JPH1074621A - 超電導体の着磁方法及び超電導磁石装置 - Google Patents

超電導体の着磁方法及び超電導磁石装置

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JPH1074621A
JPH1074621A JP24914596A JP24914596A JPH1074621A JP H1074621 A JPH1074621 A JP H1074621A JP 24914596 A JP24914596 A JP 24914596A JP 24914596 A JP24914596 A JP 24914596A JP H1074621 A JPH1074621 A JP H1074621A
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refrigerant
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徹雄 岡
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陽介 柳
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雅章 吉川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 捕捉可能磁場特性に優れた超電導体に,コン
パクトな装置で高い磁場を捕捉させることができる,超
電導体の着磁方法及び超電導磁石装置を提供すること。 【解決手段】 超電導体の中心部分の温度T0 を超電導
遷移温度TC 以下となすと共に,周辺部分の温度は中心
部分の温度T0 よりも高い温度T3 となしておき,超電
導体にパルス磁場を印加する。次いで超電導体全体の温
度を上記T0 に近づけてパルス磁場を再び印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,バルク形状(塊状)の超電導体
に高い磁場を捕捉させて磁石として用いる場合の,超電
導体の着磁方法及び超電導磁石装置に関する。
【0002】
【従来技術】例えば,溶融法により作製されたRE−B
a−Cu−O系(REはY又は希土類元素)の高温超電
導体は1T(テスラ)を越える大きな磁場を捕捉するこ
とができ,従来の永久磁石を凌ぐ性能の磁石となること
が知られている。この超電導体を簡便に着磁する方法と
しては,例えば特開平6−168823号公報(文献
1),Japanease Jounal of Ap
pliedPhysics Vol35(1996)
p.p.2114−2125(文献2),特願平8−1
80058号(文献3)に記載されているごとく,パル
ス磁場を超電導体に印加する方法(パルス着磁法)が開
示されている。
【0003】即ち,上記文献1,2によれば,高温超電
導体を液体窒素で77Kに冷却した後,高温超電導体の
周囲に配置した着磁コイルにパルス電流を通電すること
により超電導体に図8に示すごときパルス磁場Pを印加
する。これにより,超電導体は,いわゆるピン止め力に
よって磁場を捕捉して強力な磁石となる。このパルス着
磁法によれば,従来の他の方法(FC法,ZFC法)に
比べて非常に簡便に超電導体に着磁することができ,こ
の方法を利用した超電導磁石装置はコンパクトにするこ
とができる。
【0004】また,文献2においては,超電導体に最大
の磁場を捕捉させるためには,印加するパルス磁場の大
きさに最適値(最適印加磁場)があることが報告されて
いる。また,パルス着磁法における最適印加磁場は,磁
場をかけずに冷却した後静磁場を印加する方法(ZFC
法)における最適印加磁場より大きくなることが報告さ
れている。また,文献3には,液体窒素に代えて冷凍機
を用いて超電導体を冷却する方法が示されている。
【0005】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来のパ
ルス着磁法において従来よりもさらに強力な磁石を得よ
うとする場合には,次のような問題点がある。この問題
点を明らかにするために,超電導体が磁場を捕捉するメ
カニズムをあらためて簡単に説明する。まず,超電導体
は,超電導遷移温度TC 以下の温度において,臨界電流
密度JC によって決定されるピン止め力により磁束を捕
捉することができる。このピン止め力によって捕捉可能
な磁束の密度(捕捉可能磁場)は,図9(a)に示すご
とく,超電導体の幅方向において,端部を原点として一
定の勾配Qを持って分布し,中心部分が最も高くなると
いう特性がある。
【0006】また,上記ピン止め力を決定する臨界電流
密度JC は,超電導体の材料固有の特性の一つであり,
一般的に低温になるほど向上するものである。そのた
め,超電導体を低温化すれば,臨界電流密度JC によっ
て決定されるピン止め力も向上し,上記の捕捉可能磁場
の分布の勾配は急峻となり(Q→R),さらに中心部分
の捕捉可能磁場が高くなる。
【0007】次に,超電導体が実際に捕捉できる磁場
は,超電導体内に侵入した磁束の密度(侵入磁場)を越
えることはできない。従って,超電導体が実際に捕捉す
る磁場(捕捉磁場)を高めるためには超電導体の中心部
分にできるかぎり高い磁場を侵入させる必要がある。一
方,パルス着磁法により超電導体内に侵入する侵入磁場
Sの分布は,図9(b)に示すごとく,また文献1〜3
にも示されているように,上記の捕捉可能磁場Rの分布
とは逆形状の分布となり,超電導体の端部が最も高く,
中心部分が最も低い分布形状となる。
【0008】そのため,図10(a)に示すごとく,捕
捉可能磁場Rの分布を越える十分な侵入磁場Sの分布を
付与できた場合には,最大限の捕捉磁場Bが得られる。
一方,図10(b)に示すごとく,超電導体に付与した
侵入磁場Sの分布が超電導体の中心部分において捕捉可
能磁場Rを越えない場合には,特に中心部分の捕捉磁場
Bが低くなってしまう。
【0009】以上のような特性を有する超電導体を従来
よりも強力な磁石とするためには,超電導体の捕捉可能
磁場を高めることと,これに対応する侵入磁場が得られ
る高いパルス磁場を印加することが必要である。超電導
体の捕捉可能磁場を高めるためには,超電導体の大径
化,超電導体自体の組織制御による臨界電流密度JC
向上,超電導体の低温化による臨界電流密度JC の向上
等の方法がある。
【0010】一方,パルス着磁法において従来よりも高
い磁場を印加するためには,着磁コイルの巻数を多くし
たり,パルス電流を供給する電源を大型化したり,さら
には,大きな電磁力に耐えうるように着磁コイル全体を
頑丈な構造にする必要がある。このようなことは,パル
ス着磁法が他のZFC法等よりも簡便な装置で容易に超
電導体を着磁できるという大きな特徴を損なってしま
う。
【0011】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,捕捉可能磁場特性の優れた超電導体に,
コンパクトな装置で高い磁場を捕捉させることができ
る,超電導体の着磁方法及び超電導磁石装置を提供しよ
うとするものである。
【0012】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,超電導体の中心
部分の温度T0 を超電導遷移温度TC 以下となすと共
に,周辺部分の温度は上記中心部分の温度T0 よりも高
い温度T3 となしておき,上記超電導体にパルス磁場を
印加し,次いで上記超電導体全体の温度を上記T0 に近
づけてパルス磁場を再び印加することを特徴とする超電
導体の着磁方法にある。
【0013】本発明において最も注目すべきことは,上
記超電導体への最初のパルス磁場の印加の際には,超電
導体の中心部分の温度T0 を超電導遷移温度TC 以下と
なすと共に,周辺部分の温度は上記中心部分の温度T0
よりも高い温度T3 となしておくことである。
【0014】次に,本発明の作用につき説明する。本発
明においては,まず,上記超電導体の中心部分の温度T
0 よりも周辺部分の温度T3 を高くした状態にする。こ
の場合には,前述した臨界電流密度Jc 等の性質によっ
て,あたかも超電導体の外径が小さくなったような状態
となる。
【0015】即ち,中心部分よりも温度が高い周辺部分
は,臨界電流密度Jc が中心部分よりも低くなり,ピン
止め力も小さくなる。ピン止め力が小さくなると,印加
された磁場の侵入が容易となる(図2(a),図5
(a))。そのため,上記のごとき温度分布を有する超
電導体にパルス磁場を印加すると,超電導体全体が上記
温度T0 と均一な温度分布にある場合よりも(図2
(b),図5(b)),中心部分に強い印加磁場が侵入
する。そのため超電導体の中心部分には,従来よりも強
い磁場が捕捉される(図2(a),図5(a))。
【0016】ただしこの時点においては,ピン止め力の
小さい周辺部分は,強い磁場が侵入しても捕捉磁場は小
さい(図2(a),図5(a))。次いで,中心部分に
強い磁場を捕捉している超電導体の温度を,全体的に中
心部分の温度T0 に近づける。これにより,上記超電導
体周辺部分の臨界電流密度JC は向上し,そのピン止め
力は中心部分と同等となる。そのため,この状態におい
て再び超電導体にパルス磁場を印加すると,最初の捕捉
磁場を維持したまま周辺部分にさらに強い磁場が捕捉さ
れる。
【0017】それ故,本発明においは,捕捉可能磁場特
性に優れた超電導体に対して最適印加磁場を付与できな
い場合においても,超電導体に高い磁場を捕捉させるこ
とができる。
【0018】また,請求項2の発明のように,上記温度
3 は,T3 >TC の関係にあることが好ましい。この
場合には,温度T3 になった周辺部分を常電導状態にす
ることができる。そのため,周辺部分には印加された磁
場が最大限侵入し,中心部分に侵入する磁場をさらに大
きくすることができる(図2(a))。
【0019】また,請求項3の発明のように,上記温度
3 は,TC ≧T3 >T0 の関係にあってもよい。即
ち,T3 は上記のごとくTC 以上であることが好ましい
が,TC とT0 の温度差が大きい場合には,周辺部分の
温度T3 をTC 以上にすることが困難な場合がある。し
かしながらこの場合においても,少なくともT3 >T0
であれば,周辺部分のピン止め力の低下を図ることがで
き,中心部分への侵入磁場の増加による捕捉磁束密度の
増加を図ることができる。
【0020】次に,上記超電導体の着磁方法を利用した
超電導磁石装置として次の装置がある。即ち,請求項4
の発明のように,断熱容器内に配設された超電導体と,
該超電導体を冷却するための冷却装置と,上記超電導体
にパルス磁場を印加するための着磁コイルと,上記超電
導体を加熱するためのヒータとからなることを特徴とす
る超電導磁石装置がある。
【0021】本発明の超電導磁石装置において最も注目
すべきことは,上記超電導体を加熱するための上記ヒー
タを有することである。このヒータとしては,マンガニ
ン線等のヒータを用いることができる。
【0022】また,上記断熱容器は,外部からの熱の侵
入を極力防いで上記超電導体の温度の上昇を防止し,か
つ超電導体の冷却を容易にするためのものである。具体
的には,例えば,輻射シールド板を備えた真空断熱槽と
いった本格的な断熱対策を施したものがある。また,例
えば,単にFRPや発泡スチロールといった熱伝導度の
極めて低い材料を構成材料として用いた簡便なものもあ
る。
【0023】上記着磁コイルは,鋸波,矩形波,正弦
波,コンデンサ放電波形等の種々の波形の単発又は複数
の短時間電流(パルス電流)を通電することにより,パ
ルス磁場を発生するものである。例えばコンデンサ放電
を利用する場合には,着磁コイルの寸法,コイルの巻
数,全回路の抵抗・インダクタンス・静電容量等を調整
することによりパルス磁場の大きさやパルスの立ち上が
り時間を制御することができる。
【0024】また,着磁コイルの材質は,パルス通電時
の発熱をヒータによる加熱と同じように利用する場合に
は適当な抵抗率を持った常電導体が,発熱を抑える場合
には低抵抗の銅やアルミニウムもしくは超電導体が用い
られる。また,着磁コイルの配置は,上述した文献1,
2に示されているごとく,上記断熱容器の中に超電導体
と共に収納されていてもよいし,文献3に示されている
ごとく,上記断熱容器の外に配設してあってもよい。ま
た,着磁コイルは,必ずしも上記超電導体の周囲にある
必要はなく,超電導体の上面又は下面の少なくとも一部
分に対向していればよい。
【0025】上記冷却装置は,上記超電導体を直接冷却
するものであって,後述するごとく,種々の構成をとる
ことができる。また,上記超電導体は,バルク形状(塊
状)であり,その形状は,円柱状,角柱状等,種々の形
状をとることができる。また,上記超電導体は,いわゆ
るピン止め点を有するものであって,例えば後述する高
温超電導体を用いる。
【0026】次に,本発明の超電導磁石装置の作用につ
き説明する。本発明の装置において超電導体を着磁する
際には,まず,上記冷却装置によって超電導体全体を中
心部分の温度T0 にする。次いで,上記ヒータによって
超電導体の周囲を加熱する。これにより,一般的に熱伝
導性がわるい超電導体は,その周辺部分のみが温度T3
に温度上昇し,中心部分はしばらくの間は上記T0 を維
持することができる。
【0027】そして,この状態において上記着磁コイル
によって超電導体にパルス磁場を印加する。これによ
り,上記のごとく,超電導体の中心部分に強い磁場が捕
捉されれる。次いで,上記ヒータによる加熱を止め,上
記冷却装置によって超電導体全体を温度T0 に近づけ
る。そして,再び上記着磁コイルによって超電導体にパ
ルス磁場を印加する。これにより,上記のごとく,超電
導体の周辺部分の捕捉磁場が増加する。
【0028】このように,本発明の超電導磁石装置によ
れば,上記の超電導体の着磁方法を確実かつ容易に実施
することができる。また,本発明の超電導磁石装置は,
上記のごとく簡単な構成であるため非常にコンパクトに
することができる。それ故,本発明の超電導磁石装置
は,種々の機器における磁石装置として有効に利用する
ことができる。
【0029】また,請求項5の発明のように,上記冷却
装置は冷凍機であり,該冷凍機には上記超電導体を冷却
するためのコールドヘッドを設けることができる。この
場合には,超電導体の冷却を効率よく,かつ精度よく行
うことができ,上記の超電導体の着磁方法の効果を十分
に発揮させることができる。
【0030】また,請求項6の発明のように,上記冷却
装置は冷媒循環型の冷却装置であり,該冷却装置は,上
記超電導体と冷媒とを収納した冷媒容器と,該冷媒容器
に冷媒移送管を介して連結された冷媒冷却装置とよりな
り,該冷媒冷却装置により冷却した冷媒を上記冷媒容器
内との間に循環させるように構成することもできる。
【0031】この場合には,冷媒の性質を利用して精度
の高い温度制御を行うことができる。また,上記冷媒と
しては,例えば,酸素,窒素,ネオン,水素,ヘリウム
等の液体もしくは気体を用いる。
【0032】また,請求項7の発明のように,上記冷却
装置は冷媒貯留型の冷却装置であり,該冷却装置は,上
記超電導体と冷媒とを収納した冷媒容器と,該冷媒容器
内の上記冷媒の蒸気圧を調整するための排気装置とを有
する構成をとることもできる。この場合には,装置構成
を簡単にすることができる。
【0033】また,請求項8の発明のように,上記超電
導体は,RE−Ba−Cu−O系(ここに,REはY,
希土類元素,又はこれらの元素の組み合わせ)であるこ
とが好ましい。RE−Ba−Cu−O系の超電導体は,
いわゆるピン止め点を無数に有し,かつ比較的高温にお
いて超電導状態となる。そのため,比較的高温域におい
て用いる超電導磁石として非常に優れた性能を発揮させ
ることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる超電導体の着磁方法を利用
した超電導磁石装置につき,図1〜図4を用いて説明す
る。本例の超電導磁石装置1は,図1に示すごとく,断
熱容器2内に配設された超電導体10と,該超電導体1
0を冷却するための冷却装置としての冷凍機3と,超電
導体10にパルス磁場を印加するための着磁コイル4
と,超電導体10を加熱するためのヒータ5とからな
る。
【0035】超電導体10は半径aの円盤形状であっ
て,その材質としてはRE−Ba−Cu−O系(ここ
に,REはY,希土類元素,又はこれらの元素の組み合
わせ)を用いた。そして,図1に示すごとく,超電導体
10の外周を囲むようにヒータ5を配設してある。ヒー
タ5には,マンガニン線を用いた。
【0036】断熱容器2は,図1に示すごとく,FRP
を用い,超電導体10と,後述する冷凍機3のコールド
ヘッド31とを収納している。断熱容器2内部は,外部
からの熱の侵入をできる限り防ぐべく,真空状態にして
ある。着磁コイル4は,図1に示すごとく,超電導体1
0の周囲に位置するように,上記の断熱容器2の外部に
配設してある。また,着磁コイル4は,コンデンサ放電
を利用したパルス電源41に電気的に接続されている。
【0037】本例における冷却装置は,図1に示すごと
く,コンプレッサ32,コールドヘッド31を有する冷
凍機3よりなる。コールドヘッド31は,熱を奪って冷
却する部分であって,熱伝導性に優れた銅部材35を介
して超電導体10に連結してある。
【0038】次に,本例の超電導磁石装置1を用いて超
電導体10を着磁する手順につき説明する。超電導体1
0を着磁するに当たっては,まず,冷凍機3を作動させ
て超電導体10を全体的に超電導遷移温度TC 以下の温
度T0 に冷却する。次いで,ヒータ5を作動させて超電
導体10の周辺部分を超電導遷移温度TC よりも高い温
度T3 まで加熱する。
【0039】加熱直後の超電導体10内部の温度Tの分
布を図2(a)上図に示す。同図は,横軸に超電導体1
0の半径方向の位置,縦軸に温度をとってある。同図よ
り知られるごとく,本例の超電導体10は熱伝導率が低
いため,周辺部分の温度がT3 になっても,中心部分の
温度はしばらくの間T0 に保持された状態となる。
【0040】次いで,この状態において,超電導体10
に強さ6のパルス磁場(図8)を印加する。超電導体1
0内に侵入した侵入磁場S1 の分布を図2(a)下図に
示す。同図は,横軸に超電導体10の半径方向の位置,
縦軸に磁束密度をとってある。同図より知られるごと
く,超電導体10内に侵入した侵入磁場S1 分布は,温
度が超電導遷移温度TC 以上の周辺部分Eにおいては,
印加した強さ6そのままの値になる。そして,超電導遷
移温度TC 以下になった部分から徐々に侵入磁場が小さ
くなる。この侵入磁場S1 分布は,全体が温度T0 の場
合に同じ強さのパルス磁場を印加した場合に侵入する侵
入磁場S2 (図2(b)下図)よりも大きい。
【0041】また,この温度状態における超電導体10
の捕捉可能磁場R1 の分布を図2(a)下図に示す。同
図より知られるごとく,捕捉可能磁場R1 は,周辺部分
Eはピン止め力がないため,あたかも外径が小さくなっ
た様に分布する。そして,捕捉可能磁場R1 分布は侵入
磁場S1 分布に含有されるため,捕捉される磁場B
1は,捕捉可能磁場R1 そのものの強さとなる。
【0042】次いで,ヒータ5による超電導体10の加
熱を止め,図2(b)上図に示すごとく,再び冷凍機3
によって超電導体10を全体的に温度T0 に冷却する。
そして,この状態において再び着磁コイル4によって超
電導体10にパルス磁場を印加する。超電導体10内に
侵入した侵入磁場S2 の分布を図2(b)下図に示す。
同図より知られるごとく,超電導体10内に侵入した侵
入磁場S2 分布は,超電導体10の端部から中心に向か
って減少する放物線状となる。この侵入磁場S2 分布
は,先回(第1回目のパルス磁場印加時)の侵入磁場S
1 分布(図2(a))よりも全体的に小さくなる。
【0043】また,この温度状態における超電導体10
の捕捉可能磁場R2 分布を図2(b)下図に示す。同図
より知られるごとく,今回の捕捉可能磁場R2 は先回の
捕捉磁場R1 よりも大きくなる。そして,捕捉磁場R2
分布の中心部分は,侵入磁場S2 分布を越えてしまう。
そのため,今回の侵入磁場S2 によって捕捉された磁場
2 は,超電導体10の周辺部分においてのみ増加し,
中心部分は先回の状態が維持される。したがって,最終
的に捕捉された磁場分布Bは,図3(a)に示すごとき
形状となる。
【0044】これに対し,従来の方法,即ち超電導体1
0の温度を全体的にT0 にした状態においてパルス磁場
を1回印加した場合の捕捉磁場Bの分布を図4に示す。
図4と図3(a)との比較より知られるように,本例に
おいて着磁された超電導体10は,その中心部分の捕捉
磁場密度が大幅に増加し,さらに強力な磁石となること
がわかる。尚,本例により得られた捕捉磁場Bは,図3
(b)に示すごとく,経時的に若干平準化される。
【0045】実施形態例2 本例においては,図5(a)上図に示すごとく,上記の
実施形態例1における第1回目のパルス磁場印加の際の
超電導体の周辺部分の加熱温度T3 をTC 以下の温度に
した。その他,超電導磁石装置,着磁手順等については
実施形態例1と同様にした。
【0046】本例における第1回目のパルス磁場印加の
際の超電導体10内の温度分布Tのに対応する侵入磁場
1 ,捕捉可能磁場R1 ,捕捉磁場B1 を図5(a)下
図に示す。同図より知られるごとく,本例における侵入
磁場S1 は,実施形態例1の場合に比べて周辺部分が若
干小さくなるため全体的に実施形態例1よりも小さくな
る。しかしながら,この場合においても,超電導体10
の温度が全体的にT0の場合(図5(b))に比べる
と,依然大きな磁場が侵入する。
【0047】そのため,図5(a)に示すごとく,第1
回目のパルス磁場の印加によって,特に中央部分に強い
捕捉磁場B1 が得られる。次いで,第2回目のパルス磁
場の印加によって,実施形態例1と同様に,周辺部分の
捕捉磁場B2 が増加する。それ故,本例においても,全
体として従来よりも大きな磁場を超電導体10に捕捉さ
せることができる。その他,実施形態例1と同様の作用
効果が得られる。
【0048】実施形態例3 本例の超電導磁石装置104は,図6に示すごとく,超
電導体10の冷却装置として,冷媒循環型の冷却装置7
を用いた。この冷媒循環型の冷却装置7は,ヒータ5に
囲まれた超電導体10及び着磁コイル4と冷媒9とを収
納した冷媒容器71と,これに冷媒移送管72を介して
連結された冷媒冷却装置73とよりなる。
【0049】そして,冷媒冷却装置73により冷却した
冷媒9を冷媒容器71内との間に循環させるように構成
してある。また,冷媒容器71は,真空状態に減圧した
真空層75を介して真空容器76に収納されている。こ
れら,真空容器76,真空層75,冷媒容器71が断熱
容器204を構成している。
【0050】また,本例における冷媒9としては,液体
窒素を用いている。そのため,超電導体10の温度を,
液体窒素の沸点である77K以下に精度良く制御するこ
とができる。その他は,実施形態例1と同様の作用効果
が得られる。
【0051】実施形態例4 本例の超電導磁石装置105は,図7に示すごとく,超
電導体10の冷却装置として,冷媒貯留型の冷却装置8
を用いた。この冷媒貯留型の冷却装置8は,ヒータ5に
囲まれた超電導体10及び着磁コイル4と冷媒9とを収
納した冷媒容器81と,冷媒容器81内の冷媒9の蒸気
圧を調整するための真空排気装置83とを有する。
【0052】冷媒容器81と真空排気装置83との間
は,排気間82により連結してあり,排気管82には,
圧力計821を配設してある。また,冷媒容器81は,
真空状態に減圧した真空層85を介して真空容器86に
収納されている。これら,真空容器86,真空層85,
冷媒容器81が断熱容器205を構成している。
【0053】本例の場合には,上記の真空排気装置83
により冷媒容器内の蒸気を排気することにより,冷媒9
の蒸発が促され,その蒸発熱によって冷媒9の温度を低
下させることができる。したがって,冷媒9の温度制
御,即ち超電導体10の温度制御を容易に行うことがで
きる。その他は,実施形態例1と同様の作用効果を得る
ことができる。
【0054】
【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,捕捉可
能磁場特性に優れた超電導体に,コンパクトな装置で高
い磁場を捕捉させることができる,超電導体の着磁方法
及び超電導磁石装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1の超電導磁石装置の構成を示す説
明図。
【図2】実施形態例1における,(a)第1回目のパル
ス磁場印加時,(b)第2回目のパルス磁場印加時,の
超電導体の温度,侵入磁場,捕捉可能磁場,捕捉磁場の
分布を示す説明図。
【図3】実施形態例1における,(a)最終的に捕捉さ
れた磁場分布,(b)経時的に変化した捕捉磁場分布,
を示す説明図。
【図4】実施形態例1における,比較例の捕捉磁場密度
を示す説明図。
【図5】実施形態例2における,(a)第1回目のパル
ス磁場印加時,(b)第2回目のパルス磁場印加時,の
超電導体の温度,侵入磁場,捕捉可能磁場,捕捉磁場の
分布を示す説明図。
【図6】実施形態例3の超電導磁石装置の構成を示す説
明図。
【図7】実施形態例4の超電導磁石装置の構成を示す説
明図。
【図8】従来例における,パルス磁場を示す説明図。
【図9】従来例における,(a)捕捉可能磁場分布,
(b)侵入磁場分布,を示す説明図。
【図10】従来例における,(a)最適印加磁場を印加
した場合,(b)最適印加磁場に満たない磁場を印加し
た場合,の捕捉磁場を示す説明図。
【符号の説明】
1,104,105...超電導磁石装置, 10...超電導体, 2,204,205...断熱容器, 3...冷凍機, 31...コールドヘッド, 4...着磁コイル, 5...ヒータ, 7...冷媒循環型の冷却装置, 8...冷媒貯溜型の冷却装置, 9...冷媒,
フロントページの続き (72)発明者 吉川 雅章 愛知県刈谷市八軒町5丁目50番地 株式会 社イムラ材料開発研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超電導体の中心部分の温度T0 を超電導
    遷移温度TC 以下となすと共に,周辺部分の温度は上記
    中心部分の温度T0 よりも高い温度T3 となしておき,
    上記超電導体にパルス磁場を印加し,次いで上記超電導
    体全体の温度を上記T0 に近づけてパルス磁場を再び印
    加することを特徴とする超電導体の着磁方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記温度T3 は,T
    3 >TC の関係にあることを特徴とす超電導体の着磁方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1において,上記温度T3 は,T
    C ≧T3 >T0 の関係にあることを特徴とする超電導体
    の着磁方法。
  4. 【請求項4】 断熱容器内に配設された超電導体と,該
    超電導体を冷却するための冷却装置と,上記超電導体に
    パルス磁場を印加するための着磁コイルと,上記超電導
    体を加熱するためのヒータとからなることを特徴とする
    超電導磁石装置。
  5. 【請求項5】 請求項4において,上記冷却装置は冷凍
    機であり,該冷凍機には上記超電導体を冷却するための
    コールドヘッドを設けていることを特徴とする超電導磁
    石装置。
  6. 【請求項6】 請求項4において,上記冷却装置は冷媒
    循環型の冷却装置であり,該冷却装置は,上記超電導体
    と冷媒とを収納した冷媒容器と,該冷媒容器に冷媒移送
    管を介して連結された冷媒冷却装置とよりなり,該冷媒
    冷却装置により冷却した冷媒を上記冷媒容器内との間に
    循環させるように構成してあることを特徴とする超電導
    磁石装置。
  7. 【請求項7】 請求項4において,上記冷却装置は冷媒
    貯留型の冷却装置であり,該冷却装置は,上記超電導体
    と冷媒とを収納した冷媒容器と,該冷媒容器内の上記冷
    媒の蒸気圧を調整するための排気装置とを有することを
    特徴とする超電導磁石装置。
  8. 【請求項8】 請求項4〜7のいずれか1項において,
    上記超電導体は,RE−Ba−Cu−O系(ここに,R
    EはY,希土類元素,又はこれらの元素の組み合わせ)
    であることを特徴とする超電導磁石装置。
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