JPH11106868A - 熱間加工用工具鋼 - Google Patents

熱間加工用工具鋼

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JPH11106868A
JPH11106868A JP20912398A JP20912398A JPH11106868A JP H11106868 A JPH11106868 A JP H11106868A JP 20912398 A JP20912398 A JP 20912398A JP 20912398 A JP20912398 A JP 20912398A JP H11106868 A JPH11106868 A JP H11106868A
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民也 岸田
Mitsuru Suzuki
充 鈴木
Toshio Okuno
利夫 奥野
Atsusuke Nakao
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 靭性、延性のレベルが高く、かつT方向とL
方向の特性の差が少ない等方性を備えた熱間加工用工具
鋼を提供する。 【解決手段】 重量比でC:0.10〜0.70%、S
i:0.10〜2.00%、Mn≦2.00%、Cr≦
7.00%、WおよびMoの単独または複合で(1/2
W+Mo):0.20〜12.00%、V≦3.00
%、さらにS:0.005%未満、Oが30ppm未満
であり、残部が実質的にFeからなる組成を有し、鋼中
に存在する非金属介在物の清浄度がJIS dA60×
400≦0.010%、d(B+C)60×400≦
0.020%の熱間加工用工具鋼である。更にNi≦
4.00%、Co≦6.50%、N≦0.20%の一種
以上を含有してもよく、好ましくは、ソーキング処理を
施してなる熱間加工用工具鋼である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間鍛造用型、ア
ルミダイカスト型、アルミ押出ダイスなど各種熱間金型
用途に使用して、過酷な熱的、機械的応力の作用に対し
て、割れを生ぜず、長寿命を得ることができ、また割れ
が生じにくいため、硬さを上げて使用することができ、
この結果として優れた耐摩耗寿命を得ることを可能にす
る靭性、延性のレベルが高く、かつ方向性の少ない等方
性を備えた熱間加工用工具鋼鋼材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の型の形状複雑化、大型化、成形効
率をあげるための型面からの冷却の過酷化、鍛造精度を
あげるための型のシャープコーナー化は型の早期大割れ
の問題を提起し、また鍛造精度の高度化は型面の僅かな
ダレ、摩耗の段階で製品寸法、形状が不良となり、金型
が早期に寿命に達する事例が増加してきた。この場合、
早期へたり、摩耗を防止するため硬さを上げることが検
討されたが早期大割れをまねく結果となっている。
【0003】従来の熱間加工用工具鋼鋼材の場合、素材
の熱間加工時のファイバーに沿ってクラックが発生した
り進展、破壊する場合の靭性値即ち鍛伸方向と直角方向
の靭性値(T方向靭性値)が、ファイバーに対し直角方
向にクラックが進展、破壊する場合の靭性値即ち鍛伸方
向の靭性値(L方向靭性値)に対して低く、(例えばT
方向靭性値/L方向靭性値=0.6など)従ってファイ
バー方向に沿って破壊が進行しやすく、素材のT方向の
靭性、延性改善が寿命向上のための最重要課題であっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の鋼材の場合、鍛
伸方向に平行な方向の靭性値(L方向靭性値)に対し、
直角方向のサンプルによる靭、延性(T方向靭性値)の
レベルは上記のようにたとえば平行方向サンプルの場合
の60%と明らかに低いのが通例であり、金型の耐割れ
寿命は、この靭、延性の低い直角方向の靭、延性のレベ
ルによって左右される場合が多かった。その差の原因と
しては、鍛伸方向に長く伸びた非金属介在物や密集した
介在物の部分に剥離状破壊を生じやすく、このためファ
イバー方向に沿ってクラックが発生、進展しやすくなる
こと、また鍛伸方向に伸びた縞状偏析の成分偏析濃度が
高く、また縞幅が広く、ファイバー方向に強い方向性を
持って配列している場合、縞状偏析に沿ってクラックが
直線的に進みやすく、これが直角方向の靭性を低下させ
ている主因であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明ではとくに鍛伸方
向にのびやすい硫化物系介在物の量と大きさを極限まで
減じ、また珪酸塩系、酸化物系介在物とも極少量に減ら
した極清浄鋼を効率よく得、さらに適切な拡散ソーキン
グによるミクロ偏析の低減、素延係数の適切な管理をし
た熱間加工による非金属介在物の形状のコントロール等
を組み合わせることにより、前述した形態による破壊の
傾向を減じ、鍛伸方向および直角方向の靭性レベルをと
もに高め、かつ直角方向の靭性値を平行方向のそれと同
等ないしこれに準ずるレベル(等方性)まで高めようと
するものであり、また溶解、造塊方法については真空再
溶解や消耗電極式再溶解などのコストアップや能率低下
をまねく特殊な方法によらず電気炉精錬−炉外精錬等の
大量生産方式の中で解決を行なったものである。
【0006】即ち本発明の第1発明は、重量比でC:
0.10〜0.70%、Si:0.10〜2.00%、
Mn≦2.00%、Cr≦7.00%、WおよびMoの
単独または複合で(1/2W+Mo):0.20〜1
2.00%、V≦3.00%、さらにS:0.005%
未満、Oが30ppm未満であり、残部が実質的にFe
からなる組成を有し、鋼中に存在する非金属介在物の清
浄度がJIS dA60×400≦0.010%、d
(B+C)60×400≦0.020%であることを特
徴とする熱間加工用工具鋼である。上記第1発明の鋼
は、鍛伸方向の靭性値(L方向靭性値)とその直角方向
の靭性値(T方向靭性値)の比であるT方向靭性値/L
方向靭性値が0.70を越える等方性であるのがよい。
また、上記第1発明の鋼の範囲は、Sが0.003%未
満、非金属介在物の清浄度がJIS dA60×400
≦0.005%、T方向靭性値/L方向靭性値が0.8
5以上の等方性とするのがよい。
【0007】さらに第2発明は、重量比でC:0.10
〜0.70%、Si:0.10〜2.00%、Mn≦
2.00%、Cr≦7.00%、WおよびMoの単独ま
たは複合で(1/2W+Mo):0.20〜12.00
%、V≦3.00%を含有し、更にNi≦4.00%、
Co≦6.50%、N≦0.20%の一種以上、さらに
S:0.005%未満、Oが30ppm未満であり、残
部が実質的にFeからなる組成を有し、鋼中に存在する
非金属介在物の清浄度がJIS dA60×400≦
0.010%、d(B+C)60×400≦0.020
%であることを特徴とする熱間加工用工具鋼である。上
記第2発明の鋼は、鍛伸方向の靭性値(L方向靭性値)
とその直角方向の靭性値(T方向靭性値)の比であるT
方向靭性値/L方向靭性値が0.70を越える等方性で
あるのがよい。また、上記第2発明の範囲は、Sが0.
003%未満、非金属介在物の清浄度がJIS dA6
0×400≦0.005%、T方向靭性値/L方向靭性
値が0.85以上の等方性とするのがよい。
【0008】上記第1発明の鋼および第2発明の鋼の組
成に、特殊炭化物形成元素Nb、Tiなどを単独あるい
は複合で0.50%以下、金属間化合物形成による析出
強化付与元素Cu、B、Al、Beなどを単独あるいは
複合で3.00%以下等各種添加元素を含有さることが
できる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の熱間加工用工具鋼として
必要な各種元素の役割を次に述べる。Cは焼入れ加熱時
に基地に固溶して必要な焼入れ硬さを与え、また焼もど
し時特殊炭化物形成元素との間に特殊炭化物を形成、析
出し、焼もどしにおける軟化抵抗と高温強度を与え、ま
た残留炭化物を形成して高温での耐摩耗性を付与し、焼
入れ加熱時の結晶粒の粗大化を防ぐ作用を有し、不可欠
の重要な元素である。多すぎると炭化物量が過度に増加
し、熱間工具としての必要な靭性が保持できず、また高
温強度の低下もまねくので0.70%以下とし、低すぎ
ると上記添加の効果が得られないので0.10%以上と
する。
【0010】Siは製造上脱酸元素としての使用が一般
に必要であり、また用途に応じ耐酸化性や500〜60
0℃以下での焼もどし軟化抵抗を高め、またA変態点
を上げることのために目的、用途により添加量は調整さ
れる。多すぎると靭性低下をまねき、また熱電導性を過
度に低下させるので0.10〜2.00%とする。Mn
は基地に固溶して焼入れ性を高める効果が大きい。Mn
は上記添加効果を得るために目的、用途により添加量を
調整する。多すぎると焼なまし硬さを過度に高くし、被
切削性を低下させ、またA変態点を過度に低くするの
で2.00%以下とする。
【0011】Crは工具として必要とされる焼入れ性を
与えるための最も重要な元素である。また、耐酸化性や
変態点の上昇、また残留炭化物を形成して焼入れ加
熱時の結晶粒の粗大化を抑制し、また耐摩耗性を高め、
焼もどし時特殊炭化物を析出して昇温時の軟化抵抗を改
善し、高温強度を高めるなどの効果を与えるために添加
される。多すぎるとCr炭化物を過度に形成しかえって
高温強度の低下をもたらすので7.00%以下とする。
なお、無添加の場合もあるが、上記添加の効果を得るた
めに一般には0.70%以上含有させるとよい。
【0012】WおよびMoは特殊炭化物を形成するもの
で、残留炭化物形成により焼入れ加熱時の組織粗大化を
防止し、また焼もどし時微細な特殊炭化物を析出し、焼
もどし軟化抵抗と高温強度を高めるための最も重要な添
加元素である。またA変態点を高める効果を有する。
Wはとくに高温強度、耐摩耗性を高める効果が大きく、
一方Moは靭性の点でWの場合より有利である。多すぎ
ると粗大な炭化物を形成し靭性の過度の低下をまねくの
でWおよびMoの単独または複合(1/2W+Mo)で
12.00%以下とし、低すぎると上記添加の効果が不
足するので0.20%以上とする。
【0013】Vは強力な炭化物形成元素であり、残留炭
化物を形成して結晶粒微細化の効果が大きく、また高温
での耐摩耗性向上を与える。また焼もどし時、微細な炭
化物を基地中に析出し、W、Moとの共同添加により6
00〜650℃以上の高温域での強度を高める効果が大
きく、またA変態点を高める効果を与える。Vは上記
効果を得るために添加されるが、多すぎると粗大な炭化
物を形成し、靭性の低下をまねくので3.00%以下と
する。なお無添加の場合もあるが、上記添加の効果を得
るために一般的には0.05%以上含有させるとよい。
【0014】Niは基地に固溶して靭性を高め、また焼
入性を高めるために目的、用途により添加される。多す
ぎると焼なまし硬さを過度に高くし、被切削性を低下さ
せ、またA変態点の過度の低下をまねくので4.00
%以下とする。Coは基地に固溶して高温強度を高める
作用を有する。また焼入加熱時のオーステナイト中への
炭化物の固溶限を高め、焼もどし時の特殊炭化物の析出
量を増加させ、また昇温時の析出炭化物の凝集抵抗を高
め、この面からも高温強度特性を改善する効果を与え
る。また工具の使用時の昇温により表面に緻密な密着性
の酸化被膜を形成させ、高温での耐摩耗性、耐焼付性を
高める効果を与える。Coは上記目的のために目的、用
途により添加されるが、多すぎると靭性を低下させるの
で6.50%以下とする。
【0015】Nは基地や炭化物中に固溶して結晶粒を微
細化し、靭性を高めるために、またオーステナイトフォ
ーマーとして低Cの場合にも焼入加熱時のフェライト残
存を防ぎ靭性にすぐれた合金組成の組合せを可能とする
ものである。Nは上記効果を得るために目的、用途によ
り添加されるが、Crなど熱間工具鋼の合金組成の範囲
内で添加可能な限界量が存在するため0.20%以下と
する。
【0016】Nb、Tiは強力な炭化物形成元素で、結
晶粒の微細化や焼もどし時の凝集抵抗のとくに大きい微
細炭化物の析出により650℃以上の高温域における軟
化抵抗や高温強度を高める効果がある。上記効果を得る
ため目的、用途により添加される。多すぎると粗大な固
溶しにくい炭化物を形成し靭性の低下をまねくので、複
合あるいは単独添加で0.5%以下とする。Cu、B、
Al、Beは金属間化合物を形成し析出効果をもたら
し、昇温時の軟化抵抗、高温強度を改善する効果をもた
らす。多すぎると靭性を低下させるので、単独あるいは
複合で3.00%以下とする。
【0017】
【実施例】表1にJISのSKD61相当組成の本発明
鋼、比較鋼および従来鋼の組成と非金属介在物の清浄度
を示す。図1にSKD61組成の実体金型用鋼材におけ
るS量とJIS法による非金属介在物清浄度、鍛伸方向
(L方向)とその直角方向(T方向)の平面歪み破壊靭
性値KICとの関係についての実験例を示す。この場合
の鍛練成形比は15(素延係数は6.5)である。S量
0.014から0.006%までの減少に対し、硫化物
系介在物の量、大きさは漸減し、それと共にKICは漸
増するが、S量が0.005%未満を境にとくにS量が
0.003%未満でT方向のKIC値は急増し、L、T
方向による差が急減することが認められる。
【0018】S量の減少によりT方向TPによる靭性値
が増大し、L方向のそれに近付く方向に向うことは従来
から指摘されていたが、本発明者らの詳細な研究究明の
結果、熱間加工用工具鋼においてS量が0.005%未
満とくに0.003%付近にその効果が著しく急増する
特殊点があり、これ以下のS量で急激にT方向の靭性値
が増加することが新たに見出され、各種熱間金型として
予想をはるかに越える優れた特性が得られたものであ
る。
【0019】
【表1】
【0020】図2に熱処理(焼入れ、焼もどし)硬さH
RC45のSKD61相当鋼材でのS:0.002%の
本発明鋼およびS:0.014%の従来鋼について素延
係数0〜20と、L、T方向のKIC値の関係を示す。
この場合鍛伸に移る前に据込みを入れており、トータル
鍛練成形比は0〜50となっている。本結果ではS:
0.014%の従来鋼は素延係数2以上でT方向試料の
靭性値の増加がみられ、素延係数4〜6付近で靭性値は
最大となるが、L方向の場合のKIC値の約6割(T方
向靭性値/L方向靭性値の比が約0.6)の値にしかな
らず、素延係数10前後以上では減少の傾向を示す。
【0021】これに対し、S:0.002%の本発明鋼
のもののT方向試料の靭性値は素延係数2付近で従来材
の場合よりも大きく増大し、4〜10付近で最大とり、
その値はS:0.014%の従来鋼のT方向は勿論のこ
とL方向よりも明らかに高く、本発明鋼のL方向のKI
C値の9割以上(T方向靭性値/L方向靭性値の比が
0.85以上)のKIC値を示す。かつ素延係数の増加
にともなうT方向試料のKIC値の減少が従来材と比較
しても生じにくく、素延係数20前後でもT方向TPの
KIC値の低下は僅少である。すなわち鍛練成形比とし
ては、1.5以上(ただし素延係数1〜20)、望まし
くは4以上(ただし素延係数4〜10)である。
【0022】図3に熱処理(焼入れ、焼もどし)硬さH
RC45でS:0.002%のSKD61組成の本発明
鋼材につき素延係数5.0、鍛練成形比12.0の場合
の鋼塊ソーキングおよび鍛練成形比2.3(素延係数
1)の段階で鋼片ソーキング処理を施した場合の鍛造仕
上後のT方向のシャルピー衝撃値の向上効果を示す。こ
の場合のソーキング温度は1200℃以上である。ソー
キング処理により凝固時のミクロ偏析を低減させること
により、T方向シャルピー衝撃値/L方向シャルピー衝
撃値の比はソーキングなしの場合0.88であるのに対
し、鋼塊ソーキングを施したものは0.90、鋼片ソー
キングを施したものは0.92でソーキングを施すこと
によりシャルピー衝撃値が向上していることが認められ
た。
【0023】本発明鋼を得るためには電気炉中にてあら
かじめ酸化精錬→還元精錬まで進めて溶鋼中の〔O〕量
を100ppm以下としたのち炉外精錬により脱硫、脱
酸を効率的に進めることが有効である。この際スラグ−
溶鋼反応による脱硫を効率よく進ませるため電磁攪拌方
式の炉外精錬により脱硫を短期間にS:0.005%未
満の極低レベルまで進ませること、この際同時に下方か
らのAr吹込みにより溶鋼中の〔O〕量を30ppm未
満まで一層低減させ、脱硫効果を一層加速させることな
どがより有効である。前述の表1に示すように、本発明
鋼はSが0.005%未満、Oが30ppm未満であ
り、望ましくはSが0.003%未満、Oが30ppm
未満であり、従来鋼に比して極めて少ない。また鋼中に
存在する非金属介在物の清浄度としては、JIS dA
60×400≦0.010%、d(B+C)60×40
0≦0.020%であり、望ましくはdA60×400
≦0.005%で従来鋼に比して硫化物系介在物や酸化
物系介在物の量および大きさが極めて減じられている。
【0024】図4に熱処理(焼入れ、焼もどし)硬さH
RC44でS:0.002%のSKD61組成の本発明
鋼材およびS:0.014%のSKD61組成の従来鋼
材のT方向試験片による衝撃遷移特性を示す。試験片は
JIS Vノッチシャルピー試験片で20〜300℃で
試験を行ない、破断の吸収エネルギーの変化を調べた。
素材の鍛練成形比は12.5、素延係数は5.0であ
る。S:0.014%の従来鋼材の場合50%脆性破面
遷移温度は50〜100℃で、試験温度に対する吸収エ
ネルギーの増加がみられるが、100℃を越える温度域
ではその増加の度合いが小さい。これに対し、本発明鋼
材の場合50%脆性破面遷移温度は同様に50〜100
℃であるが、試験温度の上昇に対する吸収エネルギーの
増加度は明らかに大きい。このために本発明鋼材を用い
た金型の場合、型予熱による衝撃吸収エネルギーを大き
くすることができ、割れ低減効果が従来鋼材の場合に対
し、際立って大きいことが認められる。
【0025】表2に、0.52%C-0.21%Si-0.85%Mn-1.
65%Ni-1.03%Cr-0.40%Mo-0.16%V-balFeのSK
T4、0.40%C-0.22%Si-0.34%Mn-4.36%Cr-4.35%
W-0.35%Mo-1.98%V-4.30%Co-balFeのSKD8、
0.19%C-0.25%Si-0.60%Mn-3.32%Ni-3.42%Mo-ba
lFeの3Ni−3Mo系、0.31%C-0.33%Si-0.65%M
n-10.25%Cr-1.58%Mo-0.97%V-balFeの10Cr
−Mo−V−N系の数種の熱間工具鋼について、本発明
鋼材と従来鋼材のL方向およびT方向の平面歪み破壊靭
性値並びにT方向靭性値とL方向靭性値の比を示す。従
来鋼材の場合T方向の靭性が低く、T方向靭性値/L方
向靭性値の比が0.70未満であるのに対し、本発明鋼
材のT方向の靭性が際立ってすぐれており、かつT方向
靭性値/L方向靭性値の比が0.70をはるかに越える
0.85以上の優れた等方性を備えていることがわか
る。
【0026】
【表2】
【0027】また表3に本発明鋼材および従来材を熱間
プレス鍛造型に使用した場合の型寿命の比較例を示す。
【0028】
【表3】
【0029】本発明鋼材の適用によりクラックの発生が
遅く、進みにくくなり、かつ大割れが生じないので型寿
命が従来材の2倍に向上し、安定化がはかられ実用性能
が大幅に改善されることが明らかとなった。またSKD
61組成の本発明鋼材を用いたアルミダイカスト金型お
よびSKT4組成の本発明鋼材を用いた熱間ハンマー金
型においても、従来材を用いた場合の2〜3倍の長寿命
が得られている。
【0030】
【発明の効果】以上示したように、本発明の熱間加工用
工具鋼は、靭性、延性のレベルが高く、かつT方向とL
方向の特性の差が少ない等方性を備えているために、適
用した各種熱間金型において、早期大割れを生じず、ク
ラックの発生が遅く、進みにくいので型の長寿命並びに
安定化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】S量と硫化物介在物面積率、鍛伸方向(L方
向)とその直角方向(T方向)の平面歪み破壊靭性値K
ICとの関係を示す図である。
【図2】素延係数とシャルピー衝撃値との関係を示す図
である。
【図3】シャルピー衝撃値に及ぼすソーキングの影響を
示す図である。
【図4】T方向における衝撃遷移特性を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中尾 敦輔 島根県安来市安来町2107番地2 日立金属 株式会社安来工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比でC:0.10〜0.70%、S
    i:0.10〜2.00%、Mn≦2.00%、Cr≦
    7.00%、WおよびMoの単独または複合で(1/2
    W+Mo):0.20〜12.00%、V≦3.00
    %、さらにS:0.005%未満、Oが30ppm未満
    であり、残部が実質的にFeからなる組成を有し、鋼中
    に存在する非金属介在物の清浄度がJIS dA60×
    400≦0.010%、d(B+C)60×400≦
    0.020%であることを特徴とする熱間加工用工具
    鋼。
  2. 【請求項2】 重量比でC:0.10〜0.70%、S
    i:0.10〜2.00%、Mn≦2.00%、Cr≦
    7.00%、WおよびMoの単独または複合で(1/2
    W+Mo):0.20〜12.00%、V≦3.00%
    を含有し、更にNi≦4.00%、Co≦6.50%、
    N≦0.20%の一種以上、さらにS:0.005%未
    満、Oが30ppm未満であり、残部が実質的にFeか
    らなる組成を有し、鋼中に存在する非金属介在物の清浄
    度がJIS dA60×400≦0.010%、d(B
    +C)60×400≦0.020%であることを特徴と
    する熱間加工用工具鋼。
  3. 【請求項3】 ソーキング処理を施してなることを特徴
    とする請求項1ないし2に記載の熱間加工用工具鋼。
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