JPH1061369A - 割岩機用鋼製拡縮円筒保護管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】トンネル掘削或いは岩盤、又は、コンクリート
構造物を破砕する場合の無発破低振動工法としでのドリ
ル式工法に用いられる高性能割岩機を開発するために割
岩機本体の保護と、その隙間や目地に石や砂等の侵入を
防止するための径方向に拡縮可能な鋼製の円筒管状の保
護カバーを提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】断面が湾曲形状をした複
数の帯状鋼板又は成型された形状鋼板を相互に隙間を設
けて円筒状に配置し、且つ、この各鋼板間の隙間に可撓
性のゴム又は高分子樹脂等を充填して一体成型した伸縮
目地付きの径方向に拡縮可能な鋼製の円筒管を設け、且
つ、該伸縮目地と内部に収納される割岩機本体の割れ目
が交錯する構造とし、かつ端部に脱落防止機構を備えた
鋼製円筒保護管として構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】トンネル掘削或いは岩盤、又
は、コンクリート構造物の破砕工法の内圧式割岩機の保
護及び防塵カバーに関する。

【０００２】

【従来の技術】トンネルや岩盤の掘削、或いは、コンク
リート構造物を破砕する場合、従来、発破による工法が
最も多く行われていたが近年は住宅地周辺の掘削工事や
ビル解体の場合、無発破工法或いは低振動掘削が義務付
けられるようになり、スロットドリル工法が多く行われ
ている。この場合、先進導坑或いはスロットによる自由
面を設けたあとドリルによって岩盤の掘削進行方向に多
数の穿孔を行い、この孔に各種破砕用治具又は油圧くさ
び、或いは、内圧破砕式等の各種手段からなる割岩機を
挿入して、個々の孔を強制的に拡大してひび割れをおこ
す割岩方式が試みられているが、現状は性能的にも効率
的にも、また経済的にも満足すべき割岩機が見い出せな
いでいた。又、このことは優れた割岩機が未開発段階で
あると同時に、割岩機に対する防塵或いは保護手段の不
足が原因にもなっていた。即ち、内圧破砕式割岩機の代
表例としての、油圧又は水圧等の内液圧を可撓性の内袋
をシール膜とした鋼製の筒管状に内蔵して組み合わされ
た構造の割岩機の場合、内圧によって生ずる割岩機の胴
部鋼板の膨らみによる本体素材の割れ防止の対策、及び
外径の拡大時に自動的に生ずる鋼製筒管の割れ目や隙間
からの石や砂の侵入防止手段が求められていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、トンネル掘
削或いは岩盤やコンクリート構造物を破砕する場合の従
来の発破工法に代わる無発破低振動工法としてのドリル
工法に用いられる、割岩機としての楔或いは内圧破砕式
割岩機の外筒として、径方向に拡縮可能な伸縮目地付き
鋼製保護カバーを併用することにより、内蔵される割岩
機の破砕圧力の増強を構造的に可能にすると同時に破砕
圧力を損なわずに伝達し、且つ、割岩機本体の隙間や目
地に石や砂等の侵入を防止し、更に、繰り返しの破砕作
業に於いて、割岩の都度、割岩機本体共々原型に迅速に
収縮復元させるこの出来る割岩機用鋼製拡縮円筒保護管
を提供することを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】トンネル掘削工事に於け
る無発破工法として、先進導坑或いはスロットによる自
由面を設け、且つ、１００ミリメートル乃至５０ミリメ
ートル径のドリルによって岩盤の進行方向に約１０００
ミリメートル長の多数の穿孔を行い、この孔に各種破砕
用治具或いは油圧くさび等の割岩機を挿入して衝撃また
は加圧拡大して各孔にひび割れを発生させることによっ
て割岩を行うスロットドリル工法が多く行われている
が、特にこの場合、加圧時に１センチ平方メートル当た
り５００乃至１０００キログラムの油圧の掛かる割岩機
の外筒として、断面が半円形をした帯状の長手に一本も
ののスパイラル形状に成型された鋼板を相互に隙間を設
けて円筒形状になるよう整列配置して、この各鋼板間の
隙間に可撓性のゴム又はウレタン等の高分子樹脂を伸縮
用充填部材として充填し、接触する端部同士を完全接合
させて一体成型し、径方向に伸縮可能な伸縮目地付きの
円筒管として設け、且つ、これを収納する割岩機の保護
カバーとして用い、この円筒管が円筒管内の割岩機から
受ける力によって破砕圧力を損なわずに伝達して外径を
拡大し、かつ内部の割岩機の加圧が収まった時割岩機と
共に迅速に収縮可能な構造として防塵機能を持たせるよ
う構成されている。且つ、この円筒管に収納される割岩
機の外径面に設けられた径拡大時に生じる長手直線方向
の割れ目に対し、前記円筒保護管の伸縮目地が角度をも
って交錯するよう配列させることを特徴としてしてお
り、従って、内外からの加圧の大半を重なり合う鋼板で
受け止める構造としている為に円筒保護管の伸縮目地が
割岩機本体の割れ目に連続的に落ち込むことの防止対策
としている。尚、この円筒保護管は主に割岩機本体の強
度保護と防塵を目的とするもので一定回数使用後消耗品
として扱い、交換或いは伸縮目地の補修又は再生を可と
している。更に、円筒保護管端部に脱落防止の機構を設
けると同時に割岩機及び円筒保護管を被破砕体の孔への
装着或いは破砕後の回収を容易にするための把手、及
び、配管手段として用いられる油圧用超高圧ホースの張
力保護のためのワイヤーロープを取り付けておく事が望
ましい。

【０００５】前記断面が湾曲形状をした帯状のスパイラ
ル状の鋼板を一本ものとして、或いは、分割して配置し
て円筒管とすることの他、各種形状をした所定大の形状
鋼板を、その隙間が長手方向に直線的に見て貫通しない
ように、お互いを交錯させて配置して同じ目的を達する
ことも出来る。

【０００６】更に、収納される割岩機の鋼製筒管の径拡
大時の重なりと割れ目をスパイラル形状に設け、本発明
の円筒保護管の鋼板を直線状又は短冊状に配置し、伸縮
目地を直線状に設けて同じ目的を達することも出来る。

【０００７】

【発明の実施の形態】先ず、本発明の割岩機用鋼製拡縮
円筒保護管１を図面に基づいて説明すると、図１に示す
通り断面が湾曲形状をしたスパイラル状の鋼板２を隙間
を設けて定間隔に整列して配置し、且つ、この場合の各
隙間が長手方向直線状に見て次のスパイラル状の鋼板２
によって遮られて貫通しないよう配置し、且つ、各鋼板
間の隙間には耐衝撃性及び耐カット性に優れ、かつ復元
力のある可撓性のゴム又はウレタン等の高分子樹脂を伸
縮用充填部材３として用いてそれぞれを接着等により接
合させて一体として円筒保護管１を設けた構造とする。
従って、この円筒保護管１を用いる事により、この内部
に収納された液圧破砕方式等による割岩機４の本体が図
２及び図３に示す如く拡大して岩盤等を破砕する際、割
岩機４の組み合わされた鋼製筒管の外径が拡大して割れ
目４ａが生ずる構造の場合も、前記円筒保護管１を形成
する鋼板２と充填部材３が図１の如く縦方向に連続して
重なることがない為、外部からの破砕された岩石の衝撃
や荷重の大半を円筒管１の鋼板２及び割岩機４本体の鋼
板の重なりで受け止める構造となっており、割岩機４本
体に生ずる割れ目４ａに円筒保護管１の各鋼板間の充填
部材３が連続して陥没する心配無く、かつ防塵機能を持
って割岩作業を繰り返し行うことが出来る。なお、前記
伸縮用充填部材３には内外面にスリツト３ａ及び３ｂを
設けておくことによって伸縮を容易にし物性及び端部接
着部への負担も少なく円筒保護管４の拡縮を可能とする
事が出来る。

【０００８】尚、本発明の円筒管の端部は脱落防止機構
として、一方を折り曲げ構造としてストッパープレート
５及び接合フランジ６と組合せて割岩機本体への挿入及
び装着を容易にし、且つ、この折り曲げられた鋼板の隙
間にも筒管部同様伸縮用充填部材を施して防塵対策を行
う構造としている。又、円筒保護管の反対側端部は円筒
保護管が拡縮可能な長穴付きの抑え板９を取り付けた構
造としている。割岩機本体４の内部には可撓性シール膜
７が内蔵されている。更に、円筒保護管１を被破砕体の
穿孔された孔に挿入したり、或いは破砕後の回収を容易
にするため、且つ、接続される油圧配管用超高圧ホース
の張力保護のためのワイヤーロープ取り付け用の把手８
が設けられている。又、円筒管４の拡大後の収縮を強力
にするためバネ等の補助手段を把手間に用いる事が出来
る。尚、図面上は割岩機本体を周方向に四つ割りにして
重ね合いながら拡大可能とし、且つ、長手方向にも複数
分割して通しボルト１１を用いた構造としている。

【０００９】その他の実施態様として、図４の如く、前
記長尺の帯状のスパイラル鋼板を長手方向に複数分割し
て湾曲形状に成型した鋼板１３を、お互いに隙間を設け
て、且つ、その隙間が長手直線方向に見て貫通しないよ
うに斜めに整列配置して円筒管状に形成し、この隙間に
伸縮用充填部材３を施して同じ目的を達する事が出来
る。

【００１０】又、図５及び図６の如く断面が湾曲状の亀
甲状１４或いは菱形１５等の一定形状をした形状鋼板の
それぞれに隙間を設けて、その隙間が長手直線方向に見
て貫通しないようにタイル状に秩序良く配置し、且つ、
この隙間に伸縮用充填部材３を施して同じ目的を達する
事が出来る。

【００１１】更に、図７の如く断面が湾曲状の帯鋼を波
型として設けて円筒管１の伸縮用充填部材３と割岩機本
体の割れ目とが一致しないようにすることも可能であ
る。

【００１２】尚、割岩機本体の長さが短尺の場合、割岩
機本体自身の分割された鋼板の重なりと割れ目をスパイ
ラル形状とし、本発明の円筒保護管１を長手直線方向に
分割した断面湾曲形の短冊状の鋼板を用いて円筒形状に
配置し、その隙間に伸縮用充填部材３を施し直線方向の
伸縮目地を設けて同じ目的を達する事が出来る。

【発明の効果】本発明は、トンネル掘削或いは岩盤やコ
ンクリート構造物を破砕する場合の低振動破砕工法とし
てのドリル式工法に用いられる割岩機としての各種楔、
或いは内圧破砕用治具の外筒として径方向に拡縮可能な
鋼製の保護カバーを形成して併用することにより、破砕
圧力を損なわずに内部の割岩機本体の圧力伝達を行うと
同時に強度及び損傷の保護を行い、且つ、割岩機の隙間
や目地に石や砂等の侵入を防止することが可能となる
為、今まで開発上制約の多かった高性能の割岩機の開発
を可能とし、且つ、この円筒保護管を消耗部材として設
ける事により割岩機本体の寿命を大幅に引き伸ばす効果
をもたらす事が出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】割岩機本体を内蔵したスパイラル状の帯鋼を用
いた鋼製拡縮円筒保護管の斜視全体図と一部切欠図。

【図２】同上の断面図と片側内部圧によって拡大された
様子を示す図。

【図３】割岩機本体を内蔵した鋼製拡縮円筒保護管の構
造断面図と片側内部圧によって拡大された様子を示す
図。

【図４】図１のスパイラル状の帯鋼を分割して用いた拡
縮円筒保護管の図。

【図５】亀甲状の形状鋼板を用いて形成された拡縮円筒
保護管の図。

【図６】菱形状の形状鋼板を用いて形成された拡縮円筒
保護管の図。

【図７】波形状の形状鋼板を用いて形成された拡縮円筒
保護管の図。

【符合の説明】

１；鋼製拡縮円筒保護管 ２；断面湾曲形状
のスパイラル鋼板 ３；伸縮用充填部材 ３ａ；外部スリッ
ト ３ｂ；内部スリット ４；割岩機本体 ４ａ；同隙間 ５；ストッパープ
レート ６；接続フランジ ７；可撓性シール
膜 ８；把手 ９；抑え板 １０；防塵プレート １１；通しボルト １２；ナット １３；分割された
スパイラル鋼板 １４；亀甲状の形状鋼板 １５；菱形状の形
状鋼板 １６；波型形状の鋼板

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】断面が湾曲形状をした複数の帯状鋼板、又
   は、一定の形状をした形状鋼板を相互に隙間を設けて円
   筒状に配置し、且つ、該隙間に可撓性のゴム又は高分子
   樹脂を伸縮用充填部材として用いて一体成型した伸縮目
   地付き円筒管として設け、該円筒管の外径が円筒管内部
   に収納される割岩機から受ける加圧力の有無によって拡
   大または収縮可能に変化し、且つ、該円筒管の伸縮目地
   をスパイラル状に設け、前記収納された割岩機の外周面
   に設けられた径拡大時の複数の長手直線方向の割れ目に
   対し斜めに交錯させながら拡大する構造とし、且つ、円
   筒管端部に脱落防止機構を設けて割岩機の保護及び防塵
   用カバーとして構成された割岩機用鋼製拡縮円筒保護
   管。
2. 【請求項２】前記鋼板製の円筒管に於ける、拡大または
   収縮を可能とする伸縮用充填部材を用いた複数の伸縮目
   地を長手直線方向に設け、且つ、該円筒管内部に収納さ
   れる割岩機の外径面の径拡大時の割れ目をスパイラル状
   に設けてお互いが交錯しながら拡大するよう構成された
   請求項１記載の割岩機用鋼製拡縮円筒保護管。