JPH1090229A - 電子捕獲型検出装置及び電子捕獲型検出方法 - Google Patents

電子捕獲型検出装置及び電子捕獲型検出方法

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JPH1090229A
JPH1090229A JP9252787A JP25278797A JPH1090229A JP H1090229 A JPH1090229 A JP H1090229A JP 9252787 A JP9252787 A JP 9252787A JP 25278797 A JP25278797 A JP 25278797A JP H1090229 A JPH1090229 A JP H1090229A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスクロマトグラフからの試料成分ガス検出
用の電子捕獲型検出装置及び検出方法を提供する。 【解決手段】 ガスクロマトグラフィーカラム及びメイ
クアップガス源と共に使用する電子捕獲型検出装置で:
入口開口部と出口開口部を持つイオン化チャンバー25
6;カラムと入口開口部間に操作可能に接続して、カラ
ム溶出物とメイクアップガスの流体流を受け、入口開口
部を通してイオン化チャンバー中へカラム溶出物とメイ
クアップガスの流体混合物を導く試料注入系260;イ
オン化チャンバーに組込んで、流体混合物中に複数の熱
電子を発生し、流体混合物中に電子捕獲種が存在すれば
熱電子と反応する電子源258;流体混合物中の熱電子
濃度の連続的変化検出用の、流体混合物に関して配置し
た陽極電極手段212とコレクタ電極手段210;及び
イオン化チャンバー中の流体混合物と陽極電極手段の間
に挿入して、陽極電極手段をイオン電流から隠閉し、イ
オン判別を達成する手段を持つ絶縁性部材;を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、総じてイオン化検
出器に関し、より詳細にはガスクロマトグラフから溶出
された試料の成分ガス検出用の電子捕獲型検出装置と、
電子捕獲型検出方法とに関する。
【0002】
【技術背景】ガスクロマトグラフィー用の電子捕獲型検
出器は当分野でよく知られている。例えば、該検出器の
概要は、Debra Nobleによる論文、“Ele
ctron Capture Detectors f
or GC”,Analytical Chemist
ry,July 1,1995,p.439A〜442
Aに収録されている。電子捕獲型検出器は、アルキルハ
ロゲン化物のようなある種の分子には極めて鋭敏である
が、炭化水素、アルコール、ケトン等には比較的鈍感で
ある。この種の検出器は、求電子性化合物に対する高感
度且つ高選択性を特徴としており、生物系及び食物製品
における微量の殺虫剤の検出に広く用いられている。こ
のような化合物は、典型的に、検出器中の自由電子と結
合するハロゲンを含有している。その結果生ずる自由電
子の減少を、試料中の試験物質の濃度の指標として監視
し利用するのである。
【0003】電子捕獲型検出器は、幾つかの方式を採っ
てよいが、それらの方式は全て、間隔を開けて取付けら
れた絶縁電極群とイオン化放射源とを含むフロースルー
(flow−through)チャンバーで特色付けら
れる。図1は、カリフォルニア州パロ・アルトのヒュー
レット・パッカード社で製造したHP5890のII型
ガスクロマトグラフに搭載されている電子捕獲型検出器
のような、従来技術の電子捕獲型検出器100の一般的
設計を図解したものである。全体的に円筒の、電気パル
スが印加される金属電極(陽極)115は、その上端を
電子捕獲型検出器の上部に接続され、絶縁体116によ
ってそこから絶縁しておく。陽極115の他端は、接地
コレクタ(陰極)124を有するイオン化チャンバー1
20で定められた検出セルの下方領域中へ突き出てい
る。分離カラム111の出口端は、融解石英製ライナ1
12とアダプタ113の内部に同心的に収容する。メイ
クアップガス供給ライン114に関するライナ112中
のカラム111の位置関係は、ライナ112の内壁とカ
ラム111の外壁の間で環状断面を有する流路118が
形成されるようにする。ライナ112中のこの流路11
8は、例えば、カラム111がキャピラリーカラムであ
る時、メイクアップガスを検出器中へ通すために設けら
れるものである。メイクアップガスは、カラム111か
らの溶出物と混合されることが予想される。チャンバー
120の最上端には側ポート121、122を設ける。
側ポート121は、典型的には、加圧されたパージガス
の供給源に接続され、側ポート122は、チャンバーの
通気孔として機能する。
【0004】カラム111からの試料と流路118から
のメイクアップガスは、下方からチャンバー120の内
部に入り、陽極115へ上昇することが予想される。イ
オン化チャンバー120の自由電子は、検出器内部に配
置された箔又は板状の放射性ベータ放射体によって生成
される。該ベータ放射体の例は、トリチウム(H)と
ニッケル63(Ni63)である。このように、チャン
バー120の内壁上には、放射性箔125があり、説明
されている実施例では、それは、Ni63の放射源であ
る。Ni63源は、それがイオン化チャンバー120中
をフロースルーする時にメイクアップガスの分子をイオ
ン化し、そのようにして創られた電子が陽極115へ移
動されて、パルス化電子電流を形成する。この電子電流
は、もし電子吸収分子を含有している試料が導入される
と減少する;この電流損失は、解析できるよう電位計で
増幅することができる。従って、試料の成分分子が自由
電子と接触すると、その電子が試料分子によって捕獲さ
れて負に荷電したイオンを創り出す。セル電極を横切る
電圧は、パルス化されて残留自由電子を捕集するが、よ
り重いイオンは、比較的影響を受けず、キャリヤーガス
でイオン化チャンバー中を通ってポート122から排出
される。
【0005】好ましい定電流、可変周波数の動作モード
において、セル電流を測定し且つ参照電流と比較する。
次いで、定セル電流を維持できるようパルス・レート
(pulse rate)を調節する。電子を捕獲する
試料化合物が存在する時、パルス・レートは増加する。
パルス・レートは、電圧に変換されて記録される。それ
故、パルス・レートは、検出器の出力信号である。
【0006】典型的な電子捕獲型検出器の応答は、被検
体の分子組成とその濃度、検出器セルの清浄度と温度、
及びメイクアップガスと溶出物の流速のような、多くの
変数に左右されると見られてきた。しかし、これらの多
くの変数に関連した電子捕獲型検出器の挙動は、完全に
は理解されていない。
【0007】化学汚染及びイオン化チャンバーで作用す
るその他の因子によって、陰極と陽極の間に“接触電
位”として知られているd.c.電圧が誘発されること
がある。この接触電位は、該d.c.電圧の極性に依存
して、電子の流れと正イオンの移動(イオン電流)を陽
極の方へ流す原因となる。
【0008】パルス化電子捕獲型検出器の別の問題は、
電子がパルスの持続時間の間に陽極へドリフト(dri
ft)することがあり、実効基準電流の変調に起因し
て、検出器の出力信号のベースラインに変化を生ずる、
ということである。この問題の大きさは、再度、汚染に
よって、及び電子の空間電荷範囲によって引き起こされ
る接触電位の関数である。従来のアプローチでは、小さ
い負のdc電位に、即ち、最悪の接触電位より大きい
d.c.電位に、陽極にバイアスをかけることによって
この問題を防ごうとしている。しかし、そのようなバイ
アスによって陽極に負のdc電位が設定され、従って正
のイオン電流が集電されることになる。通常、変化しや
すく且つ制御されていないイオン電流は、汚染の程度並
びに汚染物の化学構造に依存する範囲まで実効基準電流
とベースライン信号を変化させる。そのような変化の影
響を最小にするために、従来のアプローチでは、高基準
電流で電子捕獲型検出器を作動させている。あいにく、
高基準電流は、高いベースライン周波数と検出器応答に
おけるダイナミック・レンジ(dynamic ran
ge)の共存損失の原因となる。
【0009】典型的電子捕獲型検出器におけるドリフト
(即ち完全な故障に他ならない)の別の原因は、陽極
が、陽極及び陽極絶縁物上の表面汚染に起因する漏洩電
流に曝されることである。次々と起こる基準電流の上昇
によって、ベースライン周波数がより高くなり、且つ、
再度、検出器応答におけるダイナミック・レンジの損失
となる。
【0010】
【発明の目的】従って、改善されたダイナミック・レン
ジを示す検出器応答を持った電子捕獲型検出器の必要性
が存在する。本発明は、この必要性に応えるものであ
る。
【0011】
【発明の概要】本発明は、電子捕獲型検出器においてイ
オン判別(ion discrimination)を
実行し、それによって、検出器応答に及ぼす接触電位の
影響を最小にする方法と装置を指向している。
【0012】電子捕獲型検出器における検出器応答は、
電子捕獲性種によって捕獲される電子の数の正確な測定
に基礎を置いている。基準電流は、電子捕獲型検出器の
最低のパルス周波数を、従って、被検体の測定可能な最
低濃度がその点で検出される周波数を確定する。
【0013】本発明者がさらに確認していることは、イ
オンは電子よりはるかに重いので、電子捕獲型検出器に
おけるイオンの判別は、イオンドリフトがもはや陽極に
衝突しないように適当な隠閉手段によって陽極をドリフ
トイオンから隠閉することにより実行できる、というこ
とである。このイオン判別の効果(即ち、陽極へのこの
イオンドリフトを減ずること)は、電子捕獲型検出器に
顕著な改善をもたらすものである。企画された電子捕獲
型検出器は、従来技術において典型的に経験される基準
電流レベルより低い基準電流で操作してよい。結果とし
て、検出器応答のダイナミック・レンジは、ほぼ一桁改
善されると見られている。また、パルス化電子捕獲型検
出器のパルス周波数も低くしてよく、従って、熱電子の
生成が平衡に達するのにより長い時間が見込まれる。
【0014】従って、本発明の1つの特徴は、イオン判
別を実行できるように隠閉された陽極を採用している電
子捕獲型検出器を提供することにある。
【0015】本発明の別の態様では、ドリフトイオンに
曝されることがある陽極部分を越えてパージガスの流動
流を導くフローガイドを設けることによって、陽極にお
けるイオン判別を特に高めている。
【0016】付着物の堆積及びその結果生ずる陽極の汚
染は、清浄ガスでの陽極のパージによって防がれる。少
量(例えば、15〜20%)のパージガスをイオン化チ
ャンバー中へ入れて陽極と陽極絶縁物をパージする。結
果として、陽極及び絶縁物上の試料付着物が減少する。
従って、清浄な陽極は、電子捕集に際しさらに有効に働
き、且つ清浄な絶縁物は、電流の漏洩がより少なくな
る。結果として、電子捕獲型検出器における漏洩電流が
減ずることになる。小基準電流を使うことによって、よ
り低いベースライン周波数で電子捕獲型検出器を作動さ
せることが可能となる。従って、電子捕獲型検出器は、
より大きいダイナミック・レンジにわたって有効に作動
させることができる。
【0017】従って、本発明は、概して、ガスクロマト
グラフィーにおける高分解能キャピラリーカラムと共に
使用される改良型の電子捕獲型検出器に関し、特に、陽
極に関するイオン電流のイオン判別を高めて、よって、
基準電流におけるイオン電流の影響を減ずる方法と装置
に関する。
【0018】1つの特徴は、接触電位及びイオン電流の
影響を減ずることによる、「電子電荷密度」対「被検体
濃度」の精密な測定を特色とする電子捕獲型検出器を提
供することにある。
【0019】別の特徴は、陽極で遭遇する汚染によって
引き起こされるような外来的影響に起因する電子捕獲型
検出器の応答の直線的な損失を最小にするか又は排除す
ることにある。
【0020】さらに別の特徴は、陽極を反応チャンバー
から隠閉して正イオンが陽極に移動するのを防ぐことに
より、チャンバーの汚染物によって生じる接触電位に起
因するベースラインのドリフトを最小にするか又は排除
することにある。
【0021】本発明の特定の実施例では、陽極の適切な
隠閉は、起こり易いイオンドリフトに対して流体の障壁
を作り出せるようにパージガス流を受けるフローガイド
によって実施される。
【0022】さらに別の特徴は、高絶縁性の材料を適当
に選択することにより、フローガイドを横切る漏洩電流
に起因するベースラインのドリフトを最小にするか又は
排除することにある。
【0023】本発明の好ましい実施例に従い、電子源手
段と、電子捕獲が行われる隣接イオン化チャンバーとが
設けられる。イオン化チャンバーの活性領域は、自由電
子を受け且つまたパージガス流を受けられるよう配置さ
れる。検出チャンバーは、試料ガスを受けるための注入
ポート、並びに試料ガスとパージガスを排気するための
出口ポートを有している。検出チャンバーのコレクタ電
極は、求電子性物質が無い場合に自由電子を捕集できる
ようパルス化される。適当な条件下で、検出チャンバー
に求電子性物質が存在すると、コレクタへの電子の流れ
が低減される。結果として生ずるコレクタ電極へ流れる
電流の変化は、試料ガスにおける電子捕獲性成分の量の
尺度となる。
【0024】好ましい実施例におけるイオン判別の動作
原理は、次のように理解してよい。陽極の隠閉は、フロ
ーガイドの形の絶縁性部材を前述のイオン電流に曝され
ている陽極部分に配置することにより達成される。該フ
ローガイドは、陽極への電子拡散を可能にするが、陽極
からのイオン電流の少なくとも実体的な量を制止できる
よう、即ち、自由電子とイオン電子を判別できるよう
に、配置され且つ構成される。
【0025】パージ流体の流れを付加しても、陽極から
の流体混合物の迂回用経路が与えられる。フローガイド
は、好ましくは、陽極の露出部分を越えて前述のパージ
流体流を導くことができるように配置する。これによっ
て、陽極の汚染が大幅に低減されることになる。結果と
して、イオン及び低速移動の負に帯電した試料分子は、
大部分、イオン化チャンバーの活性領域内に留まるか、
又はパージガス流によって陽極から一掃されることにな
る。
【0026】
【好ましい実施例の説明】本発明の装置と方法は、特
に、種々の流体に存在していてよい被検体の検出法を改
善するのに用いることができる。ガス類は、本発明の実
施に従う好ましい流体であり、それ故、本発明に関する
次の記述には、ガスクロマトグラフの分析システム(以
下、クロマトグラフ)に使用できる新規の電子捕獲型検
出器の配置、構造、及び操作に関する記述が含まれるで
あろう。
【0027】ここに記述されている本発明の諸実施例
は、ガスクロマトグラフにおける温度制御式、定電流、
パルス変調方式の電子捕獲型検出器としての使用を意図
したものである。在来のガスクロマトグラフに関して意
図された検出器の好ましい操作は、次のように理解して
よい。与えられた試料化合物のクロマトグラフ的分離で
は、試料は、加圧キャリヤーガスと共に分離カラムに注
入し、カラム溶出物は、流体流として電子捕獲型検出器
中へ導く。1つ以上の気送マニホルド(pneumat
ic manifold)アセンブリが想定され、その
各々は、キャリヤーガスと、空気、水素、及びメイクア
ップガスのような適当な種類の複数の検出ガスとを含
む、複数のガス流を一部分制御し且つ方向転換する働き
をする。従って、気送マニホルドは、上述のガス流の何
れかの変調を実行し、且つ特に以下に記述する電子捕獲
型検出器へ変調されたパージガス流とメイクアップガス
流を供給できるよう操作してよい。図2及びそれに続く
図に図解した実施例における該流体供給の態様は、好ま
しくは、電子式気送制御(EPC)を介して実施する。
電子式気送制御技術についてのさらに詳しい説明は、例
えば、Klein等のUSP4,994,096及びU
SP5,108,466にある。
【0028】図2〜5に示すように、本発明に従って構
成された電子捕獲型検出器の好ましい実施例200は、
上部本体210、陽極212、フローガイド220、曲
り座金230、シール240、下部本体250、及びア
ダプタ260を包含する。上部本体210は、コレクタ
電極として作動し得、且つその場所でスペースを開けて
同心的に配置される位置に陽極212を収容するための
中央孔214を定める陽極管213を包含する。フロー
ガイド220と(図示しないが、典型的には、中央孔2
14の上端に取付けられる)電気絶縁性挿入物は、好ま
しくは、高純度のアルミナで作って、陽極212が適切
に配置され且つ上部本体210から電気絶縁されること
が確保されるようにする。
【0029】下部本体250は、シール240を受け且
つ上部本体210の対応する噛合い面216を受けるた
めに界面252に凹部251を含んでいる。下部本体2
50は、複数の同軸配置され相互接続された内部チャン
バー群を包含し、それらと、中央孔254、キャップ逃
がし255、放射源258を持つイオン化チャンバー2
56、及び陽極チャンバー257との間が流体連絡され
ている。曲り座金230とフローガイド220は、フロ
ーガイド220の最上面が陽極管213の対向面上に密
接に適合するように陽極チャンバー257に配置するこ
とができる。上部本体210はまた、中央孔214と連
絡しているパージ流注入口218及び陽極チャンバー2
57と連絡しているパージ流出口219を含む。噛合い
面216、252間の気密封止は、上部本体210上又
は中に配置されてよい適当な受け手段(図示せず)中へ
ネジ孔242を通して延びているネジのような適当な締
付け手段によるシール240の圧縮によって形成され
る。上部本体210、下部本体250、及び(曲り座金
230のような)そこにある一定の部品類は、好ましく
は、ステンレス鋼のような不活性の耐熱性材料から作製
する。アダプタ260、上部本体210、及び下部本体
250は、当分野で周知の手段(図示せず)によって選
択温度まで加熱してよい。
【0030】クロマトグラフカラム270の出口端は、
ライナ262に位置させ、カラム/ライナ・アセンブリ
は、中央孔263に配置させる。クロマトグラフカラム
270からの溶出物(E)のような、被分析ガスは、カ
ラム270内部で処理する。その後、メイクアップ流体
(M)を、メイクアップガス送り264によって中央孔
263の中へ及びライナ262の中央孔の中へ供給す
る。次いで、メイクアップガス(M)とカラム溶出物
(E)との実質的に均一な混合物から成る流体混合物
(F)は、アダプタキャップ266から中央孔254の
中を通過する。従って、アダプタ260が中央孔254
中へ十分挿入されると、流体混合物(F)は、キャップ
266を出て直ぐにイオン化チャンバー256へ入る。
【0031】フローガイド220は、イオン化チャンバ
ー250の最上部分に配置されて、電子が測定用として
そこから捕集される領域と定義される、イオン化チャン
バー256の活性容積に対する最上境界を成す。故に、
活性領域は、フローガイド220の下に位置し、よって
陽極212を活性容積から分離する。この目的のため
に、フローガイド220は、高絶縁性材料、例えば、W
esgo/Duramic Precision En
gineering Ceramics,Fairfi
eld,N.J.から商品名AL−300として市販さ
れている高純度アルミナ合成物、で作る。フローガイド
220は、一般に、ディスク様に成形されており、大体
円筒形の部分、上方及び下方主表面228、229、交
互する平坦部分222と湾曲部分224の側壁、及び内
径が陽極管213の底面外部の一部分と噛み合い且つ密
接に適合するような寸法に加工されたその上部主側面の
凹部分221を有するものである。従って、フローガイ
ド220は、フローガイド220が陽極チャンバー25
7中に滑合する時、湾曲側面224を陽極チャンバー2
57の内部と封止噛合せさせるような寸法にする。しか
し、曲り座金230と平坦側面222があるため、パー
ジ流注入口218から始まって中央孔214と226中
を進むパージガス(P)の通路が、フローガイド220
の下方主表面229を越えて方向転換されるようになる
(パージガスP′として図示)。フローガイド220の
下方主表面229は、イオン化チャンバー257に、従
ってカラム/ライナ・アセンブリの出口端の方へ面す
る。
【0032】イオン化チャンバー256は、その側壁上
に放射源258を有するカップ形状の部分を持ち、それ
は流体混合物(F)中に存在している試料分子の次のイ
オン化のために流体混合物(F)が上方方向にイオン化
チャンバー256中を通過できるよう設計配置されてい
る。さらに、流体混合物(F)の流れは、フローガイド
222の下方主表面229によって及びフローガイド2
22の中央孔226からのパージガス流(P′)で形成
される流体障壁によって、部分的に束縛される。即ち、
流体混合物(F)は、陽極212と接触することが妨げ
られ、そしてフローガイド222の側壁の平坦部分22
2に沿ってイオン化チャンバー256から出される。従
って、陽極212は、流体混合物(F)によって活発に
掃引されることはない。結果として、陽極212は、フ
ローガイド222によって流体混合物(F)から効果的
に分離されることになり、従って、流体混合物中の化合
物による陽極212の汚染の可能性は、大幅に軽減され
るのである。
【0033】図5に示すように、溶出物とメイクアップ
ガスとの適切な混合は、好ましくは、不活性化石英から
作った中空の管状ライナ500の形で設けられた、且つ
流動加速領域510を有する混合装置によって実行さ
れ、この場合、メイクアップガスと溶出物は、瞬間的で
あるが実質的な速度上昇があり、その結果、流動加速領
域510の内部で乱流を生ずる。その適切な乱流によっ
て、溶出物(E)とメイクアップガス(M)との実質的
に均一な混合生成物が生成される。流動加速領域510
は、好ましくは、ライナの内径(I.D.)をその平均
の内径の約2分の1乃至4分の1となる値まで局所的に
縮小することによって設ける。ライナ500の1つのプ
ロトタイプでは、成功した混合は、約1000μmの平
均内径の約300μmへの縮小によって達成された。
【0034】図解実施例の別の好ましい態様は、流動加
速領域510から下流に位置するライナ500の部分は
十分大きい内径を有しており、そのため流体混合物
(F)の流速は、溶出物(E)の流速に比べて緩められ
る。相対的遅い流体混合物(F)の侵入速度のため、流
体混合物(F)がイオン化チャンバー256に流れ込む
際にイオン化チャンバーにおける試料分子のより均一な
分布を助長する。
【0035】図6に、図示した電子捕獲型検出器200
のプロトタイプバージョンによるイオン判別の増進を表
すデータを示す。第1のカーブは、イオン化チャンバー
に1500μlの活性領域容積を有する在来型電子捕獲
型検出器から得たもの、第2のカーブは、150μlの
活性領域容積を有し、且つ本発明によって構成された電
子捕獲型検出器のプロトタイプバージョンから得られた
ものである。負の陽極電圧領域を参照すれば、従来技術
の電子捕獲型検出器と電子捕獲型検出器200のプロト
タイプバージョンで得られるカーブを比較する時、イオ
ン電流の低減におけるイオン判別の結果を知ることがで
きる。
【0036】以上のように、本発明は、〔1〕ガスクロ
マトグラフィーカラム及びメイクアップガス源と共に使
用される電子捕獲型検出装置であって:入口開口部と出
口開口部を有するイオン化チャンバー(256);前記
カラムと前記入口開口部との間に操作可能に接続されて
いて、カラム溶出物とメイクアップガスの流体流とを受
け、且つ該入口開口部を通して前記イオン化チャンバー
中へ該カラム溶出物と該メイクアップガスの流体混合物
を導くための試料注入系(260);前記イオン化チャ
ンバーに組込まれていて、前記流体混合物において複数
の熱電子を発生させ、よって該流体混合物中に電子捕獲
種が存在すれば該熱電子と反応できるようにした電子源
(258);前記流体混合物中の前記熱電子の濃度の連
続的変化を検出するための、該流体混合物に関して配置
された陽極電極手段(212)及びコレクタ電極手段
(210);及びイオン化チャンバー中の前記流体混合
物と前記陽極電極手段との間に挿入されていて、該陽極
電極手段をイオン電流から隠閉して、よってイオン判別
を達成させるための手段を有する絶縁性部材;を含んで
成る電子捕獲型検出装置に関し、次のような好ましい実
施態様を有する。
【0037】〔2〕さらに:イオン化チャンバーの出口
開口部に隣接して配置されていて、陽極チャンバー(2
57)内部で且つ出口開口部に近接して陽極(212)
を配置するための手段を有し、よって陽極(212)が
その一部分をイオン化チャンバー中の流体混合物に近接
して配置されることを特徴とする陽極チャンバー(25
7)を包含し;且つ絶縁性部材(220)が、前記陽極
部分と前記イオン化チャンバー(256)との間に配置
されていて、それによって前記陽極(212)が前記イ
オン化流体から実質的に遮蔽されるところの、フローガ
イド(220);を包含することを特徴とする〔1〕記
載の電子捕獲型検出装置。
【0038】〔3〕陽極チャンバー(257)が、パー
ジガス流を受けるための入口ポート(218)を包含
し、且つ前記フローガイド(220)が、該部分に隣接
して配置され、且つ前記パージガス流を受け且つその受
けたパージガス流を陽極部分と流体混合物の間に介在さ
せるための手段を包含し、前記フローガイドは、前記イ
オン判別を増進するところの、陽極部分の近傍から前記
パージガスを実質的に排気するための手段をさらに包含
することを特徴とする〔2〕記載の電子捕獲型検出装
置。
【0039】〔4〕陽極チャンバー(257)とイオン
化チャンバー(256)が全体に円筒状で且つ同軸に配
置され、陽極(212)が陽極チャンバー(257)と
同心であり且つイオン化チャンバー(256)に近接し
て先端部が配置された細長い部材のように形成され、且
つ前記フローガイド(220)は上方及び下方の主側面
(228、229)を有する円板のように形成され、前
記下方側面は前記イオンチャンバー(256)の上方境
界に密接して形成され、且つ前記上方主側面(228)
は陽極チャンバー(257)の下方境界に密接して形成
され、該円板は上方及び下方の主表面(228、22
9)間を連絡し、そこに先端部を受け且つ中央孔を通し
且つ先端部を越えてパージガスを導くための中央孔(2
21)を有し、且つ該円板は、パージガス流を排気する
ために、先端部から外して且つ円板の周辺部分を越えて
パージガスを続いて導くための手段を有することを特徴
とする〔3〕記載の電子捕獲型検出装置。
【0040】〔5〕フローガイド(220)がアルミナ
から構成される〔1〕記載の電子捕獲型検出装置。
【0041】〔6〕前記電子源(258)が放射性同位
元素である〔1〕記載の電子捕獲型検出装置。
【0042】また、本発明は、〔7〕ガスクロマトグラ
フィーカラム及びメイクアップガス源と共に使用される
電子捕獲型検出方法であって:入口開口部と出口開口部
とを有するイオン化チャンバーを供給するステップ;前
記入口開口部を通して前記イオン化チャンバー中へ流す
べくカラム溶出物とメイクアップガスの流体混合物を生
成するステップ;前記イオン化チャンバーに組込まれて
いて、前記流体混合物中に一定の濃度の熱電子を発生さ
せ、よって流体混合物中に電子捕獲種が存在すれば該熱
電子と反応できるようにした電子源を作動するステッ
プ;流体混合物中の熱電子の濃度の連続的変化を検出す
るために、前記流体混合物に関して陽極電極手段とコレ
クタ電極手段とを配置するステップ;及び陽極電極手段
をイオン電流から隠閉して、よってイオン判別を達成す
るために、イオン化チャンバー中の前記流体混合物と陽
極電極手段との間に絶縁性部材を挿入するステップ;を
含んで成る電子捕獲型検出方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の電子捕獲型検出器の概略断面図であ
り、(B)は(A)のFig1Bで示す部分の拡大図で
ある。
【図2】本発明の電子捕獲型検出器の分解断面図であ
る。
【図3】図2で示した検出器において陽極を隠閉するた
めのフローガイドに関する好ましい設計の斜視図であ
り、(A)は上方主側面を主として示し、(B)は下方
主側面を主として示している。
【図4】図2の電子捕獲型検出器で使用できる注入シス
テムを示す。
【図5】本発明によって構成されるカラムライナの一実
施例の断面図であって、カラム溶出物とメイクアップガ
スとの均一な混合を助長するための流動加速領域を示
す。
【図6】図2の電子捕獲型検出器のプロトタイプにおい
て本発明の諸利益の実験的立証を示すグラフである。
【符号の説明】
200 本発明の電子捕獲型検出器の好ましい実施例 210 上部本体 212 陽極 214 陽極を収容するための中央孔 213 中央孔を定める陽極管 216 上部本体の噛合い面 218 パージ流注入口 219 パージ流出口 220 フローガイド 221 凹部分 222 平坦側面 224 湾曲側面 226 中央孔 228 上方主表面 229 下方主表面 230 曲り座金 240 シール 242 ネジ孔 250 下部本体 252 界面 251 凹部 254 中央孔 255 キャップ逃がし 256 イオン化チャンバー 257 陽極チャンバー 258 放射源 260 アダプタ 262 ライナ 263 中央孔 264 メイクアップガス送り 266 アダプタキャップ 270 クロマトグラフカラム

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスクロマトグラフィーカラム及びメイ
    クアップガス源と共に使用される電子捕獲型検出装置で
    あって:入口開口部と出口開口部を有するイオン化チャ
    ンバー(256);前記カラムと前記入口開口部との間
    に操作可能に接続されていて、カラム溶出物とメイクア
    ップガスの流体流とを受け、且つ該入口開口部を通して
    前記イオン化チャンバー中へ該カラム溶出物と該メイク
    アップガスの流体混合物を導くための試料注入系(26
    0);前記イオン化チャンバーに組込まれていて、前記
    流体混合物中に複数の熱電子を発生させ、よって該流体
    混合物中に電子捕獲種が存在すれば該熱電子と反応でき
    るようにした電子源(258);前記流体混合物中の前
    記熱電子の濃度の連続的変化を検出するための、該流体
    混合物に関して配置された陽極電極手段(212)及び
    コレクタ電極手段(210);及びイオン化チャンバー
    中の前記流体混合物と前記陽極電極手段との間に挿入さ
    れていて、該陽極電極手段をイオン電流から隠閉して、
    よってイオン判別を達成させるための手段を有する絶縁
    性部材;を含んで成る電子捕獲型検出装置。
  2. 【請求項2】 ガスクロマトグラフィーカラム及びメイ
    クアップガス源と共に使用される電子捕獲型検出方法で
    あって:入口開口部と出口開口部とを有するイオン化チ
    ャンバーを供給するステップ;前記入口開口部を通して
    前記イオン化チャンバー中へ流すべくカラム溶出物とメ
    イクアップガスの流体混合物を生成するステップ;前記
    イオン化チャンバーに組込まれていて、前記流体混合物
    中に一定の濃度の熱電子を発生させ、よって流体混合物
    中に電子捕獲種が存在すれば該熱電子と反応できるよう
    にした電子源を作動するステップ;流体混合物中の熱電
    子の濃度の連続的変化を検出するために、前記流体混合
    物に関して陽極電極手段とコレクタ電極手段とを配置す
    るステップ;及び陽極電極手段をイオン電流から隠閉し
    て、よってイオン判別を達成するために、イオン化チャ
    ンバー中の前記流体混合物と陽極電極手段との間に絶縁
    性部材を挿入するステップ;を含んで成る電子捕獲型検
    出方法。
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