JPH11106658A - 光学的に透明な水素シルセスキオキサン樹脂組成物、その製造方法及び酸化ケイ素膜 - Google Patents
光学的に透明な水素シルセスキオキサン樹脂組成物、その製造方法及び酸化ケイ素膜Info
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Abstract
光学素子形成に必要とされる数μm以上の厚さの膜を形
成できる水素シルセスキオキサン樹脂組成物及び酸化ケ
イ素膜を提供する。 【解決手段】 重量平均分子量が5,000〜200,
000である高分子量部分と300〜10,000の範
囲である低分子量部分を持ち、それぞれの部分に対応し
て、分子量分布曲線における複数のピークを有する水素
シルセスキオキサン100重量部に対して平均粒径10
0nm以下のコロイダルシリカを1〜100重量部混合さ
せてなる光学的に透明な水素シルセスキオキサン樹脂組
成物。この組成物の膜を酸素含有雰囲気中、200℃以
上で熱処理して酸化ケイ素膜を作る。
Description
装置、光学素子等に用いられる厚いコーティングが可能
で且つ絶縁性、光学的透明性に優れた水素シルセスキオ
キサン樹脂組成物及びこれを硬化させて生成する酸化ケ
イ素膜に関する。
(351nm),KrF:(254nm),ArF:(19
3nm)を始めとする紫外領域に発振するエキシマレーザ
が普及し、半導体製造の光源として使用されて、可視光
領域のみならず紫外光領域にも良好な光透過性を有する
材料が求められている。従来、無機の光学ガラス、ポリ
メチルメタクリレート、ポリカーボネート、非晶性ポリ
オレフィン等種々の有機ガラスといわれる高分子におい
ても紫外領域に良好な光透過特性を有する透明な光学材
料は少ない。有機高分子では短波長域での透明性を発現
することは本質的に不可能である。石英を始めとする酸
化ケイ素が最も好ましい材料であるといわれている。酸
化ケイ素を与える方法として、ゾルゲル法といわれる方
法がある。しかしこの方法は成形体の成形に長時間を要
し且つ成形時にクラックの発生等困難が生じ易い欠点が
指摘されている。紫外光の短波長レーザが透過しうる光
学素子材料、エキシマレーザ露光する際のマスク材料等
成型性の良い光学材料が望まれている。
絶縁材料として、有機溶媒に可溶であるポリシロキサン
を半導体装置のために開発することが行なわれている。
このうち、一般的にはRSiO3/2 の構造式で表される
シルセスキオキサンは、3官能性有機ケイ素化合物を加
水分解し縮合させて製造することができ、その製造条件
によってランダム構造、梯子型構造、カゴ型構造等の組
み合わせから成る複雑な構造の樹脂であることが知られ
ている。3官能性のケイ素化合物を加水分解縮合させる
と、多くの場合、架橋構造をとることは周知であり、前
述の構造、或いは分子量を調節することにより有機溶媒
に可溶であるシルセスキオキサンを製造できることが開
示されている。(例えば、R.H.Baney 他、Chemical Rev
iews, 1995,95,1409−1430)。シルセ
スキオキサンはケイ素上の置換基がフェニル、メチル基
であるものが一般的であるが、この置換基が水素原子で
ある水素シルセスキオキサンは分子中に有機基を含まな
いため、酸化処理によって酸化ケイ素を形成させるため
の前駆体としては最も好適であるといわれており、有機
溶媒に可溶である水素シルセスキオキサンの製造方法は
米国特許No. 3615272に開示されている。この発
明によれば、適当な有機溶媒に溶解しコーティングし、
適当な条件で熱処理を施して1μm前後の厚さの膜は十
分に形成することができる樹脂であることが述べられて
いる。昨今の半導体装置の微細化、多様化、配線の多層
化に伴い、アスペクト比が大きいパターンに対する酸化
ケイ素絶縁膜が要求されている。シルセスキオキサンに
燐或いはホウ素等を含有させて、燐ケイ酸ガラス、或い
はホウ素ケイ酸ガラスにすることにより、3μm程度の
フィルム形成が可能であるといわれているが、通常のシ
ルセスキオキサンよりも高温での熱処理を要し、燐、又
はホウ素が加熱中に拡散する等半導体の性質上好ましく
ない。
は、水素シルセスキオキサン膜が透明であることは必ず
しも必要では無いが、光学用樹脂として用いるときに
は、必須の要件である。さらに、光学素子として使用す
るには透明性に加えて、少なくとも数ミクロンの厚さが
求められる。
体製造手段として普及し始め、紫外光を十分に透過させ
得る酸化ケイ素の光学素子を容易に形成できる光学材料
は必須となっている。本発明の主目的は、紫外光領域に
良好な光透過特性を有し、且つ光学素子形成に必要とさ
れる数ミクロン以上の厚さを実現できる光学素子形成可
能な水素シルセスキオキサン樹脂組成物を提供すること
にある。また、光学的に透明な酸化ケイ素膜を形成しう
る水素シルセスキオキサン樹脂組成物を提供することも
他の目的とするものである。
量が5,000以上200,000以下の範囲である高
分子量部分と300以上10,000以下の範囲である
低分子量部分の複数の分子量分布を有する水素シルセス
キオキサン100重量部に対して、平均粒径が100nm
以下であるコロイダルシリカを1重量部以上100重量
部以下を含む光学的に透明な水素シルセスキオキサン樹
脂組成物である。ここに「複数の分子量分布を有する」
とは分子量分布曲線において複数のピークを有すること
を意味する。
造方法は米国特許No. 3615272に開示されている
方法に従って製造することができる。ここでいうところ
の分子量はトルエンに溶解し室温でGPC測定し、ポリ
スチレン換算分子量で定義されるものである。分子量範
囲については溶媒分別等公知の方法で分割して使用する
こともできる。分子量が高すぎる場合、樹脂の安定性が
悪く沈殿を生じる傾向が強く、又分子量が低すぎると強
度が低下することが知られている。本発明に供しうる水
素シルセスキオキサンは、分子量分布曲線において重量
平均分子量5,000以上200,000以下の範囲で
ある高分子量部分と300以上10,000以下の範囲
である低分子量部分の複数の分子量分布を有するものが
好ましい。このように、低分子量領域と高分子量領域の
それぞれにピークがある分子量分布を有する高分子材料
は、高分子量成分で材料本来の強度を発現させ低分子量
成分で材料の加工性或いは樹脂に柔軟性を付与するとい
う目的の下に行なわれる。つまり、本発明でいうところ
の高分子量部分にのみピークを有する高分子はおしなべ
て、剛性は分子量によってそこそこ向上するものの、柔
軟性に欠け応力が加わると容易に破壊し、且つ、成形性
が悪いという性質が強い材料となる。本発明での水素シ
ルセスキオキサンは、高分子量成分と低分子量成分の双
方を有する樹脂構造にすることにより、樹脂強度を改善
すると共に、コロイダルシリカとの混和性も考慮しつつ
樹脂に低粘度成分を導入し、光学的透明性を発揮させ且
つ硬化にともなう応力を緩和させることでより厚い膜の
形成を可能とさせるものである。分子量分布が大きく異
なる高分子が架橋した場合、分子量分布が狭い樹脂に比
べ架橋点間距離の分布が広くなり応力緩和し易くなるた
め破壊しにくい材料となる。
は、本発明のコロイダルシリカとの組成物においても、
混合する時には低分子量と高分子量両成分から構成され
る方が、低粘度の低分子量成分が可塑剤として作用して
コロイダルシリカとの密着性を増し、且つ、溶媒除去し
て加熱し架橋したときに、これらによって発生する内部
応力を緩和させる機構として働く。本発明において、重
量平均分子量が5,000以上200,000以下の範
囲である高分子量部分は、200,000を超えると溶
媒への溶解性が減少し、光学的に透明な樹脂膜の形成が
困難であるばかりか低分子量成分の可塑剤としての効果
も減少させる。低分子量成分の量は高分子量成分の量を
超えないことが望ましい。高分子量成分と低分子量成分
の比は、重量比で、前者を100としたとき100:7
0〜100:25であるのが好ましい。一般的には高分
子量成分が高分子の剛性を支配し低分子量成分が柔軟
性、加工性に寄与するため、それぞれ単独で作った硬化
物は硬くて脆い或いは軟らか過ぎるという欠点を生じ
る。
は、上述の範囲に分子量分布を有するものであれば、特
にその製造方法は限定されるものではない。
ダルシリカとしては、前記水素シルセスキオキサン樹脂
組成物及びこれらから得られる酸化ケイ素の光学的透明
性を良好にするために、水素シルセスキオキサンとの密
度差によって生じる光散乱の強度を小さくし、均一に分
散することが必須であるから粒子径としては算出する測
定方法にもよるが100nm以下、好ましくは1nm〜10
0nmである。この粒子径はBET法や電子顕微鏡による
方法など通常用いられる方法で測定される。コロイダル
シリカ中には多かれ少なかれケイ素に結合した水酸基が
含まれている。そのようなシラノールの量は、本発明の
効果を損なわない限り、格別制限されるものではない
が、多すぎるとコロイダルシリカの安定性が悪くなるた
めケイ素原子当たり20モル%以下であるのが好まし
い。安定性向上のため有機基で封止されていても差し支
えない。このようなコロイダルシリカとして、上述の要
請を満たすものであれば特に限定されるものではなく、
煙霧質シリカ等の微細シリカに表面処理を施したものを
後述する溶媒に分散させたものであっても、或いは後述
する溶媒中で公知の方法でケイ酸或いはケイ酸エステル
を加水分解させて製造したものであっても差し支えなく
使用できる。
キサンコロイダルシリカ樹脂組成物は、200nmから8
00nmの波長範囲の全体に亘って、分光透過率が90%
以上である樹脂膜を基板上に形成させることができる。
本発明でいうところの分光透過率はJIS B7107
に記載されている方法に準じて求めることができる。
サン樹脂組成物を製造するには、予め、有機溶媒中にコ
ロイダルシリカを分散させ、別に水素シルセスキオキサ
ンを溶媒中に溶解させておき、両溶液を混合するのが最
も好ましい。コロイダルシリカは溶媒中の固形分濃度と
しては10〜50重量%の範囲であるのが好適である。
また、溶媒中の水素シルセスキオキサンの濃度は10〜
60重量%、より望ましくは10〜50重量%であるの
が適当である。コロイダルシリカ、水素シルセスキオキ
サン共に高濃度の分散液或いは溶液では、個々の溶液の
安定性もさることながら、混合したときにコロイダルシ
リカは凝集沈殿を生じる傾向が強くなるためである。本
発明の樹脂組成物の製造に際して用いることのできる溶
媒としては、水素シルセスキオキサンを溶解する溶媒で
あることが必須であり、そのような溶媒としては、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロ
ロメタン、クロロホルム等の含ハロゲン炭化水素、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の脂肪族ケ
トン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル、長鎖炭化
水素、例えばシクロヘキサン、ヘキサン、オクタン、デ
カン等が挙げられ、コロイダルシリカの分散媒としての
溶媒も上記と同様であるのが好ましい。また、両者の溶
媒が同一であるほうが溶媒相互の相溶性の違いによって
水素シルセスキオキサン或いはコロイダルシリカが凝集
し沈殿することがなく好ましい。水素シルセスキオキサ
ンを溶解する溶媒は、水を含まないほうが好ましく、含
水量は分散液、溶解液の安定性のために数%以下である
のが望ましい。両者を混合する直前或いは混合直後の濾
過或いは遠心分離等の操作は、製膜した水素シルセスキ
オキサン組成物の光学的透明性を向上させると一般的に
はいえる。
0℃未満であることが必須である。200℃以上の高温
では水素シルセスキオキサンのケイ素に結合した水素が
酸化され、水素シルセスキオキサンの自己縮合が生じる
ためか流動性が損なわれ、クラックが発生しやすくな
る。
カの混合比は、水素シルセスキオキサン100重量部に
対してコロイダルシリカ1〜100重量部であるのが好
ましい。1重量部未満では本発明の光学的に透明な水素
シルセスキオキサン樹脂組成物の強度向上は期待でき
ず、100重量部を超えると混合時にコロイダルシリカ
或いは水素シルセスキオキサンの凝集沈殿を生じて光学
的透明性が損なわれるばかりか、内部にクラックが発生
し光散乱を生じ、一層透明性は低下する。
て、シラノールの脱水縮合触媒を用いることが知られて
いる。ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレー
ト、ナフテン酸第1錫等の錫有機錫カルボン酸塩、テト
ラアルキルチタネート、オルガノシロキシチタネート等
が一般にはポリシロキサン樹脂の5〜0.1重量%程度
の濃度となるように添加して使用される。本発明でも、
水素シルセスキオキサンの架橋は、分子中のシラノール
の脱水によるものであるから、その使用は一向に差し支
えない。一般に知られている範囲の濃度の上記化合物を
触媒として使用することは膜の強度を向上させクラック
の発生を低減させるうえには効果がある。特に、錫化合
物は100℃以上200℃未満の温度で分解する化合物
を選択することができ、硬化触媒として使用する添加量
の範囲では、この触媒の光学特性に対する影響は無視で
きる。本発明の「光学的に透明な水素シルセスキオキサ
ン樹脂組成物」のコーティング溶液においては、固形分
の濃度は、コーティング方法に適した濃度が望まれる。
通常は、固形分濃度は好適には50重量%以下が、固形
分の凝集防止などの面からみても推奨される。
リカを含む溶液の製膜は、この溶液を基板上にスピンコ
ート、キャスティング、バーコート、ディップコート等
公知の方法でおこなうことができ、次いでこれを熱処理
して溶媒を蒸発させると共にシラノールの脱水縮合を行
なって、概ね、10μm程度までの厚さの上述の光学特
性を有するフィルムの作製が可能である。フィルムの厚
さは、水素シルセスキオキサン組成物の濃度、コーティ
ング方法等によって一般の樹脂同様に調整することがで
きる。基板上から剥離して使用する場合は、コーティン
グフィルムを熱処理した後、アルコール等の溶媒中に浸
漬して剥離するのが適当である。
シルセスキオキサン樹脂組成物は、V. Belotら (Chemis
try of Matters, American Chemical Soceity 3, 127,
91,)が記述している如く、酸素雰囲気下で200℃以上
で加熱するとケイ素上の水素原子が酸化され、最終的に
酸化ケイ素膜となる。この膜の厚さは概ね10μmまで
のものを得ることができる。本発明の光学的に透明な水
素シルセスキオキサン樹脂組成物も水素シルセスキオキ
サン単独の場合と同様の熱処理によって酸化ケイ素膜と
することができる。本発明によって提供される樹脂組成
物は、450℃に加熱して酸化ケイ素化する場合、少な
くとも5μm程度の厚さの200nm〜800nmの波長範
囲で分光透過率がこの波長範囲の全体で90%以上の酸
化ケイ素膜を形成することができる。加えて、表面硬度
は9H以上となることから、機械的強度の優れた酸化ケ
イ素膜を形成することのできる樹脂であることが見出さ
れた。
オキサン樹脂組成物は、紫外線領域から可視光領域に至
る広い波長範囲で良好な光学的透明性を有する光学材料
として使用することができ、エキシマレーザに使用する
ことのできる数少ない光学材料である。また、従来、水
素シルセスキオキサン樹脂の問題点であった厚膜形成の
困難を解決し、さらに層間絶縁膜として低誘電率化して
約3程度にする1つの方法として提案されているコロイ
ダルシリカの添加は、本発明に開示されているコロイダ
ルシリカを選択することにより容易に達成される。ま
た、本発明の樹脂組成物は機械的強度に優れ且つ優れた
光学特性の酸化ケイ素膜を提供することができ、また、
微細化が進んだ半導体装置では低誘電率の絶縁膜が強く
求められ、例えば、内部にボイド構造を有する酸化珪素
が次世代絶縁膜として提案されているが、本発明の樹脂
及び方法を適用することによりこの提案の要求する性質
を持った絶縁膜を形成することが可能であろう。
化トリエトキシシランを混合し、これを氷水で冷却しな
がら攪拌し、水素化トリエトキシシランの3グラム当量
倍の水を滴下した。滴下終了後、室温で攪拌した後沈殿
物を濾別して溶媒を除去し、真空中で乾燥した。この方
法で複数のピークを有する分子量分布を有する4種類の
水素シルセスキオキサンA,B,C,Dを作り、これら
をトルエンを溶媒としてGPC測定によりスチレン換算
分子量を求めた。それらの分子量分布曲線、及び複数の
ピークを有さない分子量分布を示す水素シルセスキオキ
サンEの分子量分布曲線を図1に示す。また、これらの
水素シルセスキオキサンの重量平均分子量等の値を表1
に示す。
クを示した保持時間の値を示す。このうち保持時間の値
が小さい方が高分子量側を表し、値が大きい方が低分子
量側を表す。表1における試料A〜Dの「高分子量部分
のMw」と「低分子量部分のMw」の値はこれらのピー
クに対応するものである。上記Eのグラフにおいては、
単一のピークと表1の試料EのMw(=13,000)
が対応する。
セスキオキサンAをモレキュラーシーブで脱水したメチ
ルイソブチルケトンに、樹脂濃度が30重量%に成るよ
うに溶解した。メチルイソブチルケトンに分散したコロ
イダルシリカ(30重量%)(日産化学(株)製、商品
名:MIBK−ST、平均粒径10nm〜20nm)を水素
シルセスキオキサンと混合し、水素シルセスキオキサン
とコロイダルシリカの固形分の重量比100:50の樹
脂組成物溶液を調製した。この溶液中の水素シルセスキ
オキサン樹脂組成物濃度は30重量%であった。ブレー
ドコーティングを行ない、130℃で2時間加熱して溶
媒を除去して、水素シルセスキオキサン樹脂組成物から
なる厚さ5μmのコーティング膜を石英上に形成した。
日立分光光度計U−3210型を用い、石英をレファレ
ンスとして分光透過率を測定した。その結果を図2に示
す。波長200nmでは92%、400nmでは98%の透
過率を有していた。可視光領域には全くの吸収を示さず
98%の透過率であった。また、このようにして形成さ
れた膜の鉛筆硬度は4Hであった。また、クラックは生
じなかった。
用いた以外は、実施例1と同様に調製し、樹脂組成物の
固形分濃度を50重量%とし、10μmの厚さの膜を形
成し透過率を測定した。200nmでは92%、400nm
では98%の透過率を有していた。可視光領域には全く
の吸収を示さず98%の透過率であった。この場合の膜
の鉛筆硬度も4Hであった。また、クラックは生じなか
った。
セスキオキサンCを用いたほかは実施例1と同様に試料
を調製しシリコーンウェーハを基板として製膜した。シ
リコーンウェーハとの密着性も良好であった。レファレ
ンスをシリコーンウェーハとした以外は実施例1と同様
に分光透過率を測定し、同じく鉛筆硬度を測定した。波
長200nmでは92%、400nmでは98%の透過率を
有していた。可視光領域には全くの吸収を示さず98%
の透過率であった。また、このようにして形成された膜
の鉛筆硬度は4Hであった。また、クラックは生じなか
った。
セスキオキサンDを用いた外は実施例1と同様に試料調
製を行い、石英ガラス上に製膜した。レファレンスを石
英ガラスとした以外は実施例1と同様に分光透過率を測
定し、同じく鉛筆硬度を測定した。波長200nmでは9
2%、400nmでは98%の透過率を有していた。可視
光領域には全くの吸収を示さず98%の透過率であっ
た。また、このようにして形成された膜の鉛筆硬度は4
Hであった。また、クラックは生じなかった。
キサンとコロイダルシリカの混合比(重量比)を10
0:10にしたところ2μmの厚さの膜は実施例1と同
様の光透過率であった。また、クラックは生じなかっ
た。
フル炉で150℃で2時間加熱しその後200℃で2時
間加熱した後4時間かけて350℃に昇温し、この温度
で1時間加熱した。その後6時間かけて徐冷した。膜厚
変化は認められず、これを実施例1と同様に分光透過率
を測定したところ、図3に示す吸収を示した。波長20
0nmでの透過率は96%であり、透過率が向上した外の
変化は認められなかった。この試料の鉛筆硬度を測定し
たところ9Hであった。
モレキュラシーブで脱水したメチルイソブチルケトン
に、樹脂濃度が30重量%に成るように溶解した。この
溶液とメチルイソブチルケトンに分散したコロイダルシ
リカ(30重量%)(日産化学(株)製、商品名:MI
BK−ST、平均粒径10nm〜20nm)を用いて水素シ
ルセスキオキサンとコロイダルシリカの混合比(固形分
の重量比)が100:30である水素シルセスキオキサ
ン樹脂組成物溶液を調整した。この液をブレードコーテ
ィングで10μmの厚さのコーティングフィルムを石英
上に作成し、乾燥させたところ、クラックが生じた。又
これをワイヤーコーティングで2μmのコーティング膜
を作成したがこれもクラックが生じた。前記水素シルセ
スキオキサンと前記コロイダルシリカが重量比100:
50でも同様であった。
セスキオキサンA〜Eの分子量分布曲線を示すグラフ。
組成物の膜の分光透過率曲線を示すグラフ。
曲線を示すグラフ。
Claims (7)
- 【請求項1】 重量平均分子量が5,000以上20
0,000以下の範囲である高分子量部分と300以上
10,000以下の範囲である低分子量部分の複数の分
子量分布を有する水素シルセスキオキサン100重量
部、及び平均粒径が100nm以下であるコロイダルシリ
カを1重量部以上100重量部以下を含む光学的に透明
な水素シルセスキオキサン樹脂組成物。 - 【請求項2】 200nm以上800nm以下の波長範囲で
特定の吸収帯を有さず且つ、分光透過率が前記波長範囲
内の全体に亘って90%以上である請求項1に記載の光
学的に透明な水素シルセスキオキサン樹脂組成物。 - 【請求項3】 有機溶媒中に、この溶媒と請求項1又は
2に記載の水素シルセスキオキサン樹脂組成物との合計
量を基準として50重量%以下の前記水素シルセスキオ
キサン樹脂組成物を含むことを特徴とする光学的に透明
な水素シルセスキオキサン樹脂組成物のコーティング溶
液。 - 【請求項4】 沸点が200℃未満である有機溶媒中に
均一に分散されたコロイダルシリカと、沸点が200℃
未満である水を含まない有機溶媒中に水素シルセスキオ
キサンを溶解させたものとの両液を混合することを含む
請求項1又は2に記載の光学的に透明な水素シルセスキ
オキサン樹脂組成物の製造方法。 - 【請求項5】 沸点が200℃未満の溶媒に対して、こ
の溶媒と請求項1又は2に記載の水素シルセスキオキサ
ン樹脂組成物との合計量を基準として50重量%以下の
水素シルセスキオキサン樹脂組成物を溶解・分散させた
光学的に透明な水素シルセスキオキサン樹脂組成物のコ
ーティング溶液を基板上に塗布し、200℃未満の温度
で熱処理し、その後酸素を含む雰囲気下にて200℃以
上の温度で熱処理して生成する200nm〜800nmの波
長範囲で特定の光吸収帯を有さず且つ分光透過率がこの
波長範囲の全体に亘って90%以上である酸化ケイ素
膜。 - 【請求項6】 基板上に請求項1又は2記載の組成物の
熱硬化された光学的に透明な厚さ1μm以上の水素シル
セスキオキサン樹脂組成物の膜を形成してなる積層体。 - 【請求項7】 基板上に厚さ1μm以上の請求項5に記
載の酸化ケイ素膜の形成されてなる積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25884997A JPH11106658A (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | 光学的に透明な水素シルセスキオキサン樹脂組成物、その製造方法及び酸化ケイ素膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25884997A JPH11106658A (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | 光学的に透明な水素シルセスキオキサン樹脂組成物、その製造方法及び酸化ケイ素膜 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11106658A true JPH11106658A (ja) | 1999-04-20 |
Family
ID=17325897
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25884997A Pending JPH11106658A (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | 光学的に透明な水素シルセスキオキサン樹脂組成物、その製造方法及び酸化ケイ素膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11106658A (ja) |
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1997
- 1997-09-24 JP JP25884997A patent/JPH11106658A/ja active Pending
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