JPH1055081A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JPH1055081A
JPH1055081A JP22583896A JP22583896A JPH1055081A JP H1055081 A JPH1055081 A JP H1055081A JP 22583896 A JP22583896 A JP 22583896A JP 22583896 A JP22583896 A JP 22583896A JP H1055081 A JPH1055081 A JP H1055081A
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image
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JP22583896A
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Kunio Yamada
邦夫 山田
Atsushi Ogiwara
敦 荻原
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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  • Color Image Communication Systems (AREA)
  • Dry Development In Electrophotography (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
  • Control Or Security For Electrophotography (AREA)
  • Facsimile Image Signal Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ユーザやサービスマンの手を煩わすことな
く、機差や環境変化、経時劣化や部品交換などの画質変
化要因に対して、常に自動的に高精度の画質制御を実現
することができるようにする。 【解決手段】 バナーシート出力時、1枚のバナーシー
トB上に、制御対象の画質要因である制御量の数をN
(例えば、ベタ濃度とハイライト濃度の2つの制御量の
ときは、N=2)とするとき、N種類の操作量(例え
ば、スコロトロン帯電器グリッド電圧Gとレーザパワー
LPの2つの操作量)のそれぞれの設定値を、N+1通
りに切り替えつつ、基準パターンを形成する。そのバナ
ーシートB上の基準パターンを、光学センサによりオン
ラインで読み取り、その読み取り値と、バナーシートB
の出力時の操作量設定値とから、画質制御のための制御
ルールを学習し、その制御ルールに従って操作量の最適
値を推論し、画質を操作する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複写機やプリン
タなどの画像形成装置、特に画像の濃度や階調特性など
の画質を常に最適とするように制御する画像形成装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、人間の色差に対する感度は極め
て高いことが知られている。例えば、比較する画像の色
差が、L表色系において、ΔE=5程度であ
れば、観測者や状況によらずに両者を識別することがで
き、多くの観測者が色の違いを識別しにくくなるのは、
ΔE=3程度と言われている(D.H.Alman,R.S.Berns,G.
D.Snyder and W.A.Larsen,Performance Testing of Col
or-Difference MetricsUsing a Color To1erance Datas
et,COLOR research and app1ication,vol.14,Numb
er3,June 1989 参照)。
【0003】このような事実から、画像再現の安定性の
目標レベルを、人間の色差認識限界以下とすると、画像
形成装置に対する色安定性要求値は、色差がΔE=3以
下というような非常に高いものとなる。
【0004】しかし、周知のように、従来の電子写真方
式の画像形成装置では、このような高い要求値を満たす
ことは不可能である。これは、そもそも電子写真方式で
は、静電現象を利用しているため、温度や湿度などの装
置の置かれた環境条件や、感光体や現像剤などの経時的
な劣化などにより、装置自体の画像出力状態が、短期的
にも長期的にも変化して、画像再現性が変動してしまう
からである。
【0005】そのため、電子写真方式の画像形成装置で
は、各画像形成プロセスの物理的状態を検知して、それ
ぞれを個別の目標値にするような制御をしており、その
場合の制御用アクチュエータとしては、現像特性を左右
する帯電器の印加電圧、感光体に対する露光量、現像器
の現像バイアス電圧などが用いられている。また、静電
現象に対する影響が顕著な温度およぴ湿度を検知して、
個別の目標値を修正する場合もある。
【0006】特に、現像トナー量を最適に保つためのフ
ィードバック制御は、最も一般的に用いられている。具
体的には、濃度パッチにより濃度再現状況をモニタし
て、目標濃度との誤差分を求め、これにフィードバック
ゲインを乗じることによって、制御用アクチュエータの
設定値補正量を算出する方法が、最も一般的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】濃度パッチにより濃度
再現状況をモニタする場合の濃度パッチとしては、現像
工程後における未定着トナー像が用いられることが多
い。それは、従来の電子写真方式では、頻繁にフィード
バック制御を行う必要があるため、パッチを用紙上の転
写像や定着像とすると、制御のために多数の用紙を消費
しなければならず、ランニングコストや本来のプリント
の生産性の点で問題があるとともに、パッチを未定着ト
ナー像とすれば、用紙が不要で、読み取り後のパッチ消
去も簡単であるからである。
【0008】例えば、特開昭63−177176号、特
開昭63−177177号、特開昭63−177178
号には、帯電電圧およぴ現像バイアスを変えることによ
り、現像濃度を所望の値に制御することが示されてい
る。また、特開平1−169467号には、トナー像の
濃度パッチを測定して、露光条件や現像バイアス条件を
制御することにより、所望の画像濃度を得ることが示さ
れている。
【0009】しかしながら、最適な現像電位は、制御不
能な種々の外的要因、すなわち温度、湿度、累積複写枚
数などによって、常に影響を受けており、帯電電圧、露
光量、現像バイアス電圧などの設定は、これらの要因を
常に考慮して行わなければならないという困難さを有し
ている。さらに、未定着トナー像の濃度パッチは、定着
画像濃度との相関が高いとはいえ、後工程である転写工
程や定着工程における変動に関しては、その影響を検知
することは不可能である。
【0010】そこで、特開平3−87859号には、ト
ナー像の濃度を測定する手段、および環境などの条件を
検知する手段を設けて、帯電、露光、現像などを制御す
ることが示されている。しかし、静電的プロセスが主で
ある電子写真方式では、通常、画像再現状態に対する帯
電、露光および現像バイアスの最適な設定値の関係が非
線形であるため、必ずしも十分な制御精度が得られるも
のではない。
【0011】このような理由から、電子写真方式の画像
形成装置では、事前にさまざまな条件、例えば高温多湿
状態や低温低湿状態での環境の影響や、感光体や現像剤
などの経時的な劣化の影響などを把握しなければなら
ず、高度な制御性能を目指すほど、広い条件範囲に渡っ
て詳細にデータを採取しなければならないため、膨大な
開発工数が必要であった。
【0012】しかも、膨大な工数を投じて決定したフィ
ードバックゲイン(パラメー夕間の関係)も、一台一台
の機差やユーザの多様な使用条件などのために、必ずし
も常に最適というわけにはいかなかった。特に、経時劣
化の画像濃度への影響は、一台一台に使われている部品
の劣化度合いやユーザの使い方次第で大きく異なるた
め、市場に出てからの長期的な画像濃度制御性能は、万
全とは言い難いものであった。
【0013】また、従来の制御方法は、制御精度を得る
ために、中間的なパラメータである帯電電位や露光電位
をモニタするための電位センサや、環境条件をモニタす
るための温度センサ、湿度センサなどを必要とする方式
が多く、コストアップが問題となっていた。しかも、総
合的な画質制御精度は、最大色差でΔE=15以上もあ
り、要求値であるΔE=3と比べると、はるかに劣るも
ので、特に人間の識別感度が高いグレーの色相変化を精
度良く制御することは、不可能であった。
【0014】一方、用紙などの記録媒体上に形成された
定着工程後の濃度パッチによって、濃度再現状況をモニ
タする方法も提案されている。定着後の濃度パッチは、
画像形態として最終的にユーザが手にする画像そのもの
であり、これを測定することによって、転写工程や定着
工程における変動要因を含めて画質を総合的に評価で
き、総合的な画質制御精度を向上させることができる。
【0015】このように定着画像の濃度をモニタする方
法としては、特開昭62−296669号や特開昭63
−185279号に代表されるように、複写機などに組
み込まれた画像読み取り部を利用するものが多い。しか
し、この方法は、一旦出力された画像を複写機の原稿台
などに移して再度読み取らせるという作業を、ユーザ自
身またはサービスマンが行わなければならず、日常の画
質管理としては、はなはだ煩わしい欠点がある。
【0016】また、特開平4−55868号には光ファ
イバによって、特開平7一168412号には専用の検
知手段によって、それぞれオンラインで定着画像の濃度
をモニタすることが示されている。しかしながら、これ
らの方法では、画質管理のために特別のテストシートを
出力しなければならず、そのため用紙コストが別途必要
となる不都合がある。また、特別のテストシートを出力
するために、実質的に本来のプリント画像の出力速度が
落ちることになり、本来のプリントの生産性も低下する
問題がある。
【0017】さらに、最近は、特開平4−319971
号、特開平4−320278号、特開平5−20727
5号などに示されているように、ファジーやニューラル
ネットワークを用いる方法が考えられている。
【0018】しかし、これらは、ファジーやニューラル
ネットワークの、入力と出力との関係が複雑な非線形の
場合にも対応できるという特徴を利用して、もっぱら制
御精度を高めるものにすぎず、上述した、大量のデータ
を採取しなければならず、膨大な開発工数が必要である
という問題や、市場に出てからの一台一台の長期的な画
像濃度制御性能が確保できないという問題などの解決に
は、ほとんど役に立たない。
【0019】むしろ、ファジーやニューラルネットワー
クを用いて画像精度を向上させる場合は、その多入力多
出力演算に適しているという特長を活かすために、多入
力化する場合、すなわち多数のセンサを用いる場合が多
く、かえってコストアップをきたす結果となる。
【0020】さらに、ファジーでは、技術者によるメン
バーシップ関数のチュ−ニングが必要であり、ニューロ
では、学習作業そのものは自動化できるものの、そのた
めの教師データを技術者が事前に用意しなければならな
いなど、いずれも、かなりの開発工数を必要とするのが
実情である。
【0021】しかも、あらかじめ経時劣化データを採取
し、これを考慮に人れたファジーやニューラルネットワ
ークを用いた場合であっても、その入力と出力との関係
自体が実際の経時劣化や機差、部品交換などによって変
化してしまった場合には、自律的に対応できないという
問題がある。すなわち、市場に出てからの一台一台の長
期的な画像濃度制御性能は、たとえファジーやニューラ
ルネットワークを用いた場合であっても、保証すること
ができないものである。
【0022】そこで、特開平6−194918号には、
マシンごとに異なる経時劣化や部品交換に対して個別に
自動的な対応をするために、制御ルールを自動学習して
最適な設定条件を推論するという方式が示されている。
【0023】しかし、従来の、この方式では、制御ルー
ルを作成するためには、実稼働時の操作量の設定により
基準の濃度パッチを形成して、その濃度を測定するとい
う一連の動作が複数回必要なため、制御ルールを作成す
るのに時間がかかり、制御の応答性という点で問題があ
った。
【0024】また、応答性以外の点についても、制御ル
ールの作成に時間がかかることによって、その間に装置
本体の状態が変化してしまい、あるいは、これを避ける
ため必要最低限のデータのみでルールを作成しようとす
ると、統計的誤差の多いルールになってしまい、結果的
に制御精度が上がらないという問題がある。
【0025】一方、電子写真方式の各ブロセス自体の安
定性を向上させる方法が提案されている。例えば、特開
平1−169454号や特開平2−282277号に
は、感光体の帯電電位光減衰特性が二値的な挙動を示す
電子写真方式が示されている。これは、感光体として、
露光強度がある閾値以下のときには、帯電電位が減衰せ
ず、露光強度がその閾値を超えると、帯電電位が急激に
減衰する帯電電位光減衰特性を有するものを用いること
によって、露光プロファイルのコントラストを向上さ
せ、その結果、特に色再現性の環境に対する安定性を向
上させるものである。
【0026】また、特公昭46−41679号や特開平
6−11977号には、溶融熱転写方式と呼ばれるトナ
ー像転写方式が示されている。これは、静電的な転写方
式では、転写率が湿度などの環境状態の影響を強く受
け、また濃度ムラやトナー飛散によるドット再現性の劣
化が生じやすいのに対して、熱溶融を利用した転写方式
では、非静電的に転写を行うため、それらの問題を生じ
ないというものである。
【0027】これらの方法によれば、プロセス自体の静
電気力への依存度が低くなるため、環境変化による画質
変動が抑えられる。しかしながら、環境変化による画質
変動が抑えられたとしても、経時変化や機差、または部
品交換などによって、画質の中心値ないし平均値が変動
するという問題は、依然として残る。これは、電子写真
プロセスでは、摩擦帯電やクリ−ニングブレードなどに
よる磨耗など、経時劣化要因が多いためである。その結
果、同じ画像を異なる画像形成装置によって出力した場
合、または同一の画像形成装置によって異なる時期に出
力した場合など、プリントされた画像間の絶対的な品質
の差、例えば色差は、要求レベルより、はるかに劣って
しまう問題がある。
【0028】以上のことから、この発明の第1の目的
は、従来以上の画質安定性、特に色安定性を獲得しつ
つ、制御のためのセンサを低減でき、コストを低減でき
るようにすることにある。
【0029】この発明の第2の目的は、総合的な画質精
度を上げるために定着画像を測定する場合でも、ランニ
ングコストの増加やプリント生産性の低下を防止できる
とともに、定着画像の測定のためのユーザやサービスマ
ンの負担を解消できるようにすることにある。
【0030】この発明の第3の目的は、技術者が事前に
さまざまな環境条件や経時変化などの影響を把握しなく
ても高精度の制御を行うことができ、開発工数を大幅に
低減できるようにすることにある。
【0031】この発明の第4の目的は、市場に出てから
の一台一台の長期的な画像濃度制御性能を常に自動的に
確保できるようにすることにある。
【0032】この発明の第5の目的は、制御の応答性が
よく、かつ高精度の制御がなされるようにすることにあ
る。
【0033】この発明の第6の目的は、画質の中心値な
いし平均値の経時的な変化や装置間の差を、相対的では
なく絶対的に制御できるようにすることにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、画
質に関する制御量が目標値になるように操作量を制御す
る画像形成装置において、前記制御量の目標値を設定す
る制御量目標値設定手段と、前記操作量の設定値を切り
替える操作量設定値切替手段と、前記制御量に対応した
画質制御用の基準パターンを発生する基準パターン発生
手段と、前記制御量の種類数をN(Nは正の整数)とす
るとき、前記操作量設定値切替手段によって、少なくと
もN種類の操作量を、それぞれN+m(mは正の整数)
通りの異なる設定値に切り替えつつ、前記基準パターン
発生手段からの基準パターンを記録媒体上に記録する基
準パターン記録手段と、この基準パターン記録手段によ
って記録された基準パターンについての前記制御量を、
最終画像形成工程後にオンラインで測定する制御量測定
手段と、前記N+m通りの操作量設定値と、前記制御量
測定手段による制御量測定値とから、前記操作量と前記
制御量との対応関係を制御ルールとして作成する制御ル
ール作成手段と、その得られた制御ルールに従って、前
記制御量が前記制御量目標値設定手段によって設定され
た目標値になるように、前記操作量を可変制御する操作
量制御手段と、を設ける。
【0035】請求項2の発明では、画質に関する制御量
が目標値になるように操作量を制御する画像形成装置に
おいて、前記制御量の目標値を設定する制御量目標値設
定手段と、前記操作量の設定値を切り替える操作量設定
値切替手段と、前記制御量に対応した画質制御用の基準
パターンを発生する基準パターン発生手段と、前記制御
量の種類数をN(Nは正の整数)とするとき、前記操作
量設定値切替手段によって、少なくともN種類の操作量
を、それぞれN+m(mは正の整数)通りの異なる設定
値に切り替えつつ、前記基準パターン発生手段からの基
準パターンを記録媒体上に記録する基準パターン記録手
段と、この基準パターン記録手段によって記録された基
準パターンについての前記制御量を、最終画像形成工程
後にオンラインで測定する制御量測定手段と、前記N+
m通りの操作量設定値と、前記制御量測定手段による制
御量測定値とから、画質制御のための制御ルールを学習
する制御ルール学習手段と、その学習された制御ルール
に従って、前記操作量の最適値を推論する操作量最適値
推論手段と、を設ける。
【0036】請求項3の発明では、画質に関する制御量
が目標値になるように操作量を制御する画像形成装置に
おいて、前記制御量の目標値を設定する制御量目標値設
定手段と、前記操作量の設定値を切り替える操作量設定
値切替手段と、前記制御量に対応した画質制御用の基準
パターンを発生する基準パターン発生手段と、前記制御
量の種類数をN(Nは正の整数)とするとき、前記操作
量設定値切替手段によって、少なくともN種類の操作量
を、それぞれN+m(mは正の整数)通りの異なる設定
値に切り替えつつ、前記基準パターン発生手段からの基
準パターンを未定着画像として記録する基準パターン記
録手段と、この基準パターン記録手段によって記録され
た未定着画像の基準パターンについての前記制御量を、
オンラインで測定する制御量測定手段と、前記N+m通
りの操作量設定値と、前記制御量測定手段による制御量
測定値とから、画質制御のための制御ルールを学習する
制御ルール学習手段と、その学習された制御ルールに従
って、前記操作量の最適値を推論する操作量最適値推論
手段と、を設ける。
【0037】
【作用】上記のように構成した請求項1,2または3の
発明の画像形成装置においては、制御量の種類数をNと
するとき、操作量設定値切替手段によって、少なくとも
N種類の操作量が、それぞれN+m(mは正の整数)通
りの異なる設定値に切り替えられつつ、記録媒体上に、
または未定着画像として、基準パターンが記録されるの
で、操作量と制御量との対応関係が制御ルールとして、
確実に作成または学習される。
【0038】したがって、ユーザやサービスマンの手を
煩わすことなく、機差や環境変化、経時劣化や部品交換
などの画質変化要因に対して、常に自動的に高精度の画
質制御を実現することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
〔実施例1…図1〜図9〕まず、請求項1の発明の一例
を、実施例1として、図1〜図9を用いて示す。
【0040】(実施例1の原理的構成…図1)図1は、
実施例1の原理的構成を示し、画像形成装置本体100
は、電子写真方式の画像形成装置の、画像形成プロセス
を実行する部分であり、制御部103は、その画像形成
装置本体100に対する制御部分である。制御部103
は、画像形成装置本体100とともに画像形成装置を構
成し、通常は画像形成装置本体100内に実装される
が、画像形成装置本体100と別体に構成されてもよ
い。
【0041】画像形成装置本体100の操作部101
は、画像の品質を左右する制御量、例えば画像濃度を決
定する操作量、具体的には、帯電器の帯電電圧(帯電
量)、感光体を照射するレーザ光の出力パワー(露光
量)、現像器の現像バイアス電圧、現像ロール回転数、
トナー供給係数などを出力する部分であり、制御量測定
部102は、上記の制御量、例えば画像濃度を測定する
手段、例えば光学センサである。
【0042】制御部103は、画像形成装置本体100
で形成される画像の制御量を目標値に維持するように、
操作部101の操作量を制御するもので、その制御ルー
ル作成用操作量出力部104は、制御ルールを作成する
ために、画像形成装置本体100の操作部101に人力
される操作量を出力する。
【0043】制御部103の制御ルール作成部105
は、制御ルールを作成するもので、その制御ルールは、
操作量と制御量との対応関係を規定する関数である。こ
の関数は、操作量と制御量が規定する座標空間における
面(平面または曲面)で表され、より具体的には、操作
部101に入力された操作量と、その時に制御量測定部
102で測定された制御量とが表す座標データが複数、
例えば3つ用いられて、作成される。
【0044】制御部103の操作量決定部107は、制
御ルール作成部105で作成された制御ルールに従っ
て、操作部101の操作量を決定する。すなわち、操作
量決定部107は、制御ルールから、目標値設定部10
6で設定された目標値を実現するための操作量を算出
し、その算出した操作量を操作部101に入力する。
【0045】このような構成においては、制御ルール作
成用操作量出力部104から操作量が出力されるごと
に、制御ルール作成部105で制御ルールが作成され、
それに基づいて画像形成装置本体100の制御がなされ
る。したがって、現状の画像形成装置の状態に応じた最
新の制御ルールによって画質が制御されることになる。
【0046】さらに、実施例1の具体例を以下に示す。
この具体例は、スコロトロン帯電器により感光体上を一
様に帯電した後、感光体上にレーザ光を照射することに
よって、感光体上に静電潜像を形成し、その静電潜像を
現像器によりトナー像に現像する、電子写真方式の画像
形成装置の場合である。また、制御量は、ソリッド濃度
とハイライト濃度の2種類の定着画像濃度とし、操作量
は、現像器の現像ロール回転数とレーザ光の出力パワー
の2種類とする場合である。
【0047】(実施例1の画像出力部…図2、図3)図
2は、実施例1の画像形成装置の画像出力部の概要を示
す。図では省略した画像入力部では、原槁上の画像がス
キャナにより読み取られて入力画像データが得られ、ま
たは外部のコンピュータ上で生成された入力画像データ
が装置内に取り込まれる。そして、同様に図では省略し
た画像処理部では、画像入力部からの入力画像データに
対して色変換や階調補正などの必要な処理がなされて、
画像出力部110で出力すべき出力画像データが得られ
る。
【0048】画像出力部110では、図では省略したス
クリーンジェネレータにより、画像処理部からの出力画
像データが、その画素値に応じてパルス幅が変調された
レーザ・オンオフ信号に変換され、そのレーザ・オンオ
フ信号により、レーザ出力部1のレーザダイオードが駆
動されて、レーザ出力部1から、画像信号によって変調
されたレーザ光Rが得られ、そのレーザ光Rが、感光体
2上に照射される。
【0049】感光体2は、スコロトロン帯電器3により
一様に帯電されて、レーザ光Rが照射されることによ
り、感光体2上に静電潜像が形成され、その静電潜像が
形成された感光体2に対して現像器6の現像ロール6a
が当接することにより、その静電潜像がトナー像に現像
される。
【0050】さらに、その感光体2上のトナー像が、転
写器7によって、用紙トレイ9から感光体2上に搬送さ
れる用紙P上に転写され、その用紙P上のトナー像が、
定着器8によって定着される。感光体ドラム2は、トナ
ー像が用紙P上に転写された後、クリーナ4によってク
リーニングされ、さらに除電器5によって残留電荷が除
去されて、1回の画像形成過程が終了する。
【0051】画像出力部110では、出力した文書の名
称や出力時刻などの情報や、使用しているフォントの違
いや用紙サイズの間違いなどを伝えるために、バナーシ
ートが出力される。さらに、装置の電源投入時や、ユー
ザの希望による装置のセットアップ時にも、バナーシー
トが出力される。
【0052】そして、画像出力部110には、定着器8
より後方の位置において、このバナーシート上に形成さ
れる、後述する画質制御用の基準パターンの濃度を測定
する光学センサ10が設けられる。光学センサ10は、
図3に示すように、バナーシートB上に光を照射するL
ED照射部11と、バナーシートBからの拡散光を受光
する受光素子12とによって構成される。
【0053】(実施例1の基準パターン作成機構および
そのモニタ機構…図4、図5)バナーシートBには、上
記のメッセージの表示とともに、画質制御用の基準パタ
ーンが形成される。
【0054】図4に示すように、その基準パターンとし
ては、ソリッド(網点カバレッジ100%)濃度パター
ンとハイライト(網点カバレッジ10%)濃度パ夕一ン
の2種類が用いられる。これらソリッド濃度パターンお
よびハイライト濃度パターンは、いずれも2cm角程度
の大きさに設定され、ソリッド濃度パターンS1〜S3
およびハイライト濃度パターンH1〜H3として示して
後述するように、2種類の操作量設定値が3通りに切り
替えられつつ、メッセージ領域Mを外れた位置におい
て、矢印aで示すバナーシート送り方向と逆の方向に、
作成される。
【0055】そして、光学センサ10からは、その出力
信号として、図5に示すように、3通りのソリッド濃度
パターンおよびハイライト濃度パターンに対応した信号
が得られる。
【0056】(実施例1の制御部…図6)図6は、画像
出力部110の、現像器6の現像ロール6aの回転数お
よびレーザ出力部1でのレーザ光Rの出力パワーを制御
する制御部を示す。
【0057】その制御部20の制御量目標値メモリ21
には、ソリッド濃度パターンS1〜S3およびハイライ
ト濃度パターンH1〜H3の目標濃度を光学センサ10
の出力に換算した値が格納される。その出力換算値は、
この例では、0〜255の間の値である。
【0058】光学センサ10の読み取り値と、操作量メ
モリ22内の操作量設定値は、制御ルール演算器23に
入力され、後述するように、制御ルール演算器23内で
制御ルールが抽出される。
【0059】ここで、操作量とは、被制御対象の出力値
を変化させるパラメータの調整量で、この例では、上述
したように、現像器6の現像ロール6aの回転数の設定
値(以下、これをDR設定値と略称する)、およびレー
ザ出力部1でのレーザ光Rの出力パワーの設定値(以
下、これをLP設定値と略称する)である。DR設定値
およびLP設定値は、ともに0〜255の間の値であ
る。
【0060】また、バナーシート出力時および通常の画
像出力時の、DR設定値およびLP設定値は、それぞれ
操作量メモリ22に記憶されて、操作量補正演算器24
の出力信号に対応した値が適宜読み出されるようにされ
る。
【0061】そして、操作量メモリ22から読み出され
たDR設定値は、現像ロールモータコントローラ15に
供給され、これにより、現像ロールモータコントローラ
15は、DR設定値に応じた回転数で現像ロール6aを
回転させる。
【0062】また、操作量メモリ22から読み出された
LP設定値は、光量コントローラ16に供給され、これ
により、光量コントローラ16は.LP設定値に応じた
レーザパワーをレーザ出力部1に与える。
【0063】一方、基準パターン信号発生器30は、画
像出力部110に対してソリッド濃度パターンおよびハ
イライト濃度パターンの作成を指示し、バナーシート出
力時の基準パターン作成タイミングにおいて、画質制御
用の基準パターン信号を画像出力部110に出力する。
これによって、図4に示したように、バナーシートB上
に、3通りのソリッド濃度パターンS1〜S3およびハ
イライト濃度パターンH1〜H3が形成される。
【0064】基準パターン信号発生器30の動作タイミ
ングは、I/O調整部28によって決められる。I/O
調整部28は、バナーシート出力時においてクロックタ
イマ29が出力するタイム信号を監視し、ソリッド濃度
パターンパターンS1〜S3およびハイライト濃度パタ
ーンH1〜H3が所定位置に形成されるように、基準パ
ターン信号発生器30に動作タイミング信号を供給す
る。
【0065】(実施例1の動作…図7〜図9)上記の例
の画像形成装置では、まず、装置に電源が投人される
と、自動的にセットアップ動作が実行され、制御部20
において、バナーシートを出力するか否かが判断される
(図7のステップS11)。
【0066】そして、電源投人直後には必ずバナーシー
トが出力されるので、このとき、次に、制御部20は、
1枚のバナーシート内で操作量設定値、すなわちDR設
定値およびLP設定値を3段階に切り換え(ステップS
12)、バナーシート上に基準パターン、すなわちソリ
ッド濃度パターンS1〜S3およびハイライト濃度パタ
ーンH1〜H3を形成する(ステップS13)。
【0067】このように1枚のバナーシート内に3通り
のソリッド濃度パターンS1〜S3およびハイライト濃
度パターンH1〜H3が形成されるので、バナーシート
1枚の出力によって制御ルールを学習することができ、
プリントの生産性が疎外されないとともに、バナーシー
ト1枚の出力間では状態の変動が小さくなることから、
得られる制御ルールの精度がより高くなる。
【0068】このときのDR設定値とLP設定値の組み
合わせは、後述するように、これらから制御ルール平面
を計算するため、DR設定値軸とLP設定値軸とで形成
される平面上で、DR設定値およびLP設定値が直線上
に並ばないような組み合わせとされる。ここでは、DR
設定値が「76」「96」「46」とされ、LP設定値
が「98」「108」「118」とされる。これらの値
は、制御部20の操作量メモリ22内に格納されてい
る。
【0069】次に、光学センサ10によって、1枚のバ
ナーシート上の3組のソリッド濃度パターンS1〜S3
およびハイライト濃度パターンH1〜H3の濃度が測定
される(ステップS14)。
【0070】この時の、DR設定値およびLP設定値
と、光学センサ10の読み取り値は、順次、制御ルール
演算器23に供給され、制御ルール演算器23におい
て、制御ルールが求められる(ステップS15)。そし
て、この場合の制御ルールは、図8に示すような制御ル
ール平面として抽出される。
【0071】すなわち、図8において、点P1,P2,
P3は、3組のDR設定値DR1,DR2,DR3およ
びLP設定値LP1,LP2,LP3の組み合わせを示
す点である。ここで、点P1,P2,P3に対応するソ
リッド濃度(ソリッド濃度パターンの検出濃度)を示す
点を、点S1,S2,S3とし、同様に点P1,P2,
P3に対応するハイライト濃度(ハイライト濃度パター
ンの検出濃度)を示す点を、点H1,H2,H3とす
る。そして、点S1,S2,S3を通る平面をソリッド
ルール平面SPとし、点H1,H2,H3を通る平面を
ハイライトルール平面HPとする。
【0072】ここで、DR設定値およびLP設定値を適
宜変化させたときに得られるソリッド濃度を示す点は、
すべてソリッドルール平面SP内に収まることになり、
同様に、DR設定値およびLP設定値を適宜変化させた
ときに得られるハイライト濃度を示す点は、すべてハイ
ライトルール平面HP内に収まることになる。
【0073】一般に、制御対象の数をNとしたとき、N
+1個の制御事例が必要になり、制御ルールを示す面
は、N+1次元空間内のN次元平面になる。したがっ
て、このN次元平面を一義的に決定するには、N+1個
のデータ点が必要になる。そして、この実施例1では、
ソリッド濃度とハイライト濃度という2つの制御対象を
設定しているので、N=2になり、3組の制御事例が必
要となる。
【0074】すなわち、この実施例1では、上記のよう
にして得られた制御ルールを用いることによって、所定
の目標濃度についてDR設定値およびLP設定値を一意
に決定することができる。
【0075】そのために、まず、上記の制御ルール空間
内に、ソリッド濃度パターンおよびハイライト濃度パタ
ーンの目標濃度が、目標濃度平面として設定される。す
なわち、制御部20の操作量補正演算器24は、制御ル
ール空間内に、目標濃度値の平面(DR設定値軸とLP
設定値軸とが形成する平面に平行な面)を記述し、それ
を制御ルール演算器23から読み出した上記のソリッド
ルール平面SPおよびハイライトルール平面HPに重ね
合わせる。
【0076】これによって、制御ルール空間内には、図
9に示すように、ソリッド濃度に関するソリッドルール
平面SPと、ハイライト濃度に関するハイライトルール
平面HPと、ソリッド目標濃度平面STPと、ハイライ
ト目標濃度平面HTPとが構成され、そこに×印で示す
上述したセットアップ時の制御内容がプロットされたこ
とになる。
【0077】そして、図9から明らかなように、ソリッ
ド濃度については、ソリッドルール平面SPとソリッド
目標濃度平面STPが交差するソリッド目標実現ライン
STL上にプロットされるような操作量設定値の組み合
わせを選べば、その時の画像出力はソリッド目標濃度を
実現できると予測することができる。
【0078】同様に、ハイライト濃度についても、ハイ
ライトルール平面HPとハイライト目標濃度平面HTP
が交差するハイライト目標実現ラインHTL上にプロッ
トされるような操作量設定値の組み合わせを選べば、そ
の時の画像出力はハイライト目標濃度を実現できると推
論することができる。
【0079】したがって、ソリッド濃度およびハイライ
ト濃度の両方が、それぞれ同時に目標濃度になるように
制御されるためには、ソリッド目標実現ラインSTLお
よびハイライト目標実現ラインHTLが、DR設定値軸
とLP設定値軸とで形成される平面に射影されて、その
交点のDR設定値およびLP設定値が求められ、操作量
設定値として採用されればよい。
【0080】数式を用いて示すと、次のようになる。ソ
リッド濃度に関する制御ルールおよびハイライト濃度に
関する制御ルールは、それぞれ、 D100=a1・LP+a2・DR+a3 …(l) D10 =b1・LP+b2・DR+b3 …(2) となる。ここで、D100はソリッド濃度、D10はハ
イライト濃度、LPはLP設定値、DRはDR設定値、
al,a2,a3,bl,b2,b3は係数である。制
御ルールは、係数al,a2,a3,bl,b2,b3
で表すことができる。
【0081】式(1)(2)を、DR設定値DRおよび
LP設定値LPについて解くと、 DR=(b1・D100−a1・D10−a3・b1+a1・b3)/ (a2・b1−a1・b2) …(3) LP=(b2・D100−a2・D10−a3・b2+a2・b3)/ (al・b2−a2・bl) …(4) が得られ、この式(3)(4)のD100およびD10
にソリッド目標濃度およびハイライト目標濃度を代入す
れば、DR設定値DRおよびLP設定値LPが求められ
る。
【0082】図9の例では、この計算によって、DR設
定値DRおよびLP設定値LPが、(115,128)
に設定されれば、ソリッド目標濃度およびハイライト目
標濃度を同時に実現できることになる。
【0083】図7のステップS16では、操作量補正演
算器24において、このようにしてDR設定値DRおよ
びLP設定値LPが計算される。このDR設定値DRお
よびLP設定値LPの算出結果は、操作量補正演算器2
4から操作量メモリ22に転送され、操作量メモリ22
から現像ロールモータコントローラ15および光量コン
トローラ16に、新たなDR設定値およびLP設定値に
対応する信号が出力される(ステップS17)。
【0084】このようにして、セットアップデータか
ら、ソリッド濃度およびハイライト濃度を所望濃度にす
るための最適なDR設定値およびLP設定値を決定する
ことができる。
【0085】そして、制御部20は、このようにソリッ
ド濃度およびハイライト濃度を所望濃度にするようにD
R設定値およびLP設定値を設定した状態で、画像出力
部110に対して通常の出力画像を形成させ(ステップ
S18)、さらに画像出力が終了したか否かを判断して
(ステップS19)、終了したときには一連の制御処理
を終了する。
【0086】以後同様にして、ソリッド濃度およびハイ
ライト濃度を所望濃度にするための最適なDR設定値お
よびLP設定値が設定され、的確な画質制御がなされ
る。
【0087】(実施例1の効果)実施例1によれば、記
録媒体上の出力画像の画質、特に濃度や色が、絶対値と
しての目標値になるような画質制御を行うことができ
る。
【0088】さらに、記録媒体上の定着画像の基準パタ
ーンを読み取ることによって高精度の制御を行うにもか
かわらず、基準パターンを特別のテストシートに出力す
る必要がないので、ランニングコストの増加やプリント
生産性の低下を防止することができるとともに、定着画
像の基準パターンをオンラインで測定するので、定着画
像の測定のためのユーザやサービスマンの負担を解消す
ることができる。
【0089】また、基準パターンのトナー像は定着画像
として排出されるので、未定着トナー像のパッチのよう
に、トナーをクリ−ニングする必要がなく、クリーナの
負荷が軽減される。
【0090】さらに、ゼロプロセスごとに種々の物理パ
ラメー夕を検知する必要がないため、特にタンデムエン
ジン方式の画像形成装置であっても、コストアップをき
たすことなく良好な画質制御を行うことができる。
【0091】さらに、従来では各単色を制御することに
より間接的にしか制御することができなかったプロセス
グレーなどの二次色や三次色も、高精度で制御すること
ができる。
【0092】また、操作量を切り替えつつ基準パターン
を記録することによって、制御ルールの学習で困難なク
ラスタリング(類似した制御ルールに従っている制御事
例のグルーピング)が不要となり、的確かつ迅速に制御
ルールを作成でき、制御の精度および収束性が向上す
る。
【0093】さらに、経時劣化、部品交換による部品特
性の変化、または機差などにかかわらず、出力画像の絶
対値を的確に制御することができるので、いずれの機械
でも、いずれの時でも、目標の画質を得ることができ
る。
【0094】(実施例1についての変形例)上記の例
は、2つの制御量に対して、それぞれ操作量設定値を3
通りに切り換えて基準パターンを形成する場合である
が、操作量設定値を4通り以上に切り換えて基準パ夕一
ンを形成するようにしてもよい。この場合、制御ルール
は、平面として、各基準パターンの読み取り座標点か
ら、最小二乗誤差法によって抽出することができ、これ
によれば、統計的に平均化することによって、計測誤差
などの影響を軽減することができる。あるいは、制御ル
ールを、2次以上の曲面として抽出してもよく、その場
合には、ゼロプロセスの非線形性に対して、より適合性
が増加する。
【0095】基準パターンとしても、ソリッド(網点カ
バレッジ100%)濃度パターンとハイライト(網点カ
バレッジ10%)濃度パターンの2種類に限らず、例え
ば、網点カバレッジ50%に対応する濃度パターンのみ
を用いてもよく、さらに多くの種類の濃度パターンを用
いて、より多くの階調ポイントを制御するようにしても
よい。ただし、各階調ポイントをそれぞれ独立に制御す
る場合には、制御用パラメータの種類を階調ポイント数
に見合った数だけ用意する必要がある。
【0096】操作量としても、現像ロール回転数と露光
量との組み合わせに限らず、出力画像の濃度を変更でき
るパラメータであれば、いかなるパラメー夕でもよく、
例えば、帯電器の帯電電圧(帯電量)、現像器の現像バ
イアス電圧、トナー供給係数などを用いることができ
る。
【0097】光学センサないし濃度測定手段としても、
例えば、CCDセンサなどを用いることができる。
【0098】さらに、基準パターンの数やサイズ、また
は操作量を変更する際の応答性などによっては、基準パ
ターンの組み合わせを、複数枚のバナーシートに分けて
出力するようにしてもよい。
【0099】また、上記の例は、単色の画像形成装置の
場合であるが、実施例1は、例えば、イエロー、マゼン
夕およびシアン、またはブラック、イエロー、マゼンタ
およびシアンのトナーを重ね合わせて出力画像を形成す
るカラー画像形成装置においても、全く同様に適用する
ことができ、同様の効果を得ることができる。この場
合、各色のトナーごとに別々の基準パッチを形成して、
光学センサで読み取るようにしてもよい。また、アナロ
グ式の複写機に対しても、実施例1を適用することがで
きる。
【0100】さらに、上記の例は、画質に関する制御量
が画像の濃度の場合であるが、濃度に限らず、例えば、
カラー画像形成装置において、二次色以上の色を制御量
としてもよい。すなわち、例えば、イエロー、マゼンタ
およびシアン、またはブラック、イエロー、マゼンタお
よびシアンの各色を、それぞれ網点カバレッジ40%と
して重ね合わせたプロセスグレーの基準パッチを形成
し、これを色分解能を有する光学センサによって読み取
ることにより、グレーが色付くことを防ぐような制御を
行うようにしてもよい。この場合の光学センサとして
も、色分解能を有するものであれば、例えば、カラーC
CDセンサなどを用いることができる。
【0101】〔実施例2…図10〜図17〕次に、請求
項2の発明の一例を、実施例2として、図10〜図17
を用いて示す。
【0102】(実施例2の画像出力部…図10)図10
は、実施例2の画像形成装置の画像出力部の概要を示
す。図では省略した画像入力部では、原槁上の画像がス
キャナにより読み取られて入力画像データが得られ、ま
たは外部のコンピュータ上で生成された入力画像データ
が装置内に取り込まれる。そして、同様に図では省略し
た画像処理部では、画像入力部からの入力画像データに
対して色変換や階調補正などの必要な処理がなされて、
画像出力部110で出力すべき出力画像データが得られ
る。
【0103】画像出力部110では、図では省略したス
クリーンジェネレータにより、画像処理部からの出力画
像データが、その画素値に応じてパルス幅が変調された
レーザ・オンオフ信号に変換され、そのレーザ・オンオ
フ信号により、レーザ出力部1のレーザダイオードが駆
動されて、レーザ出力部1から、画像信号によって変調
されたレーザ光Rが得られ、そのレーザ光Rが、感光体
2上に照射される。
【0104】感光体2は、スコロトロン帯電器3により
一様に帯電されて、レーザ光Rが照射されることによ
り、感光体2上に静電潜像が形成され、その静電潜像が
形成された感光体2に対して現像器6の現像ロールが当
接することにより、その静電潜像がトナー像に現像され
る。
【0105】さらに、その感光体2上のトナー像が、転
写器7によって用紙上に転写され、その用紙上のトナー
像が、定着器8によって定着される。感光体ドラム2
は、トナー像が用紙上に転写された後、クリーナ4によ
ってクリーニングされて、1回の画像形成過程が終了す
る。
【0106】画像出力部110では、出力した文書の名
称や出力時刻などの情報や、使用しているフォントの違
いや用紙サイズの間違いなどを伝えるために、バナーシ
ートが出力される。さらに、装置の電源投入時や、ユー
ザのマニュアル操作による装置のセットアップ時にも、
バナーシートが出力される。
【0107】ユーザのマニュアル操作によるセットアッ
プは、画像形成装置の図では省略したユーザインタフェ
ース上に設けられたモード切替スイッチによって、選択
できるようにされ、このモード切替スイッチによりマニ
ュアルセットアップモードが選択されると、ユーザが出
力しようとした文書の出力の直前にバナーシートが出力
され、装置のセットアップが行われる。
【0108】そして、画像出力部110には、定着器8
より後方の位置において、このバナーシート上に形成さ
れる、後述する画質制御用の基準パターンの濃度を測定
する光学センサ10が設けられる。光学センサ10は、
例えば、実施例1において図3に示したように、バナー
シートB上に光を照射するLED照射部11と、バナー
シートBからの拡散光を受光する受光素子12とによっ
て構成される。
【0109】(実施例2の基準パターン作成機構および
そのモニタ機構…図11、図12)バナーシートには、
上記のメッセージの表示とともに、画質制御用の基準パ
ターンが形成される。
【0110】図11に示すように、その基準パターンと
しては、ベタ(網点カバレッジ100%)濃度パッチa
1とハイライト(網点カバレッジ20%)濃度パッチa
2の2種類が用いられる。これらベタ濃度パッチa1お
よびハイライト濃度パッチa2は、いずれも2〜3cm
角程度の大きさに設定され、後述するように2種類の操
作量設定値が3通りに切り替えられつつ、メッセージ領
域Mを外れたラインL1上の位置において、矢印aで示
すバナーシート送り方向と逆の方向に、作成される。
【0111】そして、光学センサ10からは、その出力
信号として、図12に示すように、3通りのベタ濃度パ
ッチa1およびハイライト濃度パッチa2に対応した信
号が得られる。
【0112】(実施例2の制御部…図13)図13は、
画像出力部110の、スコロトロン帯電器3のグリッド
電源17の電圧およびレーザ出力部1のレーザ光の出力
パワーを制御する制御部を示す。
【0113】その制御部20の濃度調整ダイヤル41で
は、あらかじめユーザによって、ベタ濃度パッチa1お
よびハイライト濃度パッチa2についての目標濃度が設
定される。濃度調整ダイヤル41の目標濃度設定値は、
変換器42によって光学センサ10の出力に換算した値
に変換され、その出力変換値が制御量目標値メモリ21
に保持される。その出力換算値は、この例では、0〜2
55の間の値である。制御量目標値メモリ21は、同時
に許容誤差量も記憶している。
【0114】濃度コンパレータ43において、光学セン
サ10の読み取り値が、制御量目標値メモリ21の出力
の目標濃度値と比較される。そして、両者の差が制御量
目標値メモリ21に記憶されている許容誤差以内である
ときには、光学センサ10の出力信号は、分配器44を
通じて制御ルール検索器45に供給され、両者の差が許
容誤差を超えるときには、光学センサ10の出力信号
は、分配器44を通じて制御事例メモリ46に供給され
る。
【0115】制御事例メモリ46は、制御事例を記憶す
るメモリで、状態量、操作量、制御量の3種の量を一組
にして記憶する。このように、制御事例を記憶するの
は、この例においては、過去に記憶された制御事例に基
づいて種々の制御を行うためである。これは、事例ベー
ス推論と呼ばれる手法に基づく制御方法である。
【0116】ここで、制御事例メモリ46に記憶される
状態量とは、電子写真プロセスに支配的な影響を及ぼす
温度や湿度、または経時的劣化量などであるが、これら
の状態量が、ある限られた時間内では、ほぼ一定とみな
せるため、この例では、その代用として、事例の発生時
刻(年月日時分秒)が用いられる。
【0117】ただし、発生時刻が、3分、5分または1
0分などというように、あらかじめ定められた時間単位
内にあれば、状態量としては等しいとして取り扱うよう
にされる。これは、発生時刻が互いに近い事例同士であ
れば、両者はほぼ同様な温度湿度下にあって、経時的劣
化の度合いも同じ程度であろうと期待できるためであ
る。事例の発生時刻を示す時刻データは、この例では、
クロックタイマ29から制御事例メモリ46に供給され
る。
【0118】操作量とは、被制御対象の出力値を変化さ
せるパラメータの調整量で、この例では、上述したよう
に、スコロトロン帯電器3のグリッド電源17の電圧設
定値(以下、これをスコロ設定値と略称する)、および
レーザ出力部1のレーザ光の出力パワー設定値(以下、
これをLP設定値と略称する)の2種である。この2つ
の量を操作量としたのは、制御しようとしている最終画
像濃度が、ベタ濃度部とハイライト濃度部の2点である
ことと、スコロ設定値およびLP設定値が、ベタ濃度お
よびハイライト濃度に対して相関が高いことによる。ス
コロ設定値およびLP設定値は、ともに0〜255の間
の値である。
【0119】また、バナーシート出力時および通常の画
像出力時の、スコロ設定値およびLP設定値は、それぞ
れ操作量メモリ22に記憶されて、操作量補正演算器2
4の出力信号に対応した値が適宜読み出されるようにさ
れる。
【0120】そして、操作量メモリ22から読み出され
たスコロ設定値は、グリッド電源17に供給され、これ
により、グリッド電源17は、スコロ設定値に応じた電
圧をスコロトロン帯電器3に印加する。
【0121】また、操作量メモリ22から読み出された
LP設定値は、光量コントローラ16に供給され、これ
により、光量コントローラ16は、LP設定値に応じた
レーザパワーをレーザー出力部1に与える。
【0122】制御事例メモリ46に記憶される制御量
は、上記のように分配器44を通じて制御事例メモリ4
6に供給される、光学センサ10の出力信号、すなわち
3通りのベタ濃度パッチa1およびハイライト濃度パッ
チa2のそれぞれの濃度検出信号である。
【0123】以上の結果、制御事例メモリ46には、例
えば、図14の表に示すような制御事例が記憶される。
すなわち、図14において、例えば、事例1は、状態量
(事例発生時刻)が1996年3月1日12時0分10
秒、スコロ設定値が「130」、LP設定値が「8
3」、制御量である光学センサ10の出力値が、ベタ濃
度パッチa1につき「185」、ハイライト濃度パッチ
a2につき「23」である。状態量である事例発生時刻
が事例1〜3で等しくなっているのは、1回のバナーシ
ートの出力で3つの事例を取り込むためである。
【0124】図13の制御部20の状態量コンパレータ
47、クラスタメモリ48および制御ルール演算器23
は、後述するように、制御事例メモリ46に記憶された
制御事例を参照して制御ルールを抽出する機能を有す
る。
【0125】また、制御ルールメモリ49は、制御ルー
ル演算器23が算出した制御ルールを複数記憶するメモ
リで、制御ルール検索器45から要求があると、その要
求に応じた制御ルールを制御ルール検索器45に返信す
る。この場合、制御ルール検索器45は、濃度コンパレ
ータ43から供給される、光学センサ10の読み取り値
と制御量目標値メモリ21からの目標濃度値との差、お
よび操作量メモリ22から供給される操作量、すなわち
スコロ設定値およびLP設定値に応じた制御ルールを、
制御ルールメモリ49に要求する。
【0126】操作量補正演算器24は、制御ルール検索
器45によって検索された制御ルールを用いて、操作量
の補正値を求め、その求めた補正値を操作量メモリ22
に供給する。これにより、操作量メモリ22は、操作量
補正値に対応した操作量、すなわちスコロ設定値および
LP設定値を、それぞれグリッド電源17および光量コ
ントローラ16に供給する。
【0127】一方、基準パターン信号発生器30は、画
像出力部110に対してベタ濃度パッチa1およびハイ
ライト濃度パッチa2の作成を指示し、バナーシート出
力時の基準パターン作成タイミングにおいて、画質制御
用の基準パターン信号を画像出力部110に出力する。
これによって、図11に示したように、バナーシートB
上に、3通りのベタ濃度パッチa1およびハイライト濃
度パッチa2が形成される。
【0128】基準パターン信号発生器30の動作タイミ
ングは、I/O調整部28によって決められる。I/O
調整部28は、バナーシート出力時においてクロックタ
イマ29が出力するタイム信号を監視し、ベタ濃度パッ
チa1およびハイライト濃度パッチa2が所定位置に形
成されるように、基準パターン信号発生器30に動作タ
イミング信号を供給する。
【0129】(実施例2の動作…図15、図16)上記
の例の画像形成装置では、まず、初期設定処理として、
技術者は、制御用パラメータとして3組のスコロ設定値
とLP設定値との組み合わせを設定する。この操作量の
3組の組み合わせは、後述するように、これらから制御
事例平面を計算するため、スコロ設定値軸とLP設定値
軸とで形成される平面上で、スコロ設定値およびLP設
定値が直線上に並ばないような組み合わせとする。
【0130】そして、制御部20は、バナーシートB上
に3組のベタ濃度パッチa1およびハイライト濃度パッ
チa2を形成して、それぞれを光学センサ10により測
定し、その測定結果を制御事例として制御事例メモリ4
6に記憶させる。この結果、制御事例メモリ46には、
3組の制御事例(制御事例1〜3)が記憶される。
【0131】ここで、3組というのは、制御対象数+
1、という意味で、この例では、制御対象数の2(ベタ
濃度とハイライト濃度の2種)に1をプラスしたもので
ある。その理由は、実施例1と同じである。もちろん、
これより多くの制御事例を示すようにしてもよい。
【0132】上記のように初期設定時の3組の制御事例
が制御事例メモリ46に記憶されると、その記憶内容が
状態量コンパレータ47およびクラスタメモリ48を介
して制御ルール演算器23に供給され、制御ルール演算
器23において、制御ルールが求められる。そして、こ
の場合の制御ルールは、図15に示すような制御事例平
面として抽出される。
【0133】すなわち、図15において、点P1,P
2,P3は、初期設定における3組の制御事例について
のスコロ設定値とLP設定値の組み合わせを示す点であ
る。ここで、点P1,P2,P3に対応するベタ濃度
(ベタ濃度パッチa1の検出濃度)を示す点を、点B
1,B2,B3とし、同様に点P1,P2,P3に対応
するハイライト濃度(ハイライト濃度パッチa2の検出
濃度)を示す点を、点H1,H2,H3とする。そし
て、点B1,B2,B3を通る平面をベタ事例平面BP
とし、点H1,H2,H3を通る平面をハイライト事例
平面HPとする。
【0134】ここで、状態量が変化しない場合には、ス
コロ設定値およびLP設定値を適宜変化させたときに得
られるベタ濃度を示す点は、すべてベタ事例平面BP内
に収まることになり、同様に、状態量が変化しない場合
には、スコロ設定値およびLP設定値を適宜変化させた
ときに得られるハイライト濃度を示す点は、すべてハイ
ライト事例平面HP内に収まることになる。
【0135】このように、ベタ事例平面BPおよびハイ
ライト事例平面HPは、状態量が変化しない場合のすべ
ての事例を示していることになり、言い換えれば、これ
らの平面BPおよびHPが、初期設定時のベタ濃度およ
びハイライト濃度に関する制御ルールを示すことにな
る。以上の処理により、この例における初期設定処理が
終了する。
【0136】装置の稼働時については、以下では、上記
のように初期設定の制御ルールが決まった状態で、翌日
から実稼働の制御を開始した場合を想定する。
【0137】まず、画像形成装置に電源が投入される
と、自動的にセットアップ動作が実行され、バナーシー
トが出力される。このときの操作量設定値としては、例
えば、前日の最終画像出力時の各設定値を、そのまま今
回の1組目の設定値として、これに対して、例えば、ス
コロ設定値については+20,−30を加算し、LP設
定値については+10,+20を加算したものを、2組
目、3組目の設定値として採用する。
【0138】例えば、前回のスコロ設定値およびLP設
定値が、図16において今回の設定値として示すように
(76,98)であったとすると、今回のスコロ設定値
およびLP設定値は、1組目を(76,98)、2組目
を(96,108)、3組目を(46,118)とす
る。この処理は、操作量補正演算器24において実行さ
れる。
【0139】これによって、バナーシートB上に3組の
ベタ濃度パッチa1およびハイライト濃度パッチa2が
形成され、それらの濃度が光学センサ10によって測定
される。そして、その3組のベタ濃度パッチa1および
ハイライト濃度パッチa2の光学センサ10による測定
濃度値が、図16において×印を付して示すように、制
御事例空間内にプロットされ、記憶されている制御事例
に対応する今回の制御内容が認識される。
【0140】このプロットは、制御ルール検索器45が
行う。すなわち、制御ルール検索器45は、光学センサ
10から分配器44を通じて転送される今回の3組の測
定濃度値を、操作量メモリ22から転送される3通りの
スコロ設定値およびLP設定値に基づいて、制御ルール
メモリ49内に記憶されている初期設定時の制御事例平
面にプロットする。
【0141】ところで、制御事例平面とは、ある状態の
もとで、ある設定をしたときの出力値をプロットして作
られたものであり、したがって状態になんらかの変化が
生じて、同じ設定をしても出力値が異なるようになれ
ば、当然、変化が生じる前の状態における制御事例平面
とは一致しなくなる。
【0142】すなわち、上記の例のように、今回のセッ
トアップ時の制御内容が、昨日の立上げ時に作成した制
御事例平面上に「実効上、距離を隔てることなく」プロ
ットされた場合というのは、温度や湿度や経時的変化の
度合いなど、電子写真プロセスが影響を受けるすべての
要因の影響が、立上げ時と今回とで、事実上同程度であ
るとみなせることを意味している。ここで、「実効上、
距離を隔てることなく」とは、制御事例平面上に一致し
ているとみなして制御した結果、実際に出力された画像
濃度と目標濃度との差が、許容誤差量を超えない場合を
いう。
【0143】次に、濃度調整ダイヤル41でユーザによ
って設定された目標濃度が、光学センサ10の出力に換
算した値に変換されて、上記の制御事例空間内に目標濃
度平面として設定される。
【0144】すなわち、濃度調整ダイヤル41の目標濃
度設定値が、変換器42によって光学センサ10の出力
に換算した値に変換され、その出力変換値が、制御量目
標値メモリ21に書き込まれた後、制御量目標値メモリ
21から読み出されて、制御ルール検索器45に転送さ
れる。
【0145】そして、制御ルール検索器45は、その目
標濃度値を、制御事例空間内に、スコロ設定値軸とLP
設定値軸とで形成される平面に平行な目標濃度平面とし
て記述し、制御ルールメモリ49から読み出したベタ事
例平面BPおよびハイライト事例平面HPに重ね合わせ
る。
【0146】これによって、制御事例空間は、図16に
示すように、ベタ事例平面BP、ハイライト事例平面H
P、ベタ目標濃度平面BTP、およびハイライト目標濃
度平面HTPが形成されるとともに、そこに上述したセ
ットアップ時の制御内容がプロットされたものとなる。
【0147】図16から明らかなように、ベタ濃度につ
いては、ベタ事例平面BPとベタ目標濃度平面BTPが
交差するベタ目標実現ラインBTL上に今回の制御内容
がプロットされていれば、ベタ目標濃度が実現できてい
ることになる。今回の制御内容がベタ目標実現ラインB
TL上にない場合には、各設定値を補正して、ベタ目標
実現ラインBTL上にプロットされるような組み合わせ
を選べば、次回の画像出力にはベタ目標濃度を実現でき
ると予測することができる。
【0148】同様に、ハイライト濃度についても、ハイ
ライト事例平面HPとハイライト目標濃度平面HTPが
交差するハイライト目標実現ラインHTL上にプロット
されるような各設定値の組み合わせを選べば、次回の画
像出力時にはハイライト目標濃度を実現できると推論す
ることができる。
【0149】したがって、ベタ濃度とハイライト濃度の
両方を、それぞれ同時に目標濃度にするように制御する
ためには、ベタ目標実現ラインBTLおよびハイライト
目標実現ラインHTLを、スコロ設定値軸とLP設定値
軸とで形成される平面に射影して、その交点のスコロ設
定値およびLP設定値を採用すればよい。
【0150】図16の例の場合、次回はスコロ設定値お
よびLP設定値を(115、128)に修正して設定す
れば、ベタ濃度とハイライト濃度の両方を、それぞれ同
時に目標濃度にできることがわかる。このようにして、
セットアップデータから、ベタ濃度およびハイライト濃
度を目標濃度にするための次回のスコロ設定値およびL
P設定値を決定することができる。
【0151】この次回の操作量設定値の算出は、操作量
補正演算器24が行い、その演算結果を操作量メモリ2
2に転送する。その結果、操作量メモリ22からは、新
たなスコロ設定値およびLP設定値に対応する信号が出
力され、グリッド電源17および光量コントローラ16
に供給される。以後同様にして、目標濃度を実現するた
めの最適なLP設定値およびスコロ設定値が設定され、
画像濃度の的確な制御がなされる。
【0152】(実施例2におけるクラスタの生成)実施
例2では、基本的には、以上のようにして目標濃度を実
現することができる。しかし、実際上は、常に、その稼
働時点の制御内容が、ベタ事例平面BP上およびハイラ
イト事例平面HP上に「実効上、距離を隔てることな
く」プロットされるとは限らない。すなわち、温度や湿
度が変化し、または経時劣化が進むと、トナー帯電量や
感光体の帯電特性が変化するため、スコロトロン帯電器
3のグリッド電源17の電圧およびレーザ出力部1のレ
ーザパワーが同一であっても、濃度が大幅に異なってし
まう。例えば、高温多湿時には濃度が高い方にずれ、低
温低湿時には濃度が低い方にずれてしまう。
【0153】すなわち、制御時点の温度や湿度、経時劣
化の度合いなどが、すでに採取・記憶されている制御事
例群と、ある程度以上異なっていると、既存のベタ事例
平面およびハイライト事例平面から大きく離れた座標空
間上にプロットされてしまうことになる。
【0154】このような場合、ある一つの制御事例平面
を、そのまま今回の制御ルールとして用いると、推論の
誤差が大きくなる。なぜなら、上記のように物理的に画
像濃度再現メカニズムが影響を受けており、制御事例平
面が変化しているからである。
【0155】そこで、実施例2では、状態が変化した場
合の制御事例群を追加して記憶し、新たな状態に適合し
た制御事例群からなる新たな制御事例平面を作成してい
く。これによって、制御事例平面は、立上げ時の一面の
みの状態から、必要に応じて順次増加していく。すなわ
ち、Aという状態下での制御事例群、Bという別の状態
下での制御事例群、……というようにである。実施例2
では、これらを、それぞれクラスタと称する。すなわ
ち、クラスタA、クラスタB、というようにである。
【0156】制御事例群を追加するか否かの判断は、制
御動作が実行された後に作成されたバナーシート上のパ
ッチを用いて制御結果の良否を判断し、その判断結果に
基づいて行われる。
【0157】具体的には、目標濃度とバナーシート上の
一組目のベタ濃度パッチおよびハイライト濃度パッチと
の濃度差を検出し、その濃度差が許容範囲内にあるか否
かを判定する。この例では、ベタ濃度の許容誤差は、色
差ΔEが3以内、ハイライト濃度の許容誤差は、色差Δ
Eが1以内とされる。ただし、この値は、画像形成装置
の目標精度に応じて任意に決定することができる。
【0158】そして、ベタ濃度およびハイライト濃度の
両方が許容誤差以内であれば、上述したように、そのま
ま次回の制御動作に入るが、ベタ濃度およびハイライト
濃度のうちのいずれか一方でも許容誤差を超えるような
大きな誤差があった場合には、その内容、すなわ制御事
例を、制御事例メモリ46に追加して記憶する。
【0159】この追加記憶は、次のようにして行われ
る。すなわち、上述したように、図13の制御部20の
濃度コンパレータ43は、光学センサ10の読み取り値
を、制御量目標値メモリ21の出力の目標濃度値と比較
して、両者の差が制御量目標値メモリ21に記憶されて
いる許容誤差を超えるときには、光学センサ10の出力
信号を、分配器44を通じて制御事例メモリ46に供給
する。
【0160】制御事例メモリ46は、その新たに供給さ
れた光学センサ10の読み取り値を制御量とし、そのと
きのクロックタイマ29から得た事例の発生時刻を状態
量とし、そのときのスコロ設定値およびLP設定値を操
作量として、これら制御量、状態量および操作量を組に
して記憶する。
【0161】そして、状態量コンパレータ47は、その
制御事例メモリ46に新たに書き込まれた事例に基づ
き、最新クラスタと事例発生時刻を比較し、状態が類似
しているか否かを判断する。すなわち、制御事例群であ
る最新クラスタ内の制御事例の時刻情報と、制御事例メ
モリ46に新たに書き込まれた制御事例の時刻情報とを
比較し、両者の時刻が所定の時間以内であれば、状態が
類似していると判断し、所定の時間を超えて離れていれ
ば、状態は類似していないと判断する。
【0162】そして、状態が類似していると判断した場
合には、状態量コンパレータ47は、最新クラスタにつ
き制御事例を追加すべく、クラスタメモリ48に書き込
む。このとき、制御ルール演算器23は、新たに追加さ
れた制御事例を包含するような事例平面を算出し、当該
平面を示す係数を制御ルールメモリ49に転送する。
【0163】ここで、制御事例が増えた場合の制御ルー
ルの補正方法を示す。上述したように、制御対象数をN
とすると、その制御のためには、N+1次元空間のN次
元平面が必要であり、また、これを一義的に決定するた
めには、N+1個のデータ点が必要である。そのため、
実施例2においては、初期設定において3組の制御事例
が必要であった。このことは逆に、データ点がN+2以
上であれば、統計的には、より信頼性の高い制御事例群
が得られることを意味する。
【0164】そこで、制御ルール演算器23は、追加さ
れた制御事例と、それ以前に記憶されていた制御事例を
用いて、すなわちN+2以上のデータを用いて、最小二
乗誤差法などの計算方法によって平面を決定する。もち
ろん、最小二乗誤差法に限る必要はなく、平均法などの
他の計算方法を用いることもできる。要するに、制御事
例に基づいてN次元平面を設定できれば、その他の方法
を用いてもよい。
【0165】状態量コンパレータ47は、状態が類似し
ていないと判断した場合には、新規クラスタを作成して
分類する。この新規クラスタは、クラスタメモリ48に
転送されて、制御ルール演算器23により、新たな制御
ルール(平面)が演算される。
【0166】なお、制御ルールメモリ49は、制御ルー
ル演算器23によって算出された平面を示す式の係数だ
けを記憶するようにされて、記憶容量の増大化が抑制さ
れる。
【0167】(実施例2におけるクラスタを複合して用
いる制御…図17)上述したことから明らかなように、
実施例2では、画像形成装置をさまざまな状態下で稼働
すると、さまざまなクラスタが作成されることになる。
しかし、状態が変わったときに、必ずしも新たな制御事
例を追加記憶して新たなクラスタを作成しなければなら
ないものではない。
【0168】例えば、温度が高い場合のクラスタと低い
場合のクラスタがすでにある場合で、湿度など他の条件
が実質的に変わらず、温度だけが中温となって、装置を
中温下で稼働するときには、新たなクラスタを作成しな
くても、高温用クラスタと低温用クラスタを組み合わせ
て用いるだけで、十分な制御精度が得られる場合が多
い。
【0169】そのため、このような場合には、現在の制
御内容と複数の制御事例平面からの距離に基づいて、現
在の制御内容がその面内に含まれるような新たな平面を
構築し、その平面を現状に適合した制御事例平面と見な
すような制御を行う。
【0170】図17によって示すと、同図は、クラスタ
Aのベタ事例平面A・BPとクラスタBのベタ事例平面
B・BPが形成されている場合で、新たにプロットされ
た点B5は、いずれの平面上にも位置していない。この
とき、座標空間上で現在の制御内容を示す点、すなわち
点B5と、それぞれのベタ事例平面A・BP,B・BP
との間の距離を計算し、さらに、それぞれの距離の逆数
を求めて、それを規格化する。
【0171】すなわち、それぞれの距離の逆数を合計し
たものが1となるように、それぞれの距離の逆数を規格
化し、その規格化された逆数を適合度と定義すると、そ
の適合度によって、それぞれのベタ事例平面A・BP,
B・BPの各座標軸方向の傾きを重み付けして合計す
る。そして、その合計した量を、現状に適合する新たな
制御事例平面C・BPの各座標軸方向の傾きとし、さら
に現在の制御内容、すなわち点B5が、その新たな制御
事例平面C・BP上に含まれるように、その新たな制御
事例平面C・BPの高さ(濃度軸方向の切片)を調整す
る。
【0172】このような処理は、適合度がほぼ100%
とみなせる制御事例平面が検索できなかった場合に行わ
れる。適合度がほぼ100%の場合とは、新たにプロッ
トされる点が、上述したように「制御平面上に実効上、
距離を隔てることなくプロットされる場合」と同義であ
る。
【0173】以上の処理は、制御ルール検索器45にお
いて行われる。すなわち、制御ルール検索器45は、ま
ず、操作量メモリ22から供給されるスコロ設定値およ
びLP設定値と、光学センサ10から分配器44を通じ
て供給される測定濃度値とに対応する点を、座標空間上
にプロットし、次いで、制御ルールメモリ49に記憶さ
れている各クラスタの制御平面を順次読み出して、新た
にプロットした点との間の距離を求める。ただし、ここ
でいう「距離」とは、操作量を制御ルールの式に代入し
て得られる計算上の制御量と、実測された制御量との差
であり、必ずしも面と点との間の最短距離ではない場合
がある。
【0174】そして、制御ルール検索器45は、このよ
うにして求めた距離から上記の適合度を算出して、その
適合度に応じて各事例平面の各座標軸方向の傾きを重み
付けして合計する。さらに、その合計された各座標軸方
向の傾きを持つ平面を新たな制御事例平面とし、新たに
プロットした点が、その面上に位置するように、新たな
制御事例平面の高さ(濃度軸方向の切片)を調整する。
【0175】そして、制御ルール検索器45は、以上の
ようにして作成した新たな制御事例平面を用いて、図1
6で示した場合と同様の手順によって、次回のスコロ設
定値およびLP設定値を求める。
【0176】なお、立上げ直後や、稼働時間または画像
形成回数が少ない画像形成装置では、当然、制御事例平
面は立上げ時に作成した一面だけしか存在していない
が、この場合も、この例では、複数の制御事例平面が存
在する場合と全く同一に取り扱うことができる。
【0177】すなわち、制御事例平面が立上げ時に作成
した一面だけしか存在していない場合には、その面の適
合度が1(100%)になるため、面の傾きは変化させ
ずに、現在の制御内容が面内に含まれる位置まで、立上
げ時に作成した制御事例平面を濃度軸方向に平行移動し
たものを、今回使用する制御事例平面とする。
【0178】一方、過去の制御事例だけでは、たとえ上
述したように適合度を用いて新たな制御事例平面を仮想
的に構築しても十分ではなく、現時点における実際の制
御事例を採取して制御ルールの改良を行わなければ、次
回以降の制御精度も不十分であると予測される場合、す
なわち濃度コンパレータ43で光学センサ10の読み取
り値と目標濃度値との差が許容誤差を超えると判断され
た場合には、上述したように新たなクラスタを作成す
る。
【0179】(実施例2の効果)実施例2によれば、わ
ずか1枚のバナーシートを出力するだけで、装置の立上
げ、すなわち初期設定をすることができる。すなわち、
装置立上げのための特別な技術や装置などを必要としな
い。
【0180】しかも、バナーシート作成時の事例がたま
たま目標濃度から大きくずれていても、その後の制御性
能に全く悪影響を及ぼさない。画像形成装置自身が常に
必要に応じて新しいクラスタ、すなわち新しい状態に合
致した制御ルールを抽出するからである。
【0181】これを従来技術と比較すると、例えば、従
来のニューラルネットワークによる制御ルールの学習で
は、学習させる教師データとして最適なものが用意され
ていないと、ニューラルネットワークの推論性能が損な
われ、しかも自動的には追加学習や再学習が行われない
ため、十分な制御性能が得られない。また、ファジー推
論を用いる従来技術では、技術者による試行錯誤のチュ
ーニングが最適に行われなければ、十分な制御性能が得
られない。したがって、実施例2の効果は極めて大であ
る。
【0182】さらに、実施例2によれば、画像形成装置
が今までに経験したことのない状態に初めて出会って
も、わずか1枚のバナーシートのプリントを行うだけ
で、その環境に適合する新たな制御ルールを抽出するこ
とができ、しかも、それ以後に同様の環境条件に出会っ
た場合には、即座に精度よく制御を行うことができる。
したがって、事前のデータ採取を行うことなく、経時的
変動に対応することができる。すなわち、経時的な変化
が発生しても、常にその変化した状況に追従し続けるこ
とができるようになる。
【0183】そのため、従来であれば、何万ないし何十
万も実際にプリントを行って、経時的変動についての事
前のデータ採取を行わなければならなかったような、膨
大な開発作業が全く不要となる。
【0184】さらに、従来では、そのように採取した経
時的変動についてのデータも、画像形成装置の一台ごと
の機差のために、必ずしもすべての装置に有効ではない
という問題や、メーカが想定していなかったような状況
下でユーザが装置を使用したために、予測した経時的変
化とは異なる変化が発生して、制御ルールが不適当にな
り、画像濃度を所望濃度に制御できないという問題があ
ったが、実施例2によれば、事前のデータ採取や機差に
つき特別の処置を全く必要としないで、どのようなユー
ザ環境においても、一台一台の装置に完全に個別に対応
して、経時変化による濃度変動を解消することができ
る。
【0185】そのため、感光体や現像剤など、画像濃度
に重大な影響を及ぼす要素部品を交換した場合でも、わ
ずか1枚のバナーシートのプリントを行うだけで、自動
的に新しい要素部品に対応して所望の画像濃度を得るこ
とができる。従来、部品交換時にはサービスエンジニア
などが調整を行っていたが、実施例2によれば、このよ
うな特別の調整が不要となり、その面での費用を削減す
ることができる。
【0186】さらに、実施例2においては、マニュアル
により基準パターンを作成するモードが設けられるの
で、従来、もっぱら自動的に行われる制御を、ユーザの
判断や希望に応じて任意の時に行わせることができる。
【0187】(実施例2についての変形例)基準パター
ンとしては、ベタ(網点カバレッジ100%)濃度パッ
チとハイライト(網点カバレッジ20%)濃度パッチの
2種類に限らず、例えば、網点カバレッジ50%に対応
する濃度パッチのみを用いてもよく、さらに多くの種類
の濃度パッチを用いて、より多くの階調ポイントを制御
するようにしてもよい。ただし、各階調ポイントをそれ
ぞれ独立に制御する場合には、制御用パラメータの種類
を階調ポイント数に見合った数だけ用意する必要があ
る。
【0188】上記の例は、現像バイアスおよび現像ロー
ル回転数を固定する場合であるが、現像バイアスおよび
現像ロール回転数もベタ濃度およびハイライト濃度に対
して高い相関性を有するので、制御パラメータ、すなわ
ち操作量としては、スコロトロン帯電器グリッド電圧、
レーザパワー、現像バイアスおよび現像ロール回転数の
うちのいずれか2つを用いることができる。
【0189】または、スコロトロン帯電器グリッド電
圧、レーザパワー、現像バイアスおよび現像ロール回転
数のうちの3つを用いて、例えば、網点カバレッジが1
00%、50%、20%というような3つの階調ポイン
トを制御するようにしてもよい。
【0190】また、上記の例は、操作量を3通りに切り
換えて基準パターンを形成する場合であるが、操作量を
4通り以上に切り換えて基準パ夕一ンを形成してもよ
い。この場合、制御ルールは、各基準パターンの読み取
り座標点から、最小二乗誤差法によって、平面として抽
出することができ、これによれば、統計的に平均化する
ことによって、計測誤差などの影響を軽減することがで
きる。あるいは、制御ルールを、2次以上の曲面として
抽出してもよく、その場合には、ゼロプロセスの非線形
性に対して、より適合性が増加する。
【0191】さらに、基準パターンの数やサイズ、また
は操作量を変更する際の応答性などによっては、基準パ
ターンの組み合わせを、複数枚のバナーシートに分けて
出力してもよい。
【0192】上記の例は、単色の画像形成装置の場合で
あるが、実施例2は、例えば、イエロー、マゼン夕およ
びシアン、またはブラック、イエロー、マゼンタおよび
シアンのトナーを重ね合わせて出力画像を形成するカラ
ー画像形成装置に対しても、全く同様に適用することが
でき、同様の効果を得ることができる。また、アナログ
式の複写機に対しても、さらには電子写真方式の画像形
成装置に限らず、インクジェット方式などの画像形成装
置に対しても、適用することができる。
【0193】光学センサないし濃度測定手段としても、
例えば、CCDセンサなどを用いることができる。
【0194】また、上記の例は、画質に関する制御量が
画像の濃度の場合であるが、濃度に限らず、例えば、カ
ラー画像形成装置において、二次色以上の色を制御量と
してもよい。すなわち、例えば、イエロー、マゼンタお
よびシアン、またはブラック、イエロー、マゼンタおよ
びシアンの各色を、それぞれ網点カバレッジ40%とし
て重ね合わせたプロセスグレーの基準パッチを形成し、
これを色分解能を有する光学センサによって読み取るこ
とにより、グレーが色付くことを防ぐような制御を行う
ようにしてもよい。この場合の光学センサとしても、色
分解能を有するものであれば、例えば、カラーCCDセ
ンサなどを用いることができる。
【0195】〔実施例3…図18〜図22〕次に、請求
項3の発明の一例を、実施例3として、図18〜図22
を用いて示す。
【0196】上述した実施例2では、画質制御用の基準
パターンがバナーシート上に定着画像として形成される
のに対して、実施例3では、画質制御用の基準パターン
が感光体上に未定着画像として形成される。その他の点
は、実施例2と基本的に同じである。
【0197】(実施例3の画像出力部…図18)図18
は、実施例3の画像形成装置の画像出力部の概要を示
す。図では省略した画像入力部および画像処理部は、実
施例2と同様である。そして、画像出力部110は、図
10に示した実施例2では、バナーシート上の定着画像
の濃度を測定する光学センサ10が設けられるのに対し
て、この実施例3では、感光体2上の未定着画像の濃度
を測定する現像濃度センサ19が設けられる。画像出力
部110のその他の構成および機能は、実施例2と同じ
である。
【0198】現像濃度センサ19は、図19に示す感光
体2の画像エリア2a以外の空きエリア2bに未定着ト
ナー像として形成される基準パターンの現像パッチの濃
度を測定するもので、例えば、感光体2上に光を照射す
るLED照射部と、感光体2からの正反射光または拡散
光を受光する受光素子とによって構成される。
【0199】(実施例3の基準パターン作成機構および
そのモニタ機構…図20、図21)図20に示すよう
に、この例でも、基準パターンとしては、例えば、ベタ
(網点カバレッジ100%)濃度パッチa1とハイライ
ト(網点カバレッジ20%)濃度パッチa2の2種類が
用いられる。
【0200】これらベタ濃度パッチa1およびハイライ
ト濃度パッチa2は、いずれも2〜3cm角程度の大き
さに設定され、図19に示した感光体2の画像エリア2
aに出力画像の静電潜像が形成された後において、後述
するように2種類の操作量が3通りに切り替えられつ
つ、感光体2の空きエリア2bのラインL2上の位置に
形成される。
【0201】そして、現像濃度センサ19からは、その
出力信号として、図21に示すように、原稿上の画像に
応じた信号に続いて、3通りのベタ濃度パッチa1およ
びハイライト濃度パッチa2に対応した信号が得られ
る。
【0202】ベタ濃度パッチa1およびハイライト濃度
パッチa2は、感光体2の空きエリア2bに形成される
ので、図18に示した現像器6によりトナー像に変換さ
れて、上記のように現像濃度センサ19により測定され
た後には、用紙上に転写定着されることなく、クリーナ
4を通過する際に消去される。
【0203】(実施例3の制御部…図22)図22は、
画像出力部110の、スコロトロン帯電器3のグリッド
電源17の電圧およびレーザ出力部1のレーザ光の出力
パワーを制御する制御部を示し、図13に示した実施例
2のそれの光学センサ10が現像濃度センサ19に変え
られた点を除いて、実施例2のそれと同じである。
【0204】(実施例3の動作)実施例2では、画質制
御用の基準パターンがバナーシートB上に定着画像とし
て形成されて、光学センサ10により測定されるのに対
して、実施例3では、画質制御用の基準パターンが感光
体2上に未定着画像として形成されて、現像濃度センサ
19により測定される点を除いて、初期設定処理(機能
の立ち上げ処理)、稼働時の基本的動作、クラスタの生
成、およびクラスタを複合して用いる制御の、いずれに
ついても、実施例2のそれと同じである。
【0205】(実施例3の効果)未定着トナー像は、ユ
ーザが最終的に手にする定着画像に対して相関性が高い
とともに、クリーナにより容易に除去することができ
る。実施例3によれば、画質制御用の基準パターンとし
て、このような未定着トナー像を用いるので、高精度の
画質制御を行うことができるとともに、画質制御用にバ
ナーシートなどの用紙を必要とせず、ランニングコスト
を低減させることができる。その他、実施例3について
も、上述した実施例2と同様の効果が得られる。
【0206】(実施例3の変形例)上記の例は、基準パ
ターン形成時、操作量設定値をN+1通りに切り換えつ
つ毎回パッチを形成する場合であるが、最適な操作量設
定値を推論して制御を行った結果、制御量のうちの一つ
以上の誤差が許容差を越えて大きくなった場合に、自動
的に基準パターンを形成するモードを設けてもよい。こ
の場合、画像出力後に形成するモニタ用パッチは、画像
出力時の設定値のままでよく、パッチ形成個数を減少さ
せることができ、消耗品の消費を抑えることが可能とな
る。そして、このモニタ用パッチのうちの一つ以上の誤
差が許容差を越えて大きくなった場合に、残りN回の操
作量設定値の切り換えによるパッチ形成を行うようにす
る。
【0207】その他、実施例3についても、上述した実
施例2と同様の変形を行うことができる。
【0208】
【発明の効果】上述したように、この発明によれば、機
差や環境変化、経時劣化や部品交換などのさまざまな画
質変化要因に対して、高精度の画質制御を自動的に行う
ことができる。そのため、ユーザやサービスマンの手を
煩わしたり、画像形成装置としての生産性を犠牲にする
ことなく、高画質の出力画像を常に得ることが可能とな
る。また、技術者が事前にさまざまな環境条件や経時劣
化などの把握をしなくても、精度のよい制御を自動的に
行うことができるので、装置の開発工数を大幅に低減す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の画像形成装置の第1の例の原理的構
成を示す図である。
【図2】第1の例の画像出力部の概略を示す図である。
【図3】第1の例の光学センサを示す図である。
【図4】第1の例の基準パターンを示す図である。
【図5】第1の例の光学センサの出力信号を示す図であ
る。
【図6】第1の例の制御部を示す図である。
【図7】第1の例の制御動作を示すフローチャートであ
る。
【図8】第1の例の制御ルール学習の動作の説明に供す
る図である。
【図9】第1の例の操作量決定の動作の説明に供する図
である。
【図10】この発明の画像形成装置の第2の例の画像出
力部の概略を示す図である。
【図11】第2の例の基準パターンを示す図である。
【図12】第2の例の光学センサの出力信号を示す図で
ある。
【図13】第2の例の制御部を示す図である。
【図14】第2の例の状態量、操作量および制御量の説
明に供する図である。
【図15】第2の例の装置立ち上げ時の事例平面を示す
図である。
【図16】第2の例の濃度制御のための推論方法の説明
に供する図である。
【図17】第2の例において過去の複数のクラスタから
適合度を用いて新たなクラスタを作成する様子を示す図
である。
【図18】この発明の画像形成装置の第3の例の画像出
力部の概略を示す図である。
【図19】第3の例の基準パターン形成位置を示す図で
ある。
【図20】第3の例の基準パターンを示す図である。
【図21】第3の例の現像濃度センサの出力信号を示す
図である。
【図22】第3の例の制御部を示す図である。
【符号の説明】
110 画像出力部 1 レーザ出力部 2 感光体 3 スコロトロン帯電器 6 現像器 8 定着器 10 光学センサ 19 現像濃度センサ 20 制御部 30 基準パターン信号発生器

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】画質に関する制御量が目標値になるように
    操作量を制御する画像形成装置において、 前記制御量の目標値を設定する制御量目標値設定手段
    と、 前記操作量の設定値を切り替える操作量設定値切替手段
    と、 前記制御量に対応した画質制御用の基準パターンを発生
    する基準パターン発生手段と、 前記制御量の種類数をN(Nは正の整数)とするとき、
    前記操作量設定値切替手段によって、少なくともN種類
    の操作量を、それぞれN+m(mは正の整数)通りの異
    なる設定値に切り替えつつ、前記基準パターン発生手段
    からの基準パターンを記録媒体上に記録する基準パター
    ン記録手段と、 この基準パターン記録手段によって記録された基準パタ
    ーンについての前記制御量を、最終画像形成工程後にオ
    ンラインで測定する制御量測定手段と、 前記N+m通りの操作量設定値と、前記制御量測定手段
    による制御量測定値とから、前記操作量と前記制御量と
    の対応関係を制御ルールとして作成する制御ルール作成
    手段と、 その得られた制御ルールに従って、前記制御量が前記制
    御量目標値設定手段によって設定された目標値になるよ
    うに、前記操作量を可変制御する操作量制御手段と、 を備える画像形成装置。
  2. 【請求項2】画質に関する制御量が目標値になるように
    操作量を制御する画像形成装置において、 前記制御量の目標値を設定する制御量目標値設定手段
    と、 前記操作量の設定値を切り替える操作量設定値切替手段
    と、 前記制御量に対応した画質制御用の基準パターンを発生
    する基準パターン発生手段と、 前記制御量の種類数をN(Nは正の整数)とするとき、
    前記操作量設定値切替手段によって、少なくともN種類
    の操作量を、それぞれN+m(mは正の整数)通りの異
    なる設定値に切り替えつつ、前記基準パターン発生手段
    からの基準パターンを記録媒体上に記録する基準パター
    ン記録手段と、 この基準パターン記録手段によって記録された基準パタ
    ーンについての前記制御量を、最終画像形成工程後にオ
    ンラインで測定する制御量測定手段と、 前記N+m通りの操作量設定値と、前記制御量測定手段
    による制御量測定値とから、画質制御のための制御ルー
    ルを学習する制御ルール学習手段と、 その学習された制御ルールに従って、前記操作量の最適
    値を推論する操作量最適値推論手段と、 を備える画像形成装置。
  3. 【請求項3】画質に関する制御量が目標値になるように
    操作量を制御する画像形成装置において、 前記制御量の目標値を設定する制御量目標値設定手段
    と、 前記操作量の設定値を切り替える操作量設定値切替手段
    と、 前記制御量に対応した画質制御用の基準パターンを発生
    する基準パターン発生手段と、 前記制御量の種類数をN(Nは正の整数)とするとき、
    前記操作量設定値切替手段によって、少なくともN種類
    の操作量を、それぞれN+m(mは正の整数)通りの異
    なる設定値に切り替えつつ、前記基準パターン発生手段
    からの基準パターンを未定着画像として記録する基準パ
    ターン記録手段と、 この基準パターン記録手段によって記録された未定着画
    像の基準パターンについての前記制御量を、オンライン
    で測定する制御量測定手段と、 前記N+m通りの操作量設定値と、前記制御量測定手段
    による制御量測定値とから、画質制御のための制御ルー
    ルを学習する制御ルール学習手段と、 その学習された制御ルールに従って、前記操作量の最適
    値を推論する操作量最適値推論手段と、 を備える画像形成装置。
  4. 【請求項4】請求項1または2の画像形成装置におい
    て、 前記記録媒体がバナーシートであることを特徴とする画
    像形成装置。
  5. 【請求項5】請求項1,2または3の画像形成装置にお
    いて、 前記N+m通りの操作量設定値に対応する基準パターン
    は、操作量設定値が切り替えられるごとに、同一のパタ
    ーンが、N+m回、またはその整数倍の回数だけ繰り返
    されることを特徴とする画像形成装置。
  6. 【請求項6】請求項1,2または3の画像形成装置にお
    いて、 当該画像形成装置は、電子写真方式で、前記操作量とし
    て、帯電量、露光量、現像バイアス電圧、現像ロール回
    転数およびトナー供給係数のうちの少なくともいずれか
    一つを含むことを特徴とする画像形成装置。
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