂および細胞形態の維持
等に関与している微小管を形成する。そのチューブリン
から微小管を形成するメカニズムは、図1に模式的に示
される。チューブリンは、α- サブユニットとβ- サブ
ユニットとの2つのサブユニットから構成される2量体
の蛋白質であり、それぞれのサブユニットには、GTP が
結合している。このチューブリンは、重合して環状とな
り、さらに重合を重ねてパイプ状の構造体、すなわち微
小管、を形成する。この重合の過程において、GTP は加
水分解され、GDP となる。
【0003】ところで、高齢化社会の特徴の一つとし
て、老人性痴呆症の増加がある。老人性痴呆症には脳血
管性痴呆、アルツハイマー型痴呆等が含まれる。アルツ
ハイマー型痴呆症は、形態学的には(1) 脳組織の萎縮、
脱落、(2) 大脳皮質あるいは海馬に存在する老人斑、
(3) 神経原繊維の変化等が特徴である。さらに、生物学
的には、神経伝達物質であるアセチルコリンの合成酵素
であるコリン・アセチルトランスフェラーゼ活性が低下
していることが報告されている。アルツハイマー型痴呆
症の発症機構の解明は、老人斑に存在するアミロイド、
または神経原繊維変化に関与するタウタンパク質を中心
に行われている。このタウタンパク質は、微小管形成を
促進すると報告されている(Weingarten, M.D.ら、Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA 72: 1858(1975) 等)。
【0004】上記のように、微小管はチューブリンが重
合したものであり、細胞形態維持、細胞内輸送、細胞分
裂、細胞運動等の様々な細胞機能に関与していると考え
られている。他方で、アルツハイマー型痴呆症の特徴で
ある細胞の萎縮、細胞数の減少は微小管機能の劣化と考
えられる。
【0005】従って、微小管形成を促進することが、ア
ルツハイマー型痴呆症の治療、予防につながると考えら
れる。しかし、微小管の形成を促進する物質を用いて、
細胞形態の維持、細胞数の維持、増加を図り、ひいては
アルツハイマー型痴呆症の治療、予防が検討された例は
いまだ知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は、微小管形
成促進物質を提供し、細胞機能の活性化をもたらす健康
食品、あるいはアルツハイマー型痴呆症の治療剤または
その予防剤を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】従って、本願発明は、微
小管形成促進物質を提供しようとするものであり、以下
の工程: (1)大麦の分級粉を水で抽出し、水抽出物を取得する
工程; (2)該水抽出物をゲル濾過クロマトグラフィーに供
し、低分子画分を取得する工程; (3)該低分子画分をイオン交換クロマトグラフィーに
供する工程;および (4)該得られた画分をゲル濾過クロマトグラフィーに
供し、微小管形成促進物質画分を取得する工程;を含む
工程により得られる、微小管形成促進物質に関する。
【0008】好適な実施態様においては、前記イオン交
換クロマトグラフィーがDEAE- セファデックスA-50であ
り、0.5M NaCl の濃度で微小管形成促進物質が溶出され
る。
【0009】また、本願発明は、前記微小管形成促進物
質を含有する細胞機能促進剤に関する。好適な実施態様
においては、前記細胞機能が細胞分裂の促進および/ま
たは細胞形態の維持である。
【0010】好適な実施態様においては、前記細胞機能
が脳細胞の機能である。さらに、本願発明は、微小管形
成促進物質を含有する老人性痴呆症治療剤に関する。
【0011】また、本願発明は微小管形成促進物質を含
有する食品組成物に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】微小管形成促進物質は、チューブ
リンからの微小管形成を促進する。微小管形成の測定に
は濁度法あるいは粘度法があるが、大量の試料を必要と
し、測定にも長時間を要する。他方で、チューブリンタ
ンパク質自身がGTPase活性を有し、その発現が微小管形
成に関与することが知られている(土井ら、Agric. Bio
l. Chem., 55: 245-246, (1991) : Marie-France Car
lierら、Biochemistry.,28: 1791-1797 (1989))。従っ
て、本願発明においては、チューブリンのGTPase活性を
測定し、そのGTPase活性を増強(賦活化)する物質を、
微小管形成促進物質とする。
【0013】GTPaseの活性測定には、例えば、Seckler
ら、J. Biol. Chem., 265: 7655 (1990)、および川上、
長谷川、土井ら、武庫川女子大紀要(自然科学)42:17
(1994) に記載の方法(グリセロールを含むリン酸緩衝
液中で反応させ、生じるGDP を測定する方法)が用いら
れる。例えば、チューブリン1.0 mg/ml 、10mM リン酸
緩衝液(pH7.0)、3.4M グリセロール、0.1mM GTP 、お
よび10mM MgCl2、および試料1.0 mg/ml を含む反応液
を、適切な温度と時間、例えば、37℃、30分間反応させ
る。反応液の1/5 量の3N 過塩素酸を加え、反応を停止
する。0 ℃で10分以上冷却し、7000rpm 、5 分間遠心分
離する。遠心上清に、その1/6 量の3N水酸化カリウムと
1/6 量のリン酸カリウムー 酢酸緩衝液(1M K2HPO4-0.5M
CH3COOH)とを加えて、-20 ℃で保存後、7000rpm 、5
分間遠心分離して過塩素酸カリウムの沈澱を除き、さら
にシリンジフィルター(ポアサイズ 0.45 μm )で濾過
してHPLCにかけ、生じたGDP 量を測定する。
【0014】HPLCの条件は例えば、以下の通りである。 カラム:ODS カラム(4.6mm ×250mm ) 溶出液:0.2M K2HPO4-0.1M CH3COOH-4mM TBPA(tetra-n-
butylammonium phosphate) 流速:1.0 ml/min 検出:253nm の吸光
【0015】なお、チューブリンの比活性は、255pmols
GDP/mg 蛋白質/minである。
【0016】チューブリンは、Lee らの硫安分別法及び
イオン交換法とを組み合わせ、最終段階でマグネシウム
沈澱法を取り入れた方法が用いられ得る(Lee ら、J. B
iol.Chem., 248: 7253 (1973)、Weisenbergら、Biochem
istry, 7: 4466 (1968)およびWeisenbergら、Biochemis
try, 9: 4410 (1970)を参照のこと)。
【0017】本願発明の微小管形成促進物質は、大麦の
分級粉を分画して得られる。大麦の分級粉としては、95
ー80 %の分級粉が用いられ、91-89 %分級粉が最も好適
に用いられ得る。分級粉は、精米と同様の原理を用い
て、ドラフトバーレー分級法を用いて大麦穀粒を処理す
ることにより得られ得る。また、市販の分級粉も用いら
れ得、例えば、イトメン株式会社(兵庫県)から入手可
能である。
【0018】大麦分級粉からの抽出は、水で行い得る。
抽出は、分級粉1 重量部に対して、約10から100 重量部
の水を加えて行う。好適には、約20〜40重量部、最も好
適には、約30重量部の水を用いて行われる。抽出は、約
0 ℃〜約60℃、好適には、約20℃〜約40℃で行われ得
る。抽出の時間は、温度、分級粉の濃度等に依存する
が、約15分〜約2 時間行い得る。
【0019】水による抽出を容易にするために、分級粉
を冷アセトン等の親水性溶媒で予め処理しておくことが
好ましい。アセトンは、分級粉1重量部に対して10〜10
0 倍量(W/V)、好ましくは、20〜50倍量が用いられ得
る。最も好ましくは、30倍量の冷アセトン(−20℃)を
加え、1分間、攪拌する。冷アセトン処理した分級粉
は、20〜50倍量の水で抽出され得る。好適には、約30倍
量の水で抽出する。
【0020】水による抽出終了後、遠心分離(例えば、
10,000rpm,2 ℃,20 分)して上清を得、これを抽出液と
し得る。後の操作等を考慮すると、この抽出液を濃縮あ
るいは粉末化することが好ましい。濃縮、粉末化は公知
の手段が用いられるが、凍結濃縮、凍結乾燥が、目的物
質の失活を防ぐ点で好ましい。
【0021】得られた濃縮液あるいは凍結乾燥標品をゲ
ル濾過クロマトグラフィーにかける。凍結乾燥標品の場
合には、精製水に溶解後、遠心分離(例えば、10,000rp
m,2℃,20 分)した上清を用いる。ゲル濾過クロマトグ
ラフィーに用いるゲルはどの様なゲルでも、用いられ得
る。好適には、セファクリル(登録商標)S-100HR が用
いられ得る。ゲル濾過は、当業者に周知の方法で行われ
得る。
【0022】ゲル濾過により得られた画分について、上
記の方法で、微小管形成促進活性を測定し、物質を含む
画分をプールし、必要に応じて濃縮あるいは凍結乾燥し
て粉末とする。微小管形成促進物質は、セファクリル
(登録商標)S-100HR の分画可能範囲から推定すると分
子量約1000〜2000程度と考えられる。
【0023】次いで、この得られた微小管形成促進活性
物質を含有する画分、その濃縮液またはその凍結乾燥物
をイオン交換クロマトグラフィーに供する。用いるイオ
ン交換樹脂としては、アニオン交換樹脂が好ましい。例
えば、商品名アンバーライトMB-1、商品名DEAE- セファ
デックスA-50等が用いられ得る。
【0024】溶出には、塩濃度勾配法あるいはステップ
ワイズ法等、当業者に周知の方法が用いられ得る。塩濃
度勾配法を用いる場合、例えば、20mMリン酸緩衝液(pH
7) に溶解した試料をDEAE- セファデックスA-50にか
け、同緩衝液で洗浄後、NaClの直線濃度勾配をかける。
目的の物質は、約0.2MのNaCl濃度で溶出する。DEAE- セ
ファデックスA-50を用いて、ステップワイズ法で溶出す
る場合、ピリジン- 酢酸緩衝液(pH6.5) で平衡化したDE
AE- セファデックスA-50と試料とを懸濁した後、ピリジ
ンと酢酸の比率を変えてpHを段階的に変化させ、目的物
質を溶出する。溶出はpH約5.0 付近で行われる。
【0025】イオン交換クロマトグラフィー処理で得ら
れた微小管形成促進物質は、さらにゲル濾過クロマトグ
ラフィーに供し、精製される。約1000から2000の分子量
を有する物質を分画できるゲルが好ましく、例えば、Bi
o-Gel P-4 が好適に用いられ得る。Bio-Gel P-4 による
分画で、本願発明の微小管形成促進物質の分子量は、約
2,000 程度と推定される。
【0026】このようにして精製された微小管形成促進
物質は、細胞内で細胞骨格あるいは細胞分裂の際の紡錘
体の建築素材であり細胞内輸送あるいは鞭毛運動などの
運動要素として機能する微小管の形成を促進するので、
細胞機能促進剤として機能し得る。具体的には、細胞形
態の維持および/または細胞分裂の促進が可能となる。
【0027】例えば、本願発明の実施例として示すよう
に、酵母Rhodotorula rubra の培養に際して、本願発明
の微小管形成促進物質を添加した場合は、極めて生育が
良好になることおよび生菌数が増大することが示され、
細胞機能促進効果が認められる。
【0028】細胞骨格の維持、細胞分裂は、すべての細
胞において見られることから、細胞萎縮、細胞数の減少
の結果として生じる老人性痴呆症の症状の改善、治療に
も、その効果が期待される。
【0029】さらに、微小管形成促進物質を含有する食
品組成物を提供することにより、日常的に細胞の活性
化、アルツハイマー症の予防に寄与することができる。
【0030】以下、実施例を挙げて本願発明を説明する
が、本願発明がこれらの実施例に限定されないことはい
うまでもない。
【0031】(大麦分級粉からの微小管形成促進物質の
抽出)大麦の95-80 %分級粉は、イトメン株式会社(兵
庫県龍野市)から入手した。分級粉60g に、30倍量(W/
V) の冷アセトン(ー20 ℃)を加え、1分間、攪拌後、
濾過によりアセトンを除去した。得られた脱脂分級粉10
g に300ml の精製水を加えて、室温で30分間、攪拌し、
抽出液を得た。遠心分離(10,000rpm, 2℃, 20分)して
上清を得、凍結乾燥して、水抽出物の凍結乾燥粉末を得
た。
【0032】(セファクリルS-100HR を用いるゲル濾
過)得られた凍結乾燥標品の0.4gを10mlの10mM 酢酸に
溶解し、遠心分離(10,000rpm, 2℃, 20分)した上清を
セファクリルS-100HR (4 ×40cm)にアプライした。70
ml/hr の流速で溶出し、10mlずつ分画した。分画画分を
凍結乾燥し、10mg/ml となるように精製水に溶解し、最
終濃度1.0mg/mlで微小管形成促進活性を測定した。即
ち、土井らの方法(前出)に従い、チューブリン1.0 mg
/ml 、10mM リン酸緩衝液(pH7.0)、3.4M グリセロー
ル、0.1mM GTP 、および10mM MgCl2、および試料1.0 mg
/ml を含む反応液1ml を、37℃、30分間反応させた。反
応液に200 μl の3N過塩素酸を加えて反応を停止し、0
℃で10分間以上冷却し、7000rpm、5 分間遠心分離し
た。遠心上清に、その1/6 量の3N水酸化カリウムと1/6
量のリン酸カリウムー 酢酸緩衝液(1M K2HPO4-0.5M CH3
COOH)とを加えて、-20 ℃で保存後、7000rpm 、5 分間
遠心分離して過塩素酸カリウムの沈澱を除き、さらにシ
リンジフィルター(ポアサイズ 0.45 μm )で濾過して
HPLCにかけ、生じたGDP 量を測定した。HPLCの条件は上
記の通りであった。
【0033】ゲル濾過の結果を図2に示した。図2のフ
ラクションNo.55ー60付近のピーク(S-7) に、最も強い微
小管形成促進活性がみられた。このS-7 のGTPase活性の
賦活化の様子を、図3に示した。1.0mg/ml濃度のS-7
は、GTPase活性(微小管形成活性)を約1.8 倍に増加さ
せた。なお、図3において、(■)はS-7 を添加した場
合の活性、(◆)はコントロールを表す。
【0034】(S-7 画分のイオン交換樹脂による分画)
S-7 画分をDEAE- セファデックスA-50イオン交換クロマ
トグラフィーにかけたときの結果を、図4に示した。31
mgのS-7 凍結乾燥粉末を、10mM 2- メルカプトエタノー
ルを含む20mM リン酸緩衝液(pH7.0) に溶解し、DEAE-
セファデックスA-50(1.5 ×30cm)にアプライした。同
緩衝液で洗浄後、0 から0.5MのNaClの直線濃度勾配をか
けた。17ml/hr の流速で溶出し、3.2ml ずつ分画した。
約0.1Mから約0.25M にかけてのNaCl濃度で、最初の230n
m の吸収ピークがみられたが、微小管形成促進活性は、
フラクションNo.18-20に検出された。このフラクション
から得られた凍結乾燥標品(IE-B)を、次に、ゲル濾過
クロマトグラフィーにかけた。
【0035】(IE-B 標品のゲル濾過クロマトグラフィー
による分画)Bio-Gel P-4 ゲル濾過クロマトグラフィー
による分画を、図5に示した。30mgの凍結乾燥標品IE-B
を回収し、その30mgをBio-Gel P-4 (1.5 ×80cm)にア
プライし、10mM 酢酸を用い、17.6ml/hr の流速で、2.
1ml ずつ分画した。低分子画分に4つのピークがみられ
たが、第3番目のピークには活性がなく、第2番目のピ
ーク(IE-B-2)に最も高いGTPase賦活化活性がみられ
た。
【0036】(IE-B-2の酵母の生育に対する影響)酵母
Rhodotorula rubra IFO 0709をハイダック氏培地(10%
庶糖、0.25%L-アシパラギン、0.1% K2HPO4 、0.3% MgS
O4・ 7H2O( いずれもW/V%) 、pH6.5 )にIE-B-2を最終濃
度0.25mg/ml となるように加え、28℃で培養した。結果
を図6に示した。IE-B-2を添加した場合(●)、ペプト
ンを最終濃度0.25mg/ml 加えた場合(■)あるいは、無
添加の場合(◆)と比較して、明らかに生育が良好にな
っていることを示している。なお、図示していないが、
培養第12日目の生菌数の割合も増加していた。
【0037】さらに、図7は、培養第12日目の菌体のGT
Pase活性を示したものである。培養終了後、菌体を遠心
分離で集め、洗浄後、ビーズで破砕した。遠心分離(50
00rpm 、20分、4 ℃)により上清を得て、蛋白質含量お
よびGTPase活性を測定した。結果を図7に示した。図7
から明らかなように、IE-B-2を含む培地で生育した酵母
は、高いGTPase活性を有していた。
【0038】生育、生菌数、GTPaseに関する同様の結果
が、酵母Saccharomyces cerevisiaeおよび酵母Pichia p
olymorpha でも観察された。
【0039】
【発明の効果】本願発明の物質を添加することにより、
酵母の生育、生菌数が増大した。このことは、細胞内で
細胞分裂、細胞形態の維持に関する微小管形成が促進さ
れ、それによって、生育および生菌数が増大したことを
示すものである。微小管が、真核生物に普遍的に存在す
るものであるから、本願発明の微小管形成促進物資を用
いて、老人性痴呆症の予防、治療が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】チューブリンからの微小管形成を示す模式図で
ある。
【図2】大麦分級粉の水抽出物のセファクリルS-100HR
による分画を示す図である。下線部は活性画分を表す。
【図3】S-7 のGTPase活性の賦活化を示す図である。
【図4】S-7 のDEAE- セファデックスA-50イオン交換ク
ロマトグラフィーの結果を示す図である。約0.2MのNaCl
濃度で、活性画分が溶出した。
【図5】IE-B標品のBio-Gel P-4 ゲル濾過クロマトグラ
フィーによる分画を示す図である。
【図6】IE-B-2を添加したときの酵母の生育を示す図で
ある。
【図7】IE-B-2を添加して培養した酵母の菌体内GTPase
活性の増大を示す図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の工程: (1)大麦の分級粉を水で抽出し、水抽出物を取得する
    工程; (2)該水抽出物をゲル濾過クロマトグラフィーに供
    し、低分子画分を取得する工程; (3)該低分子画分をイオン交換クロマトグラフィーに
    供する工程;および (4)該得られた画分をゲル濾過クロマトグラフィーに
    供し、微小管形成促進物質画分を取得する工程;を含む
    工程により得られる、微小管形成促進物質。
  2. 【請求項2】 前記イオン交換クロマトグラフィーがDE
    AE- セファデックスA-50であり、0.5M NaCl の濃度で溶
    出される、請求項1に記載の微小管形成促進物質。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の微小管形成促
    進物質を含有する、細胞機能促進剤。
  4. 【請求項4】 前記細胞機能が、細胞分裂の促進および
    /または細胞形態の維持である、請求項3に記載の細胞
    機能促進剤。
  5. 【請求項5】 前記細胞機能が脳細胞の機能である、請
    求項4に記載の細胞機能促進剤。
  6. 【請求項6】 請求項1または2に記載の微小管形成促
    進物質を含有する、老人性痴呆症治療剤。
  7. 【請求項7】 請求項1または2に記載の微小管形成促
    進物質を含有する、食品組成物。
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