JPH11117041A - 歪取り焼鈍処理後に鉄損特性が良好な一方向性電磁鋼板 - Google Patents
歪取り焼鈍処理後に鉄損特性が良好な一方向性電磁鋼板Info
- Publication number
- JPH11117041A JPH11117041A JP9277205A JP27720597A JPH11117041A JP H11117041 A JPH11117041 A JP H11117041A JP 9277205 A JP9277205 A JP 9277205A JP 27720597 A JP27720597 A JP 27720597A JP H11117041 A JPH11117041 A JP H11117041A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel sheet
- iron loss
- relief annealing
- film
- annealing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Soft Magnetic Materials (AREA)
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 鉄損、被膜密着性及びスティッキング性が良
い被膜を有する歪取り焼鈍処理後に鉄損が良好な一方向
性電磁鋼板を提供する。 【解決手段】 磁束密度がＢ８≧１．８５Ｔで、焼鈍処
理後に磁区細分化効果が残存し、鋼板表面の一次被膜で
あるフォルステライトの酸素量が２００〜１０００ppm
であり、また、磁区細分化の直前もしくは直後に０．３
kg／mm2 以上の被膜張力を有する絶縁被膜処理を施す。
い被膜を有する歪取り焼鈍処理後に鉄損が良好な一方向
性電磁鋼板を提供する。 【解決手段】 磁束密度がＢ８≧１．８５Ｔで、焼鈍処
理後に磁区細分化効果が残存し、鋼板表面の一次被膜で
あるフォルステライトの酸素量が２００〜１０００ppm
であり、また、磁区細分化の直前もしくは直後に０．３
kg／mm2 以上の被膜張力を有する絶縁被膜処理を施す。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にトランスなど
の電気機器分野で利用される歪取り焼鈍後に鉄損特性が
良好な一方向性電磁鋼板に関するものである。
の電気機器分野で利用される歪取り焼鈍後に鉄損特性が
良好な一方向性電磁鋼板に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】現在、実用化されている一方向性電磁鋼
板は、鋼板の圧延方向に磁化容易で、主にトランスなど
の電気機器に使われている。この鋼板に局所歪の導入、
あるいは溝の形成による磁区細分化を施すと、鋼板断面
に流れる渦電流が減少し，熱エネルギーの発生が抑えら
れるため鉄損が低減する。これにより電気機器のエネル
ギーロスを減らすことができる。
板は、鋼板の圧延方向に磁化容易で、主にトランスなど
の電気機器に使われている。この鋼板に局所歪の導入、
あるいは溝の形成による磁区細分化を施すと、鋼板断面
に流れる渦電流が減少し，熱エネルギーの発生が抑えら
れるため鉄損が低減する。これにより電気機器のエネル
ギーロスを減らすことができる。
【０００３】上記の磁区細分化効果は、需要家において
巻きトランスとして鋼板が組み上げられた後、約８００
℃の歪取り焼鈍が行なわれる際に、通常の方法では効果
が消失してしまう。歪取り焼鈍で消えない磁区細分化の
方法として、特開昭６０−２１１０１２号公報には冷延
板に突起付ロールで溝を形成して、二次再結晶を制御す
る方法が開示され、また特開昭６１−１１７２１８号公
報には、仕上焼鈍後の鋼板に適正な荷重および間隔で溝
を形成し熱処理することで、微細な結晶粒を周期的に形
成する方法が記載されている。
巻きトランスとして鋼板が組み上げられた後、約８００
℃の歪取り焼鈍が行なわれる際に、通常の方法では効果
が消失してしまう。歪取り焼鈍で消えない磁区細分化の
方法として、特開昭６０−２１１０１２号公報には冷延
板に突起付ロールで溝を形成して、二次再結晶を制御す
る方法が開示され、また特開昭６１−１１７２１８号公
報には、仕上焼鈍後の鋼板に適正な荷重および間隔で溝
を形成し熱処理することで、微細な結晶粒を周期的に形
成する方法が記載されている。
【０００４】ところで通常、一方向性電磁鋼板には表面
にグラス被膜が形成されている。これは脱炭焼鈍で鋼板
表面に形成されるシリカと焼鈍分離剤（ＭｇＯ）が反応
して出来るもので、トランスにしたときの渦電流損を低
減させる効果がある。そして、この効果を増加させ、且
つ加工時のすべり性を向上させるため、グラス被膜の上
にリン酸系の絶縁被膜を塗布・焼付する。
にグラス被膜が形成されている。これは脱炭焼鈍で鋼板
表面に形成されるシリカと焼鈍分離剤（ＭｇＯ）が反応
して出来るもので、トランスにしたときの渦電流損を低
減させる効果がある。そして、この効果を増加させ、且
つ加工時のすべり性を向上させるため、グラス被膜の上
にリン酸系の絶縁被膜を塗布・焼付する。
【０００５】これに対して、トランス製造時の打ち抜き
性を向上させ、加えて表面に凹凸を減少させ磁壁の移動
を滑らかにし、鉄損を低減させる目的でグラス被膜を持
たない方向性電磁鋼板が提案されている。グラス被膜の
形成を抑制する方法として、脱炭焼鈍後に塗布する焼鈍
分離剤に工夫を加える方法がある。特開昭５６−６５９
８３号公報では，水酸化アルミニウムに不純物除去用添
加物２０重量部，抑制物質１０重量部配合した焼鈍分離
剤を鋼板に塗布し，０．５μｍ以下の薄いグラス被膜を
形成する方法が開示されている。また特開昭５９−９６
２７８号公報には，高温焼成し活性を低下させたＭｇＯ
と酸化アルミニウムからなる焼鈍分離剤を用いる方法が
開示されている．これらの製造法によりグラス被膜であ
るフォルステライトの形成を抑制することが出来る。ま
た特開平５−３１１３５３号公報では、グラス被膜がほ
とんどなく、磁区細分化を施した一方向性電磁鋼板が開
示され、その製造方法として、焼鈍分離剤に特定の金属
化合物を添加することで、仕上焼鈍後のフォレステライ
ト量を０．５ｇ／ｍ2 以下とすることが記載されてい
る。そして特開平７−３１２３０８号公報では、さらに
仕上焼鈍後絶縁被膜を塗布する前に酸を用いてフォレス
テライトを除去することで、歪取り焼鈍後に磁区細分化
効果が消滅しない優れた鉄損特性を示した例が開示され
ている。
性を向上させ、加えて表面に凹凸を減少させ磁壁の移動
を滑らかにし、鉄損を低減させる目的でグラス被膜を持
たない方向性電磁鋼板が提案されている。グラス被膜の
形成を抑制する方法として、脱炭焼鈍後に塗布する焼鈍
分離剤に工夫を加える方法がある。特開昭５６−６５９
８３号公報では，水酸化アルミニウムに不純物除去用添
加物２０重量部，抑制物質１０重量部配合した焼鈍分離
剤を鋼板に塗布し，０．５μｍ以下の薄いグラス被膜を
形成する方法が開示されている。また特開昭５９−９６
２７８号公報には，高温焼成し活性を低下させたＭｇＯ
と酸化アルミニウムからなる焼鈍分離剤を用いる方法が
開示されている．これらの製造法によりグラス被膜であ
るフォルステライトの形成を抑制することが出来る。ま
た特開平５−３１１３５３号公報では、グラス被膜がほ
とんどなく、磁区細分化を施した一方向性電磁鋼板が開
示され、その製造方法として、焼鈍分離剤に特定の金属
化合物を添加することで、仕上焼鈍後のフォレステライ
ト量を０．５ｇ／ｍ2 以下とすることが記載されてい
る。そして特開平７−３１２３０８号公報では、さらに
仕上焼鈍後絶縁被膜を塗布する前に酸を用いてフォレス
テライトを除去することで、歪取り焼鈍後に磁区細分化
効果が消滅しない優れた鉄損特性を示した例が開示され
ている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなグラス被
膜をほとんど持たない方向性電磁鋼板においては、被膜
密着性、スティッキング性が従来のグラス材よりも劣
り、また被膜張力による鉄損改善効果が低いため、一方
向性電磁鋼板の中でも最高級品の特徴である歪取り焼鈍
後に優れた低鉄損特性を持つまでには至っていなかっ
た。
膜をほとんど持たない方向性電磁鋼板においては、被膜
密着性、スティッキング性が従来のグラス材よりも劣
り、また被膜張力による鉄損改善効果が低いため、一方
向性電磁鋼板の中でも最高級品の特徴である歪取り焼鈍
後に優れた低鉄損特性を持つまでには至っていなかっ
た。
【０００７】従来の知見では鋼板に加わる張力が大きい
ほど磁区細分化効果が現れるため、被膜は厚い程良いと
されていた。しかしながら、磁区細分化と被膜厚さ、お
よび張力の関係は必ずしも明確にされてはいなかった。
本発明では、被膜厚、張力、磁区細分化の関係を明確に
し、密着性、被膜張力、スティッキング性は従来のまま
に保持し、歪取り焼鈍後において優れた低鉄損特性を持
つ一方向性電磁鋼板を提供することにある。
ほど磁区細分化効果が現れるため、被膜は厚い程良いと
されていた。しかしながら、磁区細分化と被膜厚さ、お
よび張力の関係は必ずしも明確にされてはいなかった。
本発明では、被膜厚、張力、磁区細分化の関係を明確に
し、密着性、被膜張力、スティッキング性は従来のまま
に保持し、歪取り焼鈍後において優れた低鉄損特性を持
つ一方向性電磁鋼板を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、歪取り焼鈍後に磁区細分化効果が残存し、鋼板表
面の一次被膜であるフォルステライトの酸素量を最適な
条件に合わせることを特徴とする歪取り焼鈍後に鉄損が
良好な一方向性電磁鋼板である。本発明の具体的な手段
は、以下の通りである。 （１）磁束密度がＢ8 ≧１．８５Ｔで、焼鈍処理後に磁
区細分化効果が残存し、鋼板表面の一次被膜であるフォ
ルステライトの酸素量が２００〜１０００ｐｐｍである
ことを特徴とする焼鈍処理後に鉄損が良好な一方向性電
磁鋼板。 （２）前記一方向性電磁鋼板が０．３ｋｇ／ｍｍ2 以上
の被膜張力をもつ絶縁被膜を有することを特徴とする
（１）に記載の歪取り焼鈍後に鉄損が良好な一方向性電
磁鋼板。
ろは、歪取り焼鈍後に磁区細分化効果が残存し、鋼板表
面の一次被膜であるフォルステライトの酸素量を最適な
条件に合わせることを特徴とする歪取り焼鈍後に鉄損が
良好な一方向性電磁鋼板である。本発明の具体的な手段
は、以下の通りである。 （１）磁束密度がＢ8 ≧１．８５Ｔで、焼鈍処理後に磁
区細分化効果が残存し、鋼板表面の一次被膜であるフォ
ルステライトの酸素量が２００〜１０００ｐｐｍである
ことを特徴とする焼鈍処理後に鉄損が良好な一方向性電
磁鋼板。 （２）前記一方向性電磁鋼板が０．３ｋｇ／ｍｍ2 以上
の被膜張力をもつ絶縁被膜を有することを特徴とする
（１）に記載の歪取り焼鈍後に鉄損が良好な一方向性電
磁鋼板。
【０００９】
【発明の実施の形態】以下に実験結果を基に本発明を詳
細に説明する。本発明者らは、鋼板表面の一次被膜であ
るグラス被膜の量と歪取り焼鈍後に磁区細分化効果が劣
化しない歯形ロールによる溝形成後の鉄損得性を種々検
討した結果、このグラス被膜量を変えることで磁区細分
化後の鉄損が変化しうることを見出した。
細に説明する。本発明者らは、鋼板表面の一次被膜であ
るグラス被膜の量と歪取り焼鈍後に磁区細分化効果が劣
化しない歯形ロールによる溝形成後の鉄損得性を種々検
討した結果、このグラス被膜量を変えることで磁区細分
化後の鉄損が変化しうることを見出した。
【００１０】実験ではグラス被膜の厚さと磁区細分化後
の鉄損の関係を見るため、常法により製造された一方向
性電磁鋼板の絶縁被膜およびグラス被膜を酸洗により除
去し、再度、被膜量を調整しながらグラス被膜を鋼板表
面に形成した。始めに、グラス被膜形成のための表面酸
化膜を鋼板面に形成した。酸化膜形成時、焼鈍露点を４
０〜７０℃の範囲で調整し、焼鈍雰囲気中の酸化度を制
御してグラス被膜の厚さを変えた。次いで焼鈍分離剤と
して主にＭｇＯからなるパウダーを塗布し、約１２００
℃の仕上焼鈍を行った。仕上焼鈍後、グラス被膜が形成
された鋼板へ歯形ロールにより溝をつくり、その後８０
０℃で焼鈍した。この工程により、微細結晶粒を周期的
に導入し磁区細分化を行った。最後に８００℃で歪取り
焼鈍を行った。これらのサンプルは機械的に張力を印加
して鉄損を評価し、また被膜密着性を観察した。
の鉄損の関係を見るため、常法により製造された一方向
性電磁鋼板の絶縁被膜およびグラス被膜を酸洗により除
去し、再度、被膜量を調整しながらグラス被膜を鋼板表
面に形成した。始めに、グラス被膜形成のための表面酸
化膜を鋼板面に形成した。酸化膜形成時、焼鈍露点を４
０〜７０℃の範囲で調整し、焼鈍雰囲気中の酸化度を制
御してグラス被膜の厚さを変えた。次いで焼鈍分離剤と
して主にＭｇＯからなるパウダーを塗布し、約１２００
℃の仕上焼鈍を行った。仕上焼鈍後、グラス被膜が形成
された鋼板へ歯形ロールにより溝をつくり、その後８０
０℃で焼鈍した。この工程により、微細結晶粒を周期的
に導入し磁区細分化を行った。最後に８００℃で歪取り
焼鈍を行った。これらのサンプルは機械的に張力を印加
して鉄損を評価し、また被膜密着性を観察した。
【００１１】図１に実験の結果として、仕上焼鈍後に磁
区細分化処理を行わずに歪取焼鈍を施したものと、磁区
細分化を行ったものとの、グラス被膜酸素量と磁気特性
の関係を示す。また表1 に被膜密着性を示す。鉄損につ
いては、グラス被膜酸素量の少ないものほど、磁区細分
化を施したものと、行わなかったものとの磁気特性の
差、すなわち低減代が大きくなり、かつ到達値も低かっ
た。この結果は従来の考え方とは一致しない。すなわ
ち、従来では高張力により磁区細分化が促進され、鉄損
が低減すると考えグラス被膜を厚めにしていたが、図１
からグラス被膜を薄くすることで鉄損がより低減するこ
とが分かる。
区細分化処理を行わずに歪取焼鈍を施したものと、磁区
細分化を行ったものとの、グラス被膜酸素量と磁気特性
の関係を示す。また表1 に被膜密着性を示す。鉄損につ
いては、グラス被膜酸素量の少ないものほど、磁区細分
化を施したものと、行わなかったものとの磁気特性の
差、すなわち低減代が大きくなり、かつ到達値も低かっ
た。この結果は従来の考え方とは一致しない。すなわ
ち、従来では高張力により磁区細分化が促進され、鉄損
が低減すると考えグラス被膜を厚めにしていたが、図１
からグラス被膜を薄くすることで鉄損がより低減するこ
とが分かる。
【００１２】一方、被膜密着性については酸素量が２０
０ｐｐｍ未満のもので劣化した。本発明により、低鉄損
が得られるメカニズムは必ずしも定かではないが、以下
のように考えている。グラス被膜が厚い場合、張力効果
により鉄損が低減するが、一方、磁束の通る鉄の部分の
断面積率が相対的に減少するため、通過磁束密度は実質
的に増加し、その結果鉄損は劣化する。磁区細分化材で
は後者の劣下の影響が大きいので、グラス被膜が厚い領
域において鉄損劣化が著しくなると考えられる。
０ｐｐｍ未満のもので劣化した。本発明により、低鉄損
が得られるメカニズムは必ずしも定かではないが、以下
のように考えている。グラス被膜が厚い場合、張力効果
により鉄損が低減するが、一方、磁束の通る鉄の部分の
断面積率が相対的に減少するため、通過磁束密度は実質
的に増加し、その結果鉄損は劣化する。磁区細分化材で
は後者の劣下の影響が大きいので、グラス被膜が厚い領
域において鉄損劣化が著しくなると考えられる。
【００１３】上記知見により、グラス被膜から得られる
密着性、被膜張力、スティッキング性は従来のままに保
持し、この諸特性を劣化させず、グラス被膜を薄くする
ことにより、磁区細分化後の鉄損を低減できることが明
らかになった。以下、本願発明の数値限定の理由を説明
する。８００Ａ／ｍの磁束密度（Ｂ8 ）が１．８５Ｔ以
上である理由は、一般に磁束密度が高い材料の方が磁区
細分化による鉄損低減効果が大きいが、１．８５Ｔ以下
の材料では磁区細分化後の到達鉄損が良好でないためで
ある。より好ましくは１．９０Ｔ以上のものがよい。
密着性、被膜張力、スティッキング性は従来のままに保
持し、この諸特性を劣化させず、グラス被膜を薄くする
ことにより、磁区細分化後の鉄損を低減できることが明
らかになった。以下、本願発明の数値限定の理由を説明
する。８００Ａ／ｍの磁束密度（Ｂ8 ）が１．８５Ｔ以
上である理由は、一般に磁束密度が高い材料の方が磁区
細分化による鉄損低減効果が大きいが、１．８５Ｔ以下
の材料では磁区細分化後の到達鉄損が良好でないためで
ある。より好ましくは１．９０Ｔ以上のものがよい。
【００１４】グラス被膜の酸素量の上限は、図１に示し
たの実験結果に基づき１０００ｐｐｍと決定した。一
方、下限については密着性保持、スティッキング性保
持、張力効果を得るため、２００ｐｐｍとした。この点
で、従来のグラス被膜を有しない材料と比べ優れてい
る。なお、グラス被膜の量を調整する方法としては特に
限定しないが、脱炭焼鈍工程において焼鈍雰囲気の酸化
度を調整する方法、または脱炭焼鈍後に軽酸洗もしくは
機械的な方法により表面の酸化層を除去する方法、最終
仕上焼鈍後に酸洗もしくは機械的手段によりグラス被膜
を除去する方法のいずれでもよい。以上のようにして生
成されたグラス被膜に、歪取り焼鈍によって消失しない
ような磁区細分化を施す。磁区細分化の手段としては公
知の方法、例えば穴を開けて溝を形成する方法，微細な
結晶粒を周期的に形成する方法などを用いることが出来
る。その後の絶縁被膜については公知の方法で塗布、焼
き付けて形成するが、絶縁被膜処理は、前述の磁区細分
化の直前もしくは直後のいずれでもよい。このときの絶
縁被膜特性としては、絶縁被膜を施すことにより０．３
ｋｇ／ｍｍ2 以上の被膜張力を有することであり、これ
により鉄損はさらに改善される。
たの実験結果に基づき１０００ｐｐｍと決定した。一
方、下限については密着性保持、スティッキング性保
持、張力効果を得るため、２００ｐｐｍとした。この点
で、従来のグラス被膜を有しない材料と比べ優れてい
る。なお、グラス被膜の量を調整する方法としては特に
限定しないが、脱炭焼鈍工程において焼鈍雰囲気の酸化
度を調整する方法、または脱炭焼鈍後に軽酸洗もしくは
機械的な方法により表面の酸化層を除去する方法、最終
仕上焼鈍後に酸洗もしくは機械的手段によりグラス被膜
を除去する方法のいずれでもよい。以上のようにして生
成されたグラス被膜に、歪取り焼鈍によって消失しない
ような磁区細分化を施す。磁区細分化の手段としては公
知の方法、例えば穴を開けて溝を形成する方法，微細な
結晶粒を周期的に形成する方法などを用いることが出来
る。その後の絶縁被膜については公知の方法で塗布、焼
き付けて形成するが、絶縁被膜処理は、前述の磁区細分
化の直前もしくは直後のいずれでもよい。このときの絶
縁被膜特性としては、絶縁被膜を施すことにより０．３
ｋｇ／ｍｍ2 以上の被膜張力を有することであり、これ
により鉄損はさらに改善される。
【００１５】
【表１】
【００１６】
【実施例】以下に実施例を基に本発明を説明する。Ｃ：
０．０５４％、Ｓｉ：３．２５％、Ｍｎ：０．１４％、
Ｓ：０．００７％、酸可溶性Ａｌ：０．０３０％、Ｎ：
０．００７５％、Ｃｒ：０．１０％、Ｓｎ：０．０５
％、残部Ｆｅと不可避的不純物からなる鋼塊を１１５０
℃に加熱した後、板厚１．６ｍｍに熱延した。この熱延
板を１１００℃で焼鈍した後酸洗し、０．２３ｍｍ厚さ
に冷延した。この後、均熱温度８３０℃、水素２５％、
窒素７５％、加湿ガス雰囲気中で脱炭焼鈍を行った。こ
のとき加湿露点を４０〜７０℃の範囲で調整して酸化量
を変更した。次に、焼鈍分離剤としてＭｇＯを鋼板面に
塗布し、水素１００％中で１２００℃、２０時間の仕上
焼鈍を行った。
０．０５４％、Ｓｉ：３．２５％、Ｍｎ：０．１４％、
Ｓ：０．００７％、酸可溶性Ａｌ：０．０３０％、Ｎ：
０．００７５％、Ｃｒ：０．１０％、Ｓｎ：０．０５
％、残部Ｆｅと不可避的不純物からなる鋼塊を１１５０
℃に加熱した後、板厚１．６ｍｍに熱延した。この熱延
板を１１００℃で焼鈍した後酸洗し、０．２３ｍｍ厚さ
に冷延した。この後、均熱温度８３０℃、水素２５％、
窒素７５％、加湿ガス雰囲気中で脱炭焼鈍を行った。こ
のとき加湿露点を４０〜７０℃の範囲で調整して酸化量
を変更した。次に、焼鈍分離剤としてＭｇＯを鋼板面に
塗布し、水素１００％中で１２００℃、２０時間の仕上
焼鈍を行った。
【００１７】グラス被膜が形成された鋼板に歯形ロール
により溝をつくり、その後８００℃で焼鈍し、微細結晶
粒を導入した。その後更に歪取り焼鈍を行ったあと、鋼
板にリン酸塩とコロイダルシリカを主成分とする絶縁被
膜を塗布した。製品の磁気特性および被膜密着性の結果
を表２に示す．酸素量が１４０ｐｐｍのものでは密着性
が悪くなり製品として不適である。
により溝をつくり、その後８００℃で焼鈍し、微細結晶
粒を導入した。その後更に歪取り焼鈍を行ったあと、鋼
板にリン酸塩とコロイダルシリカを主成分とする絶縁被
膜を塗布した。製品の磁気特性および被膜密着性の結果
を表２に示す．酸素量が１４０ｐｐｍのものでは密着性
が悪くなり製品として不適である。
【００１８】
【表２】
【００１９】この結果より、グラス被膜の酸素量が本発
明の範囲において歪取り焼鈍後，被膜密着性が良く、か
つ低鉄損の一方向性電磁鋼板を得ることができる。
明の範囲において歪取り焼鈍後，被膜密着性が良く、か
つ低鉄損の一方向性電磁鋼板を得ることができる。
【００２０】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に記載され
たグラス被膜厚さの制御の効果を用いることにより、一
方向性電磁鋼板の歪取り焼鈍処理後の鉄損特性を、従来
の磁区細分化によるものよりさらに向上させることがで
き、トランスのエネルギー損失をさらに低減させること
が出来るので、その工業的意義は極めて大である。
たグラス被膜厚さの制御の効果を用いることにより、一
方向性電磁鋼板の歪取り焼鈍処理後の鉄損特性を、従来
の磁区細分化によるものよりさらに向上させることがで
き、トランスのエネルギー損失をさらに低減させること
が出来るので、その工業的意義は極めて大である。
【図１】グラス被膜酸素量と本発明による実験の対象と
した板厚１１ｍｉｌ（０．２６ｍｍ）の一方向性電磁鋼
板の鉄損の関係を示した図である。
した板厚１１ｍｉｌ（０．２６ｍｍ）の一方向性電磁鋼
板の鉄損の関係を示した図である。
Claims (2)
- 【請求項１】 磁束密度がＢ8 ≧１．８５Ｔで、歪取り
焼鈍後に磁区細分化効果が残存する一方向性電磁鋼板に
おいて、鋼板表面の一次被膜であるフォルステライトの
酸素量が２００〜１０００ｐｐｍであることを特徴とす
る歪取り焼鈍後に鉄損が良好な一方向性電磁鋼板。 - 【請求項２】 前記一方向性電磁鋼板が０．３ｋｇ／ｍ
ｍ2 以上の被膜張力をもつ絶縁被膜を有することを特徴
とする請求項１に記載の歪取り焼鈍後に鉄損が良好な一
方向性電磁鋼板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9277205A JPH11117041A (ja) | 1997-10-09 | 1997-10-09 | 歪取り焼鈍処理後に鉄損特性が良好な一方向性電磁鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9277205A JPH11117041A (ja) | 1997-10-09 | 1997-10-09 | 歪取り焼鈍処理後に鉄損特性が良好な一方向性電磁鋼板 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11117041A true JPH11117041A (ja) | 1999-04-27 |
Family
ID=17580281
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9277205A Pending JPH11117041A (ja) | 1997-10-09 | 1997-10-09 | 歪取り焼鈍処理後に鉄損特性が良好な一方向性電磁鋼板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH11117041A (ja) |
-
1997
- 1997-10-09 JP JP9277205A patent/JPH11117041A/ja active Pending
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| US5512110A (en) | Process for production of grain oriented electrical steel sheet having excellent magnetic properties | |
| RU2771318C1 (ru) | Способ производства листа электротехнической стали с ориентированной зеренной структурой | |
| JP2003096520A (ja) | 皮膜特性と高磁場鉄損に優れる高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| US7399369B2 (en) | Ultra-high magnetic flux density grain-oriented electrical steel sheet excellent in iron loss at a high magnetic flux density and film properties and method for producing the same | |
| JP2953978B2 (ja) | 絶縁被膜特性の優れるグラス被膜を有しない厚手方向性電磁鋼板及びその製造方法 | |
| JPH04173923A (ja) | 磁気特性、皮膜特性ともに優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| RU2771130C1 (ru) | Способ производства листа электротехнической стали с ориентированной зеренной структурой | |
| RU2768094C1 (ru) | Способ производства листа электротехнической стали с ориентированной зеренной структурой | |
| JP3743707B2 (ja) | 超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JP3562433B2 (ja) | 磁気特性と被膜特性に優れた方向性けい素鋼板 | |
| JP2663229B2 (ja) | 均一なグラス皮膜を有し、磁気特性の著しく優れた方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JP2599069B2 (ja) | グラス被膜特性が優れ、磁気特性の良好な高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JPH1136018A (ja) | グラス皮膜と磁気特性の極めて優れる方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JP2008001982A (ja) | 磁束密度の高い方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JPH09279247A (ja) | 磁束密度の高い一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| WO2020149333A1 (ja) | 一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JPH11117041A (ja) | 歪取り焼鈍処理後に鉄損特性が良好な一方向性電磁鋼板 | |
| JP2574607B2 (ja) | 歪取り焼鈍による鉄損劣化がなく被膜特性に優れる方向性けい素鋼板の製造方法 | |
| JPH11241120A (ja) | 均質なフォルステライト質被膜を有する方向性けい素鋼板の製造方法 | |
| RU2768905C1 (ru) | Способ производства листа электротехнической стали с ориентированной зеренной структурой | |
| JPH0741861A (ja) | 方向性けい素鋼板の製造方法 | |
| JP2011208196A (ja) | 著しく鉄損が低い方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JP4427225B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JPH04350124A (ja) | 薄板厚の一方向性珪素鋼板の製造方法 | |
| JPH01119622A (ja) | 磁気特性およびグラス皮膜特性に優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20041209 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050809 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20051206 |