JPH11105076A - インサート射出成形用金型、インサート射出成形用金型構造、インサート成形品の製造方法、およびインサート成形品 - Google Patents

インサート射出成形用金型、インサート射出成形用金型構造、インサート成形品の製造方法、およびインサート成形品

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JPH11105076A
JPH11105076A JP28771497A JP28771497A JPH11105076A JP H11105076 A JPH11105076 A JP H11105076A JP 28771497 A JP28771497 A JP 28771497A JP 28771497 A JP28771497 A JP 28771497A JP H11105076 A JPH11105076 A JP H11105076A
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JP
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insert
mold
resin
temperature
heat medium
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Application number
JP28771497A
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English (en)
Inventor
Ryota Miyata
良太 宮田
Naoya Mizutani
直哉 水谷
Tadashi Kawakita
忠 川北
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suzuka Fuji Xerox Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Suzuka Fuji Xerox Manufacturing Co Ltd
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Publication date
Application filed by Suzuka Fuji Xerox Manufacturing Co Ltd filed Critical Suzuka Fuji Xerox Manufacturing Co Ltd
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  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インサート物の変形と応力の集中を阻止し
て、割れ破壊を阻止して、寸法の向上を図ること。 【解決手段】 スプールブッシュ10から該スプールブ
ッシュ10に連絡したランナー9を介して、キャビティ
4内に溶融樹脂が導入される。前記ランナー9が形成さ
れた型の該ランナー9の内側にインサートとしてのフィ
ルター6を押さえるフィルター押さえピン7、フィルタ
ー押さえピンバネ8が直列に介挿されているインサート
射出成形用金型、インサート射出成形用金型構造、イン
サート成形品の製造方法、およびインサート成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金型内に熱媒体を
導入し、導入された前記熱媒体によって、前記金型内に
載置されたインサート物を、樹脂の加熱変形温度以上に
加熱し、前記加熱されたインサート物が載置されている
前記金型内に樹脂が射出されるインサート射出成形用金
型、インサート射出成形用金型構造、インサート成形品
の製造方法、およびインサート成形品に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来のインサート成形品の製造方法にお
いて、インサート成形におけるインサート物と溶融樹脂
との温度差が大きい場合には、インサート部より離れて
いる溶融樹脂は、前記インサート物の近傍にある溶融樹
脂に比べて冷却固化の速度が遅いため、樹脂の収縮率に
差が生じて寸法精度が悪くなり、成形品内部の応力が主
にインサートの近傍に集中し、かかる応力集中が原因と
考えられる樹脂の割れ破壊(遅れ破壊)が発生し、製品
の歩留りが低下するという問題があった。
【0003】インサート成形法に関しては、断熱層で被
覆した金型を用いる方法(特開平7−178765)
や、ヒータープレートをバネで押し付ける方法(実公平
8−1053)がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前者は、断熱層で被覆
した金型を用いるものであるため、熱容量の大きなボル
ト等の成形においては、有効であるが、熱容量の小さい
薄板の成形には向かないという問題があった。
【0005】後者は、ヒータープレートをバネで押し付
けるものであるため、金型構造が複雑になるという欠点
があった。
【0006】これらの問題を解決する手段として、イン
サート物を金型にインサートする前に、ホットプレート
などを用いて予め加熱した後金型に装着したところ、溶
融樹脂が前記インサートを巻き込むまでの間に温度が下
がるため、溶融樹脂と近い温度における成形加工は出来
ないという問題があった。
【0007】上述のような外部加熱方式による場合に
は、成形加工に時間が余分にかかったり、決して経済的
ではないという問題があった。また高周波誘導加熱の場
合には、高周波誘導加熱装置自体にコストが掛かるた
め、製品単価の上昇を招くという問題があった。
【0008】そこで本発明者らは、金型の内部において
熱媒体を用いて予め樹脂の加熱変形温度以上にインサー
ト物を加熱した後、樹脂を射出してインサート成形を行
うという本発明の技術的思想に着眼し、さらに研究開発
を重ねた結果、インサート物の変形と応力の集中を阻止
して、割れ破壊を阻止して、寸法の向上を図るという目
的を達成する本発明に到達したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明(請求項1に記載
の第1発明)のインサート射出成形用金型は、インサー
ト射出成形用金型において、熱媒体発生装置に接続さ
れ、金型内に熱媒体を導入する導入口が金型の外側壁に
形成され、前記導入口を介して導入された熱媒体によっ
て、金型内に載置されたインサート物を、該金型内に射
出される樹脂の加熱変形温度以上に加熱する加熱回路が
形成され、前記インサート物を加熱した熱媒体を金型か
ら排出する排出口が形成されているものである。
【0010】本発明(請求項2に記載の第2発明)のイ
ンサート射出成形用金型は、前記第1発明において、前
記インサート物が、マルテンサイト系ステンレス、オー
ステナイト系ステンレス、チタン、ニッケル、あるいは
それらの金属がコーティングされたものである。
【0011】本発明(請求項3に記載の第3発明)のイ
ンサート射出成形用金型は、前記第2発明において、前
記インサート物が、通気孔が形成された網目構造または
その他の構造を備えているものである。
【0012】本発明(請求項4に記載の第4発明)のイ
ンサート射出成形用金型の金型構造は、前記第1発明に
おいて、射出成形時、インサート物を熱媒体で吸引固定
することにより、縦開閉金型または横開閉金型のどちら
の金型でも固定可能に構成されているものである。
【0013】本発明(請求項5に記載の第5発明)のイ
ンサート成形品の製造方法は、金型内に熱媒体を導入
し、導入された前記熱媒体によって、前記金型内に載置
されたインサート物を、樹脂の加熱変形温度以上に加熱
し、前記加熱されたインサート物が載置されている前記
金型内に樹脂を射出するものである。
【0014】本発明(請求項6に記載の第6発明)のイ
ンサート成形品の製造方法は、第5発明において、前記
熱媒体によって、前記インサート物およびインサート物
を固定保持する金型キャビティの部分を、直接または間
接的に加熱するものである。
【0015】本発明(請求項7に記載の第7発明)のイ
ンサート成形品の製造方法は、第5発明において、前記
熱媒体が、加熱された気体または液体等の流体によって
構成されているものである。
【0016】本発明(請求項8に記載の第8発明)のイ
ンサート成形品の製造方法は、第7発明において、前記
熱媒体が、不活性な気体、可燃性のガスを燃焼させた後
に発生する排気ガスによって構成されているものであ
る。
【0017】本発明(請求項9に記載の第9発明)のイ
ンサート成形品の製造方法は、第5発明において、射出
成形時における前記インサート物と溶融樹脂の温度との
温度差が、少なくとも50度以下に保たれるものであ
る。
【0018】本発明(請求項10に記載の第10発明)
のインサート成形品の製造方法は、第9発明において、
前記金型の冷却時においては、前記熱媒体の温度を徐々
に下げるものである。
【0019】本発明(請求項11に記載の第11発明)
のインサート成形品の製造方法は、第5発明において、
前記インサート物に樹脂が回り込むまでの間、該インサ
ート物の温度が少なくとも熱可塑性樹脂の加熱変形温度
以上で保たれるものである。
【0020】本発明(請求項12に記載の第12発明)
のインサート成形品は、金型内に導入された熱媒体によ
って、樹脂の加熱変形温度以上に加熱されたインサート
物が載置されている前記金型内に、樹脂を射出すること
により成形されるものである。
【0021】本発明(請求項13に記載の第13発明)
のインサート成形品は、第12発明において、前記イン
サート成形品が、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテ
ルサルホン樹脂、ポリサルホン樹脂、特殊ナイロン樹
脂、ポリフェニレンオキサイド(エーテル)樹脂のいず
れかによって構成されているものである。
【0022】本発明(請求項14に記載の第14発明)
のインサート成形品は、第12発明において、前記イン
サート成形品が、サーマルインクジェットのマニホール
ドであるものである。
【0023】(発明の作用)上記構成より成る第1発明
のインサート射出成形用金型は、インサート射出成形用
金型において、前記金型の外側壁に形成され前記熱媒体
発生装置に接続された前記導入口を介して、前記熱媒体
が前記金型内に導入され、前記金型内に形成された前記
加熱回路によって、該金型内に載置された前記インサー
ト物が、前記導入された熱媒体により前記金型内に射出
される樹脂の加熱変形温度以上に加熱され、前記インサ
ート物を加熱した前記熱媒体が前記排出口を介して前記
金型から排出される。
【0024】上記構成より成る第2発明のインサート射
出成形用金型は、前記第1発明において、前記インサー
ト物が、マルテンサイト系ステンレス、オーステナイト
系ステンレス、チタン、ニッケル、あるいはそれらの金
属がコーティングされたものであるので、前記導入され
た熱媒体により前記金型内に射出される樹脂の加熱変形
温度以上に効率良く加熱される。前記導入された熱媒体
により前記金型内に射出される樹脂の加熱変形温度以上
に効率良く加熱される。
【0025】上記構成より成る第3発明のインサート射
出成形用金型は、前記第2発明において、前記インサー
ト物が、通気孔が形成された網目構造またはその他の構
造を備えているので、熱媒体により再溶融することによ
り、セルフクリーニングするものである。
【0026】上記構成より成る第4発明のインサート射
出成形用金型の金型構造は、前記第1発明において、射
出成形時熱媒体を吸引することにより、前記インサート
物を前記縦開閉金型または横開閉金型のどちらの金型で
も固定するものである。
【0027】上記構成より成る第5発明のインサート成
形品の製造方法は、金型内に熱媒体を導入し、導入され
た前記熱媒体によって、前記金型内に載置されたインサ
ート物を、樹脂の加熱変形温度以上に加熱し、前記加熱
されたインサート物が載置されている前記金型内に樹脂
を射出して、インサート成形するものである。
【0028】上記構成より成る第6発明のインサート成
形品の製造方法は、第5発明において、前記熱媒体によ
って、前記インサート物およびインサート物を固定保持
する金型キャビティの部分を、直接または間接的に加熱
するので、インサート物を樹脂の加熱変形温度以上に有
効に加熱するものである。
【0029】上記構成より成る第7発明のインサート成
形品の製造方法は、第5発明において、前記熱媒体が、
加熱された気体または液体等の流体によって構成されて
いるので、固有の形状を持たず、インサート物の形状に
応じて任意に形状・形態を変化させ、インサート物に密
着して、熱交換するものである。
【0030】上記構成より成る第8発明のインサート成
形品の製造方法は、第7発明において、前記熱媒体が、
不活性な気体、可燃性のガスを燃焼させた後に発生する
排気ガスによって構成されているので、安定状態または
高温において熱交換するものである。
【0031】上記構成より成る第9発明のインサート成
形品の製造方法は、第5発明において、射出成形時にお
ける前記インサート物と溶融樹脂の温度との温度差が、
少なくとも50度以下に保たれるので、インサート物と
射出成形用樹脂との親和性が上がり、密着させるもので
ある。
【0032】上記構成より成る第10発明のインサート
成形品の製造方法は、第9発明において、前記金型の冷
却時においては、前記熱媒体の温度を徐々に下げるの
で、溶融樹脂の冷却を遅くすることにより、溶融樹脂の
溶融粘度の低下を抑制するものである。
【0033】上記構成より成る第11発明のインサート
成形品の製造方法は、第5発明において、前記インサー
ト物に樹脂が回り込むまでの間、該インサート物の温度
が少なくとも熱可塑性樹脂の加熱変形温度以上で保たれ
るので、前記インサート物の前記溶融樹脂と近い温度に
おける成形加工を行うものである。
【0034】上記構成より成る第12発明のインサート
成形品は、金型内に導入された熱媒体によって、樹脂の
加熱変形温度以上に加熱されたインサート物が載置され
ている前記金型内に、樹脂を射出することにより成形さ
れるので、前記インサート物の前記溶融樹脂と近い温度
における成形加工を行うものである。
【0035】上記構成より成る第13発明のインサート
成形品は、第12発明において、前記インサート成形品
が、ポリエーテルイミド樹脂(略号;PEI)、ポリエ
ーテルサルホン樹脂(略号;PES)、ポリサルホン樹
脂(略号;PSF)、特殊ナイロン樹脂、ポリフェニレ
ンオキサイド(エーテル)樹脂{略号;PPO(E)}
のいずれかによって構成されているので、加熱変形温度
が150℃より高いため、インサート成形品の熱変形が
少ない。
【0036】上記構成より成る第14発明のインサート
成形品は、第12発明において、前記インサート成形品
が、サーマルインクジェットのマニホールドであるの
で、耐薬品性および耐熱性を備えている。
【0037】
【発明の効果】上記作用を奏する第1発明のインサート
射出成形用金型は、前記金型内に形成された前記加熱回
路によって、該金型内に載置された前記インサート物
が、前記導入された熱媒体により前記金型内に射出され
る樹脂の加熱変形温度以上に加熱されるので、前記イン
サート物の前記溶融樹脂と近い温度における成形加工を
可能にするため、該インサート物と溶融樹脂との親和性
を高め、インサート物の変形と応力の集中を阻止して、
割れ破壊を阻止して、寸法の向上を図るという効果を奏
する。
【0038】上記構成より成る第2発明のインサート射
出成形用金型は、前記第1発明において、前記インサー
ト物が、マルテンサイト系ステンレス、オーステナイト
系ステンレス、チタン、ニッケル、あるいはそれらの金
属がコーティングされたものであるので、効率良く加熱
されるため加熱速度を高くするとともに、加熱時間を短
縮することが出来るという効果を奏する。
【0039】上記構成より成る第3発明のインサート射
出成形用金型は、前記第2発明において、前記インサー
ト物が、通気孔が形成された網目構造またはその他の構
造を備えているので、熱媒体によって再溶融し、セルフ
クリーニングすることが出来るという効果を奏する。
【0040】上記構成より成る第4発明のインサート射
出成形用金型の金型構造は、前記第1発明において、射
出成形時、インサート物を熱媒体で吸引固定するので、
固定用の独立の媒体または手段が不要であるという効果
を奏するとともに、縦開閉金型または横開閉金型のどち
らの金型でも固定可能であるという効果を奏する。
【0041】上記構成より成る第5発明のインサート成
形品の製造方法は、金型内に熱媒体を導入し、導入され
た前記熱媒体によって、前記金型内に載置されたインサ
ート物を、樹脂の加熱変形温度以上に加熱し、前記加熱
されたインサート物が載置されている前記金型内に樹脂
を射出するので、前記インサート物の前記溶融樹脂と近
い温度における成形加工を可能にするので、インサート
物の変形と応力の集中を阻止して、割れ破壊を阻止し
て、寸法の向上を図るという効果を奏する。
【0042】上記構成より成る第6発明のインサート成
形品の製造方法は、第5発明において、前記熱媒体によ
って、前記インサート物およびインサート物を固定保持
する金型キャビティの部分を、直接または間接的に加熱
するので、インサート物を樹脂の加熱変形温度以上に有
効に加熱するという効果を奏する。
【0043】上記構成より成る第7発明のインサート成
形品の製造方法は、第5発明において、前記熱媒体が、
加熱された気体または液体等の流体によって構成されて
いるので、固有の形状を持たず、インサート物の形状に
応じて任意に形状・形態を変化させ、インサート物に密
着して、熱交換するため、加熱効率を高めるとともに加
熱時間を短縮するという効果を奏する。
【0044】上記構成より成る第8発明のインサート成
形品の製造方法は、第7発明において、前記熱媒体が、
不活性な気体、可燃性のガスを燃焼させた後に発生する
排気ガスによって構成されているので、不活性な気体は
安定であり取扱が容易であるとともに、排気ガスは高温
における熱交換を可能にするという効果を奏する。
【0045】上記構成より成る第9発明のインサート成
形品の製造方法は、第5発明において、射出成形時にお
ける前記インサート物と溶融樹脂の温度との温度差が、
少なくとも50度以下に保たれるので、インサート物と
射出成形用樹脂との親和性が上がり、密着させるため、
インサート物の変形と応力の集中を阻止するという効果
を奏する。
【0046】上記構成より成る第10発明のインサート
成形品の製造方法は、第9発明において、前記金型の冷
却時においては、前記熱媒体の温度を徐々に下げるの
で、溶融樹脂の冷却を遅くすることにより、溶融樹脂の
溶融粘度の低下を抑制して、インサート物の変形を抑制
するという効果を奏する。
【0047】上記構成より成る第11発明のインサート
成形品の製造方法は、第5発明において、前記インサー
ト物に樹脂が回り込むまでの間、該インサート物の温度
が少なくとも熱可塑性樹脂の加熱変形温度以上で保たれ
るので、前記インサート物の前記溶融樹脂と近い温度に
おける成形加工を可能にするので、インサート物の変形
と応力の集中を阻止して、割れ破壊を阻止して、寸法の
向上を図るという効果を奏する。
【0048】上記構成より成る第12発明のインサート
成形品は、金型内に導入された熱媒体によって、樹脂の
加熱変形温度以上に加熱されたインサート物が載置され
ている前記金型内に、樹脂を射出することにより成形さ
れるので、インサート物の変形と応力の集中を阻止し
て、割れ破壊を阻止して、寸法の向上を図るという効果
を奏する。
【0049】上記構成より成る第13発明のインサート
成形品は、第12発明において、前記インサート成形品
が、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹
脂、ポリサルホン樹脂、特殊ナイロン樹脂、ポリフェニ
レンオキサイド(エーテル)樹脂のいずれかによって構
成されているので、加熱変形温度が150℃より高いた
め、インサート成形品の熱変形が抑制されるという効果
を奏する。
【0050】上記構成より成る第14発明のインサート
成形品は、第12発明において、前記インサート成形品
が、サーマルインクジェットのマニホールドであるの
で、インク成分の熱可塑性樹脂に対する耐薬品性および
耐熱性が高いという効果を奏する。
【0051】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態につき、
図面を用いて説明する。
【0052】(実施形態)本実施形態のインサート射出
成形用金型、インサート射出成形用金型構造、インサー
ト成形品の製造方法、およびインサート成形品について
説明する。本実施形態に利用できる樹脂は、熱可塑性を
示す樹脂総て可能であるが、これら熱可塑性樹脂の代表
的な物のみを例示すると、ポリスチレン樹脂(略号;P
S)、ハイイパクトポリスチレン樹脂(略号;HIP
S)、スチレン−マレイン酸共重合樹脂、ブタジエン−
スチレン共重合樹脂、アクリルニトリロ・スチレン共重
合樹脂(略号;ABS):ポリフェニレンエーテル樹脂
(略号;PPE)変性ポリフェニレンエーテル樹脂、及
び変性ポリフェニレンオキサイド樹脂(略号;PPO
(E)}等に代表されるスチレン系樹脂、ポリエチレン
(略号;PE)ポリプロピレン樹脂(略号;PP)、塩
素化ポリエチレン、エチエン−α−オレフィン共重合樹
脂、変性ポリオレフィン、透明ポレオレフィン等に代表
されるオレフィン系樹脂、6−ナイロン(略号;PA
6)、6,6−ナイロン(略号;PA66)、強化ポリ
アミド、PA−MAX、アモルファスポリアミド、芳香
族ポリアミド(アラミド)等に代表されるアミド系樹
脂、ボリエチレンテレフタレート(略号;PET)、ポ
リエチレンテレフタレート(略号;PET)等に代表さ
れるポリエステル系樹脂、塩化ビニル樹脂(略号;PV
C)、ポリ塩酸ビニル樹脂(略号;PVAc)、アクリ
ル変性ポリ塩化ビニル等に代表去れるビニル系樹脂、酢
酸セルロース(略号;CAB)、エチルセルロース、セ
ルロイドファン等に代表されるセルロース系樹脂(セル
ロース誘導体)、その他ポリメタクリレート(略号;P
MMA,アクリル樹脂,メタクリル樹脂)、ポリ塩化ビ
ニリデン樹脂(略号;PVDC)、ポリテトラフロロエ
チレン(略号;PTFE)、エチレンポリテトラフロロ
エチレン共重合樹脂(略号;EVA)、アイオノマー
(略号;IO)、変性ポリカードネート、ポリカーボネ
ート樹脂(略号;PC)、ポリアリレート(略号;PA
R,Uポリマー)、ポリスルフォン(略号;PSU)、
ポリエーテルスルフォン(略号;PES)、ポリチオエ
ーテルスルフォン(略号;PTES)、塩素化ポリエー
テル、熱可塑性ポリイミド(略号;TPI)、ポリアミ
ノビスマレイミド(略号;PABM)、ポリケトン、ポ
リアミドイミド(略号;PAI)、ポリエーテルケトン
(略号;PEEK)、ポリエーテルケトン(略号;PE
K)、熱可塑性ポリウレタン(略号;PUR)、ポリヒ
ニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリエーテルニトリル(略号;PECN)、ポ
リフェニレンスルフィド(略号;PPS)、ポリエーテ
ルイミド(略号;PEI)、アリル樹脂、エチレン−酢
ビ−塩ビ共重合樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹
脂、フラン樹脂、メタクリル−スチレン共重合樹脂、ニ
トリル樹脂、キシレン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリ
アリルスルホン(略号;PASF)、ポリベンゾイミダ
ゾール(略号;PBI)、ポリブタジエン樹脂、ポリブ
チレン、芳香族ポリエステル、オレフィンビニルアルコ
ール共重合樹脂、石油樹脂、ポリアセタール(略号;P
OM)、液晶ポリエステル(略号;LCP)、スチレン
−フタジエン系(略号;SBC)、ポレオレフィン系
(略号;TPO)、ウレタン系(略号;TPU)、ポリ
エステル系(略号;TPEE)、ポリアミド系(略号;
PTAE)、1,2−ポリブタジエン、トランス1,4
−ポリイソプレン、塩素化ポリエチレン等に代表される
エラストマー類、上記樹脂をブレンド、共重合、グラフ
ト重合等を行ってして性質の改質したり、或いは変性し
たりした、PPE/PS、PPE/HIPS、PPE/
PA、PC/ABS、C/HIPS、PPE/PA、P
ES/LCP等のポリマーアロイ(ブレンドポリマー)
や、硝子繊維、炭素繊維、タルク等の充填剤、補強剤そ
の他添加剤(材)によって強化された複合材料等があ
る。
【0053】インサート物に用いる材質は、常温で固体
の物質ならば総て可能である。これらの物はたとえば、
金属、セラミック、合成樹脂、天然樹脂等である。
【0054】始めに金属について述べる。金属なら総て
可能である。インクの成分に水が使われている事、イン
クのPHが7よりも高く塩基性であることによってイン
サート物に用いる金属は、このましくは、イオン化傾向
が、Alよりも小さい金属である。さらに、このましく
はインクによって腐食等しないこと、空気中で酸化等せ
ず、安定であるものが良い。結果、鉄よりもイオン化傾
向が小さい金属で、一般的なものをあげれば、例えば、
Fe、Ni、Co、Cu、Ag、Pt、Au、Ru、I
r、Pd等がある、更にステンレス等のこれら金属を用
いた合金がある。材質に金属を用いたインサート物の加
工は、プレス加工、切削加工等の技法によって作られ
る。
【0055】一方セラミックは、上述したように空気中
で酸化、分解等せず、インクに対しても安定である物が
望ましい。その一部を例示すると、例えば、Al
2 3 、SiC、BeO、AIN、MgO・SiO2
2MgO・SiO2 、BaTiO3、MgO・La2
3 ・TiO2 、SrTiO3 、K2 TiO3 、Pbペロ
ブスカイト、PZT、PLZT、ZnO、水晶、LiN
bO 、ハードフエライト、ソフトフエライト、磁性ガ
ーネット、γ・Fe2 3 、CrO2 、BaTIO3
SrTiO3 、ZnO、TiO2 、SnO2 、MgC、
HfC、TiO2 、Al2 3 とMgOとのスピネル等
が有る。セラミックを用いたインサート物の加工は一般
的には成形加工が主な方法であるが成形加工と切削等の
機械加工を併用させたり、機械加工で製造される。加工
の容易さ、生産性の高さからは成形加工が好ましい。
【0056】合成繊維や天然繊維を用いたインサート物
は、プレス加工等によって加工されたもの、上述の繊維
を用いて織られた布等も有る。
【0057】前記のインサート物は、使用するインクの
はっ水性を持たせること、インクによる腐食を防止する
こと等の理由によって、コーテイング、またはプレーテ
イングする場合がある。例えば、Al合金を用いたイン
サート物は、表面をアルマイト処理をしてインクからの
腐食を防止したりする。コーテイングの具体例を示す
と、フッ素系樹脂(例えばPFA、PTFE等)を用い
たフッ素樹脂コーテイング、シリコン系樹脂のコーテイ
ング、塩化ビニル樹脂のコーテイング、ポリエチレン樹
脂を用いたコーテイング等の合成樹脂、天然樹脂を用い
たものがある。これらのコーテイングは従来の塗装やそ
の他の方法によって加工される。
【0058】プレーテイングについて説明すれば、電気
的、化学的、物理的な方法によってなされるものでイン
サート物を腐食その他から防止すること、はっ水性を持
つこと等から、例えば、ニッケル、クロム、亜鉛、金、
白金、銀、錫、ロジウム、パラジウムのプレーテイン
グ、2次元、或いは2次元以上の合金化されたプレーテ
イング、上述のプレーテイングのフッ素系樹脂、シリコ
ン系樹脂、或いはセラミック等を複合化したプレーテイ
ング等が有る。
【0059】フィルターの形状は、インクのなかに有る
異物を除去するための目的にそった形状が好ましい。具
体的なもののみを例示すると、平織、綾織、杉綾織平畳
織、綾畳織、綾むしろ織、縦撚線平織、共撚線織、クリ
ンプ織、ロッククリンプ織、滑面織、トンキャップ織、
タイロット織、からみ織、菱形織、丸型織、ヘリンボン
織、ワイヤコンベヤネット、キツ甲織、樹脂網、不定形
のもの等がある。目の大きさは、インク中に存在する異
物の除去を目的としているので、ノズルヘッド(インク
が噴射され印字する部分)のインクの流路よりも細かく
設定されていることが望ましい。印字の性能(dpi)
によって変わるが、一般的には100ミクロン以下、好
ましくは、50ミクロン以下、高解像力が求められる場
合には更に細かくて、12ミクロン以下が要求されるこ
ともある。
【0060】成形加工時のインサート物は、溶融樹脂と
の親和性、内部応力の低減、成形品の残留歪みの低減、
溶融樹脂の流動性の向上等から、溶融樹脂温度、或い
は、溶融樹脂がインサート物に達する時の溶融樹脂の温
度以上、或いは溶融樹脂温度近くまで加熱する必要が有
る。加熱の方法としては、予めインサート物を予熱して
から金型に挿入して成形加工する場合、インサート物が
導電性を持っている場合には、インサート物に電流を流
して加熱する方法、金型内にインサート物を挿入した後
に、高温の気体、或いは、液体を直接インサート物に接
触させて加熱する方法、或いは上述した方法を組み合わ
せて加熱する。高温の気体、或いは、液体を直接インサ
ート物に接触させて加熱する方法に用いる熱媒体は、気
体を直接ヒーター等に加熱する方法と、可燃性のガス、
或いは液体、固体を燃焼させて発生してくる高温のガス
を用いる場合がある。具体的には、前者の気体は、不活
性ガス、例えば、窒素、アルゴン、炭酸ガス、ヘリウ
ム、水蒸気等があり、示燃性(助燃性)ガスとしては、
例えば、塩素、空気、酸素、亜酸化窒素、窒素酸化物等
があり、可燃性ガスとしては、例えば、メタン、エタ
ン、プロパン、水素、一散化炭素等が有る。また、シア
ン化水素、一酸化炭素等の毒性ガスも用いることは可能
ではあるが取扱いには十分な注意を必要とする。一酸化
炭素は還元性があり、金属で作られたインサート物の表
面の酸化物を除去することも出来るので有利な場合もあ
る。
【0061】上述したような方法によって射出成形加工
時にインサート物を加温することは成形品の品質の向上
や、不良の低減から有効であることは述べたが、インサ
ート物や金型の温度を高くすると金型キャビティ内の溶
融樹脂の冷却固化に時間がかかり、結果生産性を低下さ
せてしまう。この問題を解決する手段として、上述した
インサート物の加熱に用いた高温の気体が通じた回路、
或いは別に設けられた回路から、冷却した気体や液体を
インサート物に触れさせたり、或いは揮発性の液体をイ
ンサート物に接触させて、成形品及びインサート物、金
型等の熱エネルギーによって前記液体を気化させた時の
気化熱を用いて成形品を冷却するものである。
【0062】冷却に用いる気体は、上述したような不活
性ガス、示燃性ガス、可燃性ガス、毒性ガス総てのガス
が用いられるが、取扱い易さから不活性ガスが良い。気
体に比べて液体の比熱は遙に大きく冷媒として用いるの
は都合が良い。但し、気体の場合は可燃性ガス、毒性ガ
ス、示燃性ガスを除くガスが金型からもれ出したとして
もそれ程の問題にはならないが、液体を用いた場合に
は、これら液体が漏れ出さないようなシール等の処置を
施す必要がある。気体による冷却を用いるか、液体によ
る冷却を用いるかの選択はインサート物を初めとして成
形品の持っている熱量による。
【0063】上述したように気体や液体を用いた冷却以
外には、液体が気化する際の気化熱を利用する方法が有
る。例えば液体の水が気体の水蒸気に状態を変化させる
時の気化熱は538cal/gであった。
【0064】この様に気化熱を利用する場合には、沸点
が100℃以下の気化しやすい液体を用いる。沸点が1
00℃以上の液体である場合には総てが気化するまで金
型から成形品を取出せないので生産性が劣る。実際のこ
の様な場合に用いる液体としては、液体窒素、液体空
気、フロン、ハロン等のハロゲン化物、メタノール、エ
タノール等のアルコール類、ペンタン、ベンゼン、トリ
エンなどの炭化水素化合物、アセトン、メチルエチルケ
トン等のケトン類を初めとした有機溶剤がある。フロン
やハロン等の不燃性の物は問題は無いが、アルコール類
やケトン類等の可燃性の物質は火災の危険性があるので
取扱いには十分考慮する必要がある。又、有機溶剤の中
には、毒性を有する物もあり、吸入や皮膚への付着には
十分に気を付ける必要が有る。
【0065】本実施形態における加熱方式では、インサ
ート物を熱媒体で温めることによって、射出成形用樹脂
との親和性が上がり、付着強度が増す。また、インサー
ト物に応力集中がなくなることにより、割れ破壊が回避
出来る。また溶融樹脂の冷却が遅くなることによって溶
融樹脂の溶融粘土の低下が回避出来て、結果、樹脂圧に
よるインサート物の変形(曲がり)なくなるという効果
を奏する。
【0066】高温の熱媒体を用いて、インサート物を加
熱することにより、インサート物の内側まで溶融樹脂が
流れ込んだとしても、インサート物が網目構造である場
合には、熱媒体によりセルフクリーニングすることが出
来る。また、金型内の熱媒体流路の掃除にもなるという
効果を奏する。
【0067】熱媒体を吸引することにより、インサート
物を固定することが出来る。金型内に熱媒体を通過させ
ることにより、周辺のキャビティも温められ、射出成形
用樹脂の流動性がよくなるという効果を奏する。
【0068】また本実施形態において、インサート物を
熱媒体を用いて、直接加熱することは、熱媒体が直接イ
ンサートに接するので、熱交換率が高く、効率的にイン
サートを加熱することができるので短時間のうちに所定
の温度まで昇温出来、インサートの加熱に要する時間が
短時間で済むのでインサートの加熱にかかる時間によっ
て成形サイクルが長くなり生産性が低下するという問題
に対して、昇温時間を最少にとどめるため、インサート
加熱という時間を最小にとどめ、成形サイクルが極端に
長くならず、生産性の低下を回避し、経済的効果を奏す
る。
【0069】インサート物を間接的に加熱する場合は、
金型製作上の困難さから上述したようにインサート物を
直接加熱出来ない場合、あるいは、インサート物を直接
加熱するという型構造をとった場合に、金型構造が複雑
になり、金型費がアップするが、間接的に加熱した場合
は、金型構造が複雑にならず、金型費がアップすること
を回避するという経済的効果を奏する。
【0070】金属は、熱伝導率が非常に高く、短時間で
所定の温度まで昇温するのに要する時間が少なくて済む
ので他の熱伝導率が低い物質でつくられたインサート物
よりも短時間で昇温出来、結果、成形サイクルが極端に
長くならないという経済的効果を奏する。
【0071】気体、及び液体の性質は、固有の形状を持
たず、任意に形状・形態を変化させるので、インサート
物形状に完全に密着し、熱交換をする。インサートの加
熱に気体を用いた場合には、インサート物の表面を乾燥
させる必要が無く、気体によって加熱しつつ、溶融樹脂
を射出することが出来るという結果、成形サイクルが極
端に長くならないという経済的効果を奏する。
【0072】また、インサート物の加熱に液体を用いた
場合には、気体に比べて、液体は、比熱が大きく単位体
積当たりの潜熱を多く持っているので、短時間にインサ
ート物網加熱することができる。また、特に、上述した
ように液体によって、インサート物を直接加熱する場合
は、揮発性の高い物質によって、加熱し、液体が気化
し、インサート物表面に付着した液体が蒸発し、インサ
ート物が乾燥した上で、溶融樹脂を射出する必要がある
が、上述したような間接的に加熱する場合においては、
比熱が大きく単位体積当たりの潜熱を多く持っている液
体を用いた方が気体を用いる場合より、短時間にインサ
ート物を加熱することができるという効果を奏する。
【0073】インサートの加熱に用いる液体のなかに
は、粉末固体をサスペンジョン(「サスペンション」と
も称する)させた熱媒体を用いた場合には、板金加工
(プレス加工)した製品(インサート)は、破断面に発
生したバリを前記粉末固体が除去する効果がある。
【0074】熱媒体に粉末・固体のみ用いた場合は、イ
ンサートととの接触面積が少ないので熱交換がうまく行
われず、昇温に時間がかかる。また、粉末固体がぶつか
ることによって、インサートに変形をもたらす恐れがあ
る。
【0075】可燃性のガスや液体、或いは固体を燃焼さ
せたときのガスは、高温であり、大きな熱エネルギーを
持つ事で金属インサートを短時間で昇温するのに適す
る。実際に、排ガス(燃焼ガス)は、可燃性の物質を燃
焼させた時に得られる。
【0076】反面、ガスを高温に昇温する場合には、ヒ
ーターなど用いて昇温する必要があり、装置が複雑にな
る。前記、排ガスは、可燃性物質を燃焼させるだけで得
られるので経済性か高い。メタンやエタンなどの炭化水
素が燃焼した時、発生する成分は、水蒸気と二酸化炭素
(CO2 )で環境汚染が少なく、毒性や爆発性のない不
活性なガスが得られる。
【0077】本実施形態においては、熱可塑性を示す樹
脂、または、前記熱可塑性を示す樹脂を主成分として無
機物、または有機物を用いた複合材料、あるいは熱可塑
性をゴムなどはすべて使用可能であるが、サーマルイン
クジェットに用いる樹脂部品に限定すれば、インクの成
分のうち前記熱可塑性を示す樹脂に対する耐薬品性が高
いことが要求される。また、サーマルインクジェットの
サーマル部の組み立て工程において、加熱融着させる場
合に対する耐熱性を考慮した結果において、ASTM−
D648に準じて測定された加熱変形温度が、150℃
より高い、一般にエンジニアリングプラスチック(略し
て「エンプラ」と称する)を使用する。
【0078】前記金型内に載置されたインサート物を、
少なくとも外部から熱媒体を取り入れる口を金型の外部
に持ち、金型の外部に熱発生装置を有し、その熱発生装
置に、熱媒体を通過させ、加熱昇温し、金型の内部に設
けられた回路を経て、直接インサート物を加熱し、イン
サート物の温度が、つづいて金型内に射出される樹脂の
加熱変形温度以上に加熱することが出来る金型構造を有
し、これらの金型、熱発生装置、熱媒体などを用いて、
サーマルインクジェットのマニホールドを製造する。
【0079】インサート部が急速に冷えると金属で出来
ているインサート物とプラスチックとでは、体積膨張率
の差が大きいので(実際には、金属のほうが小さい)、
プラスチックと金属とが接している部分に残留歪みが残
り、成形品にそり、変形が発生したり、また、割れが発
生したりしてしまう。したがって、本実施形態におい
て、金型の冷却時には、熱媒体の温度を徐々に下げるの
で、溶融樹脂の冷却を遅くすることにより、溶融樹脂の
溶融粘度の低下を抑制して、インサート物の変形を抑制
するという効果を奏する。
【0080】以下本発明の実施例について、図面を用い
て説明する。
【0081】(実施例)本実施例のインサート射出成形
用金型、インサート射出成形用金型の金型構造、インサ
ート成形品の製造方法、インサート成形品は、図1およ
び図2に示されるように成形機に型締め力15トンのF
ANUC製ロボショットα−15を用い、成形用樹脂に
は、ポリエーテルイミド(略号;PEI)を用いた。
【0082】金型の構造は、図1に示されるようにスプ
ールブッシュ10から該スプールブッシュ10に連絡し
たランナー9を介して、キャビティ4内に溶融樹脂が導
入される。前記ランナー9が形成された型の該ランナー
9の内側にインサートとしてのフィルター6を押さえる
フィルター押さえピン7、フィルター押さえピンバネ8
が直列に介挿されている。
【0083】図2に示されるようにインサートとしての
前記フィルター6を挾持する突出ピン5とフィルター押
さえピン7には同軸的にエアー流路112、113が形
成されている。前記突出ピン6が同軸的に介挿されてい
る押し出しピン3と、フィルター押さえピン7と対向す
る金型12、13との間にキャビティ4が形成される。
【0084】前記突出ピン5は、他端が当接するリター
ンプレート1と可動金型12との間にリターンスプリン
グ2が介挿される。
【0085】成形条件は、型温を110〜170度、射
出温度を30〜110mm/s、保圧を400〜900
kg/cmで行った。インサート物を挿入する際には、
エアーピンセットを用いた。
【0086】インサート物を金型内で固定する際には、
可動金型12側面にあるエアー流路112による吸引エ
アーを用いて固定する。また、固定金型13側にもエア
ーを通す流路113を作り、金型が閉まった時に、可動
側と固定側のエアー流路が合わさり、エアーが金型固定
側の外部から金型可動側の外部までエアーが貫通するよ
うになっている。
【0087】金型固定側の外部から150°C、250
°C、350°Cのそれぞれのホットエアーを送り込
み、金型可動側の外部には、吸引したホットエアーを冷
却するようにした。
【0088】上記実施例において、表1に前記に示すよ
うな方法で成形した時の不良個数と通常の方法で成形し
た時の不良個数を比較した結果を示す。不良とは、イン
サート物融着不良、インサート物破損、ショート、シル
バーを示す。
【表1】
【0089】上述の実施形態および実施例は、説明のた
めに例示したもので、本発明としてはそれらに限定され
るものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明お
よび図面の記載から当業者が認識することができる本発
明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の金型構造を示す断面図であ
る。
【図2】本実施例における金型のインサート物回りを示
す部分断面図である。
【符号の説明】
1 リターンプレート 2 リターンスプリング 3 押し出しピン 4 キャビティ 5 突出ピン 6 フィルター 7 フィルター押さえピン 8 フィルター押さえピンバネ 9 ランナー 10 スプールブッシュ 12 可動金型 13 固定金型 112、113 エアー流路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 105:22

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インサート射出成形用金型において、 熱媒体発生装置に接続され、金型内に熱媒体を導入する
    導入口が金型の外側壁に形成され、 前記導入口を介して導入された熱媒体によって、金型内
    に載置されたインサート物を、該金型内に射出される樹
    脂の加熱変形温度以上に加熱する加熱回路が形成され、 前記インサート物を加熱した熱媒体を金型から排出する
    排出口が形成されていることを特徴とするインサート射
    出成形用金型。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記インサート物が、マルテンサイト系ステンレス、オ
    ーステナイト系ステンレス、チタン、ニッケル、あるい
    はそれらの金属がコーティングされたものであることを
    特徴とするインサート射出成形用金型。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 前記インサート物が、通気孔が形成された網目構造また
    はその他の構造を備えていることを特徴とするインサー
    ト射出成形用金型。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 射出成形時、インサート物を熱媒体で吸引固定すること
    により、縦開閉金型または横開閉金型のどちらの金型で
    も固定可能に構成されていることを特徴とするインサー
    ト射出成形用金型構造。
  5. 【請求項5】 金型内に熱媒体を導入し、 導入された前記熱媒体によって、前記金型内に載置され
    たインサート物を、樹脂の加熱変形温度以上に加熱し、 前記加熱されたインサート物が載置されている前記金型
    内に樹脂を射出することを特徴とするインサート成形品
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、 前記熱媒体によって、前記インサート物およびインサー
    ト物を固定保持する金型キャビティの部分を、直接また
    は間接的に加熱することを特徴とするインサート成形品
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5において、 前記熱媒体が、加熱された気体または液体等の流体によ
    って構成されていることを特徴とするインサート成形品
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において、 前記熱媒体が、不活性な気体、可燃性のガスを燃焼させ
    た後に発生する排気ガスによって構成されていることを
    特徴とするインサート成形品の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項5において、 射出成形時における前記インサート物と溶融樹脂の温度
    との温度差が、少なくとも50度以下に保たれることを
    特徴とするインサート成形品の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、 前記金型の冷却時においては、前記熱媒体の温度を徐々
    に下げることを特徴とするインサート成形品の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 請求項5において、 前記インサート物に樹脂が回り込むまでの間、該インサ
    ート物の温度が少なくとも熱可塑性樹脂の加熱変形温度
    以上で保たれることを特徴とするインサート成形品の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 金型内に導入された熱媒体によって、
    樹脂の加熱変形温度以上に加熱されたインサート物が載
    置されている前記金型内に、樹脂を射出することにより
    成形されることを特徴とするインサート成形品。
  13. 【請求項13】 請求項12において、 前記インサート成形品が、ポリエーテルイミド樹脂、ポ
    リエーテルサルホン樹脂、ポリサルホン樹脂、特殊ナイ
    ロン樹脂、ポリフェニレンオキサイド(エーテル)樹脂
    のいずれかによって構成されていることを特徴とするイ
    ンサート成形品。
  14. 【請求項14】 請求項12において、 前記インサート成形品が、サーマルインクジェットのマ
    ニホールドであることを特徴とするインサート成形品。
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