JPH11105005A - 単板積層材 - Google Patents

単板積層材

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JPH11105005A
JPH11105005A JP19598198A JP19598198A JPH11105005A JP H11105005 A JPH11105005 A JP H11105005A JP 19598198 A JP19598198 A JP 19598198A JP 19598198 A JP19598198 A JP 19598198A JP H11105005 A JPH11105005 A JP H11105005A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた寸法安定性を確保した上で腐食を確実
に抑止することができるようにする。 【解決手段】 複数枚の単板2,3を積層することによ
って得られる単板積層材1であって、表面が外気に曝さ
れる表裏一対の表層単板2と、これら一対の表層単板2
に接着剤を介して挟持された内層単板3とから構成さ
れ、上記表層単板2には木材の寸法安定性を向上させる
合成樹脂が含浸されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数枚の単板を積
層することによって得られる単板積層材に関するもので
あり、特に家屋の土台、野晒しされる大型の木造建造
物、各種の建造物に付設されたデッキ、遊歩道等に適用
されるボードウォーク、あるいは野外設置の遊具等の木
造構造物への適用が好適な単板積層材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、木材をスライスすることによって
得られる、いわゆる単板の複数枚を接着剤を介して積層
した単板積層材が知られている。この単板積層材は、通
常の製材がその部位によって強度や反り易さ等が異なる
のに対し、製品間の品質バラツキが小さく、良好な寸法
安定性を有しており、かつ、間伐材等の劣性材料を有効
に利用することができる等の優れた性質を有しており、
各種の木質系の構造材や表装材として今後ますます盛ん
に利用される趨勢にある。
【0003】従来かかる単板積層材は、単に複数枚の単
板を接着剤を介して相互に積層するだけで製造されてい
たが、近年、積層材にフェノール系樹脂を含浸させるこ
とによって単板積層材を改質することが試みられてい
る。この改質は、単板積層材をフェノール系樹脂の溶液
に加圧状態等で浸漬してこの溶液を積層材に含浸させた
後、溶媒を加熱乾燥等によって揮散させ、これによって
積層された各単板の細胞壁内の微細な空間にフェノール
系樹脂等の合成樹脂を充填した状態にすることによって
行われる。
【0004】こうすることによるフェノール系樹脂等の
細胞内での硬化により単板積層材は、単板を単に積層し
たことによる利点に加え、寸法安定性がさらに良好にな
るとともに、切削等の加工が容易になる加工容易性等も
付加される。このような単板積層材の改質については、
特許第2611916号公報に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特許第26
11916号公報に記載されたものは、単板を積層して
得られた単板積層材に合成樹脂を含浸させるものである
ため、内部の単板のすべてに芯部分にまで均等に合成樹
脂を行き渡らせるためには、単板積層材をフェノール系
樹脂を溶かした溶液中に長時間に亘って浸漬しなければ
ならず、処理時間が長引くという問題点を有している。
【0006】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、処理時間の短縮を図った上
で、加工性および寸法安定性を向上させることができ、
さらに、腐食を確実に抑止することができる単板積層材
を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
単板積層材は、複数枚の単板を積層することによって得
られる単板積層材であって、表面が外気に曝される表裏
一対の表層単板と、これら一対の表層単板に接着剤を介
して挟持される所定枚数の内層単板とから構成され、上
記表層単板には木材の寸法安定性を向上させる合成樹脂
が含浸されていることを特徴とするものである。
【0008】この単板積層材によれば、複数枚の内層単
板の積層体は、寸法安定性(温度、含水率、直射日光照
射等によって反ったり、膨張したり、収縮したり、割れ
たりせずに常に安定した寸法を維持する性質)を向上さ
せる合成樹脂が含浸されることにより表面性能が改質さ
れた丈夫な表層単板によって挟持された状態になってい
るため、これら表層単板によって単板積層材は全体的に
丈夫なものになり、かつ、寸法狂いが生じ難くなるとと
もに、環境の温度変化や吸湿・放湿等で伸縮しても割れ
が生じなくなる等、性状が大幅に改善され、耐久性も向
上する。
【0009】本発明の請求項2記載の単板積層材は、請
求項1記載の単板積層材において、上記内層単板に防腐
剤が含浸されていることを特徴とするものである。
【0010】この単板積層材によれば、たとえ浸入した
湿気によって単板積層材の内部が微生物繁殖に適した環
境になっても防腐剤の防腐作用で微生物の繁殖が抑えら
れ、単板積層材が内部から腐食していくという不都合が
回避される。
【0011】従って、単板積層材は、内層単板の優れた
防腐効果と表層単板の寸法安定性向上効果とが相俟って
極めて耐久性に優れたものになるため、家屋の土台、野
晒しされる大型の木造建造物、各種の建造物に付設され
たデッキ、遊歩道等に適用されるボードウォーク、ある
いは野外設置の遊具等の過酷な環境下での木造構造物へ
の適用が好適なものになる。
【0012】また、防腐剤は、表層単板に含浸された合
成樹脂に阻止されることによって単板積層材の表面にま
でにじみ出てくることはなく、従って、単板積層材の表
面を触れても手などが防腐剤によって汚染されることが
ない。
【0013】本発明の請求項3記載の単板積層材は、請
求項2記載の単板積層材において、上記各内層単板には
積層される前に予め上記防腐剤が含浸されていることを
特徴とするものである。
【0014】この単板積層材によれば、厚みが薄い状態
の積層前の内層単板は、その芯部にまで防腐剤を含浸さ
せることが容易であり、かつ、防腐剤を各内層単板間で
均等に含浸させた状態にすることができるため、これら
内層単板を、接着剤を介して相互に積層して得られた単
板積層材は、単板を予め積層して単板積層材を形成した
後に単板積層材に防腐剤を含浸させた従来の単板積層材
に比べて単板積層材内に均等に防腐剤が分散した状態に
なっており、防腐剤の行き渡らなかった部分が腐食し易
い状態になるという従来の不都合を回避することができ
る。
【0015】本発明の請求項4記載の単板積層材は、請
求項2記載の単板積層材において、上記内装単板の所定
枚数を予め接着剤を介して積層することによって積層内
層板が形成され、この積層内層板に上記防腐剤による防
腐処理が施された後にこの積層内層板の表裏面に上記表
層単板が積層されていることを特徴とするものである。
【0016】この単板積層材によれば、内層用の単板の
1枚ずつに含浸処理を施す代わりに、予め形成された積
層内層板が防腐処理されるため、防腐剤による防腐効果
を確保した上で単板積層材の製造効率が向上する。
【0017】本発明の請求項5記載の単板積層材は、請
求項1乃至4のいずれかに記載の単板積層材において、
上記合成樹脂は、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、
グリオキサール系樹脂、ポリエチレングリコール系樹脂
およびビニル系樹脂の内のいずれかであることを特徴と
するものである。
【0018】この単板積層材によれば、単板に含浸され
るフェノール系樹脂、メラミン系樹脂、グリオキサール
系樹脂、ポリエチレングリコール系樹脂、およびビニル
系樹脂は水溶性のものであるため、有機溶剤を用いるも
のに比べて危険が少なく取り扱いが容易であるととも
に、有機溶剤を用いないため作業環境を清浄に維持する
上でも有効である。
【0019】そして上記各種の処理剤の内、特にフェノ
ール系樹脂は、木材の寸法安定性を向上させる機能を有
しているとともに、木材に対する防腐機能をも有してい
るため、フェノール系の樹脂のみで寸法安定性の向上処
理と防腐処理との双方を賄うことが可能になり、処理液
が複数種類になることによる煩わしさが解消され、その
分設備コストおよび処理コストの低減化に寄与すること
が可能になる。
【0020】本発明の請求項6記載の単板積層材は、請
求項2乃至4のいずれかに記載の単板積層材において、
上記防腐剤は、油性木材防腐剤、水溶性木材防腐剤およ
び乳化性木材防腐剤の内のいずれかであることを特徴と
するものである。
【0021】この単板積層材によれば、クレオソート油
等の油性木材防腐剤や、硼酸化合物系の木材防腐剤、フ
ェノール系樹脂等からなる水溶性木材防腐剤、あるいは
ナフテン酸銅等を含む脂肪酸金属塩系の木材防腐剤(乳
化性木材防腐剤)を用いることにより、これらの防腐剤
は、本来的に木材用のものとして調製されたものであ
り、単板積層材が防腐効果の優れたものになる。特に、
水溶性木材防腐剤および乳化性木材防腐剤は、溶媒が水
であり、有機溶剤を用いる必要がないため取り扱いが容
易になるとともに、作業環境も良好になる。
【0022】本発明の請求項7記載の単板積層材は、請
求項1乃至5のいずれかに記載の単板積層材において、
上記接着剤は、フェノール樹脂系接着剤、レゾルシノー
ル樹脂系接着剤、ポリウレタン樹脂系接着剤およびイソ
シアネート樹脂系接着剤の内のいずれかであることを特
徴とするものである。
【0023】この単板積層材によれば、単板同士を相互
に確実に接着した状態にすることができ、単板積層材を
用いた木造構造物を屋外に構築しても、単板積層材の単
板相互の剥離が確実に防止され、木造構造物が耐久性に
富んだものになる。
【0024】本発明の請求項8記載の単板積層材は、複
数枚の単板を接着剤を介して積層することにより得られ
る単板積層材であって、各単板は、積層される前に予め
木材改質用の薬剤が含浸されていることを特徴とするも
のである。
【0025】この単板積層材によれば、厚みが薄い状態
の積層前の単板は、その芯部にまで防腐剤を含浸させる
ことが容易であり、かつ、薬剤を各単板間で均等に含浸
させた状態にすることができるため、これら単板を、接
着剤を介して相互に積層して得られた単板積層材は、単
板を予め積層して単板積層材を形成した後に単板積層材
に薬剤を含浸させて得た従来の単板積層材に比べて単板
積層材内に均等に薬剤が分散した状態になっており、単
板積層材が均質なものになる。なお、上記薬剤として
は、寸法安定剤や防腐剤が挙げられる。
【0026】そして、各単板に寸法安定剤のみを含浸さ
せた場合には、単板積層材は、全体的に寸法安定性が付
与された寸法狂いの生じ難いものになり、また、各単板
に防腐剤のみを含浸させた場合には、単板積層材は、全
体的に優れた防腐作用を有するものになる。さらに、薬
剤がフェノール系樹脂のように寸法安定性付与機能と防
腐機能との両機能を有するものである場合には、単板積
層材は寸法安定性と防腐性との双方が備わったものにな
る。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る単板積層材
の一実施形態を示す一部切欠き斜視図である。この図に
示すように、単板積層材1は、一対の表層単板2と、こ
れら一対の表層単板2に挟持された複数の内層単板3と
を備えた基本構成を有している。そして、一対の表層単
板2間に接着剤を介して積層された複数枚の内層単板3
が挾持されて単板積層材1が形成されている。表層単板
2と内層単板3との間にも接着剤が介設され、これによ
って単板積層材1は、複数枚の単板2,3のそれぞれの
間に接着剤層4が形成された状態になっている。
【0028】上記各単板2,3は、本実施形態において
は、所定長に切断した丸太を樹心回りに回転させつつそ
の表面に樹心に平行にカッター刃を当てて薄く、例えば
略3mm厚みに切削することによって得られる、いわゆ
るロータリー単板が用いられているが、本発明は、単板
がロータリー単板であることに限定されるものではな
く、角材をカッターでスライスして得られるスライス単
板、角材を鋸刃で薄く切断して得られるソーン単板、あ
るいは丸太を長手方向に延びる所定の中心回りに周回さ
せつつ所定の周回点に固定されたカッターで切削して得
られるハーフラウンド単板等であってもよい。
【0029】また、本実施形態においては、単板2,3
の原料としての樹種は、南洋材であるラジアタパインが
採用されているが、ラジアタパインの他に、ラワン、ア
ピトン、カプール、ラミン、ジョンコン、セランガンバ
ツ等の南洋材、べいつが、べいまつ、べいすぎ等の米
材、えぞまつ、シベリアあかまつ、からまつ等のロシア
材等を適用することも可能であり、さらに、台湾産のた
いわんひのき、北アメリカ産のインセンスシダーやヒッ
コリー、西インド諸島産のマホガニー、チーク等も好適
に使用される。
【0030】上記表層単板2には、木材の寸法安定性を
向上させる機能を備えた合成樹脂(木材改質用の薬剤)
が含浸されているとともに、内層単板3には、木材の腐
食を防止する機能を備えた防腐剤(木材改質用の薬剤)
が含浸されている。因に、寸法安定性とは、温度、含水
率、直射日光の照射等によっても反ったり、膨張した
り、収縮したり、あるいは割れたりしない木材の性質の
ことである。
【0031】そして、かかる合成樹脂は、木材の寸法安
定性を向上させ得るという特質の他に、木材に浸透し易
い低分子量のものであること、取り扱いが容易な水溶性
のものであること、含浸処理が容易なものであること、
防火・防爆設備が不要な安全なものであること、耐微生
物性に富み、耐久性に優れたものであること等の要件を
満たすものが好ましく、本実施形態においては、上記合
成樹脂として水溶性のフェノール系樹脂が採用されてい
る。また、フェノール系樹脂は耐微生物性にも優れてい
るため、本実施形態においては、防腐剤としても上記と
同一のフェノール系樹脂が採用されている。
【0032】上記フェノール系樹脂は、フェノールとホ
ルマリンまたはパラホルムとを混合し、苛性ソーダを添
加してpHを10〜11に調製することによって得られ
る低分子量(分子量230〜950)のものであり、水
溶性であって、上記の要件を満たす合成樹脂である。
【0033】そして、このフェノール系樹脂の所定濃度
の水溶液に単板2,3を所定時間浸漬することによっ
て、フェノール系樹脂が単板2,3の木材組織の中に侵
入し、細胞壁に沈着した状態になる。この状態の単板
2,3を水溶液中から引き上げて風乾で自然乾燥させた
り、熱風乾燥機で強制乾燥することにより、単板2,3
は水分の揮散で組織内にフェノール系樹脂が含浸された
ものになる。
【0034】このようにして得られた内層単板3の表裏
面に接着剤を塗布した後、その内の所定枚数を相互に積
層して積層内層板30を形成し、この積層内層板30の
表裏に表層単板2を積層したのちプレスマシンに装着
し、所定温度に加熱された状態で所定時間の加圧処理を
施すことによって、図1に示すような本発明に係る単板
積層材1を得ることができる。
【0035】このようにして得られた単板積層材1は、
フェノール系樹脂が木の組織内に入り込んだ状態で加熱
処理によって硬化し、これによって組織そのものが補強
され、丈夫で、かつ、寸法安定性に富んだものになると
ともに、フェノール系樹脂の防腐機能によって腐食し難
いものになる。
【0036】なお、本実施形態においては、内層単板3
のそれぞれにフェノール系樹脂を含浸させた後に積層内
層板30をつくるようにしているが、こうする代わりに
まず積層内層板30をつくってから、この積層内層板3
0にフェノール系樹脂の含浸処理を施すようにしてもよ
い。こうすることによって単板積層材1の製造効率が向
上する。
【0037】上記接着剤層4を形成する接着剤は、本実
施形態においてはアルカリフェノール樹脂系の接着剤が
採用されているが、接着剤がアルカリフェノール樹脂系
のものであることに限定されるものではなく、レゾルシ
ノール樹脂系の接着剤、ポリウレタン樹脂系の接着剤、
あるいはイソシアネート樹脂系の接着剤を使用すること
ができる。
【0038】また、上記の含浸用の合成樹脂は、フェノ
ール系樹脂に限定されるものではなく、木材含浸用のメ
ラミン系樹脂、グリオキサール系樹脂、ポリエチレング
リコール系樹脂あるいはビニル系樹脂等についても好適
に適用可能である。
【0039】上記メラミン系樹脂としては、例えばメチ
ル化メチロールメラミン樹脂が用いられる。このメチル
化メチロールメラミン樹脂は、メタノール中にメラミン
を混入して所定の混合割合の混合物にし、この混合物に
略70℃で所定時間の加熱処理を施して両者を相互に反
応させ、その後、さらに所定量のメタノールを添加して
塩酸の触媒下でメチロール基のエーテル化を促進させ、
ついで苛性ソーダで中和し、最後に減圧下でメタノール
を留去することによって得られるものである。
【0040】また、上記グリオキサール系樹脂は、グリ
オキサールと、尿素と、ホルムアルデヒドとの初期縮合
物であり、略単量体で存在するものでる。ポリエチレン
グリコールとの共用を行うと効果が向上する。
【0041】また、上記ポリエチレングリコール系樹脂
は、酸化エチレンをエチレングリコールまたは水に付加
重合させることによって得られるものであり、分子量は
200〜4000であって、いずれも水に可溶である。
分子量の低いものは、木材に含浸された後、大気の湿度
が80%以上になるとしみ出すことがあるので、分子量
の大きいものが適している。
【0042】また、上記ビニル系樹脂は、ビニル基を有
する合成樹脂であり、本発明の目的に合致したものとと
してはポリビニルアルコールや酢酸ビニル等を代表例と
して挙げることができる。
【0043】そして、上記フェノール系の樹脂が寸法安
定性付与等の木材改質機能を有しているとともに、抗菌
性に起因した木材に対する防腐機能も有していることか
ら、本実施形態においては、上記内層単板3に含浸され
る防腐剤は、表層単板2に用いられるのと同一のフェノ
ール系の樹脂が適用されているが、本発明は、内層単板
3に用いられる防腐剤がフェノール系の樹脂であること
に限定されるものではなく、各種の油性木材防腐剤や水
溶性木材防腐剤、さらには乳化性木材防腐剤を適用する
ことができる。上記フェノール系の樹脂は、上記水溶性
木材防腐剤の範疇に含まれるものである。
【0044】上記油性木材防腐剤としては、代表的なも
のとして石炭の乾留時に得られるクレオソート油を挙げ
ることができる。
【0045】また、上記水溶性木材防腐剤としては、ク
ロム化合物(酸化クロム等)、銅化合物(酸化銅等)お
よび砒素化合物(酸化砒素等)の混合物からなる、いわ
ゆるクロム・銅・砒素化合物系木材防腐剤や、弗化物
(弗化ナトリウム等)、砒素化合物、クロム化合物およ
びフェノール類(ジニトロフェノール、ジニトロ−O−
クレゾール、クロロニトロフェノール等)の混合物から
なる、いわゆるフェノール類・無機弗化物系木材防腐剤
や、ジデシルジメチルアンモニウムクロライドを主成分
とする、いわゆるアルキルアンモニウム化合物系木材防
腐剤や、珪弗化銅、珪弗化亜鉛および二クロム酸アンモ
ニウムの混合物からなる、いわゆるクロム・銅・亜鉛化
合物系木材防腐剤を挙げることができる。
【0046】また、水溶性木材防腐剤としては、砒素化
合物ややクロム化合物を用いずに硼酸の化合物を主体と
してもの、例えば硼酸銅および/または硼酸亜鉛の一種
または二種以上を、アンモニアやモノメチルアミン等の
揮発性塩基性化合物の存在下で水に溶解して得られる組
成物(特許第2509761号掲載公報参照)を挙げる
ことができる。
【0047】さらに、水溶性木材防腐剤としては、ナフ
テン酸銅、ナフテン酸亜鉛、第三級カルボン酸亜鉛、あ
るいはベルメトン等を主成分とする、乳化性木材防腐剤
である脂肪族金属塩系の木材防腐剤を用いることもでき
る。
【0048】本発明は、以上詳述したように、複数枚の
単板を積層することによって得られる単板積層材1であ
って、表面が外気に曝される表裏一対の表層単板2と、
これら一対の表層単板2に接着剤を介して挟持された内
層単板3とから構成され、表層単板2には木材の寸法安
定性を向上させる合成樹脂が含浸されている一方、内層
単板3に防腐剤が含浸されてなるものである。従って、
厚みが薄い状態の積層前の表層単板2および内層単板3
を対象とし、それらに合成樹脂および防腐剤をそれぞれ
含浸させることは容易であり、各単板2,3に合成樹脂
および防腐剤をそれぞれ均等に含浸させた状態にするこ
とができるため、これら単板2,3を、接着剤を介して
相互に積層して得られた単板積層材1は、単板を予め積
層して単板積層材を形成した後に単板積層材に防腐剤を
含浸させて得た従来の単板積層材に比べて単板積層材1
内に均等に防腐剤が分散した状態になっており、防腐剤
の行き渡らなかった部分が腐食し易い状態になるという
不都合を回避することができる。
【0049】また、これら内層単板3の積層体は、合成
樹脂が含浸されることにより表面性能が改質された、い
わゆる丈夫な表層単板2によって挟持されているため、
これらの表層単板2によって単板積層材1は全体的に丈
夫なものになり、かつ、寸法狂いが生じ難くなるととも
に、耐久性および硬度が向上することによって環境の温
度変化や吸湿・放湿等で伸縮しても割れが生じなくなる
等、性状が大幅に改善される。従って、単板積層材1
は、上記優れた防腐効果と相俟って家屋の土台、野晒し
される大型の木造建造物、各種の建造物に付設されたデ
ッキ、遊歩道等に適用されるボードウォーク、あるいは
野外設置の遊具等の過酷な環境下での木造構造物への適
用が好適なものになる。
【0050】また、表層単板2に含浸される合成樹脂と
して、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、グリオキサ
ール系樹脂、ポリエチレングリコール系樹脂、あるいは
ビニル系樹脂を適用することによって、これらの樹脂は
水溶性のものであるため取り扱いが容易であるととも
に、有機溶剤を用いたものでないため作業環境を清浄に
維持する上でも有効である。
【0051】また、防腐剤としては、クレオソート油等
の油性木材防腐剤や、クロム・銅・砒素化合物系の木材
防腐剤、硼酸系の木材防腐剤、フェノール系樹脂からな
る木材防腐剤等の水溶性木材防腐剤、あるいはナフテン
酸銅等を含む脂肪酸金属塩系の木材防腐剤(乳化性木材
防腐剤)を用いるようにすれば、これらの防腐剤は、木
材用のものとして調製されたものであり、単板積層材1
が防腐効果の優れたものになる。特に、水溶性木材防腐
剤および乳化性木材防腐剤は、溶媒が水であり、有機溶
剤を用いる必要がないため取り扱いが容易になるととも
に、作業環境も良好になる。
【0052】そして上記各種の処理剤の内、特にフェノ
ール系樹脂は、木材の寸法安定性を向上させる機能を有
しているとともに、木材に対する防腐機能をも有してい
るため、フェノール系の樹脂のみで寸法安定性の向上処
理と防腐処理との双方を賄うことが可能になり、処理液
が複数種類になることによる煩わしさが解消され、その
分設備コストおよび処理コストの低減化に寄与すること
が可能になる。
【0053】また単板2,3間に形成される接着剤層4
用の接着剤として、対候性および耐久性に優れたフェノ
ール樹脂系接着剤、レゾルシノール樹脂系接着剤、ポリ
ウレタン樹脂系接着剤、あるいはイソシアネート樹脂系
接着剤を用いることにより、単板2,3同士を相互に確
実に接着した状態にすることができ、単板積層材1を用
いた木造構造物を屋外に構築しても、単板積層材1の単
板2,3相互の剥離がす確実に防止され、木造構造物が
耐久性に富んだものになる。
【0054】
【実施例】
(製造例1)濃度が約50重量%の低分子のフェノール
樹脂に所定量の水を添加してフェノール樹脂分が略20
重量%の作業液を調製した。この作業液は、表層単板用
と内層単板用との共用の作業液である。一方、ラジアタ
パインからなる厚み寸法が3.0mmの原料単板を多数
枚調製し、これらの原料単板を上記作業液に浸漬して単
板内に作業液を注入した。この注入に際し、作業液が存
在する環境をまず30分間減圧環境にし、30分が経過
した後、引き続き30分間常圧環境に設定した。かかる
合計1時間の浸漬処理によって原料単板に作業液が注入
され、これによって原料単板の重量が略100%増加し
た作業液含浸単板が得られた。
【0055】ついで、この作業液含浸単板を作業液から
引き上げて乾燥炉に装填し、この作業液含浸単板に60
〜90℃の熱風を6時間供給する乾燥処理を施した。こ
の乾燥処理によって水分が8重量%に低下した乾燥済み
単板が得られた。この乾燥済み単板を3日間、常温、常
圧の室内に放置して養生することにより養生済み単板が
得られた。
【0056】このようにして得られた養生済み単板8枚
の片面にアルカリフェノール樹脂系の接着剤を所定厚み
になるように塗布して積層し、残りの接着剤の塗布され
ていない1枚を積層体の接着剤が塗布されている面に積
層することによって接着剤を介して9枚の養生済み単板
が積層された積層体が得られた。上記接着剤の塗布量
は、220〜250g/m2に設定している。
【0057】この積層体を所定のプレスマシンに装填
し、略125℃、10kg/cm2で40分間保持する
熱圧成形処理を積層体に施すことによって本発明の第1
製造例に係る単板積層材1が得られた。
【0058】(製造例2)製造例1と同様の9枚の原料
単板の内の2枚に上記と同様の処理を施して表層単板用
の作業液含浸単板を調製した後、上記と同様の乾燥条件
で乾燥処理して乾燥済み単板を得た。一方、残りの7枚
の原料単板を対象として内層単板3用の防腐処理作業液
を調製した。この防腐処理作業液は、硼素化合物と第四
級アンモニウム化合物とを含有してなるアンモニア性硼
素木材防腐剤(商品名:セルボーP、特開平9−150
8号公報参照)を使用した。このセルボーPは、原液の
有効成分濃度が53%であるが、これを水で0.95%
に稀釈して防腐処理作業液とした。この作業液に7枚の
原料単板を浸漬して単板内に作業液を注入した。この注
入に際し、作業液が存在する環境をまず30分間減圧環
境にし、30分が経過した後、引き続き30分間常圧環
境に設定した。こうすることによって重量の増加率が略
90%の内層単板用の作業液含浸単板7枚を得た。
【0059】このようにして得られた7枚の内層単板3
用の作業液含浸単板に対して120〜140℃で20分
間の乾燥処理を施し、内層単板3用の乾燥済み単板を得
た。これらの乾燥済み単板に上記同様の接着剤塗布を行
った後、これらを積層して内層単板3用の積層体を得る
とともに、この積層体の表裏面に上記2枚の表層単板用
の乾燥済み単板を接着剤を介して積層して9枚の積層体
を得、これに上記と同様のプレス処理を施して本発明の
第2製造例に係る単板積層材1が得られた。
【0060】(製造例3)原料単板として、厚み寸法が
3.0mmのセランガンバツ材からなる単板を採用し
た。セランガンバツ材は、重くて硬い木材であり、耐久
性および強度が高く、従来から枕木、橋梁材あるいは港
湾材等の重構造材として用いられるものである。かかる
セランガンバツ材からなる原料単板9枚の内の2枚に製
造例1と同様の処理を施して表層単板用の作業液含浸単
板を調製した後、製造例1と同様の乾燥条件で乾燥した
乾燥済み単板を得た。
【0061】これら2枚の乾燥済み単板間に、アルカリ
フェノール樹脂系の接着剤を介して積層された残りの原
料単板(内層単板)7枚を挟んで9枚の単板が積層され
てなる積層体を得た。乾燥済み単板と7枚の積層体との
間にも同じ接着剤を介在させている。接着剤の塗布量
は、上記と同様に220〜250g/m2に設定してい
る。内層単板に防腐剤の含浸処理を施さなかったのは、
セランガンバツ材そのものが非常に耐久性の優れた材料
であり、含浸処理を施さなくても容易に腐食しないから
である。
【0062】ついで、上記積層体に、略125℃、12
kg/cm2で25分間保持する熱圧成形処理を施すこ
とによって本発明の第3製造例に係る単板積層材1を得
た。
【0063】このようにして得られた単板積層材は、原
料単板自体が耐久性および強度の高い材料である上、内
層単板の積層体が作業液の含浸された表層単板によって
挟持されているため、さらに丈夫で、かつ、寸法安定性
が優れたものになっている。
【0064】(従来例との比較) (1)単板積層材の幅方向膨潤率比較試験 本発明の係る単板積層材(本発明品)と、従来の単板積
層材(従来品)との幅方向の膨潤率の比較試験を行っ
た。まず本発明品については、原料木材としてラジアタ
パインを採用し、この原料木材から上記「製造例1」の
製法で単板積層材を製造した。各単板の厚み寸法は3m
mに設定し、これの9枚で単板積層材を調製したため、
製品としての単板積層材の厚み寸法は接着剤層の厚み寸
法を加えて略30mmになっている。この本発明品を縦
横が所定寸法になるように切断して直方体状の本発明品
のサンプルピースを得た。
【0065】従来品については、原料木材として、イ
ペ、アピトンおよびクルインの3種類を採用し、これら
のそれぞれについて厚み寸法3mmの原料単板を調製し
た後、それぞれについて合成樹脂および防腐剤の含浸処
理を施すことなく「製造例1」で用いたのと同一の接着
剤を介して9枚の原料単板を加圧積層し、3種類の単板
積層材を得た。これらの従来品の単板積層材に「製造例
1」と同様の合成樹脂を含浸させた後、縦横が所定寸法
になるように裁断して直方体状の従来品のサンプルピー
スを3種類得た。
【0066】ついで、これら本発明品および従来品のサ
ンプルピースの所定枚数を、自然環境を模した耐候試験
室に所定期間配置し、幅方向(繊維に直交する方向)へ
の膨潤率を測定した。測定結果は、表1に示す通りであ
った。
【0067】
【表1】
【0068】表1から判る通り、本発明品は幅方向の膨
潤率が0.3〜0.5%であるのに対し、従来品は7.
9〜12.1%と非常に大きい値を示している。これに
よって、単板段階で合成樹脂を含浸させた本発明品が、
単板段階では合成樹脂の含浸処理を行わずに単板積層材
に含浸処理を施した従来品より幅方向の膨潤率が小さ
く、すなわち、寸法安定性に優れていることが確認され
た。
【0069】(2)単板積層材と製材との野外放置によ
る割れ状態比較試験 本発明品と、単板積層材ではない、いわゆる製材との表
面の割れ状態を比較する野外試験を行った。単板積層材
は、上記「製造例2」に基づいて製造したものを採用
し、これを所定寸法の直方体状に裁断してテストピース
とした。一方、イペを原料として上記本発明品のテスト
ピースと同一寸法に裁断した比較例のテストピースを調
製した。
【0070】ついで、これらのテストピースを野外に3
年間放置し、これらの表面の割れの発生状態を目視で観
察した。観察結果は、表2に示す通りである。
【0071】
【表2】
【0072】表2に示す通り、本発明品の場合、幅寸法
が0.5mm以下の割れは生じていたが、0.5mmを
越える割れは全く発生していなかった。これに対し、比
較例のものは、幅寸法が2mm以下の割れはもちろんの
こと、2mmを越える大きな割れも発生していることが
判った。これによって、本発明品が、野外に長期間に亘
って放置されても、極めて割れが生じ難く、品質の劣化
を防ぐことができるものであることが確認された。
【0073】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の単板積層材によ
れば、表面が外気に曝される表裏一対の表層単板と、こ
れら一対の表層単板に接着剤を介して挟持される所定枚
数の内層単板とから単板積層材を形成し、表層単板とし
て木材の寸法安定性を向上させる合成樹脂を含浸された
ものを用いたため、複数枚の内層単板の積層体は、合成
樹脂の含浸された丈夫な表層単板によって挟持された状
態になり、これら表層単板によって単板積層材を全体的
に丈夫で、かつ、寸法狂いが生じ難いものになり、これ
によって単板積層材を環境の温度変化や吸湿・放湿等で
伸縮しても割れが生じなくなる等、木材としての性状を
大幅に改善することができるとともに、耐久性をも向上
させることができる。
【0074】本発明の請求項2記載の単板積層材によれ
ば、内層単板に防腐剤を含浸したため、内層単板の積層
体は、たとえその内部が浸入した湿気により微生物の繁
殖に適した環境になっても防腐剤の作用で微生物の繁殖
が抑えられ、単板積層材が内部から腐食していくという
不都合を回避することができる。
【0075】従って、単板積層材は、寸法安定性と優れ
た防腐効果とが相俟って家屋の土台、野晒しされる大型
の木造建造物、各種の建造物に付設されたデッキ、遊歩
道等に適用されるボードウォーク、あるいは野外設置の
遊具等の過酷な環境下での木造構造物への適用を好適な
ものにすることができる。
【0076】本発明の請求項3記載の単板積層材によれ
ば、積層される前の内装単板には予め防腐剤が含浸され
ているため、厚みが薄い状態の積層前の内層単板は、そ
の芯部にまで防腐剤を含浸させることが容易であり、か
つ、防腐剤を各内層単板間で均等に含浸させた状態にす
ることができ、これら内層単板を、接着剤を介して相互
に積層して得られた単板積層材は、単板を予め積層して
単板積層材を形成した後に単板積層材に防腐剤を含浸さ
せて得た従来の単板積層材に比べて単板積層材内に均等
に防腐剤が分散した状態になっており、防腐剤の行き渡
らなかった部分が腐食し易い状態になるという従来の不
都合を回避することができる。
【0077】本発明の請求項4記載の単板積層材によれ
ば、内装単板の所定枚数を接着剤を介して積層すること
によって予め積層内層板を形成し、この積層内層板に防
腐剤による防腐処理を施したため、内層用の単板の1枚
ずつに含浸処理を施す代わりに、予め形成された積層内
層板が防腐処理され、これによって防腐剤による防腐効
果を確保した上で単板積層材の製造効率を向上させるこ
とができる。
【0078】本発明の請求項5記載の単板積層材によれ
ば、表層単板用の合成樹脂としてフェノール系樹脂、メ
ラミン系樹脂、グリオキサール系樹脂、ポリエチレング
リコール系樹脂およびビニル系樹脂の内のいずれかを用
いるようにしたため、フェノール系樹脂、メラミン系樹
脂、グリオキサール系樹脂、ポリエチレングリコール系
樹脂、およびビニル系樹脂は水溶性のものであるため、
有機溶剤を用いるものに比べて危険が少なく取り扱いが
容易であるとともに、有機溶剤を用いたものでないため
作業環境を清浄に維持する上でも有効である。
【0079】そして各種の処理剤の内、特にフェノール
系樹脂は、木材の寸法安定性を向上させる機能を有して
いるとともに、木材に対する防腐機能をも有しているた
め、フェノール系の樹脂のみで寸法安定性の向上処理と
防腐処理との双方を賄うことが可能になり、処理液が複
数種類になることによる煩わしさが解消され、その分設
備コストおよび処理コストの低減化に寄与することがで
きる。
【0080】本発明の請求項6記載の単板積層材によれ
ば、防腐剤として油性木材防腐剤、水溶性木材防腐剤お
よび乳化性木材防腐剤の内のいずれかを用いるようにし
たため、油性木材防腐剤、水溶性木材防腐剤および乳化
性木材防は、木材用のものとして特に調製されたもので
あり、単板積層材を防腐効果の優れたものにすることが
できる。特に、水溶性木材防腐剤および乳化性木材防腐
剤は、溶媒が水であり、有機溶剤を用いる必要がないた
め取り扱いが容易になるとともに、作業環境を良好なも
のにすることができる。
【0081】本発明の請求項7記載の単板積層材によれ
ば、接着剤としてフェノール樹脂系接着剤、レゾルシノ
ール樹脂系接着剤、ポリウレタン樹脂系接着剤およびイ
ソシアネート樹脂系接着剤の内のいずれかを用いるよう
にしたため、単板同士を相互に確実に接着した状態にす
ることができ、単板積層材を用いた木造構造物を屋外に
構築しても、単板積層材の単板相互の剥離が確実に防止
され、木造構造物を耐久性に富んだものにすることがで
きる。
【0082】本発明の請求項8記載の単板積層材によれ
ば、積層する前の各単板に予め木材改質用の薬剤を含浸
しているため、厚みが薄い状態の積層前の単板は、その
芯部にまで防腐剤を含浸させることが容易であり、か
つ、薬剤を各単板間で均等に含浸させた状態にすること
ができ、これら単板を、接着剤を介して相互に積層して
得られた単板積層材は、単板を予め積層して単板積層材
を形成した後に単板積層材に薬剤を含浸させて得た従来
の単板積層材に比べて単板積層材内に均等に薬剤が分散
した状態になっており、単板積層材を均質なものにする
ことができる。
【0083】そして、各単板に薬剤の内の寸法安定剤の
みを含浸させた場合には、単板積層材を、全体的に寸法
安定性が付与された寸法狂いの生じ難いものにすること
ができ、また、各単板に薬剤のうちの防腐剤のみを含浸
させた場合には、単板積層材を、全体的に優れた防腐作
用を有するものにすることができる。さらに、薬剤がフ
ェノール系樹脂のように寸法安定性付与機能と防腐機能
との両機能を有するものである場合には、単板積層材を
寸法安定性と防腐性との双方を備えたものにすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る単板積層材の一実施形態を示す一
部切欠き斜視図である。
【符号の説明】
1 単板積層材 2 表層単板 3 内層単板 30 積層内層材 4 接着剤層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数枚の単板を積層することによって得
    られる単板積層材であって、表面が外気に曝される表裏
    一対の表層単板と、これら一対の表層単板に接着剤を介
    して挟持される所定枚数の内層単板とから構成され、上
    記表層単板には木材の寸法安定性を向上させる合成樹脂
    が含浸されていることを特徴とする単板積層材。
  2. 【請求項2】 上記内層単板に防腐剤が含浸されている
    ことを特徴とする請求項1記載の単板積層材。
  3. 【請求項3】 上記各内層単板には積層される前に予め
    上記防腐剤が含浸されていることを特徴とする請求項2
    記載の単板積層材。
  4. 【請求項4】 上記内装単板の所定枚数を予め接着剤を
    介して積層することによって積層内層板が形成され、こ
    の積層内層板に上記防腐剤による防腐処理が施された後
    にこの積層内層板の表裏面に上記表層単板が積層されて
    いることを特徴とする請求項2記載の単板積層材。
  5. 【請求項5】 上記合成樹脂は、フェノール系樹脂、メ
    ラミン系樹脂、グリオキサール系樹脂、ポリエチレング
    リコール系樹脂およびビニル系樹脂の内のいずれかであ
    ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の
    単板積層材。
  6. 【請求項6】 上記防腐剤は、油性木材防腐剤、水溶性
    木材防腐剤および乳化性木材防腐剤の内のいずれかであ
    ることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の
    単板積層材。
  7. 【請求項7】 上記接着剤は、フェノール樹脂系接着
    剤、レゾルシノール樹脂系接着剤、ポリウレタン樹脂系
    接着剤およびイソシアネート樹脂系接着剤の内のいずれ
    かであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに
    記載の単板積層材。
  8. 【請求項8】 複数枚の単板を接着剤を介して積層する
    ことにより得られる単板積層材であって、各単板は、積
    層される前に予め木材改質用の薬剤が含浸されているこ
    とを特徴とする単板積層材。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010173194A (ja) * 2009-01-29 2010-08-12 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 木質パネルおよび当該木質パネルの製造方法
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JP2013226680A (ja) * 2012-04-25 2013-11-07 Akita Prefectural Univ 木質系積層成型物
CN115741908A (zh) * 2022-11-22 2023-03-07 广东东方广厦模块化建筑有限公司 一种耐腐蚀胶合板及其制备方法

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