JPH1087420A - 層間金属包接化合物 - Google Patents

層間金属包接化合物

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JPH1087420A
JPH1087420A JP26355796A JP26355796A JPH1087420A JP H1087420 A JPH1087420 A JP H1087420A JP 26355796 A JP26355796 A JP 26355796A JP 26355796 A JP26355796 A JP 26355796A JP H1087420 A JPH1087420 A JP H1087420A
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浩一 野村
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 体臭等の原因である脂肪酸を選択的に吸着す
る素材を提供する。 【課題の解決手段】 粘土鉱物の層間にアルミニウム、
ジルコニウム、その酸化物及び/又はその水酸化物と次
にイに挙げるのイオン交換性金属から選ばれる1種乃至
は2種以上、それらの酸化物及び/又はそれらの水酸化
物とを包接させた化合物。 (イ)亜鉛、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、
チタン、クロム、ビスマス

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化粧料の原料に好
適な層間金属包接化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】人体の分泌する皮脂に於いて、遊離の脂
肪酸は体臭や異臭の原因となったり、メークアップに於
ける経時的なテカリの原因となったりしており、この遊
離脂肪酸の皮膚上からの除去がメークアップ化粧料の化
粧持ちを良くする観点から多種の検討がなされていた。
この様な検討には、例えば、シリカゲルなどの吸油性粉
体を化粧料に配合し、皮脂成分を吸着させてしまう方法
やメークアップ化粧料に使用する粉体を溌油性の高いフ
ッ素処理粉体に置き換えてしまうなどの手段が講じられ
てきていた。しかしながら、シリカゲルなどの吸油性粉
体を用いると、遊離脂肪酸以外のトリグリセライド等の
皮膚のエモリエントの面で重要な油性成分まで吸着して
しまうため、遊離脂肪酸を充分に吸着するまで配合する
と、エモリエント成分の不足をきたす場合があり、充分
な量の配合が困難であった。更に、この様な粉体は油性
成分を吸着すると油性成分との濡れによる光沢を呈する
ため、化粧仕上がりにテカリがでてしまい、メークアッ
プが汚くなると言う問題があった。又、フッ素処理粉体
は確かに皮脂成分には濡れないものの、溌油性が強いた
め、皮脂上を粉体が上滑りし、ヨレを生じると言う欠点
があった。即ち、遊離脂肪酸のみを選択的に吸着する化
粧料用の素材が求められていた。
【0003】一方、粘土鉱物に数種類の金属を包接させ
る技術は既に公知のことであり、この様な化合物に、紫
外線吸収作用、抗菌作用、消臭作用等があることは知ら
れていたが、粘土鉱物にアルミニウム、ジルコニウム、
その酸化物及び/又はその水酸化物と亜鉛、鉄、マグネ
シウム、マンガン、ニッケル、チタン、クロム、ビスマ
スから選ばれる1種乃至は2種以上を包接する化合物は
未だ知られていない。更にこの様な包接化合物が遊離脂
肪酸のみを選択的に吸着することも全く知られていな
い。加えて、これらの包接化合物を含有する化粧料が化
粧持ちに優れることも全く知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な状況
下行われたものであり、遊離脂肪酸のみを選択的に吸着
する化粧料に好適な素材を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの様な状
況に鑑みて、遊離脂肪酸のみを選択的に吸着する化粧料
に好適な素材を求めて鋭意研究を重ねた結果、粘土鉱物
の層間にアルミニウム、ジルコニウム、その酸化物及び
/又はその水酸化物と亜鉛、鉄、マグネシウム、マンガ
ン、ニッケル、チタン、クロム、ビスマスから選ばれる
1種乃至は2種以上、それらの酸化物及び/又はそれら
の水酸化物とを包接させた化合物にその様な作用を見い
だし発明を完成させた。以下、本発明について発明の実
施の形態を中心に詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
(1)本発明の化合物 本発明の化合物は、粘土鉱物の層間にアルミニウム、ジ
ルコニウム、その酸化物及び/又はその水酸化物と亜
鉛、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、チタン、
クロム、ビスマスから選ばれる1種乃至は2種以上、そ
れらの酸化物及び/又はそれらの水酸化物とを包接させ
たことを特徴とする。粘土鉱物としては、化粧料で用い
られているものであれば特段の限定なく用いることがで
き、この様な粘土鉱物としては、例えば、ハロイサイ
ト、パイロフィライト、ノントロナイト、モンモリロナ
イト、カオリナイト、バイデライト、ヘクトライト、バ
ーミキュライト、フッ素4珪素雲母等が例示でき、これ
らの内では特にモンモリロナイトが好ましい。モンリロ
ナイトの中ではナトリウム型のモンモリロナイトが更に
好ましい。又、亜鉛、鉄、マグネシウム、マンガン、ニ
ッケル、チタン、クロム、ビスマスから選ばれる1種乃
至は2種以上の組み合わせの内では、亜鉛、鉄、マグネ
シウム、マンガン、チタン、クロム、ビスマスから選ば
れる1種乃至は2種以上の組み合わせがより好ましく、
特に中でも亜鉛を含む組み合わせが好ましく、亜鉛のみ
を用いる場合が最も好ましい。粘土鉱物とアルミニウ
ム、ジルコニウム、その酸化物及び/又はその水酸化物
の割合は、粘土鉱物に対してアルミニウム、ジルコニウ
ムが0.1〜15モル程度になるのが好ましく、0.1
〜12モルがより好ましく、0.5〜10モルが更に好
ましい。又、粘土鉱物と亜鉛、カルシウム、マグネシウ
ム、ニッケル、マンガンから選ばれる1種乃至は2種以
上の金属の割合は、粘土鉱物に対して、0.05〜5モ
ルが好ましく、0.08〜4モルがより好ましく、0.
1〜3モルが更に好ましい。
【0007】本発明の化合物は次のようにすれば、製造
することができる。1)硝酸アルミニウム及び/又はジ
ルコニウムの水溶液に水酸化ナトリウムを徐々に加えア
ルミニウム及び/又はジルコニウムの多核水酸化ポリカ
チオンを形成させ、これに粘土鉱物を加え良く混合し、
アルミニウム及び/又はジルコニウムの多核水酸化ポリ
カチオンを粘土鉱物の層間にインターカレートさせる。
これに更に他の金属の硝酸塩の水溶液を加え、しかる後
に水酸化ナトリウムを滴下しpHを中性に戻し、亜鉛、
鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、チタン、クロ
ム、ビスマスから選ばれる1種乃至は2種以上の金属の
水酸化物を層間に更にインターカレートさせ、これより
凍結乾燥などにより水分を除去すれば本発明の化合物を
得ることができる。かくして得られた本発明の化合物
は、下記試験例に示すように、遊離脂肪酸を選択的に吸
着する作用に優れる。従って、本発明の化合物は選択的
脂肪酸吸着剤として使用でき、化粧料や医薬品の製剤の
ための原料、カラムクロマトグラフィーの充填剤等とし
て好適であり、中でも安全性が高いことから、化粧品原
料として大変有益である。
【0008】<試験例>各種油剤に重量比で10%脂肪
酸を混合した検体と後記実施例1の化合物1とを9:1
で1時間混合し、上清をガスクロマトグラフィーによっ
て脂肪酸の残存料を測定した。結果を油剤成分に於ける
遊離脂肪酸の濃度として表1に示す。これより本発明の
化合物である、化合物1が遊離脂肪酸の選択的吸着性を
有することが判る。
【0009】
【表1】
【0010】(2)本発明の化粧料 本発明の化粧料は、上記の本発明の化合物を含有するこ
とを特徴とする。本発明の化粧料としては、通常の化粧
料として知られている剤形であれば何れも特段の限定を
受けずに応用することができる。この様な化粧料として
は、例えば、クリームや乳液などの基礎化粧料、アンダ
ーメークアップ、ファンデーション等のメークアップ化
粧料、タルカムパウダー、カラミンローション等の制汗
用の化粧料等が好ましく例示できる。このうち、メーク
アップ化粧料と制汗用の化粧料が特に好ましい。これは
本発明の化合物が化粧崩れを防ぐ作用や異臭の発生を防
ぐ作用に優れるためである。本発明の化粧料に於ける、
本発明の化合物の含有量は、0.01〜50重量%が好
ましく、0.05〜30重量%がより好ましく、0.1
〜20重量%が更に好ましい。本発明の化合物には、本
発明の化合物以外に、通常化粧料で用いられている成分
を含有することができる。この様な成分としては、例え
ば、ワセリンやマイクロクリスタリンワックス等のよう
な炭化水素類、ホホバ油やゲイロウ等のエステル類、牛
脂、オリーブ油等のトリグリセライド類、セタノール、
オレイルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン
酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリンや1,3−ブタ
ンジオール等の多価アルコール類、非イオン界面活性
剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界
面活性剤、エタノール、カーボポール等の増粘剤、防腐
剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、粉体類等が例示で
きる。
【0011】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明について更に
詳細に説明するが、本発明がこれら実施例にのみ限定さ
れるものではない。
【0012】<実施例1> 製造例 0.4M硝酸アルミニウム水溶液300mlに0.4N
水酸化ナトリウム水溶液400mlを滴下し60℃で6
時間攪拌し透明な液を得た。これにナトリウム型モンモ
リロナイト6.67gを徐々に加え水333mlを加
え、室温で2時間攪拌した。これを10000rpmで
10分間遠心分離し上清を捨てた。更に2回500ml
を加え同様に遠心分離し、不溶物を洗浄した。これを凍
結乾燥し、水分を除去した。この2gを取り、0.2M
硝酸亜鉛水溶液40mlを加え良く分散させ、これに
0.4N水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え良く攪
拌した後、10000rpmで10分間遠心分離し上清
を捨てた。更に2回500mlを加え同様に遠心分離
し、不溶物を洗浄した。これを凍結乾燥させ、本発明の
化合物1を得た。
【0013】<実施例2> 試験例 化合物1について、下記に示す疑似ファンデーション用
粉体組成系に於いて、JISの規格に従って油剤を下記
処方の疑似皮脂とした場合の吸油量を測定した。同時
に、吸油前の光沢値と最大吸油状態に於ける光沢値の差
を測定した。光沢値はグロースメーターを用いて、アク
リル板を100とした場合の値を光沢値とした。これら
を表2に示す。比較として、亜鉛を包接しない、アルミ
ニウムのみを包接したモンモリロナイト、即ち、実施例
1で第1回目の凍結乾燥を行った工程までのサンプル
(比較例1)とシリカゲル(比較例2)、ミズナイト
(比較例3)、ハイドロタルサイト(比較例4)を用い
た。この表より、本発明の化合物は吸油量が大きいにも
関わらず、光沢値が上昇しにくい、即ちテカラないこと
が判る。
【0014】
【表2】
【0015】 (疑似ファンデーション処方) 二酸化チタン 23 重量部 黄色酸化鉄 1.4重量部 ベンガラ 0.5重量部 群青 0.1重量部 セリサイト 30 重量部 吸油性粉体 30 重量部 グリセリルトリイソオクタネート 15 重量部
【0016】 (疑似皮脂) オレイン酸 20 重量部 メチルオクタドデカネート 33.3重量部 グリセリルトリオレート 33.3重量部 スクワレン 13.4重量部
【0017】<実施例3〜7> 配合例 下記処方に従ってファンデーションを作成した。即ち、
イをヘンシェルミキサーで混合し、7mmの丸穴スクリ
ーンを装着したパルベライザーで粉砕し、ヘンシェルミ
キサーで混合しながら、ロをコーティングし10mmヘ
リングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉
砕し、金皿に詰め加圧成形しファンデーションを得た。
尚、数値は重量部を表す。
【0018】
【表3】
【0019】<実施例8> 評価例 実施例3〜7のファンデーションについて、脂性で化粧
崩れに悩むパネラー1群10名を用いて、化合物1を総
てセリサイトに置換した比較例を用いて使用テストを行
った。即ち、実施例と比較例とを交互に2週間使用し、
化粧崩れのしにくさ(化粧持ちの良さ)をどちらのサン
プルの方がよいかで評価してもらった。結果を表4に示
す。これより、本発明の化合物の添加により化粧崩れが
抑えられ、化粧持ちが向上していることが判る。又、本
発明の化合物の添加量は0.1重量%でも有効であるこ
とが判る。
【0020】
【表4】
【0021】<実施例9> 配合例 下記処方に従って制汗パウダーを得た。即ち、処方成分
をヘンシェルミキサーでよく混合し、7mm丸穴スクリ
ーンを装着したパルベラーザーで粉砕し制汗パウダーを
得た。 化合物1 20 重量部 ポリエチレン粉末 10 重量部 タルク 40 重量部 セリサイト 29 重量部 ジンクピリチオン 1 重量部
【0022】<実施例10> 評価 上記実施例9の制汗パウダーを体臭が気になる男子10
名を用いて、化合物1をタルクにした制汗パウダーを比
較例とし、使い心地の爽やかさの持続性と体臭の抑制作
用について比較使用テストをしてもらった。即ち、実施
例と比較例とを交互に2週間使用し、どちらの方が良い
かを答えてもらった。結果を表5に示す。これより、実
施例の制汗パウダーは本発明の化合物の添加により、爽
やかさの持続性と体臭抑制作用を向上させていることが
判る。これは、本発明の化合物の選択的脂肪酸吸着作用
によるものである。
【0023】
【表5】
【0024】<実施例11> 配合例 下記処方に従って、アンダーメークアップを作成した。
即ち、イ、ロ、ハを80℃に加熱し、イを良く混練り
し、ロを加えて分散希釈し、ニを分散させ、これに徐々
にハを加えて乳化し、攪拌冷却しアンダーメークアップ
を得た。 イ マルビトール 10 重量部 1,3−ブタンジオール 5 重量部 トリグリセリンジイソステアレート 5 重量部 メチルパラベン 0.3重量部 ブチルパラベン 0.1重量部 ロ 流動パラフィン 10 重量部 カルナウバワックス 5 重量部 マイクロクリスタリンワックス 5 重量部 ハ 水 54.6重量部 ニ タルク 2 重量部 化合物1 3 重量部
【0025】<実施例12> 評価 実施例11のアンダーメークアップについて、脂性で化
粧崩れに悩むパネラー10名を用いて、化合物1を総て
タルクに置換した比較例を用いて使用テストを行った。
即ち、実施例と比較例とを交互に2週間使用し、上に乗
せる通常使用しているファンデーションの化粧崩れのし
にくさ(化粧持ちの良さ)をどちらのサンプルをアンダ
ーメークアップとして用いた場合の方がよいかで評価し
てもらった。結果を表6に示す。これより、本発明の化
合物の添加により化粧崩れが抑えられ、化粧持ちが向上
していることが判る。
【0026】
【表6】
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、遊離脂肪酸のみを選択
的に吸着する化粧料に好適な素材が提供できる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘土鉱物の層間にアルミニウム、ジルコ
    ニウム、その酸化物及び/又はその水酸化物と次にイに
    挙げるのイオン交換性金属から選ばれる1種乃至は2種
    以上、それらの酸化物及び/又はそれらの水酸化物とを
    包接させた化合物。 (イ)亜鉛、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、
    チタン、クロム、ビスマス
  2. 【請求項2】 粘土鉱物がハロイサイト、パイロフィラ
    イト、ノントロナイト、モンモリロナイト、カオリナイ
    ト、バイデライト、ヘクトライト、バーミキュライト、
    フッ素4珪素雲母のいずれかであるである、請求項1に
    記載の化合物。
  3. 【請求項3】 イオン交換性金属として亜鉛を含有する
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れか一項に記載の化合
    物からなる選択的脂肪酸吸着剤。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の選択的脂肪酸吸着剤を
    含有する化粧料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3の何れか一項に記載の化合
    物を含有する化粧料。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3の何れか一項に記載の化合
    物の含有量が0.01〜50重量%である、請求項6に
    記載の化粧料。
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