JPH1076139A - 揮発性有機物を含む排ガスの処理方法及び処理装置 - Google Patents

揮発性有機物を含む排ガスの処理方法及び処理装置

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JPH1076139A
JPH1076139A JP8235421A JP23542196A JPH1076139A JP H1076139 A JPH1076139 A JP H1076139A JP 8235421 A JP8235421 A JP 8235421A JP 23542196 A JP23542196 A JP 23542196A JP H1076139 A JPH1076139 A JP H1076139A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トルエンなどの揮発性有機物を主成分とする
排ガスを、装置の設置スペースがコンパクトで、かつ単
位充填容積に対し、従来より高い除去速度で処理できる
処理方法および処理装置を提供すること。 【解決手段】 微生物を保持した充填材を充填した充填
層を備えた充填塔を設け、充填材に散水して湿潤状態に
保持させながら揮発性有機物を含有するガスを通気して
排ガス中の揮発性有機物を除去し、散水により剥離した
微生物を含む汚泥混合液を充填塔の下に設けた受水部に
入れ、そこでで固液分離し、分離した上澄み液を充填材
の散水に利用する揮発性有機物を主成分とする排ガスの
処理方法。その処理に使用する処理装置。充填層に充填
する充填材には好ましくは内部に連通空間を有するスポ
ンジを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の技術は、塗装工場、
鋳造工場、印刷工場及びフイルム製造工場などから排出
される揮発性有機物を含有する排ガスを処理する排ガス
処理方法及び排ガス処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】揮発性有機物を含有する排ガスの処理に
は、従来、燃焼法、活性炭吸着法あるいはそれらを組み
合わせた方法などが用いられている。燃焼法は、エネル
ギーの消費が大きく、また、爆発などの危険性がある。
活性炭吸着法は、活性炭の取り替え費用が高く、使用済
み活性炭が2次廃棄物となる等の問題がある。生物処理
は、比較的低濃度、大風量の排ガスを低エネルギーで処
理できる方法として主にヨーロッパで利用されている。
また、本発明の出願人は、主に硫黄系の悪臭を生物学的
に処理する方法及び装置を「悪臭ガスの脱臭方法及びそ
の装置」(特公平6−91034号公報)として特許出
願して特許を受けている。本発明は、前記生物学的処理
方法及び装置を排ガス中の揮発性有機物の除去に適応さ
せるために改良を加えたものである。
【0003】従来の生物学的処理装置においては、充填
材に硫化水素などの悪臭物質を含むガスを通気し、この
充填材を湿潤状態に維持するために常時散水を行ってい
た。また、充填材に散水する水は、循環水貯槽から供給
し、循環使用した。散水によって剥離した汚泥は、循環
水と共に汲み上げられ、充填層上部から散布され、系外
にはほとんど排出されなかった。下水処理場において発
生する硫化水素は、比較的低濃度であり、10ppm未
満の場合がほとんどであった。このため、充填層の単位
充填材容量に対する負荷量は小さく、高い除去速度が必
要とされなかった。従って、汚泥は充填材からほとんど
排出されなかったにもかかわらず充填層は閉塞しなかっ
た。また、窒素及びリン酸などの栄養塩類は、運転開始
時に下水汚泥を添加すること及び運転中に少量の下水処
理水を供給することによって十分まかなうことができ
た。さらに、下水処理場は、比較的広いスペースを確保
できるため、装置を大きくすることが可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、トルエンなどの
揮発性有機物を主成分とする排ガスを処理する際には、
数10ppmを越える高い濃度のガスを処理する必要が
ある。また、揮発性有機物を含有する排ガスは、主に民
間の化学工場及び塗装工場等において排出されるため、
下水処理場などの公共施設と比較して、処理装置の設置
スペースにおいて厳しい制約を受ける。
【0005】従って、この種の処理装置では、充填層の
単位充填容積当たりについて、従来より高い除去速度を
必要とされる。しかし、以下の2つの原因によって、従
来の生物学的処理装置の除去速度は制約されている。 (i)従来の生物学的処理装置では、汚泥はほとんど排
出されない。従って、汚泥は生物学的処理装置内に長期
間滞留し、更新される頻度が低い。そのため、死滅して
処理能力の無くなった汚泥や活性の低下した汚泥が装置
の大部分を占め、結果として装置全体の処理速度が低下
している。 (ii)微生物は、揮発性有機物を分解する際、栄養塩類
を必要とする。しかし、民間の工場の場合、下水処理場
のように適度に栄養塩類を含有した水を入手することは
困難である。従って、水道水及び工業用水を使用するこ
とになるが、これらの水の栄養塩類濃度は一般に下水処
理場の処理水などと比較して低いため、栄養塩類が不足
し、除去速度は低く抑えられている。
【0006】また、揮発性有機物を含む排ガスは、一般
に、下水処理場などにおいて発生する硫化水素などを含
む悪臭ガスと比較して濃度が高い。さらに金川らは、
「臭気の研究、25巻5号、平成6年」において、硫化
水素の理論酸素要求量(TOD)当たりの菌体生成量
(kg−乾燥/kg−TOD)は、0.14であるのに
対して、各種有機性排水を活性汚泥処理した場合の除去
BOD当たりの菌体生成量は0.2〜0.6と高い値を
示すことを指摘している。従って、十分な栄養塩類を供
給すると、汚泥の増殖速度が高まり、増殖した汚泥によ
って充填層が閉塞するという問題を生じる可能性があ
る。本発明は、前記したような濃度が高い揮発性有機物
を含む排ガスを生物処理装置で処理する際に、充填層の
閉塞などの問題が起こらずに高い処理速度で処理できる
ような処理方法及び処理装置を提供することを目的とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、以下に
記載する排ガス処理方法及び装置によって達成される。 (1)生物学的処理により、排ガス中の揮発性有機物を
除去する方法において、充填材を充填した充填層を備え
た充填塔を設け、前記充填材に微生物を保持させ、前記
充填材に散水して湿潤状態に保持させながら揮発性有機
物を含有するガスを通気して排ガス中の揮発性有機物を
除去し、前記散水により生じる前記充填材より剥離した
微生物を含む汚泥混合液を前記充填塔の下に設けた受水
部で受け、前記受水部で汚泥混合液を固液分離し、分離
した上澄み液を循環させて前記充填材の散水に利用する
ことを特徴とする生物学的な排ガス処理方法。 (2)微生物を保持させる充填材として、内部に連通空
間を有するスポンジを用いることを特徴とする前記
(1)項に記載の排ガス処理方法。 (3)充填材が充填されている充填塔の断面積に対する
散水速度を、少なくとも0.02m3 /m2 /分以上、
1時間毎に少なくとも2分間以上継続させることを特徴
とする前記(1)または(2)項に記載の排ガス処理方
法。
【0008】(4)充填層に供給される揮発性有機物の
負荷量に対応して、散水する水に窒素源及びリン源を供
給することを特徴とする前記(1)ないし(3)項のい
ずれか1項に記載の排ガス処理方法。 (5)流入ガス中の全炭化水素濃度を測定して、その値
に一定の値を乗じて、散水する水に添加する窒素及びリ
ン酸の供給量を算出することを特徴とする前記(4)項
に記載の排ガス処理方法。 (6)固液分離した上澄み液または散水前の循環水の窒
素またはリン濃度を測定し、予め設定した範囲値を越え
たときに窒素源またはリン源を前記上澄み液または循環
水に加えるように制御することを特徴とする前記(4)
項に記載の排ガス処理方法。
【0009】(7)充填塔内の充填層に、微生物を保持
できる充填材を充填し、前記充填層上部に散水部を配備
し、充填塔の下部に受水部を設けると共に、前記散水部
と受水部とを循環水管で連絡し、揮発性有機物を含有す
る排ガスを循環水と前記充填層においてカウンターフロ
ーまたはクロスフローで接触させるように構成し、上清
液を循環させるための循環水の取水口を受水部の上部に
設置し、剥離されて受水槽底部に沈澱している汚泥を排
水と共に系外に排出するための排水口を受水槽底部に設
置したことを特徴とする排ガス処理装置。 (8)前記充填層に充填する、微生物を保持できる充填
材として、内部に連通空間を有するスポンジを用いるこ
とを特徴とする請求項7に記載の排ガス処理装置。
【0010】前記したように、本発明の生物学的処理装
置では、充填層に供給される揮発性有機物の負荷量に対
応して、その値に一定の値を乗じて散水する水に添加す
る窒素及びリン酸の供給量を算出して供給した。これに
より十分な栄養塩類を供給して散水すると、排ガス中の
揮発性有機物を除去する速度は早くなる。この時汚泥の
増殖速度も高まるが、汚泥は散水によって充填材から剥
離させ、剥離した汚泥は濃縮して系外に排出させた。こ
れにより、充填層が生成増殖する微生物によって詰まる
という問題を避けることができる。
【0011】
【発明の実施の態様】このようにすることによって本発
明の生物学的処理装置は単位容積に対して高い揮発性有
機物除去速度を維持し、しかも充填層の閉塞を防止する
ことができる。本発明の生物学的処理装置の概要を図1
に示した。図1において、生物学的処理装置14は、充
填塔12と循環水貯槽5よりなり、充填塔12には微生
物が保持できる充填材が充填されている充填層2が設け
られている。充填塔12の充填層2の下部に被処理ガス
を装置に流入させるガス流入口1があり、被処理ガス
(揮発性有機物を含む排ガス)はガス流入口1から充填
塔12に流入し充填層2を通って塔頂に設けられたガス
流出口4から系外に流出する。充填塔12内には充填層
2の上に散水装置3が設けられている。散水により充填
層2を流下した水は充填塔12の下方に設けられた循環
水貯槽5に入る。
【0012】生物学的処理装置14の下部は循環水貯槽
5になっており、循環水貯槽5中には循環水が貯留され
ており、前記散水装置3と循環水貯槽5とを循環水管1
3で連絡し、循環水管13に設けられている送水ポンプ
6によって循環水は散水装置3に送水され充填層2に散
水される。生物学的処理装置14には別に培養液貯槽8
が付属して設けられ、ポンプ9で循環水貯槽5に培養液
7が添加できるようになっている。この培養液7に必要
な窒素分及びリン酸分を含有させてある。散水装置3か
らの散水によって充填層2から剥離された汚泥10は循
環水貯槽5の底部に溜まり、汚泥排出口11から系外に
排出できる。また、循環水貯槽5には汚泥沈殿池で一般
的に使用される傾斜板を設けることにより、確実に汚泥
を沈降分離することができる。
【0013】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明はこの実施例のみに限定されるもの
ではない。 実施例1 実験は、図1に示した本発明の生物学的処理装置14を
用いて実施した。充填層2には充填材としてスポンジ状
のウレタンフォーム(商品名エバフォームG)を充填し
た。ガス流入口1からは被処理ガスとしてトルエンを含
有する空気を通気した。トルエンの濃度は約30ppm
に調整した。被処理ガスの風量は充填層容量に対する空
塔速度で500h-1とした。また、循環水としては当初
に後記する培養液を入れて使用した。生物学的処理装置
14の充填層容積および循環水貯槽容積などを第1表
に、その運転条件を第2表に示した。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】培養液は水道水に尿素及びリン酸水素ナト
リウムを溶解させて調製し、培養液貯槽8に貯留した。
全窒素濃度は15mg(窒素)/リットル、29mg
(窒素)/リットル、42mg(窒素)/リットル、及
び66mg(窒素)/リットルに設定し、全リン濃度は
共通して約2.8mg(リン)/リットルに設定し、方
法1、方法2、方法3及び方法4として別個に試験し、
処理成績を比較した。この培養液は約5リットル/日の
流速で循環水貯槽5に供給した。方法1ないし方法4の
培養液の条件を第3表にまとめて示す。
【0017】
【表3】
【0018】前記方法1ないし方法4の条件で、それぞ
れ約2週間以上、トルエンを含有する空気を処理した。
1日あたりの全有機炭素負荷量を100とした時、重量
比で表した全窒素添加量を第4表、本実施例1における
処理成績の平均値を第5表に示す。
【0019】
【表4】
【0020】
【表5】
【0021】第4表と第5表から、500h-1の高い空
塔速度での処理条件で、高いトルエン除去率を得ること
ができたことがわかる。また、窒素を多量に供給すると
トルエン除去率が向上し、図2より全窒素濃度15mg
(窒素)/リットル〜42mg(窒素)/リットルの間
では窒素濃度とトルエン除去率との間には比例関係が認
められた。そして、全有機炭素に対する全窒素の割合が
100対10以上の場合、それ以上窒素の供給量を増や
しても除去率は向上しないことがわかった。従って、実
装置においては、流入ガス中の全有機炭素濃度をモニタ
ーし、その値に風量を乗じて全有機炭素負荷量を算出
し、その値を100として10に相当する高い除去性能
を得ることができる。また、2ヶ月間、充填層が閉塞を
起こさないことが確認された。なお、実施例1では単純
化した実験であるため、循環水についてその窒素濃度や
リン濃度を測定していないが、実際に適用するに当たっ
てそれらの濃度を測定し、既に知られた制御手段を用い
て培養液の添加を調整することができる。
【0022】
【発明の効果】本発明の方法は、化学工場及び塗装工場
などの排ガスなど、揮発性有機物を含む排ガスに対して
高い空塔速度での処理条件で、高い有機物除去能力を有
する。本発明の装置はコンパクトで高い処理能力を有
し、しかも充填層の閉塞を起こさないため、長期間安定
して処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生物学的処理装置の概念図である。
【図2】本発明の実施例における散水する水の全窒素濃
度とトルエン除去率との関係を表した図を示す。
【符号の説明】
1 被処理ガス流入口 2 充填層 3 散水装置 4 ガス流出口 5 循環水貯槽 6 送水ポンプ 7 培養液 8 培養液貯槽 9 ポンプ 10 汚泥 11 汚泥排出口 12 充填塔 13 循環水管 14 生物学的処理装置

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物学的処理により、排ガス中の揮発性
    有機物を除去する方法において、充填材を充填した充填
    層を備えた充填塔を設け、前記充填材に微生物を保持さ
    せ、前記充填材に散水して湿潤状態に保持させながら揮
    発性有機物を含有するガスを通気して排ガス中の揮発性
    有機物を除去し、前記散水により生じる前記充填材より
    剥離した微生物を含む汚泥混合液を前記充填塔の下に設
    けた受水部で受け、前記受水部で汚泥混合液を固液分離
    し、分離した上澄み液を循環させて前記充填材の散水に
    利用することを特徴とする生物学的な排ガス処理方法。
  2. 【請求項2】 微生物を保持させる充填材として、内部
    に連通空間を有するスポンジを用いることを特徴とする
    請求項1に記載の排ガス処理方法。
  3. 【請求項3】 充填材が充填されている充填塔の断面積
    に対する散水速度を、少なくとも0.02m3 /m2
    分以上、1時間毎に少なくとも2分間以上継続させるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排ガス
    処理方法。
  4. 【請求項4】 充填層に供給される揮発性有機物の負荷
    量に対応して、散水する水に窒素源及びリン源を供給す
    ることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか
    1項に記載の排ガス処理方法。
  5. 【請求項5】 流入ガス中の全炭化水素濃度を測定し
    て、その値に一定の値を乗じて、散水する水に添加する
    窒素及びリン酸の供給量を算出することを特徴とする請
    求項4に記載の排ガス処理方法。
  6. 【請求項6】 固液分離した上澄み液または散水前の循
    環水の窒素またはリン濃度を測定し、予め設定した範囲
    値を越えたときに窒素源またはリン源を前記上澄み液ま
    たは循環水に加えるように制御することを特徴とする請
    求項4に記載の排ガス処理方法。
  7. 【請求項7】 充填塔内の充填層に、微生物を保持でき
    る充填材を充填し、前記充填層上部に散水部を配備し、
    充填塔の下部に受水部を設けると共に、前記散水部と受
    水部とを循環水管で連絡し、揮発性有機物を含有する排
    ガスを循環水と前記充填層においてカウンターフローま
    たはクロスフローで接触させるように構成し、上清液を
    循環させるための循環水の取水口を受水部の上部に設置
    し、剥離されて受水槽底部に沈澱している汚泥を排水と
    共に系外に排出するための排水口を受水槽底部に設置し
    たことを特徴とする排ガス処理装置。
  8. 【請求項8】 前記充填層に充填する、微生物を保持で
    きる充填材として、内部に連通空間を有するスポンジを
    用いることを特徴とする請求項7に記載の排ガス処理装
    置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100331340B1 (ko) * 1999-03-18 2002-04-03 윤영중 미생물을 이용한 악취 및 휘발성 유기화합물(voc) 제거장치
JP2008114168A (ja) * 2006-11-06 2008-05-22 Hitachi Plant Technologies Ltd Vocガスの処理装置
JP2009006290A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Hitachi Plant Technologies Ltd Vocガスの処理方法
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CN113058407A (zh) * 2021-03-12 2021-07-02 上海蓝宇水处理股份有限公司 医疗废气回收利用系统

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