JPH108904A - ガスタービン用ディスク及びガスタービン - Google Patents

ガスタービン用ディスク及びガスタービン

Info

Publication number
JPH108904A
JPH108904A JP15791296A JP15791296A JPH108904A JP H108904 A JPH108904 A JP H108904A JP 15791296 A JP15791296 A JP 15791296A JP 15791296 A JP15791296 A JP 15791296A JP H108904 A JPH108904 A JP H108904A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas turbine
less
disk
outer peripheral
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15791296A
Other languages
English (en)
Inventor
Masao Shiga
正男 志賀
Shigeyoshi Nakamura
重義 中村
Hideyo Kodama
英世 児玉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP15791296A priority Critical patent/JPH108904A/ja
Publication of JPH108904A publication Critical patent/JPH108904A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、外周部がクリープ破断強度、
中心部が耐力の高いガスタービン用ディスクと、熱効率
の高いガスタービンを提供する。 【解決手段】本発明は、マルテンサイト系耐熱鋼からな
るガスタービン用ディスクにおいて、外周部を中心部よ
りクリープ破断強度の高い材質とし、中心部を前記外周
部より低温靭性及び300℃における耐力の高い材質と
し、前記外周部と中心部とで異なった組成とすることを
特徴とするガスタービン用ディスクとそれを用いたガス
タービンにある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な高温ガスター
ビン及び12Cr系耐熱鋼製ガスタービンディスクに関
する。
【0002】
【従来の技術】現在、ガスタービン用ディスクにはCr
−Mo−V鋼が使用されている。近年、省エネルギーの
観点からガスタービンの熱効率向上が望まれている。そ
の効率向上には、燃焼ガス温度の上昇が最も有効な手段
であることから、ガス温度は年々上昇している。そのた
め、ガスタービンディスクの使用条件が厳しくなり、従
来のCr−Mo−V鋼では強度不足となり、より高強度
の材料が必要になってきた。ディスクの強度として、高
温に曝される外周部には、高いクリープ破断強度が、比
較的低温・高応力下で使用される中心部には、高い引張
強さ及び耐力が要求される。更に、外周部には、動翼植
込みが切欠(応力集中)形状になっているので、高い切
欠クリープ破断強度が、中心部には、起動時に高い熱応
力が発生するので、高い低温靱性が要求される。
【0003】クリープ破断強度が従来のフェライト系の
Cr−Mo−V低合金鋼より高い構造材料としては、オ
ーステナイト鋼、マルテンサイト鋼、Ni基合金及びC
o基合金が知られている。
【0004】Ni基合金及びCo基合金は、大型鍛造品
の製造性(成分偏析,鍛造性)及び切削性の点で、大型
ディスクとしては望ましくない。オーステナイト鋼のク
リープ破断強度は、Cr−Mo−V鋼に比べ600℃以
上では高いものの、ディスクの使用温度(400〜50
0℃)においては低い。更に、これらの材料はCr−M
o−V鋼に比べ、熱膨張係数が著しく大きい為に、熱疲
労損傷を受け易い欠点がある。
【0005】これに対し、12Cr耐熱鋼(マルテンサ
イト鋼)は、熱膨張係数がCr−Mo−V鋼と同等で、
クリープ破断強度がCr−Mo−V鋼より高い。12C
r耐熱鋼として特開昭58−110661号公報,特開昭60−13
8054号公報,特公昭46−279 号公報などが知られてい
る。しかし、これらの材料は400〜500℃で必ずし
も高いクリープ破断強度が得られず、本発明の用途であ
るガスタービンディスクとしては使用できない。
【0006】最近、ディスクのメタル温度が450℃ま
で使用可能な12Cr耐熱鋼として特開昭63−171856号
が開発されているが、450℃(燃焼ガス入り口温度約
1400℃以上)を越えるメタル温度で使用するには、
更に高いクリープ破断強度及び耐力を有するものが必要
である。
【0007】また、これらディスク製鋼法としては、一
般に、全体を同一組成とした鋼塊を作製するエレクトロ
スラグ再溶解法が採用されている。この従来法では、高
温ガスタービンディスクに求められている、外周部の高
クリープ破断強度と、中心部の低温靱性及び300℃に
おける高耐力との、異なる特性を同時に満足させるのが
難しい。
【0008】特開昭57−198208号公報には熱処理によ
って内周部と外周部とで特性を変えたガスタービン用デ
ィスクが開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、外周
部がクリープ破断強度、中心部が耐力の高いガスタービ
ン用ディスクと、熱効率の高いガスタービンを提供する
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、12Cr系耐
熱鋼ガスタービンディスクにおいて、外周部をクリープ
破断強度の高い材質とし、中心部を低温靱性及び300
℃における耐力の高い材質とし、外周部と中心部とで異
なる合金組成からなるガスタービン用ディスクにある。
【0011】具体的には、コア材と鋳型との空間にパイ
プ状消耗電極を設置して、エレクトロスラグ再溶解法
で、その空間を充填することにより複合鋼塊を作製し、
それを熱間鍛造により整形することによりディスクを製
造することができる。
【0012】エレクトロスラグ溶解に当ってはコア材と
外層材とを相対的に回転させながら実施することが好ま
しく、特に、コア材を回転させながら行うのが好まし
い。
【0013】更に本発明は、12Cr系耐熱鋼ガスター
ビンディスクにおいて、外周部の485℃,10万時間
平滑及び切欠きクリープ破断強度が50kgf/mm2以上
で、中心部の300℃における0.2%耐力が95kgf/
mm2 以上で、かつ50%衝撃破面遷移温度(FATT)
が20℃以下あることを特徴とするディスクにある。こ
れらディスクの組成は、中心(コア)部がC0.12〜
0.22%、好ましくは0.14〜0.18%,Si0.2
%以下,Mn0.5%以下,Ni2.3〜3.5%、好ま
しくは2.5〜3.0%,Cr10〜13%、Mo1.5
〜3.0%、V0.10〜0.35%、Nb0.05〜0.
21%、好ましくは0.10% を越え0.18%以下,
N0.02〜0.10%及びH≦0.0002%を含有す
るマルテンサイト鋼、及び外層部がC0.05〜0.15
%、好ましくは0.07〜0.14%,Si≦0.2%,
Mn≦0.5%,Ni1.8〜2.7%、好ましくは2.0
〜2.5% ,Cr10〜13%,Mo1.5〜3.0
%,V0.10〜0.35%,Nb0.03〜0.10%,
N0.02〜0.10%及びH≦0.0002% を含有す
る12Cr系マルテンサイト耐熱鋼で構成されているガ
スタービンディスクにある。
【0014】特に、本発明は中心部の組成が外層部の組
成にくらべてC量,Ni量及びNb量を多くすることに
よって中心部で300℃での0.2%耐力を92kg/mm2
以上、好ましくは95kg/mm2 以上及び破面遷移温度を
20℃以下、好ましくは0℃以下が得られ、一方外層部
の組成により485℃,10万時間平滑及び切欠きクリ
ープ破断強度として50kg/mm2以上が得られる。中心
部の組成はC量が0.12〜0.22% 、より好ましくは
0.14〜0.18%と、外層部より高くするのが好まし
く、Ni量が0.2〜0.8%、より0.3〜0.7%と外
層部より高くするのが好ましく、Nb量が0.02〜0.
10%,より0.03〜0.08%外層部より高くするの
が好ましい。中心部のN量も外層部より若干(0.01〜
0.03%)高くするのが好ましい。
【0015】本発明は、タービンスタブシャフトと、該
シャフトにタービンスタッキングボルトによって互いに
スペーサを介して連結された複数個のタービンディスク
と、該ディスクに植込まれ回転するタービンブレード
と、前記タービンディスクに連結されたディスタントピ
ース及びインデューサと、該ディスタントピースに連結
されたコンプレッサロータと、該コンプレッサロータに
植込まれ空気を圧縮するコンプレッサブレードと、前記
コンプレッサロータに連結されたコンプレッサスタブシ
ャフトを備えたガスタービンにおいて、前記インデュー
サ及びディスタントピースの少なくとも一方が前述の中
心部のマルテンサイト系耐熱鋼及び、前記スペーサ及び
スタッキングボルトの少なくとも一方が前述の外周部の
マルテンサイト系耐熱鋼によって構成されることを特徴
とする。更に、このものにタービンディスクを前述の複
合材とした部材によって構成した組合せからなることを
特徴とする。
【0016】本発明に係るタービンディスクは直径80
0〜1200mmを有し、外周部はガスタービンブレード
のダブティル植込み部とそれに連なる薄肉部からなり、
最外部から100〜250mmの長さが好ましい。特に、
外周部は薄肉部全体にわたる長さまでを示すのが好まし
い。
【0017】本発明鋼は次式で計算されるCr当量が9
以下になるように成分調整され、δフェライト相を実質
的に含まないようにするのが好ましい。
【0018】 Cr当量=−40C−2Mn−4Ni−2Co−30N +6Si+Cr+4Mo+1.5W+11V+5Nb+2.5Ta …(1)式 (各元素は合金中の含有量(Wt.%)で計算される) 更に、本発明はガスタービンディスクが前記の12Cr
系耐熱鋼で構成され、燃焼ガス入口温度1400℃以上
の高温ガスタービンにある。
【0019】(1)本発明複合12Cr鋼ディスクの製造
法について説明する。
【0020】まず、電気炉溶解によりコア材(中実円
柱)と外層材(パイプ)を作製し、次に、コア材に対し
て同心円状に鋳型を配置し、コアと鋳型との空間に上記
パイプを配置し、これを電極としてエレクトロスラグ再
溶解法(以下ESR法と略称する)により溶解し、肉盛
充填する。このようにして作製した鋼塊を高温で据込・
鍛伸してディスク形状に仕上げる。大鋼塊にした場合に
は、輪切りにして、複数個のディスクを作製することが
できる。上述とは逆に、コア材を電極としてパイプの中
に相対的に回転しながら充填することもできる。
【0021】高温に曝される外周部材(パイプ)には、
高いクリープ破断強度が得られる組成のもので、比較的
低温・高応力下で使用される中心部材(コア)には、高
い引張強さ及び耐力と高い低温靱性が得られる組成のも
ので作製する必要がある。
【0022】上述のパイプを電極とした場合には、組成
及び機械的性質の非軸対称性を防止するため、ESRを
回転させながら実施しなければならない。この回転付与
ESR法によれば、周方向に機械的性質の対称的なディス
クが作製できるので、運転中に非軸対称的な変形を起こ
すことがなく、タービンの振動が発生しない。
【0023】(2)本発明の成分限定理由について説明す
る。
【0024】Cは、高い引張強さと耐力を得るために最
低中心部では0.12% ,外層部では0.07% 必要で
ある。しかし、あまりCを多くすると、高温に長時間曝
されている場合に金属組織が不安定になり、十万時間ク
リープ破断強度を低下させるので、中心部では0.22
%以下,外層部では0.15%が好ましい。中心部は0.
13〜0.18%,外層部は0.07〜0.14%が好ま
しい。
【0025】Siは脱酸剤、Mnは脱酸・脱硫剤として
鋼の溶解の際に添加するものであり、少量でも効果があ
る。またSiの多量は、疲労強度及び靱性を低下させる
有害なδフェライト組織生成の原因になるので、0.1
%以下にしなければならない。カーボン真空脱酸法及び
エレクトロスラグ再溶解法によれば、Si添加の必要が
なく、Si無添加がよい。特に、脆化の観点から0.0
7%以下が好ましい。Mnの多量添加は、10万時間ク
リープ破断強度を低下させるので、0.5%以下にしな
ければならない。Mnは脱酸・脱硫剤として有効な元素
であるが、脆化の観点から0.3% 以下が好ましい。よ
り好ましくは、0.1〜0.25%である。
【0026】Crは、高温強度と耐食性を高めるが、多
量に添加すると有害なδフェライト組織生成の原因にな
るので、12.5% 以下にしなければならない。10%
以下では、高温強度と耐食性の改善効果が不十分なの
で、最低10%必要である。特に10.5〜12.3%
が、より11〜12%が好ましい。
【0027】Mo及びWは固溶強化及び炭化物の分散強
化によってクリープ破断強度を高める効果がある。Mo
のクリープ破断強度向上効果は、重量%で比較すると、
Wの2倍の効果がある。Moのクリープ破断強度向上効
果は、1.7% 以下では十分でなく、2.7% 以上にな
ると有害なδフェライト組織生成の原因になるので、
1.7%から2.7%の範囲に限定される。特に、2.0
〜2.5%の範囲が好ましい。MoとWを複合添加する
場合には、Mo%+1/2W%で計算される量が、上記
の範囲に制限すればよい。
【0028】Coは、固溶強化及び炭化物の分散強化に
よってクリープ破断強度を高める効果がある。また有害
なδフェライト組織生成の防止効果もあるので必要に応
じて添加してもよい。
【0029】V及びNbは、炭化物を析出し、分散強化
によってクリープ破断強度を高める効果がある。V0.
15、Nb0.04以下では、その効果が不十分であ
る。V0.35 以上では、δフェライト組織生成の原因
となると共に、クリープ破断強度が低下してくる。特
に、V0.2〜0.3%が好ましい。Nbのかわりに、T
aを添加しても同様の効果が得られ、NbとTaを複合
添加することもできる。Nb及びTaは中心部で0.0
5〜0.21%、より0.10〜0.18%が好ましく、
外層部で0.03〜0.10%が好ましい。
【0030】Niは、靱性を高めると共に、有害なδフ
ェライト組織生成の防止効果もある。しかし、多量のN
i添加は、クリープ破断強度を低下させるので、1.8〜
3.5%の範囲に制限される。特に中心部で2.3〜3.5
%、より2.5〜3.0%が好ましく、外層部で1.8〜
2.7%、より2.0〜2.5%が好ましい。
【0031】Nは、クリープ破断強度の改善及び有害な
δフェライト組織生成の防止効果があるが、0.04%
以下ではその効果が十分でなく、0.1%以上の添加は
低温靱性を低下させる。
【0032】H低減は、低温靱性の向上効果があるの
で、0.0002% 以下にしなければならない。特に、
0.00015% 以下が好ましい。
【0033】P及びSの低減は、低温靱性を高める効果
があるので、極力低減するのが望ましい。Pは0.01
5% 以下、Sは0.010%以下が、よりPは0.01
%以下、Sは0.005%以下が好ましい。
【0034】Al,Sn,As及びSbも高温強度及び
靱性の点から、極力低減するのが望ましい。現状製鋼技
術の点から、Al0.015,Sn0.01,As0.0
1 及びSb0.005%以下、特に、Al0.01,S
n0.005,As0.005及びSb0.002% 以下
が好ましい。
【0035】また、希土類元素(0.01%以下),B
(0.02%以下),Ca(0.01%以下)、Ti
(0.5%以下),Zr(0.1%以下),Hf(0.1
%以下),Cu(2%以下)及びRe(2%以下)の1
種以上を含有させることにより、低温靱性又は高温強度
を高めることができるので、必要に応じて添加すること
ができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
〔実施例1〕高温ガスタービンディスク材として表1に
示す組成(重量%)の試料を溶製した。50kgの鋼塊を
高周波溶解炉で溶製し、1150℃に加熱し鍛造した
後、各種熱処理を施した。まず1050℃に加熱し1時
間保持し油焼入れした、次に560℃,5時間の1次焼
戻し、最後に、575℃,5時間の2次焼戻した。これ
らの試料(C:0.05〜0.21%,Ni:1.78〜
3.22%,Nb:0.01〜0.021%)から、平滑(図
1)及び切欠クリープ破断試験片(図2:JIS Z2272,A
STM E292),引張試験片(JIS G 0567 )並びにVノッ
チシャルピー衝撃試験片(JIS Z 2202)採取し実験に供
した。切欠クリープ破断試験片の応力集中係数(Kt)
は、3.9 である。図2(b)は図2(a)の切欠部の
拡大図である。
【0037】
【表1】
【0038】表2は485℃,105h クリープ破断強
度に及ぼす化学組成(C,Ni及びNb)の影響を示
す。平滑及び切欠クリープ破断強度は、C0.1% で最
も高く、これ以上でも,以下でも低くなる傾向を示す。
Cを高めると300℃における0.2% 耐力及び低温靱
生は、高くなる。
【0039】
【表2】
【0040】Niを高めると、平滑及び切欠クリープ破
断強度は低くなるが、低温靱性は高くなる。しかし、3
00℃における0.2%耐力にはあまり影響しない。
【0041】平滑及び切欠クリープ破断強度は、Nb
0.06%で最も高く、0.01%程度の微量添加では効
果が小さい。300℃における0.2%耐力は、0.12
%で最も高い値を示した。低温靱生は、Nb添加量を増
すほど、高くなる。
【0042】ディスク外層部の必要強度(平滑及び切欠
クリープ破断強度は≧50kgf/mm2)を満足するのは、
本発明組成範囲(C:0.07〜0.15%、Ni:2.
1 〜2.7% ,Nb:0.03〜0.010%)内のN
o.1試料のみである。発明組成範囲外での試料は、必要
強度(≧50kgf/mm2)を下まわってしまう。本実験に
より発明組成範囲内で溶製すれば、高温ガスタービンデ
ィスクの外層部に要求される平滑及び切欠クリープ破断
強度(≧50kgf/mm2)を満足することが実証された。
【0043】一方、ディスク中心部の必要強度・靱性
(300℃における0.2% 耐力≧95kgf/mm2,FA
TT≦20℃)を満足するのは、本発明組成範囲(C:
0.12〜0.20% ,Ni:2.3〜3.0%,Nb:0.
04〜0.18%)内のNo.2試料のみである。発明組
成範囲外での試料は、必要強度・靱性を下まわってしま
う。本実験により発明組成範囲内で溶製すれば、高温ガ
スタービンディスクの中心部に要求される300℃にお
ける0.2% 耐力(≧95kgf/mm2)及び低温靱性(F
ATT≦20℃)を満足することが実証された。
【0044】図3はクリープ破断強度とC量との関係及
び図4はFATTとC量との関係を示す線図である。図
3に示すようにC量が0.07〜0.14%で50kg/mm
2 以上の高強度を示し、それを越えると強度が低下す
る。図4に示す如く、C量が0.15% 以上でFATT
0℃以下の高靭性を示し、C量を0.15〜0.22%と
するのが好ましい。従って、本実施例においてはC量は
外層部を0.07〜0.14%とし、中心部を0.12〜0.22
%とするものである。
【0045】図5はクリープ破断強度とNi量との関
係、図6は0.2% 耐力とNi量との関係及び図7はF
ATTとNi量との関係を示す線図である。図5に示す
如く、Ni量が多い程クリープ破断強度は低下し、特に
1.8〜2.3%で52kg/mm2以上の高い強度を有し、
2.5〜3.0%では強度が低下する。また図6に示す如
く92kg/mm2 以上の耐力を有し、0.2% 耐力に対す
るNi量の影響は小さいことが分る。しかし、図7に示
す如く、FATTはNi量を2.5〜3.5%とすること
によりFATT0℃以下の高靭性を示すことが分る。従
って、Ni量は外層部に対しては1.8〜2.3%及び中
心部に対しては2.5〜3.5%とするのが好ましい。
【0046】図8はクリープ破断強度とNb量との関
係、図9は0.2% 耐力とNb量との関係及び図10は
FATTとNb量との関係を示す線図である。図8に示
すようにNb量を0.03〜0.10%で50kg/mm2
上の高い強度が得られる。また図9に示すように92kg
/mm2以上でNb量の0.2%耐力に対する影響は小さ
い。図10に示すようにFATTはNb量を0.10%
を越え0.21%において0℃以下のFATTを示す高
靭性が得られることが分る。従って、Nb量は外層部に
対しては0.03〜0.10%、及び中心部に対しては
0.10%を越え0.21%以下がよいことが分る。
【0047】〔実施例2〕発明材が大型鍛造品でも高温
ガスタービンディスク材として要求される、機械的性質
を満足することを、実証するために、表3に示す組成
(重量%)の試料を溶製した。比較のため、一般に広く
使用されている従来材も溶製した。本発明複合12Cr
鋼ディスクの製造法について説明する。
【0048】
【表3】
【0049】図11は本実施例におけるガスタービン用
ディスクの製造装置の概要を示す図である。
【0050】電気炉溶解によりコア材1(中実円柱)と
外層材2(パイプ)を作製し、次に、コア材1に対して
同心円状に水冷鋳型5を配置し、コアと鋳型との空間に
パイプ状の外層材2を配置し、これを電極としてエレク
トロ再溶解法(以下ESR法と略称する)により溶解
し、肉盛外層部2を形成した。
【0051】コア材1を回転台6の上に載置し、回転し
ながら溶解した。外層材2と水冷鋳型5は固定である。
コア材1を回転することにより肉盛外層部3のコア材1
への溶け込みが全体にわたって均一に行なわれ、芯円度
の高い肉盛が形成される。図12は、このようにして作
製した鋼塊(直径:860mm,高さ:1600)を示
す。肉盛外層部3からはみだしている上端及び下端切り
捨て後、高温で据込・鍛伸して3枚のディスク(厚さ2
50mm,直径1000mm)を作製した。コア材1の直径
は、700mmにした。
【0052】表3に示したように、高温に曝される外周
部材には、高いクリープ破断強度が得られる組成のもの
で、比較的低温・高応力下で使用される中心部材には、
高い引張強さ及び耐力と高い低温靱性が得られる組成の
もので作製した。
【0053】上述のESRは、組成及び機械的性質の非
軸対称性を防止するため、回転させながら実施した。こ
の回転付与ESR法によって、周方向に機械的性質の対
称的なディスクが作製できた。
【0054】図13は、上記複合ディスクの調質熱処理
熱サイクルを示す線図である。
【0055】これらディスクの外層部材からは平滑及び
切欠クリープ破断試験片を、中心部材からは引張試験片
及びVノッチシャルピー衝撃試験片を採取し実験に供し
た。従来材もまったく同じ要領で試験片を採取した。
【0056】図14は、ディスク外層部の従来材と本発
明材の485℃,105h 平滑及び切欠クリープ破断強
度を示す。従来材は、平滑及び切欠クリープ破断強度共
に、必要強度(≧50kgf/mm2)を著しく下まわるが、
本発明は、高温ガスタービンの外層部に要求される平滑
及び切欠クリープ破断強度(≧50kgf/mm2)を満足す
ることが実証された。本発明材の特徴的なことは、切欠
強化(切欠強度/平滑強度≧1)であることである。つ
まり、本発明ディスクディスクの翼植え込み部は、クリ
ープ破壊に対する信頼性が高いと言える。
【0057】図15は、ディスク中心部の従来材と本発
明材の300℃における0.2% 耐力及び図16は従来
材と本発明材の破面遷移温度(FATT)を示す。低温
靱性は、従来材(FATT=15℃),本発明材(FA
TT=6℃)共に、必要靱性を満足する。これに対し、
従来材の300℃における0.2%耐力(81.3kgf/m
m2 )は、要求値(≧95kgf/mm2)を著しく下まわる
が、発明材の300℃における0.2%耐力(97.6kg
f/mm2)は、要求値を満足する。
【0058】本実験により本発明複合ディスク材は、中
心部に要求される300℃における0.2%耐力(≧9
5kgf/mm2 )及び低温靱性(FATT≦20℃)を満
足することが実証された。
【0059】図17は、高温ガスタービン本体のタービ
ン部の断面図である。本実施例で製造した12Cr耐熱
鋼複合ディスクを使用し、燃焼ガス入口温度1400℃
以上の高温ガスタービンが達成される。本ガスタービン
は、バケット13,スタッキングボルト14,ディスタ
ントピース15,インデュサー16,スペーサー17及
びディスク18から構成されている。他タービン部には
燃焼器11,ノズル12がある。ロータのバケットには
Ni基合金が使用されるが、その他の部品は、本発明材
が適用できる。ディスクには本発明の複合12Cr鋼材
を、スペーサー及びスタッキングボルトには外層部材と
同じ組成の材料を、インデュサー及びディスタントピー
スには中心部材を使用した。
【0060】図18は本実施例におけるガスタービン用
ディスクのガスタービンブレードのダブティル植込み部
の斜視図である。ガスタービン用ディスクは前述の複合
材について熱処理後に機械加工によりタービンブレード
の植込み部19が形成される。20はタービンブレード
が植込まれた後にピン挿入用穴で、ピンが挿入されてタ
ービンブレードが固定される。
【0061】図19はガスタービン用ディスクの片側の
断面図である。19はガスタービンブレードの植込み部
及び21はタービンスタッキングボルト挿入用穴であ
る。本実施例で外周部は植込み部19とそれに連なる薄
肉部22の全体としたものである。それ以外は中心部を
示すものである。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、燃焼ガス入り口温度1
400℃以上の大型ガスタービン用ディスクに要求され
る機械的性質を満足し、高い熱効率のガスタービンが達
成され、省資源及び地球環境保全に顕著な効果が達成さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実証するために使用した平滑クリープ
破断試験片の形状を示す図。
【図2】切欠クリープ破断試験片の形状・寸法を示す
図。
【図3】クリープ破断強度とC量との関係を示す線図。
【図4】FATTとC量との関係を示す線図。
【図5】クリープ破断強度とNi量との関係を示す線
図。
【図6】0.2% 耐力とNi量との関係を示す図。
【図7】FATTとNi量との関係を示す線図。
【図8】クリープ破断強度とNbとの関係を示す線図。
【図9】0.2% 耐力とNb量との関係を示す線図。
【図10】FATTとNb量との関係を示す線図。
【図11】本発明ディスクのエレクトロスラグ再溶解法
による複合鋼塊の製造装置の断面図。
【図12】本発明ディスクのエレクトロスラグ再溶解法
により製造したときの複合鋼塊の断面図。
【図13】本発明ディスクの調質熱処理熱サイクルを示
す線図。
【図14】従来材と本発明材ディスクの平滑及び切欠1
0万時間クリープ破断強度の比較図。
【図15】従来材と本発明材ディスクの300℃におけ
る0.2% 耐力の比較図。
【図16】従来材と本発明材ディスクの破面遷移温度の
比較図。
【図17】高温ガスタービン本体の断面図。
【図18】ガスタービン用ディスクのタービンブレード
のダブティル植込み部の斜視図。
【図19】ガスタービン用ディスクの断面図。
【符号の説明】
1…コア材、2…外層材、3…肉盛外層部、4…溶融ス
ラグ、5…水冷鋳型、6…回転台、7…溶融金属、8…
電源、9…冷却水入口、10…冷却水出口、11…燃焼
器、12…ノズル、13…バケット、14…スタッキン
グボルト、15…ディスタントピース、16…インデユ
ーサ、17…スペーサー、18…ディスク、19…植込
み部、20…ピン挿入用穴、21…タービンスタッキン
グボルト挿入用穴、22…薄肉部。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マルテンサイト系耐熱鋼からなるガスター
    ビン用ディスクにおいて、外周部を中心部よりクリープ
    破断強度の高い材質とし、中心部を前記外周部より低温
    靱性及び300℃における耐力の高い材質とし、前記外
    周部と中心部とで異なった組成とすることを特徴とする
    ガスタービン用ディスク。
  2. 【請求項2】前記中心部のコア材と鋳型との空間に前記
    外周部となるパイプ状消耗電極を設置して、エレクトロ
    スラグ再溶解法により前記電極を溶解し、複合鋼塊を作
    製した後熱間鍛造により整形されている請求項1記載の
    ガスタービン用ディスク。
  3. 【請求項3】前記エレクトロスラグ溶解を前記コア材と
    電極とを相対的に回転させながら行う請求項2に記載の
    ガスタービン用ディスク。
  4. 【請求項4】マルテンサイト系耐熱鋼からなるガスター
    ビン用ディスクにおいて、外周部の485℃,10万時
    間平滑及び切欠きクリープ破断強度が50kgf/mm2以上
    で、中心部の300℃における0.2% 耐力が95kgf
    /mm2以上及び50%衝撃破面遷移温度が20℃以下あ
    り、前記外周部と中心部とで合金組成が異なることを特
    徴とするガスタービン用ディスク。
  5. 【請求項5】重量で、中心部がC0.12〜0.22%,
    Si0.2%以下,Mn0.5%以下,Ni2.3〜3.5
    %,Cr10〜13%,Mo1.5〜3.0%,V0.1
    0 〜0.35%,Nb0.05〜0.21%及びN0.0
    2〜0.10% を含有するマルテンサイト系耐熱鋼、及
    び外周部がC0.05〜0.15%,Si0.2% 以下,
    Mn0.5%以下,Ni1.8〜2.7%,Cr10〜1
    3%,Mo1.5〜3.0%,V0.10〜0.35%,N
    b0.03〜0.10%及びN0.02〜0.10%を含有
    するマルテンサイト系耐熱鋼で構成され、前記中心部と
    外周部とで合金組成が異なることを特徴とするガスター
    ビン用ディスク。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載のガスター
    ビン用ディスクによって構成され、燃焼ガス入口温度が
    1400℃以上であることを特徴とするガスタービン。
  7. 【請求項7】タービンスタブシャフトと、該シャフトに
    タービンスタッキングボルトによって互いにスペーサを
    介して連結された複数個のタービンディスクと、該ディ
    スクに植込まれ回転するタービンブレードと、前記ター
    ビンディスクに連結されたディスタントピース及びイン
    デューサと、該ディスタントピースに連結されたコンプ
    レッサロータと、該コンプレッサロータに植込まれ空気
    を圧縮するコンプレッサブレードと、前記コンプレッサ
    ロータに連結されたコンプレッサスタブシャフトを備え
    たガスタービンにおいて、前記インデューサ及びディス
    タントピースの少なくとも一方が重量で、C0.12〜
    0.22%,Si0.2%以下,Mn0.5%以下,Ni
    2.3〜3.5%,Cr10〜13%,Mo1.5〜3.0
    %,V0.10〜0.35%,Nb0.05〜0.21%及び
    N0.02〜0.10% を含有するマルテンサイト系耐
    熱鋼、及び前記スペーサ及びスタッキングボルトの少な
    くとも一方が重量で、C0.05〜0.15%,Si0.
    2%以下,Mn0.5%以下,Ni1.8〜2.7%,C
    r10〜13%,Mo1.5〜3.0%,V0.10〜0.35
    %,Nb0.03〜0.10%及びN0.02〜0.10%
    を含有するマルテンサイト系耐熱鋼からなることを特徴
    とするガスタービン。
JP15791296A 1996-06-19 1996-06-19 ガスタービン用ディスク及びガスタービン Pending JPH108904A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15791296A JPH108904A (ja) 1996-06-19 1996-06-19 ガスタービン用ディスク及びガスタービン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15791296A JPH108904A (ja) 1996-06-19 1996-06-19 ガスタービン用ディスク及びガスタービン

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH108904A true JPH108904A (ja) 1998-01-13

Family

ID=15660176

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15791296A Pending JPH108904A (ja) 1996-06-19 1996-06-19 ガスタービン用ディスク及びガスタービン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH108904A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002235113A (ja) * 2001-02-05 2002-08-23 Nisshin Steel Co Ltd 高強度鋼製織機部材用素材の製造方法
JP2009063000A (ja) * 2008-12-19 2009-03-26 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 圧縮機のスピンドルボルト取付構造

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002235113A (ja) * 2001-02-05 2002-08-23 Nisshin Steel Co Ltd 高強度鋼製織機部材用素材の製造方法
JP2009063000A (ja) * 2008-12-19 2009-03-26 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 圧縮機のスピンドルボルト取付構造

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5008072A (en) Heat resistant steel and gas turbine components composed of the same
KR950014312B1 (ko) 가스터빈 및 그의 부품
JPH0959747A (ja) 高強度耐熱鋳鋼,蒸気タービンケーシング,蒸気タービン発電プラント及び蒸気タービン
JPH10265909A (ja) 高靭性耐熱鋼、タービンロータ及びその製造方法
JP3354832B2 (ja) 高靭性フェライト系耐熱鋼
US5108699A (en) Modified 1% CrMoV rotor steel
JP2005194626A (ja) 析出硬化型マルテンサイト鋼及びその製造方法並びにそれを用いたタービン動翼及び蒸気タービン
JP3921574B2 (ja) 耐熱鋼とそれを用いたガスタービン及びその各種部材
JPS6054385B2 (ja) 耐熱鋼
JP2006022343A (ja) 耐熱鋼とそれを用いた蒸気タービン用ロータシャフト及び蒸気タービン並びに蒸気タービン発電プラント
JP3362369B2 (ja) 蒸気タービン発電プラント及び蒸気タービン
JP2014109053A (ja) オーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品
JPH108904A (ja) ガスタービン用ディスク及びガスタービン
WO2016111249A1 (ja) オーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品
JP2503180B2 (ja) 高効率ガスタ―ビン
JPS58110662A (ja) 耐熱鋼
JP4519722B2 (ja) 高低圧一体型蒸気タービンロータとその製造法及び高低圧一体型蒸気タービンとその製造法
JPH1018003A (ja) ガスタービン及びガスタービン用ディスクとその製造法
JP3106121B2 (ja) 高低圧一体型蒸気タービン用ロータシャフト
JP2001049398A (ja) 高靭性耐熱鋼およびタービンロータの製造方法
JP2003129193A (ja) タービンロータ用12Cr合金鋼、その製造方法及びタービンロータ
JPS6283451A (ja) ガスタ−ビンデイスク
JP6173956B2 (ja) オーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品
JPH07118812A (ja) 耐熱鋳鋼タービンケーシング及びその製造法
JP6173822B2 (ja) オーステナイト系耐熱鋼およびタービン部品