JPH1086900A - 人工衛星用スラスタ - Google Patents
人工衛星用スラスタInfo
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- JPH1086900A JPH1086900A JP8243451A JP24345196A JPH1086900A JP H1086900 A JPH1086900 A JP H1086900A JP 8243451 A JP8243451 A JP 8243451A JP 24345196 A JP24345196 A JP 24345196A JP H1086900 A JPH1086900 A JP H1086900A
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Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B64—AIRCRAFT; AVIATION; COSMONAUTICS
- B64G—COSMONAUTICS; VEHICLES OR EQUIPMENT THEREFOR
- B64G1/00—Cosmonautic vehicles
- B64G1/22—Parts of, or equipment specially adapted for fitting in or to, cosmonautic vehicles
- B64G1/24—Guiding or controlling apparatus, e.g. for attitude control
- B64G1/242—Orbits and trajectories
- B64G1/2427—Transfer orbits
-
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Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Remote Sensing (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Combustion & Propulsion (AREA)
- Aviation & Aerospace Engineering (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】動作中の外表面温度を低減して、高温強度の低
いチタンのような金属から形成することを可能にした人
工衛星用スラスタを提供することを目的とする。 【解決手段】 外表面が輻射性塗料膜で被着されている
ことを特徴とする人工衛星用スラスタ。
いチタンのような金属から形成することを可能にした人
工衛星用スラスタを提供することを目的とする。 【解決手段】 外表面が輻射性塗料膜で被着されている
ことを特徴とする人工衛星用スラスタ。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、宇宙空間を飛行す
る人工衛星に装備され、宇宙空間にて人工衛星の飛行軌
道制御や飛行位置制御等を行うスラスタに関するもので
ある。
る人工衛星に装備され、宇宙空間にて人工衛星の飛行軌
道制御や飛行位置制御等を行うスラスタに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】人工衛星は複数のスラスタ(推進用小型
ロケット)を装備している。ロケットから分離した人工
衛星が、宇宙空間にて所定軌道への投入、飛行軌道保
持、または運用時の位置保持等をする時に、スラスタが
発する推力を利用している。
ロケット)を装備している。ロケットから分離した人工
衛星が、宇宙空間にて所定軌道への投入、飛行軌道保
持、または運用時の位置保持等をする時に、スラスタが
発する推力を利用している。
【0003】人工衛星用スラスタは、燃焼室、ノズルス
ロート部、およびスカート部からなる。燃焼室は、人工
衛星本体の燃料タンクと酸化剤タンクに連結されてい
て、燃料、酸化剤が供給される。燃焼室内部では、燃
料、酸化剤による化学反応、または燃料と触媒とによる
触媒分解反応が起こり、高温高圧のガスが発生する。ス
ラスタの推力は、発生した高温高圧のガスが、ノズルス
ロート部で圧縮、加速された後、スカート部で膨脹、加
速されて宇宙空間に噴出されることにより得られる。こ
のように、燃焼室、ノズルスロート部、およびスカート
部は、スラスタの動作中に高温高圧のガスにさらされる
ため、外表面の温度が最高1000℃以上に達する。
ロート部、およびスカート部からなる。燃焼室は、人工
衛星本体の燃料タンクと酸化剤タンクに連結されてい
て、燃料、酸化剤が供給される。燃焼室内部では、燃
料、酸化剤による化学反応、または燃料と触媒とによる
触媒分解反応が起こり、高温高圧のガスが発生する。ス
ラスタの推力は、発生した高温高圧のガスが、ノズルス
ロート部で圧縮、加速された後、スカート部で膨脹、加
速されて宇宙空間に噴出されることにより得られる。こ
のように、燃焼室、ノズルスロート部、およびスカート
部は、スラスタの動作中に高温高圧のガスにさらされる
ため、外表面の温度が最高1000℃以上に達する。
【0004】ところで、前記スラスタは、ニオブ(N
b)、ハフニウム(Hf)、ジルコニア(Zr)などの
高温強度の高い金属により形成されている。しかしなが
ら、これらの金属は高価で機械加工も難しい、という問
題があった。
b)、ハフニウム(Hf)、ジルコニア(Zr)などの
高温強度の高い金属により形成されている。しかしなが
ら、これらの金属は高価で機械加工も難しい、という問
題があった。
【0005】このようなことから、より安価で機械加工
も容易な金属、例えばチタン(Ti)などの使用が求め
られてきた。しかし、チタンのような金属は一般に高温
強度が低いため、スラスタ動作中に変形または破壊する
恐れがあった。従って、チタンなどの高温強度の低い金
属は、人工衛星用スラスタには使用されずにいた。
も容易な金属、例えばチタン(Ti)などの使用が求め
られてきた。しかし、チタンのような金属は一般に高温
強度が低いため、スラスタ動作中に変形または破壊する
恐れがあった。従って、チタンなどの高温強度の低い金
属は、人工衛星用スラスタには使用されずにいた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の人工衛星用スラスタにおいては、スラスタ動作中にス
ラスタ外表面の温度が高温になるため、安価で機械加工
も容易だが高温強度の低いチタンのような金属は使用さ
れずにいた。
の人工衛星用スラスタにおいては、スラスタ動作中にス
ラスタ外表面の温度が高温になるため、安価で機械加工
も容易だが高温強度の低いチタンのような金属は使用さ
れずにいた。
【0007】本発明の目的は、動作条件を変えることな
く動作中の外表面温度を低減して、高温強度の低いチタ
ンのような金属から形成することを可能にした人工衛星
用スラスタを提供するものである。
く動作中の外表面温度を低減して、高温強度の低いチタ
ンのような金属から形成することを可能にした人工衛星
用スラスタを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る人工衛星用
スラスタは、外表面が輻射性塗料膜で被着された構造を
有する。
スラスタは、外表面が輻射性塗料膜で被着された構造を
有する。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本実施形態の人工衛星用
スラスタ示す断面図である。人工衛星用スラスタに使用
されるスラスタ1は、燃焼室2、流路面積を極小にする
スロート3が設けられたノズルスロート部4、スカート
部端面5を有するスカート部6から構成されている。前
記燃焼室2の接合面7は、人工衛星本体(図示せず)に
接合されている。前記燃焼室2は、前記人工衛星本体の
燃料タンクおよび酸化剤タンクから、ヒドラジン(N2
H4 )、モノメチルヒドラジン(MMH)等の燃料、四
酸化二窒素(N2 O4 )、過酸化水素(H2 O2 )等の
酸化剤が供給される。前記燃料室2の内部では、これら
燃料、酸化剤による化学反応、または燃料と触媒とによ
る触媒分解反応が起こり、高温高圧のガスが発生する。
発生した高温高圧のガスは、前記ノズルスロート部4で
圧縮、加速された後、前記スカート部5で膨脹、加速さ
れて、スカート部端面5から宇宙空間に噴出される。
スラスタ示す断面図である。人工衛星用スラスタに使用
されるスラスタ1は、燃焼室2、流路面積を極小にする
スロート3が設けられたノズルスロート部4、スカート
部端面5を有するスカート部6から構成されている。前
記燃焼室2の接合面7は、人工衛星本体(図示せず)に
接合されている。前記燃焼室2は、前記人工衛星本体の
燃料タンクおよび酸化剤タンクから、ヒドラジン(N2
H4 )、モノメチルヒドラジン(MMH)等の燃料、四
酸化二窒素(N2 O4 )、過酸化水素(H2 O2 )等の
酸化剤が供給される。前記燃料室2の内部では、これら
燃料、酸化剤による化学反応、または燃料と触媒とによ
る触媒分解反応が起こり、高温高圧のガスが発生する。
発生した高温高圧のガスは、前記ノズルスロート部4で
圧縮、加速された後、前記スカート部5で膨脹、加速さ
れて、スカート部端面5から宇宙空間に噴出される。
【0010】輻射性塗料膜8は、例えば前記スカート部
6外周面上の前記ノズルスロート部4側に、一定幅の帯
を形成するように被着されている。ただし、スラスタ1
全体に高温強度の低い金属を使用してスラスタ外表面全
体に輻射性塗料膜8を被着しても良い。
6外周面上の前記ノズルスロート部4側に、一定幅の帯
を形成するように被着されている。ただし、スラスタ1
全体に高温強度の低い金属を使用してスラスタ外表面全
体に輻射性塗料膜8を被着しても良い。
【0011】前記輻射性塗料としては例えば、チラノコ
ート(商品名・宇部興産(株))を用いることができ
る。チラノコートは、0.9以上の熱輻射率を持ち、耐
熱温度は1000℃以上である。また、その他の輻射性
塗料として黒体塗料Black1000(商品名・ジャ
パンセンター(株))を用いることができる。黒体塗料
Black1000は、0.8以上の熱輻射率を持ち、
耐熱温度は1000℃である。
ート(商品名・宇部興産(株))を用いることができ
る。チラノコートは、0.9以上の熱輻射率を持ち、耐
熱温度は1000℃以上である。また、その他の輻射性
塗料として黒体塗料Black1000(商品名・ジャ
パンセンター(株))を用いることができる。黒体塗料
Black1000は、0.8以上の熱輻射率を持ち、
耐熱温度は1000℃である。
【0012】前記輻射性塗料膜8を被着する膜厚は、前
記スラスタ1を形成する金属の種類に依存する。つま
り、前記スラスタ1の金属と前記輻射性塗料膜8の間の
熱膨張率差により、高温時に発生する前記輻射性塗料膜
8の割れ等を回避するためである。そのため、前記輻射
性塗料膜8との熱膨張率差が大きい金属にほど、より厚
く前記輻射性塗料膜8を被着する。なお、熱輻射率の値
は、前記輻射性塗料膜8の膜厚にはほとんど依らない。
記スラスタ1を形成する金属の種類に依存する。つま
り、前記スラスタ1の金属と前記輻射性塗料膜8の間の
熱膨張率差により、高温時に発生する前記輻射性塗料膜
8の割れ等を回避するためである。そのため、前記輻射
性塗料膜8との熱膨張率差が大きい金属にほど、より厚
く前記輻射性塗料膜8を被着する。なお、熱輻射率の値
は、前記輻射性塗料膜8の膜厚にはほとんど依らない。
【0013】本発明に係る人工衛星用スラスタ1によれ
ば、外表面に輻射性塗料膜を被着することにより熱輻射
率を高くして、宇宙空間への熱放射を促進できる。その
結果、チタンなどのような高温強度の低い金属から形成
することができる。
ば、外表面に輻射性塗料膜を被着することにより熱輻射
率を高くして、宇宙空間への熱放射を促進できる。その
結果、チタンなどのような高温強度の低い金属から形成
することができる。
【0014】下記数1に示すように、スラスタ1外表面
から宇宙空間へ放熱される量は、ステファン−ボルツマ
ンの法則に従って、スラスタ1外表面の絶対温度、宇宙
空間の絶対温度およびスラスタ1外表面の熱輻射率によ
って決まる。
から宇宙空間へ放熱される量は、ステファン−ボルツマ
ンの法則に従って、スラスタ1外表面の絶対温度、宇宙
空間の絶対温度およびスラスタ1外表面の熱輻射率によ
って決まる。
【0015】 Q=σε(Tt 4 −Ts 4 ) =σεTt 4 …(1) ただし、Q:スラスタ1外表面より放熱した量[W/m
2 ] σ:ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-8W
/m2 K4 ) ε:スラスタ1外表面の熱輻射率(0<ε≦1.0) Tt :スラスタ1外表面の絶対温度[K] Ts :宇宙空間の温度[K](約3K) つまり、スラスタ1外表面から宇宙空間へ放出される放
熱量Qは、スラスタ1外表面の絶対温度Tt を4乗した
値と人工衛星が位置する宇宙空間の絶対温度Ts (約3
K)を4乗した値との差、およびスラスタ1外表面の熱
輻射率εに比例する。ここで、数1においてTs 4 は無
視できる。それは、スラスタ1動作中のスラスタ1外表
面の温度Tt は400K以上になるのに対して、宇宙空
間の温度Ts は約3Kしかなく、Tt 4 >>Ts 4 とな
るので、Tt 4 に対してTs 4 を無視できるからであ
る。その結果、スラスタ1外表面から宇宙空間へ放出さ
れる放熱量Qは、実質上、スラスタ1外表面の絶対温度
Tt とスラスタ1外表面の熱輻射率εのみによって決ま
る。熱輻射率εは、スラスタ1を構成する材料によって
変化する。しかし、スラスタ1外表面の表面状態に強く
依存するため、スラスタ1外表面に輻射性塗料膜8を被
着することで、熱輻射率をスラスタ1の構成材料が本来
持つ値よりも大きな値に増加させることができる。
2 ] σ:ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-8W
/m2 K4 ) ε:スラスタ1外表面の熱輻射率(0<ε≦1.0) Tt :スラスタ1外表面の絶対温度[K] Ts :宇宙空間の温度[K](約3K) つまり、スラスタ1外表面から宇宙空間へ放出される放
熱量Qは、スラスタ1外表面の絶対温度Tt を4乗した
値と人工衛星が位置する宇宙空間の絶対温度Ts (約3
K)を4乗した値との差、およびスラスタ1外表面の熱
輻射率εに比例する。ここで、数1においてTs 4 は無
視できる。それは、スラスタ1動作中のスラスタ1外表
面の温度Tt は400K以上になるのに対して、宇宙空
間の温度Ts は約3Kしかなく、Tt 4 >>Ts 4 とな
るので、Tt 4 に対してTs 4 を無視できるからであ
る。その結果、スラスタ1外表面から宇宙空間へ放出さ
れる放熱量Qは、実質上、スラスタ1外表面の絶対温度
Tt とスラスタ1外表面の熱輻射率εのみによって決ま
る。熱輻射率εは、スラスタ1を構成する材料によって
変化する。しかし、スラスタ1外表面の表面状態に強く
依存するため、スラスタ1外表面に輻射性塗料膜8を被
着することで、熱輻射率をスラスタ1の構成材料が本来
持つ値よりも大きな値に増加させることができる。
【0016】ところで、スラスタ1内部で発生した発熱
量と、スラスタ1外表面から宇宙空間へ放出された放熱
量Qとは、スラスタ1の定常動作中は等しい。スラスタ
1内部で発生する発熱量はスラスタ1定常動作中は一定
であるから、スラスタ1外表面から宇宙空間へ放出され
る放熱量Qも、スラスタ1定常動作中は一定である。
量と、スラスタ1外表面から宇宙空間へ放出された放熱
量Qとは、スラスタ1の定常動作中は等しい。スラスタ
1内部で発生する発熱量はスラスタ1定常動作中は一定
であるから、スラスタ1外表面から宇宙空間へ放出され
る放熱量Qも、スラスタ1定常動作中は一定である。
【0017】その結果、下記数2に示すように、スラス
タ1定常動作中のスラスタ1外表面の温度Tt は、スラ
スタ1外表面の熱輻射率εのみによって変化し、両者は
反比例関係にある。
タ1定常動作中のスラスタ1外表面の温度Tt は、スラ
スタ1外表面の熱輻射率εのみによって変化し、両者は
反比例関係にある。
【0018】 Q=σεTt 4 =Const. Tt 4 =Q/σε Tt =(Q/σε)1/4 …(2) つまり、スラスタ1外表面の熱輻射率を大きくすれば、
動作条件を変えることなく、定常動作中のスラスタ1外
表面の温度を低くすることができる。このように、外表
面に輻射性塗料膜8を被着することで、スラスタ1に高
温強度の低い金属を使用しても、高温に起因する強度低
下を抑制できる。従って、安価で加工の容易なチタンな
どの金属を使用しても、動作中に変形または破壊の起こ
らない人工衛星用スラスタ1を提供できる。
動作条件を変えることなく、定常動作中のスラスタ1外
表面の温度を低くすることができる。このように、外表
面に輻射性塗料膜8を被着することで、スラスタ1に高
温強度の低い金属を使用しても、高温に起因する強度低
下を抑制できる。従って、安価で加工の容易なチタンな
どの金属を使用しても、動作中に変形または破壊の起こ
らない人工衛星用スラスタ1を提供できる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を上述の図1を参照し
て具体的に説明する。 (実施例1)図1において、スラスタ1の前記接合面7
から前記スロート3までの距離は86mm、前記接合面
7から前記スカート部端面5までの距離は463mmで
ある。前記スラスタ1外表面の熱輻射率は、約0.2で
ある。前記スカート部6外表面上の前記ノズルスロート
部4側に、チラノコート(商品名・宇部興産(株))
を、前記接合面7から測って149mmの地点から幅6
0mmの帯状になるよう塗布した。その後、スラスタ1
全体を400℃で3時間真空中でベーキングして、密着
力の高い約100μmの膜厚の輻射性塗料膜8を形成し
た。
て具体的に説明する。 (実施例1)図1において、スラスタ1の前記接合面7
から前記スロート3までの距離は86mm、前記接合面
7から前記スカート部端面5までの距離は463mmで
ある。前記スラスタ1外表面の熱輻射率は、約0.2で
ある。前記スカート部6外表面上の前記ノズルスロート
部4側に、チラノコート(商品名・宇部興産(株))
を、前記接合面7から測って149mmの地点から幅6
0mmの帯状になるよう塗布した。その後、スラスタ1
全体を400℃で3時間真空中でベーキングして、密着
力の高い約100μmの膜厚の輻射性塗料膜8を形成し
た。
【0020】(実施例2)前記チラノコートの塗布幅を
90mmとした以外、実施例1と同じ条件にて、前記ス
ラスタ1に輻射性塗料膜8を形成した。
90mmとした以外、実施例1と同じ条件にて、前記ス
ラスタ1に輻射性塗料膜8を形成した。
【0021】(実施例3)前記チラノコートの塗布幅を
150mmとした以外、実施例1と同じ条件にて、前記
スラスタ1に輻射性塗料膜8を形成した。
150mmとした以外、実施例1と同じ条件にて、前記
スラスタ1に輻射性塗料膜8を形成した。
【0022】実施例1〜3の各条件により作製した本発
明に係る3種類のスラスタ1と、輻射性塗料を全く被着
しないスラスタ1の計4種類について、同じ動作条件で
地上で動作させ、動作中の各スラスタ1の外表面温度分
布を測定した。
明に係る3種類のスラスタ1と、輻射性塗料を全く被着
しないスラスタ1の計4種類について、同じ動作条件で
地上で動作させ、動作中の各スラスタ1の外表面温度分
布を測定した。
【0023】図2に、前記4種類のスラスタ1の外表面
温度分布の測定結果を示す。曲線Aは、輻射性塗料膜8
を全く被着しないスラスタ1についての測定結果、曲線
Bは本発明の実施例1のスラスタ1についての結果、曲
線Cは本発明の実施例2のスラスタ1についての結果、
曲線Dは本発明の実施例3のスラスタ1についての結果
である。
温度分布の測定結果を示す。曲線Aは、輻射性塗料膜8
を全く被着しないスラスタ1についての測定結果、曲線
Bは本発明の実施例1のスラスタ1についての結果、曲
線Cは本発明の実施例2のスラスタ1についての結果、
曲線Dは本発明の実施例3のスラスタ1についての結果
である。
【0024】図2から明かなように、輻射性塗料膜8を
全く被着しないスラスタ1(曲線A)においては、圧縮
された反応ガスにより前記スロート3付近(図1のスラ
スタの軸方向距離Xが86mmの付近)で温度が130
0℃に達した後、前記反応ガスの膨脹に伴い、前記スカ
ート部6で温度は緩やかに低下する。そして、前記スカ
ート部端面5付近(図1の距離Xが450mmの付近)
で約600℃まで低下する。一方、本発明の実施例1
(曲線B)のスラスタ1においては、輻射性塗料膜8を
被着した部分(図1の距離Xが149mmから209m
mまでの60mm幅の部分)の外表面温度は急激に低下
し、その結果、輻射性塗料膜8を全く被着しないスラス
タ1と比べて最大200℃以上低下している。また、本
発明の実施例2(曲線C)のスラスタ1においても、輻
射性塗料膜8を被着した部分(図1の距離Xが149m
mから239mmまでの90mm幅の部分)の外表面温
度は急激に低下し、その結果、輻射性塗料膜8を全く被
着しないスラスタ1よりも最大200℃以上低下してい
る。また、本発明の実施例3(曲線D)のスラスタ1に
おいても、輻射性塗料膜8を被着した部分(図1の距離
Xが149mmから299mmまでの150mm幅の部
分)の外表面温度は急激に低下し、その結果、輻射性塗
料膜8を全く被着しないスラスタ1と比べて最大200
℃以上低下している。輻射性塗料膜8の被着範囲が増大
するに伴い、温度低下範囲も同様に増加している。
全く被着しないスラスタ1(曲線A)においては、圧縮
された反応ガスにより前記スロート3付近(図1のスラ
スタの軸方向距離Xが86mmの付近)で温度が130
0℃に達した後、前記反応ガスの膨脹に伴い、前記スカ
ート部6で温度は緩やかに低下する。そして、前記スカ
ート部端面5付近(図1の距離Xが450mmの付近)
で約600℃まで低下する。一方、本発明の実施例1
(曲線B)のスラスタ1においては、輻射性塗料膜8を
被着した部分(図1の距離Xが149mmから209m
mまでの60mm幅の部分)の外表面温度は急激に低下
し、その結果、輻射性塗料膜8を全く被着しないスラス
タ1と比べて最大200℃以上低下している。また、本
発明の実施例2(曲線C)のスラスタ1においても、輻
射性塗料膜8を被着した部分(図1の距離Xが149m
mから239mmまでの90mm幅の部分)の外表面温
度は急激に低下し、その結果、輻射性塗料膜8を全く被
着しないスラスタ1よりも最大200℃以上低下してい
る。また、本発明の実施例3(曲線D)のスラスタ1に
おいても、輻射性塗料膜8を被着した部分(図1の距離
Xが149mmから299mmまでの150mm幅の部
分)の外表面温度は急激に低下し、その結果、輻射性塗
料膜8を全く被着しないスラスタ1と比べて最大200
℃以上低下している。輻射性塗料膜8の被着範囲が増大
するに伴い、温度低下範囲も同様に増加している。
【0025】上述の測定結果より、本実施例の人工衛星
用スラスタの効果を以下のように評価する。人工衛星用
スラスタ1を、例えばチタンで形成する場合を考える。
チタンは、800℃以下の温度にて機械強度が十分であ
る。本発明の実施例3(曲線Dの結果)の人工衛星用ス
ラスタ1では、前記接合面7から測って約140mmの
地点から前記スカート部端面5までの範囲(図1の距離
Xが約140mmから450mmまでの範囲)におい
て、外表面の温度が800℃を下回っている。これは、
人工衛星用スラスタ1の広い範囲に渡って、チタンを使
用することが可能であることを示している。さらに、前
記輻射性塗料膜8の被着範囲をより広げれば、より広い
範囲で安定してチタンを使用できることは明らかであ
る。このように、本実施例の人工衛星用スラスタ1にお
いては、広い範囲に渡って、チタンなどの高温強度の低
い金属から形成することが可能である。
用スラスタの効果を以下のように評価する。人工衛星用
スラスタ1を、例えばチタンで形成する場合を考える。
チタンは、800℃以下の温度にて機械強度が十分であ
る。本発明の実施例3(曲線Dの結果)の人工衛星用ス
ラスタ1では、前記接合面7から測って約140mmの
地点から前記スカート部端面5までの範囲(図1の距離
Xが約140mmから450mmまでの範囲)におい
て、外表面の温度が800℃を下回っている。これは、
人工衛星用スラスタ1の広い範囲に渡って、チタンを使
用することが可能であることを示している。さらに、前
記輻射性塗料膜8の被着範囲をより広げれば、より広い
範囲で安定してチタンを使用できることは明らかであ
る。このように、本実施例の人工衛星用スラスタ1にお
いては、広い範囲に渡って、チタンなどの高温強度の低
い金属から形成することが可能である。
【0026】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る人工
衛星用スラスタによれば、動作条件を変えることなく動
作中の外表面の温度を低減できるため、高温強度は低い
が安価で機械加工も容易なチタンのような金属から形成
することが可能であり、スラスタの製造コストの低減、
製造期間の短縮を図ることができる等の効果を奏する。
衛星用スラスタによれば、動作条件を変えることなく動
作中の外表面の温度を低減できるため、高温強度は低い
が安価で機械加工も容易なチタンのような金属から形成
することが可能であり、スラスタの製造コストの低減、
製造期間の短縮を図ることができる等の効果を奏する。
【図1】本発明に係る実施例における人工衛星用スラス
タ。
タ。
【図2】本発明の実施例におけるスラスタの外表面温度
分布の測定結果を示す線図。
分布の測定結果を示す線図。
1…人工衛星用スラスタ、 2…燃焼室、 3…スロート、 4…ノズルスロート部、 5…スカート部端面、 6…スカート部、 7…接合面、 8…輻射性塗料膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 克己 長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重工 業株式会社長崎造船所内
Claims (1)
- 【請求項1】 外表面が輻射性塗料膜で被着されている
ことを特徴とする人工衛星用スラスタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8243451A JPH1086900A (ja) | 1996-09-13 | 1996-09-13 | 人工衛星用スラスタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8243451A JPH1086900A (ja) | 1996-09-13 | 1996-09-13 | 人工衛星用スラスタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1086900A true JPH1086900A (ja) | 1998-04-07 |
Family
ID=17104088
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8243451A Pending JPH1086900A (ja) | 1996-09-13 | 1996-09-13 | 人工衛星用スラスタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1086900A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010006994A (ja) * | 2008-06-27 | 2010-01-14 | Ube Ind Ltd | 耐熱導電性白色塗料及び宇宙機用耐熱導電性白色塗料 |
KR101192200B1 (ko) * | 2010-09-13 | 2012-10-17 | 국방과학연구소 | 고온 및 고속의 가스 분위기에서 사용가능한 노즐장치 및 이를 구비하는 로켓 |
-
1996
- 1996-09-13 JP JP8243451A patent/JPH1086900A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010006994A (ja) * | 2008-06-27 | 2010-01-14 | Ube Ind Ltd | 耐熱導電性白色塗料及び宇宙機用耐熱導電性白色塗料 |
KR101192200B1 (ko) * | 2010-09-13 | 2012-10-17 | 국방과학연구소 | 고온 및 고속의 가스 분위기에서 사용가능한 노즐장치 및 이를 구비하는 로켓 |
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