JPH1073593A - 免疫学的簡易測定法及びその測定用具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒト免疫不全ウイルス、Ｂ型又はＣ型肝炎、
便潜血（糞便中のヘモグロビン）、さらには妊娠診断な
どを迅速かつ簡便に判定することができる免疫学的簡易
測定方法及び該測定方法に使用する測定用具を提供す
る。 【解決手段】 ロッド状の合成樹脂製の芯部材２の外周
面に多数の溝４を内側の長手方向に沿って形成した透明
の合成樹脂製の筒状体からなる透明なカバー部材３を装
着した測定用具１を使用し、芯部材２の外周面とカバー
部材３の内側の溝４を利用して毛細管作用で検体液を吸
い上げ、検体液をまず芯部材２に形成した標識抗原又は
標識抗体ゾーンＸと接触させて抗原抗体反応させたの
ち、特定の抗原又は抗体からなる検出ゾーンＹに接触さ
せ、検出ゾーンＹにおいて標識抗原又は標識抗体に付着
させた標識物が顕出するか否かによって検体液中に目的
とする抗原又は抗体が存在するか否かを目視によって確
認する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、検体中に抗原又
は抗体が含まれているか否かを簡単かつ容易に測定する
ことのできる免疫学的簡易測定法と、該測定法に使用す
る測定用具に関するものである。より詳しくは、ヒト免
疫不全ウイルス（以下、「ＨＩＶ」と略記）、Ｂ型又は
Ｃ型肝炎、便潜血（糞便中のヘモグロビン）、妊娠の有
無などを判定するための免疫学的簡易測定法と、該測定
法に使用する測定用具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】たとえば、胃ガンや大腸ガンなどの消化
器系統における異常を簡単に検査する方法としては、特
開昭５９−１８２３６７号公報に記載の糞便中の微量血
液を検出する方法や、特開昭６１−２２８９５１号公報
に記載の糞便中のヘモグロビンの検出方法などが知られ
ている。

【０００３】かゝる検査のための糞便採取器具も各種の
ものが開発されており、前記特開昭５９−１８２３６７
号公報には、たんぱく質を付着させるためのディップス
ティックの表面の少なくとも一部にヒトヘモグロビンに
対して特異性を有するモノクローン抗体を被覆した診断
器具が提案されている。また、実開昭６２−６９１６０
号公報には、採取棒の一端に軸方向に直交する貫通孔等
を形成し、この採取棒の一端部を糞便に差し入れて取り
出すことにより貫通孔内およびその周辺に糞便を付着さ
せて採取する器具が開示されている。さらに、実開昭６
１−１０２９４１号公報には、端部に切欠き又は凹所を
設けた採取棒が、特開昭６１−２２８３５１号公報に
は、格子溝を表面に形成した採便サジが開示されてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記特開昭５９−１８
２３６７号公報に記載の糞便中のヘモグロビン検出方法
は、糞便の採取器と、あらかじめ糞便中の消化酵素の活
性を阻止するように調整した緩衝液を入れた液容器とか
らなる採取容器を使用し、採取器の表面に糞便中のヘモ
グロビンを物理吸着させて分離し、該ヘモグロビンを抗
ヒト酵素標識ヘモグロビンを用いて特異的に検出・測定
するものである。しかしながら、前記採取容器を使用す
る検査方法は、採取器表面のヘモグロビンを液容器中の
緩衝液で物理的に吸着させることを必須とし、しかるの
ち、公知の酵素免疫法によって糞便中のヘモグロビンを
測定するものであるため、検査に煩瑣な操作を有し、酵
素免疫法に使用する試薬等を別途用意する必要があるな
ど必ずしも検査の簡略化になっていないのが現状であ
る。また、特開昭６１−２２８９５１号公報に開示され
たヘモグロビンの検出方法もほゞ同様の問題を有してい
た。

【０００５】この発明はかゝる現状に鑑み、血液、血
清、血漿、尿、唾液、さらには痰などの中に抗原又は抗
体が含まれているか否かをきわめて簡単に、かつ短い時
間内に判定することのできる免疫学的簡易測定法と、こ
の測定法に使用する操作が容易で構造も簡単な測定用具
を提供せんとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この発明の請求項１の発明は、柱状の芯部材の外周
面をカバー部材で被覆して芯部材の外周面との間に多数
の毛細管部を形成した測定用具を使用し、該測定用具の
先端部を展開液中に浸漬し、前記カバー部材と芯部材と
の間を使用して検体液を上方に吸い上げ、検体液を前記
芯部材の基端近傍の外周面に設けた標識抗原又は標識抗
体と一旦接触させ、しかるのち検体液をさらに上方に吸
い上げ、芯部材の上方の外周面に設けた抗原又は抗体に
接触させることによって検体中の抗原又は抗体の有無を
測定することを特徴とする免疫学的簡易測定法である。

【０００７】この発明の請求項６に記載の発明は、先端
側の外周部に検体液中の抗原又は抗体と結合する標識抗
原又は標識抗体ゾーンを形成すると共に、該標識抗原又
は標識抗体ゾーンの上方の外周面に前記抗原又は抗体と
標識抗原又は標識抗体とが結合した免疫複合体と反応す
る検出ゾーンを形成した柱状の芯部材の外周面を、カバ
ー部材で被覆して芯部材の外周面との間に軸方向に沿っ
て多数の毛細管部を形成したことを特徴とする免疫学的
簡易測定用具である。

【０００８】

【発明の実施の形態】この発明における検体中の抗原又
は抗体の測定は、柱状の芯部材の外周面をカバー部材で
被覆して芯部材の外周面との間に多数の毛細管部を形成
した測定用具を使用して行うものである。

【０００９】この発明において、特定の抗原又は抗体を
測定するために使用することのできる検体としては、た
とえば、血液、血清、血漿、便の他に、精液、尿、唾
液、さらには痰などを挙げることができる。

【００１０】前記測定用具は、柱状の芯部材と該芯部材
の外周に装着され、かつ前記芯部材の外周部との間に軸
方向に沿って毛細管部を形成することのできるカバー部
材から構成されるものである。

【００１１】前記柱状の芯部材は、基本的には所定の太
さと長さを有するものであれば材質に特段の限定はない
が、好ましくは、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリスチレ
ン（ＰＳ）、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、ポリアセター
ル（ＰＯＭ）、ポリアミド（ＰＡ）などを挙げることが
できる。なお、この芯部材は、下記に述べる検出ゾーン
における反応をより確実に視認することができるように
するため白色であることが好ましいが、標識抗原又は標
識抗体に付着させる標識物の色彩を適宜選択すること、
たとえば、芯部材を黒とし標識物として白色の酸化チタ
ン（ＴｉＯ₂ ）を使用する、こともできるので、確認し
やすければ、芯部材の色は白にのみ限定されることはな
い。

【００１２】かゝる芯部材の基端部に近い外周面には、
検体液中の抗原又は抗体と結合する標識抗原又は標識抗
体からなる標識抗原又は標識抗体ゾーンが形成される。
この標識抗原又は標識抗体ゾーンを形成する標識抗原又
は標識抗体は、目視による確認をより容易に行うことが
できるよう標識物として、たとえば金属コロイド、カラ
ーラテックス、あるいは有機着色物質などを付着させた
もので、これら標識抗原又は標識抗体は芯部材の外周に
リング状に設けるものである。

【００１３】前記標識抗原又は標識抗体ゾーンの上方の
芯部材の外周部には、前記標識抗原又は標識抗体ゾーン
の標識抗原又は標識抗体と抗体又は抗原とが結合した検
体液が接触した場合、検体液中に抗原又は抗体が含まれ
ていることを視認させるための抗原又は抗体からなる検
出ゾーンが形成されている。

【００１４】この検出ゾーンを構成する抗原又は抗体
は、検査の対象によって異なるが、たとえば、ヒト免疫
不全ウイルス、Ｂ型又はＣ型肝炎、便潜血、妊娠診断な
どの緊急試験もしくは在宅検査に使用される抗原又は抗
体を挙げることができ、これら抗原又は抗体は芯部材の
外周部にリング状に設けられるものである。

【００１５】また、前記検出ゾーンの上方の芯部材の外
周部には、標識抗原又は標識抗体の活性を確認するため
の確認ゾーンを形成してもよい。この確認ゾーンは、標
識抗原又は標識抗体と反応する抗原又は抗体で構成され
るもので、たとえば、潜血便を調べる場合には、抗原が
ヘモグロビンであるので標識抗原又は標識抗体ゾーンに
おける抗体は抗ヒトヘモグロビン抗体、確認ゾーンにお
ける抗体は、前記抗ヒトヘモグロビン抗体と免疫反応す
ることのできる抗・抗ヒトヘモグロビン抗体である。

【００１６】この芯部材の外周面に抗原又は抗体、標識
抗原又は標識抗体およびこの標識抗原又は標識抗体と免
疫反応する抗原又は抗体を固定する方法としては、大別
すると、芯部材への吸着と芯部材への化学結合の２つの
方法がある。

【００１７】まず、芯部材への吸着手段の一つとして
は、芯部材を構成するプラスチックの吸着能が高い場合
には、芯部材（プラスチック）に直接抗原又は抗体を吸
着させる方法である。他のひとつは、芯部材を構成する
プラスチックの吸着能が低い場合には、芯部材の表面に
ニトロセルロースやタンニンなど吸着能を高める物質を
一旦塗布して表面の吸着作用を高めたのち、所要の部位
に抗原又は抗体を吸着させるものである。なお、芯部材
への抗原又は抗体の吸着は、使用せんとする抗原又は抗
体を液体に溶解し、得た溶解液を所要の部位に塗布し乾
燥させ、帯状にゾーンを形成するものである。

【００１８】抗原又は抗体の芯部材への化学結合は、芯
部材に付与した活性エステルと抗原又は抗体のアミノ基
（ＮＨ₂ ）と反応させることによって、あるいは同じく
芯部材に付与したシッフベースと抗原又は抗体のＮＨ₂
を反応させたのち、還元させたりすることによって化学
結合を形成するものである。

【００１９】前記のいずれかの手段によって基端近傍側
から標識抗体又は標識抗原ゾーンおよび検出ゾーン、も
しくは確認ゾーンを形成した芯部材は、検体液の吸い上
げを円滑に行い、かつ検体液が芯部材内に浸透すること
を防止するために、前記の各ゾーン以外の部位の外周面
をアルブミン、ミルクのカゼインなどのたんぱく質でコ
ーティングすることが好ましい。

【００２０】前記検出ゾーンを芯部材に設けるに際し、
芯部材の断面形状を楕円形又は比較的薄い長方形とし、
該楕円形又は長方形の前面部および背面部にそれぞれ異
なる抗原又は抗体を認識する標識抗原又は標識抗体を設
けることによって一つの検体について、一度の展開で２
項目の測定を行うことができる。また、芯部材を断面三
角形とし、各面にそれぞれ異なる抗原又は抗体を認識す
る標識抗原又は標識抗体を設けることによって３項目の
測定を同時に行うことができる。また、芯部材の断面を
方形とし、各面にそれぞれ異なる抗原又は抗体を認識す
る標識抗原又は標識抗体を設けることによって４項目の
測定を同時に行うことができる。その際、各面に設ける
位置を互いにずらすことによって確認をより容易に行う
ことができる。

【００２１】また、円形など断面形状の如何を問わず芯
部材の表面に、異なった標識抗体又は標識抗原からなる
複数の標識抗原又は標識抗体ゾーンを間隔を存して設
け、測定項目に対応した異なる抗原又は抗体を検出ゾー
ンに設けることによって複数項目の測定を同時に行うこ
ともできる。このとき、標識抗原又は標識抗体ゾーンは
複数の標識抗原又は標識抗体を含んだ１本のゾーンとす
ることもできる。したがって、たとえば、一つの検体で
３項目を測定したい場合には、異なる標識抗原又は標識
抗体からなる３つの標識ゾーンを形成し、検出ゾーンに
はこれら異なる標識抗原又は標識抗体とのみ反応する抗
原又は抗体を３つ間隔を存して設ければよい。

【００２２】芯部材の外周部に装着されるカバー部材
は、芯部材の外周面との間に軸方向に沿って多数の毛細
管部を形成することができるもので、具体的には、ポリ
プロピレン（ＰＰ）、ポリスチレン（ＰＳ）、ポリ塩化
ビニル（ＰＶＣ）、エチレンビニルアセテート（ＥＶ
Ａ）などの樹脂を使用して芯部材の外径よりも若干大き
い内径を有する筒状体を形成し、該筒状体の内周面に軸
方向に沿って多数の溝を形成したものである。

【００２３】なお、このカバー部材は、前記芯部材に形
成される少なくとも検出ゾーンが外部から目視できるよ
う当該部位のみが透明又は半透明であればよく、必ずし
も全体が透明又は半透明でなくともよいが、全体を透明
又は半透明としない場合には標識抗原又は標識抗体ゾー
ンと検出ゾーン及び確認ゾーンが目視できるよう当該部
位に対応するカバー部材の部位が透明又は半透明である
ことが望ましい。

【００２４】このカバー部材は、芯部材の外周面との間
に軸方向に沿って多数の毛細管部を形成できれば、その
形状には特段の制限はない。より具体的には、外周面に
溝がなく長手方向の内周面のみに溝を形成したものゝほ
かに、波状ないしジクザグ状の断面によって長手方向に
沿って内外の周面に多数の溝を形成したものも使用する
ことができる。また、このカバー部材に形成された溝の
山の部分が、前記芯部材の外周面に当接して芯部材に一
体化されて少なくとも芯部材の外周面と筒状体の溝との
間で検体液を毛細管作用によって容易に吸い上げてサン
プリングすることができるものである。

【００２５】この芯部材の外周面と、カバー部材に形成
した多数の溝との間隔は、これによって検体液を毛細管
作用で容易に吸い上げることができるものであれば特に
制限はないが、かゝる毛細管作用による検体液の吸い上
げの溝の深さとしては０．１μｍ〜３００μｍの範囲で
あることが望ましい。

【００２６】なお、カバー部材の内側に形成される溝
は、その深さを適宜選択することによって測定時間およ
び抗原抗体反応の速度をコントロールすることができ
る。また、カバー部材の先端部を芯部材の先端面より突
出させることによって芯部材とカバー部材との間に空隙
部を形成した場合には、その先端に検体採取部を装着す
ることができる。

【００２７】該検体採取部は、具体的には連続気泡のス
ポンジやフェルトなどからなる吸水性素材で形成される
ものであって、その形状は円柱状であっても円錐状であ
ってもよく、検体中に含まれる非特異的成分などの不純
物を除去でき、材質や形状には特段の制限はない。

【００２８】かゝる検体採取部の前記空隙部への装着
は、検体採取部に含んだ検体液が直接カバー部材と芯部
材との間に形成される毛細管部によって上方に吸い上げ
られることがないよう、検体採取部の基端面と芯部材の
先端面との間に所定の間隔、より具体的には１〜５ｍｍ
程度の間隔を存して装着した場合、検体採取部に検体液
を一定量のみ含ませるようにすることができるのでより
好ましい。

【００２９】

【作用】この発明の免疫学的簡易測定方法は、芯部材と
該芯部材に装着され、芯部材の外周面との間に毛細管部
を形成する透明もしくは半透明なカバー部材とからなる
測定用具を使用し、液状の検体中に前記測定用具の基端
部を浸漬し、検体液を上方に吸い上げることによって、
まず検体液と標識抗原又は標識抗体を接触させ、検体液
中に含まれる抗原又は抗体と標識抗原又は標識抗体を結
合させ、しかるのち毛細管作用によってさらに上方に吸
い上げられる検体液を特定の抗原又は抗体に接触させる
というきわめて簡単な方法によって検体液中に抗原又は
抗体が含まれているか否かを判断することができる。

【００３０】また、この発明の免疫学的簡易測定用具
は、検体を採取するための検体採取部を、芯部材の先端
部と該先端部を覆って突出したカバー部材との間に形成
された空隙部内に設けてもよく、この場合、検体液中に
含まれる固形物や非特異的成分などの不純物を確実に除
去することができる。さらに、検体採取部の基端部を芯
部材の先端面との間に所定の間隔を存して設ければ、検
体採取部に常に一定量の検体液を含ませることができ
る。

【００３１】

【実施例１】図１乃至図２はこの発明の免疫学的簡易測
定用具の一例を示し、この免疫学的簡易測定用具１は、
芯部材２とこの芯部材２の外側に装着される透明もしく
は半透明なカバー部材３とから構成されている。

【００３２】前記芯部材２は、内径約３．０ｍｍ×長さ
約７０ｍｍのポリプロピレン製の棒状体からなるもの
で、基端部の近傍の外周面には帯状に標識抗原又は標識
抗体ゾーンＸが外周を囲繞するようリング状に形成され
ている。この標識抗原又は標識抗体ゾーンＸは、抗ヒト
ヘモグロビン抗体に標識物として金コロイドを付着さ
せ、これを先に述べた吸着法によって芯部材２に帯状に
塗布して形成したものである。

【００３３】この標識抗原又は標識抗体ゾーンＸの上方
の芯部材２の外周面には、検出ゾーンＹが外周を囲繞す
るようリング状に形成されている。この検出ゾーンＹに
は、ヘモグロビンと反応する抗ヘモグロビン抗体が塗布
されているもので、検体液中にヘモグロビンが含まれ、
該ヘモグロビンが標識抗原又は標識抗体と結合した状態
で検出ゾーンＹに達すると、標識抗原又は標識抗体には
標識物が付着していると共に、標識物にはそれぞれ独自
の色が付いているため、この検出ゾーンＹに多量の標識
物が集まることによってその色が視認でき、結果的に検
体液中にヘモグロビンが含まれていることを目視するこ
とができるものである。

【００３４】さらに、この検出ゾーンＹの上方の芯部材
２の外周には、検出ゾーンＹにおける抗原又は抗体の有
無を確認するための確認ゾーンＺが設けられている。こ
の確認ゾーンＺは、標識抗原又は標識抗体と結合したヘ
モグロビンを含んだ検体液と反応する抗・抗ヒトヘモグ
ロビン抗体からなるものである。

【００３５】しかして、外周部に前記標識抗原又は標識
抗体ゾーンＸ、検出ゾーンＹおよび確認ゾーンＺを形成
したのち、前記各ゾーンを除く芯部材２の表面をアルブ
ミンでコーティングし、検体液が芯部材２に沿って上方
に移動し易いようにする。

【００３６】かくして得た芯部材２は、その表面部をカ
バー部材３によって被覆するものである。このカバー部
材３は、透明なポリプロピレンによって長手方向に沿っ
て断面がジクザグ状の溝４を長手方向に形成したもの
で、芯部材２をカバー部材３の内側に嵌入させてジグザ
グ状断面の内側の溝４と溝４との間の山の部分を芯部材
２の外周面に接触させて接着などによって一体化させた
もので、このカバー部材３を芯部材２の外周に装着する
ことによって、カバー部材３の溝４が芯部材２の外周面
との間に毛細管部を形成しているものである。なお、こ
のカバー部材３には、測定用具１が不用意に転動しない
ように長手方向に沿って一対のヒレ状の突片５，５が形
成されている。

【００３７】以下、かゝる免疫学的簡易測定用具１を使
用した糞便中のヘモグロビン検査の例について説明す
る。便潜血の検査に際しては、測定用具１の基端部をあ
らかじめ採取した糞便中に差し込み、糞便中の液体を芯
部材２の外周面とカバー部材３の内周面との間に形成さ
れる多数の毛細管部４（図面上溝４と同一符号とす
る。）を利用して検体として採取する。

【００３８】その際、採取した便が硬い場合には、あら
かじめ便自体を生理食塩水からなる展開液に浸けて溶解
して検体液とし、この検体液に測定用具１の基端部を浸
漬してもよく、あるいは基端部に便を塗布したのち、こ
れを生理食塩水からなる展開液に漬けて溶解させて検体
液としてもよい。

【００３９】測定用具１の基端部を便中に突き刺すこと
によって、便中に含まれる検体液（ヘモグロビンを含む
水分）は基端部から芯部材２とカバー部材３の間の溝４
内に吸い上げられて、標識抗原又は標識抗体ゾーンＸに
達し、液体中にヘモグロビンが含まれる場合には、当該
ヘモグロビンが金属コロイド粒子で標識された標識抗体
と結合したのち、さらに毛細管作用によって芯部材２に
沿って上昇し、検出ゾーンＹに達する。

【００４０】金属コロイド標識抗体と共に導かれた検体
液が検出ゾーンＹに到達すると、金属コロイド標識抗体
と結合した検体液が便潜血検査用の抗原又は抗体と反応
し、検体液中にヘモグロビンが含まれていると、検出ゾ
ーンＹに多くの標識物が集まるため特定の色（マーカ
ー）が現れる。その際、検体液中にヘモグロビンが一切
含まれていない場合には、金属コロイド標識抗体との結
合がないので、結果的に検出ゾーンＹにおいてもなんら
反応が生じないので、マーカーは現れない。

【００４１】検出ゾーンＹに達した検体液はさらに毛細
管作用によって芯部材２の上方に吸い上げられ、確認ゾ
ーンＺに達する。この確認ゾーンＺには、標識抗原又は
標識抗体を認識することのできる抗原又は抗体（実施例
においては抗・抗ヒトヘモグロビン抗体）が帯状に固定
されているので、検体液が確認ゾーンＺと接触すると、
標識抗原又は標識抗体に活性があると反応してマーカー
が現れ、検体液が確実に検出ゾーンＹを通過してきたこ
とを確認することができる。したがって、この確認ゾー
ンＺを形成した場合には、検体液中にヘモグロビンが含
まれている場合には、検出ゾーンＹおよび確認ゾーンＺ
にそれぞれマーカーが現れ、ヘモグロビンが含まれてい
ない場合には確認ゾーンＺにおいてのみマーカーが現れ
ることになる。

【００４２】上記の実施例１においては潜血便の検査に
ついて説明したが、この発明の免疫学的簡易測定方法お
よび免疫学的簡易測定用具は、ＨＩＶ、Ｂ型肝炎、妊娠
診断などの目的の検査に適用することができるもので、
いずれの検査においても免疫学的簡易測定用具１の基端
部を検体液に浸けてから約５分間というきわめて僅かな
時間内で結果を確認することができるので、簡易な検査
方法として高い有用性をもつものである。

【００４３】なお、上記の実施例１には記載しなかった
が、検体液を上方により確実に上昇させるため、免疫学
的簡易測定用具１の上端部に好ましくは芯部材２とカバ
ー部材３とによって形成される毛管作用よりも強い毛管
作用を有する吸収パットなどからなる吸い上げ部材を設
けることが望ましい。また、この実施例においては検体
（便）を展開液で処理する例についても述べたが、測定
物の性状によっては検体だけで測定できることは勿論で
あって、展開液の使用は測定物の性状によって適宜選択
するものである。

【００４４】

【実施例２】図３乃至図４はこの発明の免疫学的簡易測
定用具の他の一例を示すものであって、この免疫学的簡
易測定用具１１は、芯部材１２とこの芯部材１２の外側
に装着される透明なカバー部材１３、および吸水性素材
からなる検体採取部１６とから構成されている。

【００４５】前記芯部材１２は、径約３．０ｍｍφ×長
さ約６０ｍｍのポリプロピレン製円柱体からなるもの
で、基端部の近傍（基端面１２ａから約５ｍｍ）の外周
面には帯状に標識抗原又は標識抗体ゾーンＸ（以下、単
に「標識ゾーンＸ」という。）が外周を囲繞するようリ
ング状に形成されている。この標識ゾーンＸは、抗ヒト
ヘモグロビン抗体に標識物として金コロイドを付着さ
せ、これを先に述べた吸着法によって芯部材１２に帯状
に塗布して形成したものである。

【００４６】標識ゾーンＸの上方の芯部材１２の外周面
（基端面１２ａから約１０ｍｍ）には、検出ゾーンＹが
外周を囲繞するようリング状に形成されている。この検
出ゾーンＹには、ヘモグロビンと反応する抗ヘモグロビ
ン抗体が塗布されているもので、検体液中にヘモグロビ
ンが含まれ、該ヘモグロビンが標識抗原又は標識抗体と
結合した状態で検出ゾーンＹに達すると、標識抗原又は
標識抗体には標識物が付着していると共に、標識物には
それぞれ独自の色が付いているため、この検出ゾーンＹ
に多量の標識物が集まることによってその色が視認で
き、結果的に検体液中にヘモグロビンが含まれているこ
とを目視することができるものである。

【００４７】さらに、この検出ゾーンＹの上方の芯部材
１２の外周には、検出ゾーンＹにおける抗原又は抗体の
有無を確認するための確認ゾーンＺ（基端面１２ａから
約５０ｍｍ）が設けられている。この確認ゾーンＺは、
標識抗原又は標識抗体と結合したヘモグロビンを含んだ
検体液と反応する抗・抗ヒトヘモグロビン抗体からなる
ものである。

【００４８】しかして、外周部に前記標識ゾーンＸ、検
出ゾーンＹおよび確認ゾーンＺを形成したのち、前記各
ゾーンを除く芯部材１２の表面をアルブミンでコーティ
ングして検体液が芯部材１２に沿って上方に移動し易い
ようにする。

【００４９】かくして得た芯部材１２は、その表面部を
カバー部材１３によって被覆するものである。このカバ
ー部材１３は、全長が前記芯部材１２よりも長い透明な
ポリプロピレンによって長手方向に沿って断面がジクザ
グ状の溝１４を形成したもので、芯部材１２をカバー部
材１３の内側に嵌入させてジグザグ状断面の内側の溝１
４と溝１４との間の山の部分を芯部材１２の外周面に接
触させて接着などによって一体化させたもので、このカ
バー部材１３を芯部材１２の外周に装着することによっ
てカバー部材１３の溝１４が芯部材１２の外周面との間
に毛細管部を形成すると共に、カバー部材１３の先端部
１３ａは芯部材１２の基端面１２ａより約５ｍｍ突出し
ているものである。なお、このカバー部材１３には、測
定用具１１が不用意に転動しないように長手方向に沿っ
て一対のヒレ状の突片１５，１５が形成されている。ま
た、芯部材１２の先端部には、検体液を上方に効率的に
吸い上げるための吸水性素材からなる吸い上げ部材１７
が設けられている。

【００５０】検体採取部１６はフェルト部材を逆円錐状
に形成して構成したもので、基端部の直径は前記芯部材
と同様に径が約３ｍｍφ×長さ約５ｍｍである。この検
体採取部１６は図４に示すように、芯部材１２の先端面
１２ａと該芯部材１２の先端面１２ａより突出したカバ
ー部材１３の先端部１３ａの内周面との間に形成される
空隙部Ｇに、検体採取部１６の基端面１６ａと芯部材１
２の先端面１２ａとの間に若干の隙間Ｃを存するように
して装着したので、この空隙部Ｇによってカバー部材１
３の溝１４と芯部材１２の外周面との間に形成される毛
細管部は中断されている。

【００５１】しかしながら、検体採取部１６の先端部１
６ｂの大部分はカバー部材１３の先端部１３ａより顕出
した状態にあるものの、この検体採取部１６の先端部１
６ｂを押圧すると検体採取部１６はカバー部材１３内に
没入し、その基端部１６ａは芯部材１２の先端面１２ａ
と当接し、カバー部材１３の溝１４と検体採取部１６及
び芯部材１２の外周部との間に毛細管部が形成され、毛
管作用によって検体採取部に吸着された検体液は芯部材
１２に沿って上方に吸い上げられる。

【００５２】なお、検体採取部１６の基端面１６ａと芯
部材１２の先端面１２ａとの間に隙間Ｃが介在していて
も、検体採取部１６の先端部を展開液中に浸漬させ、展
開液が隙間Ｃまで埋めた場合には毛管作用によって検体
採取部１６に採取された検体液を芯部材１２に沿って上
方に吸い上げることができる。

【００５３】以下、かゝる免疫学的簡易測定用具１１を
使用した糞便中のヘモグロビン検査の例について説明す
る。便潜血の検査に際しては、測定用具１１を構成する
検体採取部１６の先端部１６ｂをあらかじめ採取した糞
便中に差し込むと、糞便中の液体は検体採取部１６に吸
着されるが、カバー部材１３によって外周面を覆われて
いる芯部材１２の先端面１２ａと検体採取部１６の基端
面１６ａとの間には隙間Ｃが介在しているため、芯部材
１２の外周面とカバー部材１３の内周面との間に形成さ
れる多数の毛細管部１４（図面上溝１４と同一符号とす
る。）は作用せず、糞便中の検体液は検体採取部１６に
吸着されるにすぎない。しかも、検体採取部１６はその
大きさによって糞便中の検体液を吸着する量が決定され
るため、必要以上の検体液は吸着されない。

【００５４】採取した便が硬い場合には、あらかじめ便
自体を生理食塩水からなる展開液に浸けて溶解して検体
液とし、この検体液に測定用具１１の検体採取部１６を
浸漬してもよく、あるいは検体採取部１６の先端部１６
ｂに便を塗布したのち、これを生理食塩水からなる展開
液に漬けて溶解させて検体液としてもよい。

【００５５】検体採取部１６によって便中に含まれる検
体液（ヘモグロビンを含む水分）を一定量採取すると、
当該検体採取部１６を展開液中に浸漬すると同時に、検
体採取部１６の先端部１６ｂを容器の底面に押し付けて
先端部１６ａをカバー部材１３内に没入させ芯部材１２
と検体採取部１６を当接せしめ、毛管作用によって検体
採取部１６に吸着された検体液を芯部材１２とカバー部
材１３の間の溝１４内に吸い上げると、検体液は標識ゾ
ーンＸに達する。

【００５６】その際、検体液中に含まれる非特異物質な
どの不純物は検体採取部１６に吸着されるため、前記不
純物の混ざらない検体液のみが標識ゾーンＸに達する。
しかして、液体中にヘモグロビンが含まれる場合には、
当該ヘモグロビンが金属コロイド粒子で標識された標識
抗体と結合したのち、さらに毛細管作用によって芯部材
１２に沿って上昇し、検出ゾーンＹに達する。

【００５７】金属コロイド標識抗体と共に導かれた検体
液が検出ゾーンＹに到達すると、金属コロイド標識抗体
と結合した検体液が便潜血検査用の抗原又は抗体と反応
し、検体液中にヘモグロビンが含まれていると、検出ゾ
ーンＹに多くの標識物が集まるため特定の色（マーカ
ー）が現れる。その際、検体液中にヘモグロビンが一切
含まれていない場合には、金属コロイド標識抗体との結
合がないので、結果的に検出ゾーンＹにおいてもなんら
反応が生じないので、マーカーは現れない。

【００５８】検出ゾーンＹに達した検体液は、カバー部
材１３と芯部材１２との間に形成される毛管作用よりも
強い毛管作用を有する吸収パットからなる吸い上げ部材
１７の作用によってさらに上方に吸い上げられ、確認ゾ
ーンＺに達する。

【００５９】この確認ゾーンＺには、標識抗原又は標識
抗体を認識することのできる抗原又は抗体（実施例にお
いては抗・抗ヒトヘモグロビン抗体）が帯状に固定され
ているので、検体液が確認ゾーンＺと接触すると、標識
抗原又は標識抗体に活性があると反応してマーカーが現
れ、検体液が確実に検出ゾーンＹを通過してきたことを
確認することができる。したがって、この確認ゾーンＺ
を形成した場合には、検体液中にヘモグロビンが含まれ
ている場合には、検出ゾーンＹおよび確認ゾーンＺにそ
れぞれマーカーが現れ、ヘモグロビンが含まれていない
場合には確認ゾーンＺにおいてのみマーカーが現れるこ
とになる。

【００６０】また、検体を唾液とし、該唾液中にＨＩＶ
抗原が含まれているか否かを測定する場合には、標識ゾ
ーンの標識抗体を抗ＨＩＶ抗体とし、確認ゾーンの抗体
を抗抗ＨＩＶ抗体とすることによって、採取した唾液中
にＨＩＶ抗体が含まれる場合には、検出ゾーン及び確認
ゾーンにおいてマーカーが現れる。

【００６１】上記の実施例２においては潜血便及び唾液
の検査について説明したが、この発明の免疫学的簡易測
定方法および免疫学的簡易測定用具は、ＨＩＶ、Ｂ型肝
炎、妊娠診断などの目的の検査に適用することができる
もので、いずれの検査においても免疫学的簡易測定用具
１１の基端部を検体液に浸けてから約５分間というきわ
めて僅かな時間内で結果を確認することができるので、
簡易な検査方法として高い有用性をもつものである。

【００６２】かゝる免疫学的簡易測定用具１１におい
て、前記実施例２は芯部材１２を丸棒状とすると共に、
標識ゾーンＸ、検出ゾーンＹおよび確認ゾーンＺはいず
れも１本づづとしているが、図５に示すように芯部材２
１を比較的扁平な楕円形状とするか、図６に示すように
芯部材３１を比較的扁平な長方形状とし、その前面部お
よび背面部にそれぞれ検体中に含まれる異なる抗原又は
抗体を認識する標識ゾーンＸ₁ とこれに対応する検出ゾ
ーンＹ₁ 及び標識ゾーンＸ₂ と検出ゾーンＹ₂ を設ける
ことによって同時に２項目の測定を行うことができる。

【００６３】また、図７に示すように芯部材４１を断面
三角形状とし、３つの面にそれぞれ標識ゾーンＸ₁ ，Ｘ
₂ ，Ｘ₃ と、これに対応する３つの検出ゾーンＹ₁ ，Ｙ
₂ ，Ｙ₃ を設けることによって同時に一つの展開で３項
目の測定を、さらに、図８に示すように芯部材５１を方
形とし、各面にそれぞれ標識ゾーンＸ₁ ，Ｘ₂ ，Ｘ₃及
びＸ₄ と、これに対応する４つの検出ゾーンＹ₁ ，
Ｙ₂ ，Ｙ₃ 及びＹ₄ を設けることによって同時に一つの
展開で４項目の測定を実施することができる。

【００６４】さらに、図９に示すように芯部材の断面形
状の如何にかかわらず、芯部材５１に異なる標識抗体又
は標識抗原からなる標識ゾーンＸ₁ ，Ｘ₂ を設け、また
測定項目に対応した異なる抗原又は抗体からなる検出ゾ
ーンＹ₁ ，Ｙ₂ を設けることによって同時に一つの展開
で複数項目の測定も行うことができる。

【００６５】

【発明の効果】この発明の免疫学的簡易測定法は、測定
用具を構成する芯部材とカバー部材とで形成した毛細管
部を利用して検体を展開液によって上方に吸い上げ、芯
部材の基端部の近傍の外周部に標識物を結合させた標識
抗原又は標識抗体ゾーンと接触せしめ、しかるのち、標
識抗原又は標識抗体と結合した検体液をさらに検出ゾー
ンに導き、該検出ゾーンにおいて検体液中に特定の抗原
又は抗体が含まれているか否かを判断するため、検出ゾ
ーンにおける反応がより明確に現れ、視認による正確で
迅速な測定を行うことができる。

【００６６】特に、この発明においては、標識抗原又は
標識抗体ゾーンおよび検出ゾーンにおける抗原又は抗体
を適宜選択して使用することによって、ＨＩＶ、Ｂ型肝
炎、便潜血、妊娠診断などを迅速かつ簡便に判定するこ
とができるほか、検体を医療機関に郵送して異常をチェ
ックしてもらう在宅検査にも手軽に利用することができ
るという実用上優れた利点を有するものである。

【００６７】この発明の免疫学的簡易測定用具は、芯部
材にカバー部材を装着し、カバー部材と芯部材との間に
検体液を吸い上げるための多数の毛細管部を形成したも
のであって、毛細管部を形成するに際し、カバー部材を
芯部材の先端部より突出せしめ、カバー部材先端部と芯
部材の先端面との間に空隙部を設け、該空隙部に吸水性
素材からなる検体採取部をその基端面が芯部材の先端面
との間に隙間を存するように装着することが好ましい。

【００６８】検体採取時には、検体採取部と芯部材及び
カバー部材とからなる毛細管部が連通せず、検査に必要
な一定量の検体を確実に採取することができると共に、
検体採取部において検体液中に含まれる非特異的成分な
ど測定に際して好ましくない不純物をあらかじめ除去す
ることができるので、検出ゾーンにおける反応をより明
確にすることができる。

【００６９】特に、この発明の免疫学的簡易測定用具
は、構成がきわめて簡単かつ容易であるため組み立ても
簡単に行うことができると共に、製造も容易でしかも安
価に提供できるという優れた実用性を有するものであ
る。

【００７０】また、抗原又は抗体の有無を判断するため
の標識抗原又は標識抗体ゾーンおよび検出ゾーンに対応
する部位が少なくとも透明もしくは半透明としたカバー
部材で被覆されているため、抗原又は抗体の有無を目で
確認できると共に、カバー部材に直接手が触れても検査
のためのゾーンはなんら異常をきたすおそれがなく、し
かも検査に際しては測定用具の基端部を検体液に浸漬す
るというきわめて簡単な方法で行うことができるためチ
ップなど余分な部品が不要で、取り扱いがきわめて容易
であるという優れた実用性を発揮する。

【００７１】また、従来のペーパークロマトグラフ法で
は、検体液の蒸発によって経時的に感度が上昇し、カッ
トオフ値の設定が難しいなどの問題があるが、検体液は
毛細管部による吸い上げで、かつカバー部材で覆われて
いるため検査に際して蒸発などの要因を考慮する必要性
がなく、検査の時間や日時の変化によっても感度変化が
きわめて少なく、正確に抗原又は抗体の有無の確認を行
うことができる。そのため、固形物や非特異的成分を多
く含む唾液や痰など従来では測定することができなかっ
た検体も簡単かつ容易に測定できるので、きわめて広い
用途に利用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の免疫学的簡易測定用具の一例を示す
一部切欠斜視図である。

【図２】図１における免疫学的簡易測定用具の平面図で
ある。

【図３】この発明の免疫学的簡易測定用具の他の一例を
示す一部切欠斜視図である。

【図４】図１における免疫学的簡易測定用具の要部の拡
大断面図である。

【図５】この発明の免疫学的簡易測定用具を構成する芯
部材の他の例を示す一部切欠拡大図である。

【図６】この発明の免疫学的簡易測定用具を構成する芯
部材のさらに他の例を示す一部切欠拡大図である。

【図７】この発明の免疫学的簡易測定用具を構成する芯
部材のさらに他の例を示す一部切欠拡大図である。

【図８】この発明の免疫学的簡易測定用具を構成する芯
部材のさらに他の例を示す一部切欠拡大図である。

【図９】この発明の免疫学的簡易測定用具を構成する芯
部材のさらに他の例を示す一部切欠拡大図である。

【符号の説明】

１，１１ 免疫学的簡易測定用具 ２，１２ 芯部材 ３，１３ カバー部材 ４，１４ 溝 Ｘ 標識抗原又は標識抗体ゾーン Ｙ 検出ゾーン Ｚ 確認ゾーン

フロントページの続き (72)発明者 柳谷 孝幸 東京都新宿区西新宿２丁目７番１号 富士 レビオ株式会社内 (72)発明者 金井 雅弘 東京都墨田区業平５丁目１番12号 オーベ クス株式会社内

Claims (20)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 柱状の芯部材の外周面をカバー部材で被
   覆して芯部材の外周面との間に多数の毛細管部を形成し
   た測定用具を使用し、該測定用具の先端部を展開液中に
   浸漬し、前記カバー部材と芯部材との間を使用して検体
   液を上方に吸い上げ、検体液を前記芯部材の基端近傍の
   外周面に設けた標識抗原又は標識抗体と一旦接触させ、
   しかるのち検体液をさらに上方に吸い上げ、芯部材の上
   方の外周面に設けた抗原又は抗体に接触させることによ
   って検体中の抗原又は抗体の有無を測定することを特徴
   とする免疫学的簡易測定法。
2. 【請求項２】 前記測定用具は、前記カバー部材の先端
   部を前記芯部材の先端部よりも突出させて芯部材とカバ
   ー部材との間に空隙部を形成し、該空隙部に吸水性素材
   からなる検体採取部を装着したことを特徴とする請求項
   １記載の免疫学的簡易測定法。
3. 【請求項３】 前記測定用具は、前記空隙部に装着する
   前記検体採取部を、その基端面が前記芯部材の先端面と
   の間に隙間を存して装着することを特徴とする請求項２
   記載の免疫学的簡易測定法。
4. 【請求項４】 前記標識抗原又は標識抗体は、抗原又は
   抗体に標識物として金属コロイド又はカラーラテックス
   もしくは有機着色物質を付着させたものであることを特
   徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の免疫学的簡
   易測定法。
5. 【請求項５】 前記抗体又は抗原は、ヒト免疫不全ウイ
   ルス、Ｂ型又はＣ型肝炎、便潜血、妊娠診断などの緊急
   試験もしくは在宅検査に使用される抗原又は抗体である
   ことを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の免
   疫学的簡易測定法。
6. 【請求項６】 先端側の外周部に検体液中の抗原又は抗
   体と結合する標識抗原又は標識抗体ゾーンを形成すると
   共に、該標識抗原又は標識抗体ゾーンの上方の外周面に
   前記抗原又は抗体と標識抗原又は標識抗体とが結合した
   免疫複合体と反応する検出ゾーンを形成した柱状の芯部
   材の外周面を、カバー部材で被覆して芯部材の外周面と
   の間に軸方向に沿って多数の毛細管部を形成したことを
   特徴とする免疫学的簡易測定用具。
7. 【請求項７】 前記カバー部材は、その先端部を前記芯
   部材の先端部よりも突出させて芯部材とカバー部材との
   間に空隙部を形成し、該空隙部に吸水性素材からなる検
   体採取部を装着したことを特徴とする請求項６記載の免
   疫学的簡易測定用具。
8. 【請求項８】 前記空隙部に装着する検体採取部は、そ
   の基端面が前記芯部材の先端面との間に隙間を存して装
   着することを特徴とする請求項７記載の免疫学的簡易測
   定用具。
9. 【請求項９】 前記芯部材とカバー部材とからなる測定
   用具は、上端部に検体液を吸い上げるための吸い上げ部
   材を設けたことを特徴とする請求項６乃至８のいずれか
   に記載の免疫学的簡易測定用具。
10. 【請求項１０】 前記芯部材は、全体が所定の太さと長
    さとを有する合成樹脂製の柱状体であることを特徴とす
    る請求項６乃至８のいずれかに記載の免疫学的簡易測定
    用具。
11. 【請求項１１】 前記芯部材は、標識抗原又は標識抗体
    ゾーンおよび検出ゾーンを除く外周面をたんぱく質でコ
    ーティングしたことを特徴とする請求項６乃至８のいず
    れかに記載の免疫学的簡易測定用具。
12. 【請求項１２】 前記芯部材は、検出ゾーンの上方の外
    周部に前記標識抗原又は標識抗体を認識することのでき
    る抗原又は抗体からなる確認ゾーンを設けたことを特徴
    とする請求項６乃至８のいずれかに記載の免疫学的簡易
    測定用具。
13. 【請求項１３】 前記芯部材は、断面が楕円形状であっ
    て、前面部及び背面部にそれぞれ異なる抗原又は抗体を
    認識する標識抗原又は標識抗体を設けたことを特徴とす
    る請求項６乃至８のいずれかに記載の免疫学的簡易測定
    用具。
14. 【請求項１４】 前記芯部材は、断面が三角形状であっ
    て、各面にそれぞれ異なる抗原又は抗体を認識する標識
    抗原又は標識抗体を設けたことを特徴とする請求項６乃
    至８のいずれかに記載の免疫学的簡易測定用具。
15. 【請求項１５】 前記芯部材は、断面が多角形状であっ
    て、各面にそれぞれ異なる抗原又は抗体を認識する標識
    抗原又は標識抗体を設けたことを特徴とする請求項６乃
    至８のいずれかに記載の免疫学的簡易測定用具。
16. 【請求項１６】 前記芯部材は、その表面に異なる標識
    抗体又は標識抗原からなる標識抗原又は標識抗体ゾーン
    を形成すると共に、抗原又は抗体からなる検出ゾーンを
    前記標識抗原又は標識抗体ゾーンに対応させて設けたこ
    とを特徴とする請求項６乃至８のいずれかに記載の免疫
    学的簡易測定用具。
17. 【請求項１７】 前記芯部材の外周部に装着されるカバ
    ー部材は、芯部材の外周面との間に軸方向に沿って多数
    の毛細管部を形成するため、内周面に軸方向に沿って多
    数の溝を有するものであることを特徴とする請求項６乃
    至８のいずれかに記載の免疫学的簡易測定用具。
18. 【請求項１８】 前記カバー部材は、少なくとも前記検
    出ゾーン及び確認ゾーンが目視できるよう当該部分が透
    明もしくは半透明であることを特徴とする請求項６乃至
    ８又は１２のいずれかに記載の免疫学的簡易測定用具。
19. 【請求項１９】 前記カバー部材は、外周面の一部に転
    動防止のための突片を有することを特徴とする請求項６
    乃至１６のいずれかに記載の免疫学的簡易測定用具。
20. 【請求項２０】 前記検体採取部は、連続気泡のスポン
    ジまたはフェルトからなることを特徴とする請求項６乃
    至８のいずれかに記載の免疫学的簡易測定用具。