JPH1082776A - ガス中の塩素分子及び/又は臭素分子の定量分析方法 - Google Patents

ガス中の塩素分子及び/又は臭素分子の定量分析方法

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JPH1082776A
JPH1082776A JP23545296A JP23545296A JPH1082776A JP H1082776 A JPH1082776 A JP H1082776A JP 23545296 A JP23545296 A JP 23545296A JP 23545296 A JP23545296 A JP 23545296A JP H1082776 A JPH1082776 A JP H1082776A
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bromine
molecule
chlorine
gas
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JP23545296A
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Noriyuki Tanimoto
典之 谷本
Hideyo Onishi
英世 大西
Hideo Morinaka
秀夫 森中
Tadashi Okada
忠司 岡田
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Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガス中の塩素分子、臭素分子を定量分析する際
の従来の方法に代わる、すなわち、ガス中の塩素分子及
び/又は臭素分子を定量分析でき、しかも共存する塩化
物イオン、臭化物イオンによる妨害を受けることなく、
迅速かつ簡便で正確に定量分析する方法を提供する。 【解決手段】ガス中の塩素分子及び/又は臭素分子を定
量分析するに際し、ガスを、分子内に炭素−炭素二重結
合を少なくとも1個有する化合物又はその溶液に通気し
て塩素分子付加物及び/又は臭素分子付加物を生成さ
せ、定量する方法を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス中の塩素分子
(Cl2)及び/又は臭素分子(Br2)の定量分析方法
に関するものである。更に詳しくは、塩素、臭素を使用
したり、それらが製造工程中で発生したりする化学品製
造工場や医薬品製造工場、又、廃棄物等のガスの発生を
伴う燃焼設備でのガスの管理等において好適な方法を提
供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ガス中の塩素分子の分析法として
は、JIS−K−0106(昭和43年9月1日制定、
平成7年2月1日改正)に記載のo−トリジン吸光光度
法が知られており、これは、o−トリジンが塩素分子に
酸化されて生成する黄色ホロキノンの吸光度を測定する
方法である。しかしながら、この方法では、o−トリジ
ンに対する酸化力を有する物質すべてが検出されるため
に、塩素分子と臭素分子が共存した場合にはそれぞれ単
独の濃度は得られず、両者の合計の濃度しか得られなか
った。
【0003】一方、ガス中の臭素分子の分析法として
は、旧JIS−K−0085(昭和51年1月1日制
定)に記載のヨウ化カリウム吸光光度法やJIS−K−
0085(現行法、昭和58年2月1日改正)に記載の
ヨウ素滴定法などが知られている。ヨウ化カリウム吸光
光度法は、ヨウ化物イオンが臭素分子に酸化されて生成
するヨウ素分子の吸光度を測定する方法である。ヨウ素
滴定法は、試料中の臭素を水酸化ナトリウム溶液に吸収
させ、次亜塩素酸ナトリウムで臭素酸イオンまで酸化
し、過剰の次亜塩素酸塩をぎ酸ナトリウムで還元した
後、ヨウ化カリウム及び塩酸を加えて、遊離したヨウ素
をチオ硫酸ナトリウムで滴定する方法である。しかしな
がら、ヨウ化カリウム吸光光度法では、o−トリジン吸
光光度法と同様に酸化性物質のすべてが検出されるた
め、塩素分子と臭素分子が共存した場合には両者の合計
の濃度しか得られなかった。また、ヨウ素滴定法ではす
べての形態の臭素が検出されるため、共存する臭化物イ
オンや臭素酸イオン等の妨害を受け、全臭素の濃度しか
得られなかった。
【0004】又、Ramasamyらは、臭素分子がα
−ナフトフラボンと1:1の接触電荷移動錯体を生成
し、可視光を吸収することを利用したガス中の臭素分子
定量方法を考案した(Ramasamy et a
l., Anal.Chem.,52巻,2066頁,
1980年)。この中で、塩素分子については、測定系
に臭化物イオンを共存させることによって臭素分子を発
生させ、同様に分析すると記載されている。このように
Ramasamyらの方法では、臭素分子の濃度と、塩
素分子及び臭素分子の合計の濃度とをそれぞれ別の測定
系により測定し、それらの結果を差し引くことで両分子
のそれぞれの濃度を得ることができるため、一回の分析
では塩素分子と臭素分子の濃度を得ることはできなかっ
た。更に、この方法では、ガス中に塩素分子や臭素分子
だけでなくミスト等として臭化物イオンが共存した場
合、測定系内で臭化物イオンの酸化による臭素分子が生
成するため、元々ガス中に存在していた臭素分子のみの
濃度測定は不可能となるものであった。
【0005】このように、従来の技術では、ガス中の塩
素分子及び臭素分子を同時に定量分析することはでき
ず、また共存する臭化物イオンによる妨害を受けること
なく定量分析することもできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ようなガス中の塩素分子、臭素分子を定量分析する際の
従来の方法に代わる、すなわち、ガス中の塩素分子及び
/又は臭素分子を定量分析でき、しかも共存する塩化物
イオン、臭化物イオンによる妨害を受けることなく、迅
速かつ簡便で正確に定量分析する方法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、塩素分子及び/
又は臭素分子を含むことのあるガスを、炭素−炭素二重
結合を有する化合物又はその溶液に直接通気することで
塩素分子付加物及び/又は臭素分子付加物を生成させ、
これをガスクロマトグラフ(以下GCという)又はガス
クロマトグラフ/質量分析装置(以下GC/MSとい
う)等の手段により分離し、定量することで塩素分子及
び/又は臭素分子の濃度を定量分析できることを見出だ
し、本発明を完成するに至った。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する.本発明の
方法は、ガス中の塩素分子及び/又は臭素分子を定量分
析するに際し、ガスを、分子内に炭素−炭素二重結合を
少なくとも1個有する化合物又はその溶液に通気して塩
素分子付加物及び/又は臭素分子付加物を生成させ、定
量するものである。
【0009】ここで、本発明の方法において分析に供せ
られるガスの種類としては、特に制限はない。又、ガス
の温度としては、取扱いの容易さから0〜200℃の範
囲であることが好ましい。
【0010】分子内に炭素−炭素二重結合を少なくとも
1個有する化合物としては、塩素分子及び/又は臭素分
子とで付加反応を起こすものであれば特に制限されるも
のではないが、塩素分子、臭素分子による分解など、付
加反応以外の副反応を起こしにくいこと、ガス中のミス
ト等の液体状又は固体状物質を溶解しにくかったり、こ
れらと反応しにくいこと、又、取扱いの容易さの面か
ら、炭素数が5〜20の炭化水素、エーテル化合物、又
はハロゲン化炭化水素が好ましい。例えば、化合物とし
て、ペンテン,ヘキセン,ヘプテン,オクテン,ノネ
ン,デセン,ウンデセン,ドデセン,トリデセン,テト
ラデセン,ペンタデセン,ヘキサデセン,ヘプタデセ
ン,オクタデセン,ノナデセン,エイコセン等の不飽和
鎖状炭化水素、シクロペンテン,シクロヘキセン,シク
ロヘプテン,シクロオクテン,シクロノネン,シクロデ
セン,シクロウンデセン,シクロドデセン,シクロトリ
デセン,シクロテトラデセン,シクロペンタデセン,シ
クロヘキサデセン,シクロヘプタデセン,シクロオクタ
デセン,シクロノナデセン,シクロエイコセン,シクロ
ペンチルシクロペンテン,シクロペンチルシクロヘキセ
ン,シクロペンチルシクロヘプテン,シクロペンチルシ
クロオクテン,シクロペンチルシクロノネン,シクロペ
ンチルシクロデセン,シクロペンチルシクロウンデセ
ン,シクロペンチルシクロドデセン,シクロヘキシルシ
クロペンテン,シクロヘキシルシクロヘキセン,シクロ
ヘキシルシクロヘプテン,シクロヘキシルシクロオクテ
ン,シクロヘキシルシクロノネン,シクロヘキシルシク
ロデセン,シクロヘキシルシクロウンデセン,シクロヘ
キシルシクロドデセン,ビシクロヘプテン,ビシクロオ
クテン,ビシクロノネン,ビシクロデセン,ビシクロウ
ンデセン,ビシクロドデセン,ビシクロトリデセン,ビ
シクロテトラデセン,ビシクロペンタデセン,ビシクロ
ヘキサデセン,ビシクロヘプタジエン,ビシクロオクタ
ジエン,ビシクロノナジエン,ビシクロデカジエン,ビ
シクロウンデカジエン,ビシクロドデカジエン,ビシク
ロトリデカジエン,ビシクロテトラデカジエン,ビシク
ロペンタデカジエン,ビシクロヘキサデカジエン,シク
ロペンタジエンダイマー,シクロヘキサジエンダイマ
ー,メチルシクロペンタジエンダイマー等の不飽和環状
炭化水素、ビニルシクロペンタン,ビニルシクロヘキサ
ン,ビニルシクロヘプタン,ビニルシクロオクタン,ビ
ニルシクロノナン,ビニルシクロデカン,ビニルシクロ
ウンデカン,ビニルシクロドデカン,ビニルシクロトリ
デカン,ビニルシクロテトラデカン,ビニルシクロペン
タデカン,ビニルシクロヘキサデカン,ビニルシクロヘ
プタデカン,ビニルシクロオクタデカン,プロペニルシ
クロペンタン,プロペニルシクロヘキサン,プロペニル
シクロヘプタン,プロペニルシクロオクタン,プロペニ
ルシクロノナン,プロペニルシクロデカン,プロペニル
シクロウンデカン,プロペニルシクロドデカン,プロペ
ニルシクロトリデカン,プロペニルシクロテトラデカ
ン,プロペニルシクロペンタデカン,プロペニルシクロ
ヘキサデカン,プロペニルシクロヘプタデカン等の不飽
和鎖状炭化水素が結合した環状炭化水素、スチレン,プ
ロペニルベンゼン,ブテニルベンゼン,ペンテニルベン
ゼン,ヘキセニルベンゼン,ヘプテニルベンゼン,オク
テニルベンゼン,ノネニルベンゼン,デセニルベンゼ
ン,ウンデセニルベンゼン,ドデセニルベンゼン,トリ
デセニルベンゼン,テトラデセニルベンゼン,シクロペ
ンテニルベンゼン,シクロヘキセニルベンゼン,シクロ
ヘプテニルベンゼン,シクロオクテニルベンゼン,シク
ロノネニルベンゼン,シクロデセニルベンゼン,シクロ
ウンデセニルベンゼン,シクロドデセニルベンゼン,シ
クロトリデセニルベンゼン,シクロテトラデセニルベン
ゼン,ビニルナフタレン,プロペニルナフタレン,ブテ
ニルナフタレン,ペンテニルナフタレン,ヘキセニルナ
フタレン,ヘプテニルナフタレン,オクテニルナフタレ
ン,ノネニルナフタレン,デセニルナフタレン,シクロ
ペンテニルナフタレン,シクロヘキセニルナフタレン,
シクロヘプテニルナフタレン,シクロオクテニルナフタ
レン,シクロノネニルナフタレン,シクロデセニルナフ
タレン等の不飽和炭化水素が結合した芳香族炭化水素、
プロピルビニルエーテル,ブチルビニルエーテル,ペン
チルビニルエーテル,ヘキシルビニルエーテル,ヘプチ
ルビニルエーテル,オクチルビニルエーテル,ノニルビ
ニルエーテル,デシルビニルエーテル,ウンデシルビニ
ルエーテル,ドデシルビニルエーテル,トリデシルビニ
ルエーテル,テトラデシルビニルエーテル,ペンタデシ
ルビニルエーテル,ヘキサデシルビニルエーテル,ヘプ
タデシルビニルエーテル,オクタデシルビニルエーテ
ル,プロピルプロペニルエーテル,ブチルプロペニルエ
ーテル,ペンチルプロペニルエーテル,ヘキシルプロペ
ニルエーテル,ヘプチルプロペニルエーテル,オクチル
プロペニルエーテル,ノニルプロペニルエーテル,デシ
ルプロペニルエーテル,ウンデシルプロペニルエーテ
ル,ドデシルプロペニルエーテル,トリデシルプロペニ
ルエーテル,テトラデシルプロペニルエーテル,ペンタ
デシルプロペニルエーテル,ヘキサデシルプロペニルエ
ーテル,ヘプタデシルプロペニルエーテル等の炭素−炭
素二重結合を少なくとも1個有するエーテル化合物、ク
ロロペンテン,ブロモペンテン,クロロヘキセン,ブロ
モヘキセン,クロロヘプテン,ブロモヘプテン,クロロ
オクテン,ブロモオクテン,クロロノネン,ブロモノネ
ン,クロロデセン,ブロモデセン,クロロウンデセン,
ブロモウンデセン,クロロドデセン,ブロモドデセン,
クロロトリデセン,ブロモトリデセン,クロロテトラデ
セン,ブロモテトラデセン,クロロペンタデセン,ブロ
モペンタデセン,クロロヘキサデセン,ブロモヘキサデ
セン,クロロヘプタデセン,ブロモヘプタデセン,クロ
ロオクタデセン,ブロモオクタデセン,クロロノナデセ
ン,ブロモノナデセン,クロロエイコセン,ブロモエイ
コセン等の炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する
ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。ここで、炭素−炭
素二重結合を少なくとも1個有するハロゲン化炭化水素
のハロゲンの位置は適宜選択することができる。
【0011】尚、本明細書において示される化合物名
は、個々の化合物の代表名を意味することもあり、例え
ば、ドデセンとは、1−ドデセン,2−ドデセン,3−
ドデセン,4−ドデセン,5−ドデセン,6−ドデセン
を、オクタデデセンとは、1−オクタデセン,2−オク
タデセン,3−オクタデセン,4−オクタデセン,5−
オクタデセン,6−オクタデセン,7−オクタデセン,
8−オクタデセン,9−オクタデセンを包含した意味で
用いることもある。
【0012】又、これらの炭素−炭素二重結合を分子内
に少なくとも1個有する化合物が液体である場合には、
以下に示す溶媒を用いずに単独で分析に供することがで
きる。
【0013】これらの化合物を溶解する溶媒としては、
炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも1個有する化
合物を溶解でき、分析対象である塩素分子及び/又は臭
素分子とは反応せず、又、ガス中のミスト等の液体状又
は固体状物質を溶解しにくかったり、これらと反応しに
くいものであれば特に制限されるものではない。例え
ば、ジクロロメタン,クロロホルム,四塩化炭素,ジブ
ロモメタン,ブロモホルム,テトラブロモメタン,ジク
ロロエタン,トリクロロエタン,テトラクロロエタン,
ペンタクロロエタン,ヘキサクロロエタン,ジブロモエ
タン,トリブロモエタン,クロロプロパン,ジクロロプ
ロパン,トリクロロプロパン,ブロモプロパン,ジブロ
モプロパン,クロロブタン,ジクロロブタン,トリクロ
ロブタン,テトラクロロブタン,ブロモブタン,ジブロ
モブタン,ペンタン,クロロペンタン,ジクロロペンタ
ン,ブロモペンタン,ジブロモペンタン,ヘキサン,ク
ロロヘキサン,ブロモヘキサン,ヘプタン,クロロヘプ
タン,ブロモヘプタン,オクタン,クロロオクタン,ブ
ロモオクタン,ノナン,クロロノナン,ブロモノナン,
デカン,クロロデカン,ブロモデカン,ウンデカン,ク
ロロウンデカン,ブロモウンデカン,ドデカン,クロロ
ドデカン,ブロモドデカン等の炭素数が1〜12の飽和
炭化水素もしくはそのハロゲン置換化合物、二硫化炭
素、ベンゼン、トルエン、キシレン等が好ましく用いら
れる。又、これらの溶媒を2種以上用いることもでき
る。
【0014】ここで、分析の対象である、塩素分子及び
/又は臭素分子と、分子内に炭素−炭素二重結合を少な
くとも1個有する化合物又はその溶液との量比として
は、分子内に炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有す
る化合物又はその溶液のモル量が塩素分子又は臭素分子
のモル量の2倍以上であることが好ましく、2倍以上1
00000000倍以下であることが特に好ましい。こ
の範囲であれば、塩素分子及び/又は臭素分子が分子内
に炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物又
はその溶液と接触して速やかにかつ定量的に付加反応し
て分析できるからである。
【0015】これらの分子内に炭素−炭素二重結合を少
なくとも1個有する化合物又はその溶液に通気するに
は、通常用いられる器具、方法を用いることができ、例
えば、JIS−K−0095(排ガス試料採取方法:昭
和48年7月1日制定、平成6年3月1日改正)を参考
にしたガラスフィルター付きの吸収瓶を用いることがで
きる。通気に際し、通気速度としては、処理時間、塩素
分子付加物及び/又は臭素分子付加物の生成効率等を考
慮して決められるが、通常0.1〜2リットル/分の範
囲で充分である。又、ガスを炭素−炭素二重結合を分子
内に少なくとも1個有する化合物又はその溶液へ通気す
る際の温度としては、付加反応以外の副反応を抑え、又
は反応を速やかに進行させるために0〜50℃の範囲が
好ましく、特に0〜30℃の範囲が好ましい。
【0016】このようにして生成した、塩素分子付加物
及び/又は臭素分子付加物を分離し、定量することによ
り、ガス中の塩素分子及び/又は臭素分子が定量でき
る。定量に際しては、これらの付加物を分離し、検出で
きるものであれば特に制限なく用いることができる。例
えば、分離の方法としては、ガスクロマトグラフ、液体
クロマトグラフといった、通常用いられる方法により実
施できるが、分離能力、迅速性の面から、ガスクロマト
グラフが好ましく用いられる。又、検出の方法として
は、付加物を検出できるものであれば特に制限なく用い
ることができ、例えば、ガスクロマトグラフを分離手段
として用いた場合には、その検出器として、例えば、水
素炎イオン化検出器(FIDと略す)、熱伝導度検出器
(TCDと略す)、原子発光検出器(AEDと略す)、
赤外検出器(IRDと略す)、電子捕獲検出器(ECD
と略す)、光イオン化検出器(PIDと略す)、電気伝
導度検出器 (ELCDと略す)等を挙げることができ
る。
【0017】更に、本発明の方法において用いられるこ
とのある、ガスクロマトグラフ/質量分析装置の質量分
析装置部分についても、通常GC/MSで用いられるも
のであれば特に制限はなく、例えば単収束型、二重収束
型、四重極型、イオントラップ型等を、あるいはそれら
を組み合わせたものを挙げることができる。
【0018】これらの分離、検出の方法を用いることで
塩素分子付加物及び/又は臭素分子付加物を定量でき、
この結果からガス中の塩素分子及び/又は臭素分子の量
を定量できるわけであるが、実際の定量分析にあたって
は、既知量の塩素分子及び/又は臭素分子を含むガスを
用い、本発明の方法により得られた検出量との関係を示
す検量線を作成することで、ガス中の塩素分子及び/又
は臭素分子の量が未知の場合に適用できることとなる。
【0019】検出量の計算等については、分離手段、検
出手段により変わるものの、その量が計算できる方法で
あれば特に限定されるものではない。例えば、分離手段
としてGCを用いた場合には、検出手段として上記記載
の検出器を用い、得られるクロマトグラムのデータにつ
き、そのピークの高さ、ピークの幅、面積等を通常用い
られる方法により計算することができる。
【0020】更に、クロマトグラムのピークについて
は、本発明の方法により得られた塩素分子付加物及び/
又は臭素分子付加物のピークの位置を確認することで同
定ができ、塩素分子付加物の場合には塩素分子への換算
に、臭素分子付加物の場合には臭素分子への換算に用い
ることができる。
【0021】本発明の方法は、塩素、臭素を製造した
り、又、これらを反応させたり、吸収したりする施設
や、廃棄物等のガスの発生を伴う燃焼設備でのガスの管
理等において適用できる方法である。更に、設備の中に
組み込むことで評価検査システムとして使用することも
でき、又、製品や半製品の品質管理などにも適用するこ
とができる。
【0022】本発明のガス中の塩素分子及び/又は臭素
分子の定量分析方法は、塩素分子及び又は/臭素分子
の、炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも1個有す
る化合物への付加反応が、速やかに進行することを利用
して、塩素分子及び/又は臭素分子を含むガスをこの化
合物又はその溶液に通気して、塩素分子付加物及び/又
は臭素分子付加物を生成させ、定量するものである。
【0023】一方、ガス中には液体や固体の微粒子が、
いわゆるミストとして存在することがある。このミスト
中には塩化物イオンや臭化物イオン等が存在しているこ
とがあり、例えば前記した、ヨウ素滴定法では臭化物イ
オンが測定の妨害となる。これに対して、本発明の方法
では、吸収液の炭素−炭素二重結合を分子内に少なくと
も1個有する化合物又はその溶液は有機相であり、塩素
分子及び/又は臭素分子を速やかに吸収するが、水相な
いし固相中に存在する塩化物イオンや臭化物イオンは有
機相に移行しにくく、すなわち塩素分子及び/又は臭素
分子と接触しにくいために、事実上炭素−炭素二重結合
を有する化合物への塩素分子及び/又は臭素分子の付加
反応に影響を及ぼすことがなく、結果としてこれらイオ
ンの妨害を無視でき、共存する塩化物イオン及び臭化物
イオンによる妨害を受けることなく、迅速かつ簡便で正
確に分別定量することが可能になるものである。
【0024】しかしながら、このような推測はなんら本
発明を拘束するものではない。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではな
い。
【0026】実施例1 標準ガスとして、塩素分子標準溶液及び臭素分子標準溶
液をそれぞれ180℃にて10分間加熱、乾固して発生
させた。なお、塩素分子標準溶液には次亜塩素酸ナトリ
ウム水溶液(キシダ化学製、商品名:次亜塩素酸ナトリ
ウム溶液(アンチホルミン))を、純水で希釈して10
容量%とした硫酸(キシダ化学製、商品名:硫酸97
%)と混合して用い、臭素分子標準溶液には臭素の飽和
水溶液である臭素水(キシダ化学製、商品名:臭素水)
を用いた。吸収液には、1−ドデセン(和光純薬工業
製)を1,1,2,2−テトラクロロエタン(キシダ化
学製)により10容量%に調製したものを用いた。
【0027】ガスの吸収には、JIS−K−0095に
準拠したガラスフィルター付きの吸収瓶を用いた。吸収
液20ml(1−ドデセンとして、12mmol)を入
れた吸収瓶出口にポンプ(柴田科学器械工業製、型式:
ミニポンプMP−602T)と流量計(品川計測器製作
所製、型式:湿式ガスメータW−NK−0.5型)を設
置し、吸収液を氷冷しながら、標準溶液を加熱して発生
した標準ガスを吸収瓶入口から1リットル/分の通気速
度で10分間吸引した。
【0028】標準ガスを吸収した吸収液は、GC/MS
(GC装置として、ヒューレットパッカード社製、型
式:HP6890、質量検出器として、ヒューレットパ
ッカード社製、型式:GCD)、カラムにDB−5(内
径:0.25mm、長さ:30m、膜厚:1.0μm)
を用い、M/Z57の選択イオン検出により分析した。
サンプル注入量は0.2〜3μlの範囲であり、測定に
より得られるピークの面積とは比例関係にあるため、そ
の計算において、適宜換算した。
【0029】ハロゲン分子が吸収液に吸収されたことを
確認するため、ハロゲン分子標準ガスを1−ドデセン溶
液に1リットル/分の通気速度で10分間通気した場合
と、同量のハロゲン分子標準溶液を1−ドデセン溶液に
直接混合した場合のGC/MSによるピーク面積の比
(通気した場合のピーク面積/直接混合した場合のピー
ク面積)をとり、回収率とした。ハロゲン分子各10m
g(塩素分子として、0.14mmol、臭素分子とし
て、0.062mmol)で回収率を求めた結果、塩素
分子は99%、臭素分子は107%であり、良好な回収
率が得られた。
【0030】これらの実施に当たって用いた不飽和化合
物、溶媒、塩素分子及び臭素分子の種類、使用量、更に
その測定の結果としての塩素分子、臭素分子の回収率に
ついて表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】次に、塩素分子の濃度を0、0.40、
1.58、3.95、15.80、39.50、15
8.00、395.00mg/Nm3、臭素分子の濃度
を0、0.44、1.10、4.38、10.95、4
3.80、109.50mg/Nm3となるようにガス
を調製し、上記記載の条件と同じ条件でGC/MSを用
いて分析して検量線を作成し、その結果を図1に示し
た。この結果、塩素分子、臭素分子ともに10リットル
のガスを上記に記載の10容量%の1−ドデセン溶液に
1リットル/分の通気速度で10分間通気した場合の検
出下限は、0.2mg/Nm3であった。ここで、検出
下限とは、得られたクロマトグラムのベースラインの幅
であるノイズの3倍により計算される値を表し、Nm3
とは、0℃、1気圧の乾きガスに換算したことを表す。
【0033】図1より明らかなように、上記記載の方法
による塩素分子、臭素分子の測定範囲としては、その直
線性からみて、それぞれ0.2〜395mg/Nm3
0.2〜110mg/Nm3の範囲は少なくとも測定可
能であることが分かる。この測定範囲は、JISの測定
方法である、JIS−K−0106の0.2〜32mg
/Nm3(塩素分子:吸光光度法)、JIS−K−00
85の0.2〜35mg/Nm3(臭素分子:吸光光度
法)と比較しても測定範囲が広く、本発明の方法は定量
性の良い方法といえる。
【0034】実施例2 吸収液に塩化ナトリウム(和光純薬工業社製)0.06
mgと臭化ナトリウム(和光純薬工業社製)0.32m
gを含む水16mlをあらかじめ加えた以外は実施例1
と同様の条件で実施し、使用した不飽和化合物、溶媒、
塩素分子及び臭素分子の種類、使用量、更にその測定の
結果としての塩素分子、臭素分子の回収率について表1
に示した。この結果より、塩化物イオン及び臭化物イオ
ンの影響はみられなかった。これは、例えば、JIS−
K−0085の方法ではBr-イオン等の影響があるこ
とと比較すると、妨害物質の影響を受けにくい方法であ
ることが分かる。
【0035】実施例3〜13 表1に示す使用した不飽和化合物、溶媒、塩素分子及び
臭素分子の種類、使用量以外は実施例1と同様の条件で
実施した。その測定の結果としての塩素分子、臭素分子
の回収率について表1に示した。
【0036】実施例14 ガスの通気条件として、室温(25℃)にて通気した以
外は実施例1と同様の条件で実施した。その測定の結果
としての塩素分子、臭素分子の回収率について表1に示
した。
【0037】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明の方法に
よれば、ガス中の塩素分子及び/又は臭素分子の含有量
を、共存する塩化物イオン、臭化物イオンによる妨害を
受けることなく、迅速かつ簡便で正確に分別定量できる
利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1の結果中、既知濃度のガス中の
塩素分子、臭素分子をGC/MSにより測定し、得られ
たクロマトグラムのピークの面積との関係を示したもの
である。図中、縦軸はピークの面積(任意の単位)を、
横軸は塩素分子又は臭素分子の濃度(単位はmg/Nm
3)を示し、白丸は塩素分子の、黒丸は臭素分子の結果
をそれぞれ示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年12月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】尚、本明細書において示される化合物名
は、個々の化合物の代表名を意味することもあり、例え
ば、ドデセンとは、1−ドデセン,2−ドデセン,3−
ドデセン,4−ドデセン,5−ドデセン,6−ドデセン
を、オクタデセンとは、1−オクタデセン,2−オクタ
デセン,3−オクタデセン,4−オクタデセン,5−オ
クタデセン,6−オクタデセン,7−オクタデセン,8
−オクタデセン,9−オクタデセンを包含した意味で用
いることもある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】ここで、分析の対象である、塩素分子及び
/又は臭素分子と、分子内に炭素−炭素二重結合を少な
くとも1個有する化合物との量比としては、分子内に炭
素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物のモル
量が塩素分子又は臭素分子のモル量の2倍以上であるこ
とが好ましく、2倍以上100000000倍以下であ
ることが特に好ましい。この範囲であれば、塩素分子及
び/又は臭素分子が分子内に炭素−炭素二重結合を少な
くとも1個有する化合物又はその溶液と接触して速やか
にかつ定量的に付加反応して分析できるからである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガス中の塩素分子及び/又は臭素分子を定
    量分析するに際し、ガスを、分子内に炭素−炭素二重結
    合を少なくとも1個有する化合物又はその溶液に通気し
    て塩素分子付加物及び/又は臭素分子付加物を生成さ
    せ、定量することを特徴とするガス中の塩素分子及び/
    又は臭素分子の定量分析方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のガス中の塩素分子及び/
    又は臭素分子の定量分析方法において、生成した塩素分
    子付加物及び/又は臭素分子付加物をガスクロマトグラ
    フ又はガスクロマトグラフ/質量分析装置を用いて定量
    することを特徴とするガス中の塩素分子及び/又は臭素
    分子の定量分析方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載のガス中の塩素分子
    及び/又は臭素分子の定量分析方法において、分子内に
    炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物が炭
    化水素、エーテル化合物、又はハロゲン化炭化水素であ
    ることを特徴とするガス中の塩素分子及び/又は臭素分
    子の定量分析方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載のガス
    中の塩素分子及び/又は臭素分子の定量分析方法におい
    て、分子内に炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有す
    る化合物を溶解する溶媒が、炭素数が1〜12の飽和炭
    化水素もしくはそのハロゲン置換化合物、二硫化炭素、
    ベンゼン、トルエン及びキシレンからなる群より選択さ
    れる1種以上の化合物であることを特徴とするガス中の
    塩素分子及び/又は臭素分子の定量分析方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010526285A (ja) * 2007-05-04 2010-07-29 コミサリア ア レネルジー アトミック ガス状ハロゲン化合物の検出方法
JP2015025765A (ja) * 2013-07-29 2015-02-05 宇部興産株式会社 ハロゲン化合物中のハロゲン分子の濃度測定方法及びハロゲン化物中のハロゲン分子の濃度測定装置

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