JPH1086168A - 成形品の成形方法、および、その成形方法で成形されたインクジェットプリンタのヘッド構成部品 - Google Patents

成形品の成形方法、および、その成形方法で成形されたインクジェットプリンタのヘッド構成部品

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JPH1086168A
JPH1086168A JP24156496A JP24156496A JPH1086168A JP H1086168 A JPH1086168 A JP H1086168A JP 24156496 A JP24156496 A JP 24156496A JP 24156496 A JP24156496 A JP 24156496A JP H1086168 A JPH1086168 A JP H1086168A
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Juichi Morinaga
寿一 森永
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コストアップをもたらすことなく、しかも、
成形品本体の長手方向に沿って、縒れ不良のない超薄肉
部を形成でき、主として、インクジェットプリンタにお
ける多ノズルの長尺ヘッドの構成部品として採用できる
成形品の成形方法、および、この成形方法で得られる上
述のヘッド構成部品を提供する。 【解決手段】 長手方向に延びる成形品本体に沿って、
厚さ:50ミクロン以下の超薄肉部を、所定幅で成形す
る成形品の射出成形方法であって、前記成形品を成形す
る成形型に対して、前記長手方向に向けて樹脂が流動す
るように樹脂の充填を行って、前記超薄肉部を一体的に
成形すると共に、その樹脂に、充填方向に対して熱収縮
率が小さい結晶配向の異方性がある材料を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として、インクジェ
ットプリンタのヘッド構成部品のための成形品の成形方
法、および、その成形方法で成形されたインクジェット
プリンタのヘッド構成部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタのヘッドの生産
において、インク吐出口のオリフィスを構成する部品の
生産手段の一つとして、量産性に優れた射出成形法が用
いられてきた。ここで成形されるヘッド構成部品は、そ
のインク吐出口のオリフィス厚さが、インク吐出性能に
大きく影響する重要な設計パラメータであり、製品設計
上、可能な限り薄くすることが望まれている。
【0003】しかしながら、一般的に、射出成形では、
肉厚:100ミクロン以下の薄肉形状の成形は困難であ
り、この射出成形を用いて、インクジェットプリンタの
ヘッドの構成部品を成形するには、超薄肉形状の成形に
適した種々の成形条件を設定しており、その特殊条件で
も、現状では、オリフィス厚さは40〜80ミクロン程
度のものが限界であった。
【0004】然るに、さらにプリンタ印刷性能の高精細
化を実現するためには、一回あたりに吐出するインク量
を少なくすることが、重要なポイントであり、そのため
に、今後、オリフィス厚さを、現状より更に薄くするこ
とが、不可欠の条件となってきている。
【0005】一方、インクジェットプリンタの印刷速度
を向上させるため、紙面に対してインク吐出ヘッドが移
動するときの、移動一回当たりの印字面積を増やすため
の必要から、ヘッドの構成として、多ノズル化が進んで
きている。さらに、印刷速度を向上させる究極の方式と
しては、従来のように、紙面上でのヘッド往復運動と紙
送り動作とを組み合わせて印字するのではなく、紙面幅
に相当する長さの長尺ヘッドを使用して、ヘッドは固定
したままで、紙送り動作のみにて、高速印字を行うフル
マルチタイプのプリンタが開発されてきている。
【0006】以上のような時代背景から、多ノズル(長
尺)のヘッドを構成する構成部品として、オリフィスの
厚さ:50ミクロン以下の超薄肉部分を有する成形品を
成形することが必要となってきた。そこで、本発明者
は、このような要求に対応して、以下に記述するよう
な、従来からの成形技術を用いての成形テストを幾つ
か、実施して、その問題点を探った。 〈従来技術1〉まず、長手方向に延びる成形品本体に沿
って、厚さ:50ミクロン以下の超薄肉部を、所定幅で
成形する成形品のための、成形型を用意し、熱可塑性樹
脂(ポリサルホン)を使用して、従来通りの、金型温度
を一定にした射出成形を試みたが、オリフィスを形成す
る超薄肉部の厚さが、従来部品に比べて薄く、しかも、
従来部品に比べて、超薄肉部の面積が広いために、樹脂
の完全充填が不可能であった。特に、金型温度・樹脂温
度・射出速度などの成形条件を調整しても、ショート不
良のない良品を成形することはできなかった。 〈従来技術2〉そこで、樹脂の充填性を向上させるため
に、樹脂充填時の金型温度を、金型内に配置したヒータ
ー加熱により、樹脂のガラス転移点以上に上げ、また、
樹脂充填後に樹脂を冷却・固化して、成形品の離型可能
な温度まで、金型を冷却する、所謂、ヒートサイクル成
形を実施したところ、ショート不良の無い、完全充填品
を得ることができた。なお、樹脂材料には、上述の従来
例と同じ、熱可塑性樹脂(ポリサルホン)を使用した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ヒ
ートサイクル成形には、次のような課題があった。 〈課題1〉成形サイクルタイムが主原因となる成形品の
コスト高:通常、ヒートサイクル成形は、1サイクル毎
に金型の昇温・冷却を繰り返すために、成形サイクルタ
イムが長くなり、また、ヒーターや冷却装置の消費電力
増、ヒーターのオン/オフを制御する制御装置が必要と
なることから、他の成形方式に比べて費用が高くなる。
【0008】また、成形サイクルタイムが長いため、溶
融樹脂が成形機の可塑化シリンダ内に滞留する時間が長
くなり、樹脂の熱劣化による強度低下やゴミの発生が問
題となる。その結果として、通常の成形方式に比べて、
良品率が低下することも、成形品のコスト上昇の一因と
なっていた。 〈課題2〉超薄肉部が原因となる縒れ不良:また、オリ
フィスを形成する超薄肉部の肉厚が約50ミクロン以下
になると、その超薄肉部が縒れて、その平面度が悪くな
り、オリフィスの形状不良が起こる原因となる。この
「縒れ不良」は、超薄肉部の最小肉厚が60ミクロン程
度では、それほど目立たないが、特に、50ミクロン程
度から以下において、成形品に現れ、肉厚が小さくなる
に連れて、それが酷くなる。
【0009】図5は、この「縒れ不良」の説明のための
模式図である。図5に示した成形品は、オリフィスの形
成される超薄肉部の肉厚が40ミクロンであり、これを
成形するために、樹脂充填時の金型温度:210℃、成
形品の取り出し時の金型温度:177℃としたヒートサ
イクル成形で得られたものであり、射出成形に際して
は、成形型(図示せず)のファンゲート(符号31で示
す成形品本体の長手方向に沿って延びる箇所)から、樹
脂(ポリサルホン)を充填している。また、この成形サ
イクルタイムは3分20秒であった。この成形品には、
ショート不良はないが、印刷時に、紙面と向かい合う超
薄肉部のフェース面(図5の符号32)の平面度が悪
く、縒れ不良部33があり、ヘッドの構成部品としては
不合格であった。
【0010】このような「縒れ不良」の発生原因につい
て検討を重ねた結果、問題は成形品における、肉厚に依
存した成形収縮率の分布にあることが明らかになった。
一般的に、射出成形では、成形品の肉厚が大きいほど、
成形収縮が大きく、肉厚が小さいほど成形収縮が小さい
ことがわかっている。
【0011】特に、ヒートサイクル成形を行えば、成形
品が金型内で徐冷されるために、収縮率分布のバラ付き
は、小さくなる傾向があるものの、本発明の対象である
長尺ヘッドの構成部品、特に、超薄肉部を有する長尺ヘ
ッドの成形品では、成形品本体と超薄肉部との肉厚差が
大きいこと、および、従来のノズル数が比較的少ない短
尺ヘッド部品と異なり、長手方向の超薄肉部の寸法が大
きいために、肉厚に依存する収縮率差が顕著に現れる。
このため、超薄肉部が隣接する成形品本体の厚肉部分の
収縮に引かれて、縒れ不良が発生してしまうのである。 〈課題3〉熱変形対策による部品コスト高:更に、成形
品をインクジェットプリンタのヘッドの構成部品として
採用した場合には、次の問題がある。即ち、インクを加
熱して、発生するバブル(泡)の圧力を利用して、イン
クを吐出するバブルジェット方式の場合、バブルを発生
させるヒーターの熱によって、構成部品が膨張・変形す
るが、ヘッドが長尺であればあるほど、従来の短尺ヘッ
ドに比べて、長手方向での熱変形量が大きくなり、その
温度変化によって、ヘッドのインク吐出ノズル位置が、
許容範囲を越えて変化するために、プリンタの所期の性
能を損なってしまうことになる。
【0012】この対策として、ヘッドの構成部品の長手
方向の膨張を小さくするために、樹脂に比べて線膨張係
数の小さい金属部品を、超薄肉部の構成部材として、成
形品の長手方向に沿って、成形型内に予めインサートす
る方法が採られている。この場合には、金属部品をイン
サートするために、全体として、成形品のコストが大幅
に上がってしまう。
【0013】本発明は、上記事情に基づいて成されたも
ので、その目的とするところは、コストアップをもたら
すことなく、しかも、成形品本体の長手方向に沿って、
縒れ不良のない超薄肉部を形成でき、主として、インク
ジェットプリンタにおける多ノズルの長尺ヘッドの構成
部品として採用できる成形品の成形方法、および、この
成形方法で得られる上述のヘッド構成部品を提供するに
ある。
【0014】この目的を達成するために、本発明者は、
以下のような幾つかの試行によって、その可能性につい
て検討した。即ち、上述の〈課題1〉を解決しつつ、オ
リフィスを形成する超薄肉部を形成する手段として、通
常の射出成形では充填が困難な、上述の超薄肉部を、金
型内に挿入した樹脂製フィルムで構成し、このインサー
トによって、超薄肉部以外の、比較的充填が容易な厚肉
部分の成形品本体と一体の射出成形を行うという試みが
なされた(以下、この成形方法を「フィルムインサート
成形」と呼ぶことにする)。
【0015】フィルムインサート成形では、薄肉部に樹
脂を充填する必要がないため、樹脂充填時の金型温度を
上げなくても完全充填が可能である。したがって、樹脂
充填後の冷却時間が少なくて済むため、フィルムを金型
内にインサートする時間は加わるものの、成形サイクル
タイムがヒートサイクル成形と比べて大幅に短くなり、
成形費用が大幅に低減される。さらに、フィルムが入手
可能である限りは、オリフィスの薄肉化が可能であるた
め、従来に比べ、プリンタ性能を大幅に向上させること
が可能となる。
【0016】しかしながら、このフィルムインサート成
形に際して、樹脂材料とフィルムとに、ポリサルホンを
使用したが、上述の〈課題2〉の「縒れ不良」は、発生
したのである。この縒れ不良は、射出成形部の成形収縮
と金型内にインサートしたフィルムの収縮率の差に起因
している。即ち、ポリサルホンの成形収縮率は、約5/
1000であるが、これに対して、金型内にインサート
したフィルムの収縮率は、金型寸法と、金型から取り出
して室温になったフィルム寸法との比較において、約1
/1000〜2/1000であった。この収縮率の違い
から、フィルム部分が、このフィルムと接合している射
出成形部の収縮によって、引張られて、前述したヒート
サイクル成形と同様の「縒れ不良」が発生したのであ
る。
【0017】そこで、縒れ不良対策として、フィルムを
金型内にインサートする直前に予備過熱して、フィルム
部の収縮率を大きくする検討も行ったが、フィルムの予
備過熱には、金型内へのインサート・位置決めに必要な
フィルム強度を失わない程度までしか、昇温できないの
と、フィルムを金型内にインサートして金型表面に密着
した直後に、フィルムが金型温度まで冷却されてしまう
ため、フィルムの収縮率を大きくして、収縮率差を無く
すことは、実際上、困難であり、縒れ不良をなくすこと
はできなかった。
【0018】そこで、「縒れ不良」を解決するため、独
特の収縮挙動と充填性の良さを持つ液晶ポリマー(LC
P)を利用する試みがなされた。一般に、液晶ポリマー
は、例えば、冊子「プラスチックス:Vol.42,N
o.1(1991年)」の、154〜160頁に紹介し
てあるように、流動を開始すると非常に粘度が低くな
り、金型内への充填性が極めて良好であることが知られ
ている。また、充填時の樹脂の流動方向と流動に垂直方
向では、樹脂の結晶配向の影響で、物性の異方性が非常
に大きいことが知られている。
【0019】実際、液晶ポリマーの成形収縮率に着目し
てみると、樹脂流動方向の収縮率は0.0〜0.1%、
流動に対して垂直方向の収縮率は0.4〜0.9%程度
であり、樹脂流動方向の収縮率が、一般の非晶性の熱可
塑性樹脂の収縮率(0.4〜0.8%程度)に比較し
て、非常に小さくなる。この特性を利用し、長尺の成形
品の長手方向に関して、成形型における樹脂の流れを規
制し、長手方向に流動させれば、長手方向の成形収縮が
小さくなり、成形品の肉厚差(成形品本体と超薄肉部と
の肉厚差)に起因する長手方向の収縮率差が小さくな
る。また、フィルムインサート成形を用いる場合でも、
射出成形樹脂とフィルム部の金型寸法からの寸法変化量
がほぼ等しくなるため、「縒れ不良」(課題2)が解消
されることになる。
【0020】なお、短手方向(樹脂流動に垂直方向)は
収縮率が大きく、肉厚によって、成形収縮率が異なる
が、短手方向の収縮に関しては、問題を生じるような形
状ではないため、「縒れ不良」の原因とはならない。同
様に、射出成形部の短手方向(樹脂流動に垂直方向)は
収縮率が大きく、超薄肉部(あるいはフィルム)との収
縮量の差から、曲げ変形が発生するが、曲がり方向の寸
法が小さいために、変形量は小さくて、均一であるた
め、プリンタ性能上問題ないレベルであった。
【0021】また、液晶ポリマーは非常に流動性が良い
ため、従来のようなヒートサイクル成形を行わなくて
も、通常の一定型温成形で、長尺形状の成形品につい
て、その薄肉部全域への樹脂充填が可能であり、成形費
用の低減(課題1の解消)が可能である。
【0022】さらに、液晶ポリマーの線膨張係数は、樹
脂流動方向の線膨張係数で0.3〜2.1×10-5mm
/mm・℃、流動に垂直方向の線膨張係数で2.7〜
6.6×10-5mm/mm・℃程度である。このよう
に、樹脂流動方向の線膨張係数が非常に小さいため、バ
ブルジェット方式の長尺ヘッドでは、従来必要であった
膨張変形低減用の金属インサートが不要となり、金属イ
ンサート部品の費用やインサート成形用の特殊設備が必
要なくなるため、部品価格の大幅な低減(課題3の解
消)が可能である。
【0023】
【課題を解決するための手段】このため、本発明では、
長手方向に延びる成形品本体に沿って、厚さ:50ミク
ロン以下の超薄肉部を、所定幅で成形する成形品の射出
成形方法であって、前記成形品を成形する成形型に対し
て、前記長手方向に向けて樹脂が流動するように樹脂の
充填を行って、前記超薄肉部を一体的に成形すると共
に、その樹脂に、充填方向に対して熱収縮率が小さい結
晶配向の異方性がある材料を用いることを特徴とする。
【0024】また、本発明では、長手方向に延びる成形
品本体に沿って、厚さ:50ミクロン以下の超薄肉部
を、所定幅で成形する成形品の射出成形方法であって、
前記成形品を成形する成形型に対して、厚さ:50ミク
ロン以下の樹脂フィルムを前記長手方向に沿ってインサ
ートし、更に、前記成形型に対して、前記長手方向に向
けて樹脂が流動するように樹脂の充填を行って、前記樹
脂フィルムを前記超薄肉部として一体的に成形すると共
に、その樹脂に、充填方向に対して熱収縮率が小さい結
晶配向の異方性がある材料を用いることを特徴とする。
【0025】なお、本発明の他の特徴は、以下に記述す
る実施の形態における説明で、具体的に指摘する。
【0026】
【発明の実施の形態】
〈実施の形態1〉以下に、本発明の成形方法で得られる
成形品、即ち、インクジェットプリンタにおけるヘッド
構成部品について、詳細に説明する。図1は、成形品全
体の形状を説明した図で、ここでは、長手方向に延びる
成形品本体10に沿って、厚さ:50ミクロン以下の、
好ましくは、45ミクロンの超薄肉部12を、所定幅で
成形する成形品の射出成形方法を採用する(図2を参
照)。
【0027】この場合、前記成形品を成形する成形型
(図示せず)に対して、ゲート(符号11で示す位置)
から超薄肉部12の長手方向に向けて樹脂が流動するよ
うに、樹脂の充填を行って、前記超薄肉部を一体的に成
形する。この際の樹脂には、充填方向に対して熱収縮率
が小さい結晶配向の異方性がある材料、例えば、液晶ポ
リマーが採用され、成形型内に充填される。図2は、部
品中央部の断面形状を説明した図である。なお、超薄肉
部12には、後に、マルチノズルとして、長手方向に直
列配置されるオリフィスが形成される。
【0028】この射出成形には、住友重機械工業株式会
社製の射出成形機:SG150を使用した。また、成形
に用いた液晶ポリマーは、ポリプラスチック社製のベク
トラA950であり、樹脂温度:380℃、金型温度:
150℃であり、充填時間:0.26秒、冷却時間:1
8.5秒、成形サイクル:29秒で成形した。
【0029】上記方法で得られた成形品は、従来方法で
問題となっていた「縒れ不良」を発生しなかった。更
に、従来のヒートサイクル成形に比べて、短いサイクル
タイムで成形可能であるため、成形加工費の低減も可能
となった。
【0030】また、液晶ポリマーには、線膨張係数にも
大きな異方性があり、樹脂の流動方向(成形品の長手方
向)の線膨張係数をTMA(熱機械分析装置)にて測定
した結果によれば、20〜120℃の温度範囲では、
1.8×10-5mm/mm・℃であった。この値は、従
来、使用してきたポリサルホンの線膨張係数:5.6×
10-5mm/mm・℃と比較すると、大幅に小さく、熱
による変形も小さいことを示している。
【0031】ここで得られた成形品を使用して、インク
ジェットプリンタのヘッドを試作し、印字性能を検討し
た結果、バブルを発生させるために、ヒーターを加熱し
ても、その熱による変形に起因したプリンタ印字性能の
劣化は認められない。換言すれば、この成形品には、従
来のインサート成形品と同等の信頼性が得られた。 〈実施の形態2〉以下に、本発明の成形方法についての
別の実施形態で得られる成形品、即ち、インクジェット
プリンタのヘッド構成部品について詳細に説明する。図
3は、部品全体の形状を説明した図である。ここでは、
長手方向に延びる成形品本体20に沿って、超薄肉部2
2を、射出成形方法により、所定幅で成形する。
【0032】この場合、成形品を成形する成形型(図示
せず)に対して、厚さ:50ミクロン以下、好ましくは
40ミクロンの樹脂フィルムを、上述の超薄肉部22を
構成するインサート部材として、成形品本体20の長手
方向に沿ってインサートし、更に、前記成形型に対し
て、そのゲート(符号21で示す位置)から前記長手方
向に向けて樹脂が流動するように、樹脂の充填を行っ
て、前記樹脂フィルムを成形品本体20と一体的に成形
する。
【0033】この樹脂フィルムや充填樹脂材料には、充
填方向に対して熱収縮率が小さい結晶配向の異方性があ
る材料、この実施の形態では、液晶ポリマーが採用され
る。なお、図4中の斜線部が、樹脂フィルムが成形品本
体の表面に露出している、厚さ:40ミクロンの超薄肉
部である。なお、図4は、成形品の中央断面形状を示し
たものである。
【0034】また、この射出成形には住友重機械工業株
式会社製の射出成形機:SG150を使用した。成形に
用いた液晶ポリマーは、ポリプラスチック社製のベクト
ラA950であり、樹脂温度:380℃、金型温度:1
35℃、充填時間:0.8秒、冷却時間:14.5秒、
成形サイクル:38秒で成形した。
【0035】上記方法で得られた成形品は、従来方法で
問題となっていた「縒れ不良」を発生しなかった。更
に、従来のヒートサイクル成形に比べて、短いサイクル
タイムで成形可能であるため、成形加工費の低減も可能
となった。
【0036】また、樹脂の流動方向(成形品の長手方
向)の線膨張係数を、TMA(熱機械分析装置)にて測
定した結果、20〜120℃の温度範囲では、1.8×
10-5mm/mm・℃であった。この値は、従来使用し
てきたポリサルホンの線膨張係数:5.6×10-5mm
/mm・℃と比較すると、大幅に小さくなっており、長
手方向の熱による変形が小さいことを示している。
【0037】ここで得られた成形品を使用して、インク
ジェットプリンタのヘッドを試作し、印字性能を検討し
た結果、バブルを発生させるために、ヒーターを加熱し
ても、その熱による変形に起因したプリンタ印字性能の
劣化は認められない。換言すれば、この成形品には、従
来のインサート成形品と同等の信頼性が得られた。
【0038】以上説明した<実施の形態2>では、樹脂
フィルムと充填用樹脂材料に液晶ポリマーを使用した
が、フィルム材料としては、充填用樹脂材料と接合性に
問題がなければ、同一の材料である必要はない。
【0039】前述したポリサルホンを使用したフィルム
インサート成形の例から解るように、樹脂フィルムを金
型内にインサートしたときの樹脂フィルムの収縮率は、
同じ樹脂の射出成形時の収縮率に比べ小さいが、射出成
形部の収縮率が液晶ポリマーを使用することで小さくな
れば、「縒れ不良」は生じないことになるからである。
【0040】更に、樹脂フィルムの代わりにステンレス
などの金属箔(金属フィルム)を使用しても、充填用樹
脂材料との接合性に問題がなければ、同様の効果を得る
ことができる。
【0041】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、従来のポリサルホンを使用したヒートサイクル成形
法に比べて、以下のような作用効果が得られる。
【0042】(1)「縒れ不良」が生じない。
【0043】(2)通常の一定型温度での成形が可能で
あるため、成形サイクルタイムが短縮でき、ランニング
コストが低減される。
【0044】(3)熱による膨張を配慮する必要がな
く、従来のような金属インサートを採用する必要がない
ので、部品コストが低減できる。
【0045】(4)この結果、高性能なインクジェット
プリンタのヘッドに必要な、超薄肉部を有する構成部品
を、安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための成形品形
状を示す斜視図である。
【図2】同じく、成形品の断面形状を示す図である。
【図3】本発明の別の実施の形態を説明するための成形
品形状を示す斜視図である。
【図4】同じく、成形品の断面形状を示す図である。
【図5】従来方法による成形品の不良を説明するための
斜視図である。
【符号の説明】
10 成形品本体 11 ゲート 12 超薄肉部 20 成形品本体 21 ゲート 22 樹脂フィルム(超薄肉部) 30 成形品本体 31 ゲートの位置 32 超薄肉部(フェース面) 33 縒れ不良部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向に延びる成形品本体に沿って、
    厚さ:50ミクロン以下の超薄肉部を、所定幅で成形す
    る成形品の射出成形方法であって、前記成形品を成形す
    る成形型に対して、前記長手方向に向けて樹脂が流動す
    るように樹脂の充填を行って、前記超薄肉部を一体的に
    成形すると共に、その樹脂に、充填方向に対して熱収縮
    率が小さい結晶配向の異方性がある材料を用いることを
    特徴とする成形品の成形方法。
  2. 【請求項2】 前記材料に液晶ポリマーを使用したこと
    を特徴とする請求項1に記載の成形品の成形方法。
  3. 【請求項3】 請求項1あるいは2に記載の成形方法に
    よって成形された成形品で構成され、その超薄肉部の長
    手方向に沿って直列配置のマルチノズルを装備している
    ことを特徴とするインクジェットプリンタのヘッド構成
    部品。
  4. 【請求項4】 長手方向に延びる成形品本体に沿って、
    厚さ:50ミクロン以下の超薄肉部を、所定幅で成形す
    る成形品の射出成形方法であって、前記成形品を成形す
    る成形型に対して、厚さ:50ミクロン以下のフィルム
    を前記長手方向に沿ってインサートし、更に、前記成形
    型に対して、前記長手方向に向けて樹脂が流動するよう
    に樹脂の充填を行って、前記樹脂フィルムを前記超薄肉
    部として一体的に成形すると共に、その充填用樹脂に、
    充填方向に対して熱収縮率が小さい結晶配向の異方性が
    ある材料を用いることを特徴とする成形品の成形方法。
  5. 【請求項5】 前記充填用樹脂材料に液晶ポリマーを使
    用したことを特徴とする請求項4に記載の成形品の成形
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項4あるいは5に記載の成形方法に
    よって成形された成形品で構成され、その超薄肉部の長
    手方向に沿って直列配置のマルチノズルを装備している
    ことを特徴とするインクジェットプリンタのヘッド構成
    部品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7585046B2 (en) 2005-02-24 2009-09-08 Seiko Epson Corporation Liquid-jet head unit and liquid-jet apparatus
KR100918334B1 (ko) * 2005-01-10 2009-09-22 실버브룩 리서치 피티와이 리미티드 잉크젯 프린트헤드 제조방법

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