JPH11103699A - 寒地における直播水稲農法および当該方法に使用する加熱装置 - Google Patents
寒地における直播水稲農法および当該方法に使用する加熱装置Info
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- JPH11103699A JPH11103699A JP28794497A JP28794497A JPH11103699A JP H11103699 A JPH11103699 A JP H11103699A JP 28794497 A JP28794497 A JP 28794497A JP 28794497 A JP28794497 A JP 28794497A JP H11103699 A JPH11103699 A JP H11103699A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 寒地における大規模な直播水稲栽培おいて、
農薬使用量を確実に減少させ、米の収穫量を確実に安定
増大させる。 【解決手段】 灌漑用水の供給源および灌水地点の少な
くとも一方に、当該灌漑用水を加熱する加熱装置を設け
る一方、田を挟んで前記灌水地点と対向する位置に、用
水路に連通する水門を設ける。加熱装置に温度センサを
設けて灌漑用水の加熱温度を制御管理し、水田水の平均
温度を15℃以上30℃以下に保つ。より好ましくは水
田の直下に灌漑用水の供給および排水を行うための管路
を埋設し、前記加熱装置を通過した灌漑用水を当該管路
に圧送する。加熱装置は、加熱水の直線的上昇を妨げる
遮蔽板を設け、複数の加熱室に区分する。
農薬使用量を確実に減少させ、米の収穫量を確実に安定
増大させる。 【解決手段】 灌漑用水の供給源および灌水地点の少な
くとも一方に、当該灌漑用水を加熱する加熱装置を設け
る一方、田を挟んで前記灌水地点と対向する位置に、用
水路に連通する水門を設ける。加熱装置に温度センサを
設けて灌漑用水の加熱温度を制御管理し、水田水の平均
温度を15℃以上30℃以下に保つ。より好ましくは水
田の直下に灌漑用水の供給および排水を行うための管路
を埋設し、前記加熱装置を通過した灌漑用水を当該管路
に圧送する。加熱装置は、加熱水の直線的上昇を妨げる
遮蔽板を設け、複数の加熱室に区分する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、田に直接播種して稲を
育てる直播水稲農法に係り、とくに寒地での安定多収生
産を実現するための農業技術に関する。
育てる直播水稲農法に係り、とくに寒地での安定多収生
産を実現するための農業技術に関する。
【0002】
【従来の技術】水稲の栽培方式には、田植えを行う移植
法と、種籾をそのまま田に蒔く直播(じきまき/ちょく
はん)法とがある。田植えにみられる移植法の成立以前
の原始農法では、じきまき式が主流であった。ところが
稲作の収量は日照時間や外気温による影響を強く受け
る。しかし日照時間や外気温は自然の営みであるため、
これを人為的にコントロールすることは難しく、稲作に
おける収量の増大や安定を図る試みは、主として稲の成
長初期段階における操作、すなわち発芽と稲立の安定化
にむけられてきた。
法と、種籾をそのまま田に蒔く直播(じきまき/ちょく
はん)法とがある。田植えにみられる移植法の成立以前
の原始農法では、じきまき式が主流であった。ところが
稲作の収量は日照時間や外気温による影響を強く受け
る。しかし日照時間や外気温は自然の営みであるため、
これを人為的にコントロールすることは難しく、稲作に
おける収量の増大や安定を図る試みは、主として稲の成
長初期段階における操作、すなわち発芽と稲立の安定化
にむけられてきた。
【0003】春先に行われる田植えは、苗代で生育させ
た稲の苗を本田に植え付ける作業であるが、この方式
は、稲の発芽および成長期における保護育成によって冷
害による稲作被害を最小にすることを目的とし、わが国
においてもかなり古い時代から行われていたとされる。
苗代に関する技術改良は現在も続けられており、ビニル
ハウスをはじめ各種の方式/手段が知られるに至ってい
る。
た稲の苗を本田に植え付ける作業であるが、この方式
は、稲の発芽および成長期における保護育成によって冷
害による稲作被害を最小にすることを目的とし、わが国
においてもかなり古い時代から行われていたとされる。
苗代に関する技術改良は現在も続けられており、ビニル
ハウスをはじめ各種の方式/手段が知られるに至ってい
る。
【0004】一方、直播法は種籾を直接田に蒔いて発芽
・苗立を行うため、移植法に較べて収量が不安定であ
り、たとえ自然条件が整っても収量が少ないという難が
ある。安定収量を目的とする限り、直播法は移植法に較
べて難が大きすぎ、水害地、干害地のような生産能力の
きわめて低い土地を除いては、近世以降は殆どみられな
い農法になっていた。
・苗立を行うため、移植法に較べて収量が不安定であ
り、たとえ自然条件が整っても収量が少ないという難が
ある。安定収量を目的とする限り、直播法は移植法に較
べて難が大きすぎ、水害地、干害地のような生産能力の
きわめて低い土地を除いては、近世以降は殆どみられな
い農法になっていた。
【0005】ところが近時、この直播法が見直されるよ
うになっている。北海道をはじめとする大区画水田にお
ける作業効率と農業コストの低減という要請があり、ま
た農薬の改良進歩による立ち枯れ防止の実現等が大きな
理由である。
うになっている。北海道をはじめとする大区画水田にお
ける作業効率と農業コストの低減という要請があり、ま
た農薬の改良進歩による立ち枯れ防止の実現等が大きな
理由である。
【0006】これは次の通りである。まず大区画水田に
おける作業効率である。近時、農業機械の進歩によって
田植え作業も効率的になったが、水田面積が数万坪を越
える大規模農家では、田植えをする前にビニルハウス等
の苗床を作って苗の成長を管理する作業負担が極めて重
い。田植え前の苗代管理に要する労働は、例えばハウス
(苗床)の建設または修繕、苗床づくり、温度(暖房)
管理、水の補給、成長した苗の刈り取り、苗の結束、農
業機械までの運搬といったものであるが、農業規模が大
きくなればなるほど、この作業負担は相乗的に重くな
る。
おける作業効率である。近時、農業機械の進歩によって
田植え作業も効率的になったが、水田面積が数万坪を越
える大規模農家では、田植えをする前にビニルハウス等
の苗床を作って苗の成長を管理する作業負担が極めて重
い。田植え前の苗代管理に要する労働は、例えばハウス
(苗床)の建設または修繕、苗床づくり、温度(暖房)
管理、水の補給、成長した苗の刈り取り、苗の結束、農
業機械までの運搬といったものであるが、農業規模が大
きくなればなるほど、この作業負担は相乗的に重くな
る。
【0007】このような問題は、大区画水田における農
業経費とも密接不可分に結びつく。すなわち苗床数が増
大するに従ってハウス規模も大きくなり(または増加
し)、その建築修繕費用も増大する。暖房費用(燃料
費)も増える。またマット(苗床容器)も耐用年数があ
るため代金を支払って交換し、苗床数に応じて増大する
農薬費用も必要となる。
業経費とも密接不可分に結びつく。すなわち苗床数が増
大するに従ってハウス規模も大きくなり(または増加
し)、その建築修繕費用も増大する。暖房費用(燃料
費)も増える。またマット(苗床容器)も耐用年数があ
るため代金を支払って交換し、苗床数に応じて増大する
農薬費用も必要となる。
【0008】そして、このような経費負担と作業負担の
増大が農業経営を圧迫する原因となっていることが大規
模農家に広く認識されるに至り、多少、収穫量が減少す
ることがあっても、より作業負担が少なく、より経費負
担の少ない直播法の利点が認識されるようになったわけ
である。
増大が農業経営を圧迫する原因となっていることが大規
模農家に広く認識されるに至り、多少、収穫量が減少す
ることがあっても、より作業負担が少なく、より経費負
担の少ない直播法の利点が認識されるようになったわけ
である。
【0009】直播式を採用した場合の問題は、発芽・成
長期における稲籾の酸素不足と成長の遅れに伴う立ち枯
れであったが、各種農薬の改善により、水中に直蒔きし
た苗籾も比較的良好に成長し、大規模水田経営を比較的
容易に維持できる程度の収穫結果を得るようになった。
長期における稲籾の酸素不足と成長の遅れに伴う立ち枯
れであったが、各種農薬の改善により、水中に直蒔きし
た苗籾も比較的良好に成長し、大規模水田経営を比較的
容易に維持できる程度の収穫結果を得るようになった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、移植法
と比較した場合、直播法による稲穂(米)の収穫量は未
だ十分というほどのレベルには達していない。同じ環境
下で田植えを行う移植法と比較して、直播法の収穫量は
概算で8割程度に減ずる。立ち枯れだけでなく、発芽期
における風の影響で田水が揺動し苗が浮遊して成長しな
い等の問題が生じるからである。
と比較した場合、直播法による稲穂(米)の収穫量は未
だ十分というほどのレベルには達していない。同じ環境
下で田植えを行う移植法と比較して、直播法の収穫量は
概算で8割程度に減ずる。立ち枯れだけでなく、発芽期
における風の影響で田水が揺動し苗が浮遊して成長しな
い等の問題が生じるからである。
【0011】直播法においても、米の収穫量を増加させ
るための試みは研究されている。直播法における収穫量
の安定増大は、さまざまな要因を考慮して実現すべきも
のであるが、第一には、水中に浸かった籾の酸素不足を
解消するため、籾に酸素供給剤を与える方法が採用され
ており、同時に、成長促進剤を与えることによって早期
の発芽・苗立を図る試みがなされている。また、稲の発
芽と成長は、水田水の温度に依存することは周知である
から、灌漑用水の温度を上げるため、早めに灌水し、陽
光によって水田水の温度を上昇させたり、水田水を排出
し、昼間の陽光によって田の土を急速に温め再び灌水す
る等の試みがなされている。もちろん、収穫量を増大さ
せるため、レーザ光を使用した整地装置により田の高低
平均を数センチメートル以内に抑え、水田水が綺麗に田
に広がるようにする提案もなされている。
るための試みは研究されている。直播法における収穫量
の安定増大は、さまざまな要因を考慮して実現すべきも
のであるが、第一には、水中に浸かった籾の酸素不足を
解消するため、籾に酸素供給剤を与える方法が採用され
ており、同時に、成長促進剤を与えることによって早期
の発芽・苗立を図る試みがなされている。また、稲の発
芽と成長は、水田水の温度に依存することは周知である
から、灌漑用水の温度を上げるため、早めに灌水し、陽
光によって水田水の温度を上昇させたり、水田水を排出
し、昼間の陽光によって田の土を急速に温め再び灌水す
る等の試みがなされている。もちろん、収穫量を増大さ
せるため、レーザ光を使用した整地装置により田の高低
平均を数センチメートル以内に抑え、水田水が綺麗に田
に広がるようにする提案もなされている。
【0012】以上のように、直播法における収穫量の安
定と増大は、農薬技術、水田水の温度管理、整地技術が
複合的に作用して発展してきた。しかしながら、直播法
の問題は、現時点において必ずしも十分に解決されてい
るわけではない。最も大きな問題は、農薬の使用の問題
である。
定と増大は、農薬技術、水田水の温度管理、整地技術が
複合的に作用して発展してきた。しかしながら、直播法
の問題は、現時点において必ずしも十分に解決されてい
るわけではない。最も大きな問題は、農薬の使用の問題
である。
【0013】直播法は、北海道や東北地方の大規模農家
が、経営改善のために導入した方式であるが、これらの
地方で供給される灌漑用水は、山の融雪水が主であり、
春先の平均水温が10℃以下であって、外気温も平均1
2〜15℃でしかない。このため籾の成長は極めて遅
く、籾が水に浸かった状態が続くと酸素不足になる等の
理由から前述したように多量の酸素供給剤と成長促進剤
(いわゆるカルパ/商品名)を籾に多重に粉衣する。
が、経営改善のために導入した方式であるが、これらの
地方で供給される灌漑用水は、山の融雪水が主であり、
春先の平均水温が10℃以下であって、外気温も平均1
2〜15℃でしかない。このため籾の成長は極めて遅
く、籾が水に浸かった状態が続くと酸素不足になる等の
理由から前述したように多量の酸素供給剤と成長促進剤
(いわゆるカルパ/商品名)を籾に多重に粉衣する。
【0014】このための農薬コストは、予想外に高い。
田地規模が大きくなるに従って農薬コストは、経営を圧
迫するほどに高額となる。しかも農薬は、近時、需要者
からの拒絶反応もある。従って農家としても可能な限り
その使用量を抑えたいのであるが、十分な農薬を使用し
なければ経営を継続するための収穫量が得られないとい
う矛盾が生じる。しかも農薬を稲籾に多重粉衣するとき
の、その作業は、当然ながら農業作業者の健康を害する
という深刻な問題も、強く広く認識されるに至った。
田地規模が大きくなるに従って農薬コストは、経営を圧
迫するほどに高額となる。しかも農薬は、近時、需要者
からの拒絶反応もある。従って農家としても可能な限り
その使用量を抑えたいのであるが、十分な農薬を使用し
なければ経営を継続するための収穫量が得られないとい
う矛盾が生じる。しかも農薬を稲籾に多重粉衣するとき
の、その作業は、当然ながら農業作業者の健康を害する
という深刻な問題も、強く広く認識されるに至った。
【0015】そこで本発明の目的は、寒地における直播
法において、可能な限り農薬使用量を低減し、同時に、
米の収穫量を安定増大させる点にある。
法において、可能な限り農薬使用量を低減し、同時に、
米の収穫量を安定増大させる点にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る直播水稲農法は、整地を行った乾田に
播種し灌水する直播水稲農法を技術的前提として、灌漑
用水の供給源および灌水地点の少なくとも一方に、当該
灌漑用水を加熱する加熱装置を設ける一方、田を挟んで
前記灌水地点と対向する位置に、用水路に連通する水門
を設ける。
め、本発明に係る直播水稲農法は、整地を行った乾田に
播種し灌水する直播水稲農法を技術的前提として、灌漑
用水の供給源および灌水地点の少なくとも一方に、当該
灌漑用水を加熱する加熱装置を設ける一方、田を挟んで
前記灌水地点と対向する位置に、用水路に連通する水門
を設ける。
【0017】好ましくは、前記加熱装置に温度センサを
設けて灌漑用水の加熱温度を制御管理し、水田水の平均
温度を15℃以上30℃以下に保つ。また、より好まし
くは水田の直下に灌漑用水の供給および排水を行うため
の管路を埋設し、前記加熱装置を通過した灌漑用水を当
該管路に圧送する。
設けて灌漑用水の加熱温度を制御管理し、水田水の平均
温度を15℃以上30℃以下に保つ。また、より好まし
くは水田の直下に灌漑用水の供給および排水を行うため
の管路を埋設し、前記加熱装置を通過した灌漑用水を当
該管路に圧送する。
【0018】かかる方法で使用する加熱装置は、土地改
良区から供給される灌漑用水を本体ケースに取り入れる
ための第一用水管と、前記用水路の水を本体ケースに取
り入れるためのポンプ装置および第二用水管とを備える
とともに、本体ケース内の用水を加熱するための炉体お
よびバーナ装置を備える一方、前記炉体は、適宜の形状
パターンを描いて本体ケースの上下方向に伸びるよう配
設し、本体ケース内に、前記用水の直線的上昇を妨げる
少なくとも一の遮蔽板を備え、かつ、本体ケースの上部
位置に、本体ケース内で加熱した用水を田に排出供給す
るための排水管を備えることが望ましい。
良区から供給される灌漑用水を本体ケースに取り入れる
ための第一用水管と、前記用水路の水を本体ケースに取
り入れるためのポンプ装置および第二用水管とを備える
とともに、本体ケース内の用水を加熱するための炉体お
よびバーナ装置を備える一方、前記炉体は、適宜の形状
パターンを描いて本体ケースの上下方向に伸びるよう配
設し、本体ケース内に、前記用水の直線的上昇を妨げる
少なくとも一の遮蔽板を備え、かつ、本体ケースの上部
位置に、本体ケース内で加熱した用水を田に排出供給す
るための排水管を備えることが望ましい。
【0019】
【作用】本発明は、直播水稲を行う田の水(水田水)の
温度を高めて、籾の発芽・苗立に要する時間(日数)を
短縮させ、酸素不足解消や成長促進のために従来使用し
てきた農薬使用を可能な限り控えるものである。田に張
った用水(水田水)の温度上昇によって籾が早期に発芽
すれば、水に浸かった状態に起因する籾の酸素不足の問
題も解消され、成長促進のための農薬も不要となる。
温度を高めて、籾の発芽・苗立に要する時間(日数)を
短縮させ、酸素不足解消や成長促進のために従来使用し
てきた農薬使用を可能な限り控えるものである。田に張
った用水(水田水)の温度上昇によって籾が早期に発芽
すれば、水に浸かった状態に起因する籾の酸素不足の問
題も解消され、成長促進のための農薬も不要となる。
【0020】ところで近代直播法は、北海道や東北地方
にみられる大規模農業において採用される水稲栽培法で
あるから、一枚の田の面積は、例えば180メートル平
方といった具体に広い。勿論、この田はレーザ光使用の
装置によって高低差数センチメートル以内に整地され、
水田水の高低差による成長速度のバラツキも解消される
ことが収量増大の前提である。このような広い田に灌漑
用水を供給する際、単にボイラ装置で加熱した温水を供
給したのでは、用水温度が不均一となり、稲の成長速度
や品質にばらつきが生じて実用に耐えない。
にみられる大規模農業において採用される水稲栽培法で
あるから、一枚の田の面積は、例えば180メートル平
方といった具体に広い。勿論、この田はレーザ光使用の
装置によって高低差数センチメートル以内に整地され、
水田水の高低差による成長速度のバラツキも解消される
ことが収量増大の前提である。このような広い田に灌漑
用水を供給する際、単にボイラ装置で加熱した温水を供
給したのでは、用水温度が不均一となり、稲の成長速度
や品質にばらつきが生じて実用に耐えない。
【0021】本発明は、田に供給する灌漑用水を温める
ことが基本であるが、請求項1に記載したように、水の
加熱装置(ボイラ装置)は、田圃に直接用水を排出する
場所に設けても良いし、灌漑用水を供給する根元地(土
地改良区)施設に設けても良い。いずれの場所にボイラ
(加熱装置)を設けても、田に張るための用水温度を上
昇させることが出来る点では同じである。
ことが基本であるが、請求項1に記載したように、水の
加熱装置(ボイラ装置)は、田圃に直接用水を排出する
場所に設けても良いし、灌漑用水を供給する根元地(土
地改良区)施設に設けても良い。いずれの場所にボイラ
(加熱装置)を設けても、田に張るための用水温度を上
昇させることが出来る点では同じである。
【0022】そこで本発明は、田を挟んでボイラ(加熱
装置)の設置地点(温水排出位置)と対向する場所に、
用水路に連通する水門を設け、大規模田地に温水を供給
する場合に発生する用水温度の不均衡を解消する。尚、
請求項1に記載したように、水の加熱装置(ボイラ装
置)は、田圃に直接用水を排出する場所に設けても良い
し、灌漑用水を供給する根元地(土地改良区)施設に設
けても良い。いずれの場所にボイラ(加熱装置)を設け
ても、田に張るための用水温度を上昇させることが出来
る点では同じである。
装置)の設置地点(温水排出位置)と対向する場所に、
用水路に連通する水門を設け、大規模田地に温水を供給
する場合に発生する用水温度の不均衡を解消する。尚、
請求項1に記載したように、水の加熱装置(ボイラ装
置)は、田圃に直接用水を排出する場所に設けても良い
し、灌漑用水を供給する根元地(土地改良区)施設に設
けても良い。いずれの場所にボイラ(加熱装置)を設け
ても、田に張るための用水温度を上昇させることが出来
る点では同じである。
【0023】温水は、例えば図1に示すように供給す
る。すなわち、田1の端に加熱装置2があり、水門3は
田1を挟んだ適当位置に配する。4は灌漑用水を循環さ
せるための用水路、符号5,6は隣接する田,8は農
道、9は暗渠である。加熱装置2と水門3とが田1を挟
んで離隔されることにより、加熱装置2から供給される
温水は、田1にまんべんなく行きわたる。広大な水田1
の隅々において用水の温度格差を解消するには、このよ
うに温水供給源(2)と、温水を用水路へ排出する水門
3とを離隔させ、温水を水門方向へ流動させることが必
要である。尚、水門3は必要に応じて複数設けて良い。
る。すなわち、田1の端に加熱装置2があり、水門3は
田1を挟んだ適当位置に配する。4は灌漑用水を循環さ
せるための用水路、符号5,6は隣接する田,8は農
道、9は暗渠である。加熱装置2と水門3とが田1を挟
んで離隔されることにより、加熱装置2から供給される
温水は、田1にまんべんなく行きわたる。広大な水田1
の隅々において用水の温度格差を解消するには、このよ
うに温水供給源(2)と、温水を用水路へ排出する水門
3とを離隔させ、温水を水門方向へ流動させることが必
要である。尚、水門3は必要に応じて複数設けて良い。
【0024】水門3から排出された温水は、用水路4を
経由して加熱装置2に循環する。かかる水田水の循環加
熱により加熱装置2におけるバーナ燃費は格段に向上す
る。例えば土地改良区から受ける灌漑用水温度が8℃で
あり、加熱装置2を通して田1に供給する用水温度を1
5℃とする場合には、摂氏7度分の温度上昇を図る必要
があり、しかもそれを何度も繰り返す必要がある。
経由して加熱装置2に循環する。かかる水田水の循環加
熱により加熱装置2におけるバーナ燃費は格段に向上す
る。例えば土地改良区から受ける灌漑用水温度が8℃で
あり、加熱装置2を通して田1に供給する用水温度を1
5℃とする場合には、摂氏7度分の温度上昇を図る必要
があり、しかもそれを何度も繰り返す必要がある。
【0025】しかし、いったん加熱供給した水田水の平
均温度が例えば12℃となり、これを17℃に加熱して
再供給し、さらに水門3および用水路4を経由して循環
加熱すれば、水稲発芽の初期段階における限界温度(2
5℃〜30℃)に水温を保持することは小さな加熱装置
においても容易であり、しかも燃費効率は格段に上昇す
る。図5に示すように、直播直後の初期段階における籾
の発芽は、水温によって大きく左右されるが、約30℃
をもって限界となり、25℃まで水温を上昇させれば、
限界の30℃と遜色のない発芽率を得ることが知られて
いる。
均温度が例えば12℃となり、これを17℃に加熱して
再供給し、さらに水門3および用水路4を経由して循環
加熱すれば、水稲発芽の初期段階における限界温度(2
5℃〜30℃)に水温を保持することは小さな加熱装置
においても容易であり、しかも燃費効率は格段に上昇す
る。図5に示すように、直播直後の初期段階における籾
の発芽は、水温によって大きく左右されるが、約30℃
をもって限界となり、25℃まで水温を上昇させれば、
限界の30℃と遜色のない発芽率を得ることが知られて
いる。
【0026】この場合、水田水の平均水温は最低15℃
とすることが必要である。図5に示したように、籾の発
芽速度は水温15℃を臨界とするからである。また図5
では水温30℃が発芽速度を高める上限であるが、その
後の成長を促進するには水温は高いほど良い。真夏の快
晴時では陽光によって水田水が加熱され、例えば60〜
65℃まで温度が上昇する。この水温と外気温と陽光に
よって、稲の成長が早まる。本発明に係る温水供給方式
は、水田水の循環加熱であるから、比較的小さな加熱装
置でも平均水温を65℃程度までに高めることは可能で
ある。但し、外気温が低い場合には燃費が悪くなるの
で、陽光によって水温が高まる日を選んで適当日数だけ
真夏と同じ水温環境を作り出せば良い。
とすることが必要である。図5に示したように、籾の発
芽速度は水温15℃を臨界とするからである。また図5
では水温30℃が発芽速度を高める上限であるが、その
後の成長を促進するには水温は高いほど良い。真夏の快
晴時では陽光によって水田水が加熱され、例えば60〜
65℃まで温度が上昇する。この水温と外気温と陽光に
よって、稲の成長が早まる。本発明に係る温水供給方式
は、水田水の循環加熱であるから、比較的小さな加熱装
置でも平均水温を65℃程度までに高めることは可能で
ある。但し、外気温が低い場合には燃費が悪くなるの
で、陽光によって水温が高まる日を選んで適当日数だけ
真夏と同じ水温環境を作り出せば良い。
【0027】収穫前に、水温を高めて稲の成長を促進し
た場合、稲穂数が減ずる等の冷害を最大限に回避するこ
とが可能となる。稲穂数や品質に影響を与える自然条件
は、専ら稲の成長後における日照時間である。稲が成長
した後(一毛作を採るわが国の場合でいえば夏を過ぎて
から)の日照時間が多ければ多いほど稲穂数(収穫量)
も増加し、米の味も良くなる。初期段階における稲の成
長は外気温よりむしろ水温に依存するので、水温を高
め、稲の成長を早めておけば、その後の日照時間は天候
確率的に確実に増加する。例えば8月下旬における例年
の稲の成長割合を、水温を高めることによって人為的に
8月上旬に作り出しておけば、その日数差、例えば20
日間で得られる日照が、冷害を回避する最も有効な手段
として作用する。天候不順で日照時間が少なくても、数
十日の余裕があるならば、その間の合計日照時間が、稲
穂数を増やし品質を向上させて冷害から米を護る。
た場合、稲穂数が減ずる等の冷害を最大限に回避するこ
とが可能となる。稲穂数や品質に影響を与える自然条件
は、専ら稲の成長後における日照時間である。稲が成長
した後(一毛作を採るわが国の場合でいえば夏を過ぎて
から)の日照時間が多ければ多いほど稲穂数(収穫量)
も増加し、米の味も良くなる。初期段階における稲の成
長は外気温よりむしろ水温に依存するので、水温を高
め、稲の成長を早めておけば、その後の日照時間は天候
確率的に確実に増加する。例えば8月下旬における例年
の稲の成長割合を、水温を高めることによって人為的に
8月上旬に作り出しておけば、その日数差、例えば20
日間で得られる日照が、冷害を回避する最も有効な手段
として作用する。天候不順で日照時間が少なくても、数
十日の余裕があるならば、その間の合計日照時間が、稲
穂数を増やし品質を向上させて冷害から米を護る。
【0028】請求項3では、水田の直下に灌漑用水の供
給および排水を行うための管路を埋設する旨を記載し
た。これは、水田の上からだけでなく埋設管からも温水
を供給することによって土の中の温度も高めることが主
たる目的である。北海道のような寒冷地では、春先の土
温度も低いため、温水によって強制的に土に熱を加え、
水田水の保熱効果を高めることが望ましい。また埋設管
は排水にも利用できる。通常、排水は用水路を利用する
が、水はけが悪いと田土が酸素不足となって翌年の米の
成長や品質に悪い影響が出る。埋設管に水を落として排
水することにより田の水は完全に排水可能となり、土中
酸素も増え、耕土作業も容易となる。
給および排水を行うための管路を埋設する旨を記載し
た。これは、水田の上からだけでなく埋設管からも温水
を供給することによって土の中の温度も高めることが主
たる目的である。北海道のような寒冷地では、春先の土
温度も低いため、温水によって強制的に土に熱を加え、
水田水の保熱効果を高めることが望ましい。また埋設管
は排水にも利用できる。通常、排水は用水路を利用する
が、水はけが悪いと田土が酸素不足となって翌年の米の
成長や品質に悪い影響が出る。埋設管に水を落として排
水することにより田の水は完全に排水可能となり、土中
酸素も増え、耕土作業も容易となる。
【0029】請求項4は、灌漑用水を温める加熱装置
(ボイラ装置)の一形態を特定する。本発明で使用する
加熱装置は、本来的には水を導入する本体ケースがあ
り、そこにバーナ装置と炉体とを設ければ良い。どのよ
うな手段であれ水を加熱する機構さえ備えていれば請求
項1〜請求項3までの目的は達成するからである。しか
しながら大規模水田に供給する大量の水を温めるには、
より装置効率を向上させ、燃料コストを低減し加熱時間
を短縮する必要がある。尚、灌漑用水の供給速度は例え
ば200〜400リットル/分である。
(ボイラ装置)の一形態を特定する。本発明で使用する
加熱装置は、本来的には水を導入する本体ケースがあ
り、そこにバーナ装置と炉体とを設ければ良い。どのよ
うな手段であれ水を加熱する機構さえ備えていれば請求
項1〜請求項3までの目的は達成するからである。しか
しながら大規模水田に供給する大量の水を温めるには、
より装置効率を向上させ、燃料コストを低減し加熱時間
を短縮する必要がある。尚、灌漑用水の供給速度は例え
ば200〜400リットル/分である。
【0030】請求項4記載の加熱装置は、本体ケース内
に水を取り入れる給水管として、土地改良区から供給さ
れる灌漑用水用の第一用水管と、用水路の循環させる第
二用水管とを備える。いずれの用水も加熱できるように
するためである。尚、土地改良区からの用水は圧送され
るためポンプを必要としないが、用水路の水を循環加熱
するには、ポンプ装置を必要とする。
に水を取り入れる給水管として、土地改良区から供給さ
れる灌漑用水用の第一用水管と、用水路の循環させる第
二用水管とを備える。いずれの用水も加熱できるように
するためである。尚、土地改良区からの用水は圧送され
るためポンプを必要としないが、用水路の水を循環加熱
するには、ポンプ装置を必要とする。
【0031】バーナ装置で発生させる火熱は、本体ケー
ス内の炉体に導き、本体ケースに取り入れた用水と熱交
換させる。加熱された水は対流上昇するが、ケース内の
水を温めて単純に上部から吸引排出したのでは、本体ケ
ース内にある大量の水の温度にバラツキが生じ、低い温
度の水も田に排出供給する結果となる。
ス内の炉体に導き、本体ケースに取り入れた用水と熱交
換させる。加熱された水は対流上昇するが、ケース内の
水を温めて単純に上部から吸引排出したのでは、本体ケ
ース内にある大量の水の温度にバラツキが生じ、低い温
度の水も田に排出供給する結果となる。
【0032】そこで本装置では、本体ケース内に用水の
直線的上昇を妨げる少なくとも一の遮蔽板を設ける。加
熱によって対流上昇する水をストレートに上昇させるの
ではなく、左右方向または下方に迂回させ、炉体との接
触機会を増加させることによって、まんべんなく加熱し
てから田に排出供給させるためである。加熱された水は
必然的に上昇するから、その水を加熱する炉体も、上下
方向に延設する。炉体の距離は長い方が好ましいから、
U字管を用いて迂回させつつ上昇経路を構成するのが望
ましい。バーナ装置の位置は限定されないが、炉体の最
下段位置に配すると装置構成を単純化できる。尚、請求
項2に記載したように、温度管理を容易にするため加熱
装置には水温を計測するセンサを設け、任意温度に水温
を調整できるようにしても良い。
直線的上昇を妨げる少なくとも一の遮蔽板を設ける。加
熱によって対流上昇する水をストレートに上昇させるの
ではなく、左右方向または下方に迂回させ、炉体との接
触機会を増加させることによって、まんべんなく加熱し
てから田に排出供給させるためである。加熱された水は
必然的に上昇するから、その水を加熱する炉体も、上下
方向に延設する。炉体の距離は長い方が好ましいから、
U字管を用いて迂回させつつ上昇経路を構成するのが望
ましい。バーナ装置の位置は限定されないが、炉体の最
下段位置に配すると装置構成を単純化できる。尚、請求
項2に記載したように、温度管理を容易にするため加熱
装置には水温を計測するセンサを設け、任意温度に水温
を調整できるようにしても良い。
【0033】
【実施例】以下、添付図面に基づいて本発明の実施例を
説明する。図1に示したように、本発明に係る直播水稲
農法は、田1の端に加熱装置2を配し、田1を挟んだ適
当位置に水門3を配して、田1の水を循環加熱する。田
1に供給する温水は、例えば図2に示すように、下向き
の吐出管10から温水を吐出するか、或いは図2(b)
に示すように埋設管11を通して地中から温水を噴出す
る方式を採る。尚、符号14は土地改良区から圧送され
る用水用の管(用水管)である。
説明する。図1に示したように、本発明に係る直播水稲
農法は、田1の端に加熱装置2を配し、田1を挟んだ適
当位置に水門3を配して、田1の水を循環加熱する。田
1に供給する温水は、例えば図2に示すように、下向き
の吐出管10から温水を吐出するか、或いは図2(b)
に示すように埋設管11を通して地中から温水を噴出す
る方式を採る。尚、符号14は土地改良区から圧送され
る用水用の管(用水管)である。
【0034】加熱装置2は、例えば図3,図4に示すよ
うに、本体ケース21と、バーナ装置22、および炉体
23を備え、また土地改良区から供給される灌漑用水を
取り入れるための第一用水管24と、用水路の水を循環
させて取り入れる第二用水管25とを備える。符号Wは
水を表す。
うに、本体ケース21と、バーナ装置22、および炉体
23を備え、また土地改良区から供給される灌漑用水を
取り入れるための第一用水管24と、用水路の水を循環
させて取り入れる第二用水管25とを備える。符号Wは
水を表す。
【0035】27は、排熱管である。この排熱管27
は、例えばU字管(エルボ管)を用いてジグザグ配置
し、水との接触面積を可能な限り大きくすることが望ま
しい。尚、排熱が下方から上方にスムースに流れるよ
う、排熱管27は上下方向に延長する。排熱の流れを考
慮するとバーナ装置22および炉体23は本体ケース2
1の最下段に配し、排熱管27を上方に向けてジグザグ
延長させると良い。バーナ火力が大きい場合は、左右方
向へも排熱管をジグザグ延長して構わない。
は、例えばU字管(エルボ管)を用いてジグザグ配置
し、水との接触面積を可能な限り大きくすることが望ま
しい。尚、排熱が下方から上方にスムースに流れるよ
う、排熱管27は上下方向に延長する。排熱の流れを考
慮するとバーナ装置22および炉体23は本体ケース2
1の最下段に配し、排熱管27を上方に向けてジグザグ
延長させると良い。バーナ火力が大きい場合は、左右方
向へも排熱管をジグザグ延長して構わない。
【0036】30,31は、遮蔽板である。この遮蔽板
30は、用水管24,25から本体ケース内に取り入れ
た水Wが最下段の炉体23で加熱され、そのままストレ
ートに上昇しないようにするもので、本体ケース21を
複数の部屋に仕切り、各室R1,R2,R3に滞留させ
た水Wを排熱管27によってさらに加熱するための手段
である。符号H,H2は、遮蔽板端部の開口であり、水
Wはこれらの開口H1,H2を通過して順次次室へ上昇
する。本実施例では各室Rに、少なくとも二本の水平排
熱管を設けているが、排熱管の本数は適宜増減して構わ
ない。また遮蔽板の数も適宜増減できる。
30は、用水管24,25から本体ケース内に取り入れ
た水Wが最下段の炉体23で加熱され、そのままストレ
ートに上昇しないようにするもので、本体ケース21を
複数の部屋に仕切り、各室R1,R2,R3に滞留させ
た水Wを排熱管27によってさらに加熱するための手段
である。符号H,H2は、遮蔽板端部の開口であり、水
Wはこれらの開口H1,H2を通過して順次次室へ上昇
する。本実施例では各室Rに、少なくとも二本の水平排
熱管を設けているが、排熱管の本数は適宜増減して構わ
ない。また遮蔽板の数も適宜増減できる。
【0037】このような加熱装置2を利用した場合、土
地改良区から圧送供給される灌漑用水、或いは用水路の
循環水は、まず最下段室(R1)の炉体23および排熱
管27によって加熱され、遮蔽板30によって上昇を妨
げられつつ横方向へ動き開口H1を通って次室(R2)
に移動し、さらに加熱され次室(R3)に移ってさらに
加熱される。開口H1,H2は、左右に離隔させて配置
し、水Wが各室でしばらくの時間滞留できるようにして
あるので、バーナ装置22で発生する熱を最大限に利用
することが可能となり、燃費効率が格段に高まる。水の
吐出量は、例えば毎分150〜400リットル程度であ
る。
地改良区から圧送供給される灌漑用水、或いは用水路の
循環水は、まず最下段室(R1)の炉体23および排熱
管27によって加熱され、遮蔽板30によって上昇を妨
げられつつ横方向へ動き開口H1を通って次室(R2)
に移動し、さらに加熱され次室(R3)に移ってさらに
加熱される。開口H1,H2は、左右に離隔させて配置
し、水Wが各室でしばらくの時間滞留できるようにして
あるので、バーナ装置22で発生する熱を最大限に利用
することが可能となり、燃費効率が格段に高まる。水の
吐出量は、例えば毎分150〜400リットル程度であ
る。
【0038】加熱装置2を用いて温水を供給することに
より発芽を促進するに際し、ひとつの実施例として次の
ような温水供給方法が挙げられる。通常は田1に供給し
た温水を循環加熱して再供給すれば良いのであるが、春
先に気温が低い場合、すべての田(1a,1b,5,
6)に平均して温水を供給し続けるのは燃費効率からい
って不経済である。田に張る水は平均4〜5cmであ
り、夜間に水温が低下すると翌日の再加熱にも多大の燃
料が必要となる。
より発芽を促進するに際し、ひとつの実施例として次の
ような温水供給方法が挙げられる。通常は田1に供給し
た温水を循環加熱して再供給すれば良いのであるが、春
先に気温が低い場合、すべての田(1a,1b,5,
6)に平均して温水を供給し続けるのは燃費効率からい
って不経済である。田に張る水は平均4〜5cmであ
り、夜間に水温が低下すると翌日の再加熱にも多大の燃
料が必要となる。
【0039】そこで、従来一枚であった田1を二枚に区
分し(1a,1b)、水門3の開閉によって、温水を供
給するエリア(1a,1b)を使い分ける。勿論、初回
は両方の田(1a,1b)に温水を供給するのが望まし
いが、例えば田1bの水門3bを開閉操作して、田1b
に張った温水をすべて田1aに集める。このようにする
と、田1aの水量が増え、夜間の温度低下を最大限に抑
えることが出来る。一方、水抜きされた田1bは、翌日
の日照で土温度が高まる。このとき(翌日)田1aの温
水は再加熱してもよく、しなくても良い。もともとの水
温が高いので(夜間の温度低下が少ないので)日照があ
れば水温は自動的に15℃以上を確保出来るからであ
る。水温が十分に高い場合には、その日はボイラを焚か
ず、加熱装置2のポンプを介して田1aの水を田1bに
切り換え供給する。田1bは日中の日照によって十分に
土温度が高くなっているので、その日の夜の温度低下に
も十分に耐える。これを繰り返すことで、より少ない燃
料消費で、田1(a,b)の温度管理を行うことが可能
となる。夏以降、必要に応じて水温を高める場合にも同
様の方法を採ることが出来る。
分し(1a,1b)、水門3の開閉によって、温水を供
給するエリア(1a,1b)を使い分ける。勿論、初回
は両方の田(1a,1b)に温水を供給するのが望まし
いが、例えば田1bの水門3bを開閉操作して、田1b
に張った温水をすべて田1aに集める。このようにする
と、田1aの水量が増え、夜間の温度低下を最大限に抑
えることが出来る。一方、水抜きされた田1bは、翌日
の日照で土温度が高まる。このとき(翌日)田1aの温
水は再加熱してもよく、しなくても良い。もともとの水
温が高いので(夜間の温度低下が少ないので)日照があ
れば水温は自動的に15℃以上を確保出来るからであ
る。水温が十分に高い場合には、その日はボイラを焚か
ず、加熱装置2のポンプを介して田1aの水を田1bに
切り換え供給する。田1bは日中の日照によって十分に
土温度が高くなっているので、その日の夜の温度低下に
も十分に耐える。これを繰り返すことで、より少ない燃
料消費で、田1(a,b)の温度管理を行うことが可能
となる。夏以降、必要に応じて水温を高める場合にも同
様の方法を採ることが出来る。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る寒地に
おける直播法において、籾の発芽を促進し、また苗の成
長を促進することが出来る。従って、農薬使用量は確実
に減少し、また米の収穫量も確実に安定増大する。
おける直播法において、籾の発芽を促進し、また苗の成
長を促進することが出来る。従って、農薬使用量は確実
に減少し、また米の収穫量も確実に安定増大する。
【図1】本発明に係る直播法の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る加熱装置の温水排出口を例示する
図である。
図である。
【図3】本発明に係る加熱装置の外観構成例を示す図で
ある。
ある。
【図4】本発明に係る加熱装置の例を示す図である。
【図5】苗の発芽後の成長と温水の関係を示すグラフ図
である。
である。
1,5,6 田 2 加熱装置 3 水門 4,14 用水路 8 農道 9 暗渠 10 吐出管 11 埋設管 21 本体ケース 22 バーナ装置 23 炉体 24 第一用水管 25 第二用水管 27 排熱管 30,31 遮蔽板 W 水 H1,H2 開口
Claims (4)
- 【請求項1】整地を行った乾田に播種し灌水する直播水
稲農法において、 灌漑用水の供給源および灌水地点の少なくとも一方に、
当該灌漑用水を加熱する加熱装置を設ける一方、 田を挟んで前記灌水地点と対向する位置に、用水路に連
通する水門を設けることを特徴とする寒地における直播
水稲農法。 - 【請求項2】前記加熱装置に温度センサを設けて灌漑用
水の加熱温度を制御管理し、水田水の平均温度を15℃
以上30℃以下に保つことを特徴とする請求項1記載の
寒地における直播水稲農法。 - 【請求項3】水田の直下に灌漑用水の供給および排水を
行うための管路を埋設し、前記加熱装置を通過した灌漑
用水を当該管路に圧送することを特徴とする請求項1ま
たは請求項2記載の寒地における直播水稲農法。 - 【請求項4】前記加熱装置は、 土地改良区から供給される灌漑用水を本体ケースに取り
入れるための第一用水管と、前記用水路の水を本体ケー
スに取り入れるためのポンプ装置および第二用水管とを
備えるとともに、 本体ケース内の用水を加熱するための炉体およびバーナ
装置を備える一方、 前記炉体は、適宜の形状パターンを描いて本体ケースの
上下方向に伸びるよう配設し、 本体ケース内に、前記用水の直線的上昇を妨げる少なく
とも一の遮蔽板を備え、かつ、本体ケースの上部位置
に、本体ケース内で加熱した用水を田に排出供給するた
めの排水管を備えることを特徴とする請求項1乃至請求
項3に記載した寒地における直播水稲農法に使用する加
熱装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28794497A JPH11103699A (ja) | 1997-10-03 | 1997-10-03 | 寒地における直播水稲農法および当該方法に使用する加熱装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28794497A JPH11103699A (ja) | 1997-10-03 | 1997-10-03 | 寒地における直播水稲農法および当該方法に使用する加熱装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11103699A true JPH11103699A (ja) | 1999-04-20 |
Family
ID=17723765
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28794497A Withdrawn JPH11103699A (ja) | 1997-10-03 | 1997-10-03 | 寒地における直播水稲農法および当該方法に使用する加熱装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11103699A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010134928A1 (en) * | 2009-05-22 | 2010-11-25 | Valmont Industries, Inc. | Method for irrigating and fertilizing rice |
CN103814763A (zh) * | 2014-02-25 | 2014-05-28 | 宜春学院 | 开放条件下人工增温鉴定水稻高温结实性的方法及装置 |
JP2020000145A (ja) * | 2018-06-29 | 2020-01-09 | ロックアート株式会社 | 雑草及び雑草種子の死滅方法 |
CN110881398A (zh) * | 2019-12-05 | 2020-03-17 | 塔里木大学 | 一种水流温度可调的灌溉装置及控制方法 |
JP2020195287A (ja) * | 2019-05-31 | 2020-12-10 | 丸上若葉工業株式会社 | 稲作システム、稲作方法 |
CN114793850A (zh) * | 2022-03-22 | 2022-07-29 | 安徽农业大学 | 一种基于农业物联网的水稻灌排水系统 |
-
1997
- 1997-10-03 JP JP28794497A patent/JPH11103699A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010134928A1 (en) * | 2009-05-22 | 2010-11-25 | Valmont Industries, Inc. | Method for irrigating and fertilizing rice |
US8087201B2 (en) | 2009-05-22 | 2012-01-03 | Valmont Industries, Inc. | Method for irrigating and fertilizing rice |
CN103814763A (zh) * | 2014-02-25 | 2014-05-28 | 宜春学院 | 开放条件下人工增温鉴定水稻高温结实性的方法及装置 |
JP2020000145A (ja) * | 2018-06-29 | 2020-01-09 | ロックアート株式会社 | 雑草及び雑草種子の死滅方法 |
JP2020195287A (ja) * | 2019-05-31 | 2020-12-10 | 丸上若葉工業株式会社 | 稲作システム、稲作方法 |
CN110881398A (zh) * | 2019-12-05 | 2020-03-17 | 塔里木大学 | 一种水流温度可调的灌溉装置及控制方法 |
CN114793850A (zh) * | 2022-03-22 | 2022-07-29 | 安徽农业大学 | 一种基于农业物联网的水稻灌排水系统 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20041207 |