JPH1093384A - 2ポートsaw共振子 - Google Patents

2ポートsaw共振子

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JPH1093384A
JPH1093384A JP19267397A JP19267397A JPH1093384A JP H1093384 A JPH1093384 A JP H1093384A JP 19267397 A JP19267397 A JP 19267397A JP 19267397 A JP19267397 A JP 19267397A JP H1093384 A JPH1093384 A JP H1093384A
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  • Surface Acoustic Wave Elements And Circuit Networks Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、高次縦インハーモニックモードが
原因となるスプリアスを抑圧した2ポートSAW共振子
を提供する。 【解決手段】 一対の反射器と、3個のIDTを有する
2ポートSAW共振子において、第1のIDTに対し
て、第2と第3のIDTの周波数上昇率を小さく設定
し、第1の周波数上昇量を2000から12000pp
mとし、IDT2とIDT3の電極指対数を、IDT全
体の電極指対数の総和の2.75から3.75または4
分の1の対数としたことにより、高次縦インハーモニッ
クスモードが原因となるプリアスの抑圧が可能とる他、
直列共振抵抗値R1も20Ω程度と小さく実現でき、5
00MHz以上の高周波帯において、周波数安定性に優
れた2ポートSAW共振子を実現できることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は弾性表面波を用いた
2ポート型弾性表面波共振子(以下、2ポートSAW
(Surface Acoustic Wave)共振
子と略す)において、高次縦インハーモニックモードが
原因のスプリアス(不要共振)を抑圧した2ポートSA
W共振子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の2ポートSAW共振子の電極構造
としては、基本的電極構成については、例えば米国特許
3886504号公報に開示され、水晶回転Y板につい
ては、電極膜厚み1000Å以下の場合につき、特開昭
61−251223号公報に開示され又、特開昭61−
230419号公報には3個のすだれ状電極の例が記載
されている。3個のすだれ状電極を有する2ポートSA
W共振子は、中央すだれ状電極が入力端子となり、その
両側にに出力端子となるすだれ状電極が配置されるた
め、出力側負荷回路の負荷変動に対して周波数が安定で
あり、特に、この形式を用いれば、水晶単結晶からなる
STカットX伝搬板に形成してなるいわゆるSTカット
2ポートSAW共振子は、零温度係数となって周波数安
定性の面では1ポート型に劣らぬ優れたものが得られ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の従来技
術において、電極膜厚みを1000Å以上として素子の
小型化をはかった場合に、前記3個のすだれ状電極をも
つSTカット2ポートSAW共振子において、主共振周
波数の下側に、複数の高次縦インハーモニックモードに
よる共振が存在する。これらの内、前記の主共振周波数
に最も近いモードは、発振回路に前記2ポートSAW共
振子が組み込まれた際に、発振周波数の調整時に使用さ
れる伸長コイルにより、周波数が近接して同時に励振さ
れる結果、周波数ジャンプを発生して通信不良を引き起
こすという課題があった。
【0004】さらに又、クロスバスバー導体幅の寸法の
設定によっては、前述の高次縦インハーモニックモード
群を完全に抑圧したにもかかわらず、二つのほぼ同等振
幅のスプリアスが発生することを発見した。
【0005】そこで本発明はこのような問題点を解決す
るもので、その目的とするところは、周波数安定性に優
れ、スプリアスのない2ポート型SAW共振子を通信市
場に提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の2ポートSAW共振子は、圧電体平板上
に、弾性表面波を励振する第1のすだれ状電極と、この
第1のすだれ乗電極の両側に弾性表面波を受信する1対
の第2及び第3のすだれ状電極と、さらに前記第1、前
記第2及び前記第3のすだれ状電極の両側に1対の反射
器を配置してなる2ポートSAW共振子において、前記
反射器と前記第1、第2及び第3のすだれ状電極は、前
記圧電体平板上に金属の平行導体を周期的に配置して構
成し、前記反射器と前記第2及び前記第3のすだれ状電
極間の最も近接した平行導体間の距離は、すだれ状電極
の持つラインとスペースのうちスペースからなり、前記
第1のすだれ状電極の平行導体の周期を、前記反射器の
もつ平行導体の周期より小さくして周波数上昇せしめ、
かつそのトータル反射係数Γを10>Γ>0.8とした
エネルギー閉じ込め型とし、前記第2及び前記第3のす
だれ状電極の平行導体の周期を、前記第1のすだれ状電
極の平行導体の周期より大きくして、周波数を下げたこ
とを特徴とする。
【0007】(2)(1)において、前記第2及び前記
第3のすだれ状電極の対数が、前記第1、前記第2及び
前記第3のすだれ状電極の対数の総和の1/2.75か
ら1/3.75の範囲にあることを特徴とする。
【0008】(3)(1)において、前記第2及び前記
第3のすだれ状電極の対数が、前記第1、前記第2及び
前記第3のすだれ状電極の対数の総和の1/(4±2
%)にあることを特徴とする。
【0009】(4)(1)において、前記第1のすだれ
状電極の周波数上昇量が2000から12000ppm
の範囲であることを特徴とする。
【0010】(5)(1)において、前記第1のすだれ
状電極の周波数上昇量が2500から7500ppmの
範囲であることを特徴とする。
【0011】(6)(1)において、前記第1のすだれ
状電極の対数が80から110の範囲であることを特徴
とする。
【0012】(7)(1)において、前記第2及び前記
第3のすだれ状電極の平行導体の周期が、前記反射器の
それとほぼ等しいことを特徴とする。
【0013】(8)(1)において、前記第1のすだれ
状電極の電極膜厚Hを前記第2及び前記第3のすだれ状
電極の膜厚より薄くしたことを特徴とする。
【0014】(9)(1)において、前記第1から前記
第3のすだれ状電極の膜厚Hと弾性表面波の波長λの比
H/λが、0.013ら0.03範囲であることを特徴
とする。
【0015】(10)(1)において、前記第1、前記
第2及び前記第3のすだれ状電極の対数の総和が、18
0以上300対以下であることを特徴とする。
【0016】(11)(1)から(10)において、前
記第1と第2、および第1と第3のすだれ状電極間の、
クロスバスバー導体幅とその両側のスペース幅の合計長
が、弾性表面波の波長をλとして、nλ+(1/4)
λ、あるいはnλ+(3/4)λ(ただしn=0、1、
2、・・)となるように構成したことを特徴とする。
【0017】(12)(1)から(11)において、前
記圧電体平板が、水晶のSTカットあるいはKカットで
あることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、レーリー波、リーキー波、
STW(surface transversal w
ave)波等の弾性表面波を用いた本発明の2ポートS
AW共振子の詳細を順を追って説明する。
【0019】第2、第3のすだれ状電極を電気的に接続
する導体としては、アルミ線や金線を用いてもよい。だ
だし、すだれ状電極を形成する際、導体も圧電体平板上
で形成した方がコスト上も信頼性上も好都合である。以
下の説明においては、弾性表面波が伝播する部分を横断
する導体をクロスバスバー導体、他を接続導体として説
明する。
【0020】図1は本発明の2ポートSAW共振子の電
極パターンを示す平面図である。図1中の各部位は、1
00が圧電体平板(以下、略して平板と称す)であっ
て、水晶より切り出されたST−X伝搬カット、LST
−X伝搬カット、Kカット(X軸回り6.5度の回転Y
カットの面内に、X軸より約32.4度方向に位相伝搬
方向をもつ。)の様な特定のウエハーを細断して得られ
る素子片であり、101は第1の反射器、105は第2
の反射器、103は第1のすだれ状電極(IDT1)、
102は第2のすだれ状電極(IDT2)、104は第
3のすだれ状電極(IDT3)、108は第1のクロス
バスバー導体、109は第2のクロスバスバー導体、1
10は第3のクロスバスバー導体、111は第4のクロ
スバスバー導体、107は素子の入力端子側に接続され
た交流信号源、106は素子の出力端子側に接続された
電気的負荷インピーダンス、120のX軸は前記レーリ
ー波等の弾性表面波の位相伝搬方向である。
【0021】前記のすだれ状電極(以下、IDT(In
terdigital Transducer)と略
す)、と反射器、クロスバスバー導体および接続導体等
(112、113)の導体パターンは、前記圧電体平板
上に、Al、Au、Cu等の導体金属膜を蒸着及びスパ
ッタ等の薄膜形成手段により形成した上で、フォトリソ
グラフィ技術によりパターン形成して得られる。構成を
電気回路的観点からみると、前記IDT1(103)は
素子の入力側とし、電気的な交流信号源107にアルミ
線等の導体で接続されており、その両側に配置した1対
のIDT2(102)、IDT3(104)は相互に接
続導体(112、113)で接続されて、全体で素子の
出力側IDTを構成し、さらに、前記3個のIDTの両
側に1対の反射器(101、105)を配置した構成か
らなる。
【0022】さらに詳細に説明すると、前記のIDTお
よび反射器の導体ストリップ(114、115等)は、
細長い矩形からなる導体ストリップを前記弾性表面波の
位相伝搬方向X(120)に直交して多数平行に周期的
間隔をもって配置する。図中に示すとおり、第1の反射
器の周期的間隔をPR1、IDT2をPT2、IDT1
をPT1、IDT3をPT3、第2の反射器をPR2と
する。通常、前記導体ストリップの存在する部分のX軸
方向の幅をライン(L)、導体が存在しない部分のX軸
方向の幅をスペース(S)と呼んでいる。請求項1から
10及び請求項12に記載された発明は、クロスバスバ
ー導体の有無にかかわらず成り立つものである。しか
し、クロスバスバー導体を設ける場合においては、その
幅寸法をBとし、その両側のスペース幅をSP1、SP
2として、B+SP1+SP2がnλ+(1/4)λあ
るいはnλ+(3/4)λと設定する。(ただし、n=
0、1、2、・・。詳細は図12参照。)またIDT1
とIDT2間のクロスバスバー導体とその両側のスペー
ス幅の総和と、IDT1とIDT3間のクロスバスバー
導体とその両側のスペース幅の総和が等しいことが、後
述するスプリアス(斜対称モード)の抑圧に効果があ
る。
【0023】本発明の図1の2ポートSAW共振子の動
作は、次のように行われる。電気的入力信号源107よ
り加えられる交流信号は、 IDT1(103)の正電
極端子(117)と負電極端子(116)に接続する電
極指間に交番電界を印加して、平板である圧電体に交番
的に振動する応力を発生させる。該交番的応力により、
X軸の正負の方向に弾性表面波が放射され、さらに10
1と105の反射器において、多数の導体ストリップ群
により素板の中央に反射されて反射器のピッチに応じた
定在波を形成し、振動現象を呈する。 IDT2(10
3)とIDT3(104)は、弾性振動により発生する
振動電荷を検出して、106の負荷インピーダンスZL
(106)に供給する。以上のようにして、前記の振動
現象が最大の振幅を有する周波数において直列共振する
2ポートSAW共振子が実現する。
【0024】つぎに、図2は前述の図1がもつ属性を示
したものである。図中の縦軸は、図1のX軸方向につい
て、2ポートSAW共振子の各要素である反射器とID
Tがもつ角周波数ω(=2πf)である。該周波数は、
利用する弾性表面波が該当する領域において有する音速
Vを、要素を構成する導体ストリップの周期(ピッチと
も呼ぶ)Pで割って得られるものである。即ち、ω=2
πV/2Pで与えられる。反射器とIDTの各周期は、
図1中のPR1、PR2、PT1、PT2、PT3で示
した。図中の各々は、ωR は第1と第2の反射器、ω
2はIDT2、ω1はIDT1、ω3はIDT3の角周
波数である。本発明の特徴は、IDT1のω1が最も大
きく、IDT2とIDT3のω2,ω3がω1より小さ
く設定することである。この角周波数の構成が妥当であ
るのは、水晶ST−Xカット、Kカット等にアルミニウ
ムで電極構成した、いわゆるエネルギー上昇型の波数分
散特性をもつ場合である。もし前記カットの平板に金電
極を形成した場合のような、周波数降下型の波数分散特
性をもつ場合においては、図2の角周波数の大小関係を
全部逆に設定する必要がある。SAW共振子に於ける周
波数上昇型と降下型についての解説は、鈴木、清水、山
内等の文献”エネルギー閉じ込め弾性表面波共振子”,
信学技報,US87−36,pp.9−16(198
0)に記載されている。
【0025】つぎに、本発明の図1と図2の構成により
本発明の目的である縦インハーモニックモードの抑圧が
いかに達成されるかにつき、水晶STカットにおけるレ
イリー波を利用した場合を例にとり、さらに詳細な構成
条件と特性図を示して説明する。
【0026】図3は図1の実施例においてIDT1、I
DT2、IDT3の正負電極指(図1の118と119
等)を1対としたときの対数を最適に設定するためのも
ので、前記3つのIDTの持つ対数の総和M(=M1+
M2+M3)を分割数DIVで割ってIDT2とIDT
3の対数M2、M3(M2=M3)とした場合の、2ポ
ートSAW共振子の直列等価抵抗R1との関係を示す特
性図である。M1はIDT1の対数である。図中の曲線
300は前記M=300、301はM=220、302
はM=180の場合である。特にR1が最低値を示す分
割数DIVの範囲は、R1の変動が10%以下の範囲と
して、DIV=2.75〜3.75であることがわか
る。
【0027】図4は、2ポートSAW共振子の前記ID
T2とIDT3の対数M2=M3=0として、中央のI
DT1の対数M1=Mと角周波数ω1の周波数上昇量Δ
f/f(単位はppm)の組み合わせに対して、高次縦
インハーモニックモードの発生状況を図示したものであ
る。黒塗り部が高次縦インハーモニックモードが発生す
る条件範囲を示す。従って、曲線400以下の条件範囲
で製作すれば、高次縦インハーモニックモードを抑圧で
きる。前記の周波数上昇量としては、反射器の角周波数
ωRを基準として、Δf/f=(ω1−ωR)/ωRと
定義した。同図によれば、IDT1の対数M1が増加す
る程、高次縦インハーモニックモードの発生しない周波
数上昇量範囲が狭くなっている。実用的な範囲として
は、曲線400以下で、かつ周波数上昇量Δf/f=2
000〜12000ppm、対数M1=80〜110の
組み合わせ範囲がスプリアスの抑圧と小さいR1の値を
もつ点で良い。一般的傾向としてはM1が小さく、周波
数上昇量、Δf/fが小さいほど高次縦インハーモニッ
クモードは発生しない傾向にある。図中の曲線400は
発生のカットオフ周波数を与える条件を示している。
【0028】つぎに図5は、IDT1の周波数上昇量を
前記の範囲に固定した場合において、IDT1の周波数
上昇量DF1=(Δf/f)1を基準とし、IDT2と
IDT3のそれをDFとして、周波数上昇率DF/DF
1を横軸として、2ポートSAW共振子の直列等価抵抗
をR1(曲線500)と等価容量C1(曲線501)の
関係を図示したものである。同図からわかるとおり、周
波数上昇率DF/DF1が1.0の近傍において、最低
のR1が実現し、また周波数上昇率が1.0から離れる
程C1が減少していることがわかる。ことに、周波数上
昇率が1.0以下となればなるほど、前記C1の減少か
ら、2ポートSAW共振子の振動振幅が素子中央に集中
する傾向になっていることが推定できる。つぎに図6
は、アルミ電極の膜厚Hに対する弾性表面波の波長λの
比H/λに対して、等価直列抵抗R1の関係を示す。こ
の場合において、IDT1の周波数上昇量は5000p
pm、またIDT1からIDT3までの総和Mは300
対とし、IDT分割数DIVとして4を、周波数上昇率
として0.0を選択した。同図からわかるとおり、特性
曲線600は、 H/λ=1.3%〜3% の範囲におい
て、発振回路において問題なく使用可能な40Ω以下の
R1値を実現している。H/λが1.3%以下の範囲に
おいては、IDTの電極全体でのトータル反射係数Гが
減少するために、共振条件が構成できなくなり、R1の
急速な増加をもたらしている。前記のΓは次式(1)の
通り定義した上で、10>Г>0.8の範囲が好まし
く、いわゆるエネルギー閉込型SAW共振子を実現して
いる。
【0029】前記Гの上限値10は、IDTの電極指対
数の増加にともない弾性表面波からバルク波への変換損
失あるいは電極材の摩擦損失によって、前記等価直列抵
抗R1が増加傾向を示す境界値に対応する。
【0030】
【数1】
【0031】但しここで、Mは前記IDTの対数、aは
電極1本当たりの弾性表面波の反射係数、Hは前記導体
の膜厚、λは弾性表面波の波長である。前記平板200
が、従来の水晶STカットX伝搬の水晶板で、Al導体
で形成されたIDTであれば、a=0.255,H/λ
=0.03としてM=80対とすれば、十分な性能をも
つ図2と同様な1ポートSAW共振子を構成できる。こ
のときΓ=2.448程度となる。
【0032】つぎに、前述の条件にて得られる2ポート
SAW共振子の伝送特性につき、図7から図10を用い
て説明する。
【0033】前記の伝送特性は図1の信号源107が発
生する素子への入力電圧VINと、素子からの出力電圧
VOUTの比の対数値である。即ち、20LOG
10(VOUT/VIN)。前記の出力電圧は負荷イン
ピーダンスZL(106)の端子間電圧に等しい。今回
はZLとして50Ωの抵抗値を用いた。また、2ポート
SAW共振子の構成条件として、M=270対、反射器
導体ストリップの本数174本、H/λ=2.0%、I
DT分割数2.75、クロスバスバー幅Bを25.08
μm、スペース幅SP1を1.79μm、SP2を5.
37μmとした。図7は周波数上昇率DF/DF1=
1.5の場合である。曲線700が伝送特性であるが、
基本波縦モードである主共振モードS0以外に多数の対
称1次(S1)から3次(S3)および、対称モードの
間に存在する斜対称の高次縦インハーモニックモードか
らなるスプリアスモードが存在していることがわかる。
前記の斜対称モードは、その振動変位の振幅が2ポート
SAW共振子のX軸方向(図1の120)の中央原点に
関して180度の回転対称変位を有するため、中央原点
に関して導体パターンの対称性が良い程、その共振振幅
は小さいと言える。図8は、周波数上昇率1.0の場合
である。図9は周波数上昇率0.0の場合である。図9
において、曲線900は図1の状態での順方向伝送特性
(S21)であり、曲線901は図1の信号源107と
負荷106を交換した場合の逆方向伝送特性(S12)
である。両者の間には僅かなずれが発生していることが
わかる。しかしながら、このずれは若干の共振周波数変
化をもたらし、特に数ppmの周波数精度を要求される
場合には不都合である。原因として、入力と出力側のI
DTの電極指がつくる並列容量の値が等しくないためと
推測されたため、対策を検討した結果、前記IDTの分
割数をDIV=4.0としたところ、全く一致した伝送
特性が得られた。このとき、IDT1の対数と(IDT
2+IDT3の対数の和)は全く等しいが、分割数に4
±2%程度の差があっても実用上は問題なかった。図9
の場合には、スプリアスS1、S2が主共振S0より遠
ざかり、かつ減衰している。さらに、IDTの周波数上
昇率を低下させて、DF/DF1=−0.5とした図1
0の場合には、前述の高次縦モードからなるスプリアス
は全く消滅している。主共振S0のみが存在している。
【0034】さらに、図11においてIDT1の周波数
上昇量の最適値につき説明する。ITD1に対するID
T2、IDT3の周波数上昇率DF/DF1を−0.5
とした場合(曲線1101)と、0.0とした場合(曲
線1102)につき図示した。両特性に関して、IDT
1の周波数上昇量約5000ppmに、R1の最小値が
存在し、おおむねIDT1の周波数上昇量DF1が20
00から12000ppmにおいて、20Ω付近の良好
なR1が実現できることがわかる。ただし、このときの
M=300、H/λ=2.5%、IDT分割数DIV=
4.0である。
【0035】以上の結果から考えるに、水晶ST−Xカ
ットの場合は、2ポートSAW共振子に求められてい
る、R1が小さく、スプリアスモードの全く存在しない
という目標は同時には満足できないが、両者の条件をほ
ぼ満足できる妥協点を探ると、つぎの好ましい構成条件
に集約できる。周波数上昇量DF1=4000〜100
00ppm、周波数上昇率DF/DF1は0付近、ID
Tの分割数4付近、H/λは2〜2.5%付近である。
DF/DF1は0付近とは、DF=0からIDT2とI
DT3の平行導体の周期が反射器のそれとほぼ等しいこ
とである。
【0036】最後に、前記IDT1からIDT3と、前
記IDT1とIDT2、およびIDT2とIDT3の間
に、クロスバスバー導体を構成した、本発明の2ポート
SAW共振子において、クロスバスバー導体幅Bとその
両側のスペース幅SP1、SP2の合計長と伝送特性に
関して、図12と図13を用いて説明する。
【0037】図12は、前述のクロスバスバー導体を構
成した、本発明の2ポートSAW共振子の電極パターン
の平面図である。図12の各部位は、1201がIDT
1、1202がIDT2、1203がIDT3、120
4、1205がクロスバスバー導体、1206、120
7が反射器である。1204および1205のクロスバ
スバー導体幅をBとし、IDT1(1201)とクロス
バスバー導体のスペースの幅をSP1とし、IDT2
(1202)あるいはIDT3(1203)と、クロス
バスバー導体(1204)のスペースの幅をSP2とす
る。寸法 B+SP1+SP2 が、(n+1)λある
いはnλ+(1/2)λ(n=0、1、2、・・)の場
合、伝送特性は図13における1302に示されるよう
な2つの共振周波数をもつ波形となる。この共振現象
は、前述の高次縦インハーモニックモード群を完全に抑
圧したにもかかわらず、二つのほぼ同等振幅として発生
している。この2つのモードが励振される現象を回避す
るためにはB+SP1+SP2を適当な条件で設計する
必要があり、B+SP1+SP2がnλ+(1/4)λ
あるいはnλ+(3/4)λの場合、伝送特性は図13
における1301に示されるような1つの共振モードの
みをもつ波形となり、前述の2つの共振モードが励振さ
れる現象を回避することができる。
【0038】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、一対
の反射器と、3個のIDTを有する2ポートSAW共振
子において、第1のIDTに対して、第2と第3のID
Tの周波数上昇率を小さく設定し、第1の周波数上昇量
を2000から12000ppmとし、IDT2とID
T3の電極指対数を、IDT全体の電極指対数の総和の
2.75から3.75または4分の1の対数としたこと
により、高次縦インハーモニックモードが原因となるス
プリアスの抑圧が可能となる。さらにまた、クロスバス
バー導体とその両側のスペース幅を適切に設定すること
により、他の別個なスプリアスモードの抑圧ができるた
め、直列共振抵抗値R1も20Ω程度と小さく実現で
き、500MHz以上の高周波帯において、周波数安定
性に優れた2ポートSAW共振子が市場に提供できる。
【0039】水晶における他のカット角を用いた平板の
場合、さらには他の圧電体材料を用いた場合、さらにま
た、レーリー波以外の弾性表面波を用いた場合について
も、本発明の基本構成と詳細設定値の最適化により、良
好な2ポートSAW共振子が構成できることを付け加え
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である2ポートSAW共振
子の平面図。
【図2】 前記図1の構成条件を示す特性図。
【図3】 前記図1のIDTの分割数とR1の関係を示
す特性図。
【図4】 前記図1のIDT1の周波数上昇量を示す特
性図。
【図5】 前記図1のIDT2とIDT3が示す周波数
上昇率とR1の関係を示す特性図。
【図6】 前記図1の電極膜厚HとR1の関係を示す特
性図。
【図7】 前記図1の伝送特性を示す特性図。
【図8】 前記図1の伝送特性を示す特性図。
【図9】 前記図1の伝送特性を示す特性図。
【図10】前記図1の伝送特性を示す特性図。
【図11】前記図1のIDT1の周波数上昇量とR1の
関係を示す特性図。
【図12】 本発明の一実施例である2ポートSAW共
振子の電極パターンの平面図。
【図13】 前記図12の伝送特性を示す特性図。
【符号の説明】
100 圧電体平板 101 第1の反射器 102 第2のIDT(IDT2) 103 第1のIDT(IDT1) 104 第3のIDT(IDT3) 105 第2の反射器

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電体平板上に、弾性表面波を励振する
    第1のすだれ状電極と、この第1のすだれ乗電極の両側
    に弾性表面波を受信する1対の第2及び第3のすだれ状
    電極と、さらに前記第1、前記第2及び前記第3のすだ
    れ状電極の両側に1対の反射器を配置してなる2ポート
    SAW共振子において、 前記反射器と前記第1、第2及び第3のすだれ状電極
    は、前記圧電体平板上に金属の平行導体を周期的に配置
    して構成し、 前記反射器と前記第2及び前記第3のすだれ状電極間の
    最も近接した平行導体間の距離は、すだれ状電極の持つ
    ラインとスペースのうちスペースからなり、 前記第1のすだれ状電極の平行導体の周期を、前記反射
    器のもつ平行導体の周期より小さくして周波数上昇せし
    め、かつそのトータル反射係数Γを10>Γ>0.8と
    したエネルギー閉じ込め型とし、 前記第2及び前記第3のすだれ状電極の平行導体の周期
    を、前記第1のすだれ状電極の平行導体の周期より大き
    くして、周波数を下げたことを特徴とする2ポートSA
    W共振子。
  2. 【請求項2】 前記第2及び前記第3のすだれ状電極の
    対数が、前記第1、前記第2及び前記第3のすだれ状電
    極の対数の総和の1/2.75から1/3.75の範囲
    にあることを特徴とする請求項1記載の2ポートSAW
    共振子。
  3. 【請求項3】 前記第2及び前記第3のすだれ状電極の
    対数が、前記第1、前記第2及び前記第3のすだれ状電
    極の対数の総和の1/(4±2%)にあることを特徴と
    する請求項1記載の2ポートSAW共振子。
  4. 【請求項4】 前記第1のすだれ状電極の周波数上昇量
    が2000から12000ppmの範囲であることを特
    徴とする請求項1記載の2ポートSAW共振子。
  5. 【請求項5】 前記第1のすだれ状電極の周波数上昇量
    が2500から7500ppmの範囲であることを特徴
    とする請求項1記載の2ポートSAW共振子。
  6. 【請求項6】 前記第1のすだれ状電極の対数が80か
    ら110の範囲であることを特徴とする請求項1記載の
    2ポートSAW共振子。
  7. 【請求項7】 前記第2及び前記第3のすだれ状電極の
    平行導体の周期が、前記反射器のそれとほぼ等しいこと
    を特徴とする請求項1記載の2ポートSAW共振子。
  8. 【請求項8】 前記第1のすだれ状電極の電極膜厚Hを
    前記第2及び前記第3のすだれ状電極の膜厚より薄くし
    たことを特徴とする請求項1記載の2ポートSAW共振
    子。
  9. 【請求項9】 前記第1から前記第3のすだれ状電極の
    膜厚Hと弾性表面波の波長λの比H/λが、0.013
    から0.03範囲であることを特徴とする2ポートSA
    W共振子。
  10. 【請求項10】 前記第1、前記第2及び前記第3のす
    だれ状電極の対数の総和が、180以上300対以下で
    あることを特徴とする請求項1記載の2ポートSAW共
    振子。
  11. 【請求項11】 前記第1と前記第2、及び前記第1と
    前記第3のすだれ状電極間の、クロスバスバー導体幅と
    その両側のスペース幅の合計長が、弾性表面波の波長を
    λとして、nλ+(1/4)λ、あるいはnλ+(3/
    4)λ(ただしn=0、1、2、・・)となるように構
    成したことを特徴とする請求項1から請求項10記載の
    2ポートSAW共振子。
  12. 【請求項12】 圧電体平板が、水晶のSTカットある
    いはKカットであることを特徴とする請求項1から請求
    項11記載の2ポートSAW共振子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2007129299A (ja) * 2005-11-01 2007-05-24 Seiko Epson Corp Fsk変調器

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