JPH11101736A - 光−磁気光学効果測定装置 - Google Patents

光−磁気光学効果測定装置

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JPH11101736A
JPH11101736A JP26450897A JP26450897A JPH11101736A JP H11101736 A JPH11101736 A JP H11101736A JP 26450897 A JP26450897 A JP 26450897A JP 26450897 A JP26450897 A JP 26450897A JP H11101736 A JPH11101736 A JP H11101736A
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JP
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light
oxygen
container
magneto
optical effect
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JP26450897A
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English (en)
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Takuya Kondo
拓也 近藤
Takao Suzuki
孝雄 鈴木
Fan Drent William
ファン ドレント ウィリアム
Mitsuhisa Matsuo
充久 松尾
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Toyota Motor Corp
Toyota Macs Inc
Toyota Gauken
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Macs Inc
Toyota Gauken
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容器内に残存する酸素量を測定し、その測定
結果によって光−磁気光学効果の測定を精度よく、かつ
確実に行えるようにする。 【解決手段】 光−磁気光学効果測定装置において、供
給口300から電磁弁302を通じて窒素が容器166
(178)等に供給され、それらの容器内の気体は電磁
弁304を通じて排出口306から排出される。光源か
ら光路を経て試料を反射した反射光は光検出器160等
で検出され、その検出信号はアンプ180等や直流電圧
計188等を通じてコンピュータ192あるいはフィー
ドバック制御回路190に入力される。コンピュータ1
92では検出信号に基づいて光強度に変換し、その光強
度が所定値以上(すなわち酸素量が所定量以下)である
か否かを判断し、電磁弁302,304を開閉する。こ
のとき、所定値以上の光強度が所定期間だけ継続した場
合にのみ、光−磁気光学効果の測定を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光−磁気光学効果測
定装置に関し、光−磁気光学効果(すなわちファラデー
効果および/またはカー効果)を測定するための技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】Jpn.J.Appl.Phys.Vo
l.32(1993)pp.989〜995に、今日知
られている最も新しい光−磁気光学効果測定装置が紹介
されている。この装置では、光源からの光を分光器に入
射して必要な波長の光を取り出す。取り出された光は第
1偏光子によって直線偏光にされたあと試料に照射され
る。ここで試料には電磁石によって磁場が印加されてい
る。ここで光−磁気光学効果としては、ファラデー効果
とカー効果とが知られている。ファラデー効果を測定す
る場合には試料を透過した光を観察し、カー効果を測定
する場合には試料で反射した光を観察する。いずれの場
合にも、試料を透過ないし試料で反射した光をさらに第
2偏光子に通過させ、その後に光の強度(光強度)を検
出する。この測定手法は、クロス−ニコル法,ファラデ
ーセル法,回転検光子法,円偏光変調法等について共通
である。
【0003】近年、光−磁気光学効果を利用した超高密
度記憶技術では、その記憶密度を向上させるために、ま
すます短波長の光が利用される傾向にある。そのため、
極短波長帯域において光−磁気光学効果を測定する技術
の実現が切望されている。上記論文に記載された装置で
は、短波長光での測定が可能となるように改良されてい
る。当該装置を用いれば、210nm前後までの波長に
ついて測定することができるが、極短波長帯域である2
00nm以下の領域では測定することができない。その
理由は、光源としてキセノンランプを用いているためで
ある。このキセノンランプは200nm以下での光強度
が著しく弱く、キセノンランプを利用する限り200n
m以下の領域で測定することができない。それならば、
より短波長側に発光波長帯域をもつ重水素ランプを利用
することが考えられる。しかるに重水素ランプを光源と
する測定装置はいまだ実現されていない。
【0004】重水素ランプは250nm以下に発光波長
帯域を有するものの、その光強度が弱い。そのため、う
まく工夫しないと必要なS/N比が確保できず、信頼で
きる測定が実現されない。また、200nm以下の光は
大気やレンズ等によって著しく減衰するため、測定をよ
り困難にしている。すなわち、200nm以下の波長で
測定できるようにするためには単に重水素ランプを用い
ればよいというものでなく、必要なS/N比を得ること
ができるためのブレークスルーを必要とする。そこで、
本出願人らは、特願平8−96887号(未公開)にお
いて、初めて重水素ランプを用いて必要なS/N比が確
保できる装置を開示して実現した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本出願人らが開示した
装置では、大気圧と同じ圧力の容器内に窒素を供給する
とともに、その容器内に残存する酸素を酸素吸収剤によ
って除去している。ところが、測定を行うために窒素を
供給し始めた初期段階では、まだ容器中に酸素が含まれ
ている。この段階で光−磁気光学効果を測定しても必要
なS/N比が確保できず、信頼できる測定結果は得られ
ない。また、どのぐらいの期間だけ窒素を供給すれば、
測定によって信頼できる測定結果が得られるのかが分か
らない。さらに、その後の測定中に何らかの原因で酸素
が容器内に混入した場合、その測定結果もやはり信頼で
きるものではなくなる。本発明はこのような点に鑑みて
なされたものであり、容器内に残存する酸素量を測定
し、その測定結果によって光−磁気光学効果の測定を精
度よく、かつ確実に行えるようにした光−磁気光学効果
測定装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】請求項1に記載の
発明は、光源と、その光源からの光を分光して必要な波
長の光を取り出す分光器と、その分光器で取り出された
光を偏光する第1偏光子と、試料に磁場を印加する磁場
印加手段と、その試料を透過ないしその試料で反射した
光を偏光する第2偏光子と、その第2偏光子を通過した
光の強度を検出する光検出器とを備えた光−磁気光学効
果測定装置において、その光源は極短波長帯域の光を放
射するランプを含み、その分光器はレンズおよび/また
はプリズムを含まず、その光源から光検出器に至る光路
を容器内に収容し、その容器内の酸素を酸素吸収剤によ
って除去し、その容器内の酸素量を測定し、測定された
酸素量が所定量に達した場合に光−磁気光学効果の測定
を行うことを特徴とする。
【0007】請求項1に記載の発明によれば、光源から
光検出器に至る光路を収容した容器内の酸素は、酸素吸
収剤によって除去される。その除去によって残存する酸
素の酸素量を測定して、測定された酸素量が所定量に達
した場合に光−磁気光学効果の測定を行う。こうして酸
素量が所定量に達した場合に光−磁気光学効果の測定を
行えば、測定結果が精度よく得られる。この場合には必
要なS/N比が確保されるので、信頼できる測定結果が
確実に得られる。
【0008】
【課題を解決するための第2の手段】請求項2に記載の
発明は、請求項1に記載の光−磁気光学効果測定装置に
おいて、光検出器によって検出された光の強度によって
容器内の酸素量を測定することを特徴とする。
【0009】請求項2に記載の発明によれば、光検出器
によって検出される光の強度(光強度)は相関関係があ
り、その光の強度を測定することによって光−磁気光学
効果の測定を行うのに適切な時期を特定することができ
る。この場合には酸素量を測定するための特別な装置を
必要としないので、光−磁気光学効果測定装置の製造コ
ストを低く抑えることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面に基づいて説明する。ここで、図1には、光−
磁気光学効果測定装置の全体レイアウトを平面図で示
す。図2には、分光器とフィルタの詳細を示す。図3に
は、測定原理を模式的に示す。
【0011】まず、図1において、重水素ランプ102
は、250nm以下の短波長光を含む光(すなわち極短
波長帯域の光)を放射する。放射された短波長光は凹面
反射鏡104で反射集光されて分光器120の第1入射
スリット121に入射される。凹面反射鏡104は石英
の表面を研磨した研磨面に白金(Pt)をコートし、さ
らにこの上にAl−MgF2 をコートして製作されてい
る。なお、石英に代えて炭化珪素(SiC)としてもよ
く、白金に代えて金(Au)としてもよい。こうして表
面処理された凹面反射鏡104は、重水素ランプ102
が放射する光のうち光強度が低い波長160nmにおい
て最もよく反射する。具体的に波長160nmにおける
反射率は84〜86%である。なお、後述する各反射鏡
や凹面反射鏡にも同様の表面処理が施されており、短波
長光を高効率で反射する。
【0012】重水素ランプ102,凹面反射鏡104,
第1入射スリット121はいずれも容器106内に収容
されている。この容器106内には酸素吸収剤103が
置かれる。この酸素吸収剤103には、例えば鉄粉を用
いる。なお、酸素吸収剤103としては鉄粉に限らず、
酸素を選択的に吸収する能力を有する他の物質を用いて
もよい。他の物質としては、加熱処理した還元銅等があ
る。こうした鉄粉や還元銅等は加熱処理などによって再
生可能であるので、容易にリサイクルすることができ
る。そのため、製造コストや維持コストを低く抑えるこ
とができる。また、上記容器106には、重水素ランプ
設置等で当初は空気が入っているが、酸素を酸素吸収剤
103に吸収させながら窒素を供給することにより窒素
雰囲気に置き換える。そのため、重水素ランプ102か
ら第1入射スリット121までの光路は酸素を含まない
窒素雰囲気中に設けられることになる。したがって、重
水素ランプ102から発生する250nm以下の短波長
光はあまり減衰することなく分光器120に入射され
る。また、微量の窒素が容器106内に常に送り込まれ
ているため、容器106は高い気密性を必要としない。
容器106内は減圧する必要がないため、簡単な構造の
カバーで足りる。
【0013】キセノンランプ108は、重水素ランプよ
りも長波長側に発光波長帯域を有している。キセノンラ
ンプ108と重水素ランプ102との発光波長帯域はオ
ーパーラップしている。このうち、波長300nm以下
では重水素ランプ102が用いられ、波長300nm以
上ではキセノンランプ108が用いられる。波長300
nm以上の光は酸素による減衰が少ないため、キセノン
ランプ108は大気中で用いられる。キセノンランプ1
08から放射された光は、凹面反射鏡110と反射鏡1
12によって集光して反射され、分光器120の第2入
射スリット122に入射される。
【0014】分光器120は、第1入射スリット121
と第2入射スリット122との内側近傍に切換ミラー1
23を備えており、いずれか一方の入射スリットからの
光を凹面反射鏡126に導く。図中、符号に(m)を付
加している要素は、ステップモータによって可動である
ことを示す。例えば、切換ミラー123はステップモー
タ123mによって、図2に示すように二つの位置間で
切り換えられる。この切換ミラー123は、ハンドル1
23aによって手動でも切換可能となっている。なお、
各ステップモータはコンピュータ192によって制御さ
れる。
【0015】図2に示すように、分光器120は全体が
容器(モノクロメータ)142に収容されている。その
容器142も容器106と同様に酸素吸収剤133が内
部に置かれ、分光器設置等で当初は空気が入っている
が、酸素を酸素吸収剤133に吸収させながら窒素を供
給することにより窒素雰囲気に置き換える。第1入射ス
リット121と第2入射スリット122とのいずれかか
ら入射された光は切換ミラー123で反射され、さらに
凹面反射鏡126で反射されて回折格子130,13
2,134のうちのいずれかに入射される。3枚の回折
格子130,132,134は回転台128の上に平面
視で三角形をなすように置かれ、回転台128は図中矢
印に示すように正逆回転していずれか1枚の回折格子を
選択的に使用することができる。図2では回折格子13
4が使用位置に置かれている状態を示す。回転台128
は、ステップモータ128mとウォームギヤ129で回
転される。
【0016】回折格子130は最も格子間距離が短く、
波長400nm以下の分光に用いられる。回折格子13
4は最も格子間距離が長く、波長800nm以上の分光
に用いられる。回折格子132は中間の格子間距離を有
し、波長400nm〜800nmの分光に用いられる。
ステップモータ128mは使用する回折格子を選択する
ほか、選択された回折格子の反射角度を微調整して凹面
反射鏡136に向けて反射される光の波長を切り換える
ために用いられる。いずれか一つの回折格子の角度調整
によって選ばれた波長の光は、凹面反射鏡136と反射
鏡138で反射され、さらに出射スリット140に集光
される。こうして測定に必要な波長の光を分光器120
から取り出すことができる。
【0017】出射スリット140の直後には、回折格子
から同一角度に反射される光のうち、高次の次数を持つ
回折光を除去するためのフィルタ144が設置されてい
る。フィルタ144は、図2(B)に示すように、軸1
44xを中心に回転する円板に6個の貫通孔が設けら
れ、そのうち5個の貫通孔に特定波長をカットするフィ
ルタ板が組み込まれている。各フィルタ板のカットする
波長帯域特性は相互に異っており、使用する波長に合わ
せて使用するフィルタ板が切り換えられる。貫通孔14
4aにはフィルタ板が組み込まれておらず、光は素通り
する。貫通孔144aないしフィルタ板144b〜14
4fは、フィルタ用モータ144mとその回転軸145
によって切り換えられる。
【0018】分光器120と高次の回折光をカットする
フィルタ144で選ばれた特定波長の光は、図1に示す
ように凹面反射鏡146と反射鏡148とによって集光
および反射され、試料176に向けられる。凹面反射鏡
146は光を試料176の表面に集光する。反射鏡14
8は、水平軸と垂直軸のまわりに回転可能となってお
り、試料176からの反射光が後記の凹面反射鏡158
に入射されるように角度が調整される。このため、反射
鏡148には、水平モータ148m1と垂直モータ14
8m2とが取り付けられている。
【0019】図1に示す偏光子(第1偏光子)150
は、図3に示すように、それを通過する光を直線偏光す
る。その直線偏光波は光弾性変調器152を通過する。
光弾性変調器152は、所定周波数(例えば50KH
z)で振動するピエゾ素子を内蔵しており、その振動方
向は直線偏光波に対して反時計方向に45°傾けられて
いる。図3に示すように、直線偏光波は、それから時計
方向に45°傾いた面内の波(図3では白抜きの波で示
す)と、反時計方向に45°傾いた波(図3では黒い波
で示す)との合成であると考えられる。光弾性変調器1
52は、振動方向の波(すなわち黒いの波)の位相を変
え、それに直角方向の波(すなわち白抜きの波)の位相
を変えない。振動方向の波の位相は、上記所定周波数で
遅れたり進んだりする。すなわち光弾性変調器152を
通った光は円偏光に変調され、その変調周波数は上記の
例では50KHzとなる。
【0020】さて、分光器120とフィルタ144とに
よって波長が選ばれ、偏光子150と光弾性変調器15
2とで所定周波数によって円偏光された光は、絞り15
4を通過した後に試料176に入射される。
【0021】試料176は試料ホルダ174に収容され
ており、試料ホルダ174には短波長光を吸収しない材
質(溶融石英)で形成された光透過窓が設けられてい
る。試料ホルダ174には、液体窒素を断熱膨張させて
試料を冷却する冷却装置と、試料を加熱するヒータが組
み込まれており、試料温度を80〜600°Kの範囲で
可変としている。また試料ホルダ174の内部は不活性
ガスで満たされており、試料を加熱する時にその試料の
酸化を防止する。また試料ホルダ174は孔あきの電磁
石172の中にセットされ、試料176に対して20K
Oeまでの磁場を印加することが可能となっている。試
料176と電磁石172とは容器170内に収容され
る。容器170も容器106と同様に酸素吸収剤173
が内部に置かれ、試料設置等で当初は空気が入っている
が、酸素を酸素吸収剤173に吸収させながら窒素を供
給することにより窒素雰囲気に置き換える。
【0022】本装置では、ファラデー効果とカー効果と
のいずれかが測定可能である。ファラデー効果を測定す
る場合には、検出装置が試料176を通過した光を測定
する位置にセットされる。なお、図1では該当符号に添
字aを付加して示す。検出装置は、検光子(第2偏光
子)156,凹面反射鏡158,ダイオード(例えばゲ
ルマニウムダイオード)160,光電子増幅管162に
よって構成されている。ダイオード160,光電子増幅
管162は光検出器を具体化したものである。この検出
装置は、ファラデー効果を測定する場合には、容器17
8内に収容されて配置されている。容器178は、位置
が異なる点を除いて容器166と同様である。検光子1
56はステップモータ156mによって面内で回転可能
となっており、校正時に回転された後でゼロ角度に調整
される。光電子増幅管162は短波長の検出に用いら
れ、ダイオード160は長波長の検出に用いられる。凹
面反射鏡158はステップモータ158mによって回転
し、測定光を光電子増幅管162とダイオード160と
のいずれか一方に向けて集光する。
【0023】カー効果を測定する場合には、前述の検出
装置(すなわち検光子156,凹面反射鏡158,ダイ
オード160,光電子増幅管162)が、試料176か
らの反射光を測定できる位置に置かれる。この場合、入
射光と反射光のための光学系の全体が1つの容器166
内に収容され、その容器166に酸素が存在しない状態
で測定が行われる。すなわち容器166も容器106と
同様に酸素吸収剤153が内部に置かれ、偏光子設置等
で当初は空気が入っているが、酸素を酸素吸収剤153
に吸収させながら窒素を供給することにより窒素雰囲気
に置き換える。
【0024】前述した各種モータや光弾性変調器等は、
コンピュータ192によって制御される。また、測定デ
ータの処理もコンピュータ192で行われる。図1に示
すアンプ182はダイオード160で検出された信号を
増幅する。同様に、アンプ180は光電子増幅管162
で検出された信号を増幅する。またスイッチ183は凹
面反射鏡158と連動して切り換えられ、凹面反射鏡1
58が測定光をダイオード160に向けて集光している
間はアンプ180から出力される信号を、光電子増幅管
162に向けて集光している間はアンプ182から出力
される信号をそれぞれコンピュータ192に入力する。
【0025】直流電圧計188は検出された光強度のう
ちの直流成分を検出する。第1ロックインアンプ186
は変調周波数(上記の例では50KHz)の成分の光強
度を検出する。第2ロックインアンプ184はその2倍
の周波数(100KHz)の成分の光強度を検出する。
それぞれの出力値はコンピュータ192に入力され、コ
ンピュータ192によって処理された結果が表示器19
4に表示される。なお、光電子増幅管162が使用中の
ときは、直流電圧計188で検出される直流成分に応じ
て光電子増幅管162に印加される電圧がフィードバッ
ク制御回路190によってフィードバック制御される。
このフィードバック制御によって、直流電圧計188の
検出値がほぼ一定レベルとなるように、光電子増幅管1
62のゲインが調整される。
【0026】図3に示されているように、本装置でカー
効果を測定する場合、入射光と試料法線とのなす角度は
3°以下であり、かつ反射光も同じである。この角度が
3°以下のときには、カー効果の測定精度が良好に保た
れる。また検光子156は、図3に示すように、光弾性
変調器152で変調された偏波を通し、変調されない偏
波を通さない角度(ゼロ角度)を基準に用いられる。
【0027】以下、酸素の存在によって変化する光強度
に対処するための構成等ついて、図4〜図8を参照しな
がら説明する。ここで、図4には、光源から光検出器に
至る光路を模式図で示す。図5には、酸素監視制御系統
をブロック図で示す。図6には、コンピュータの構成を
ブロック図で示す。図7には、測定制御処理をフローチ
ャートで示す。これらの図において、図1等と同一の要
素には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0028】図4に示す模式図では、光路を実線(太
線)で、電気信号を破線でそれぞれ示す。図4におい
て、上述したように二種類の光源(すなわち重水素ラン
プ102とキセノンランプ108)から放射された光を
容器142を通し、測定に必要な波長の光を選択する。
そして、容器142から出た光は、光路L2に沿って偏
光子150や光弾性変調器152等を通り、試料176
に照射される。こうして照射された光は試料176に反
射して光路L4に沿って進む。なお、試料176を透過
した光は光路L6に沿って進む。光路L4上には検光子
156等があり、反射光は最終的に容器166内の検出
器(ダイオード160または光電子増幅管162)によ
って光強度が検出される。このとき光路L2,L4に酸
素が存在すると、極短波長帯域の光は酸素をオゾンに変
えて消失する。こうして一部の光は容器166内の検出
器に達せず、検出される光強度が低くなる。そのため、
光路L2,L4に所定量の酸素が存在すると、光−磁気
光学効果を測定しても必要なS/N比が確保できず、信
頼できる測定結果は得られない。この現象は、光路L
2,L6の場合や、容器142内に酸素が存在する場合
も同様である。したがって、信頼できる測定結果を得る
ためには、容器142や光路L2,L4,L6に存在す
る酸素量が所定量以下のとき、すなわち光強度が所定値
以上のときにのみ光−磁気光学効果を測定する必要があ
る。そこで、検出器によって検出された光強度を監視
し、その光強度が所定値以上であるか否かをコンピュー
タ192で判断すればよい。この測定手法を実現するた
めの具体的な構成を、図5および図6に示す。なお、こ
こでは図1に示すように試料176で反射した光を観察
するカー効果を測定するために容器166を用いている
が、試料176を透過した光を観察するファラデー効果
を測定する場合には容器178を用いる。
【0029】図5に示す酸素監視制御系統では、管路を
実線で、電気信号を破線でそれぞれ示す。図5におい
て、供給口300から管路を経て窒素が容器106,1
42,166に供給される。その供給量は電磁弁302
によって調整可能になっている。また、容器106,1
42,166内の酸素等の気体は管路を経て排出口30
6から排出される。その排出量は電磁弁304によって
調整可能になっている。なお、電磁弁302,304の
開度はコンピュータ192から出力される開閉信号によ
ってそれぞれ制御可能になっている。ここで、容器16
6内の検出器(ダイオード160または光電子増幅管1
62)によって検出された検出信号は、アンプ180,
182によって増幅される。増幅された検出信号は、直
流電圧計188を介してコンピュータ192に入力し、
さらにフィードバック制御回路190にも入力する。コ
ンピュータ192では検出信号に基づいて光強度に変換
し、その光強度が所定値以上であるか否かを判断する。
またフィードバック制御回路190では、検出信号がコ
ンピュータ192から指令された目標値以上になるよう
にアンプ(特に光電子増幅管162用のアンプ180)
に対してゲイン信号を出力してフィードバック制御を行
う。なお、図4の場合と同様に、試料176で反射した
光を観察するカー効果を測定するために容器166を用
いているが、試料176を透過した光を観察するファラ
デー効果を測定する場合には容器178を用いる。
【0030】ここで、コンピュータ192の構成を図6
に示す。コンピュータ192は、CPU210,ROM
202,RAM204,入力処理回路206,表示制御
回路212,表示器194,出力処理回路214等によ
って構成されている。CPU210は、ROM202に
格納されている測定制御プログラムに従ってコンピュー
タ192における光−磁気光学効果測定装置の全体を制
御する。この測定制御プログラムには、光−磁気光学効
果を測定するためのプログラムや、後述する測定制御処
理を実行するための酸素量監視プログラムが含まれてい
る。ROM202にはEPROMが用いられるが、EE
PROMやフラッシュメモリ等を使用してもよい。RA
M204にはDRAMが用いられるが、SRAMやフラ
ッシュメモリ等の不揮発性メモリを使用してもよい。こ
のRAM204には、光強度,酸素量,経過時間等の各
種データや入出力信号等が格納される。
【0031】表示制御回路212はCPU210からバ
ス216を介して送られた表示データを受けて、表示器
194における酸素量表示等の表示制御を行う。入力処
理回路206は、直流電圧計188から送られた検出信
号(電圧値)を受けて、コンピュータ192内で処理可
能なデータ形式に変換し、バス216を介してCPU2
10,RAM204に送る。一方、出力処理回路214
はCPU210からバス216を介して送られた作動デ
ータを受けて、フィードバック制御回路190に目標値
を出力し、電磁弁302,304に開閉信号を出力して
それぞれの装置を作動させる。なお、上記各構成要素
は、いずれもバス216に互いに結合されている。
【0032】上記のように構成された酸素監視制御系統
において、容器106,142,166内の酸素量を監
視しながら光−磁気光学効果の測定を行う測定制御処理
について、図7を参照しながら説明する。この処理手順
は、上記ROM202に格納されている酸素量監視プロ
グラムをCPU210が実行することによって実現され
る。まず、図5に示す電磁弁302,304を開けて容
器106,142,166に窒素を送り込み始めるとと
もに、継続時間をゼロにする等の初期化処理を行う[ス
テップS10]。そして、容器106,142,166
内の酸素量を測定する[ステップS12]。具体的に
は、図5,図6に示す直流電圧計188から出力される
直流電圧の電圧値を入力処理回路206が取得し、その
電圧値に基づいて酸素量を求める。その算出方法として
は、例えば電圧値と酸素量との相関関係を表す関数によ
って求める方法がある。なお、この電圧値は上記光強度
とも相関関係がある。すなわち、電圧値が高ければ光強
度が強く、電圧値が低ければ光強度が弱い。
【0033】こうして求められた酸素量が所定量以下か
否か、すなわち光強度が所定値以上か否かを判別する
[ステップS14]。もし酸素量が所定量を超えるとき
には(NO)、光−磁気光学効果の測定には適さないた
め再びステップS10〜S14を実行する。一方、酸素
量が所定量以下のときには(YES)、この状態が所定
期間(具体的には図8に示すΔt)継続しているか否か
を判別する[ステップS16]。すなわち、上記継続時
間が所定期間に達したか否かで判断する。もし所定期間
継続していなければ(NO)、再びステップS12〜S
16を実行する。一方、所定期間継続したときには(Y
ES)、図5に示す電磁弁302,304を閉じること
により[ステップS18]、光−磁気光学効果の測定に
適した状態になったので測定準備が完了したことにな
る。なお、電磁弁302,304を閉じる場合には、微
量の窒素を各容器に送り込んで酸素量を所定量以下に維
持できるようにするため、隙間を残して閉じるのが望ま
しい。その後、上記ステップS12と同様に酸素量を測
定し[ステップS20]、その酸素量が所定量以下の場
合には(ステップS24のYES)、光−磁気光学効果
の測定を実行する[ステップS26]。この測定手法
は、上記特願平8−96887号で開示した内容と同様
であるので、その説明を省略する。そして、光−磁気光
学効果の測定が終了するまでステップS20,S24,
S26を繰り返し実行する[ステップS28]。ただ
し、測定中に酸素量が所定量を超えたときには(ステッ
プS22のNO)、その測定を中断して(必要ならば中
断処理を行なって)[ステップS22]、再測定準備の
ためにステップS10に戻る。
【0034】上記測定制御処理を実行することによっ
て、容器106,142,166内の酸素量と、測定の
適否との関係は図8のようになる。すなわち、時刻t0
においてステップS10が実行されると電磁弁302,
304が開き、容器106,142,166には窒素が
送り込まれる。そのため、容器106,142,166
内の酸素量は次第に減少し、時刻t2には所定量以下に
なる。この状態が所定期間Δtだけ継続すると、ステッ
プS18が実行されて時刻t4に電磁弁302,304
を閉じる。こうして光−磁気光学効果の測定に適した状
態となり、図8では斜線で示す部位に相当する。一方、
測定中に何らかの原因で酸素が容器内に混入すると、容
器106,142,166内の酸素量が増加する。こう
して、時刻t6に所定量を超えると、光−磁気光学効果
の測定には適さなくなるため、ステップS22が実行さ
れて測定を中断する。それとともに、再びステップS1
0が実行されて電磁弁302,304が開き、容器10
6,142,166には再び窒素が送り込まれる。その
後同様にして容器106,142,166内の酸素量が
所定量以下となる状態が所定期間Δt(図8の場合では
時刻t8から時刻t10までの期間)だけ継続すると、
再び時刻t10には光−磁気光学効果の測定に適した状
態となる。
【0035】上述した実施の形態によれば、重水素ラン
プ102またはキセノンランプ108(光源)から、ダ
イオード160または光電子増幅管162(光検出器)
に至る光路を容器106,142,166,178に収
容している。その内の容器106,142,166,1
78内の酸素は、酸素吸収剤103,133,153に
よって除去される。そして除去されて残存する酸素の酸
素量を光強度の大きさによって測定して、測定された酸
素量が所定量に達した場合に光−磁気光学効果の測定を
行う。こうして酸素量が所定量に達した場合に光−磁気
光学効果の測定を行えば、測定結果が精度よく得られ
る。この場合には必要なS/N比が確保されるので、信
頼できる測定結果が確実に得られる。
【0036】また、残存する酸素の酸素量を光強度の大
きさによって測定したので、酸素量を測定するための特
別な装置を必要としない。そのため、光−磁気光学効果
測定装置の製造コストを低く抑えることができる。さら
に、光−磁気光学効果の測定は、酸素量が所定量に達し
た状態(すなわち酸素量が所定量以下となる状態)が所
定期間だけ継続することを条件にしたので、測定中の容
器106,142,166,178内の酸素量はほぼ一
定量で安定する。この場合には必要なS/N比がより良
くなり、信頼できる測定結果もより確実に得られる。
【0037】〔他の実施の形態〕上述した光−磁気光学
効果測定装置において、他の部分の構造,形状,大き
さ,材質,個数,配置および動作条件等については、上
記実施の形態に限定されるものでない。例えば、上記実
施の形態を応用した次の各形態を実施することもでき
る。 (1)極短波長帯域(具体的には波長250nm以下の
帯域)の光を放射するランプとして重水素ランプを用い
たが、極短波長帯域の光を放射する他のランプを用いて
もよい。このような他のランプを用いた場合であって
も、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。 (2)容器106,142,166,178について全
体の酸素量を、光検出器(ダイオード160または光電
子増幅管162)で検出される光強度に基づいて求め
た。この形態に代えて、各容器ごとに酸素量を監視でき
るようにしてもよい。具体的には図5において、容器1
06,142,166,178ごとにそれぞれ酸素量検
出器を設けるとともに、供給口300から各容器に送り
込む個々の配管に電磁弁302を設け、各容器内の気体
を排出口306に排出する個々の配管に電磁弁304を
設ける。こうすることによって、容器106,142,
166,178ごとに残存する酸素の酸素量が監視でき
るようになるため、いずれの容器内に酸素が混入したか
を容易に特定することができる。また、いずれかの容器
で酸素量が所定量に達しない場合には、該当する容器の
みに窒素を送り込めばよいので、光−磁気光学効果の測
定に適した状態になるまでの期間を短縮することができ
る。
【0038】
【他の発明の態様】以上、本発明の実施の形態について
説明したが、この実施の形態には特許請求の範囲に記載
した発明の態様以外の発明の態様を有するものである。
この発明の態様を以下に列挙するとともに、必要に応じ
て関連説明を行う。
【0039】〔態様1〕 請求項1に記載の光−磁気光
学効果測定装置において、その容器内の酸素量を測定
し、測定された酸素量が所定量に達した状態が所定期間
だけ継続した後に、光−磁気光学効果の測定を行うこと
を特徴とする光−磁気光学効果測定装置。 〔態様1の関連説明〕 本態様によれば、酸素吸収剤に
よって除去されて残存する容器内の酸素について、その
酸素量が所定量に達した状態が所定期間だけ継続するこ
とを条件にしている。そのため、測定中の容器内の酸素
量はほぼ一定量で安定する。その後に光−磁気光学効果
の測定を行えば、測定結果がより精度よく得られる。こ
の場合には必要なS/N比がより良くなり、信頼できる
測定結果もより確実に得られる。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、酸素吸収剤によって除
去されて残存する容器内の酸素について、その酸素量が
所定量に達した場合に光−磁気光学効果の測定を行う。
こうして酸素量が所定量に達した場合に光−磁気光学効
果の測定を行えば、測定結果が精度よく得られる。ま
た、この場合には必要なS/N比が確保されるので、信
頼できる測定結果が確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光−磁気光学効果測定装置における全体レイア
ウトを示す平面図である。
【図2】分光器とフィルタの詳細図である。
【図3】測定原理を模式的に示す図である。
【図4】光源から光検出器に至る光路を模式的に示す図
である。
【図5】酸素監視制御系統を示すブロック図である。
【図6】コンピュータの構成を示すブロック図である。
【図7】測定制御処理を示すフローチャートである。
【図8】酸素量と測定の適否との関係を示す図である。
【符号の説明】
102 重水素ランプ 103,133,153 酸素吸収剤 106,142,166,178 容器 108 キセノンランプ 120 分光器 130,132,134 回折格子 144 フィルタ 150 偏光子(第1偏光子) 152 光弾性変調器 176 試料 172 電磁石 156 検光子(第2偏光子) 160 ダイオード(光検出器) 162 光電子増幅管(光検出器) 188 直流電圧計 190 フィードバック制御回路 192 コンピュータ
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 孝雄 愛知県名古屋市天白区久方2丁目12番地1 学校法人トヨタ学園内 (72)発明者 ウィリアム ファン ドレント 愛知県名古屋市天白区久方2丁目12番地1 学校法人トヨタ学園内 (72)発明者 松尾 充久 愛知県豊田市トヨタ町2番地 株式会社ト ヨタマックス内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源と、その光源からの光を分光して必
    要な波長の光を取り出す分光器と、その分光器で取り出
    された光を偏光する第1偏光子と、試料に磁場を印加す
    る磁場印加手段と、その試料を透過ないしその試料で反
    射した光を偏光する第2偏光子と、その第2偏光子を通
    過した光の強度を検出する光検出器とを備えた光−磁気
    光学効果測定装置において、 その光源は極短波長帯域の光を放射するランプを含み、 その分光器はレンズおよび/またはプリズムを含まず、 その光源から光検出器に至る光路を容器内に収容し、 その容器内の酸素を酸素吸収剤によって除去し、 その容器内の酸素量を測定し、測定された酸素量が所定
    量に達した場合に光−磁気光学効果の測定を行うことを
    特徴とする光−磁気光学効果測定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光−磁気光学効果測定
    装置において、 光検出器によって検出された光の強度によって容器内の
    酸素量を測定することを特徴とする光−磁気光学効果測
    定装置。
JP26450897A 1997-09-29 1997-09-29 光−磁気光学効果測定装置 Pending JPH11101736A (ja)

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