JPH1057930A - 廃棄物焼却飛灰の無害化方法 - Google Patents

廃棄物焼却飛灰の無害化方法

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JPH1057930A
JPH1057930A JP8218272A JP21827296A JPH1057930A JP H1057930 A JPH1057930 A JP H1057930A JP 8218272 A JP8218272 A JP 8218272A JP 21827296 A JP21827296 A JP 21827296A JP H1057930 A JPH1057930 A JP H1057930A
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JP
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fly ash
incineration fly
hot metal
metal
waste
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JP8218272A
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Hiroaki Nishio
浩明 西尾
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 都市ゴミ等廃棄物の焼却時、排ガスの浄化処
理により発生するアルカリ性の焼却飛灰の、安価で且つ
焼却飛灰中に含まれるCa化合物を有効活用した無害化
方法を求める。 【解決手段】 消石灰を10wt%以上含有する廃棄物
焼却飛灰を、溶銑2と接触させて溶融し、溶銑の脱硫を
行なうと共に、廃棄物焼却飛灰中の重金属を気化させて
分離する。その際、廃棄物焼却飛灰に金属Al源や脱硫
促進剤を配合すること、又、予め造粒したものを用いる
ことが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ゴミ等の廃棄
物を燃焼する際、排ガスの浄化処理により発生するアル
カリ性の廃棄物焼却飛灰から重金属を除去して無害化す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】都市ゴミ等の廃棄物は焼却炉で焼却され
ると、鉄片や陶磁器のかけら等の未燃焼物を含む粗い主
灰と煤塵を含む排ガスとになる。排ガスは煤塵以外にH
Cl、SOX 等の有害ガス成分を含むので、これら有害
ガスの浄化処理が施される。
【0003】この浄化処理は、一般に以下のようにして
行なわれている。先ず、消石灰(Ca(OH)2 )の粉
末を排ガス中へ吹き込むか、又は石灰乳(Ca(OH)
2 の水スラリー)をポンプ輸送して排ガス中へ噴霧し
て、排ガス中のHClをCaCl2 に、又SOX をCa
SO4 の共に固体状物質に変化させ、これらを焼却炉か
ら飛散する煤塵と共に焼却炉の下流側に設置した集塵機
にて捕集して排ガス中から除去し、こうして浄化された
排ガスが大気に放散される。
【0004】このように集塵機にて捕集されたCaCl
2 やCaSO4 と煤塵との混合物である廃棄物焼却飛灰
(以下、「焼却飛灰」と記す)は、未反応のCa(O
H)2を10〜40wt%と、反応生成物のCaCl2
を10〜40wt%含み、アルカリ性を有している。そ
して、焼却飛灰は嵩密度が小さいため、埋立地の有効利
用の観点から埋立の前に体積を縮小すること(以下、
「減容化」と記す)が望まれている。
【0005】又、焼却飛灰は、Ca(OH)2 、CaC
2 、Al2 3 、SiO2 、及びCaSO4 等の無害
な主成分以外に、Zn、Pb、Hg、Cd、As等の重
金属を酸化物や塩化物、又は水酸化物の形で含有してい
る。そのため、このまま埋立ると重金属が地中の水に溶
出して土壌を汚染する可能性があり、従って、埋立ある
いは有効利用に先立って、無害化のための中間処理を施
すことが法的に義務づけられている。
【0006】この中間処理は、溶融固化処理、セメント
固化処理、薬剤による安定化処理、又は酸抽出による安
定化処理のうちいずれかの方法で行なわねばならない。
【0007】そのうちの1つの方法である溶融固化処理
について説明する。伊織等は、化学装置「1995年2
月号、27〜32頁」(以下、「先行技術1」と記す)
において、発熱体を通電加熱した炉に焼却飛灰を廃ガラ
スと共に供給して溶融し、焼却飛灰中の重金属を溶融ガ
ラス中に固定して封じ込み、一部の蒸発する重金属は冷
却して煤塵として捕集する方法を開示している。この方
法は、焼却飛灰を重金属の溶出しないガラス状スラグに
することを特徴とし、そして、煤塵として回収された一
部の重金属は、有価金属を回収後必要な処理が施され、
無害化されるとしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】先行技術1に開示され
ているように、従来の溶融固化処理は焼却飛灰を無害化
するために専用の溶融炉を必要とする。このため、高額
の初期投資を必要とし、更に、焼却飛灰を溶融するため
に電力、化学燃料等のエネルギーを供給して1200℃
以上に加熱することが不可欠であり、高額の運転費をも
必要とする。
【0009】又、エネルギーコスト削減のために溶融温
度を下げた場合には、重金属の揮発除去が不十分とな
り、廃ガラスを過剰に添加してスラグのガラス化を図
り、重金属をガラス化したスラグに封じ込める処置が不
可欠となる。このため、処理する焼却飛灰よりも発生す
るスラグの重量の方が多くなり、溶融処理による減容化
の目的と相反することも発生する。
【0010】又、焼却飛灰中には多量のCa(OH)2
やCaCl2 が含まれており、従来の溶融固化処理で
は、これらCa化合物も同時にスラグ化され廃棄される
ので、資源の有効活用の点からも好ましくない。
【0011】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは焼却飛灰中のCa(OH)2
有効活用した溶融処理により、焼却飛灰の減容化と共に
焼却飛灰に含まれる重金属を分離除去して無害化する方
法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明の
廃棄物焼却飛灰の無害化方法は、消石灰を10wt%以
上含有する廃棄物焼却飛灰を、溶銑と接触させて溶融
し、溶銑の脱硫を行なうと共に、前記廃棄物焼却飛灰中
の重金属を気化させて分離することを特徴とするもので
ある。
【0013】請求項2に係る本発明の廃棄物焼却飛灰の
無害化方法は、請求項1の発明において、廃棄物焼却飛
灰を予め粒径5〜100mmの粒に成形し、溶銑を機械
式攪拌機にて攪拌して、成形した廃棄物焼却飛灰と溶銑
とを接触させることを特徴とするものである。
【0014】請求項3に係る本発明の廃棄物焼却飛灰の
無害化方法は、消石灰を10wt%以上含有する廃棄物
焼却飛灰を100重量部に対し、金属Al濃度が40w
t%以上の金属Al源を5〜30重量部の配合割合とし
て、これら廃棄物焼却飛灰と金属Al源とを、溶銑と接
触させて溶融し、溶銑の脱硫を行なうと共に、前記廃棄
物焼却飛灰中の重金属を気化させて分離することを特徴
とするものである。
【0015】請求項4に係る本発明の廃棄物焼却飛灰の
無害化方法は、消石灰を10wt%以上含有する廃棄物
焼却飛灰を100重量部に対し、脱硫促進剤を1〜30
重量部の配合割合として、これら廃棄物焼却飛灰と脱硫
促進剤とを、溶銑と接触させて溶融し、溶銑の脱硫を行
なうと共に、前記廃棄物焼却飛灰中の重金属を気化させ
て分離することを特徴とするものである。
【0016】本発明で対象とする溶銑は、高炉及び溶融
還元炉等で製造されるものや、それらを凝固後再溶解し
たもので、通常、C;3〜5wt%、S;0.02〜
0.07wt%を含有する。
【0017】この溶銑温度は通常1250℃から150
0℃であり、溶銑と接触した焼却飛灰は、溶銑から熱を
受けて昇温する。そして、昇温過程で焼却飛灰中の水分
やNaCl、KCl等の塩類、及びZn、Pb、Hg、
Cd、As等の重金属化合物の殆どが気化し、焼却飛灰
から分離して、残留物は溶融してスラグ状(以下、「溶
融スラグ状焼却飛灰」と記す)になり溶銑湯面上を浮遊
する。
【0018】この溶融時に焼却飛灰中のCa(OH)2
は、CaOとなって溶銑の脱硫剤として機能する。即
ち、(1)式に従い、溶融スラグ状焼却飛灰中のCaO
は溶銑中のSと反応してCaSとなり、溶銑の脱硫反応
が進行する。
【0019】 (CaO)+〔S〕→(CaS)+〔O〕 ……(1) そして、この反応により溶銑の脱硫を効率良く実施する
には、焼却飛灰はCa(OH)2 を10wt%以上含有
することが好ましい。焼却飛灰中のCa(OH)2 含有
量が10wt%未満では、溶銑中のSと平衡する溶融ス
ラグ状焼却飛灰中のS濃度が低くなり、脱硫率が低下す
るためである。この場合、焼却飛灰の供給量を増加すれ
ば、脱硫率の低下を補償できるが、供給量を多くすると
溶銑温度の低下が大きくなり好ましくない。
【0020】焼却飛灰に含まれるCaCl2 は、焼却飛
灰自体の融点を下げて焼却飛灰の溶融化を容易にし、且
つ溶融スラグ状焼却飛灰の粘度を下げて溶銑中のSの溶
融スラグ状焼却飛灰への移動を容易にし、脱硫速度を大
きくするので好ましい。
【0021】溶融処理後、溶融スラグ状焼却飛灰を排出
して固化すれば、有害物質が含まれていないため、通常
の製鉄用脱硫スラグと同一の処理で処分できる。又、気
化して集塵機で捕集された重金属は、前述の無害化処理
を施した後処分される。
【0022】溶銑と焼却飛灰との接触方法は、溶銑鍋あ
るいは混銑車等に収納された溶銑中に、窒素ガス等をキ
ャリヤガスとしてインジェクションランスを介して焼却
飛灰を吹き込み接触させる方法(吹き込み法)や、溶銑
湯面上に焼却飛灰を供給し機械式攪拌機にて溶銑を攪拌
して溶銑中に焼却飛灰を強制的に巻き込ませ接触させる
方法(機械式攪拌法)の何方でもよい。しかし、焼却飛
灰の溶融、重金属の気化・分離、及び溶銑の脱硫を効率
よく実施するには、焼却飛灰と溶銑との接触を良くする
必要があり、この観点から、溶銑中における焼却飛灰の
滞留時間の短い吹き込み法よりも、強制的に接触させる
機械式攪拌法の方がより好ましい。
【0023】そして、機械式攪拌法を効率良く実施する
には、供給する焼却飛灰は造粒されていることが望まし
い。微粉のまま溶銑湯面上に供給すると、溶銑中に巻き
込まれず、飛散ロスする割合が多くなるためである。従
って焼却飛灰は直径が5〜100mmの粒に予め成形す
ることが望ましい。5mm未満では上記飛散ロスの問題
が発生し、一方、100mmを超えると機械式攪拌法で
は溶銑中に巻き込むことが困難となるからである。
【0024】金属Alは、脱硫反応の生成物であるCa
Sが空気中の酸素及び水分によって酸化して溶銑中にS
が戻ること、即ち復硫防止に効果がある。そのため、金
属Alを含む金属Al源を焼却飛灰と同時に溶銑に供給
すると、安定して溶銑Sを低下することができる。金属
Al源としては、Al地金又はAl合金の切断粉、切削
粉、研削粉やAlドロス等が適用できる。
【0025】一方で、金属Al源の配合は焼却飛灰の減
容化を損なうため、金属Al源の金属Al濃度は40w
t%以上とすることが望ましい。40wt%未満では、
金属Al源の供給量が増えて減容化を損なうからであ
る。又、金属Al源の配合割合は焼却飛灰100重量部
に対して5〜30重量部とすることが好ましい。30重
量部超えの配合は、同様に焼却飛灰の減容化を損なうか
らである。又、焼却飛灰は潮解性を有するCaCl2
NaCl、HCl等を含むので、大気と接触すると湿分
を吸収して液状になり、焼却飛灰を収納するホッパー等
の容器から排出困難に陥る欠点がある。金属Al源の配
合は焼却飛灰の潮解を抑制する働きがあり、この観点か
ら焼却飛灰100重量部に対して金属Al源を5重量部
以上とすることが好ましい。
【0026】又、焼却飛灰の脱硫性能を向上させるため
に、脱硫促進剤を配合してもよい。脱硫促進剤としては
CaO、CaCO3 、Na2 CO3 、CaC2 の中から
選ばれた材料が好ましい。いずれも脱硫の促進に効果が
あり、配合割合が高い程脱硫性能が向上するが、その配
合割合は焼却飛灰100重量部に対し、30重量部以下
とすることが好ましい。金属Al源と同様、脱硫促進剤
の過剰の配合は溶融による焼却飛灰の減容化が損なわれ
るからである。
【0027】金属Al源及び脱硫促進剤は、焼却飛灰と
独立に溶銑に供給しても、予め混合したものを使用して
も何方でもよい。そして、機械式攪拌法を採用する場合
には、金属Al源又は脱硫促進剤と焼却飛灰とを混合し
て予め5〜100mm粒に成形することが望ましい。
又、焼却飛灰に金属Al源と脱硫促進剤の双方を同時に
配合しても構わない。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明では、焼却飛灰を溶融させ
る熱源として、溶銑の有する顕熱を利用する。溶銑は高
炉、溶融還元炉等で製造されたものや、それらの凝固後
に再溶解したものを使用する。溶銑温度は1250℃以
上あれば十分である。ちなみに高炉出銑直後の溶銑成分
の例はC;3〜5wt%、Si;0.1〜0.8wt
%、Mn;0.2〜1.0wt%、P;0.08〜0.
15wt%、及び、S;0.02〜0.07wt%であ
り、このような溶銑が本発明の適用前に、脱珪処理、脱
燐処理等の溶銑予備処理を施されていても、本発明の適
用に何ら支障とならない。又、溶銑は特別の容器に収納
する必要はなく、通常の溶銑鍋や混銑車に収納されてい
ればよい。
【0029】図1は本発明を適用した吹き込み法により
焼却飛灰と溶銑とを接触させる設備の概略図であり、
又、図2は本発明を適用した機械式攪拌法により焼却飛
灰と溶銑とを接触させる設備の概略図である。尚、これ
ら設備は、溶銑脱硫設備として通常広く使用されている
ものである。以下、図1及び図2に基づき本発明を説明
する。
【0030】図1において、溶銑2を収納した溶銑鍋1
は台車4に搭載されている。溶銑鍋1の開口部はフード
5で覆われ、フード5には煙道7がフード5を貫通して
設置され、そして、煙道7の下流側はバグフィルター型
の集塵機6に連結されており、溶銑鍋1から発生する煤
塵は集塵機6で回収される。又、溶銑鍋1の内部を上下
移動可能なインジェクションランス10がフード5を貫
通して設置され、インジェクションランス10は、ホッ
パー8と切り出し装置9、ホッパー8aと切り出し装置
9a、及びホッパー8bと切り出し装置9bからなる3
系列の吹き込み装置に連結されている。そして、ポッパ
ー8、8a、8bには、それぞれ焼却飛灰、粉体状の金
属Al源、粉体状の脱硫促進剤が収納されており、これ
ら焼却飛灰、金属Al源、及び脱硫促進剤をインジェク
ションランス10にて窒素ガスをキャリヤガスとし、溶
銑2中に吹き込むことができる。切り出し装置9、9
a、9bにより、これらの溶銑中への吹き込みを、それ
ぞれ独立に制御することができる。
【0031】上記装置にて、焼却飛灰を溶銑2中に吹き
込み焼却飛灰の溶融処理を開始する。焼却飛灰は窒素ガ
スと共に溶銑2中に吹き込まれ、窒素ガスと共に浮上し
て、溶銑2から熱を受け、溶銑2の湯面上で溶融スラグ
状焼却飛灰3となる。浮上過程で溶融せずに溶銑2の湯
面上に浮上しても、溶銑2はキャリヤガスの窒素ガスに
より攪拌されているので、溶銑2の湯面上に浮上した焼
却飛灰は溶銑2に巻き込まれて容易に溶融する。この溶
融過程で焼却飛灰から気化した重金属は、煙道7で冷却
され固体状となり集塵機6に捕集される。所定量の焼却
飛灰の吹き込み後、窒素ガスのみ溶銑2中に吹き込み、
焼却飛灰の全量が完全に溶融したことを確認して、窒素
ガスの吹き込みを終了する。
【0032】溶融スラグ状焼却飛灰3は、図示せぬスラ
グドラッガーや真空式スラグ除去機にて、溶銑鍋1から
スラグ処理場へ排出され冷却・固化される。固化した焼
却飛灰は、破砕、磁選されて、実質的に重金属を含まな
い塊状スラグとなり、無害化される。
【0033】集塵機6で捕集された煤塵は、重金属が濃
縮されているため、それらを回収した後、前述の無害化
処理を施して処分される。
【0034】図2は、溶銑2の攪拌方法と焼却飛灰の供
給方法とが図1と異なるが、基本的には図1と同じであ
るので、図1と異なる構成のみ説明する。
【0035】図2における溶銑2の攪拌方法は、溶銑鍋
1の内部を上下移動可能な耐火物製のインペラー14を
フード5を貫通して設置し、インペラー14を油圧モー
ター13にて回転させて溶銑2を攪拌する方式である。
そして焼却飛灰の供給方法は、ホッパー8、8a、8b
に収納された焼却飛灰、金属Al源、脱硫促進剤を搬送
コンベア11と、搬送コンベア11に連結されフード5
を貫通するシュート12とにより、溶銑2の湯面上に供
給する方式である。
【0036】図2における焼却飛灰の溶融処理は、イン
ペラー14を下降して溶銑2中に浸漬させ、油圧モータ
ー13を駆動させてインペラー14を回転させる。回転
数が所定値に達した後、搬送コンベア11とシュート1
2とにより焼却飛灰を溶銑2の湯面上に供給する。イン
ペラー14の回転により溶銑2は攪拌され、焼却飛灰は
溶銑2中に巻き込まれて溶融スラグ状焼却飛灰3とな
る。焼却飛灰を所定量供給した後も数分間インペラー1
4を回転させて、焼却飛灰を完全に溶融させる。そし
て、その後は上述した方法で、溶融スラグ状焼却飛灰3
と集塵機6で捕集された煤塵とを処理する。又、図2に
示す機械式攪拌法により焼却飛灰と溶銑とを接触させる
場合には、予め焼却飛灰を5〜100mm粒に予め成形
することが望ましい。
【0037】本発明では、Ca(OH)2 の含有量が1
0wt%以上の焼却飛灰を溶融処理の対象とし、溶銑2
への焼却飛灰の供給量は、溶銑トン当たり3kgから2
0kgが望ましい。20kgを超える供給量は溶銑温度
の低下が大きくなり好ましくなく、又、3kg未満の供
給量では、目的(通常70%以上)とする脱硫率を得る
ことができないためである。又、焼却飛灰が含有する初
期S濃度は低いほど好ましく、3wt%以下であること
が望ましい。3wt%を超えると、目的とする脱硫率を
得ることが困難となるからである。
【0038】本発明では、脱硫率を高めるために、焼却
飛灰に金属Al源、又は脱硫促進剤を配合して溶銑2に
供給してもよい。
【0039】金属Al源としては金属Alを40wt%
以上含有するものを使用し、例えば、Al地金又はAl
合金の切断粉、切削粉、研削粉やAlドロス等が適用で
きる。金属Al源の配合量は、焼却飛灰100重量部に
対して5〜30重量部の任意の値とすればよい。高い脱
硫率を期待する場合には高配合とすればよい。
【0040】脱硫促進剤としてはCaO、CaCO3
Na2 CO3 、CaC2 の中から選ばれた材料が好まし
い。いずれも脱硫の促進に効果があるが、配合量は焼却
飛灰100重量部に対し、30重量部以下とすることが
望ましい。配合量は焼却飛灰中のCa(OH)2 の含有
量を考慮して決めればよい。
【0041】金属Al源及び脱硫促進剤は、焼却飛灰と
独立に溶銑に供給しても、又、予め混合したものを供給
しても何方でもよい。そして、機械式攪拌法を用いる場
合には、金属Al源又は脱硫促進剤と焼却飛灰とを混合
し、予め5〜100mmの粒に成形することが望まし
い。
【0042】集塵機6の前段に排ガスの冷却装置を設け
排ガスを冷却すれば、焼却飛灰から気化する重金属の固
化を促進すると共に、集塵機6のバグフィルターの損耗
が少なくなるので、排ガスの冷却装置を設けてもよい。
【0043】又、図1及び図2とも溶銑は溶銑鍋に収納
された状態を示したいるが、混銑車に収納され状態も、
上記と同一の溶融処理を実施することができる。
【0044】
【実施例】本発明を以下の実施例1〜実施例4により具
体的に説明する。焼却飛灰と溶銑との接触方法として、
実施例1及び実施例2は図1に示すインジェクションラ
ンスによる吹き込み法を、又、実施例3及び実施例4は
図2に示すインペラーによる機械式攪拌法を採用した。
溶銑量は約140トンで、溶銑の処理前温度は1330
〜1380℃であった。
【0045】本実施例では、都市ゴミの焼却飛灰を用
い、その組成及び重金属溶出量を表1に示す。焼却飛灰
中のCa(OH)2 含有量は27.8wt%であった。
各実施例とも一回当たりに溶融処理する焼却飛灰の重量
は1200kgの一定量とした。1200kgの焼却飛
灰の体積は2400リットルであった。
【0046】
【表1】
【0047】そして実施例2では、脱硫促進剤として3
2メッシュ以下の生石灰(CaO;95wt%)を焼却
飛灰100重量部に対し10重量部配合し、又、実施例
4では金属Al源として32メッシュ以下のAlドロス
を、焼却飛灰100重量部に対し10重量部配合した。
Alドロスの主成分はAl;52.1wt%、Si;
4.3wt%、NaCl;2.5wt%である。
【0048】更に、実施例3及び実施例4では、概略寸
法が25mm×25mm×15mmの成形粒に予め造粒
した。
【0049】実施例1及び実施例2では、溶銑への焼却
飛灰の吹き込み量を約80kg/分として行い、約15
分間で焼却飛灰の溶銑への供給を完了し、その後更に約
5分間窒素ガスのみ継続して吹き込み、溶融処理を終了
した。尚、実施例2ではAlドロス120kgを約8k
g/分の吹き込み速度で、焼却飛灰と同時期に溶銑に供
給した。
【0050】実施例3及び実施例4では、インペラー回
転数が130rpmに到達した後、成形粒の全量を溶銑
上に供給し、そしてその後、15分間インペラーの回転
を維持し、溶融処理を終了した。
【0051】その後、溶銑鍋をスラグ処理場に移動し、
溶融スラグ状焼却飛灰をスラグドラッガーにて溶銑鍋内
から排出した。そして冷却後、焼却飛灰を破砕・磁選し
て塊状として重量、体積、及び組成を調査した。更に、
この塊状焼却飛灰を、環境庁告示13号に従って、重金
属の溶出試験を実施した。
【0052】バグフィルターで捕集した煤塵は、産業廃
棄物処理会社に引き渡され、必要な処理が施された後、
処分された。
【0053】表2に、実施例1〜実施例4の溶融処理条
件、溶銑の脱硫率、溶融後の焼却飛灰の組成及び重金属
溶出量等の測定結果を示す。
【0054】
【表2】
【0055】溶銑の脱硫率は各実施例とも80%以上の
高い脱硫率が得られ、脱硫促進剤を配合した実施例2と
金属Al源を配合した実施例4では90%以上の高い脱
硫率を確保することができた。
【0056】表2に示す減容化率は、溶融処理前の焼却
飛灰の体積に対する溶融処理により発生した塊状焼却飛
灰の体積の減少量を、溶融処理前の焼却飛灰の体積を基
準として百分率で示した値であり、全ての実施例で減容
化率は80%を達成することができた。又、表2に示す
ように、全ての実施例において、焼却飛灰中に含まれる
重金属はZn、Pb、Hg、Cd、As、Crの合計で
90wt%以上気化して分離されており、更に、重金属
の溶出試験結果でもPbの溶出が激減し、埋立基準を十
分に満足している。ちなみに埋立基準の重金属の溶出量
は、Pb<0.3mg/リットル、Cd<0.3mg/
リットル、6価Cr<1.5mg/リットルである。
【0057】以上のように、焼却飛灰を溶銑と接触させ
て溶融させることで、焼却飛灰は脱硫剤として機能し、
且つ焼却飛灰の減容化、無害化が達成できた。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、一般的に使用されてい
る溶銑脱硫設備を用いてアルカリ性を有する都市ゴミ等
の焼却飛灰と溶銑とを接触させ、焼却飛灰を溶融させ
て、焼却飛灰を脱硫剤として機能させ溶銑の脱硫を実施
すると共に、焼却飛灰の減容化と無害化とを同時に達成
することができる。そのため、専用の溶融設備により溶
融処理する場合に比較し、はるかに安価で焼却飛灰の減
容化と無害化とを図ることが可能となると共に、通常の
脱硫剤の使用量を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した吹き込み法により焼却飛灰と
溶銑とを接触させる設備の概略図である。
【図2】本発明を適用した機械式攪拌法により焼却飛灰
と溶銑とを接触させる設備の概略図である。
【符号の説明】
1;溶銑鍋 2;溶銑 3;溶融スラグ状焼却飛灰 4;台車 5;フード 6;集塵機 7;煙道 8;ホッパー 9;切り出し装置 10;インジェクションランス 11;搬送コンベア 12;シュート 13;油圧モーター 14;インペラー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 消石灰を10wt%以上含有する廃棄物
    焼却飛灰を、溶銑と接触させて溶融し、溶銑の脱硫を行
    なうと共に、前記廃棄物焼却飛灰中の重金属を気化させ
    て分離することを特徴とする廃棄物焼却飛灰の無害化方
    法。
  2. 【請求項2】 前記廃棄物焼却飛灰を予め粒径5〜10
    0mmの粒に成形し、溶銑を機械式攪拌機にて攪拌し
    て、成形した廃棄物焼却飛灰と溶銑とを接触させること
    を特徴とする請求項1に記載の廃棄物焼却飛灰の無害化
    方法。
  3. 【請求項3】 消石灰を10wt%以上含有する廃棄物
    焼却飛灰を100重量部に対し、金属Al濃度が40w
    t%以上の金属Al源を5〜30重量部の配合割合とし
    て、これら廃棄物焼却飛灰と金属Al源とを、溶銑と接
    触させて溶融し、溶銑の脱硫を行なうと共に、前記廃棄
    物焼却飛灰中の重金属を気化させて分離することを特徴
    とする廃棄物焼却飛灰の無害化方法。
  4. 【請求項4】 消石灰を10wt%以上含有する廃棄物
    焼却飛灰を100重量部に対し、脱硫促進剤を1〜30
    重量部の配合割合として、これら廃棄物焼却飛灰と脱硫
    促進剤とを、溶銑と接触させて溶融し、溶銑の脱硫を行
    なうと共に、前記廃棄物焼却飛灰中の重金属を気化させ
    て分離することを特徴とする廃棄物焼却飛灰の無害化方
    法。
JP8218272A 1996-08-20 1996-08-20 廃棄物焼却飛灰の無害化方法 Pending JPH1057930A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110917852A (zh) * 2019-11-21 2020-03-27 江苏省沙钢钢铁研究院有限公司 脱硫灰的资源回收方法及资源回收系统

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