JPH11117143A - 炭素繊維織物 - Google Patents

炭素繊維織物

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JPH11117143A
JPH11117143A JP10194117A JP19411798A JPH11117143A JP H11117143 A JPH11117143 A JP H11117143A JP 10194117 A JP10194117 A JP 10194117A JP 19411798 A JP19411798 A JP 19411798A JP H11117143 A JPH11117143 A JP H11117143A
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carbon fiber
woven fabric
pitch
fabric
fabric according
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Iwao Yamamoto
巌 山本
Akihiko Yoshitani
明彦 葭谷
Akira Nakakoshi
明 中越
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低コストでの生産が可能であり、且つ、より高
い除熱効果を有する、非常に高付加価値の放熱板等を製
造することが可能となる、炭素繊維織物を提供する。 【解決手段】 繊維軸方向の熱伝導率が400W/m・K以
上の炭素繊維で構成された炭素繊維織物であって、FA
W(織物の単位面積当たりの重さ)が、400g/m2以上
であることを特徴とする炭素繊維織物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭素繊維織物および
その製造方法に係わるものである。本発明による炭素繊
維織物は、高い熱伝導率を有する炭素繊維から構成され
ており、例えば、高エネルギー密度電子部品の放熱材料
等に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】高性能の炭素繊維は、ポリアクリロニト
リル(PAN)を原料とするPAN系炭素繊維とピッチ
類を原料とするピッチ系炭素繊維に大別され、それぞ
れ、高比強度、高比弾性率という特長を生かして、航空
機用材料、スポーツ用品用材料、建築土木用材料、そし
て宇宙用材料等として広く用いられている。
【0003】近年、電子部品の高密度化が進み、発生す
る熱を効率よく除去する材料(放熱板)の重要性が高く
なっている。特に航空宇宙の分野においては、使用され
る材料の軽量化の要求が高く、炭素繊維強化プラスチッ
ク(CFRP)の使用が検討されている。この材料(C
FRP)には、高い熱伝導率が要求されるために、それ
を構成する炭素繊維には高い熱伝導率を有するものが好
適とされ、そのために高い熱伝導率を有する炭素繊維の
開発がなされてきた。例えば、特開平2−242919
号には、熱伝導率が1000W/m・Kより大きい炭素
繊維が報告されており、特開平7−331536号に
は、熱伝導率が500〜1500W/m・Kの炭素繊維
が報告されている。なお、ここで報告されている熱伝導
率は、全て炭素繊維自身の繊維軸方向の熱伝導率であ
る。
【0004】しかしながら、実際に放熱板等として用い
られる際には前述のようにCFRPとして用いられるた
めに、炭素繊維自身としてではなく、CFRPとしての
熱伝導率の高さが要求される。一般的に放熱板としての
使用形態である、面方向から入る熱の除熱に対しては、
発熱部と接した面から、冷却部への高い熱伝導率が要求
される。すなわち、厚み方向に高い熱伝導率を有するC
FRPのほうが、熱の伝導に寄与する断面積が広くな
り、熱を有効に除去することができる。
【0005】従来の炭素繊維は熱伝導率は高いものの、
炭素繊維の繊度(単位長さ当たりの重量)が小さいため
に、薄いプリプレグしか作ることができない。例えば、
前記特開平7−331536号の実施例に、FAW(F
iber Areal Weight:織物の単位面積
当たりの重量)が80g/m2の炭素繊維織物が報告さ
れている。このような炭素繊維から放熱板となるCFR
Pを作る際には、数枚〜数十枚のプリプレグ、または織
物を重ねてから成型する必要がある。
【0006】そのために得られるCFRPは、繊維の配
向方向への熱伝導率には優れるが、積層方向への熱伝導
率は非常に低い(一般に繊維軸方向の1/100以下)
ものとなっている。結果として、CFRPを構成する炭
素繊維のうち、発熱部に接触するごく一部の層だけが熱
の除去に寄与することとなり、非常に効率の悪いシステ
ムとなっている。また、そのために炭素繊維自身に過度
の熱伝導率の要求がなされ、炭素繊維の能力の限界、ま
たはコストアップにつながり、実使用が遅れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、CFR
Pの放熱板等への検討はなされているが、前述のように
効率よく炭素繊維の熱伝導率が利用できないために、非
常に熱伝導率の高い炭素繊維を用いる必要があり、その
ために非常にコストの高いものとなり、実用化が困難で
あった。
【0008】そこで、炭素繊維の熱伝導率を効率よく生
かすシステムで構成されたCFRP、そして、CFRP
の原料となる炭素繊維織物が望まれている。具体的に
は、従来品と同等の熱伝導率を有するCFRPを作るに
は、より低い熱伝導率の炭素繊維ですみ、低コストでの
生産が可能であり、また、従来品と同等の非常に高い熱
伝導率を有する炭素繊維を用いた時には、より高い除熱
効果を有する、非常に高付加価値の放熱板を製造するこ
とが可能となる、炭素繊維織物が要求されていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、従来は配向性が悪いた
めに、一方向プリプレグの積層体に比べて除熱効率が低
いと考えられてきた”炭素繊維織物”の、FAW(織物
の単位面積当たりの重量)を一定以上に大きくすること
により、従来以上の除熱性能を有するCFRPを製造す
ることができることを見いだした。
【0010】すなわち、繊度が大きい炭素繊維を製織し
製造した、FAWが大きい炭素繊維織物を用いることに
より、少ない積層枚数で、または積層することなしに所
定の厚みのCFRPが得られるため、また、一方向プリ
プレグの積層体と異なり、厚み方向への炭素繊維の配向
が現れるために、より炭素繊維の持つ熱伝導率が発揮さ
れ、面方向から入る熱の除熱に対しては、CFRPとし
ての除熱性能が向上することを見いだし、本発明に到達
した。
【0011】すなわち本発明の目的は、電子部品用放熱
板等の部品として要求される、高い除熱性能、高い熱伝
導率を満足する炭素繊維強化プラスチック(CFR
P)、及びそれを製造するための、原材料としての炭素
繊維織物を提供しようとするものであり、かかる目的
は、繊維軸方向の熱伝導率が400W/m・K以上の炭
素繊維で構成された炭素繊維織物であって、FAW(織
物の単位面積当たりの重量)が400g/m2以上であ
ることを特徴とする炭素繊維織物により容易に達成され
る。また、その炭素繊維織物の好適な製造方法は、炭素
繊維の引張弾性率が80ton/mm2以下であり、繊
度(繊維束の単位長さ当たりの重量)が500g/km
以上のピッチ系炭素繊維束を製織し得られた織物を、2
800℃以上の温度で黒鉛化処理することを特徴とす
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明における原料となる炭素繊維の引張弾性率は、80
ton/mm2以下、好ましくは40〜80ton/m
2、更に好ましくは50〜80ton/mm2であるこ
とが重要である。引張弾性率が80ton/mm2を超
えると、炭素繊維織物を製造するための製織の際に、炭
素繊維の折損が多発し織物とすることが出来ない。ま
た、引張弾性率が低すぎると、炭素繊維織物にした後の
2800℃以上の温度での黒鉛化の際に、炭素繊維自身
が寸法変化を起こし、製品の炭素繊維織物にひずみが入
ることがあり、好ましくない。
【0013】また、本発明においては原料となる炭素繊
維束の繊度(繊維束の単位長さ当たりの重さ)は500
g/km以上、好ましくは700〜5000g/km、
更に好ましくは1000〜3000g/kmとすること
が重要である。繊度が500g/kmに充たないと、F
AW(繊維の単位面積当たりの重さ)が400g/m 2
の炭素繊維織物を作ることが出来ない。また、繊度が大
きすぎると炭素繊維束が太くなりすぎ、製織機内で引っ
かかり等が生じ、製織が困難となるために好ましくな
い。
【0014】なお、この繊度[g/km]は、一般に、
炭素繊維の比重[g/cm3]と繊維の断面積[μm2
と炭素繊維束を構成する炭素繊維の本数[本]により決
定される。また繊維の断面積は、繊維径[μm]により
決定される。ここで、比重は1.9〜2.3g/c
3、更には2.0〜2.2g/cm3であることが好ま
しい。比重が1.9に充たないと、炭素繊維織物にした
後の2800℃以上の温度での黒鉛化の際に、炭素繊維
自身が寸法変化を起こし、製品の炭素繊維織物にひずみ
が入ることがあり、好ましくない。2.3を超えると、
必然的に炭素繊維の弾性率が高くなり、炭素繊維織物を
製造するための製織の際に、炭素繊維の折損が多発し織
物とすることが出来なくなるために好ましくない。
【0015】また、繊維径は通常6〜20μm、好まし
くは7〜15μm、更に好ましくは8〜12μmであ
る。繊維径が6μmに充たないと、必然的に炭素繊維束
を構成する本数を増やす必要が出てきて、紡糸設備の巨
大化が必要となる。また、20μmを超えると、工程通
過中の屈曲部等で、単糸レベルでの糸折れが生じる為に
好ましくない。
【0016】炭素繊維束を構成する炭素繊維の本数は、
通常1500〜40000本、好ましくは3000〜3
0000本、更に好ましくは5000〜20000本で
ある。本数が1500本に充たないと、必然的に炭素繊
維の直径を大きくする必要性が生じ、前述のように工程
内で糸折れを起こす。また、40000本を超えると、
紡糸設備の巨大化、もしくは合糸設備の設置が必要とな
るために好ましくない。
【0017】次に、本発明の炭素繊維織物を得るために
は、上記の原料となる炭素繊維束を用いて例えばシャト
ル織機やレピア織機等を使用して製織し、あらかじめ平
織りあるいは繻子織り等の織物にしておく。この時のF
AW(Fiber Areal Weight:織物の
単位断面積当たりの重さ)は400g/m2以上、好ま
しくは500〜2000g/m2、更に好ましくは50
0〜1000g/m2にする必要がある。FAWが40
0g/m2に充たないと、CFRP板を作る際に、多数
枚積層させる必要性が出てきて、厚み方向の熱伝導率が
悪くなるために好ましくない。また、FAWが大きすぎ
ると用途に応じては、CFRP板が必要以上に厚くなり
すぎるために好ましくない。
【0018】この原料となる炭素繊維織物を次に黒鉛化
し、本発明の炭素繊維織物を得る。黒鉛化の際に黒鉛性
のルツボに入れ黒鉛化処理すると、外部からの物理的、
化学的作用を遮断でき好ましい。黒鉛製のルツボは上記
の原料となる炭素繊維織物を、所望の量入れることが出
来るものであるならば大きさ、形状に特に制約はない
が、黒鉛化処理中、または冷却中に黒鉛化炉内の酸化性
のガス、または炭素蒸気との反応による炭素繊維織物の
損傷を防ぐために、フタ付きの気密性の高いものが好ま
れる。
【0019】黒鉛化処理は、得られる炭素繊維織物を構
成する炭素繊維の熱伝導率が400W/m・K以上、好
ましくは500W/m・K以上、更に好ましくは550
W/m・Kとなる温度で行われる。熱伝導率が400W
/m・Kより低いと、例えば放熱板を製造した場合等
に、充分な放熱性能が得られないために好ましくない4
00W/m・K以上の熱伝導率を得るために必要な黒鉛
化温度は、通常2800℃以上、好ましくは2800〜
3500℃以下、更に好ましくは2800〜3300℃
である。2800℃より低いと炭素繊維の熱伝導率が4
00W/m・Kに達しないために好ましくない。また、
黒鉛化温度が高すぎると、”炭素”の昇華が始まり、製
品及び炉体に多大なダメージを与えるので好ましくな
い。
【0020】黒鉛化時間は2800℃以上の温度での保
持時間が、通常10分以上100日以下、好ましくは3
0分以上30日以下である。また、黒鉛化処理する設備
は、2800℃以上の温度で処理することが出来るもの
であれば特に制約はないが、生産効率の面からアチソン
抵抗加熱炉を用いることが好ましい。
【0021】かくして、本発明の炭素繊維織物を得るこ
とができる。なお、かかる炭素繊維織物は、一般に引張
強度及び引張弾性率も良好であり、引張強度は通常30
0kg/mm2以上、好ましくは350kg/mm2以上で
あり、引張弾性率は通常80ton/mm2以上、好まし
くは90ton/mm2以上である。そして、これらの炭
素繊維織物に、定法に従って熱硬化性樹脂を含浸した後
に、成型、硬化させることにより、炭素繊維強化プラス
チック(CFRP)が得られる。含浸するマトリックス
樹脂として、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポ
リイミド樹脂、フラン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、好ましくはエポ
キシ樹脂、、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂が挙げら
れる。また、マトリックスとしてプラスチックの代わり
に、銅、アルミニウム等の金属マトリックスを用いるこ
ともできる。成形、硬化は、RTM(Resin Tr
ansfer Molding)法、ハンド・レイ・ア
ップやスプレー・アップによるオープン・モールド法、
プレス法、オートクレーブ法、フィラメント・ワインデ
ィング法、プルトージョン法、エクストルージョン法等
が挙げられるが、好ましくはRTM法である。
【0022】このようにして得られたCFRPは、炭素
繊維が、通常30〜75体積%、樹脂が25〜70体積
%である。本発明のCFRPは、通常シート状で、用途
により適当な大きさに切断され使用される。またCFR
Pの厚さは、通常0.2〜50mm、好ましくは0.4
〜20mmである。CFRPにおいて、織布は、通常シ
ート平面と略平行になるよう配設される。CFRPに用
いられる織布は一枚であっても二枚以上を積層するよう
にして用いてもよい。
【0023】かかるCFRPは、熱伝導率が高いため
に、温度上昇が素子の破壊や効率の低下に直結するIC
用基盤等の電子部品放熱板等に特に好適に使用すること
ができる。
【0024】なお、本願発明の炭素繊維織物の原料とな
る炭素繊維は、最初に規定した引張弾性率、繊度を満足
し、前述の黒鉛化処理において、最終黒鉛化後の熱伝導
率が400W/m・K以上となるものであれば、何ら制
約されるものではないが、以下に記述した方法で製造さ
れたピッチ系炭素繊維を用いれば、高い熱伝導率が得や
すいために好ましい。
【0025】紡糸ピッチの出発原料としては、石炭系の
コールタール、コールタールピッチ、石炭液化物、石油
系の重質油、タール、ピッチ等が挙げられる。これらの
出発原料のうち、石炭系のコールタール、コールタール
ピッチが、それらを構成する分子の芳香性が高く、黒鉛
結晶の発達しやすい紡糸ピッチを得られるという点から
好適に用いられる。
【0026】これらの炭素質原料中にはフリーカーボ
ン、未溶解石炭、灰分、触媒等の不純物が含まれている
が、これらの不純物は濾過、遠心分離、あるいは溶剤を
使用する静置沈降分離等の周知の方法で予め除去してお
くことが望ましい。また、前記炭素質材料を、例えば加
熱処理後に特定溶剤で可溶分を抽出する方法、あるいは
水素供与性溶媒、水素ガスの存在下に水添処理する方法
等により予備処理を行っておいてもよい。
【0027】紡糸ピッチである、光学的異方性ピッチの
光学的異方性割合は、通常70%以上、好ましくは90
%以上、さらに好ましくは100%である。光学的異方
性割合が70%より低いと、黒鉛化した後の炭素繊維の
黒鉛結晶性が低く、高い熱伝導率が得られない。また、
メトラー法により求めた軟化点は、通常260℃以上3
40℃以下、好ましくは280℃以上320℃以下、更
に好ましくは290℃以上310℃以下である。軟化点
が260℃より低いと、紡糸後の不融化の際に繊維同士
の融着が生じやすく、開繊性の悪い炭素繊維束となりや
すい。また、340℃より高いと紡糸の際にピッチの熱
分解が生じ、分解ガスによる紡糸ノズル内での気泡発生
により紡糸性が著しく低下する。
【0028】所望の光学的異方性割合、メトラー軟化点
の光学的異方性ピッチを得るために、前述の炭素質原
料、あるいは予備処理を行った炭素質原料を必要に応じ
て、通常350〜500℃、好ましくは380℃〜45
0℃で、2分〜50時間、好ましくは5分〜5時間、窒
素、アルゴン、水蒸気等の不活性ガス雰囲気下、あるい
は吹き込み下に加熱処理を行ってもよい。
【0029】次に、この紡糸ピッチを溶融紡糸しピッチ
繊維を得る。本発明における紡糸においては、前述した
ように、最終的に得られる炭素繊維束の繊度が500g
/km以上となるように、繊維径、本数を決定する必要
がある。得られたピッチ繊維を、一般的な方法により不
融化後、所望の温度で炭化および/または黒鉛化を行っ
た後に、サイジング剤を添着し、本発明の炭素繊維織物
の原料となる炭素繊維を得る。
【0030】不融化処理は通常、空気、オゾン、二酸化
窒素等の酸化性雰囲気下で、または極希に硝酸等を用い
ての酸化性液中で行われるが、最も簡便な方法である、
空気中で行うことができる。具体的には、ピッチ繊維を
酸化性ガス雰囲気中で300〜400℃で加熱すること
により、不融化繊維束を得る。
【0031】更にこの不融化繊維束を窒素、アルゴン等
の不活性ガス雰囲気中で800〜2800℃で炭化、繊
維束鉛化される。この際に張力を付与してもよく、また
付与しなくともよい。サイジング剤は繊維に対して0.
2〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%添着す
る。サイジング剤添着の前に、炭素繊維自身の表面処理
を行ってもよく、また行わなくてもよい。サイジング剤
が0.2%よりも少ないと、製織の際に”毛羽”が発生
し、また、10%よりも多いと後工程の黒鉛化後に繊維
自身が、サイジング剤の炭化物に覆われてしまい、織物
としてのしなやかさが無くなってしまうために好ましく
ない。
【0032】サイジング剤としては、通常用いられる任
意なものが使用でき、具体的にはエポキシ化合物、水溶
性ポリアミド化合物、飽和または不飽和ポリエステル、
酢酸ビニル、水またはアルコール、グリコール単独また
は混合物が上げられる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。なお、例中の炭素繊維の
熱伝導率は、炭素繊維の熱伝導率と電気比抵抗の間の非
常によい相関関係を利用して、電気比抵抗の値から、次
式によって算出した。
【0034】
【数1】K=1272.4/ER−49.4
【0035】ここで、Kは炭素繊維の熱伝導率[W/m
・K]、ERは炭素繊維の電気比抵抗[μΩm]を表
す。
【0036】実施例1 コールタールピッチより、偏光顕微鏡下で観察した光学
的異方性割合が100%で、メトラー法により求めた軟
化点が302℃のメソフェーズピッチを調製した。この
メソフェーズピッチを、合計10000個のノズル数を
有する紡糸口金に導入し、連続紡糸を行った。得られた
ピッチ繊維の繊維径は約12μm、繊維束を構成する繊
維の本数は約10000本であった。
【0037】得られたピッチ繊維を、空気中、段階的に
380℃まで昇温し不融化処理を行った後、最終的にア
ルゴンガス中2500℃まで、連続的に黒鉛化を行い、
エポキシ系のサイジング剤を2%添着した。得られた炭
素繊維束は、繊維径約10μmであり、1420g/k
mの繊度、64ton/mm2の引張弾性率、300k
g/mm2の引張強度、140W/m・Kの熱伝導率を
有していた。。
【0038】次に、この炭素繊維束を用いて、レピア織
機により、縦糸、横糸共に、25mm当たり7本の糸を
クロスに折り込み、FAW=790g/m2の炭素繊維
織物を得た。
【0039】次に得られた炭素繊維織物を黒鉛ルツボに
入れ、アチソン抵抗加熱炉で3000℃で黒鉛化した。
3000℃での滞留時間は1時間であった。得られた炭
素繊維織物のFAWは、794g/m2であった。炭素
繊維織物より抜き出した炭素繊維の熱伝導率を測定した
ところ、600W/m・Kの値を示した。また、引張強
度は360kg/mm2、引張弾性率は92ton/m
2であった。
【0040】比較例1 市販の炭素繊維ダイアリードK13C2Uを入手した。
入手した炭素繊維は繊維の直径が約9μmであり、繊維
束の繊度が270g/km、94ton/mm 2の引張
弾性率、380kg/mm2の引張強度、620W/m
・Kの熱伝導率を有していた。
【0041】次にこの炭素繊維を、実施例1で用いたも
のと全く同じレピア織機により、製織を試みたが、繊維
の折損が頻繁に起きて、製織ができなかった。
【0042】比較例2 実施例1と全く同様にして、1420g/kmの繊度、
64ton/mm2の引張弾性率、300kg/mm2
引張強度を有する炭素繊維束を調製した。この炭素繊維
を黒鉛製のボビンに巻き取り、黒鉛ルツボに入れた後に
アチソン抵抗加熱炉で3000℃で黒鉛化した。300
0℃での滞留時間は1時間であった。
【0043】得られた炭素繊維の熱伝導率は600W/
m・K、引張強度は360kg/mm2、また引張弾性
率は92ton/mm2であった。次にこの炭素繊維束
を、実施例1で用いたものと全く同じレピア織機によ
り、製織を試みたが、繊維の折損が頻繁に起きて、製織
ができななかった。
【0044】実施例2 実施例1で得られた炭素繊維織物1枚にエポキシ樹脂を
含浸した後、成型、硬化させ、切断してから、280m
m長×30mm幅×0.7mm厚の炭素繊維強化プラス
チック製の放熱板を製造した。その端部に35mm長×
30mm幅×10mm厚の、133℃に加熱したアルミ
ニウムブロックを接触させた。アルミニウムブロックの
表面温度が40℃に冷却されるのに要する時間は、7分
であった。
【0045】比較例3 比較例1と同じ炭素繊維ダイアリードK13C2Uを用
いて、FAW=160g/m2の一方向プリプレグを調
製した。このプリプレグを5枚積層した後に、成型、硬
化させ、切断してから、280mm長×30mm幅×
0.7mm厚の炭素繊維強化プラスチック製の放熱板を
製造した。
【0046】その端部に35mm長×30mm幅×10
mm厚の、133℃に加熱したアルミニウムブロックを
接触させた。アルミニウムブロックの表面温度が40℃
に冷却されるのに要する時間は、10分であった。
【0047】比較例4 実施例1と全く同じメソフェーズピッチを、合計200
0個のノズル数を有する紡糸口金に導入し、連続紡糸を
行った。得られたピッチ繊維の繊維径は約9.5μmで
あった。得られたピッチ繊維を、空気中、段階的に38
0℃まで昇温し不融化処理を行った後、最終的にアルゴ
ンガス中2500℃まで、連続的に黒鉛化を行い、エポ
キシ系のサイジング剤を2%添着した。得られた炭素繊
維束は、繊維径約7μmであり、140g/kmの繊
度、62ton/mm2の引張弾性率、360kg/m
2の引張強度を有していた。
【0048】次に、この炭素繊維束を用いて、レピア織
機により、縦糸、横糸共に、25mm当たり7本の糸を
クロスに折り込み、FAW=80g/m2の炭素繊維織
物を得た。次に得られた炭素繊維織物を黒鉛ルツボに入
れ、アチソン抵抗加熱炉で3000℃で黒鉛化した。3
000℃での滞留時間は1時間であった。
【0049】得られた炭素繊維織物のFAWは82g/
2であった。炭素繊維織物より抜き出した炭素繊維の
熱伝導率を測定したところ、600W/m・Kの値を示
した。また、引張強度は380kg/mm2、引張弾性
率は90ton/mm2であった。この炭素繊維織物に
エポキシ樹脂を含浸したものを、10枚積層した後に、
成型、硬化させ、切断してから、280mm長×30m
m幅×0.7mm厚の炭素繊維強化プラスチック製の放
熱板を製造した。
【0050】その端部に35mm長×30mm幅×10
mm厚の、133℃に加熱したアルミニウムブロックを
接触させた。アルミニウムブロックの表面温度が40℃
に冷却されるのに要する時間は、13分であった。
【0051】比較例5 280mm長×30mm幅×0.7mm厚の石綿を主成
分とするスレート板に、35mm長×30mm幅×10
mm厚の、133℃に加熱したアルミニウムブロックを
接触させた。アルミニウムブロックの表面温度が40℃
に冷却されるのに要する時間は、23分であった。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、電子部品用放熱板等の
部品として要求される、高い除熱性能、高い熱伝導率を
満足する炭素繊維強化プラスチック、及びそれを製造す
るための原材料としての炭素繊維織物を提供することが
できる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維軸方向の熱伝導率が400W/m・
    K以上の炭素繊維で構成された炭素繊維織物であって、
    FAW(織物の単位面積当たりの重さ)が400g/m
    2以上であることを特徴とする炭素繊維織物。
  2. 【請求項2】 FAWが500〜2000g/m2であ
    ることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維織物。
  3. 【請求項3】 引張強度が300kg/mm2以上の炭素
    繊維で構成されていることを特徴とする請求項1又は2
    記載の炭素繊維織物。
  4. 【請求項4】 引張弾性率が80ton/mm2以上であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭
    素繊維織物。
  5. 【請求項5】 引張弾性率が80ton/mm2以下、
    繊度(繊維束の単位長さ当たりの重さ)が500g/k
    m以上のピッチ系炭素繊維束を製織し得られた織物を、
    2800℃以上の温度で黒鉛化処理することを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 繊度が700〜5000g/kmのピッ
    チ系炭素繊維束を製織し得られたことを特徴とする請求
    項5記載の炭素繊維織物の製造方法。
  7. 【請求項7】 ピッチ系炭素繊維の繊維径が6〜20μ
    mのピッチ系炭素繊維であることを特徴とする請求項5
    又は6記載の炭素繊維織物の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊
    維織物に樹脂を含浸、成型、硬化させて得られる炭素繊
    維強化プラスチック。
  9. 【請求項9】 請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊
    維織物に樹脂を含浸、成型、硬化させて得られた炭素繊
    維強化プラスチックを主たる材料とする電子部品用放熱
    板。
  10. 【請求項10】 請求項1〜4のいずれかに記載の炭素
    繊維織物に樹脂を含浸、成型、硬化させて得られた炭素
    繊維強化プラスチックを主たる材料とするIC用放熱
    板。
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