JPH107449A - 補強筋入り粘土焼成物 - Google Patents

補強筋入り粘土焼成物

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JPH107449A
JPH107449A JP17843596A JP17843596A JPH107449A JP H107449 A JPH107449 A JP H107449A JP 17843596 A JP17843596 A JP 17843596A JP 17843596 A JP17843596 A JP 17843596A JP H107449 A JPH107449 A JP H107449A
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clay
reinforcing bars
product
fired
concrete
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JP17843596A
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Nobuyuki Sakamoto
伸之 坂本
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TOUYOKO KIKAKU KK
Original Assignee
TOUYOKO KIKAKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プランターを始めとして従来はコンクリート
やFRP等で製造されていた大型のエクステリア製品等
に代わり得る趣味性の高い焼き物製品の提供。 【解決手段】 内部にメッシュ状に形成された補強筋1
0を配筋して所定形状に成型された粘土成型物を焼成し
て製造する。例えば、プランターA、ギリシャ風の石柱
を模したインテリア製品、階段、手摺、暖炉、偽岩、山
留め擁護壁等の種々の物に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘土焼成物、いわ
ゆる焼き物でできたインテリア、或はエクステリア等の
製品に関し、特に補強筋を入れて大型化を可能とし、従
来のコンクリート製品やFRP製品などに代って、焼き
物独特の質感や趣味性が得られるようにしたものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、粘土成型物を焼成して造られ
る陶磁器等は、食器を始めとして、絵皿や花器、壺等で
代表されるように、余り大きなものは造られていない。
土木で使用される陶管を除けば、比較的身近で大きなも
のといえば、陶製のかさ立てやテラコッタ、或は一般に
衛生陶器等と呼ばれているものが思い付く程度である。
陶磁器等の焼き物の持つ独特の質感と趣味性は、インテ
リアやエクステリア等の分野に本来的には向いている
が、大型の粘土成型物の製造が困難である等の理由で、
一般的には余り大きなものは造られていない。一方、建
築、或はインテリア、エクステリア等の分野で使用され
る大型のものは、価格や製造し易さ等の面もあってコン
クリート製品が多用されている。コンクリートの地肌を
そのまま生かす場合もあるが、タイル等を外面に張って
外観性を整えている場合が多い。また、コンクリート製
品はともすれば大重量となるため、FRP等の素材を使
用して製品の軽量化、量産化、及び低価格化も併せて図
られている。
【0003】道路沿いに草花等が植えられている据え置
き用のプランターも、そのようなコンクリート製品の一
つである。家庭園芸用のプランターは、手で持ち運び等
できるようにFRP等の軽量素材で製造されたものが多
い。また、近年の生活様式の多様化とともに、一般個人
向け住宅等でも欧風デザインの建築が採用され、それに
合わせて欧風調のインテリアやエクステリア製品が好ま
れている。ギリシャ神殿風の石柱を模したインテリアや
エクステリア等にも人気がある。さらには、そのインテ
リア性に着目されて、本来は暖房用に耐火煉瓦等を使っ
て造られる暖炉が、その外観デザインのみを借用され
て、コンクリートやその他の低価格素材で製造されたも
のが市販されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、プラン
ターを始めとして、インテリアやエクステリア等の分野
でコンクリート製品やFRP製品が多用されている。コ
ンクリート素材は、壊れにくく頑丈ではあるが、打ち放
し状態の地肌そのものが有する質感は、余り趣味性の高
いインテリア等には向かない。そのため、コンクリート
製品の外面部分に陶製のタイルを張ったり、或は彩色を
施したりする場合がある。しかし、いずれにしても手間
がかかり、また、コンクリート自体の有する質感等を隠
せる程には至らない場合が多い。また、量産効果が高
く、軽量で低価格に提供できるという面からは、コンク
リートに代えてFRP製の製品も受け入れられてはいる
が、往々にして重量感に乏しく、安っぽく見えるという
難点がある。
【0005】一方、趣味性が求められる分野では、粘土
成型物の焼成品たる焼き物の質感や外観等が一般に高い
評価を得ている。そこで、本出願人は、プランターを始
めとして、従来はコンクリートやFRP等で製造されて
いた大型のものを、焼き物で製造できないかと考えた。
しかし、上記陶磁器製品等を含めて粘土焼成品の製造工
程では、焼成前に一度粘土成型物を乾燥させなければな
らない。乾燥前の粘土成型物は、柔らかく形歪みを起こ
し易い。そのため、一般的には粘土成型物の焼成品(陶
磁器等を含む)の大型化は難しいと、当業界では考えら
れていた。増してやコンクリートで一体に大型化してな
る従来のインテリアやエクステリア製品を陶製に置き換
えるという発想は従来にはなかった。一方、従来のよう
に、陶製タイルをコンクリート製品の外面に張り込む等
の手法では、手間がかかり製品自体が高価なものとな
る。そこで、本願発明は、上記問題点に鑑み、従来のイ
ンテリアやエクステリア等で使用されているコンクリー
ト製品やFRP製品等に代わり得る趣味性の高い焼き物
(粘土成型物の焼成品)の製品を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本願請求項1に記載の発明は、内部に補
強筋を配筋して所定形状に成型された粘土成型物を焼成
してなる補強筋入り粘土焼成物である。さらに、請求項
2に記載の発明は、請求項1に記載の発明で、補強筋
を、粘土成型物の焼成温度にて劣化しない金属から形成
した。また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明で、補強筋は、予め配筋状態に合わせて曲げてお
いた補強筋を、型枠内の内面に沿って所定間隔離して保
持させた後、前記型枠内に粘土を入れてプレス成型する
ことにより、粘土成型物の内部に配筋させるようにし
た。
【0007】上記の構成の如く、粘土成型物内に補強筋
を配筋しておけば、粘土成型物を大型にしても、一連の
製造工程における乾燥前の歪み防止が図れる。また、か
かる補強筋は、粘土成型物の焼成後の強度補強の役目を
も果たす。粘土成型物の焼成温度は、少なくとも800
℃以上で行われるため、かかる焼成温度では熱酸化が進
み、通常の鉄筋ではいわゆる腐食により劣化してしま
う。そこで、補強筋には、粘土成型物の焼成温度で酸化
劣化しない材料を使用する必要がある。高温焼成後の補
強筋の劣化による粘土焼成物の強度低下を未然に防がな
ければならない。かかる補強筋としては、耐熱性高分子
や耐熱性繊維等の金属以外のものでも構わないが、例え
ば金属としては、ステンレス系耐熱スチールや、高価で
はあるが耐熱合金等を補強筋として使用できる。
【0008】補強筋は、使用する素材に合わせて、コン
クリート内に設ける鉄筋組のように配筋してもよいし、
或はメッシュ状に形成してもよい。また、粘土成型物の
種々の凹凸形状、或は形成空間等に応じて、適宜その部
分の配筋は省いてもよい。さらに、補強筋は、予め粘土
成型物に合わせて所定形状に曲げたり等して形成してお
き、これを成型用プレスの型枠内に入れ、その状態で従
来通りさらに粘土を型枠内に入れてプレスすればよい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について、以下
図により説明する。本実施形態では、本発明に係る補強
筋入り粘土焼成物として、図1に示すプランターAを例
にとり説明する。本実施形態のプランターAは、道路の
歩道等に沿って据え置く形式のもので、従来のコンクリ
ート製品同様の略箱形に造られている。本実施形態で
は、高さ450mm、巾450mm、長さ900mmの
大きさの粘土焼成品に造られ、外面には凹凸模様が一体
に設けられている。外面には釉薬が施され、焼き物独特
の質感や趣味性が出されている。
【0010】本実施形態で使用する補強筋10には、粘
土成型物の焼成温度で、酸化劣化しない材料として、耐
熱性のステンレススチールが使用されている。ステンレ
ススチールの線材が格子状に組まれ、全体としてプラン
ターAの略箱形に合わせた略籠状に曲げ形成されてい
る。略籠状の全体寸法は、プランターAの底及び側壁内
部に丁度内在できる大きさに予め設定されている。かか
る略籠状に形成された補強筋10(図中、破線で表示)
を、図2(a)に示すように、外型枠20内に、外型枠
20の内面20aから少し離して保持させておく。本実
施形態では、補強筋10の保持には外型枠20の内壁か
ら細い金属線等でできたスペーサー21を突出させてお
き、このスペーサー21により補強筋10が外型枠20
内から所定間隔離されて保持されている。
【0011】その状態で粘土を外型枠20内に入れて、
図2(b)に示すように、内型枠30でプレスする。プ
レス後、外型枠20及び内型枠30を外せば、底部分及
び側壁の内部に補強筋10が配筋された略箱形のプラン
ターAの粘土成型物が成形される。尚、スペーサー21
によりできた脱型後の粘土成型物の微細孔は、簡単に粘
土で修復できる。また、上記補強筋10としては線膨張
率の小さいものを使用することが好ましい。より好まし
くは、図2(c)に示すように、補強筋を途中で分割し
(例えば、中央部分で分割)、両分割部分を互いに重ね
てその部分を軽く束ねておけば、その部分で補強筋10
の線膨張を適宜吸収することができる。そのため、粘土
成型物の焼成時等の型歪み、或はクラックの発生等をよ
り効果的に防止することができる。
【0012】かかる粘土成型物を乾燥させ、その後窯内
で焼成してプランターAが製造されている。粘土成型物
の焼成方法には、一度焼きと二度焼きがあるが、本実施
形態では、二度焼きで行われている。粘土成型物を乾燥
後予め焼成し、これに釉薬を施して再び焼成して、粘土
焼成品が造られている。焼成は、使用する粘土の組成に
もよるが、本実施形態では、1000℃以上の焼成温度
を使用して、陶製のプランターAに造られている。焼成
温度をもっと低くして、素焼きの地肌を有するプランタ
ーAにすることもできる。また、焼成温度をさらに高温
にして、釉薬を適宜変えることにより、磁器様のプラン
ターAにすることもできる。
【0013】さらに、本実施形態では、プランターAの
正面中央に平面状のマーク絵付け部40が設けられ、適
宜種々のマークを焼き込むことができるようになってい
る。例えば、マーク絵付け部40に、従来の絵付け作業
により市章等の標章を描き込み、その後釉薬等を施して
再度焼きつければよい。或は、プランターAの周囲側面
に装飾的な絵付け作業を行って、焼成温度より低い温度
で上絵焼きすれば、種々模様のプランターAが製造でき
る。上記箱形以外にも、図1(b)に示すように、丸形
に形成することもできる。底及び周壁内に、配筋を施し
ておけばよい。
【0014】図3には、上記要領で製造可能な種々の粘
土焼成品のいくつかの例を示した。図3(a)には、外
観をギリシャ風の石柱に模したインテリア製品を示し
た。上記説明の要領で内部に補強筋を内在させた陶製の
ものである。重量の軽減を図るため、内部を抜いた中空
形状に形成され、補強筋は円筒状に形成された周壁内部
に設けられている。図3(b)には、上記要領で階段を
一段ずつ陶製のブロック状に形成したものである。かか
る陶製の階段は、コンクリート製の階段(図示省略)の
表面部分に載せて取り付ければよい。コンクリート階段
表面へのタイル張り作業を行なわずに、簡単に陶製表面
の階段ができる。また、図3(b)に示すように、階段
手摺も陶製にすることができる。所定長のユニットに形
成しておき、適宜数のユニットを継ぎ足すことにより、
所望長さの手摺にできる。
【0015】また、図3(c)には、踊場部分、或は上
階の張り出し部分の手摺を陶製にしたものを示してい
る。この手摺も規格長のユニットに形成しておき(図
中、実線で示した部分)、適宜ユニットを継ぎ足して
(図中、一点鎖線で示した部分)所定長さに構成すれば
よい。この手摺は、図中に示したように、図3(b)の
階段手摺とは異なり、手摺支柱間が空いた状態に形成さ
れている。補強筋(図示せず)は、適宜その空間部分を
除いて配筋しておけばよい。図3(d)には、本発明を
暖炉に適用した場合について示した。耐火煉瓦等を積み
上げたり等して造る正式のものに比べて、本実施形態の
ように予め暖炉部分を一体に陶製にしてしまえば、現場
に搬入して、土台上にほぼ据えつけるだけでよい。特
に、近年は実際に暖房用に使用しないで装飾目的として
設ける場合があるが、かかる場合には排煙ダクトとの接
続も考慮する必要がなく据えつけが簡単である。
【0016】本実施形態では、プランター、石柱、階
段、手摺、暖炉等に実施した場合を示したが、何らかか
る製品に限定する必要はない。例えば、擬岩、或は山留
め擁壁等に使用することもできる。さらには、陶板画に
使用することも可能である。従来は、粘土成型物が歪ん
でしまうため歪まない程度の大きさに区分して、それら
を繋ぎ合わせて形成していた陶板画も、補強筋が入った
本発明の粘土焼成品として製作すれば、一枚で大面積の
作品が造れる。また、上記実施形態では、プランター、
手摺等をそれぞれ別ものとして構成したが、例えば、手
摺の上部に一体にプランター部分を設けた構成にしても
構わない。両部分とも粘土焼成品であるため、水等を気
にせずに使用することができるので、花で飾った手摺が
容易に演出できる。このように、本願発明の特徴は、大
型化ができるように補強筋を入れた陶磁器等の粘土焼成
物であるから、できればかかる特徴を十分に生かして、
従来は大き過ぎて陶磁器等の分野では無理、或は小区分
に区切って作成した後で継ぎ足す等の方法で構成するし
かないと考えられていたものに適用することか好まし
い。
【0017】また、上記実施形態では、予め補強筋を曲
げておき、それを型枠内にセットした後粘土をプレス成
型する方法を使用したが、予め格子状或はメッシュ状に
構成した補強筋を粘土層の間に挟み込んでおいて、この
補強筋を挟み込んだ粘土層を型枠でプレス成型して、粘
土と補強筋との同時成型を行っても構わない。また、上
記実施形態では、スペーサーを使用して補強筋を外型枠
から所定間隔離して保持させる構成としたが、粘土成型
物の壁厚の半分程度を予め外型枠内に軽くプレス成型し
ておき、その後略籠状に構成した補強筋をセットし、さ
らに粘土を入れて本格的にプレスするようにしても構わ
ない。かかる方法では、スペーサーを介在させずに補強
筋入りの粘土成型物の成型ができる。上記実施形態で
は、補強筋を配筋させる構成としたが、例えば補強筋の
配筋とともに金属短線等を同時に粘土中に混在させるこ
とにより、さらなる強度確保を行っても構わない。ま
た、粘土や釉薬中に蛍光体を混在させて、製品全体が紫
外光等の照射により蛍光を発するようにさせることもで
きる。
【0018】
【発明の効果】本発明では、粘土成型物内には補強筋が
配筋されているため、従来では困難と考えられていた大
型成形物に陶磁器等の粘土焼成物が適用できる。そのた
め、特にコンクリートやFRP等の素材では、十分に出
し切れなかった質感や趣味性を持ったインテリアやエク
ステリア製品等の製造ができる。粘土成型物の大型化に
際しては、金属短線等を粘土中に混在させる場合に比べ
て、補強筋を配筋させた方が、型歪み及び焼成後の補強
効果等の点で優れている。また、本発明は、粘土焼成
物、いわゆる焼き物であるため、日本各地で伝統的にそ
れぞれ趣が異なる焼き物が造られているので、本願発明
の製品自体をそれぞれの焼き物産地での粘土を使用し
て、それぞれの手法、絵付け等を適用することにより、
極めて多種類の趣味性のあるインテリアや、或はエクス
テリア製品の開発が行える。また、コンクリート製品と
は異なり、釉薬をかけて焼成できるので、特にエクステ
リア等のように外に置く場合でも雨水が浸透せず、苔等
が付いたりせず長年月の使用でも汚れにくい。さらに、
素焼き部分と釉薬とを併用すれば、素焼き部分の従来製
品にない暖かみのあるやわらかみのある質感を生かすこ
とができる。また、素焼き部分の吸水性により苔等を生
やして、風情の演出もできる。FRP製品とは異なり重
量があるので、設置安定性がよい。さらに、従来のよう
にタイル等の小区分に区切ったものをコンクリート面に
張らずに、粘土焼成物として全体を一度に形成できるの
で、手間がかからず生産コストの低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る箱形のプランターの斜視図
(a)、丸形のプランターの使用状況を示した側面図
(b)。
【図2】本実施形態に係る箱形のプランターへの補強筋
の配筋手順を示す断面図(a)、(b)と、分割構造を
設けた補強筋の側面図(c)。
【図3】本発明を適用した石柱インテリアの側面図
(a)、階段及びその手摺を示す斜視図(b)、踊場部
分等の手摺を示す正面図(c)、及び暖炉を示す斜視図
(d)。
【符号の説明】
10 補強筋 20 外型枠 30 内型枠 40 マーク絵付け部 A プランター
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年10月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 補強筋入り粘土焼成物
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘土焼成物、いわ
ゆる焼き物でできたインテリア、或はエクステリア等の
製品に関し、特にメッシュ状に形成された補強筋を入れ
て大型化を可能とし、従来のコンクリート製品やFRP
製品などに代って、焼き物独特の質感や趣味性が得られ
るようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、粘土成型物を焼成して造られ
る陶磁器等は、食器を始めとして、絵皿や花器、壺等で
代表されるように、余り大きなものは造られていない。
土木で使用される陶管を除けば、比較的身近で大きなも
のといえば、陶製のかさ立てやテラコッタ、或は一般に
衛生陶器等と呼ばれているものが思い付く程度である。
陶磁器等の焼き物の持つ独特の質感と趣味性は、インテ
リアやエクステリア等の分野に本来的には向いている
が、大型の粘土成型物の製造が困難である等の理由で、
一般的には余り大きなものは造られていない。一方、建
築、或はインテリア、エクステリア等の分野で使用され
る大型のものは、価格や製造し易さ等の面もあってコン
クリート製品が多用されている。コンクリートの地肌を
そのまま生かす場合もあるが、タイル等を外面に張って
外観性を整えている場合が多い。また、コンクリート製
品はともすれば大重量となるため、FRP等の素材を使
用して製品の軽量化、量産化、及び低価格化も併せて図
られている。
【0003】道路沿いに草花等が植えられている据え置
き用のプランターも、そのようなコンクリート製品の一
つである。家庭園芸用のプランターは、手で持ち運び等
できるようにFRP等の軽量素材で製造されたものが多
い。また、近年の生活様式の多様化とともに、一般個人
向け住宅等でも欧風デザインの建築が採用され、それに
合わせて欧風調のインテリアやエクステリア製品が好ま
れている。ギリシャ神殿風の石柱を模したインテリアや
エクステリア等にも人気がある。さらには、そのインテ
リア性に着目されて、本来は暖房用に耐火煉瓦等を使っ
て造られる暖炉が、その外観デザインのみを借用され
て、コンクリートやその他の低価格素材で製造されたも
のが市販されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、プラン
ターを始めとして、インテリアやエクステリア等の分野
でコンクリート製品やFRP製品が多用されている。コ
ンクリート素材は、壊れにくく頑丈ではあるが、打ち放
し状態の地肌そのものが有する質感は、余り趣味性の高
いインテリア等には向かない。そのため、コンクリート
製品の外面部分に陶製のタイルを張ったり、或は彩色を
施したりする場合がある。しかし、いずれにしても手間
がかかり、また、コンクリート自体の有する質感等を隠
せる程には至らない場合が多い。また、量産効果が高
く、軽量で低価格に提供できるという面からは、コンク
リートに代えてFRP製の製品も受け入れられてはいる
が、往々にして重量感に乏しく、安っぽく見えるという
難点がある。
【0005】一方、趣味性が求められる分野では、粘土
成型物の焼成品たる焼き物の質感や外観等が一般に高い
評価を得ている。そこで、本出願人は、プランターを始
めとして、従来はコンクリートやFRP等で製造されて
いた大型のものを、焼き物で製造できないかと考えた。
しかし、上記陶磁器製品等を含めて粘土焼成品の製造工
程では、焼成前に一度粘土成型物を乾燥させなければな
らない。乾燥前の粘土成型物は、柔らかく形歪みを起こ
し易い。そのため、一般的には粘土成型物の焼成品(陶
磁器等を含む)の大型化は難しいと、当業界では考えら
れていた。増してやコンクリートで一体に大型化してな
る従来のインテリアやエクステリア製品を陶製に置き換
えるという発想は従来にはなかった。一方、従来のよう
に、陶製タイルをコンクリート製品の外面に張り込む等
の手法では、手間がかかり製品自体が高価なものとな
る。そこで、本願発明は、上記問題点に鑑み、従来のイ
ンテリアやエクステリア等で使用されているコンクリー
ト製品やFRP製品等に代わり得る趣味性の高い焼き物
(粘土成型物の焼成品)の製品を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本願請求項1に記載の発明は、内部に
ッシュ状に形成された補強筋を配筋して所定形状に成型
された粘土成型物を焼成してなる補強筋入り粘土焼成物
である。さらに、請求項2に記載の発明は、請求項1に
記載の発明で、補強筋を、粘土成型物の焼成温度にて劣
化しない金属から形成した。また、請求項3に記載の発
明は、請求項1に記載の発明で、補強筋は、予め配筋状
態に合わせて曲げておいた補強筋を、型枠内の内面に沿
って所定間隔離して保持させた後、前記型枠内に粘土を
入れてプレス成型することにより、粘土成型物の内部に
配筋させるようにした。
【0007】上記の構成の如く、粘土成型物内に補強筋
を配筋しておけば、粘土成型物を大型にしても、一連の
製造工程における乾燥前の歪み防止が図れる。また、か
かる補強筋は、粘土成型物の焼成後の強度補強の役目を
も果たす。粘土成型物の焼成温度は、少なくとも800
℃以上で行われるため、かかる焼成温度では熱酸化が進
み、通常の鉄筋ではいわゆる腐食により劣化してしま
う。そこで、補強筋には、粘土成型物の焼成温度で酸化
劣化しない材料を使用する必要がある。高温焼成後の補
強筋の劣化による粘土焼成物の強度低下を未然に防がな
ければならない。かかる補強筋としては、耐熱性高分子
や耐熱性繊維等の金属以外のものでも構わないが、例え
ば金属としては、ステンレス系耐熱スチールや、高価で
はあるが耐熱合金等を補強筋として使用できる。
【0008】補強筋は、使用する素材に合わせて、メッ
シュ状に形成されている。また、粘土成型物の種々の凹
凸形状、或は形成空間等に応じて、適宜その部分の配筋
は省いてもよい。さらに、補強筋は、予め粘土成型物に
合わせて所定形状に曲げたり等して形成しておき、これ
を成型用プレスの型枠内に入れ、その状態で従来通りさ
らに粘土を型枠内に入れてプレスすればよい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について、以下
図により説明する。本実施形態では、メッシュ状に形成
された補強筋入りの本発明に係る粘土焼成物として、図
1に示すプランターAを例にとり説明する。本実施形態
のプランターAは、道路の歩道等に沿って据え置く形式
のもので、従来のコンクリート製品同様の略箱形に造ら
れている。本実施形態では、高さ450mm、巾450
mm、長さ900mmの大きさの粘土焼成品に造られ、
外面には凹凸模様が一体に設けられている。外面には釉
薬が施され、焼き物独特の質感や趣味性が出されてい
る。
【0010】本実施形態で使用する補強筋10には、粘
土成型物の焼成温度で、酸化劣化しない材料として、耐
熱性のステンレススチールが使用されている。ステンレ
ススチールの線材がメッシュ状に組まれ、全体としてプ
ランターAの略箱形に合わせた略籠状に曲げ形成されて
いる。略籠状の全体寸法は、プランターAの底及び側壁
内部に丁度内在できる大きさに予め設定されている。か
かる略籠状に形成された補強筋10(図中、破線で表
示)を、図2(a)に示すように、外型枠20内に、外
型枠20の内面20aから少し離して保持させておく。
本実施形態では、補強筋10の保持には外型枠20の内
壁から細い金属線等でできたスペーサー21を突出させ
ておき、このスペーサー21により補強筋10が外型枠
20内から所定間隔離されて保持されている。
【0011】その状態で粘土を外型枠20内に入れて、
図2(b)に示すように、内型枠30でプレスする。プ
レス後、外型枠20及び内型枠30を外せば、底部分及
び側壁の内部に補強筋10が配筋された略箱形のプラン
ターAの粘土成型物が成形される。尚、スペーサー21
によりできた脱型後の粘土成型物の微細孔は、簡単に粘
土で修復できる。また、上記補強筋10としては線膨張
率の小さいものを使用することが好ましい。より好まし
くは、図2(c)に示すように、補強筋を途中で分割し
(例えば、中央部分で分割)、両分割部分を互いに重ね
てその部分を軽く束ねておけば、その部分で補強筋10
の線膨張を適宜吸収することができる。そのため、粘土
成型物の焼成時等の型歪み、或はクラックの発生等をよ
り効果的に防止することができる。
【0012】かかる粘土成型物を乾燥させ、その後窯内
で焼成してプランターAが製造されている。粘土成型物
の焼成方法には、一度焼きと二度焼きがあるが、本実施
形態では、二度焼きで行われている。粘土成型物を乾燥
後予め焼成し、これに釉薬を施して再び焼成して、粘土
焼成品が造られている。焼成は、使用する粘土の組成に
もよるが、本実施形態では、1000℃以上の焼成温度
を使用して、陶製のプランターAに造られている。焼成
温度をもっと低くして、素焼きの地肌を有するプランタ
ーAにすることもできる。また、焼成温度をさらに高温
にして、釉薬を適宜変えることにより、磁器様のプラン
ターAにすることもできる。
【0013】さらに、本実施形態では、プランターAの
正面中央に平面状のマーク絵付け部40が設けられ、適
宜種々のマークを焼き込むことができるようになってい
る。例えば、マーク絵付け部40に、従来の絵付け作業
により市章等の標章を描き込み、その後釉薬等を施して
再度焼きつければよい。或は、プランターAの周囲側面
に装飾的な絵付け作業を行って、焼成温度より低い温度
で上絵焼きすれば、種々模様のプランターAが製造でき
る。上記箱形以外にも、図1(b)に示すように、丸形
に形成することもできる。底及び周壁内に、配筋を施し
ておけばよい。
【0014】図3には、上記要領で製造可能な種々の粘
土焼成品のいくつかの例を示した。図3(a)には、外
観をギリシャ風の石柱に模したインテリア製品を示し
た。上記説明の要領で内部に補強筋を内在させた陶製の
ものである。重量の軽減を図るため、内部を抜いた中空
形状に形成され、補強筋は円筒状に形成された周壁内部
に設けられている。図3(b)には、上記要領で階段を
一段ずつ陶製のブロック状に形成したものである。かか
る陶製の階段は、コンクリート製の階段(図示省略)の
表面部分に載せて取り付ければよい。コンクリート階段
表面へのタイル張り作業を行なわずに、簡単に陶製表面
の階段ができる。また、図3(b)に示すように、階段
手摺も陶製にすることができる。所定長のユニットに形
成しておき、適宜数のユニットを継ぎ足すことにより、
所望長さの手摺にできる。
【0015】また、図3(c)には、踊場部分、或は上
階の張り出し部分の手摺を陶製にしたものを示してい
る。この手摺も規格長のユニットに形成しておき(図
中、実線で示した部分)、適宜ユニットを継ぎ足して
(図中、一点鎖線で示した部分)所定長さに構成すれば
よい。この手摺は、図中に示したように、図3(b)の
階段手摺とは異なり、手摺支柱間が空いた状態に形成さ
れている。補強筋(図示せず)は、適宜その空間部分を
除いて配筋しておけばよい。図3(d)には、本発明を
暖炉に適用した場合について示した。耐火煉瓦等を積み
上げたり等して造る正式のものに比べて、本実施形態の
ように予め暖炉部分を一体に陶製にしてしまえば、現場
に搬入して、土台上にほぼ据えつけるだけでよい。特
に、近年は実際に暖房用に使用しないで装飾目的として
設ける場合があるが、かかる場合には排煙ダクトとの接
続も考慮する必要がなく据えつけが簡単である。
【0016】本実施形態では、プランター、石柱、階
段、手摺、暖炉等に実施した場合を示したが、何らかか
る製品に限定する必要はない。例えば、擬岩、或は山留
め擁壁等に使用することもできる。さらには、陶板画に
使用することも可能である。従来は、粘土成型物が歪ん
でしまうため歪まない程度の大きさに区分して、それら
を繋ぎ合わせて形成していた陶板画も、補強筋が入った
本発明の粘土焼成品として製作すれば、一枚で大面積の
作品が造れる。また、上記実施形態では、プランター、
手摺等をそれぞれ別ものとして構成したが、例えば、手
摺の上部に一体にプランター部分を設けた構成にしても
構わない。両部分とも粘土焼成品であるため、水等を気
にせずに使用することができるので、花で飾った手摺が
容易に演出できる。このように、本願発明の特徴は、大
型化ができるようにメッシュ状に形成された補強筋を入
れた陶磁器等の粘土焼成物であるから、できればかかる
特徴を十分に生かして、従来は大き過ぎて陶磁器等の分
野では無理、或は小区分に区切って作成した後で継ぎ足
す等の方法で構成するしかないと考えられていたものに
適用することが好ましい。
【0017】また、上記実施形態では、メッシュ状に形
成された補強筋を予め曲げておき、それを型枠内にセッ
トした後粘土をプレス成型する方法を使用したが、予め
メッシュ状に構成した補強筋を粘土層の間に挟み込んで
おいて、この補強筋を挟み込んだ粘土層を型枠でプレス
成型して、粘土と補強筋との同時成型を行っても構わな
い。また、上記実施形態では、スペーサーを使用して補
強筋を外型枠から所定間隔離して保持させる構成とした
が、粘土成型物の壁厚の半分程度を予め外型枠内に軽く
プレス成型しておき、その後略籠状に構成した補強筋を
セットし、さらに粘土を入れて本格的にプレスするよう
にしても構わない。かかる方法では、スペーサーを介在
させずに補強筋入りの粘土成型物の成型ができる。上記
実施形態では、補強筋を配筋させる構成としたが、例え
ば補強筋の配筋とともに金属短線等を同時に粘土中に混
在させることにより、さらなる強度確保を行っても構わ
ない。また、粘土や釉薬中に蛍光体を混在させて、製品
全体が紫外光等の照射により蛍光を発するようにさせる
こともできる。
【0018】
【発明の効果】本発明では、粘土成型物内にはメッシュ
状に形成された補強筋が配筋されているため、従来では
困難と考えられていた大型成形物に陶磁器等の粘土焼成
物が適用できる。そのため、特にコンクリートやFRP
等の素材では、十分に出し切れなかった質感や趣味性を
持ったインテリアやエクステリア製品等の製造ができ
る。粘土成型物の大型化に際しては、金属短線等を粘土
中に混在させる場合に比べて、補強筋を配筋させた方
が、型歪み及び焼成後の補強効果等の点で優れている。
また、本発明は、粘土焼成物、いわゆる焼き物であるた
め、日本各地で伝統的にそれぞれ趣が異なる焼き物が造
られているので、本願発明の製品自体をそれぞれの焼き
物産地での粘土を使用して、それぞれの手法、絵付け等
を適用することにより、極めて多種類の趣味性のあるイ
ンテリアや、或はエクステリア製品の開発が行える。ま
た、コンクリート製品とは異なり、釉薬をかけて焼成で
きるので、特にエクステリア等のように外に置く場合で
も雨水が浸透せず、苔等が付いたりせず長年月の使用で
も汚れにくい。さらに、素焼き部分と釉薬とを併用すれ
ば、素焼き部分の従来製品にない暖かみのあるやわらか
みのある質感を生かすことができる。また、素焼き部分
の吸水性により苔等を生やして、風情の演出もできる。
FRP製品とは異なり重量があるので、設置安定性がよ
い。さらに、従来のようにタイル等の小区分に区切った
ものをコンクリート面に張らずに、粘土焼成物として全
体を一度に形成できるので、手間がかからず生産コスト
の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る箱形のプランターの斜視図
(a)、丸形のプランターの使用状況を示した側面図
(b)。
【図2】本実施形態に係る箱形のプランターへの補強筋
の配筋手順を示す断面図(a)、(b)と、分割構造を
設けた補強筋の側面図(c)。
【図3】本発明を適用した石柱インテリアの側面図
(a)、階段及びその手摺を示す斜視図(b)、踊場部
分等の手摺を示す正面図(c)、及び暖炉を示す斜視図
(d)。
【符号の説明】 10 補強筋 20 外型枠 30 内型枠 40 マーク絵付け部 A プランター

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に補強筋を配筋して所定形状に成型
    された粘土成型物が焼成されてなることを特徴とする補
    強筋入り粘土焼成物。
  2. 【請求項2】 補強筋は、粘土成型物の焼成温度にて劣
    化しない金属からなることを特徴とする請求項1に記載
    の補強筋入り粘土焼成物。
  3. 【請求項3】 補強筋は、予め配筋状態に合わせて曲げ
    ておいた補強筋を、型枠内の内面に沿って所定間隔離し
    て保持させた後、前記型枠内に粘土を入れてプレス成型
    することにより、粘土成型物の内部に配筋させられてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の補強筋入り粘土焼
    成物。
JP17843596A 1996-06-19 1996-06-19 補強筋入り粘土焼成物 Pending JPH107449A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012502308A (ja) * 2008-09-10 2012-01-26 オノフリオ・アコネ ボトル用シールド
JP2018052092A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 めぐみ 稲田 立体形陶磁器の製造方法

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