JPH1058473A - 成形プレス用耐熱クッション材 - Google Patents

成形プレス用耐熱クッション材

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JPH1058473A
JPH1058473A JP8237136A JP23713696A JPH1058473A JP H1058473 A JPH1058473 A JP H1058473A JP 8237136 A JP8237136 A JP 8237136A JP 23713696 A JP23713696 A JP 23713696A JP H1058473 A JPH1058473 A JP H1058473A
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JP
Japan
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temperature
heat
fiber
glass transition
transition temperature
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Pending
Application number
JP8237136A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Oda
浩之 小田
Yoshimasa Takakura
良昌 高倉
Yasuhiro Kashiwagi
康宏 柏木
Tetsuo Takeuchi
徹夫 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ichikawa Woolen Textile Co Ltd
Original Assignee
Ichikawa Woolen Textile Co Ltd
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Publication date
Application filed by Ichikawa Woolen Textile Co Ltd filed Critical Ichikawa Woolen Textile Co Ltd
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Publication of JPH1058473A publication Critical patent/JPH1058473A/ja
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B30PRESSES
    • B30BPRESSES IN GENERAL
    • B30B15/00Details of, or accessories for, presses; Auxiliary measures in connection with pressing
    • B30B15/06Platens or press rams
    • B30B15/061Cushion plates

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱プレス成形中の均一な圧力の伝達を長期に
わたり繰り返し発現し、不良のない積層板、化粧板など
の成形加工を可能とする成形プレス用耐熱クッション材
を提供する。 【解決手段】 熱プレス成形温度内にガラス転移温度が
あり、該成形温度以上の温度領域に軟化点、融点または
分解点がある熱可塑性繊維を全部又は主たる繊維とした
ウエッブを積層し、ニードルパンチングにより絡合一体
化してフェルト状体を形成し、該フェルト状体をその構
成繊維のガラス転移温度以上、軟化点、融点または分解
点以内に設定された温度にて熱セットし、熱プレス下で
の厚み回復機能を大幅に増大させ、長期使用により偏平
化が進行した場合でも被成形材料の全面への均一な加圧
伝達を可能となるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント基板用の
フェノール積層板やガラスエポキシ積層板、あるいはメ
ラミン樹脂、フェノール樹脂などの建築用化粧合板等、
被成形材料に合成樹脂を主成分として含む平板状シート
(樹脂製プリプレグ)の成形に用いられる成形プレス用
耐熱クッション材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種のクッション材は、熱板
や鏡面板の凹凸、変形、厚み、むら等を吸収して成形プ
リプレグの全面に均等な圧力を長期間にわたって繰り返
し伝達するという重要な機能を担うものである。即ち、
熱プレス工程において、プリプレグは、加熱により一旦
粘度が下がって液体状態に戻った後、徐々に硬化が進行
するため、プレス時、プリプレグシートの全面に熱盤か
らの熱と圧力を均等に伝達させるために、該プリプレグ
シート面に接して金属鏡面板が配置され、熱盤と鏡面板
との間にはクッション材を介在させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記熱プレス工程での
圧力分布の均一化を長期間機能させるために、紙フェノ
ール積層板などの主として民生用プリント基板成形工程
においては、従来から高温高圧下での繰り返し使用に耐
える耐熱性の優れたメタ系芳香族ポリアミド繊維を用い
て、弾力性のあるフェルト状あるいはフェルトクロス状
(織物状)としたクッション材が使用されていた。
【0004】このメタ系芳香族ポリアミド繊維は、通
常、20°C〜220°Cの温度領域内で行われるプリ
ント基板のプレス成形温度において、充分に良好な耐熱
性を有している。特に、これらの繊維からなるウエッブ
を500〜5000g/m2 程度積層し、ニードルパン
チングにより絡合一体化して、組織に安定性を付与した
フェルト状体は、前記高い温度での熱プレスの繰り返し
に比較的良好に耐え、有害な変形や所謂へたりを急激に
起こさないという利点をもっている。
【0005】このため前記熱盤とか鏡面板面の凹凸或い
は異物の介入に基づく相接面間での伝達圧力の不均衡を
吸収し、プリント基板に許容される精度内の均等な圧力
を比較的長い期間伝達し得るという効果を奏するため、
現在も主要なクッション材として使用されていた。
【0006】しかしながら、メタ系芳香族ポリアミド繊
維からなるフェルト状体は、上述の如く急激なへたりは
起こさないと言っても、繰り返し使用によって永久変形
を起こして厚みが減少することは避けられないことであ
り、このため熱プレス下での良好なクッション性を長期
に亘って保持することが出来ないのは一般にやむを得な
いことと思料されていた。特に、産業用のプリント基板
としてより高い精度の均質性が求められているガラスエ
ポキシ積層板のプレス成形においては、このようなクッ
ション材の偏平化が進行することにより、前記クッショ
ン材は比較的早期に該プリント基板の厚み精度の許容範
囲に見合うプレス下での厚み保持の限界に到達して必要
なクッション特性を発揮しきれずに、充分な構造的強度
を保有したまま短命に終わるという重要な問題が未解決
となっていた。
【0007】また、前記素材の場合には、ガラス転移温
度が約270°Cと高く、実際に成形が行われている温
度はこれより低い温度域であるため、充分な耐熱性を有
する一方、粘弾性的に見ると全く変化がなく、熱プレス
成形中の温度変化に対し柔らかくも硬くもならないとい
う安定した性状を呈示する。
【0008】しかし、かかる繊維からなるクッション材
は、熱プレス下において、自らの厚みを回復する性能が
発揮されないため、熱盤、鏡面板、プリプレグの凹凸や
異物の介入による凹凸を吸収する機能は、もっぱらプレ
ス下の構造的な厚み保持能力に依存することとなる故に
使用回数に伴ってクッション材の密度が上昇し、空隙が
減少すると成形中の被加工物に均一な圧力を伝達するク
ッション能力が徐々に低下してゆくことを抑止すること
ができなかった。
【0009】しかも、均一な圧力を伝達出来ない場合に
おいて、被成形物に厚み斑を生じさせるばかりでなく、
加圧の不十分な個所では成形品における樹脂と基材の間
に隙間ができてプリプレグに含まれている空気を除去で
きなかったり、また加圧過多の個所では、基材が割れて
しまうといった成形製品不良を引き起こし、クッション
材を構成する素材自体の強度や耐熱性は充分残っていな
がらも、被成形物に均一加圧を伝達することができなく
なることによってクッション材の寿命を早めてしまって
いた。
【0010】また、これらのプレス下での厚みの保持能
力を改善するために、目付を増量することやクラフト紙
その他の補助材をサイクル毎に補充する方法が執られて
いるが、何れも熱盤からの熱の伝導性を低下させ、また
生産性や作業性に好ましくない影響を及ぼすものとなっ
ていた。
【0011】さらにまた、常温では固体であり、通常の
プレス成形温度である120°C〜190°Cの温度範
囲内にガラス転移温度を有する粘性流体である高い粘性
と塑性を示す物質をコア体とし、該コア体を成形温度範
囲内で流出を防止するために密閉チャンバー内に隙間な
く封入したクッション材が特開昭64−11099号と
して提案されている。
【0012】この提案に係るクッション材は、厚みを常
時全体的に安定したものに保ち、変化することなのない
大きなクッション量を恒久的に保持する構造となってい
ることにより、熱盤や鏡面板の面の凹凸や異物の介在に
よる伝達圧力不均衡を確実に吸収し、被加工物に均一な
圧力を伝達し得る効果を奏する点で優れたものである
が、クッション材の内側に形成する密閉チャンバーへの
前記コア物質の充填は熱プレス成形時の過度の自由な流
動や該チャンバー内の偏奇を防止する必要上、該チャン
バー内に空気の残存による隙間を全く作らないように完
全な充満状態に封入する必要があり、また、流体が漏出
すると熱プレス成形に重大な欠陥を派生する恐れがある
ために、密閉チャンバーは気密の保てる堅牢な構造のも
のとするなど、クッション材としては製品化に際して高
度な技術を要するという問題があった。
【0013】本発明は上記種々の課題を解消するための
もので、熱プレス成形中の均一な圧力の伝達を長期にわ
たり繰り返し発現し、不良のない積層板、化粧板などの
成形加工を可能とする成形プレス用耐熱クッション材を
提供することを目的としたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は熱プレス成形温度内にガラス転移温度があ
り、該成形温度以上の温度領域に軟化点、融点または分
解点がある熱可塑性繊維を全部又は主たる繊維としたウ
エッブを積層し、ニードルパンチングにより絡合一体化
してフェルト状体を形成し、該フェルト状体をその構成
繊維のガラス転移温度以上、軟化点、融点または分解点
以内に設定された温度にて熱セットし、熱プレス下での
厚み回復機能を大幅に増大させ、長期使用により偏平化
が進行した場合でも被成形材料の全面への均一な加圧伝
達を可能となるように構成した。
【0015】また、請求項2に記載の発明は、前記ウエ
ッブが、前記熱可塑性繊維を主たる繊維とした場合にお
いて、これに配合する繊維が前記熱プレス成形温度以上
の温度領域にガラス転移温度があるか、或いはガラス転
移温度を示さない耐熱繊維とし、耐熱性をより改善でき
るように構成した。
【0016】さらに、請求項3に記載の発明は、前記ウ
エッブの表裏層又は層間に、前記熱プレス成形温度以上
の温度領域にガラス転移温度があるか、或いはガラス転
移温度を示さない他の耐熱繊維のみで形成した繊維層を
積層することによって耐熱性の改善を図った。
【0017】さらにまた、請求項4に記載の発明は、前
記ウエッブの表裏層又は層間に、前記熱可塑性繊維から
なる糸で織成した織物を積層し、ニードルフェルトの構
造的強化の向上を図った。
【0018】さらにまた、請求項5に記載の発明は、前
記織物が、前記熱プレス成形温度以上の温度領域にガラ
ス転移温度があるか、或いはガラス転移温度を示さない
他の耐熱繊維とすることによりニードルフェルトの構造
的強化と耐熱性の更なる改善を図った。
【0019】さらにまた、請求項6に記載の発明は、前
記ウエッブの表裏層又は層間に、樹脂フィルム層を積層
し、吸引パッドによる自動積載のための不通気層の形成
などの機能性向上を図った。
【0020】前記熱プレス成形温度内にガラス転移温度
があり、該成形温度以上の温度領域に軟化点、融点また
は分解点がある熱可塑性繊維、例えばポリフェニレンサ
ルファイド樹脂(PPS繊維)からなるフェルト状体を
フリー状態で熱セットする場合において、該繊維はガラ
ス転移温度を越えると、粘弾性特性が変化し、成形温度
変化中のプリプレグや鏡面版、熱盤の微小な伸縮や振動
のエネルギーを熱エネルギーに変換し、成形に影響を与
える種々の動きを減衰させ吸収する。
【0021】また、上記条件を具備する熱可塑性繊維か
らなる、熱セットされたフェルト状体は、再び加熱され
ると、分子の運動は熱セットされたときの状態に戻ろう
とするために、プレス下でも厚みを回復しようとする
力、即ち、厚み回復性能を発現する。このため、熱プレ
ス成形下で、被成形物表面の圧力不足となっていた個所
においてもクッション材の厚みが増大することにより、
鏡面板を介して均一な圧力が伝達されるようになり、被
成形物の板厚精度が改善され不良のない積層板、化粧板
を作ることが可能となる。
【0022】このような熱プレス下での厚み回復性は、
その素材のガラス転移温度近辺より活発となり、また、
その大きさはガラス転移温度を越えた温度域での熱セッ
トによって変わる。つまりガラス転移温度を越え、軟化
点、融点または分解点以下の温度でフリー状態で熱セッ
トされると、分子の配列は内部のひずみが緩和され安定
な状態となり、このときの状態を維持しようとするため
一種の形状記憶性として働くものと考えられる。また、
熱セットされた温度より低い熱プレス成形温度領域での
加熱・冷却サイクルにおいては、加熱時の回復力は実際
の成形時において繰り返し発現するものである。
【0023】なお、実際の基板成形時には、温度を段階
的に変化させて樹脂の流動・硬化を効果的に進行させる
場合があるが、こういった場合においてはガラス転移温
度の異なる2種類以上の前記熱可塑性繊維を用いたクッ
ション材を使用すれば、それぞれの厚み回復性能発現温
度の違いから、熱プレス成形温度のより広い領域にわた
って均一な加圧伝達性能が得られ良好な成形が可能とな
る。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図において、1は本願クッション
材で、該本願クッション材1は図1の如くウエッブ2を
複数層(図において4層)積層してなるフェルト状体を
ニードルパンチングにより絡合一体化し、所定の熱セッ
トを施してなる。
【0025】前記ウエッブ2の構成繊維は、熱プレス成
形温度、例えば20°C〜220°Cの温度範囲内にガ
ラス転移温度〔第1条件〕があり、該成形温度以上の温
度領域に軟化点、融点または分解点〔第2条件〕がある
熱可塑性繊維である。前記ウエッブ2は上記第1及び第
2条件を備えた熱可塑性繊維のみ(全部)で形成する場
合と、前記第1及び第2条件を備えた熱可塑性繊維を主
たる繊維とし、これに他の繊維を配合して形成する場合
とがある。
【0026】前記第1及び第2条件を備えた熱可塑性繊
維としては、例えば、ナイロン66などの脂肪族ポリア
ミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリ
エステル繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維(PP
S繊維)、ポリエーテルエーテルケトン繊維およびそれ
らの繊維を組み合わせたものから選択される。具体的に
は図5の〜の繊維がこれに該当し、同図のナイロ
ン6は第1条件は満足するが、第2条件を備えない不適
合繊維であるし、及びの繊維も第1条件を備えない
不適合繊維である。
【0027】前記第1及び第2条件を備えた熱可塑性繊
維を主たる繊維とする場合、これに配合する他の繊維と
しては、前記不適合繊維であってもよい。即ち、前記熱
プレス成形温度以上の温度領域にガラス転移温度がある
か、或いはガラス転移温度を示さない他の耐熱繊維であ
ってもよい。この場合において、ニードルパンチング加
工に適合性のよい有機屈曲性のメタ系芳香族ポリアミド
繊維、芳香族ポリイミド繊維から選択されることが望ま
しいが、有機剛直性のパラ系芳香ポリアミド繊維、ポリ
アリレート繊維、ポリアゾール繊維、或いは無機繊維の
ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維からも適宜選択
することは可能である。
【0028】3は前記ウエッブ2の層間(表裏層でもよ
い)に積層した織物(基布)で、該織物3は積層されな
い場合もあるが、ニードルフェルトの構造的強化を向上
させるために有効である。この場合、織物3は前記第1
及び第2条件を備えた熱可塑性繊維からなるスパン糸に
より織成したものでも、或いは上記条件から外れた耐熱
性繊維からなるスパン糸により織成したものでもよい。
この後者の耐熱性繊維を基布として用いるときは本願ク
ッション材1に高い耐熱性を付与することとなる。な
お、図面では織物3はウエッブ2の総ての層間に積層さ
れているが、選択された層間のみに積層してもよいこと
は勿論である。
【0029】前記熱セットは前記ウエッブ2の構成繊維
の軟化点、融点または分解点以内に設定された温度で行
われる。例えば、構成繊維がナイロン66である場合に
は図5のに示す如く220°C〜230°Cの範囲内
であり、構成繊維がポリフェニレンサルファイド繊維
(PPS)である場合には図5のに示す如く220°
C〜280°Cの範囲内である。なお、熱セットは、フ
リーな状態か、軽加圧下で行われることが必要である。
【0030】なお、図中、10は熱盤、11は鏡面板、
12はプリント基板や建築用化粧合板等の成形製品であ
る。
【0031】
【実施例1】今、2d×51mmのポリフェニレンサル
ファイド繊維(PPS;帝人製)からなるウエッブを4
層積層(1層当り目付480g/m2 )し、該ウエッブ
の各層間にポリフェニレンサルファイド繊維からなるス
パン糸により平織に織成された織物(1枚当り目付10
0g/m2 )を基布として積層してフェルト状体を形成
し、これをニードリングにより絡合一体化し、フリー状
態で高温乾燥機により250°Cで15分間の熱セット
を行った後、熱盤プレスを用いて180°C、圧力30
kg/cm2 、処理時間15分(ゲージ使用、厚み3.
0mm)の厚み調整処理を行い、密度0.65g/m3
の本願クッション材1を得た。
【0032】一方、比較品として、2d×51mmのメ
タ系芳香族ポリアミド繊維(コーネックス;帝人製)か
らなるウエッブを4層積層(1層当り目付480g/m
2 )し、該ウエッブの各層間にメタ系芳香族ポリアミド
繊維からなるスパン糸により平織に織成された織物(1
枚当り目付100g/m2 )を積層してフェルト状体を
形成し、これをニードリングにより絡合一体化し、フリ
ー状態で高温乾燥機により300°Cで15分間の熱セ
ットを行った後、熱盤プレスにて180°C、圧力30
kg/cm2 、処理時間15分(ゲージ使用、厚み3.
0mm)の厚み調整処理を行い、密度0.65g/m3
の比較クッション材H1 を得た。
【0033】次に、前記本願クッション材1と、比較ク
ッション材H1 との加圧時の圧力の分布について感圧紙
を用いて評価した。この供試試料としては、「新品」の
ものと、180°Cで圧力100kg/cm2 の熱プレ
ス条件下で連続100時間のプレス処理を行って疲労を
促進させた「疲労品」の2種を用意し、180°C、5
0kg/cm2 の加熱・加圧プレス時(保持時間10
秒)の感圧紙の斑の比較により行い、その結果を図10
(a)〜(d)に示した。
【0034】図10(a)は新品の本願クッション材1
の斑、同図(b)は新品の比較クッション材H1 の斑で
ある。これによれば本願クッション材1の方が、比較ク
ッション材H1 より圧力分布の斑が少ないことが判る。
【0035】また、図10(c)及び(d)は疲労品の
本願クッション材1及び比較クッション材H1 の斑であ
る。この場合、(c)の如く本願クッション材1は、
(d)の比較クッション材H1 に比べ、均一な分布の圧
力伝達が確実になされていることが判る。
【0036】さらに、本願クッション材1は、ポリフェ
ニレンサルファイド繊維からなるウエッブを積層して得
たフェルト状体を、ガラス転移温度以上(250°C)
でフリー状態で熱セットして得たもので、これに15k
g/cm2 のプレスを掛けた状態で、30°Cから18
0°Cまで加熱したときの厚み変化を測定すると、図6
(a)の如く、120°C近辺で厚み回復が発現してい
ることが判る。
【0037】なお、ポリフェニレンサルファイド繊維か
らなるウエッブを積層して得たフェルト状体を、ガラス
転移温度以上(250°C)で熱セットする場合に加圧
下で行うと、上記同様の条件で厚み変化を測定しても、
図7(a)の如く、その変化は殆どない。
【0038】さらに、ポリフェニレンサルファイド繊維
からなるウエッブを積層して得たフェルト状体を熱セッ
トしない場合には、上記同様の条件で厚み変化を測定し
ても図7(b)の如く、その変化は若干あるのみであ
る。
【0039】次に、メタ系芳香族ポリアミド繊維からな
るウエッブを積層して得たフェルト状体を、ガラス転移
温度(約270°C)より高い300°Cでフリー状態
で熱セットしてなる比較クッション材H2 の場合は、上
記同様の条件で厚み変化を測定すると、図8(a)の如
く、減少する傾向にある。
【0040】また、メタ系芳香族ポリアミド繊維からな
るウエッブを積層して得たフェルト状体を、ガラス転移
温度以上(300°C)で加圧下で熱セットした比較ク
ッションH3 も、図8(b)の如く、減少傾向にある。
【0041】さらにまた、メタ系芳香族ポリアミド繊維
からなるウエッブを積層して得たフェルト状体を、熱セ
ットしていない比較クッションH4 も、図8(c)の如
く、減少傾向にある。
【0042】このように、図6〜図8を比較すると、一
定の条件を充たす繊維からなるフェルト状体で、フリー
状態で熱セットしたものは加熱・加圧下で最も大きな厚
み回復性能を示している。熱セットなしでも図7(b)
の如く極めて小さい厚み回復の性能は見られなくもない
が、熱セットによりその効果がさらに増幅されることが
判る。
【0043】また、加圧下で熱セットした場合は、加圧
された状態で構造的に安定化しその状態を維持しようと
するので、その後に、180°Cに加熱しても厚み回復
性能は出現しない。また、メタ系芳香族ポリアミド繊維
素材からなるものは熱セットの方法によらず、いずれの
場合も成形温度領域においては厚み回復性能は出現しな
い。
【0044】このように、一定の条件の下で選ばれた熱
可塑性繊維を用い、そのガラス転移温度以上、軟化点
(融点または分解点)以下の温度域でフリー状態で熱セ
ットされた本願クッション材1であれば、その後に受け
る熱履歴がフリー状態での熱セットよりも低い温度での
加圧であれば厚み回復性は得られる。このため、図2に
示す如く、常温下では均一性がないが、180°Cの加
熱下では、図3に示す如く均一性が出ることとなる。
【0045】一方、比較クッション材H1 〜H4 は厚み
回復性能がないため、図4の如く、加熱化でも均一性が
ない上に、疲労、偏平化を促進させたものは圧力分布の
不均一がますます拡大されて行く傾向にある。
【0046】従って、本願クッション材1は、実際の成
形において均一な分布の圧力伝達が可能となり、長期間
使用しても板厚精度の高い、トラブルのない製品を得る
ことができることとなる。
【0047】なお、成形温度領域内(20°C〜220
°C)にガラス転移温度のある素材(ポリフェニレンサ
ルファイド繊維)の粘弾性特性は、図9(a)に示す如
く、温度依存性変化を示すが、成形温度領域内にガラス
転移温度のない素材(メタ系芳香族ポリアミド繊維)は
同図(b)の如く、成形温度領域において粘弾性的に全
く変化を示さない素材であることが判る。
【0048】
【実施例2】次に、成形温度領域内(20°C〜220
°C)にガラス転移温度があり、且つガラス転移温度が
異なる2種の繊維を混紡したものを原料として得た本願
クッション材1の厚み回復性能を調べる。
【0049】即ち、2d×51mmのポリフェニレンサ
ルファイド繊維(PPS;帝人製、ガラス転移温度約9
0°C)と、15d×76mmのポリエーテルエーテル
ケトン繊維(PEEK;帝人製、ガラス転移温度140
°C)を50wt%で混紡してなるウエッブを4層積層
(1層当り目付480g/m2 )し、該ウエッブの各層
間にポリフェニレンサルファイド繊維からなるスパン糸
により平織に織成された織物(1枚当り目付100g/
2 )を基布として積層してフェルト状体を形成し、そ
の後ニードリングにより絡合一体化し、フリー状態で高
温乾燥機により250°Cで15分間の熱セットを行っ
た後、熱盤プレスを用いて180°C、圧力30kg/
cm2 、処理時間15分(ゲージ使用、厚み3.0m
m)の厚み調整処理を行い、密度0.65g/m3 の本
願クッション材1を得た。
【0050】上述の如く得た本願クッション材1につい
て、15kg/cm2 の加圧下にて30°Cから180
°Cまで加熱したときの厚み変化を測定すると、図6
(b)の如く、120°C近辺でポリフェニレンサルフ
ァイド繊維の影響により第1次の厚み回復が発現し、更
に170°C近辺でポリエーテルエーテルケトン繊維成
分の影響により第2次の厚み回復が発現した。
【0051】なお、実施例1及び2に使用した繊維の太
さ、ウエッブの目付け等は、数値のものに限定されるも
のではなく、所望により変更可能である。また、基布に
ついても熱セットに耐えうる耐熱性のある材質であれ
ば、上記のものに限定されるものではない。更に、基布
の目付や使用枚数についても限定されるものではなく、
所望により任意に決定することが可能である。
【0052】また、実施例2では、ウエッブを構成する
繊維としてポリフェニレンサルファイド繊維、ポリエー
テルエーテルケトン繊維を使用したが、これらに限ら
ず、成形温度領域内(20°C〜220°C)にガラス
転移温度があり、必要とする温度域で粘弾性特性が変化
し、厚み回復性能が得られる繊維であれば、他の熱可塑
性繊維を使用してもよい。
【0053】また、実施例2の如く、熱可塑性繊維を2
種以上組み合わせて使用する場合、その混紡割合は上記
例の場合に限定されるものではないし、所望により任意
に決定してよい。しかも2種以上の繊維は、常に、混紡
でなくてもよい。例えば、ウエッブ毎に別個の繊維で構
成し、それを重ね合わせてもよい。
【0054】さらに、熱プレス成形加工時の樹脂プリプ
レグの流動化温度の違いにより、クッション材を構成す
る繊維素材のガラス転移温度を変化させたり、繊維素材
そのものを変えることによって、流動化温度に合った温
度域での加圧の均一性を得るように設計することもでき
る。
【0055】さらにまた、実施例1及び2では、本発明
品製造の熱セット後の厚み調整処理条件を熱盤の温度=
180°C、圧力30kg/cm2 、処理時間15分と
したが、その後の成形工程に適用して厚み回復性が得ら
れる範囲であれば、これに限定されるものではなく所望
の厚み、密度を達成するために適宜条件を変更してよ
い。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は成形中の
熱プレス下で粘弾性特性が変化し、成形サイクルでの温
度変化中のプリプレグや鏡面版、熱盤の微小な伸縮、振
動を吸収し、且つクッション材の厚み回復性能が発現す
ることにより、樹脂プリプレグの軟化・流動・硬化温度
域において、熱盤から伝達される圧力を均一にして被成
形物に伝えることができるため、製品不良のない積層
板、化粧合板を作ることが可能となる。
【0057】また、本発明は、粘弾性体として安定な構
造の繊維を使用しているので、熱プレス成形中に流体化
して逸散することがなく、従って粘弾性体を密閉する必
要もないので、構造の極めて簡単なクッション材として
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願クッション材の構成を示す略示的断面図で
ある。
【図2】本願クッション材の常温・加圧下での略示的断
面図である。
【図3】本願クッション材の加熱プレス下の略示的断面
図である。
【図4】比較クッション材の加熱プレス下の略示的断面
図である。
【図5】本願クッション材の構成繊維の態様を示す図表
である。
【図6】本願クッション材の厚み回復性能を示す図表
で、(a)はポリフェニレンサルファイド繊維を用いて
フリー状態で熱セットした場合、(b)はポリフェニレ
ンサルファイド繊維とポリエーテルエーテルケトン繊維
との混紡繊維を用いてフリー状態で熱セットした場合で
ある。
【図7】比較クッション材の厚み回復性能を示す図表
で、(a)はポリフェニレンサルファイド繊維を用いて
加圧下で熱セットした場合、(b)は熱セットなしの場
合である。
【図8】比較クッション材の厚み回復性能を示す図表
で、(a)はメタ系芳香族ポリアミド繊維を用いてフリ
ー状態で熱セットした場合、(b)は加圧下で熱セット
した場合、(b)は熱セットなしの場合である。
【図9】繊維の粘弾性特性を示す図表で、(a)はポリ
フェニレンサルファイド繊維の場合、(b)はメタ系芳
香族ポリアミド繊維の場合である。
【図10】本願クッション材と比較クッション材との加
圧時の圧力の分布図で、(a)と(b)は新品、(c)
と(d)は疲労品の場合である。
【符号の説明】
1 フェルト状体 2 ウエッブ層 3 織物(基布) 10 熱盤 11 鏡面板 12 成形製品
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年5月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】次に、前記本願クッション材1と、比較ク
ッション材Hとの加圧時の圧力の分布について感圧紙
を用いて評価した。この供試試料としては、「新品」の
ものと、180°Cで圧力100kg/cmの熱プレ
ス条件下で連続100時間のプレス処理を行って疲労を
促進させた「疲労品」の2種を用意し、180°C、5
0kg/cmの加熱・加圧プレス時(保持時間10
秒)の感圧紙の斑の比較により行い、その感圧紙の斑の
コピーを図10(a)〜(d)として示した。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】本願クッション材と比較クッション材との加
圧時の圧力の分布図(感圧紙の斑をコピーしたもの)
で、(a)と(b)は新品、(c)と(d)は疲労品の
場合である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱プレス成形温度内にガラス転移温度が
    あり、該成形温度以上の温度領域に軟化点、融点または
    分解点がある熱可塑性繊維を全部又は主たる繊維とした
    ウエッブを積層し、ニードルパンチングにより絡合一体
    化してフェルト状体を形成し、該フェルト状体をその構
    成繊維の軟化点、融点または分解点以内に設定された温
    度にて熱セットしてなることを特徴とする成形プレス用
    耐熱クッション材。
  2. 【請求項2】 前記ウエッブが、前記熱可塑性繊維を主
    たる繊維とした場合において、これに配合する繊維が前
    記熱プレス成形温度以上の温度領域にガラス転移温度が
    あるか、或いはガラス転移温度を示さない耐熱繊維であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の成形プレス用耐熱
    クッション材。
  3. 【請求項3】 前記ウエッブの表裏層又は層間に、前記
    熱プレス成形温度以上の温度領域にガラス転移温度があ
    るか、或いはガラス転移温度を示さない他の耐熱繊維の
    みで構成した繊維層を含むことを特徴とする請求項1又
    は2に記載の成形プレス用耐熱クッション材。
  4. 【請求項4】 前記ウエッブの表裏層又は層間に、前記
    熱可塑性繊維からなる糸で織成した織物を積層したこと
    を特徴とする請求項1〜3のうちの1に記載の成形プレ
    ス用耐熱クッション材。
  5. 【請求項5】 前記織物が、前記熱プレス成形温度以上
    の温度領域にガラス転移温度があるか、或いはガラス転
    移温度を示さない他の耐熱繊維からなることを特徴とす
    る請求項4に記載の成形プレス用耐熱クッション材。
  6. 【請求項6】 前記ウエッブの表裏層又は層間に、樹脂
    フィルム層を積層したことを特徴とする請求項1〜5の
    うちの1に記載の成形プレス用耐熱クッション材。
JP8237136A 1996-08-19 1996-08-19 成形プレス用耐熱クッション材 Pending JPH1058473A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1084821A3 (en) * 1999-09-17 2002-01-02 Ichikawa Co.,Ltd. Heat resistant cushion material for forming press
JP2006161238A (ja) * 2004-12-10 2006-06-22 Iosu Japan:Kk 耐熱クッション材及びその製造方法

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EP1084821A3 (en) * 1999-09-17 2002-01-02 Ichikawa Co.,Ltd. Heat resistant cushion material for forming press
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