JPH11101098A - セグメント組立装置及び該セグメント組立装置を利用したシールド掘進機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 セグメント組立部の作業スペースを広く取る
ことができ作業性のよいセグメント組立装置を得る。 【解決手段】 シールド掘進機の内部に設置されて、ト
ンネル構成部材であるセグメントを組み立てるセグメン
ト組立装置であって、シールド掘進機に、掘進軸に直交
する平面内において水平又は垂直方向に移動可能に設置
された親ベースブロック１１と、親ベースブロック１１
上に、親ベースブロック１１の移動方向と直交する方向
に移動可能に設置された子ベースブロック１３と、子ベ
ースブロック１３に、子ベースブロック１３の移動平面
に直交する軸を中心に回転可能に設置された回転ブロッ
ク１５と、回転ブロック１５に、回転ブロック１５の回
転平面と平行な平面内において移動可能に設置されたセ
グメント把持機構２４を有するハンドリングブロック２
３とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】シールド掘進機の内部に設置
されて、トンネル構成部材であるセグメントを組み立て
るシールド掘進機のセグメント組立装置及び該セグメン
ト組立装置を利用したシールド掘進機に関する。

【０００２】

【従来の技術】図１２は実公平３−３３８３８号公報に
おける従来技術として示された矩形断面のシールド掘進
機におけるセグメント組立装置の説明図である。図１２
に示されたセグメント組立装置は、回転フレーム６３を
センターシャフト６７上に回転自在に取付け、このセン
ターシャフト６７を水平フレーム６８上に横行ジャッキ
６９を介して横行自在に設け、この水平フレーム６８を
昇降ジャッキ７０を介してシールドフレーム６１内に昇
降自在に設けて、回転フレーム６３をシールドフレーム
６１内に移動させうるようにしたものである。

【０００３】しかしながら、このセグメント組立装置に
あっては、回転フレーム６３に掘削土砂搬出装置を挿通
させることができないので、シールドフレーム６１内に
掘削土砂搬出装置を挿通させることになるが、この場合
回転フレーム６３が移動時に掘削土砂搬出装置と干渉
し、掘削土砂搬出装置の挿入用空間部を確保し得ない。
このため、セグメント組立時には干渉を避けるために、
その都度掘削土砂搬出装置を取り外さなければならない
という問題がある。

【０００４】そこでかかる問題点を解決すべく上記公報
には図１３に示すセグメント組立装置が提案されてい
る。図１３に示された考案は、断面矩形のシールドフレ
ーム６１内にその断面内で長辺方向に沿って摺動自在に
摺動フレーム７３を設け、該摺動フレーム７３に上記断
面内で回転自在に回転フレーム７５を設け、該回転フレ
ーム７５の中心より偏心した位置にガイドロッドを介し
て略接線方向に移動自在にアーム７６を設け、該アーム
７６にその移動方向と同方向にガイドバーを介して移動
自在にセグメント把持装置７７を設けたものである。

【０００５】上記のように構成されたセグメント組立装
置においては、摺動フレーム７３を摺動させることによ
り、断面矩形のシールドフレーム内においてその長辺方
向に回転フレーム７５を移動させることができる。そし
て、セグメントを組立てる場合には、その組付け位置近
傍に回転フレーム７５を移動させると共に、回転フレー
ム７５の回転によりセグメント組立装置を組付け位置に
臨ませ、アーム７６およびセグメント組立装置の移動に
よりセグメントを組付け位置に持って行き、このセグメ
ントを既設セグメントにボルト止めする。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記図
１２に示したセグメント組立装置の場合には、セグメン
ト組立時に干渉を避けるため、その都度掘削土砂搬出装
置を取り外さなければならないという問題点に加えて、
次のような問題もあった。すなわち、水平フレーム６８
がシールドフレーム６１内を横断しているため、セグメ
ント組立等に要する作業空間が制限される。また、セグ
メント把持装置は回転フレーム６３に固定されているた
めに、回転フレーム６３の回転中心とセグメントとの距
離を調整できず、回転半径が大きくなり、セグメント旋
回時の空間を大きく確保しなければならない。

【０００７】また、図１３に示したセグメント組立装置
の場合には、セグメント把持装置７７が回転フレーム７
５の中心より偏心した位置に取り付けられているため
に、セグメント把持装置７７でセグメントを把持して旋
回するための旋回空間として回転フレーム７５の外側に
広い空間を確保しなければならない。また空間を確保す
るために回転フレーム７５の半径を小さくした場合に
は、角部のセグメントの組立のためにアーム７６を長く
しなければならなくなる。しかし、長いアームで大重量
のセグメントをハンドリングするには大型の油圧ジャッ
キが必要となるが、空間的な制約から設置可能なジャッ
キのストローク量も制限され、大型の油圧ジャッキを設
置することが出来ず、結局現実化ができないという問題
点もあった。

【０００８】本発明は係る問題点を解決するためになさ
れたものであり、セグメント組立部の作業スペースを広
く取ることができ作業性のよいセグメント組立装置を得
ることを目的としている。また、上記セグメント組立装
置を利用したシールド掘進機を得ることを目的としてい
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明に係るセグメント
組立装置は、シールド掘進機の内部に設置されて、トン
ネル構成部材であるセグメントを組み立てるものであっ
て、シールド掘進機に対して、掘進軸に直交する平面内
において水平又は垂直方向に移動可能に設置された第１
ベースブロックと、該第１ベースブロック上に、該第１
ベースブロックの移動方向と直交する方向に移動可能に
設置された第２ベースブロックと、該第２ベースブロッ
クに、該第２ベースブロックの移動平面に直交する軸を
中心に回転可能に設置された回転ブロックと、該回転ブ
ロックに、該回転ブロックの回転平面と平行な平面内に
おいて移動可能に設置されたセグメント把持機構を有す
るハンドリングブロックとを備えたものである。

【００１０】また、本発明に係るシールド掘進機は、シ
ールドフレームの中央部に排土機構を設置して、該排土
機構の両側に請求項１記載のセグメント組立装置を設置
したものである。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１は本発明の一実施の形態であ
るセグメント組立装置を設置した矩形シールド掘進機の
後部の正面図である。図において、１は矩形シールド掘
進機のシールドフレーム、３はシールドフレーム１内中
央部にその前端側から後端側に亘って設置されたスクリ
ュウコンベアからなる排土機構、５，７はシールドフレ
ーム１内の後端側に排土機構３を挟んでそれぞれ左右に
設置されたセグメント組立装置である。

【００１２】図２は図１に示したセグメント組立装置５
の斜視図、図３は同じくセグメント組立装置５の側面図
である。以下、図２，図３に基づいてセグメント組立装
置５の構成を説明する。図において９，１０はそれぞれ
シールドフレーム１の内部上面、下面にその幅方向に延
出させて設置されたガイドレール、１１は両端がガイド
レール９，１０上にローラー１１ａを介して当接して左
右方向移動可能に設置された親ベースブロック、１２は
親ベースブロック１１の後部側面の両側に上下方向に延
出させて設置されたガイドレール、１３はガイドレール
１２に沿って親ベースブロック１１上を上下方向に移動
可能に構成された子ベースブロック、１５は子ベースブ
ロック１３上に回転可能に取り付けられた回転ブロック
である。

【００１３】１７は回転ブロック１５に固定された回転
ブロック１５回転用のモータ、１８はモータ１７に取り
付けられたピニオン、１９は子ベースブロック１３と回
転ブロック１５を回転自在に連結する旋回輪軸受であ
る。この旋回輪軸受１９は、子ベースブロック１３に固
定された外歯を有するリングギア１９ａと、リングギア
１９ａの内側に挿入されて回転ブロック１５に固定され
た内輪１９ｂと、リングギア１９ａと内輪１９ｂとの間
に介装されてリングギア１９ａと内輪１９ｂとを回転自
在に連結する複数の球体コロ１９ｃとから構成されてい
る。上記構成により、モータ１７が回転するとリングギ
ア１９ａに噛み合うピニオン１８が回転し、これによっ
て回転ブロック１５が子ベースブロック１３に対して相
対的に回転するようになっている。

【００１４】２１は回転ブロック１５の後部側面の両側
に上下方向に延出させて設置されたガイドレール、２３
はガイドレール２１に沿って回転ブロック１５上を上下
方向に移動可能に構成されたハンドリングブロックであ
り、ハンドリングブロック２３にはセグメントの把持機
構２４を装備している。なお、親ベースブロック１１、
子ベースブロック１３及びハンドリングブロック２３は
図示しないジャッキにより移動される構成である。

【００１５】図４乃至図７は子ベースブロック１３、回
転ブロック１５及びハンドリングブロック２３の動作説
明図であり、視覚的な理解を容易にするためにハンドリ
ングブロック２３に斜線を付している。図４乃至図７に
基づいて子ベースブロック１３及びハンドリングブロッ
ク２３の動作を説明する。

【００１６】図４は、子ベースブロック１３を最も下方
に移動させ、また回転ブロック１５は通常状態を保持さ
せ、さらにハンドリングブロック２３を回転ブロック１
５の最上方に位置させた状態である。図中Ｐ点は回転ブ
ロック１５の回転中心の位置であり、図４に示すように
ハンドリングブロック２３をできるだけＰ点に近づけた
状態で回転ブロック１５を回転させることで、セグメン
トの旋回に必要な空間を小さくすることが出来る。図５
は、図４の状態からハンドリングブロック２３を回転ブ
ロック１５のガイドレール２１に沿って下降させて最下
位置にした状態である。これはセグメントを把持すると
きの状態である。

【００１７】図６は、図５の状態からモータ１７を駆動
して回転ブロック１５を時計方向に９０度回転させた状
態である。図７は、図６の状態から回転ブロック１５を
時計方向にさらに９０度回転させると共に、子ベースブ
ロック１３を親ベースブロック１１のガイドレール１２
に沿って最上方位置まで移動させた状態である。図４乃
至図７に示すように、ハンドリングブロック２３に取り
付けられたセグメント把持装置２４を任意の位置に移動
できるように構成されている。

【００１８】図８乃至図１１は、セグメントの旋回スペ
ースを説明する説明図であり、図中２６はセグメント把
持装置２４に把持されたセグメントを示している。図８
はセグメント２６と回転ブロック１５の回転中心Ｐの位
置が離れた状態を示しており、図９は図８の状態から回
転ブロック１５を１８０度回転させた状態を示してい
る。図において、二点鎖線の円形はセグメント２６の旋
回に必要なスペースの外縁を示している。

【００１９】図１０はハンドリングブロック２３を回転
ブロック１５のガイドレールに沿って上昇させ、セグメ
ント２６を回転ブロック１５の回動中心Ｐに近づけた状
態を示している。図１１は図１０の状態から回転ブロッ
ク１５を１８０度回転させた状態を示しており、図９と
同様に、二点鎖線の円形はセグメント旋回に必要なスペ
ースの外縁を示している。

【００２０】図９、図１１から明らかなように、図１１
の場合の方がセグメント旋回スペースが小さくて済むこ
とが分かる。このように、本実施の形態では回転ブロッ
ク１５に対するハンドリングブロック２３の位置を移動
できるので、セグメント旋回スペースを小さく抑えるこ
とができる。

【００２１】次に、上記のように構成されたセグメント
組立装置でセグメントを組み立てる場合の動作を説明す
る。まず、図５に示すように回転ブロック１５は通常状
態を保持させると共に、ハンドリングブロック２３を回
転ブロック１５の最下位置にした状態でセグメントを把
持する。把持したセグメントは回転ブロック１５を回転
させることにより必要な角度まで旋回させる。このと
き、回転ブロック１５を任意の角度に振り向けることが
できるので、いかなる組立位置におけるセグメントの姿
勢（角度）とも同じ姿勢（角度）に出来る。すなわち、
セグメントを組立位置から姿勢（角度）を変えずに平行
移動させたのと同じ状態にできるのである。

【００２２】この旋回動作をする際、上述したようにハ
ンドリングブロック２３を移動させてセグメントを回転
ブロック１５の回転中心に極力近づけるようにすれば、
セグメントの旋回に必要な空間を小さくすることが出来
るのである。次に、この状態で親ベースブロック１１、
子ベースブロック１３をそれぞれ適当量移動させること
により、セグメントを組立位置に向かって平行移動させ
る。ここで、親・子ベースブロック１１，１３の移動用
に設置するジャッキには空間的な制約からストローク量
に制約があり、また親・子ベースブロック１１，１３自
体が移動可能な空間にも限界があるため、親・子ベース
ブロック１１，１３の移動だけではセグメントを所定の
組立位置まで移動できない場合がある。この場合にはハ
ンドリングブロック２３をさらに移動させることにより
所定の組立位置まで移動させる。以上のようにしてセグ
メントを所定の位置まで移動できれば、既設セグメント
とボルト止めすればよい。

【００２３】以上のように本実施の形態のセグメント組
立装置は大きな旋回リングを持たないので外形寸法が小
さく、親・子ベースブロック１１，１３の移動だけでセ
グメントを所定の組立位置の近傍まで移動でき、特にコ
ーナ部や排土機構３の近傍の組立に有効である。

【００２４】また、大きな旋回リングを持たず、セグメ
ント組立装置を矩形断面のコーナ部等に近接させること
が可能であることから、セグメント把持部を大きく移動
させる機構が不要である。このためセグメント把持部の
移動機構部の剛性を必要以上に高める必要がなく、装置
全体をシンプルな構造に出来る。さらに、旋回動作や最
終的な押し込み動作等の際にセグメント組立装置全体を
動かす必要がないので、必要以上に大きな駆動力は不要
であり、微調整も容易である。また、本実施の形態にお
いては排土機構３をシールドフレーム１の中央部に配置
し、排土機構３を挟んで左右にセグメント組立装置５，
７を設置するようにしたので、最近開発されつつある拡
幅式のシールド掘進機にも対応することができる。

【００２５】なお、本実施の形態では、ベースブロック
を水平移動用と上下移動用の親・子ベースブロック１
１，１３から構成しているが、上下移動用を親ベースブ
ロックとして、これに水平移動用の子ベースブロックを
設置してもよい。

【００２６】また、本実施の形態では駆動手段として
（図示しない）ジャッキ、旋回用モータを使用している
が、チェーン式やラック＆ピニオン式等の既存の他の駆
動方式の適用も可能である。さらに、本実施の形態では
組立断面内の平面移動のみを考慮しているが、既存技術
を利用してトンネル軸向の前後移動機構やその他の微調
整機構を装備することも可能である。

【００２７】

【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、以下に示すような効果が得られる。

【００２８】本発明に係るセグメント組立装置において
は、第１ベースブロックがシールド掘進機に対して移動
可能に構成されているので、シールド掘進機内において
作業スペースを広く確保することができ、セグメントの
旋回等の作業も円滑に行うことができる。また、セグメ
ント把持機構を有するハンドリングブロックを、回転ブ
ロックに、該回転ブロックの回転平面と平行な平面内に
おいて、移動可能に設置したので、セグメント把持機構
にセグメントを把持して該セグメントを旋回させる際
に、ハンドリングブロックを回転ブロックの回転中心近
傍に移動させることができ、これによってセグメントの
旋回に必要な空間を小さくすることが出来る。

【００２９】さらに、第１，第２ベースブロックとハン
ドリングブロックがそれぞれ直線移動可能であり、その
組合せで大きな移動量を取れるため、各ブロックを移動
させるための駆動用ジャッキを小型化出来る。また、空
間的な制約上、単体のジャッキでは移動させられない場
合でも対応出来る。

【００３０】また、本発明に係るシールド掘進機におい
ては、シールドフレームの中央部に排土機構を設置し
て、該排土機構の両側に請求項１記載のセグメント組立
装置を設置したので、シールド掘進機が拡幅する場合に
も対応できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施の形態であるセグメント組立
装置を設置した矩形シールド掘進機の後部の正面図であ
る。

【図２】 本発明の一実施の形態であるセグメント組立
装置の斜視図である。

【図３】 本発明の一実施の形態であるセグメント組立
装置の側面図である。

【図４】 本発明の一実施の形態であるセグメント組立
装置の動作説明図である。

【図５】 本発明の一実施の形態であるセグメント組立
装置の動作説明図である。

【図６】 本発明の一実施の形態であるセグメント組立
装置の動作説明図である。

【図７】 本発明の一実施の形態であるセグメント組立
装置の動作説明図である。

【図８】 セグメント旋回スペースの説明図である。

【図９】 セグメント旋回スペースの説明図である。

【図１０】 セグメント旋回スペースの説明図である。

【図１１】 セグメント旋回スペースの説明図である。

【図１２】 従来のセグメント組立装置の説明図であ
る。

【図１３】 従来のセグメント組立装置の他の例の説明
図である。

【符号の説明】

１ シールドフレーム ３ 排土機構 ５，７ セグメント組立装置 ９，１０ ガイドレール １１ 親ベースブロック １３ 子ベースブロック １５ 回転ブロック ２３ ハンドリングブロック

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 治 東京都新宿区西新宿一丁目25番１号 大成 建設株式会社内 (72)発明者 宇野沢 史生 東京都新宿区西新宿一丁目25番１号 大成 建設株式会社内 (72)発明者 西渕 雅之 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 小林 曉 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 林 友幸 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シールド掘進機の内部に設置されて、ト
   ンネル構成部材であるセグメントを組み立てるセグメン
   ト組立装置であって、 シールド掘進機に、掘進軸に直交する平面内において水
   平又は垂直方向に移動可能に設置された第１ベースブロ
   ックと、 該第１ベースブロック上に、該第１ベースブロックの移
   動方向と直交する方向に移動可能に設置された第２ベー
   スブロックと、 該第２ベースブロックに、該第２ベースブロックの移動
   平面に直交する軸を中心に回転可能に設置された回転ブ
   ロックと、 該回転ブロックに、該回転ブロックの回転平面と平行な
   平面内において移動可能に設置されたセグメント把持機
   構を有するハンドリングブロックとを備えたことを特徴
   とするセグメント組立装置。
2. 【請求項２】 シールドフレームの中央部に排土機構を
   設置して、該排土機構の両側に請求項１記載のセグメン
   ト組立装置を設置したことを特徴とするシールド掘進
   機。