JPH1062082A - 蓄熱材および蓄熱装置並びに容器 - Google Patents

蓄熱材および蓄熱装置並びに容器

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JPH1062082A
JPH1062082A JP8215683A JP21568396A JPH1062082A JP H1062082 A JPH1062082 A JP H1062082A JP 8215683 A JP8215683 A JP 8215683A JP 21568396 A JP21568396 A JP 21568396A JP H1062082 A JPH1062082 A JP H1062082A
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heat storage
container
storage material
heat
agent
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Application number
JP8215683A
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English (en)
Inventor
Yoshio Irie
好夫 入江
Tomonori Gomi
知紀 五味
Hisaki Yamawaki
久樹 山脇
Yasushi Nabeshima
泰 鍋島
Masanori Kuniyone
正典 国米
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蓄熱剤の漏洩がなく、耐久性に優れると共
に、施工や設置が容易な蓄熱材を提供する。 【解決手段】 通気孔3dが設けられた上蓋部3bを有
する容器3内に、該容器3を自立させるための重り4と
蓄熱性を有する蓄熱剤2とを、該蓄熱剤2と上蓋部3b
との間に所定の空間を有するように入れた後、上記上蓋
部3bで閉口する。このようにして得られた蓄熱材1
は、容器3の上部が上蓋部3bで覆われていると共に重
り4によって容器3が自立可能であるため、振動等によ
って蓄熱剤2が漏洩しない。さらに、上記通気孔3d、
および、蓄熱剤2と上蓋部3bとの間の空間によって、
内圧の変化を抑制すると共に蓄熱剤2に膨張の余地を与
えることができるので、容器3の疲労や破損による蓄熱
剤2の漏洩を防止することができる。また、該蓄熱材1
は、自立するため、施工や設置が容易である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓄熱あるいは蓄冷
に用いられる蓄熱材および蓄熱装置並びに容器に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気料金の節約や省エネルギーを
目的として、例えば深夜電力等を利用して冷凍機やヒー
トポンプ等の熱源を運転し、蓄熱槽に蓄熱することによ
って必要時に利用することが可能な蓄熱装置および該蓄
熱装置の増熱に用いられる蓄熱材の開発が盛んに行われ
ている。
【0003】このような蓄熱材および蓄熱装置として、
従来、上端が開口になったポリエチレンチューブに水を
満たしてなる蓄熱材を束にして蓄熱槽内に設置してなる
蓄熱装置が知られている。
【0004】また、例えば、実開昭54-143460 号公報、
特開昭56-103273 号公報、特開昭61-208493 号公報、特
開平5-296676号公報、米国特許第 4,872,557号には、パ
ラフィンや無機塩を容器内に密閉してなる蓄熱材、およ
び、該蓄熱材を、伝熱媒体を満たした蓄熱槽内に多数、
浸漬してなる蓄熱装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のように、上端が開口になったポリエチレンチューブ
に水を満たしてなる蓄熱材は、ポリエチレンチューブ上
端が開口になっているため、設置の際に倒れたり、振動
等によりポリエチレンチューブ内の水が漏洩する虞れが
ある。このため、蓄熱剤として水の代わりにパラフィン
や無機塩等を使用することはできず、熱の利用温度に制
限を受けるという問題点を有している。しかも、該蓄熱
材は、蓄熱槽内に立設する際に、倒れないように束ねて
使用する必要があることから、設置や施工にかかる時間
や労力を多く要すると共に伝熱媒体を効率良く蓄熱材に
接触させることができないという問題点を有している。
【0006】一方、パラフィンや無機塩を容器内に密閉
してなる蓄熱材、および、該蓄熱材を、伝熱媒体を満た
した蓄熱槽内に多数、浸漬してなる蓄熱装置は、容器が
密閉されていることで、長期に渡って使用した場合、蓄
熱剤の熱膨張や熱収縮の繰り返しによって容器が疲労、
破損し、蓄熱剤が漏洩する虞れがある。このため、該蓄
熱材および蓄熱装置は、錆びたり、引火や延焼等の危険
が生じるという問題点を有している。しかも、該蓄熱材
は、伝熱媒体中に完全に浸漬されて用いられるため、容
易に設置したり交換したりすることができない。
【0007】このため、蓄熱剤の漏洩がなく、耐久性に
優れると共に、施工や設置が容易な蓄熱材および蓄熱装
置、並びに、該蓄熱材および蓄熱装置に用いられる容器
が求められている。
【0008】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、蓄熱剤の漏洩がなく、耐久
性に優れると共に、施工や設置が容易な蓄熱材および蓄
熱装置並びに該蓄熱材および蓄熱装置に用いられる容器
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記目
的を達成すべく鋭意検討した結果、蓄熱性を有する蓄熱
剤と、該蓄熱剤を入れるための容器とを有し、伝熱媒体
中で自立姿勢を維持することができるように重量配分さ
れている蓄熱材が、蓄熱剤の漏洩がなく、耐久性に優れ
ると共に、施工や設置が容易であることを見い出して本
発明を完成させるに至った。また、本願発明者等は、該
蓄熱材が、伝熱媒体を入れた蓄熱槽内に、該伝熱媒体と
蓄熱材に設けられた通気孔とが接触しないように立設さ
れている蓄熱装置が、蓄熱剤の漏洩がなく、耐久性に優
れると共に、施工や設置が容易であることもまた見いだ
した。さらに、本願発明者等は、上部に、蓋部を有する
と共に、内圧の変化を抑制するための通気孔が設けられ
ている容器が、蓄熱剤の漏洩を防止することができ、蓄
熱材および蓄熱装置用の容器に好適であることもまた見
いだした。
【0010】即ち、請求項1記載の発明の蓄熱材は、上
記の課題を解決するために、蓄熱性を有する蓄熱剤と、
該蓄熱剤を入れるための容器とを有し、伝熱媒体中で自
立姿勢を維持することができるように重量配分されてい
ることを特徴としている。
【0011】上記の構成によれば、本発明に係る蓄熱材
は、自立可能で倒れにくいことから、施工や設置が行い
易く、また、蓄熱剤の漏洩を防ぐことができ、従来の蓄
熱材と比較して安全性や耐久性に優れている。
【0012】また、請求項2記載の発明の蓄熱材は、上
記の課題を解決するために、蓄熱性を有する蓄熱剤と、
該蓄熱剤を入れるための上部に蓋部を有する容器と、上
記容器の下部に設けられた重りとを有し、上記容器上部
には内部に空間が設けられると共に、内圧の変化を抑制
するための通気孔が設けられていることを特徴としてい
る。
【0013】上記の構成によれば、本発明に係る蓄熱材
は、たとえ蓄熱剤の比重が伝熱媒体の比重よりも小さい
場合でも自立可能で倒れにくく、しかも、容器の上部は
蓋部によって覆われているので、振動等によって容器内
の蓄熱剤が漏洩する虞れがない。さらに、上記容器の上
部側には内圧の変化を抑制するための通気孔が設けられ
ていることから、該蓄熱材は、温度が変化した場合でも
内圧の変化を抑制し、蓄熱剤の熱膨張、熱収縮による体
積変化を緩和することができる。しかも、上記容器内部
における上部に空間が設けられていることから、該蓄熱
材が傾いた場合でも浮力が働き、容易に自立姿勢に回復
させることができる。また、上記空間が設けられている
ことで、蓄熱剤に膨張の余地を与える。このため、該蓄
熱材を用いれば、容器の疲労、損傷等を防止し、蓄熱剤
の漏洩を防ぐことができる。以上のことから、該蓄熱材
は、従来の蓄熱材と比較して安全性や耐久性に優れ、ま
た、自立可能であることから、施工や設置も行い易い。
【0014】請求項3記載の発明の蓄熱材は、上記の課
題を解決するために、請求項1または2記載の蓄熱材に
おいて、上記蓄熱剤がパラフィン類を含むことを特徴と
している。
【0015】上記の構成によれば、上記蓄熱剤がパラフ
ィン類を含むことで、高い融解潜熱が明確な凝固点とと
もに得られ、しかも、凝固点を自由に選ぶことができる
ので、種々の分野に好適に用いることができる蓄熱材を
提供することができる。
【0016】請求項4記載の発明の蓄熱材は、上記の課
題を解決するために、請求項3記載の蓄熱材において、
上記パラフィン類がゲル化剤によりゲル化されているこ
とを特徴としている。
【0017】上記の構成によれば、振動等による蓄熱剤
の漏洩をさらに防止することができ、しかも、万が一容
器がひび割れたり、破損したりした場合でも、蓄熱剤が
漏洩し難い。
【0018】請求項5記載の発明の蓄熱材は、上記の課
題を解決するために、請求項1〜4の何れか1項に記載
の蓄熱材において、上記容器外周にスペーサーが設けら
れていることを特徴としている。
【0019】上記の構成によれば、複数の蓄熱材を蓄熱
槽内に密に並設した場合でも、隣接する蓄熱材との間に
所定の空間(隙間)を確保することができ、伝熱媒体と
効率良く熱交換させることができる蓄熱材を提供するこ
とができる。さらに、該蓄熱材は、スペーサーを備えて
いることで、蓄熱槽内に効率良く並設することが可能で
ある。
【0020】請求項6記載の発明の蓄熱材は、上記の課
題を解決するために、請求項1〜5の何れか1項に記載
の蓄熱材において、上記蓋部がスペーサーを兼ねている
ことを特徴としている。
【0021】上記の構成によれば、部品点数を削減する
ことができ、製造に係る費用を安価なものにすることが
できる。
【0022】請求項7記載の発明の蓄熱装置は、上記の
課題を解決するために、請求項1〜6の何れか1項に記
載の蓄熱材が、伝熱媒体を入れた蓄熱槽内に、該伝熱媒
体と蓄熱材に設けられた通気孔とが接触しないように立
設されていることを特徴としている。
【0023】上記の構成によれば、蓄熱剤の漏洩がな
く、耐久性に優れると共に、施工や設置が容易な蓄熱装
置を提供することができる。しかも、上記蓄熱装置は、
蓄熱材を立てて用いると共に、完全に浸漬しないで用い
るため、蓄熱材の交換や取り外しが容易である。
【0024】請求項8記載の発明の容器は、上記の課題
を解決するために、蓄熱剤を入れるための容器であっ
て、上部に、蓋部を有すると共に、内圧の変化を抑制す
るための通気孔が設けられていることを特徴としてい
る。
【0025】上記の構成によれば、該容器の上部は蓋部
によって覆われているので、振動等によって、容器内の
蓄熱剤が漏洩する虞れがない。さらに、上記容器の上部
側には、内圧の変化を抑制するための通気孔が設けられ
ていることから、該容器を用いた蓄熱材および蓄熱装置
は、温度が変化した場合でも、内圧の変化を抑制し、蓄
熱剤の熱膨張、熱収縮による体積変化を緩和することが
できる。つまり、該容器は、蓄熱剤の漏洩の防止に効果
的であり、蓄熱材および蓄熱装置に好適である。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態について図
1ないし図10に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。
【0027】本実施の形態にかかる蓄熱材1は、図1に
示すように、蓄熱性を有する蓄熱剤2と、該蓄熱剤2を
入れるための容器3とを少なくとも備えている。
【0028】上記蓄熱剤2としては、具体的には、固相
と液相との相変化により潜熱蓄熱性を有する、例えば、
テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン等のn-パラ
フィン、パラフィンワックス、イソパラフィン、ポリエ
チレンワックス等のパラフィン類;カプリル酸、カプリ
ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パル
ミチン酸、高密度ポリエチレン等の脂肪酸類;ステアリ
ン酸ブチル等の脂肪酸エステル類;デカノール、ドデシ
ルアルコール、ペンタエリトリトール、ペンタグリセリ
ン、ネオペンチルグリコール等のアルコール類;水;塩
化カルシウム6水塩、硫酸ナトリウム10水塩、リン酸2
ナトリウム12水塩、硝酸亜鉛6水塩、チオ硫酸ナトリウ
ム5水塩、酢酸ナトリウム3水塩、水酸化バリウム8水
塩、硝酸マグネシウム6水塩、硫酸アルミニウムアンモ
ニウム12水塩、塩化マグネシウム6水塩等の、無機物の
水和塩等が挙げられるが、特に限定されるものではな
い。これら蓄熱剤2のなかでも、高い融解潜熱が明確な
凝固点とともに得られること、凝固点が自由に選べるこ
と等の利点から、パラフィン類が特に好ましい。
【0029】これら蓄熱剤2の形態は、特に限定される
ものではなく、例えば、上記例示の化合物をそのまま、
あるいは、ゲル化剤(凝固剤)によってゲル化させて用
いることができる。これら蓄熱剤2をゲル化させること
で、振動等による蓄熱剤2の漏洩をさらに防止すること
ができ、しかも、万が一、容器3がひび割れたり、破損
した場合でも蓄熱剤2が漏洩し難くなる。尚、上記蓄熱
剤2の容器3における注入状態については後述する。
【0030】上記容器3は、少なくとも容器本体3aと
下蓋部3cとを備えており、振動等によって、容器3内
の蓄熱剤2の漏洩をさらに防止するためには、上蓋部3
bをさらに備えていることがより好ましい。そして、上
記容器3が上蓋部3bを備えている場合、上記容器3の
上部、例えば、上蓋部3bの天壁に、温度変化に伴う内
圧の変化を抑制するための微細な通気孔3dを設けるこ
とで、蓄熱剤2の熱膨張、熱収縮による体積変化を緩和
することができる。上記容器本体3aと下蓋部3cとは
接着剤等で完全にシールされており、一体成型によって
形成されていてもよい。但し、上記容器本体3aと上蓋
部3bとは、完全にシールされている必要はなく、微細
な通気孔3dを形成するために、接着を不充分にした
り、あるいは、全く接着剤等を用いずに上蓋部3bが装
着されていてもよい。
【0031】また、上記上蓋部3b、下蓋部3cは、ス
ペーサーを兼ねていることが好ましい。上記上蓋部3
b、下蓋部3cがスペーサーを兼ねていることで、複数
の蓄熱材1…を後述する蓄熱槽に立設させる際に、互い
に隣接する蓄熱材1同士の間隔の調整を容易にすると共
に、蓄熱材1…を効率良く並設させることができる。
【0032】本発明に用いられる容器3の形状として
は、特に限定されるものではなく、例えば、円筒型、角
筒型、カプセル型等、種々の形状の容器を用いることが
できる。そのなかでも、製作が容易で使用し易いこと、
伝熱媒体が蓄熱材1同士の隙間を流過する際に分散して
流れ、効率良く熱交換を行うことができること等の理由
から円筒型が好ましい。
【0033】該容器3の材質としては、封入する蓄熱剤
2の種類に応じて適宜、選択すればよく、特に限定され
るものではない。例えば、蓄熱剤2として水や無機水和
塩等を用いる場合には、ポリエチレンを用いることが好
ましく、蓄熱剤2としてパラフィン類等を用いる場合に
は、ポリ塩化ビニルを用いることが好ましい。
【0034】該容器3の大きさは、用途等に応じて適宜
設定すればよく、特に限定されるものではない。例え
ば、容器3の内径が大きければ、蓄熱材1の単価は高く
なるが、蓄熱槽内に設置する個数が少なくて済むため、
全体的な費用は安くなる。このため、内径が大きけれ
ば、蓄熱装置における蓄熱材1…の単位重量あたりのコ
ストを低減させることができる。その反面、容器3の内
径が大きくなる程、蓄熱材1中心部分への伝熱性は低下
する。これらのことから、容器3の内径は、2cm〜10cm
の範囲内で設定することが、伝熱性が良く、しかも、蓄
熱装置の製造に係る費用を安価に抑えることができるこ
とから好ましい。
【0035】また、該容器3の長さ(高さ)は、用途
や、蓄熱槽内の伝熱媒体の水深等に応じて適宜設定すれ
ばよく、通気孔3dが伝熱媒体に接触しないだけの高さ
が確保されてさえいれば特に限定されるものではない。
具体的には、伝熱媒体の水深を1mとすれば、液面から
通気孔3dまでの長さやコスト、蓄熱装置の小型化等の
面から、1.1 m〜 1.3mの範囲内において設定すること
が好ましい。
【0036】該容器3の外壁の厚みは、容器3の材質等
に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものでは
ないが、伝熱面ではできるだけ薄い方が好ましく、耐久
性の面では厚い方が好ましい。これらのことから、例え
ば、容器3がプラスチックからなる場合には、0.3 mm〜
3mmの範囲内において設定することが好ましい。
【0037】また、本発明にかかる蓄熱材1は、該容器
3を伝熱媒体中で自立させるために、容器3下部に、重
り4をさらに備えていることが好ましい。上記重り4と
しては、特に限定されるものではないが、具体的には、
例えば、砂(比重;2〜2.5)、石(比重;2〜2.5)、鉛
(比重;11.4) 、鉄(比重;7.8)等が挙げられ、用いる
伝熱媒体および蓄熱剤2の比重よりも重り4の比重の方
が高くなるように適宜選択して用いられる。
【0038】ここで、上記蓄熱材1における蓄熱剤2の
注入状態について、以下に説明する。該蓄熱材1におい
て、上記蓄熱剤2は、容器3が伝熱媒体中で自立姿勢を
維持することができるように、つまり、該蓄熱材1が伝
熱媒体中で自立姿勢を維持することができるように容器
3内において重量配分されている。例えば、上記蓄熱剤
2は、容器3内部における上部に空間を有するように容
器3内に注入されている。このとき、上記蓄熱剤2は、
伝熱媒体の比重よりも大きい比重を有する化合物である
ことが望ましい。上記蓄熱剤2の比重が伝熱媒体の比重
よりも大きく、容器3上部、つまり、例えば蓄熱剤2と
容器3の天壁との間に充分な空間を有することで、容器
3上部が軽く、容器3下部が重くなるので、該蓄熱材1
を伝熱媒体中で自立させることができる。尚、この場合
の蓄熱剤2の使用量は、該蓄熱材1が伝熱媒体中で自立
姿勢を維持することができるように、容器3の大きさ、
蓄熱剤2や伝熱媒体の種類(比重)等に応じて適宜設定
すればよく、特に限定されるものではない。
【0039】また、上記蓄熱剤2の比重が伝熱媒体の比
重よりも小さい場合でも、上記重り4をさらに用いて重
量配分することで、蓄熱材1を伝熱媒体中で自立させる
ことができる。この場合にも、上記蓄熱剤2および重り
4の使用量は、特に限定されるものではなく、該蓄熱材
1が伝熱媒体中で自立姿勢を維持することができるよう
に適宜設定すればよい。
【0040】また、該蓄熱材1は、容器3内部における
上部に空間(部)を有することで、蓄熱材1が傾いた場
合でも、この空間部の浮力により、容易に自立姿勢に回
復させることが可能である。また、該蓄熱材1が容器3
内部における上部に空間を有することで、蓄熱剤2に膨
張の余地を与え、蓄熱剤2の熱膨張、熱収縮による体積
変化を緩和し、容器3の疲労、損傷等を抑えることがで
きる。従って、上記の構成によれば、蓄熱剤2の漏洩を
防止し、安全性や耐久性に優れた蓄熱材1を得ることが
できる。尚、上記空間部の大きさは、蓄熱剤2の体積変
化によって通気孔3dによる通気が阻害されない大きさ
が確保されていれば、該蓄熱材1が自立姿勢を保つこと
ができる範囲内で自由に設定することができる。
【0041】このように、上記蓄熱材1は、伝熱媒体中
で自立姿勢を維持することができるように重量配分され
ていることで倒れにくく、蓄熱剤2の漏洩を防ぐことが
できる。また、該蓄熱材1が重り4を有する場合、たと
え蓄熱剤2の比重が伝熱媒体の比重よりも小さい場合で
も伝熱媒体中で自立可能であり、倒れにくい。しかも、
容器3の上端が上蓋部3bによって覆われていること
で、振動等によって、容器3内の蓄熱剤2が漏洩する虞
れがない。これらのことから、上記蓄熱材1は、従来の
蓄熱材と比較して安全性や耐久性に優れている。しか
も、上記蓄熱材1は、自立可能であることから、施工や
設置も行い易い。また、該蓄熱材1は、蓄熱装置中で、
伝熱媒体のない状態で施工する場合でも、重り4が下部
にあることから比較的倒れにくく、施工し易い。また、
上記蓄熱材1は、蓄熱剤2の漏洩を防止することができ
ることから、蓄熱剤2として、パラフィン類や無機水和
塩等、従来公知の種々の蓄熱剤を用いることができるた
め、凝固点を自由に設定することができ、広い分野に利
用することが可能である。
【0042】尚、上記図1では、通気孔3dを上蓋部3
bの天壁に形成したが、上記通気孔3dの形成位置とし
ては、容器3の上部側、つまり、上記上蓋部3bや上蓋
部3b近傍であれば、特に限定されるものではない。ま
た、上記通気孔3dの形状や大きさ、および、個数は、
特に限定されるものではなく、内圧の変化を抑制し、温
度変化による蓄熱剤2の膨張、収縮を緩和させるに充分
な孔若しくは狭い隙間があれば充分である。但し、蓄熱
剤2等の内容物を出にくくするためには、通気孔3dの
大きさは2mm以下であることが好ましく、1mm以下であ
ることがさらに好ましい。
【0043】上記通気孔3dは、例えば、図2に示すよ
うに、容器本体3aの上端を一部切り欠くと共に、この
切り欠き部と相対する部分の上蓋部3bの側壁を上蓋部
3bの下端まで一部切り欠き、上蓋部3bと容器本体3
aとの間に通気可能となるように隙間を設けることによ
って形成してもよいし、図3に示すように、容器本体3
aの上端近傍に微細な孔を設けることによって形成して
もよい。
【0044】また、上記重り4は、必ずしも容器3内に
入れる必要はなく、容器3を自立させることができるよ
うに、容器3の下側に設けられてさえいれば、容器3の
内部にあっても外部にあっても構わない。また、重り4
を容器3内に入れる場合でも、上記重り4は蓄熱剤2と
接触していてもよいし、仕切りを設けて別々に入れても
よい。
【0045】さらに、上記図1では、容器3の形状を円
筒状とし、下部に下蓋部3cを有する構成としたが、図
4に示すように、容器3の底部を、例えば半球状に形成
して点接触可能な形状とすることで、重り4によって、
所謂不動翁のように、一旦傾いたとしても倒れず、元の
状態に復元可能とすることができ、さらに倒れ難い構成
とすることができる。
【0046】また、上記蓄熱材1は、複数の蓄熱材1…
を蓄熱槽に立設させる際に、互いに隣接する蓄熱材1同
士の間隔の調整を容易にすると共に、蓄熱材1…を効率
良く並設させることができることから、容器3の外周に
スペーサーを備えていることが好ましい。該スペーサー
の長さ(容器3表面からの突出幅)は、特に限定される
ものではないが、例えば、0.5mm 〜20mmの範囲内となる
ように設定すればよい。これにより、蓄熱材1…を蓄熱
槽内に密に並設した場合でも、隣接する蓄熱材1との間
に所定の空間(隙間)を確保することができ、伝熱媒体
と効率良く熱交換させることができる。
【0047】上記スペーサーの取付け位置としては、特
に限定されるものではないが、蓄熱材1…を、蓄熱槽内
に密に立設させて固定させるためには、スペーサーを容
器3の両末端に設けることが好ましい。この場合、上述
したように、容器3の上蓋部3bおよび下蓋部3cが、
スペーサーの役割を兼ねていることがさらに好ましい。
【0048】例えば、図5に示すように、容器本体3a
の外径を61mm、上蓋部3bの外径を63mmとすると、上蓋
部3b同士が接触するように蓄熱材1を並設すること
で、蓄熱材1の容器本体3a間には、2mmの間隔が確保
される。
【0049】但し、該スペーサーの取付け位置や取付け
個数、形状等は、これに限定されるものではない。例え
ば、図6および図7に示すように、スペーサー5を前記
上蓋部3bや下蓋部3cとは別に設ける場合、例えば、
リング状のスペーサー5を容器3の外周に設けることに
よって、容器3同士の間隔を容易に調節することができ
る。このとき、該スペーサー5は、蓄熱材1毎に同位置
に設けてもよいし、異なった位置に設けてもよい。
【0050】例えば、上記スペーサー5の容器3表面か
らの突出幅を5mmとした場合、図6(a)・(b)に示
すように、スペーサー5を蓄熱材1毎に同位置に設ける
ことによって、スペーサー5の側面同士が接触するよう
に並設させれば、蓄熱材1の容器3同士の間隔を10mmに
調節することができる。
【0051】一方、図7(a)・(b)に示すように、
蓄熱材1毎にスペーサー5を異なった位置に設けること
によって、スペーサー5の側面が隣接する蓄熱材1の容
器3に接触するように並設させれば、容器3同士の間隔
を5mmに調節することができる。
【0052】次に、上記蓄熱材1を用いた蓄熱装置につ
いて以下に説明する。ここでは、例えば、上記蓄熱材1
を、ビル等の建物の空調に用いる場合を例に挙げて説明
する。該蓄熱装置をビル等の建物の空調に用いるため
に、例えば建物最下部二重スラブ内に設置する場合、図
8に示すように、基礎底盤(スラブ)11および地中梁
12外周を防水材および断熱材で被覆することによって
蓄熱槽21を形成する。
【0053】地中梁12で仕切られた上記各蓄熱槽21
…には、通気管14…および排水管15…が設けられる
と共に、連通管13…が設けられている。そして、伝熱
媒体22は、図示しない供給管から供給され、上記連通
管13…を通って隣接する蓄熱槽21へ流過するように
なっている。蓄熱槽21内を流過することによって熱交
換された伝熱媒体22は、図示しない排出管を経て空調
機へと送られる。
【0054】このとき、蓄熱槽21内の水をできるだけ
均一に流過させるためには、上記連通管13…は、伝熱
媒体22の流入口13aと流出口13bとを結ぶ流路が
最長となるように、対角線上に形成されることが好まし
い。尚、蓄熱槽21を流過する伝熱媒体22の温度は、
該蓄熱槽21に設けられた温度センサ16によって測定
され、これにより、例えば、冷凍機やヒートポンプ等の
熱源の運転が図示しない制御装置により制御されるよう
になっている。
【0055】該蓄熱装置は、上記蓄熱材1と、伝熱媒体
22を有する蓄熱槽21とを備え、上記蓄熱材1は、蓄
熱槽21内に、伝熱媒体22と蓄熱材1に設けられた通
気孔3dとが接触しないように、つまり、通気孔3dが
伝熱媒体22の液面よりも上方となるように一部浸漬し
た状態で立設される。
【0056】上記伝熱媒体22としては、特に限定され
るものではなく、例えば、水;ブライン等、用途に応じ
て適宜選択することができる。
【0057】該蓄熱材1…を蓄熱槽21内に設置する場
合には、該蓄熱材1…は、図9に示すように、蓄熱槽2
1内に、密に設置してもよいし、図8に示すように、互
いに間隔を設けて設置してもよい。例えば、図5に示す
ように、容器本体3aの外径が61mm、上蓋部3bの外径
が63mmに形成された蓄熱材1…を、図9に示すように、
650mm × 650mmの蓄熱槽21内に、上蓋部3bが互いに
接触するように密に設置した場合、該蓄熱材1は蓄熱槽
21内に105 本設置され、蓄熱材1・1の容器本体3a
・3a間には、前述したように2mmの間隔が確保され
る。このように、該蓄熱材1…を蓄熱槽21内に密に設
置する場合でも、該蓄熱材1…は、互いに隣接する蓄熱
材1…同士の間に所定の間隔(隙間)を確保することが
でき、しかも、上蓋部3b…が互いに接触することで、
蓄熱槽21内に蓄熱材1…を効率良く整然と並設するこ
とができる。
【0058】このように、上記蓄熱槽21内における上
下方向(垂直方向)は、互いに隣接する蓄熱材1・1間
に設けられた隙間によって伝熱媒体22が流れ易くなっ
ている。従って、従来のように、球状あるいは板状の密
閉容器を多数、浸漬・積層させて用いる場合のように、
水平、垂直両方向への伝熱媒体22の分散を考慮する必
要が無く、効率的に熱変換を行うことができる。
【0059】但し、水平方向への伝熱媒体22の分散を
考慮した場合、必要に応じて、図8に示すように、上記
連通管13における流入口13a近辺に、伝熱媒体22
の流れ(流量および流過方向)を調整するための整流板
(多孔板)23を設けることで、水平方向の流れを容易
にし、さらに流れが均一になるように調節することがで
きる。これにより、蓄熱槽21内に伝熱媒体22の滞留
域(止水域)の発生をさらに防止することができる。
【0060】また、本発明に係る蓄熱材1は、自立する
ため、図8あるいは図4に示すように、互いに間隔を有
するように蓄熱槽21内に隙間を開けて立設させること
ができる。このとき、図4に示すように、容器3の底部
を半球状に形成して蓄熱槽21底壁に点接触させること
によって、蓄熱材1を、蓄熱槽21内に、揺動可能に立
設させることができる。この場合、いわゆる不倒翁のよ
うに、傾いても復元可能となり、伝熱媒体22の流過に
よって揺動し、伝熱媒体22の攪拌効果を得ることがで
きる。この結果、伝熱媒体22の滞留域の発生を防止
し、効率的に熱変換を行うことができる。
【0061】このように、該蓄熱装置は、従来のよう
に、伝熱媒体22のみを収容している場合と比較して蓄
熱量を大きく増加させることができることは勿論、伝熱
媒体22の流れを効率的に行うことができることから、
蓄熱槽21自体の蓄熱効率を高めることができる。
【0062】以上のように、上記蓄熱装置を用いれば、
蓄熱槽21内に供給(流入)された伝熱媒体22は、蓄
熱材1…によって効率的に熱交換されて図示しない空調
機へと送られる。
【0063】尚、図8では、該蓄熱装置を建物最下部二
重スラブ内に設置する場合について説明したが、本発明
の蓄熱装置の設置場所は特に限定されるものではなく、
例えば、建物の屋上、地上、地下等、用途に応じて所望
する場所に設置することができる。
【0064】また、図8では、蓄熱槽全体が地中梁によ
って仕切られることで複数の蓄熱槽21…が連続して形
成されている構造としたが、蓄熱槽の構造は、これに限
定されるものではなく、蓄熱槽全体が仕切りのない単一
形の形状としてもよい。本発明において用いられる蓄熱
槽は、特に限定されるものではなく、用途に応じて種々
の大きさや形状の蓄熱槽を用いることができる。例え
ば、水蓄熱の水槽や浄化槽等の既設の水槽等がある場合
には、この既設の水槽を蓄熱槽として用いてもよい。蓄
熱槽の材質としては、特に限定されるものではなく、例
えば、FRP(fiber glass reinforced plastic)製、
鋼製、コンクリート製等、用途に応じて、種々の材質の
蓄熱槽を用いることができる。
【0065】次に、上記構成の蓄熱装置を空調機におけ
る冷房に適用した場合の伝熱媒体22の流れについて図
10を用いて以下に説明する。
【0066】先ず、蓄熱時には、蓄熱装置40における
高温側の伝熱媒体22が三方弁31で選択され、ポンプ
32によってヒートポンプ等の熱源34へと送られる。
そして、温度センサ33にて測定された12℃の伝熱媒体
22は、上記熱源34によって7℃に冷却されて蓄熱装
置40(低温側)へと供給される。一方、冷房時には、
蓄熱装置40から取り出された低温の伝熱媒体22がポ
ンプ35によって、エアーハンドリングユニットやファ
ンコイルユニット等の空調機36へと供給される。尚、
該伝熱媒体22を空調機36へと供給する際には、該伝
熱媒体22を直接空調機36へと供給してもよいし、図
示しない熱交換器等を介して供給してもよい。このと
き、伝熱媒体22の供給温度、即ち、空調機36の入口
温度は7℃であり、戻り温度、即ち、室内温度センサ3
7によって測定された空調機36の出口温度は12℃〜15
℃である。そして、空調機36を出た伝熱媒体22は、
再び蓄熱装置40へと送られ、熱交換される。
【0067】尚、上記図10では、蓄熱装置40を空調
に用いた場合について説明したが、これに限定されるも
のではなく、本発明に係る蓄熱材1および蓄熱装置40
は、例えば、ビルの空調用以外にも、給湯設備、食品工
場や化学工場の保温や保冷、床暖房や壁暖房の建材用、
保温や保冷の輸送システム、太陽熱コレクター等、幅広
い分野に利用することができる。
【0068】以上のように、本実施の形態に係る蓄熱材
1は、蓄熱性を有する蓄熱剤2と、該蓄熱剤2を入れる
ための容器3とを有し、伝熱媒体22中で自立姿勢を維
持することができるように重量配分されている。
【0069】これにより、該蓄熱材1は、自立可能で倒
れにくい。このため、該蓄熱材1は、施工や設置が行い
易く、しかも、蓄熱剤2の漏洩を防ぐことができるの
で、従来の蓄熱材と比較して安全性や耐久性に優れてい
る。該蓄熱材1は、重り4を有することがさらに好まし
く、重り4を用いて重量配分を行うことで、さらに重量
配分を容易にすることができ、しかも、蓄熱剤2の比重
が伝熱媒体22の比重よりも小さい場合でも、蓄熱材1
を容易に自立させることができる。
【0070】また、本実施の形態に係る蓄熱材1は、蓄
熱性を有する蓄熱剤2と、該蓄熱剤2を入れるための上
部に上蓋部3bを有する容器3と、上記容器3の下部に
設けられた重り4とを有し、上記容器3上部には内部に
空間が設けられると共に、内圧の変化を抑制するための
通気孔3dが設けられている。
【0071】これにより、該蓄熱材1は、たとえ蓄熱剤
2の比重が伝熱媒体22の比重よりも小さい場合でも自
立可能で倒れにくく、しかも、容器3の上部(上端)は
上蓋部3bによって覆われているので、振動等によっ
て、容器3内の蓄熱剤2が漏洩する虞れがない。
【0072】さらに、上記容器3の上部側には、内圧の
変化を抑制するための通気孔3dが設けられていること
から、該蓄熱材1は、温度が変化した場合でも、内圧の
変化を抑制し、蓄熱剤2の熱膨張、熱収縮による体積変
化を緩和することができる。この結果、該蓄熱材1を用
いれば、容器3の疲労、損傷等を防止し、蓄熱剤2の漏
洩を防ぐことができる。
【0073】以上のことから、該蓄熱材1は、従来の蓄
熱材と比較して安全性や耐久性に優れ、また、自立可能
であることから、施工や設置も行い易い。また、上記蓄
熱材1は、蓄熱剤2として、パラフィン類や無機水和塩
等、従来公知の種々の蓄熱剤を用いることができるた
め、凝固点を自由に設定することができ、広い分野に利
用することが可能である。特に蓄熱剤2としてパラフィ
ン類を用いた場合、高い融解潜熱が明確な凝固点ととも
に得られ、しかも、凝固点を自由に選ぶことができるの
で、種々の分野に好適に用いることができる蓄熱材1を
得ることができる。
【0074】さらに、該蓄熱材1が容器3の外周にスペ
ーサーを備えていることで、蓄熱材1…を蓄熱槽21内
に密に並設した場合でも、隣接する蓄熱材1との間に所
定の空間(隙間)を確保することができ、伝熱媒体22
と効率良く熱交換させることができる。さらに、該蓄熱
材1がスペーサーを備えていることで、蓄熱槽21内に
効率良く蓄熱材1を並設することができる。このとき、
該スペーサーとしては、例えばリング状のスペーサー5
等を用いることもできるが、上蓋部3bがスペーサーを
兼ねることで、部品点数を削減することができ、製造に
係る費用を安価なものにすることができる。
【0075】また、本実施の形態に係る蓄熱装置40
は、上記蓄熱材1が、伝熱媒体22を入れた蓄熱槽21
内に、該伝熱媒体22と蓄熱材1に設けられた通気孔3
dとが接触しないように立設されている構成である。
【0076】上記蓄熱装置40は、上記蓄熱材1を有す
ることで、蓄熱剤2の漏洩がなく、耐久性に優れると共
に、施工や設置が容易である。しかも、上記蓄熱装置4
0は、蓄熱材1を立てて用いると共に、蓄熱槽21内に
完全に浸漬しないで用いるため、蓄熱材1の交換や取り
外しも容易である。また、上記蓄熱材1は、自立可能で
あるため、例えば、蓄熱材1を蓄熱槽21内に揺動可能
に立設させた場合、伝熱媒体22の攪拌効果を得ること
ができ、伝熱媒体22の滞留域の発生を防止し、効率的
に熱変換を行うことができる。
【0077】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の蓄熱材は、以上
のように、蓄熱性を有する蓄熱剤と、該蓄熱剤を入れる
ための容器とを有し、伝熱媒体中で自立姿勢を維持する
ことができるように重量配分されている構成である。
【0078】上記の構成によれば、本発明に係る蓄熱材
は、自立可能で倒れにくいことから、施工や設置が行い
易く、また、蓄熱剤の漏洩を防ぐことができ、従来の蓄
熱材と比較して安全性や耐久性に優れているという効果
を奏する。
【0079】また、本発明の請求項2記載の蓄熱材は、
以上のように、蓄熱性を有する蓄熱剤と、該蓄熱剤を入
れるための上部に蓋部を有する容器と、上記容器の下部
に設けられた重りとを有し、上記容器上部には内部に空
間が設けられると共に、内圧の変化を抑制するための通
気孔が設けられている構成である。
【0080】上記の構成によれば、本発明に係る蓄熱材
は、たとえ蓄熱剤の比重が伝熱媒体の比重よりも小さい
場合でも自立可能で倒れにくく、しかも、容器の上部は
蓋部によって覆われているので、振動等によって容器内
の蓄熱剤が漏洩する虞れがない。さらに、上記容器の上
部側には内圧の変化を抑制するための通気孔が設けられ
ていることから、該蓄熱材は、温度が変化した場合でも
内圧の変化を抑制し、蓄熱剤の熱膨張、熱収縮による体
積変化を緩和することができる。しかも、上記容器内部
における上部に空間が設けられていることから、該蓄熱
材が傾いた場合でも浮力が働き、容易に自立姿勢に回復
させることができる。また、上記空間が設けられている
ことで、蓄熱剤に膨張の余地を与える。このため、該蓄
熱材を用いれば、容器の疲労、損傷等を防止し、蓄熱剤
の漏洩を防ぐことができる。以上のことから、該蓄熱材
は、従来の蓄熱材と比較して安全性や耐久性に優れ、ま
た、自立可能であることから、施工や設置も行い易いと
いう効果を併せて奏する。
【0081】また、本発明の請求項3記載の蓄熱材は、
以上のように、上記蓄熱剤がパラフィン類を含む構成で
ある。
【0082】上記の構成によれば、請求項1または2の
効果に加えて、上記蓄熱剤がパラフィン類を含むこと
で、高い融解潜熱が明確な凝固点とともに得られ、しか
も、凝固点を自由に選ぶことができるので、種々の分野
に好適に用いることができる蓄熱材を提供することがで
きるという効果を奏する。
【0083】また、本発明の請求項4記載の蓄熱材は、
以上のように、上記パラフィン類がゲル化剤によりゲル
化されている構成である。
【0084】上記の構成によれば、請求項3の効果に加
えて、振動等による蓄熱剤の漏洩をさらに防止すること
ができ、しかも、万が一容器がひび割れたり、破損した
りした場合でも、蓄熱剤が漏洩し難いという効果を奏す
る。
【0085】また、本発明の請求項5記載の蓄熱材は、
以上のように、上記容器外周にスペーサーが設けられて
いる構成である。
【0086】上記の構成によれば、請求項1〜4の効果
に加えて、該蓄熱材が容器の外周にスペーサーを備えて
いることで、複数の蓄熱材を蓄熱槽内に密に並設した場
合でも、隣接する蓄熱材との間に所定の空間(隙間)を
確保することができ、伝熱媒体と効率良く熱交換させる
ことができる。さらに、該蓄熱材がスペーサーを備えて
いることで、蓄熱槽内に効率良く蓄熱材を並設すること
ができるという効果を奏する。
【0087】また、本発明の請求項6記載の蓄熱材は、
以上のように、上記蓋部がスペーサーを兼ねている構成
である。
【0088】上記の構成によれば、請求項1〜5の効果
に加えて、部品点数を削減することができ、製造に係る
費用を安価なものにすることができるという効果を奏す
る。
【0089】また、本発明の請求項7記載の蓄熱装置
は、以上のように、請求項1〜6の何れか1項に記載の
蓄熱材が、伝熱媒体を入れた蓄熱槽内に、該伝熱媒体と
蓄熱材に設けられた通気孔とが接触しないように立設さ
れている構成である。
【0090】上記の構成によれば、上記蓄熱装置は、上
記請求項1〜6の何れか1項に記載の蓄熱材を有するこ
とで、蓄熱剤の漏洩がなく、耐久性に優れると共に、施
工や設置が容易である。しかも、上記蓄熱装置は、蓄熱
材を立てて用いると共に、完全に浸漬しないで用いるた
め、蓄熱材の交換や取り外しも容易であるという効果を
奏する。さらに、該蓄熱装置は、従来のように、伝熱媒
体のみを収容している場合と比較して蓄熱量を大きく増
加させることができることは勿論、伝熱媒体の流れを効
率的に行うことができることから、蓄熱槽自体の蓄熱効
率を高めることができるという予想外の効果をも奏す
る。
【0091】また、本発明の請求項8記載の容器は、以
上のように、蓄熱剤を入れるための容器であって、上部
に、蓋部を有すると共に、内圧の変化を抑制するための
通気孔が設けられている構成である。
【0092】上記の構成によれば、該容器の上部は蓋部
によって覆われているので、振動等によって、容器内の
蓄熱剤が漏洩する虞れがない。さらに、上記容器の上部
側には、内圧の変化を抑制するための通気孔が設けられ
ていることから、該容器を用いた蓄熱材および蓄熱装置
は、温度が変化した場合でも、内圧の変化を抑制し、蓄
熱剤の熱膨張、熱収縮による体積変化を緩和することが
できる。つまり、該容器は、蓄熱剤の漏洩の防止に効果
的であり、蓄熱材および蓄熱装置に好適であるという効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る蓄熱材の概略の構
成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る蓄熱材に設けられた通気孔の他の
形成例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る蓄熱材に設けられた通気孔のさら
に他の形成例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る蓄熱材に用いられる容器の他の形
状を示す説明図である。
【図5】図1に示す蓄熱材の蓋部がスペーサー機能を有
することを示す説明図である。
【図6】スペーサーの他の形成例を示す説明図であり、
(a)は、平面図を示し、(b)は(a)のAーA線断
面図を示す。
【図7】スペーサーのさらに他の形成例を示す説明図で
あり、(a)は、平面図を示し、(b)は(a)のBー
B線断面図を示す。
【図8】図1に示す蓄熱材を用いた蓄熱装置の概略の構
成を示す説明図である。
【図9】図1に示す蓄熱材の蓄熱槽内における設置例を
示す説明図である。
【図10】本発明に係る蓄熱装置を用いて冷房を行う際
の伝熱溶媒の流れを示す説明図である。
【符号の説明】
1 蓄熱材 2 蓄熱剤 3 容器 3a 容器本体 3b 上蓋部(蓋部) 3c 下蓋部 3d 通気孔 4 重り 5 スペーサー 21 蓄熱槽 22 伝熱媒体 40 蓄熱装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鍋島 泰 大阪府四條畷市大字上田原1602番地の181 (72)発明者 国米 正典 岡山県津山市高尾968番地

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蓄熱性を有する蓄熱剤と、該蓄熱剤を入れ
    るための容器とを有し、伝熱媒体中で自立姿勢を維持す
    ることができるように重量配分されていることを特徴と
    する蓄熱材。
  2. 【請求項2】蓄熱性を有する蓄熱剤と、該蓄熱剤を入れ
    るための上部に蓋部を有する容器と、上記容器の下部に
    設けられた重りとを有し、上記容器上部には内部に空間
    が設けられると共に、内圧の変化を抑制するための通気
    孔が設けられていることを特徴とする蓄熱材。
  3. 【請求項3】上記蓄熱剤がパラフィン類を含むことを特
    徴とする請求項1または2記載の蓄熱材。
  4. 【請求項4】上記パラフィン類がゲル化剤によりゲル化
    されていることを特徴とする請求項3記載の蓄熱材。
  5. 【請求項5】上記容器外周にスペーサーが設けられてい
    ることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の
    蓄熱材。
  6. 【請求項6】上記蓋部がスペーサーを兼ねていることを
    特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の蓄熱材。
  7. 【請求項7】請求項1〜6の何れか1項に記載の蓄熱材
    が、伝熱媒体を入れた蓄熱槽内に、該伝熱媒体と蓄熱材
    に設けられた通気孔とが接触しないように立設されてい
    ることを特徴とする蓄熱装置。
  8. 【請求項8】蓄熱剤を入れるための容器であって、上部
    に、蓋部を有すると共に、内圧の変化を抑制するための
    通気孔が設けられていることを特徴とする容器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012169460A1 (ja) * 2011-06-08 2012-12-13 シャープ株式会社 蓄熱部材
JP2014025654A (ja) * 2012-07-27 2014-02-06 Seikosha:Kk 蓄放熱ユニットパイプ

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WO2012169460A1 (ja) * 2011-06-08 2012-12-13 シャープ株式会社 蓄熱部材
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