JPH108227A - チタン材料、その製造方法およびその使用 - Google Patents

チタン材料、その製造方法およびその使用

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JPH108227A
JPH108227A JP35539396A JP35539396A JPH108227A JP H108227 A JPH108227 A JP H108227A JP 35539396 A JP35539396 A JP 35539396A JP 35539396 A JP35539396 A JP 35539396A JP H108227 A JPH108227 A JP H108227A
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JP35539396A
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Karl-Heinz Kramer
カール・ハインツ・クラーマー
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Institut Straumann AG
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    • C22F1/00Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
    • C22F1/16Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of other metals or alloys based thereon
    • C22F1/18High-melting or refractory metals or alloys based thereon
    • C22F1/183High-melting or refractory metals or alloys based thereon of titanium or alloys based thereon
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    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた生体適合性および大きく増加した疲労
強度を持ち、外科用インプラントおよび補綴物の製造
に、ならびに、腕時計および装身具工業において使用す
ることができるチタン材料を提供する。 【解決手段】 チタン材料を熱間加工し、有利には再結
晶焼なましを行い、そして、加工硬化し、析出硬化す
る。この材料は、析出硬化性元素、例えば0.15重量
%の鉄、および0.05重量%を越える量の侵入溶解酸
素を含有する。さらに、この材料は微細結晶粒のミクロ
組織を有する。その製造方法は、析出硬化性元素および
酸素を添加して合金化し、熱間加工および再結晶焼なま
しを行って微細結晶粒のミクロ組織を形成させ、所望に
よる中間焼なましとともに冷間加工し、そして焼戻し処
理を行う工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、改善された疲労強
度を有する生体適合性のチタン材料、該チタン材料の製
造方法および該チタン材料の好ましい使用に関する。
【0002】
【従来の技術】インプラント材料は、次の要件を満たさ
なければならない。これら要件を優先順位の高いものか
ら並べると、可能な限り最高の生体適合性および疲労強
度、高い降伏強度または強度、10%の最少伸び、良好
な冷間加工性、機械切削後に歪まないこと、良好な切削
性、問題のない溶解および経済的な製造である。
【0003】チタンおよびチタン合金は、20年以上に
わたり医療技術において不可欠の材料であった。その重
要な応用は、関節置換物(例えば、股関節の内部人工補
綴物、膝および腕の人工補綴物)、骨接合物品(例えば、
骨プレートおよび骨ネジ、髄内ピン)、および歯科イン
プラントに関係している。インプラント材料としてチタ
ンが特に適しているのは、これまで他のどの金属材料に
よっても達成されていないその優れた生体適合性によ
る。チタン合金を使用することによって、極めて大きく
変化する負荷に耐えなければならない股関節内部人工補
綴物などの高強度のインプラントが得られる。原則的
に、これは骨接合物品および歯科インプラントにも当て
はまる。高い疲労強度を有する鍛練用チタン合金は、主
に股関節内部人工補綴物を製造するために使用される。
対照的に、非合金チタン[シュレーダー/ズッター/ブ
ーザー/クレケラー(SCHROEDER/SUTTER/BUSER/KREKELE
R):「口腔インプラント学(Orale Implantologie)」、
ゲオルク・チーメ・フェルラーク・シュトゥットガルト
(Georg Thieme Verlag Stuttgart)、第2版、199
4、37頁以下を参照]は、骨接合物品および歯科イン
プラントの製造に使用するのが好都合である。
【0004】非合金チタンは、異なる最大酸素量に応じ
て4つのグレードに分けられる(アメリカ試験材料協会
の規格、ASTM 67−89;外科インプラント用の
非合金チタンの仕様を参照)。以下においてチタンのグ
レードについて言及するときには、常にASTM 67
−89を参考にする。「非合金」なる用語は、単に、金
属添加物が含まれていないことを表す。ツヴィッカー(Z
WICKER,U.):「チタンおよびチタン合金」[シュプリン
ガー−フェルラーク・ベルリン(Springer-Verlag Berli
n)、(特に)、1974、220頁]によると、以下の近
似式を、硬度[HB=ブリネル硬度値]と添加物含有量と
の間の関係に当てはめることができる:
【数1】 非合金チタンにおいては、酸素は強度を高めるための添
加物として使用される。グレード4においては、最大許
容酸素含有量は、仕様によれば0.40%であり;鉄含
有量は0.50%以下に制限されている。炭素と窒素の
含有量は、意図的に低く選択されるが、これは、これら
の元素がチタンの延性を大きく減少させるためである。
【0005】合金手段に加えて非合金チタンの強度をさ
らに高めるために、90%を越えるまでの加工度の冷間
加工が用いられる。しかし、高強度を確保すると、延性
(特に、引張試験において測定した伸び)が、冷間加工度
の増加につれて急激に低下し、実用時に必要な10%の
伸び値より小さくなる。しかし、特別のチタングレード
(酸素含有量の増加したグレード4)を使用することによ
り、あるいは、特別の加工熱処理による製造法によっ
て、引張強度、伸びおよび延性の間のバランスを取るこ
とが可能であった。
【0006】非合金チタンの場合に現在までに得られて
いる疲労強度(大部分は回転曲げ疲労強度として測定さ
れる)は、σbw=約380MPaであり、チタン合金の場
合にはσbw=約540MPaの値にまで達していた。歯
科インプラント用には、必要な生体適合性およびより良
好な内方成長挙動のゆえに、現在まで非合金チタンだけ
が適当であった。
【0007】即ち、本発明の目的は、非合金チタンの場
合において、既知のインプラントチタン合金の疲労強度
に少なくとも近似した疲労強度を達成することである。
現在まで、酸素含有量、用いる加工硬化、およびある場
合には、その後の応力除去焼まなしが、強度または疲労
強度を改善するために使用されていた。即ち、冶金学者
の目的は、自体既知の硬化機構を完全にし、それらを組
合せて使用し、機械的な材料パラメーターの一層の最適
化を得ることである。
【0008】チタンは良好な耐食性を有しており、酸化
性媒体におけるその高い耐食性が特徴的である。酸素に
対する強い親和力がチタンの特徴であり、酸化物の層が
直ちに形成され、これがさらに腐食するのを抑制する。
インプラント材料に対するチタンおよびチタン合金の特
別の適切性は、電流密度/電位の曲線によって示され
た。非合金チタンおよびチタン合金の両方は、−200
mV〜+300mVの関連使用範囲において37℃の生理
食塩水溶液中で腐食損失の有意差を示さない。酸素を含
まない2モル塩酸におけるさらに強い腐食条件下におい
てのみ、電流密度/電位の曲線は、非合金チタンまたは
チタン合金TiAl6Nb7およびインプラント合金TiA
l5Fe2.5(高い鉄含有量を有する)の間で相違を示す
(後者の破壊電位は4.4Vであり、非合金チタンのそれ
は10Vである)。
【0009】非合金チタンの腐食速度は鉄含有量の増加
につれて増大することが示された。10%濃度の塩酸中
での試験(インプラントを人体において使用する際に
は、このような条件は決して起こらない)により、ファ
クター3で高い腐食攻撃が示された。他方、生理食塩水
溶液中では、本発明者らの測定によれば0.05%およ
び0.15%の鉄含有量を有する非合金チタンの間に有
意差は検出することができない。しかし、耐食性は、材
料の生体適合性のための唯一の決定的因子ではない。生
体内で試験した材料の低腐食速度が良好な生体適合性の
決定的因子であるだけでなく、材料特異的な大きく分か
れる生体組織許容性も決定的因子である。
【0010】図1は、シュレーダー/ズッター/ブーザ
ー/クレケラー(上記引用、46頁)からの、純金属およ
び合金の耐食性および生体組織反応を示すグラフであ
る。図1に示すように、チタン、チタン合金、ジルコニ
ウム、ニオビウム、タンタルおよび白金が高い耐食性を
有しており、これら材料は生体組織中で不活性である。
また、インプラント鋼316L(FeCrNiMo)およびコ
バルトを基本とする合金CoCrNiMoも高い耐食性を有
しているが、これらの材料は金属イオン封鎖のゆえに体
内で望ましくない生体組織反応を引き起こす。さらに不
都合なのは、銀、金、アルミニウム、モリブデンおよび
鉄の場合であり、この後者は最も低い耐食性を有する。
元素コバルト、銅、ニッケルおよびバナジウムはこの順
序で毒性が増加する。このことは、高い耐食性を有する
材料が同時に生体適合性を確保するものではないことを
示す。即ち、チタン、ジルコニウム、ニオビウム、タン
タルおよびこれらの合金が、理想的なインプラント材料
として特に適している。
【0011】チタンの極めて良好な生体適合性の挙動
は、本質的に、強い酸素親和力によるものであり、この
結果として、チタン表面が、電解質中、即ち血液中にお
いて中性である原子厚みの酸化物皮膜で直ちに被覆され
る。非導電性の酸化物皮膜は、金属がさらに溶解する際
の強力な障壁として働く。電気的に中性の加水分解生成
物は、有機分子と反応する傾向を示さない。他方、イン
プラント鋼の場合には、2価の正電荷を持ち、人体のタ
ンパク質と反応して毒性抗原を生成することもあるイオ
ンが、腐食中に望ましくない反応生成物として生成す
る。ニッケルは、そのアレルギーおよび毒性作用が知ら
れている。
【0012】多くの研究によって示されているように、
酸化物皮膜を有する非合金チタンは、ヒトの骨との化学
化合物の形成のための理想的な表面を有している。純粋
なチタンまたは許容しうる少量の他の成分、例えば、
鉄、窒素、炭素および酸素を含有する工業的に純粋なチ
タンだけが、インプラント上での骨の成長を可能にし、
その「骨形成」を達成させる。
【0013】しかし、最良の可能な生体適合性に加え
て、静的および動的な機械的性質も極めて重要である。
引張試験において通常測定される静的な機械的性質は、
引張強度Rm(応力−歪み図において現れる最大応力)お
よびさらに決定的であることが多い降伏強度Rp(材料が
もはや弾性的にのみふるまわず、塑性状態に入る限界応
力)である。技術的な降伏強度は、通常、降伏強度0.2
%オフセット Rp0.2と記される。高強度の材料は、実
際の負荷のもとで塑性変形が起こらないように、高Rm
値と高Rp0.2値の両方を有しているべきである。
【0014】以下の表1に、チタングレード1、チタン
グレード4およびチタン合金TiAl6V4のDIN規格
17 869による特性強度値を挙げる:
【表1】 強度値 チタン チタン チタン合金 (ガイド値) グレード1 グレード4 TiAl6VA 引張強度 Rm [MPa] 350 640 930 降伏強度 0.2%オフセット Rp0.2 [MPa] 240 480 865 伸び 5 [%] 45 25 13
【0015】インプラント用のチタン材料の強度の規格
値は、ASTM規格F67-89、F136-92、F1
295-92およびF1341-92ならびにISO規格
5832/II、5832-3および5832-11に規定
されている。
【0016】以下の表2に、異なるグレードの非合金チ
タンの焼なましを行ったロッドのASTM規格F67-
89による特性強度値を挙げる:
【表2】 チタン 引張強度 降伏強度 伸び 面積減少率 グレード Rm 最小 0.2%オフセット A4 最小 Z 最小 [MPa] Rp0.2 最小 [%] [%] [MPa] 1 240 170 24 30 2 345 275 20 30 3 450 380 18 30 4 550 483 15 25
【0017】以下の表3に、異なるグレードの非合金チ
タンの焼なましを行ったワイヤのASTM規格F134
1-92による特性強度値を挙げる:
【表3】 チタン 直径 引張強度 降伏強度 伸び 面積減少率 グレード D [mm] Rm 最小 0.2%オフセット A4 最小 Z 最小 [MPa] Rp0.2 最小 [%] [%] [MPa] 1 8.0-3.2 240 170 24 30 <3.2-1.6 15 − <1.6-0.5 12 − <0.5-0.1 10 − 2 8.0-3.2 345 275 20 30 <3.2-1.6 12 − <1.6-0.5 10 − <0.5-0.1 8 − 3 8.0-3.2 450 380 18 30 <3.2-1.6 10 − <1.6-0.5 8 − <0.5-0.1 6 − 4 8.0-3.2 550 483 15 25 <3.2-1.6 8 − <1.6-0.5 6 − <0.5-0.1 4 −
【0018】ASTM規格F67-89およびF134
1-92ならびにISO規格5832/IIの両方は、加
工硬化したチタンを外科用インプラントに使用する可能
性を開く(最後に挙げた規格だけが、伸びA=10%と
ともに、引張強度の最小値をRm680MPaと規定し
ている)。ASTM規格F67-89によれば、伸びA
10%が、測定長さL0=4Dを有するロッドに対して
要求されており、一方、ASTM規格F1341-92
は細ワイヤに対して10%以下の伸び値を認めている。
さらに、ASTM規格は、チタン製造者とインプラント
製作者との間の協議によって定められる強度値を認めて
いる。
【0019】高負荷にかける材料の場合の重要な性質
は、なお存在している残留延性であり、これは、例えば
過負荷の際の部材の突然の破壊を防止する。しかし、加
工硬化した材料は、加工硬化過程の結果として延性の一
部を失う。即ち、伸びAまたは延性は、冷間加工の程度
が増加するにつれて低下する。
【0020】以下の表4に挙げた種々の硬化法が、機械
的な材料パラメーターに影響を与えるために冶金学者に
とって利用可能である:
【表4】 硬化法 操 作 固溶体硬化 チタンに可溶性の他の金属元素(例えば、 ジルコニウム、ニオビウム、タンタル)に よるチタンの置換 侵入型溶解元素の添加 添加(例えば、酸素、炭素、窒素) による硬化 冷間加工 圧延、引抜、槌打 結晶粒調整 再結晶焼なまし 析出硬化 添加(例えば、鉄、銅、ケイ素) 冷間加工および析出硬化 添加(例えば、鉄、銅、ケイ素)と冷間加工
【0021】チタン合金TiAl6V4は、数10年間に
わたって標準的な合金であった。スイス特許CH-A-5
39 118は、骨および歯の外科処置のためのインプ
ラント用の鍛練用合金を開示している。この合金は、3
〜50重量%のXおよびそれ以外に実質的にZからな
る。ここで、Xは元素ニオビウム、タンタル、クロム、
モリブデン、タングステン、鉄もしくはアルミニウムの
いずれかまたはこれら元素の任意の所望の混合物であ
り、一方、Zは元素チタンもしくはジルコニウムのいず
れかまたはこれら元素の任意の所望の混合物である。次
いで、この標準合金中に存在するバナジウムを鉄によっ
て、またはさらに改善する際にはニオビウムによって置
換して、それぞれ合金TiAl5Fe2.5およびTiAl6
Nb7が得られる。
【0022】しかし、現在までに既知のチタン材料は、
全ての要件、即ち生体適合性、特に「骨形成」、機械的
パラメーター、製造コストおよび冷間加工性の全体に関
して最適とみなすことはできない。これまでに見い出さ
れた折衷物は満足できるものではない。特に、最大の可
能な生体適合性および「骨形成」、ならびにそれと同時
に高い引張強度Rmおよび疲労強度を実現するのはこれ
まで不可能であった。さらに、この材料の製造コストは
比較的高く、また、例えばロッドや形材などの長い製品
の製造のためには改善された冷間加工性が特に望まし
い。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】材料特性、製造コス
ト、さらに加工性に関して、主にインプラントなどの医
療技術において使用するためのこれまで既知であったチ
タン材料の欠点に鑑みて、本発明の目的は、改良された
チタン材料およびそれに伴う製造法を提供することであ
る。これら材料および製造法の開発は、以下の前提に基
づいていた。 ・最良の生体適合性のための元素の要求に従い、グレー
ド1〜4の非合金チタンだけが、創製しようとするチタ
ン材料に適している。 ・最大の可能な疲労強度または降伏強度Rp0.2および引
張強度Rmが達成されるべきである。 ・ASTM規格F67-89の仕様を満たすために、最
小伸びA10%が確保されていなければならない。イ
ンプラント材料のためには、引張不安定性が存在してい
ないことが特に重要である。応力は、降伏強度0.2%
オフセットRp0.2を越えた後に徐々にのみ低下するもの
でなければならず、急に低下するものであってはならな
い。 ・良好な冷間加工性が、例えば形材の圧延のために必須
である。 ・材料において、歪みのない切削を可能にするため内部
応力は実質的に排除されているべきである。一般に、有
利な切削性が重要である。 ・全体に、チタン材料の問題のない溶解および経済的な
製造が望ましい。 ・他の関係する国内規格および国際規格に従うこと。 ・特別の応用に対しては、生体適合性の低下の可能性お
よびチタン材料の再認可の要求は別にして、追加の固溶
体硬化が可能であるべきである。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は、特許請求の範
囲の請求項1に記載のとおり、以下を特徴とするチタン
材料を提供するものである: (a)熱間加工し、所望により再結晶焼なましを行い; (b)加工硬化し; (c)析出硬化し; (d)(da)0.05重量%を越える量の1またはそれ以上の
析出硬化性元素、および(db)0.05重量%を越える
量、好ましくは0.20〜0.35重量%の量の侵入溶解
酸素、を含有し;そして (e)ASTM規格E112-88により規定された結晶粒
度番号5より微細な、好ましくは8より微細な結晶粒度
を有する微細結晶粒のミクロ組織[図12(b)のミクロ組
織]を有すること。 本発明のチタン材料のさらに有利な態様は請求項2〜6
に記載されている。
【0025】また、本発明は、上記チタン材料の製造方
法であって、特許請求の範囲の請求項7に記載のとお
り、以下の順序の処理工程を特徴とする方法を提供する
ものである: (a)チタンスポンジまたは所望の合金成分中に、十分な
量の1またはそれ以上の析出硬化性元素および酸素が既
に存在していなければ、これらの両方を添加して合金化
し、酸素を溶体中に侵入させ; (b)熱間加工および所望による再結晶焼なましを行っ
て、微細結晶粒のミクロ組織とし; (c)所望による中間焼なましとともに冷間加工し;そし
て (d)焼戻し処理を行って析出硬化性元素を析出させる。 本発明のチタン材料の製造方法のさらに具体的な態様は
請求項8〜18に記載されている。
【0026】さらに、本発明は、特許請求の範囲の請求
項19に記載のとおり、上記チタン材料の、(a)インプ
ラント、器具または装置としての医療技術、および、
(b)腕時計および装身具工業、における使用に関する。
【0027】本発明のチタン材料は、以下の特徴によっ
て区別される。 ・顕著な生体適合性。 ・これまでチタン合金によってのみ達成されていた、大
きく増加した疲労強度σbw=約500MPa(初期値σbw
=約380MPa)。 ・既知のα+β−チタン合金の値より有意に大きい熱間
および冷間加工性(例えば、ワイヤ引抜の際)。非合金チ
タンの冷間加工性はグレードが上がるにつれて低下す
る。しかし、インプラント合金TiAl6Nb7と比較す
ると、グレード4チタンは、特にα+β−チタン合金と
比較したときの非合金チタンの比較的硬化しにくい傾向
のゆえに、より容易かつ経済的に冷間加工することがで
きる。これは、次の中間焼なましまでに比較的大きな変
形能力があることを意味する。 ・チタンインプラント合金TiAl6Nb7の引張強度に
等しい900〜1000MPaの引張強度Rm。 ・化学組成が許容しうる不純物(随伴する元素)について
どのような厳格な必要条件をも設けていないがゆえの高
レベルの利用可能性。 ・大きく変化する温度範囲での焼戻しおよび焼戻し時間
の制御による、降伏強度Rp、引張強度Rm、伸びAおよ
び疲労強度σbwなどの材料特性の調節可能性。 ・加工硬化によって達成される良好な切削特性。切削中
に、非合金チタンは、自体極めて望ましくない表面のむ
しれの性質を有する。この挙動を加工硬化によって軽減
する。さらに、比較的短い切削屑が旋盤加工、切削また
は穿孔中に得られ、機械工具の摩耗が減少し、有利な機
械加工コストが得られる。 ・焼なましが応力なしで行われるので機械加工中に歪ま
ない。これは、極めて狭い寸法許容性を有する部品の場
合に特に望ましい。 ・チタン材料は非磁性である。従って、例えば磁気共鳴
断層撮影装置においても使用することができる。 ・合金の製造の際に起こることがある偏析が起こらない
ので、非合金チタンの溶解が比較的安価である。 ・チタン材料の全製造工程、即ち、溶解から、鍛造、熱
間圧延、冷間圧延および引抜を経て、必要な中間焼なま
しおよび硬化に至る工程が、インプラント合金TiAl6
Nb7に比べて安価であり、従って、最終製品がコスト
の利益を有する。
【0028】本発明のチタン材料から、任意の所望の寸
法のワイヤ、ロッド、形材、プレート、シートおよびス
トリップを製造することができる。本発明のチタン材料
は、主に、インプラント、例えば歯科インプラント、歯
根ピン、ポスト、骨プレートおよび骨ネジ、髄内ピン、
心臓弁および人工補綴物のための、器具のための、なら
びに装置のための医療技術において使用するのに適して
いる。他の重要な利用分野は、皮膚と接触する際の優れ
た材料特性が重要である腕時計および装身具工業の分野
である。
【0029】
【発明の実施の形態】添付の図面を参照して、本発明の
チタン材料の製造方法および特徴の例を、以下において
詳細に説明する。チタン材料における個々の処理および
変更過程は、製造方法の順序に従って説明する。
【0030】溶解物の調製 チタン材料の製造のための基本は、以下の表5の化学組
成を有する溶解物である。この溶解物は、ASTM F
67-89のチタンインプラント材料のための要求を満
たす。
【表5】元素 含有量(%) O 0.30 Fe 0.15 C 0.007 N 0.01H 0.0031
【0031】鉄は付随元素または不純物であり、20重
量%までの量でチタン鉱石中に存在していてよい。これ
は精錬過程で除去して、チタンスポンジ中の所望の低い
鉄含有量を達成しなければならない。使用するスポンジ
の品質は目的物に依存する。商業生産されたチタンの鉄
含有量は、用途に依存して極めて純粋から極めて不純な
チタンスポンジまで0.035〜0.5重量%で変化す
る。比較的高い鉄含有量の前段階原料を意図して使用す
る。酸素含有量が低すぎるときには、二酸化チタンの添
加によってそれを補う。
【0032】上記した量の酸素、炭素、窒素および水素
はチタンに完全に可溶性である。非合金チタンに対して
は酸素含有量を0.40重量%の値にまで増加させうる
ことが経験によって示されている。しかし、さらに高い
値の場合には、延性が急激に減少し、インゴットまたは
ビレットの寸法範囲での熱間加工性が、著しい亀裂発生
のために、再現性ある製造がもはや不可能である程度に
まで減少する。従って、関連のチタン規格において酸素
に対して規定されている0.40重量%の最大値は越え
るべきではない。さらに、酸素含有量は、ASTM規格
F67-89においてチタングレードに応じて規定され
ている。良好な延性を有する非合金チタングレード1の
場合、酸素含有量を0.035重量%まで低下させるこ
とができる。最大可能な引張強度Rmまたは疲労強度σ
bwが要求されるグレード4チタンのインプラントのため
には、酸素含有量を0.40重量%、通常は0.35重量
%まで増加させる。本発明においては酸素含有量を0.
35重量%に制限するのが有利であることがわかった
(この値までの酸素含有量は、延性をそれほど大きく低
下させることなく強度を改善する)。
【0033】侵入溶解酸素の添加による硬化 図2は、ツヴィッカー(上記引用、220頁)からの、室
温でチタンの機械的性質(降伏強度、引張強度、伸びお
よび硬度)に及ぼす酸素、窒素および炭素の含有量の効
果を示すグラフである。例えば0.30重量%の酸素含
有量においては、通常のチタンは、降伏強度Rp0.2=約
500MPa、引張強度Rm=約650MPaおよび20
%よりわずかに高い伸びAを示す。
【0034】降伏強度Rp0.2および伸びAの比較値は、
図3〜図5から明らかである。図3、図4および図5
は、ボイヤー/ウエルシュ/コリングス(BOYER/WELSCH/
COLLINGS)[「材料特性ハンドブック:チタン合金」、AS
M International - The Materials Information Societ
y、1994]からの、非合金チタンの機械的数値に及ぼすそ
れぞれ酸素、炭素および窒素の効果を示すグラフであ
る。図4および図5に示されている炭素および酸素含有
量は、その一部が、ASTM規格F67-89によって
許容された最大値から外れている(炭素に対しては0.1
0重量%まで、そして、窒素に対しては0.03〜0.0
5重量%であり、チタンのグレードに依存する)。非合
金チタン中の実際の炭素および窒素の含有量は、約0.
01重量%である。さらに高い含有量の場合、チタン炭
化物およびチタン窒化物が生成する危険があり、これは
材料中の亀裂を導くことがある。炭素および窒素含有量
は、通常の添加物とみなされ、合金元素とはみなされな
い。
【0035】ビッカース硬度に及ぼす窒素、酸素、炭素
および鉄の添加の効果が、それらの原子%および重量%
での量の関数として図6に示されている。図6は、ボイ
ヤー/ウエルシュ/コリングス(上記引用)からの、非合
金チタンのビッカース硬度に及ぼす原子%および重量%
の窒素、酸素、炭素および鉄の効果を示すグラフであ
る。これらの曲線は、明らかに、窒素が硬度に対して最
大の効果を持ち、次いで酸素、炭素および鉄の順に低下
することを示す。0.1重量%の窒素または0.2重量%
の酸素を添加することによって硬度を2倍に、そして、
0.15重量%の鉄を添加することによって硬度を30
%増加させることができる。これらの値は、真空下に7
00℃/1時間で焼なましを行ったチタンに当てはま
る。700℃において、鉄はα-格子のチタンに最も高
い溶解度を有するが、これは析出硬化した状態ではな
い。
【0036】熱処理 チタンの製造および加工の際には、特に、純粋なチタン
が882℃で相転移を経ることを考慮しなければならな
い。この温度を越えると体心立方晶β-相が安定であ
り、この温度を下まわると六方晶α-相が安定である。
882℃のいわゆるβ-転移は、β-領域の急冷時に球形
のβ-またはα-ミクロ組織からマルテンサイト組織まで
の範囲にわたる多数のミクロ組織を導く。両方の相が、
使用頻度の高いα+β-合金中で一緒に並んで生成す
る。これら異なる相は、金属組織学的に互いに異なる現
象を示すだけでなく、完全に別個の物理的および機械的
性質をも有する。
【0037】チタンをインゴットからビレットを経て細
いワイヤにさらに加工する際には、熱間加工、中間焼な
まし操作または最終熱処理を指定温度で正確に行うこと
を確実にすることが常に必要である。しかし、原則的
に、非合金α-チタンおよびα+β-合金の場合の温度
は、インゴットの一次加工後にはβ-転移を下まわるの
が普通である。
【0038】以下の表6に、最も重要な焼なまし法(軟
化焼なまし、応力除去焼なまし、溶体化焼なましおよび
時効硬化)によって特別の材料特性を得るためのチタン
およびチタン合金の可能な熱処理および関係する焼なま
し温度θの大要を挙げる(DIN規格17869および
65084をも参照)。本発明のチタン材料の製造のた
めの全過程中に、熱処理(その一部は自体既知である)を
行う。
【表6】 材 料 (軟化)焼なまし 応力除去焼なまし 溶体化焼なまし および時効硬化 θ[℃] θ[℃] θ[℃] チタン グレード1 650-750/空冷 450-550/空冷 −−− チタン グレード4 650-750/空冷 450-550/空冷 −−− TiAl6V4 700-850/空冷 500-600/空冷 820-900/水冷および 480-600/空冷
【0039】軟化 冷間加工したチタンを高温で焼なましすると、冷間加工
によって得た強度の増加が多かれ少なかれ逆戻りする。
最初の状態に戻る完全な軟化は、再結晶限界より高温で
焼なましすることによって得られる(軟化状態)。再結晶
限界より低温の焼なまし温度では、部分的な軟化(回復
と呼ぶ)だけが達成される。回復と再結晶の間の転移
は、X線または電子顕微鏡で調べることによって最も明
瞭に検出することができる。
【0040】焼なまし チタンの熱処理において、「焼なまし」なる用語は、加
工または硬化によって引き起こされる硬度の逆転を意味
する。通常、焼なましは再結晶温度より高温で行われ
る。
【0041】再結晶 再結晶(これは材料の完全な再結晶を意味する)の前提条
件は、先行の冷間加工である。再結晶は、最も強い欠陥
を有する結晶格子の位置で始まる。材料ならびに熱的お
よび機械的な前処理に依存する、臨界の変形度より下で
は再結晶は起こらない。低い再結晶温度(再結晶限界)
は、変形度を増加させると低下する。さらに、核の数が
増加して、微細結晶粒のミクロ組織が形成される。
【0042】回復 再結晶とは対照的に、回復中には新しい結晶粒の形成は
起こらない。これは原子およびボイドの移動の過程に関
係し、転位密度の減少およびポリゴン化を導く。回復焼
なましに使用される温度は再結晶温度より低温であり、
従って、加工硬化の部分的減少(40〜60%)だけを導
く。降伏強度Rpおよび引張強度Rmは減少するが、破断
時伸びAは増加する。
【0043】応力除去焼なまし これは、例えば溶接、切削または曲り取りの後の内部応
力の減少に役立つ。これは、ミクロ組織の変化を伴うこ
となく低温で行う。
【0044】溶体化焼なましおよび時効硬化 この焼なましは、固溶体が、後に行う時効硬化中に析出
させようとする合金成分に富むようにするために行う。
これら合金成分は、溶体化焼なまし中は過飽和状態で存
在する。合金の硬化の前提条件は、温度低下に伴う合金
成分の溶解度の低下である。溶体化焼なましの前提条件
は、合金成分を過飽和溶体中に維持するための、焼なま
しの最後の急冷ないし焼入れである。表6はチタングレ
ード1および4の場合の溶体化焼なましおよび時効硬化
のための温度データを含んでいないが、これは、不純物
含有量が通常は低すぎることにより、この種類の非合金
チタンが硬化することができないためである。硬化性の
合金成分を意図して加えることはない。元素酸素、窒
素、炭素および水素は、仕様に規定された最大値までチ
タンに完全に可溶性である。チタン鉱石からの不純物と
して得られる鉄は、チタングレード4の場合には0.5
重量%までの量で許容され(ASTM規格F67-89を
参照)、好ましくは結晶粒界に粗い球状析出物の形態で
現れるのが普通である。
【0045】加工硬化 チタン材料の製造方法の一部である、先行の熱間加工
(所望による再結晶焼なましを伴う)に続いて、本方法の
必須部分を構成する冷間加工を行う。この程度まで処理
したチタン材料を、ここで、塑性領域での冷間加工にか
ける。これにより、降伏強度0.2%オフセットR
p0.2、引張強度Rmおよび硬度の増加が導かれるが、破
断時伸びAおよび破断後面積減少率Zは減少する。硬化
はいくつかの因子に依存する。これは本質的に、加工
度、合金組成、ミクロ組織、加工方法(例えば、引抜、
圧延、槌打)、加工速度および加工温度によって影響さ
れる。以下に挙げる経験近似式が、変形強度kf[MPa]
と変形ψ(対数値)の間の関係に当てはまる:
【数2】kf = aψn [式中、aはMPaでの定数であり、nは硬化指数であ
る]。
【0046】図7は、DIN規格17869からの、チ
タングレード1-材料3.7025およびチタングレード
2-材料3.7035(0.7mm厚みに種々に圧延、横試
料)の硬化を示すグラフであり、降伏強度Rp0.2および
引張強度Rmの両方が、記載された変形度に応じて着実
に増加することを示す。伸びA5は、初めに30〜40
%の変形度のところで急激に低下し、次いで14〜16
%の値に近づく。
【0047】図8は、DIN規格17869からの、圧
延方向によるチタングレード1-材料3.7025および
チタングレード2-材料3.7035の硬化挙動を示すグ
ラフであり、材料硬化の傾向の尺度としての硬化指数n
が、圧延方向の関数として示されている。六方晶チタン
の場合、圧延方向に対する硬化指数nの強い方向依存性
が存在することが明らかである。平均硬化指数nの最高
値、それぞれ0.17および0.15が縦方向において測
定され、最低硬化指数n=約0.12が横方向(圧延方向
に対して90°)で測定される。
【0048】冷間加工の利用は、引張強度Rmおよび降
伏強度Rp0.2の増加を可能にする。しかし、極めて高レ
ベルの冷間加工硬化においては、伸びAが<10%の値
に低下する。しかし、安全性の理由から、<10%の残
留延性は許容することができない。即ち、引張強度値R
m=860MPaが最低伸びA10%と共に得られるよ
うに、チタングレード1およびチタングレード4を冷間
加工硬化するのは困難であることがわかる。ヨーロッパ
特許 EP-B-0 436 910は、非合金チタンを中間焼なまし
によって冷間加工する方法を提供しているが、これは、
セル組織の形成を伴うことなく再結晶温度より低温で行
われている。この方法においては、引張強度Rmが、そ
れぞれの場合において900〜1000MPaの値の3
0%から、温度θ<500℃での中間焼なましによる冷
間加工工程によって高められている。伸びAは、個々の
硬化工程間で中程度にのみ減少し、その結果、必要な1
0%限界を満たすことができる。
【0049】種々のチタングレードの硬化挙動を決定す
るための本発明者らの研究の結果を図9〜図11に示
す。図9はチタングレード1の硬化曲線を示し、図10
はチタングレード2の硬化曲線を示し、そして、図11
はチタングレード4の硬化曲線を示す。これらの結果に
よれば、チタングレード1は70%の高い変形度であっ
ても引張強度Rmの所望の値860MPaを越えないが、
伸びAは>40%の変形度で10%限界より下に低下す
る。チタングレード2も同様に挙動する。50%の冷間
加工においても、所望の引張強度Rm=860MPaに到
達しないが、伸びAも同じように>40%の変形度で1
0%限界より下に低下する。
【0050】0.30重量%の酸素含有量、0.15重量
%の鉄含有量を有し、焼なましを行った状態で約700
MPaの初期強度を有するチタングレード4は、異なっ
た挙動を示す。15%の変形度のところで引張強度Rm
は既に860MPaの限界を越えるが、伸びAはなお約
13%である。これは、約10μmの結晶粒度を有する
極めて微細な結晶粒の材料である(ASTM規格E11
2-88に従って測定)。結晶粒界が硬化に対して付加的
に寄与するが、これは、これら粒界が転位に対する障害
となり、それらが粒界の前に積み重なり、さらに変形す
るのをより困難にするためである[ベーム(BOEHM,H.):
「冶金学序説(Einfuehrung in die Metallkunde)」、Bi
bliographisches Institut、マンハイム/チューリヒ、
1968]。
【0051】結晶粒度に対する機械的性質の最も強い依
存は塑性変形の開始時に起こる。この理由は、ここで結
晶粒界の影響が最も顕著であり、変形の増加とともに、
即ち転位密度の増加とともにそれが減少するためであ
る。ホール-ペッチ(Hall-Petch)の関係式(ベームから:
上記引用、103頁):
【数3】σs = σ0 + kd-1/2 [式中、σ0およびkは定数である]は、降伏強度σsと結
晶粒の直径dとの間の関係を示す。降伏強度σsが結晶
粒度の減少につれて増加することが明らかである。これ
は、本発明の方法の基本的な前提条件である。結晶粒度
は、硬化挙動に、即ち降伏強度Rp0.2の増加に正の効果
を有するだけでなく、疲労強度σbwにも正の効果を有す
る。
【0052】ミクロ組織 熱間または冷間加工とそれに続く再結晶の後に、室温で
α-変態として存在する非合金チタンは、通常、加工方
法に依存して顕著な伸びを有する球状の単一相α-ミク
ロ組織を有する。図12の(a)および(b)に示す本発明者
らが撮影した顕微鏡写真は、この球状ミクロ組織を確か
めるものである。即ち、図12の(a)は再結晶焼なまし
を行ったロッド材料の、(b)はこれと同じ寸法のロッド
材料として本発明に従って調製したチタン材料のミクロ
組織を示す顕微鏡写真である。図12(b)に示す本発明
のチタン材料は、粒度番号10〜11の粒度(ASTM
規格E112-88に従う結晶粒度)を有する極めて細粒
化した伸びたミクロ組織を示す。この極めて細粒化した
ミクロ組織は、一方で、比較的高い0.15重量%の鉄
含有量(医療技術において一般に使用される<0.05%
の値を有する品質と比較して;これは、チタン格子中の
約700℃での鉄の最大溶解度を越えている)に起因
し、他方で、徹底した加工硬化に起因する。
【0053】通常、鉄は、結晶粒界に、特に結晶粒界間
の間隙に析出し、結晶粒成長を大きく妨げる[ヒュルゼ
/クラマー/ブレム/シュミット(HUELSE/KRAMER/BREME
/SCHMIDT):「市販の純チタンの再結晶挙動に及ぼすF
e、Cr、Niの少量添加の影響」、チタンに関する第6
回世界会議、カンヌ、1988、1975頁以下を参照]。鉄の
添加は、使用される750℃θ870℃の焼なまし
温度で結晶粒成長を大きく妨げることが見い出された。
約70μm(ASTM規格E112-88による粒度番号
4.5に相当)の最大結晶粒度が極めて低い0.009重
量%の鉄含有量で得られ、一方、0.14重量%の鉄含
有量での結晶粒度は最大20μm(ASTM規格E112
-88による粒度番号8に相当)であるにすぎない。Ti
Fe-相が好ましくは結晶粒界に析出し、こうして再結晶
中の成長が妨げられることが証明されたと考えられる。
【0054】ASTM規格E112-88による粒度番
号10の微細な結晶粒度は、ホール-ペッチの関係に従
い、最適な硬化および降伏強度0.2%オフセットRp
0.2の増加の結果を与える。さらに、微細結晶粒のミク
ロ組織の結果として、疲労強度σbwが増加する。結晶粒
成長に対する完全な抑制効果は、>0.08重量%、好
ましくは0.10〜0.20重量%の比較的高い鉄含有量
のときにのみ示される。この極めて細粒化した組織は、
所望の機械的性質を達成するための本発明の方法の前提
条件であり、一貫して利用する。
【0055】析出硬化 必要な先行の工程を伴う本方法は、析出硬化性元素が析
出する焼戻し処理によって終わる。しかし、これらの極
めて微細な粒子は、電子顕微鏡で見ることができない。
【0056】過飽和固溶体の分離が、材料の物理的およ
び機械的性質に強い影響を持つことが知られている。通
常、分離過程は、降伏強度Rp0.2、引張強度Rmおよび
合金の硬度の大きな増加に関係しているので、「硬化」
なる用語が使用される。硬化可能な合金の前提条件は、
合金系において、添加元素の溶解力が温度に依存してい
ることである。
【0057】図13は、マーレイ(MURRAY, J.L.)[「二
元チタン合金の状態図」、ASM International - Metals
Park Ohio、1987]からのFe-Tiの状態図である。この
二元系のチタン−鉄の状態図に示されるように、約70
0℃の温度でのチタン中の鉄の最大溶解度は0.05重
量%である。温度が低下するにつれて、溶解度は急激に
低下し、400℃では0.006重量%であるにすぎな
い。さらに低い温度では、チタン中の鉄の溶解度は0.
001重量%未満のようである。約700℃で約0.0
5重量%の溶解限界に伴って、比較的高い鉄含有量を有
する非合金チタン中に常にTiFe析出物が存在する。こ
の析出物の形態は、重量%での重量分率、製造方法およ
び最終生成物の寸法によって決まる。
【0058】通常、非合金チタンは、焼なましを行った
状態で使用される。化学工業からの要求により、明らか
に、チタングレード2がより多く使用される材料であ
る。機械的性質がさらに高い要求を満たさなければなら
ないときには、焼なましを行ったチタングレード4が使
用される。さらに高い引張強度Rm>680MPa(IS
O規格58321/IIによる)を達成するためには、冷
間加工が必要である。非合金チタンの析出硬化は、関連
の規格には言及されていない。これは、0.4%までの
量で侵入溶解する酸素は別として、金属の合金元素がチ
タン品質グレード1〜グレード4には添加されないとい
うことによるに違いない。20重量%までの量で不純物
としてチタン鉱石ルチル中に含まれる鉄は、高価につく
方法によって除去される。
【0059】金属間TiFe相の析出によって二元系のチ
タン−鉄において析出硬化を使用しうるようにするため
には、最大溶解度の温度範囲における焼なましまたは熱
間加工として熱処理の形態で前提条件を創製することが
必要である。次いで、700℃を大きく越える温度での
時効硬化を行って、可能な限り大きな割合のTiFe相を
析出させる。
【0060】過飽和固溶体の焼戻しの際に、整合析出物
が最初の分解段階において生成する。即ち、析出した相
は、マトリックスと同じ格子構造を有するが、その組成
が異なる。整合粒子は、比較的低いエネルギー生成を必
要とし、合金に依存して、広範囲に析出するか、または
平板状、球状もしくは針状の形態で析出する。第2の種
類の分離は部分整合性の析出であり、ここでは、少なく
とも1つの界面とマトリックスの間に整合性が存在す
る。通常、部分整合析出物は、平衡相ではなく、準安定
な中間相である。比較的高い界面エネルギーに応じて、
部分整合相の場合の核形成は、整合相の場合よりも多
い。過飽和固溶体の分解の最後の段階は、連続または不
連続の析出物としての非整合相の析出である。整合、部
分整合または非整合の各相の生成の理由は、界面の形成
のために供給されなければならないエネルギーの相違に
ある。
【0061】非整合析出物とは対照的に、中間相におけ
る比較的容易な核形成は、比較的高い核形成頻度、従っ
て析出物の比較的微細な分布を導き、これに伴って比較
的高い硬化が得られる。比較的高い核形成量のゆえに、
非整合相の析出は、格子欠陥、例えば転位、および結晶
粒界で優先的に起こる。従って、先行する冷間加工によ
る分離過程の強い促進は、転位密度の増加の結果として
の異質核の数の増加に基づく。異なる種類の分離過程に
関するこれら詳細は、本発明の方法の操作につながる。
【0062】例えば、前記表5の化学組成および5mmの
直径を有するチタンロッドグレード4の製造は、次のよ
うにして行う。溶解物を、常法により、溶解、鍛造、熱
間圧延し、そしてワイヤに引抜する。最適硬化に必要な
熱処理または加工熱処理は、650〜750℃の温度範
囲で行う。次いで、急冷を行って、できるだけ多くの鉄
を固溶体中に維持する。200〜500℃の間の焼戻し
を25°の間隔で行う。
【0063】チタン−鉄粒子の析出物は、光学顕微鏡で
は検出することができない。析出相は、透過型電子顕微
鏡により明視野および暗視野において、ならびに、電子
線回折パターンによって検出することができる。図14
は、冷間加工し、375℃/1時間で焼戻ししたチタン
グレード4の変形ミクロ組織の典型的な電子顕微鏡写真
である(明視野、薄フィルム、倍率 10000:1、ネ
ガティブNo.41136)。図15は、冷間加工し、3
75℃/1時間で焼戻ししたチタングレード4の変形ミ
クロ組織の透過型電子顕微鏡写真である(明視野、薄フ
ィルム、倍率 20000:1、ネガティブNo.411
41)。図15において、最初の再結晶核を有する回復
した変形ミクロ組織ならびに球状または平板状のいくつ
かの粗いチタン−鉄析出物を検出することができる(こ
のミクロ組織は恐らく体心立方のTiFe相であろう)。
【0064】分離過程が起こる温度範囲を決定するため
に、加工硬化試料を250℃、350℃および450℃
でそれぞれ1時間焼戻し、その横断面を調べた。これら
の結果を、図16〜図18に示す。図16は、冷間加工
し、250℃/1時間で焼戻ししたチタングレード4の
透過型電子顕微鏡写真(上段:明視野、薄フィルム、倍
率 20000:1、ネガティブNo.50697;下
段:明視野、薄フィルム、倍率 50000:1、ネガ
ティブNo.50698)および回折パターン(超格子反射
を伴う)の写真(中段:倍率 1:1、ネガティブNo.5
0699)ならびに超格子を示すものである。図17
は、冷間加工し、350℃/1時間で焼戻ししたチタン
グレード4の透過型電子顕微鏡写真(上段:明視野、薄
フィルム、倍率100000:1、ネガティブNo.50
651)および超格子反射に照らした暗視野画像(下段:
暗視野、薄フィルム、倍率 100000:1、ネガテ
ィブNo.50653)および関連の回折パターン(中段:
倍率 1:1、ネガティブNo.50652)の写真であ
る。図18は、冷間加工し、450℃/1時間で焼戻し
したチタングレード4の透過型電子顕微鏡写真(上段:
明視野、薄フィルム、倍率20000:1、ネガティブ
No.50676;下段:明視野、薄フィルム、倍率50
000:1、ネガティブNo.50682)および回折パ
ターン(超格子反射を伴う)の写真(中段:倍率 1:1、
ネガティブNo.50679)である。高い転位密度の領
域(高レベルの冷間加工)を含み、極めて微細に再結晶し
た領域を伴う均質なミクロ組織が検出される。従って、
焼戻し前の初期状態は部分的に再結晶したミクロ組織か
らなり、その後の450℃/1時間での焼なましは明ら
かに一層の再結晶を引き起こした。
【0065】3種全ての熱処理状態に対する図16〜図
18の回折パターンは、極めて微細に析出した整合チタ
ン−鉄粒子の結果として起こる顕著な超格子反射を示
す。これら粒子は、超格子反射に照らして暗視野画像に
よって検出した(図17を参照)。250℃の低い焼戻し
温度では、粒子は丸い形状を持ち[図19を参照:図1
9は、冷間加工し、250℃/1時間で焼戻ししたチタ
ングレード4の透過型電子顕微鏡写真(明視野、薄フィ
ルム、倍率 200000:1、ネガティブNo.507
04)であり、丸形粒子の析出物が応力領域で囲まれて
いる]、450℃では卵形に変化する[図20を参照:図
20は、冷間加工し、450℃/1時間で焼戻ししたチ
タングレード4の透過型電子顕微鏡写真(明視野、薄フ
ィルム、倍率200000:1、ネガティブNo.506
90)であり、卵形粒子の析出物が結晶粒界において応
力領域で囲まれている]。
【0066】六方晶α-相のチタンと極めて微細に析出
した金属間チタン−鉄相との間の結晶方位関係は、これ
まで明瞭に説明されていなかった。
【0067】α-チタンの六方晶マトリックス格子と、
利用可能な回折パターンに基づいて示される結晶方位関
係を持つ、本発明の方法において生成する極めて微細な
析出物は、明らかに高レベルの核形成を必要とする。そ
の理由は、これら析出物が、冷間加工したチタン中の結
晶粒界および格子欠陥(例えば、転位)において優先的に
析出するためである。これらの比較的高エネルギーの場
所は、恐らく、この種の極めて微細な析出物を生成する
ためにも必要なのであろう。即ち、説明した析出挙動
は、冷間加工されていない焼なましを行ったチタンにお
いて同じように期待することはできない。
【0068】チタン合金TiCu2の研究により、析出焼
なましの結果としての、極めて微細に析出した相の生成
が同じように示された。共析分離を伴う別の合金系が、
Ti-Si状態図において示される。0.2重量%のケイ素
の添加が、耐クリープ性を改善するために高強度のα-
チタン合金において既に使用されており、原則的に生体
適合性の硬化可能な材料に、さらにインプラントに適し
ている。
【0069】また、焼戻しが、得られるチタン材料の機
械的性質に決定的に寄与する。従来のインプラント材料
(鉄含有量0.05重量%)および本発明の材料(冷間加工
したチタングレード4、ロッド材料、0.15重量%の
鉄含有量を有する)を用いた比較焼戻し試験により、図
21〜図23に示す結果が得られた。200〜500℃
の焼なまし温度が全硬化範囲を包含する。図21はチタ
ングレード4の降伏強度Rp0.2に及ぼす焼なまし温度の
効果を示し、図22はチタングレード4の引張強度Rm
に及ぼす焼なまし温度の効果を示し、図23はチタング
レード4の伸びA50に及ぼす焼なまし温度の効果を示
す。
【0070】両材料について、約250℃までの焼なま
し温度における降伏強度0.2%オフセットRp0.2が、
最初は約750MPaから800MPaの値まで増加する
ことが明らかである。この温度を越えると、従来の材料
の降伏強度Rp0.2は、本発明の材料に比較して急激に低
下する(図21を参照)。
【0071】また、同様の品質の相違が引張強度Rmに
ついても存在し(図22を参照)、約140MPaの差を
伴う。焼戻しされていない状態の本発明の材料の引張強
度Rmは950MPaであり、約400℃の焼戻し温度に
おいてのみ860MPaの所望の仕様の値より下に低下
するが、従来の材料は焼戻しされていない状態において
もこの値を大きく下回る。
【0072】図23は、伸びA50を比較するものである
が、焼戻しされていない状態では両材料が約10%であ
る。200℃の焼戻し温度では、伸び値A50は、特に
従来の材料については、20%までかなり増加すること
ができる。
【0073】本発明の材料の改善は明らかである。引張
強度Rmは焼戻しされていない状態で950MPaであ
り、所望の仕様の限界である860MPaをかなり上回
る。焼戻しの結果として、引張強度Rmは400℃まで
の温度であっても約100MPa低下し、一方、従来の
材料は同じ焼戻し温度で約700MPaの強度を有して
いるにすぎない。全グレードの加工硬化チタンに伴う課
題は、常に引張強度Rmと伸びAの比である。過度に高
レベルの冷間加工を用いたときには、所望の引張強度R
mは達成することができるが、伸びは所望の最低伸びよ
り下に低下する。この不都合は、十分に高いレベルの強
度(これが焼戻しによって低下する)を持つことを条件
に、焼戻し処理によって克服される。
【0074】析出硬化は、疲労強度σbwに極めて大きな
効果を有する。例えば、外科用インプラントは、疲労に
よって損なわれる。従って、このパラメーターは特に重
要である。また、このことは、曲げ、ねじれおよび剪断
力にもさらされる股関節内部人工補綴物、骨接合物品お
よび歯科インプラントにも当てはまる
【0075】曲げ疲労強度σbwは、材料が107回の繰
返し負荷変化で破壊することなく耐える応力と定義され
る。酸素の添加によってチタンの疲労強度を増加させう
ることが知られている。文献は、加工硬化したチタング
レード4の曲げ疲労強度σbwに対して357〜430M
Paの範囲の値を与えている。これらの値は、電解研磨
した試料表面を用いて測定した回転曲げ疲労強度に関す
る。IMIチタニウム社(IMI Titanium Ltd)から公表さ
れた値を図24に示す。図24は、焼なましを行った非
合金チタンのワイヤの典型的な静的および動的強度特性
(回転曲げ疲労強度)を示すものである。図24は、軟化
焼なましを行った試料の引張強度Rmと疲労強度σbw
両方が酸素含有量の増加につれて増加し、引張強度Rm
の曲線がより急に上昇することを示す。切欠き試料の値
は、滑らかな比較試料の値に比べて約25%低い。
【0076】図25は、非合金チタンの引張強度Rmお
よび疲労強度σbwに及ぼす酸素含有量および冷間加工の
効果を示す。両方の場合において、機械的性質の増加
が、酸素含有量の増加の結果として、および冷間加工の
結果として観察される。最も高度に冷間加工した材料の
曲げ疲労強度σbwは380MPaであり、従って、文献
から既知の他の値と一致する。
【0077】本発明のチタン材料(グレード4)の回転曲
げ疲労強度σbwを測定した。この結果を、従来の材料
(これに対してσbw=380MPaが測定された)と比較
するために図26に示す。図26は、従来のチタングレ
ード4および本発明のチタン材料の回転曲げ疲労強度を
比較するものである。この図からわかるように、本発明
のチタン材料は、約500MPaの疲労強度を持ち、こ
れは約30%の増加を示す。
【0078】引張強度Rmおよび降伏強度Rp0.2は、特
に従来のチタン材料については、375℃の焼なまし温
度で急激に低下するので(図21および図22を参照)、
硬化処理によって達成される疲労強度の改善は全く予想
外のことであった。これに応じて、伸びAが比較的高い
焼戻し温度で増加することが明らかである。
【0079】加工硬化した材料を硬化させるときに、効
果が反対である2種類の異なる冶金学的過程が生じる。
過程の1つは、転位密度の減少、従ってポリゴン化を導
く回復過程による軟化であり、これは強度の低下に関係
している。第2の過程は、電子顕微鏡写真によって示さ
れるようなTiFe相の整合粒子または部分整合粒子の析
出の硬度増強効果に関係している。即ち、この析出相は
比較的高エネルギーの場所に、例えば転位および結晶粒
界に優先的に形成され、それらの移動を遮断し、疲労強
度が増加する結果を与える。
【0080】疲労強度に及ぼす焼戻し温度および焼戻し
時間の効果に関する一層の研究結果を図27に示す。図
27は、本発明のチタン材料の疲労強度に及ぼす焼戻し
処理の効果を示すものである。この図によれば、曲げ疲
労強度σbwの最大値は、350〜450℃の温度範囲で
1時間の焼戻し時間を用いたときに見られることが明ら
かである。驚くべきことに、325℃の比較的低い焼戻
し温度を用いたときには、10時間の比較的長い焼戻し
時間の後に、疲労強度がさらに増加する。
【0081】固溶体硬化を、所望により、特別の応用に
対する製造過程中に用いることができる。固溶体硬化に
おいては、チタン原子はチタンに可溶性の他の金属原子
によって置換される。例えば、ジルコニウムがこの目的
に特に適しているが、この理由は、それがβ相およびα
相の両方に完全に可溶性であるためである。ニオビウム
およびタンタルはβ-チタンに完全に溶解するが、α相
には限定的に溶解するにすぎず、従ってこの場合にはα
+β-チタン合金が得られる。好都合なことに、延性の
過度の損失を受け入れることなく、固溶体硬化によって
引張強度Rmを決定的に増加させることができる。即
ち、ジルコニウム、ニオビウムまたはタンタルまたはこ
れらの任意の所望の混合物を基本材料チタンと合金化し
た二元、三元または多元材料系に、本発明に係る析出硬
化を適用することもできる。
【0082】
【実施例】以下の具体的な数字を挙げた実施例により、
本発明のチタン材料の製造およびそれによって得られる
パラメーターを説明する。本方法は、以下に挙げた操作
を順に行う。 (1)チタン溶解物の調製 出発原料は、ASTM F67-89によるチタンインプ
ラント材料の要件を満たす前記表5の化学組成を有する
チタン溶解物であった。インゴットを真空アーク炉にお
いて2回溶解した。
【0083】(2)熱間加工 粗原料を調製するため、インゴットを1000℃での数
回の加熱において鍛造または圧延して100mm直径のビ
レットを得、次いで、ワイヤラインにおいて880〜7
00℃に低下する温度で5.5〜20mm直径の寸法に熱
間圧延した。
【0084】(3)冷間加工 得られたワイヤロッドを、再結晶限界の領域またはこの
限界温度直下の領域での中間焼なましと共に引抜をする
ことにより冷間加工を行った。以下の表7の機械的数値
が得られた。
【表7】 性 質 測定値 降伏強度0.2%オフセット Rp0.2 752MPa 引張強度 Rm 950MPa 伸び A50 10.2% 面積減少率 Z 39% 引抜の後、このワイヤの曲り取りを行い、3000mmの
ロッド長さに分割し、精密公差h7に研磨した。
【0085】(4)焼戻し処理 焼戻しを、375℃/1時間 空冷/空冷で実施した。
この後、5mmロッドの場合に以下の表8の機械的数値が
得られた。
【表8】 性 質 測定値 降伏強度0.2%オフセット Rp0.2 794MPa 引張強度 Rm 933MPa 伸び A50 13.2% 面積減少率 Z 41% 疲労強度 σbw 500MPa この方法によって達成されたチタン材料の品質改善が明
らかである。加工硬化した状態での測定値と比較する
と、降伏強度0.2%オフセットRp0.2は約40MPa増
加し、一方、引張強度Rmは約20MPa低下したのみで
ある。伸びA50は13%を越えるまで3%改善され、従
って、要求される仕様の値である10%を確実に上回
る。
【0086】得られたグレード4チタン材料(ASTM
規格F67-89によって定義されたグレード)は、以下
によって特性化することができる: (a)熱間加工されていること; (b)加工硬化されていること; (c)析出硬化されていること; (d)(da)0.15%の鉄を析出硬化性元素として、および
(db)0.30%の侵入溶解した酸素、を含有しているこ
と;および (e)粒度番号5より微細な、好ましくは8より微細な結
晶粒度を有する微細結晶粒のミクロ組織を有しているこ
と[ASTM規格E112-88により規定された結晶粒
度;図12(b)のミクロ組織]。
【図面の簡単な説明】
【図1】 金属および合金の耐食性および生体組織反応
を示すグラフである。
【図2】 室温でチタンの機械的性質に及ぼす酸素およ
び窒素の効果を示すグラフである。
【図3】 非合金チタンの機械的性質に及ぼす酸素の効
果を示すグラフである。
【図4】 非合金チタンの機械的性質に及ぼす炭素の効
果を示すグラフである。
【図5】 非合金チタンの機械的性質に及ぼす窒素の効
果を示すグラフである。
【図6】 非合金チタンのビッカース硬度に及ぼす窒
素、酸素、炭素および鉄などの不純物の効果を示すグラ
フである。
【図7】 工業用純度のチタンの硬化を示すグラフであ
る。
【図8】 シート平面の種々の方向における工業用純度
のチタンの硬化挙動を示すグラフである。
【図9】 チタングレード1の硬化を示すグラフであ
る。
【図10】 チタングレード2の硬化を示すグラフであ
る。
【図11】 チタングレード4の硬化を示すグラフであ
る。
【図12】 チタン材料の金属組織を示す写真である。
【図13】 Fe-Tiの状態図である。
【図14】 冷間加工し、375℃/1時間で焼戻しし
たチタングレード4の金属組織を示す写真である。
【図15】 冷間加工し、375℃/1時間で焼戻しし
たチタングレード4の金属組織を示す写真である。
【図16】 冷間加工し、250℃/1時間で焼戻しし
たチタングレード4の金属組織を示す写真および超格子
の模式図である。
【図17】 冷間加工し、350℃/1時間で焼戻しし
たチタングレード4の金属組織を示す写真である。
【図18】 冷間加工し、450℃/1時間で焼戻しし
たチタングレード4の金属組織を示す写真である。
【図19】 加工硬化し、250℃/1時間で焼戻しし
たチタングレード4の金属組織を示す写真である。
【図20】 加工硬化し、450℃/1時間で焼戻しし
たチタングレード4の金属組織を示す写真である。
【図21】 チタングレード4の降伏強度Rp0.2に及ぼ
す焼なまし温度の効果を示すグラフである。
【図22】 チタングレード4の引張強度Rmに及ぼす
焼なまし温度の効果を示すグラフである。
【図23】 チタングレード4の伸びA50に及ぼす焼な
まし温度の効果を示すグラフである。
【図24】 焼なましを行った非合金チタンのワイヤの
典型的な静的および動的強度特性を示すグラフである。
【図25】 非合金チタンの引張強度および疲労強度に
及ぼす酸素含有量および冷間加工の効果を示すグラフで
ある。
【図26】 チタングレード4の回転曲げ疲労強度を比
較するグラフである。
【図27】 チタングレード4の回転曲げ疲労強度に及
ぼす焼戻し温度の効果を示すグラフである。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下を特徴とするチタン材料: (a)熱間加工し、所望により再結晶焼なましを行い; (b)加工硬化し; (c)析出硬化し; (d)(da)0.05重量%を越える量の1またはそれ以上の
    析出硬化性元素、および(db)0.05重量%を越える
    量、好ましくは0.20〜0.35重量%の量の侵入溶解
    酸素、を含有し;そして (e)ASTM規格E112-88により規定された結晶粒
    度番号5より微細な、好ましくは8より微細な結晶粒度
    を有する微細結晶粒のミクロ組織[図12(b)のミクロ組
    織]を有すること。
  2. 【請求項2】 析出硬化性元素が鉄、銅およびケイ素で
    あり、チタン材料がこれら元素の1つを含有するか、ま
    たはこれら元素を2成分もしくは3成分混合物として含
    有することを特徴とする請求項1に記載のチタン材料。
  3. 【請求項3】 (a)0.15重量%の鉄;および(b)AS
    TM規格F67-89に規定されたチタン材料グレード
    1の場合には0.07重量%、チタン材料グレード2の
    場合には0.13重量%、チタン材料グレード3の場合
    には0.20重量%、チタン材料グレード4の場合には
    0.30重量%の侵入溶解酸素;を含有することを特徴
    とする請求項1または2に記載のチタン材料。
  4. 【請求項4】 (a)1元素あたり30重量%までの量の
    1またはそれ以上の固溶体硬化性元素をさらに含有し; (b)該固溶体硬化性元素が全量で50重量%含まれる;
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のチタ
    ン材料。
  5. 【請求項5】 固溶体硬化性元素がジルコニウム、ニオ
    ビウムおよびタンタルであり、チタン材料がこれら元素
    の1つを含有するか、またはこれら元素を2成分もしく
    は3成分混合物として含有することを特徴とする請求項
    4に記載のチタン材料。
  6. 【請求項6】 (a)0.15重量%の鉄; (b)0.10重量%の侵入溶解酸素;および (c)それぞれ15重量%までの固溶体硬化性元素として
    のジルコニウム、ニオビウムおよびタンタルであって、
    これら元素の1つまたは2成分もしくは3成分混合物と
    してのこれら元素;を含有することを特徴とする請求項
    1〜5のいずれかに記載のチタン材料。
  7. 【請求項7】 チタン材料の製造方法であって、以下の
    順序の処理工程を特徴とする方法: (a)チタンスポンジまたは所望の合金成分中に、十分な
    量の1またはそれ以上の析出硬化性元素および酸素が既
    に存在していなければ、これらの両方を添加して合金化
    し、酸素を溶体中に侵入させ; (b)熱間加工および所望による再結晶焼なましを行っ
    て、微細結晶粒のミクロ組織とし; (c)所望による中間焼なましとともに冷間加工し;そし
    て (d)焼戻し処理を行って析出硬化性元素を析出させる。
  8. 【請求項8】 (a)鉄、銅およびケイ素を、析出硬化性
    元素として添加して合金化し; (b)これら元素の1つだけまたはこれら元素の2成分も
    しくは3成分混合物を、0.05重量%を越える割合に
    達するまで添加して合金化する;ことを特徴とする請求
    項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 酸素を0.05重量%を越える量まで、
    好ましくは0.20〜0.35重量%の量まで加えて、酸
    素を溶体中に侵入させることを特徴とする請求項7また
    は8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 以下の成分: (a)0.15重量%の量に達するまでの鉄;および(b)A
    STM規格F67-89に規定されたチタン材料グレー
    ド1の場合には0.07重量%、チタン材料グレード2
    の場合には0.13重量%、チタン材料グレード3の場
    合には0.20重量%、チタン材料グレード4の場合に
    は0.30重量%の量に達するまでの酸素;を添加して
    合金化することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに
    記載の方法。
  11. 【請求項11】 以下の成分: (a)1元素あたり30重量%以下の量に達するまでの1
    またはそれ以上の固溶体硬化性元素をさらに添加して合
    金化し; (b)該固溶体硬化性元素が全量で50重量%に達するま
    で添加されて合金化されている;ことを特徴とする請求
    項7〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 固溶体硬化性元素がジルコニウム、ニ
    オビウムおよびタンタルであり、これら元素の1つまた
    は2成分もしくは3成分混合物を添加して合金化するこ
    とを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 以下の成分: (a)0.15重量%の量に達するまでの鉄; (b)0.20重量%の量に達するまでの侵入溶解酸素;お
    よび (c)それぞれ15重量%の量に達するまでの固溶体硬化
    性元素としてのジルコニウム、ニオビウムおよびタンタ
    ルであって、これら元素の1つまたは2成分もしくは3
    成分混合物としてのこれら元素;を添加して合金化する
    ことを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 熱間加工および所望による再結晶焼な
    ましによって得られる微細結晶粒のミクロ組織が、AS
    TM規格E112-88に規定される結晶粒度番号5よ
    り微細な、好ましくは8より微細な結晶粒度を有する
    [ミクロ組織は図12(b)に従う]ことを特徴とする請求
    項7に記載の方法。
  15. 【請求項15】 全体の変形度が、>5%、好ましくは
    >20%であり、該変形度を、熱間加工および所望によ
    る再結晶焼なましの後に続く冷間加工において用いるこ
    とを特徴とする請求項7に記載の方法。
  16. 【請求項16】 焼戻し温度θtTemが、>100℃、好
    ましくは250℃θ tTem450℃であることを特徴
    とする請求項7に記載の方法。
  17. 【請求項17】 焼戻し時間tTemが、0.5時間
    Tem24時間、好ましくは0.5時間 Tem10時
    間であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  18. 【請求項18】 焼戻し時間tTemが約1時間であり、
    焼戻し温度θtTemが約375℃であることを特徴とする
    請求項7、16および17のいずれかに記載の方法。
  19. 【請求項19】 (a)インプラント、器具または装置と
    しての医療技術、および、(b)腕時計および装身具工
    業、における前記請求項のいずれかに記載のチタン材料
    の使用。
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