JPH1097170A - 人間の目で認識できないホログラムの作製方法 - Google Patents

人間の目で認識できないホログラムの作製方法

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JPH1097170A
JPH1097170A JP8251471A JP25147196A JPH1097170A JP H1097170 A JPH1097170 A JP H1097170A JP 8251471 A JP8251471 A JP 8251471A JP 25147196 A JP25147196 A JP 25147196A JP H1097170 A JPH1097170 A JP H1097170A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤外線で再生可能なセキュリティ用に適した
リップマンホログラムを安定して作製できる方法。 【解決手段】 フォトポリマー1中に少なくとも赤外領
域の波長において再生可能なホログラムが記録されてい
るホログラムの作製方法であり、可視領域の波長により
ホログラムを記録し、その後、そのホログラムが記録さ
れたフォトポリマー1にカラーチューニングフィルム6
を密着させて所定温度で所定時間加熱することにより、
そのホログラムの再生波長を赤外領域の波長にシフトさ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人間の目で認識で
きないホログラムの作製方法に係り、特に、赤外線で再
生可能なセキュリティ用に適したリップマンホログラム
の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、特開平5−188845号
において、例えばCDカード、プリペイドカード、定期
券、通帳、パスポート、身分証明書等が真実なもので偽
造されたものでないことを保証するために、立体像記
号、模様等を赤外域又は紫外域の特定の不可視波長によ
って再生可能に記録したリップマンホログラムを提案し
た。このような情報が赤外域又は紫外域の特定の不可視
波長によって再生可能に記録されているリップマンホロ
グラムの作製方法としては、各々紫外線又は赤外線で感
光する感光材料を使用して記録することにより作製する
方法、記録の前後で感光材料を膨潤又は収縮させ、記録
時と記録後のホログラムの感光材料の厚みを変化させる
ことにより、記録波長とは異なる波長で再生可能にする
方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、赤外線でホロ
グラムを撮影するには、不可視光を用いるため、取り扱
いが不便である。また、赤外線ホログラムを膨潤によっ
て作製するには、感光材料が銀塩フィルムに限られてし
まい、また、膨潤度合いを制御するのが容易でなく、さ
らに、このようにして作製された赤外線ホログラムは経
時安定性に欠ける問題があり、結局、従来の方法は生産
性に欠けるものであった。
【0004】本発明は従来技術のこのような問題点に鑑
みてなされたものであり、その目的は、赤外線で再生可
能なセキュリティ用に適したリップマンホログラムを安
定して作製できる方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の人間の目で認識できないホログラムの作製方法は、
フォトポリマー中に少なくとも赤外領域の波長において
再生可能なホログラムが記録されているホログラムの作
製方法において、可視領域の波長によりホログラムを記
録し、その後、そのホログラムが記録されたフォトポリ
マーにカラーチューニングフィルムを密着させて所定温
度で所定時間加熱することにより、そのホログラムの再
生波長を赤外領域の波長にシフトさせることを特徴とす
る方法である。
【0006】この場合、フォトポリマー中に可視領域の
異なる2つ以上の波長により複数のホログラムを記録
し、その後、その複数のホログラムが記録されたフォト
ポリマーにカラーチューニングフィルムを密着させて所
定温度で所定時間加熱することにより、複数のホログラ
ム中のより長い波長により記録された1つ以上のホログ
ラムの再生波長を赤外領域の波長にシフトさせ、残りの
ホログラムの再生波長を可視領域の波長にシフトさせる
ことができる。
【0007】本発明の人間の目で認識できないホログラ
ムの作製方法においては、ホログラム撮影には可視光を
用いるため取り扱いが容易であり、また、回折波長の長
波長化のためにはカラーチューニングフィルムを用いる
ため、波長シフト量の制御が容易で、経時安定性の良い
赤外線ホログラムを安定して作製することができ、生産
性を向上させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】リップマンホログラムあるいは体
積型ホログラムの記録材料として、最近は、フォトポリ
マーが利用されている。二光束干渉によりフォトポリマ
ー中に記録された体積位相型のホログラムの回折波長特
性は狭いものである。そこで、この回折波長特性を広げ
るために、干渉記録後のホログラムにカラーチューニン
グの手法を用いることが知られている(特開平3−46
687号)。
【0009】このカラーチューニングは、ホログラムが
記録されたフォトポリマー等の感光材料にカラーチュー
ニングフィルムを密着させて加熱することにより、感光
材料中にモノマー、可塑剤等を拡散させて回折波長を広
域化する技術であり、回折波長の半値幅が増加するの
で、カラーチューニング後のリップマンホログラムを白
色光で照明すると、回折光が増加し、輝度が向上するも
のである。同時に、このようなカラーチューニングに
は、中心回折波長が長い波長側にシフトする現象を伴
う。
【0010】本発明のホログラムの作製方法は、カラー
チューニングにより体積型ホログラムの中心回折波長が
長い波長側にシフトする現象を利用する方法である。す
なわち、感光材料としてフォトポリマーを用い、その中
に可視波長域中の光でリップマンホログラムを記録し、
カラーチューニングフィルムを密着させて所定温度で所
定時間加熱することにより、そのホログラムの再生波長
を赤外波長域中へシフトさせることにより、赤外線で再
生可能なセキュリティ用に適したリップマンホログラム
を作製する方法である。
【0011】以下、実施例に基づいて本発明のホログラ
ムの作製方法を説明する。図1に示すように、ホログラ
ム記録材料1としてフォトポリマーであるHRF700
X071(DuPont社製)を用い、その裏面から入
射角−60°でKrレーザーの647.1nmの物体光
2を入射させ、その表面側から入射角60°でKrレー
ザーの647.1nmの参照光4を入射させ、第1の体
積位相型ホログラムを記録し、次いで、同じホログラム
記録材料1の裏面側から入射角−60°でArレーザー
の488nmの物体光3を入射させ、その表面側から入
射角0°でArレーザーの488nmの参照光5を入射
させ、第2の体積位相型ホログラムを重畳記録した。こ
の時点で、2つのホログラムの回折波長は可視域である
ので、品質評価が容易にできた。
【0012】次に、図2に示すように、その2つのホロ
グラムが記録されたホログラム記録材料1にカラーチュ
ーニングフィルム6としてCTF−75(DuPont
社製)を密着させ、120℃で2時間加熱すると、60
°方向から入射した再生光により0°方向に回折して可
視の第2のホログラムが目視で観察できたが、第1のホ
ログラムの回折波長は赤外域へシフトし、目視では観察
できなくなった。赤外の第1のホログラムは、60°方
向から入射した赤外再生光により−60°方向に回折し
て再生された。
【0013】図3(a)はカラーチューニングなしで加
熱処理したホログラム1に入射角60°で照明光を入射
させた場合の分光透過率を示す図であり、図3(b)は
カラーチューニング後の同様の分光透過率を示す図であ
る。両図の比較から明らかなように、第1のホログラム
の回折波長ピークが約620nmから約760nmに、
第2のホログラムの回折波長ピークが約470nmから
約570nmに長波長化していることが分かる。
【0014】また、カラーチューニング後の各ホログラ
ムの観察角度と回折波長ピークとの関係を図4に示す。
体積位相型ホログラムがこのように観察角度に応じて回
折波長が変化するのは、ブラッグ回折の条件を満足する
波長が回折角に応じて変化するからである。この図4か
ら、カラーチューニング後の第1のホログラムは、何れ
の観察角度においても可視光を回折しないので、どの角
度から見ても目視できないことが分かる。
【0015】以上の実施例の説明から明らかなように、
本発明においては、フォトポリマー中に可視波長域中の
光でリップマンホログラムを記録し、カラーチューニン
グフィルムを密着させて所定温度で所定時間加熱するこ
とにより、そのホログラムの再生波長を赤外波長域中へ
シフトして、赤外線で再生可能で目視できないホログラ
ムを作製するものである。この際、上記実施例のよう
に、より短い波長で別のホログラムを重畳して記録して
おいて、そのホログラムはカラーチューニングにより再
生波長がより長波長へシフトしても可視域に止まるよう
にすることにより、一部のホログラムは目に見え、別の
ホログラムは赤外線によってのみ再生可能で目に見えな
いようにすることができ、よりセキュリティ性を増すよ
うにすることもできる。
【0016】なお、図2の加熱後、カラーチューニング
フィルム6は、ホログラム記録材料1と一体にしておい
ても分離して廃棄してもよい。また、赤外線ホログラム
として記録する情報は、赤外用CCD等で直接観察でき
る立体像、模様等であっても、赤外線読取装置によって
機械的に読み取り可能なバーコード等のコード情報であ
てもよい。
【0017】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の人間の目で認識できないホログラムの作製方法による
と、ホログラム撮影には可視光を用いるため取り扱いが
容易であり、また、回折波長の長波長化のためにはカラ
ーチューニングフィルムを用いるため、波長シフト量の
制御が容易で、経時安定性の良い赤外線ホログラムを安
定して作製することができ、生産性を向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるホログラム記録のため
の配置を示す図である。
【図2】本発明の実施例におけるカラーチューニングを
説明するための図である。
【図3】カラーチューニング前後のホログラムの分光透
過率を対比して示すための図である。
【図4】カラーチューニング後の各ホログラムの観察角
度と回折波長ピークとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1…ホログラム記録材料 2…第1の体積位相型ホログラム用の物体光 3…第2の体積位相型ホログラム用の物体光 4…第1の体積位相型ホログラム用の参照光 5…第2の体積位相型ホログラム用の参照光 6…カラーチューニングフィルム

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フォトポリマー中に少なくとも赤外領域
    の波長において再生可能なホログラムが記録されている
    ホログラムの作製方法において、可視領域の波長により
    ホログラムを記録し、その後、そのホログラムが記録さ
    れたフォトポリマーにカラーチューニングフィルムを密
    着させて所定温度で所定時間加熱することにより、その
    ホログラムの再生波長を赤外領域の波長にシフトさせる
    ことを特徴とする人間の目で認識できないホログラムの
    作製方法。
  2. 【請求項2】 前記のフォトポリマー中に可視領域の異
    なる2つ以上の波長により複数のホログラムを記録し、
    その後、その複数のホログラムが記録されたフォトポリ
    マーにカラーチューニングフィルムを密着させて所定温
    度で所定時間加熱することにより、複数のホログラム中
    のより長い波長により記録された1つ以上のホログラム
    の再生波長を赤外領域の波長にシフトさせ、残りのホロ
    グラムの再生波長を可視領域の波長にシフトさせること
    を特徴とする請求項1記載の人間の目で認識できないホ
    ログラムの作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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