JPH11106397A - 組換えヒト甲状腺刺激ホルモンレセプターの可溶化方法、並びにそれを用いたヒト甲状腺刺激ホルモンレセプターに対する自己抗体の測定方法 - Google Patents

組換えヒト甲状腺刺激ホルモンレセプターの可溶化方法、並びにそれを用いたヒト甲状腺刺激ホルモンレセプターに対する自己抗体の測定方法

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JPH11106397A
JPH11106397A JP9270017A JP27001797A JPH11106397A JP H11106397 A JPH11106397 A JP H11106397A JP 9270017 A JP9270017 A JP 9270017A JP 27001797 A JP27001797 A JP 27001797A JP H11106397 A JPH11106397 A JP H11106397A
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stimulating hormone
hormone receptor
thyroid stimulating
human thyroid
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JP9270017A
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Hideaki Fujimura
英昭 藤村
Takao Matsuba
隆雄 松葉
Kiyoshi Yasukawa
清 保川
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Eiken Chemical Co Ltd
Tosoh Corp
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Eiken Chemical Co Ltd
Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SP56細胞で得られた組換えヒトTSHR
の新規な可溶化方法及びそれを用いた抗ヒトTSHR自
己抗体の測定方法を提供すること。 【解決手段】 非イオン系界面活性剤を溶解剤として用
い、遺伝子組換えヒトTSHRを容易に可溶化して、例
えば、TBII法に容易に応用可能とする。 【効果】 グレーブス病などの甲状腺障害の診断、治療
経過の観察などに有用なヒトTSHRによる抗ヒトTS
HR自己抗体の検出への遺伝子組換えヒトTSHRの効
率良い利用が可能となり、特に、遺伝子組換えヒトTS
HRを効果的に可溶化したことでTBII正常値付近の
低濃度域で遺伝子組換えヒトTSHRを用いた測定が可
能となった。また、遺伝子組換えヒトTSHRを用いる
ので、製品間での品質のバラツキのない測定が行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、組換えヒト甲状腺
刺激ホルモンレセプター、その誘導体またはその変異体
の可溶化方法、それを用いたヒト甲状腺刺激ホルモンレ
セプターに対する自己抗体の測定方法及びヒト甲状腺刺
激ホルモンレセプター自己抗体の測定試薬に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ヒト甲状腺刺激ホルモンレセプター(Th
yroid Stimulating Hormone Receptor;以下TSHRと
する)は、甲状腺細胞膜上に存在する甲状腺刺激ホルモ
ン(TSH)の受容体であり、脳下垂体から分泌される
TSHが甲状腺の細胞膜にあるTSHRに結合すると、
甲状腺は代謝機能の調節ホルモンであるT3およびT4
分泌する。TSHRは、分子量87000の7回膜貫通
型レセプターで、細胞外ドメインの分子量は約4500
0である。
【0003】グレーブス病(バセドウ氏病)は甲状腺機
能亢進症であり、その原因として患者血清中に甲状腺刺
激物質が存在することがあげられる。これまでの研究
で、甲状腺成分に対する自己抗体が出現し、これが甲状
腺ホルモンの生成、分泌を引き起こし、最終的には甲状
腺組織崩壊に至ることが明らかになった。
【0004】グレーブス病に代表される甲状腺自己免疫
疾患診断用の抗原としては、甲状腺ぺルオキシダーゼ
(TPO)、サイログロブリン(Tg)、TSHR等が
あり、これらに対する自己抗体をマーカーとした診断が
行われているが、なかでも抗TSHR自己抗体が、疾患
に伴う甲状腺機能の異常を最も強く反映することが知ら
れており、TSHRを抗原として検出し得る抗TSHR
自己抗体のマーカーとしての重要性が注目されている。
【0005】現在のところ、抗TSHR自己抗体の測定
法として、スミスらによって開発された方法が知られて
いる(Methods in Enzymology,74,405〜420,1981
及びEndocr.Rev., 9, 106-120, 1988)。この方法はT
BII測定法(ThyrotropinBinding Inhibition Immuno
globurin )とよばれ、TBII測定キットとして試薬
キットが市販されている(商品名:TRAb「コスミッ
ク」II、株式会社コスミック コーポレーション製)。
【0006】この方法は、TSHとTSHRの反応を利
用したラジオレセプターアッセイ法に基づいており、可
溶化ブタ甲状腺細胞膜画分TSHRと125I標識ウシT
SHと被検血清を加えて反応させ、TSHRと125I標
識TSHの結合反応物をポリエチレングリコール(PE
G)で沈殿させ、その放射能量(cpm)を測定することよ
りなる。
【0007】被検血清中に抗TSHR自己抗体が存在す
ると、この結合反応が阻害され、沈殿物中の放射能量が
低下する。この放射能量の低下の度合いを125ITSH
のTSHRへの結合阻害率(TBII%)と呼び、次の
式により算出される。尚、このTBII値が抗TSHR
自己抗体の値を反映すると言われている。
【0008】
【数1】 (NSBカウント:非特異的結合におけるカウント) ヒトTSHRのクローニングおよびCos−7を用いた
組換えヒトTSHRの製法については、特表平4−50
6752号公報に開示されている。チャイニーズハムス
ター卵母細胞(CHO細胞)で発現したヒトTSHRに
ついては特表平5−504683号公報に記載されてい
る。組換えヒトTSHRを発現するミエローマ細胞株S
P56、およびこの細胞株からの細胞膜画分を用いるT
SHR自己抗体の測定法については特開平8−2287
69号公報に開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これらの組
換えヒトTSHRは、単に細胞膜を破砕しただけの状態
であるため、水に対する溶解性が不良であり、スミスら
の方法によるTBII測定に用いると、測定試薬中に十
分量の組換えTSHRを溶解状態で含有させることが困
難となる。このため組換えTSHRを用いた測定系で
は、添加できるTSHR量が限られるため、ヒトTSH
R自己抗体の測定は測定の正確度/精密度に問題を生じ
ることがあった。
【0010】本発明はこのような現状に鑑み、新規な組
換えヒトTSHRの可溶化方法を提供し、さらにそれを
用いた抗ヒトTSHR自己抗体の測定方法を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明者らは鋭意研究を行った結果、非イオン系界
面活性剤を可溶化剤として用いると、遺伝子組換えヒト
TSHRが容易に可溶化することを見いだし、本発明に
到達した。
【0012】すなわち、本発明の遺伝子組換えヒト甲状
腺刺激ホルモンレセプターの可溶化方法は、ヒト甲状腺
刺激ホルモンレセプター、その誘導体またはその変異体
をコードする遺伝子を宿主中で発現させて得られた遺伝
子組換えヒト甲状腺刺激ホルモンレセプターを、水性媒
体中で可溶化剤としての非イオン系界面活性剤と接触さ
せて可溶化させることを特徴とする。
【0013】また、本発明のヒト甲状腺刺激ホルモンレ
セプターに対する自己抗体の検出方法は、ヒト甲状腺刺
激ホルモンレセプター、その誘導体またはその変異体を
抗原として使用し、ヒト甲状腺刺激ホルモンレセプター
に対する自己抗体を検出するための方法であって、抗原
として使用する遺伝子組換えヒト甲状腺刺激ホルモンレ
セプター、その誘導体またはその変異体が上記の方法で
可溶化されたものであることを特徴とする。
【0014】さらに、本発明のヒト甲状腺刺激ホルモン
レセプターに対する自己抗体検出用試薬は、以下の構
成: a)請求項1〜8のいずれかに記載の方法で可溶化さ
れ、少なくとも細胞外ドメインを備えており、ヒト甲状
腺刺激ホルモンレセプターに対する自己抗体によって認
識されかつ溶解または固定化状態にある遺伝子組換えヒ
ト甲状腺刺激ホルモンレセプター、及び b)標識甲状腺刺激ホルモンまたはヒト甲状腺刺激ホル
モンレセプターに対する自己抗体を認識する標識タンパ
ク を有することを特徴とする。
【0015】また、上記の可溶化方法によれば、遺伝子
組換えヒト甲状腺刺激ホルモンレセプターを安定化させ
ることができる。
【0016】ここで誘導体とは、任意領域に他の構造を
付加したものであり、これには、例えば他の蛋白や酵素
との融合蛋白としての構造を有するものも含まれる。ま
た、変異体とは、任意のアミノ酸配列または糖鎖部分に
おいて置換、欠失、挿入、付加により変異を加えたもの
であり、これには、例えば他の蛋白レセプターの相同部
位と置換したキメラレセプター等も含まれる。これらの
誘導または変異は、これらによる構造変化を生じても、
得られる誘導体及び変異体が、生物学的な活性や免疫学
的な活性とともに、甲状腺刺激ホルモンとの結合親和性
を維持できる範囲内で行われる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の遺伝子組換えヒト甲状腺
刺激ホルモンレセプター(以下組換えヒトTSHRとい
う)の可溶化方法では、可溶化される組換えヒトTSH
Rと可溶化剤としての非イオン系界面活性剤とを水性媒
体中で接触させることによって可溶化が行われる。可溶
化剤として用いる非イオン系界面活性剤としては、トラ
イトンX−100(ポリオキシエチレンi−オクチルフ
ェニルエーテル)、ルブロール(ポリオキシエチレンド
デシルエーテル)及びテシット等の公知の界面活性剤が
使用可能であるが、これらの中ではトライトンX−10
0及びルブロールが好ましい。これらの界面活性剤はそ
れぞれ単独で、もしくは組み合わせて使用しても差し支
えない。界面活性剤の濃度は0.2〜5.0%程度が可
溶化に適している。
【0018】本発明で可溶化される組換えヒトTSHR
としては少なくとも細胞外ドメインを備えたものが好ま
しく、特に、特開平8-228769号公報に記載のミエローマ
細胞株SP56により産生された組換えヒトTSHRが
好ましい。
【0019】本発明に用いる水性媒体としては、水を主
体とし、可溶化が良好に行われ、さらに可溶化された組
換えヒトTSHRが媒体中で安定して保持されるもので
あれば種々の組成の水性媒体を用いることができ、例え
ば、各種の緩衝液等を好適なものとして挙げることがで
きる。
【0020】組換えヒトTSHRが、宿主中で発現し、
その細胞膜に結合した状態で生産された場合、宿主の細
胞膜画分を調製してこれに可溶化剤を適用することがで
きる。本発明の可溶化方法の一例としては、以下の工程
を有する方法を挙げることができる。 a)ヒトTSHRまたはその誘導体ならびにその変異体
のいずれかをコードする遺伝子を発現可能なベクターに
組み込み、マウスミエローマ株SP2/0細胞に導入
し、その細胞膜にヒトTSHRに該当する遺伝子産物を
発現させる工程、 b)工程a)の細胞から細胞膜画分を得る工程、及び c)ヒトTSHRを、下記の組成の可溶化緩衝液中で4
℃、20時間以上攪拌して可溶化する工程。
【0021】
【表1】 また、上述の方法で得られた可溶化組換えヒトTSHR
を用いることで、抗ヒトTSHR自己抗体を検出するこ
とができる。検出は、公知の検出方法における抗原とし
て可溶化組換えヒトTSHRを用いることによって行う
ことができる。
【0022】例えば、本発明の可溶化組換えヒトTSH
Rは、免疫学的な活性とともにTSHとの結合親和性を
維持したものであるので、TSHR/自己抗体結合物と
TSHR/標識化TSH結合物との生成阻害(競合)の
度合いを検出する前述のTBII測定法の如きレセプタ
ーアッセイに使用することができる。TBII法に用い
る場合、可溶化組換えヒトTSHRの使用量は50〜2
50μm/assayが好ましい。
【0023】また、可溶化組換えヒトTSHRに検体中
の抗TSHR自己抗体を反応させ、結合した自己抗体を
適当な標識抗体を用いてサンドイッチし、その標識を直
接検出する一般的な免疫学的測定法も可能である。さら
に特表平9−500215号公報に記載の測定法にも使
用可能である。
【0024】これらの免疫学的測定法において可溶化組
換えヒトTSHRは溶液中に存在してもよいし、適当な
固相に固定化して用いてもよい。
【0025】固相支持体としては、ポリスチレン・ポリ
プロピレンといった材質のプラスチック製のビーズやマ
イクロタイタープレート等の一般的材料が用いられる。
また、固相への固定化の方法も物理的/化学的な吸着法
といった一般的な方法で、可溶化組換えヒトTSHRを
固定化することができる。
【0026】本発明において得られた可溶化組換えヒト
TSHRを用いることで、ヒトTSHRに対する自己抗
体検出用試薬を提供することができる。この検出用試薬
の構成としては、例えば以下の成分を有するものを挙げ
ることができる。 a)非イオン性界面活性剤で可溶化され、少なくとも細
胞外ドメインを備えており、ヒトTSHRに対する自己
抗体によって認識されかつ溶解または固定化状態にある
組換えヒトTSHRまたはその誘導体ならびにその変異
体。 b)標識TSH、標識抗TSHR抗体またはヒトTSH
Rに対する自己抗体を認識する標識タンパク(例えば自
己抗体に対する抗体やTSHRを認識するプロテインA
等)。
【0027】さらに本発明の方法で可溶化された組換え
ヒトTSHRは、可溶化前の組換えヒトTSHRよりも
格段に保存安定性が優れている。それ故、本発明は組換
えヒトTSHRの生物活性および免疫活性の安定化方法
も提供している。
【0028】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に
説明する。なお、下記実施例は単に説明のためのもので
あり、本発明を何ら限定するものではない。なお、以下
の実施例では次の試薬を使用した。 (1)緩衝液A(pH7.5): トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸 50mM 塩化ナトリウム 100mM エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 1mM アジ化ナトリウム 10mM ヨードアセトアミド 10mM フェニルメチルスルホニルフルオリド 1mM (2)緩衝液B:上記緩衝液Aに界面活性剤を1%(w/v)
添加 (3)界面活性剤:トライトンX−100(和光純薬
製)、ルブロール(ナカライテスク製)、テシット(ベ
ーリンガーマンハイム製)の3種類を使用 (4)SP56細胞膜画分:特開平8-228769号公報、第
5頁左欄の実施例4に記載の方法で調製したSP56細
胞膜画分 (5)TBII測定キット:市販のTRAb「コスミッ
ク」IIキット(商品名、株式会社コスミック コーポレ
ーション)を添付の使用説明書通りに使用。
【0029】なお、(5)におけるTBII(%)の測
定の概要は以下のとおりである。 A)チューブに陰性コントロール、陽性コントロール及
び検体血清を50μlずつとる。 B)TSHレセプター溶液を50μlずつ加え混和す
る。 C)非特異的結合(NSB)を測るため、別に用意した
チューブに陰性コントロール50μlとルブロール溶液
50μlを加え混和する。以下上記A)の各試料と同様
に操作する。 D)常温で15分間インキュベートする。 E)トレーサー溶液100μlを加え混和する。別に用
意したチューブにトレーサー溶液100μlを入れて栓
をし、トータルカウント測定に用いる。 F)37℃で一時間インキュベートする。 G)冷やしたPEG溶液1.0mlを加え、十分に混和
する。 H)2〜8℃、1500×gで30分間遠心分離する。 I)上清をアスピレートで除去する。 J)すべてのチューブの放射能をγ−カウンターで1分
間計測する。 K)TBII(%)を先に挙げた式(1)によって算出
する。
【0030】実施例1(SP56細胞膜画分の可溶化、
及び界面活性剤の検討) SP56細胞膜画分を以下の操作に従って可溶化し、可
溶化に使用する界面活性剤を検討した。 (1)SP56細胞膜画分に10倍量の氷冷した緩衝液
Aを加え、よく撹拌する。 (2)17,000gで30分遠心分離し、上清を捨て
る。 (3)(1)と同量の各界面活性剤1%を加えた緩衝液
Bを沈殿に加え、よくホモジナイズする。 (4)4℃で20時間撹拌し、TSHRを可溶化する。 (5)17,000gで30分遠心分離し、上清(可溶
化TSHR)を回収する。 (6)得られた上清で試料のTBII値を測定し、使用
する界面活性剤を決める。
【0031】測定操作はTRAb「コスミック」IIと同
じに行った。測定操作を図3に示す。
【0032】この操作で測定されたTBII値を表1に
示す。表1の結果よりトライトンX−100及びルブロ
ールが良好な結果を示した。この結果及び界面活性剤の
使い勝手の良さより以下の実施例ではルブロールで可溶
化した組換えヒトTSHRを用いることとした。
【0033】
【表2】 *)NSB:非特異的結合(Non Specific Bound)のカウ
ント **)コスミック:TRAb「コスミック」IIを添付文書
どうりに使用(ブタTSHR含有)。
【0034】実施例2(可溶化TSHRの至適濃度の検
討) 実施例1で得られたルブロール可溶化SP56細胞膜画
分(組換えヒトTSHR)(蛋白濃度約25mg/ml)を
緩衝液Bで希釈し、血清検体のTBII値を測定し、至
適濃度を検討した。結果を表2に示す。なお、表中の血
清番号の横の値はコスミックで得られたTBII値であ
る。表2の結果より可溶化TSHRは8倍希釈、つまり
蛋白濃度150〜160μg/assay(50μl)で良好な結果
が得られた。
【0035】
【表3】 *)NSB:非特異的結合(Non Specific Bound)のカウ
ント 実施例3(検体の測定、市販キット及び非可溶化TSH
Rとの比較及び相関) ルブロール可溶化組換えヒトTSHR(8倍希釈)、非
可溶化組換えTSHR(SP56細胞膜画分)、市販キ
ット( TRAb「コスミック」II)で血清検体のTB
II値を測定し、それぞれの相関を調べた。可溶化組換
えヒトTSHRと市販キットの相関を図1に、SP56
細胞膜画分と市販キットの相関を図2にそれぞれ示す。
図1、図2より、可溶化組換えヒトTSHRを用いると
低濃度域の測定感度が改善されることがわかる。つま
り、図2でコスミック法で−10%〜+6%のTBII
を示した検体が非可溶化画分を用いた方法では0〜30
%に集中しており、低濃度域での感度が不足している。
それに対し、可溶化TSHRを用いた図1では低濃度域
の感度が改善されているのがわかる。
【0036】
【発明の効果】本発明によって遺伝子組換えヒトTSH
Rの抗ヒトTSHR自己抗体の検出への効率良い利用が
可能となった。更に、遺伝子組換えヒトTSHRを効果
的に可溶化したことでTBII正常値付近の低濃度域で
遺伝子組換えヒトTSHRを用いた測定が可能となっ
た。また、動物由来のTHSRでは、製品ごとの品質の
バラツキが生じる場合があったり、品質のバラツキを防
止するための処理が必要であるのに対して、本発明で用
いるヒトTSHRは、遺伝子組換え技術により生産され
るもので、同品質のものを大量に供給することができ、
製品間での品質のバラツキのない測定が可能となる。従
って、本発明はグレーブス病などの甲状腺障害の診断、
治療経過の観察などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】可溶化組換えヒトTSHRと市販キットの相関
を示す図である。
【図2】非可溶化組換えヒトTSHRと市販キットの相
関を示す図である。
【図3】TBII測定操作のフローチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/53 C12N 5/00 B // A61K 38/00 AEG 15/00 A C07K 16/28 A61K 37/02 AEG (72)発明者 保川 清 神奈川県川崎市麻生区上麻生3−22−11− 107

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト甲状腺刺激ホルモンレセプター、そ
    の誘導体またはその変異体をコードする遺伝子を宿主中
    で発現させて得られた遺伝子組換えヒト甲状腺刺激ホル
    モンレセプターを、水性媒体中で可溶化剤としての非イ
    オン系界面活性剤と接触させて可溶化させることを特徴
    とする組換えヒト甲状腺刺激ホルモンレセプターの可溶
    化方法。
  2. 【請求項2】 非イオン系界面活性剤が、トライトンX
    −100及びルブロールの少なくとも1種を含む請求項
    1に記載の可溶化方法。
  3. 【請求項3】 遺伝子組換えヒト甲状腺刺激ホルモンレ
    セプターが少なくとも細胞外ドメインを備えたものであ
    る請求項1または2に記載の可溶化方法。
  4. 【請求項4】 水性媒体が緩衝液である請求項1〜3の
    いずれかに記載の可溶化方法。
  5. 【請求項5】 次の工程: a)ヒト甲状腺刺激ホルモンレセプター、その誘導体ま
    たはその変異体をコードする遺伝子を、該遺伝子の宿主
    中での発現を可能とするベクターに組み込んで、該宿主
    中で発現させ、該宿主の細胞膜に該遺伝子にコードされ
    た遺伝子産物を生産させる工程、 b)前記遺伝子産物を細胞膜に有する宿主細胞から細胞
    膜画分を得る工程、及び c)該細胞膜画分を水性媒体中で可溶化剤としての非イ
    オン系界面活性剤と接触させて可溶化する工程 を有する請求項4に記載の可溶化方法。
  6. 【請求項6】 宿主細胞がマウスミエローマ株SP2/
    0細胞である請求項5に記載の可溶化方法。
  7. 【請求項7】 水性媒体中で4℃、20時間以上攪拌し
    て可溶化を行う請求項5または6に記載の可溶化方法。
  8. 【請求項8】 可溶化剤を含む水性媒体が、以下の組
    成: トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸 50mM 塩化ナトリウム 100mM エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 1mM アジ化ナトリウム 10mM ヨードアセトアミド 10mM フェニルメチルスルホニルフルオリド 1mM 非イオン系界面活性剤 1%(w/v) を有する請求項5〜7のいずれかに記載の可溶化方法。
  9. 【請求項9】 ヒト甲状腺刺激ホルモンレセプター、そ
    の誘導体またはその変異体を抗原として使用し、ヒト甲
    状腺刺激ホルモンレセプターに対する自己抗体を検出す
    るための方法であって、 抗原として使用する遺伝子組換えヒト甲状腺刺激ホルモ
    ンレセプター、その誘導体またはその変異体が請求項1
    〜8のいずれかに記載の方法で可溶化されたものである
    ことを特徴とするヒト甲状腺刺激ホルモンレセプターに
    対する自己抗体の検出方法。
  10. 【請求項10】 ヒト甲状腺刺激ホルモンレセプター、
    その誘導体またはその変異体が、免疫学的な活性ととも
    に甲状腺刺激ホルモンとの結合親和性を維持したもので
    あり、自己抗体による甲状腺刺激ホルモンの結合阻害を
    利用して自己抗体を検出する請求項9に記載の検出方
    法。
  11. 【請求項11】 ヒト甲状腺刺激ホルモンレセプター、
    その誘導体またはその変異体に甲状腺刺激ホルモンレセ
    プターに対する自己抗体を反応させ、結合した自己抗体
    を検出する請求項9に記載の検出方法。
  12. 【請求項12】 ヒト甲状腺刺激ホルモンレセプター、
    その誘導体またはその変異体を、支持体に固定化して用
    いる請求項11に記載の検出方法。
  13. 【請求項13】 次の構成を持つヒト甲状腺刺激ホルモ
    ンレセプターに対する自己抗体検出用試薬。 a)請求項1〜8のいずれかに記載の方法で可溶化さ
    れ、少なくとも細胞外ドメインを備えており、ヒト甲状
    腺刺激ホルモンレセプターに対する自己抗体によって認
    識されかつ溶解または固定化状態にある遺伝子組換えヒ
    ト甲状腺刺激ホルモンレセプター、及び b)標識甲状腺刺激ホルモン、標識抗甲状腺刺激ホルモ
    ンレセプター抗体またはヒト甲状腺刺激ホルモンレセプ
    ターに対する自己抗体を認識する標識タンパク。
  14. 【請求項14】 ヒト甲状腺刺激ホルモンレセプター、
    その誘導体またはその変異体をコードする遺伝子を宿主
    中で発現させて得られた遺伝子組換えヒト甲状腺刺激ホ
    ルモンレセプターを請求項1〜8のいずれかに記載の可
    溶化方法で水性媒体中に溶解させることを特徴とする遺
    伝子組換えヒト甲状腺刺激ホルモンレセプターの生物活
    性および免疫活性の安定化方法。
JP9270017A 1997-10-02 1997-10-02 組換えヒト甲状腺刺激ホルモンレセプターの可溶化方法、並びにそれを用いたヒト甲状腺刺激ホルモンレセプターに対する自己抗体の測定方法 Pending JPH11106397A (ja)

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WO2007094395A1 (ja) 2006-02-15 2007-08-23 Mie University 診断用組換えプロテオリポソームの作製法
JP2011136911A (ja) * 2009-12-25 2011-07-14 Tosoh Corp 甲状腺刺激ホルモンレセプターの安定化方法

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