JPH10512678A - ハンドヘルド赤外線分光計 - Google Patents

ハンドヘルド赤外線分光計

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Abstract

(57)【要約】 本ハンドヘルド装置は、試料Mを反射赤外線により測定して試料の材料を識別する。装置は内蔵式ポータブルユニットとして手持式ハウジング10内に組付けられる。ハウジング10は、窓15と、窓15に近接のベンチ100に設けた光学部品とを備え、装置を試料Mに直接置くと、光学部品は試料Mに対して直線状に整列する。光学部品は、掃引周波数により狭帯域IRを通過させる超音波光学チューナブルフィルター(AOFT)120に投光する広帯域IR光源110と、窓15を介して試料MにIRを集光させるレンズ130と、反射光を検出するためにハウジング10の窓15に整列させた反射検出器140とを備える。コンピュータ202は、ハウジング10に取付可能であり、検出した反射スペクトルを保存されたサンプルデータのスペクトル群と照合し、試料M又は試料Mの成分及びその比率を識別する。

Description

【発明の詳細な説明】 ハンドヘルド赤外線分光計 関連出願の相互参照 本出願は、1995(平成7)年8月31日出願の米国暫定出願第60/00 3,047号の権利を請求しており、かつ、この参照により前記出願の主題を組 み入れている。 発明の分野 本発明は、材料をその光学的反射スペクトル又は透過スペクトルに基づいて分 析するための装置に関するものである。 発明の背景 プラスチック或は他の多くの材料は、自己の赤外線(IR)反射スペクトル又 は透過スペクトルによって識別可能である。ナイロン、ポリエチレン等は、各自 が固有のIR特性スペクトルを有しているからである。例えば、プラスチックに 投射したほぼ一定強度のIRビームにより所定波長範囲に亘ってプラスチックを スキャンして、その反射又は透過光の強度を波長の関数として測定すれば、この 測定スペクトルによりプラスチックの種類を識別できる。 また、複数のプラスチック又は他の材料からなる混合物を定量的に分析するこ とも可能である。検査対象の試料からの反射スペクトル又は透過スペクトルから は、例えば、ナイロン50%とポリエチレン50%であるというようなことが求 められ、また、試料としてのガソリンからはオクタンの比率が測定でき、棒状チ ョコレートからは脂肪量等を測定することもできる。 従来、各種形態のIR分光計が公知であり、一例としては、回折格子或はFT IR技術を用いたものがある。この種のものは、嵩ばり、扱い憎く、測定に時間 がかかるため、プラスチックの迅速な識別には不適で、また、作業現場のように 離れた場所での使用や、手に持っての使用には適していない。 従来公知の別のIR分光計には、Levin らによる米国特許第 5,120,961号や、 Kemenyらによる米国特許第 4,883,963号や、Chang による米国特許第 4,052,121 号で開示されているような超音波光学チューナブルフィルター(Acousto-Optical Tunable Filter: AOTF)を用いたものがある。本願は、これらの特許を参照 することによりその全内容を引用している。超音波光学チューナブルフィルター (AOTF)は、電気的に同調させることのできる狭帯域フィルターとして作用 するTeO2(二酸化テルル)の結晶のような複屈折結晶に基づいており、前記結晶 における超音波圧縮波によって回折が得られる。 音波が前記結晶を通過すると、音波の通過と共に結晶内部の圧縮力または圧力 は変化して屈折率を周期的に変化させる。結晶の圧縮力が変化すると、結晶の入 射面及び射出面に対して垂直方向に結晶を透過する非偏光可視光ビーム又は赤外 線ビームの複屈折率も同じように変化する。ある音響波長を有する音が結晶内に あると、前記音響波長に比例する波長を備えた光又は赤外線を透過させる光学フ ィルターとして結晶は作用する。複屈折結晶は周波数選択式狭帯域光学フィルタ ーとして作用し、また、いかなる音響波長を有する音であっても結晶を透過でき るので、音響励振器(driver)の周波数を変化させるだけで所望の可視波長又は赤 外線波長でを自由に選択することができる。 音響励振器は圧電型(石英又はリチウムニオブ酸化物:LiNbo)の第2の結晶で あり、これは音響トランスデューサーである。このような圧電結晶は、無線周波 域下においては寸法が変化する。 圧電性のLiNoに結合された複屈折性のTeO2は、LiNoが複屈折結晶に対して平行 の面を横切るように正弦波のAC電圧を印加された状態であると、周波数掃引光 学フィルターとして作用する。圧電結晶の両面に印加されたAC電圧が20〜1 00MHz の高い無線周波数(RF)であると、音響波長は赤外線(IR)の波長 に一致する(1MHz は百万サイクル/秒)。印加電圧は、発生させる周波数を決 めるソフトウェアアルゴリズムにより制御されるデジタル合成器(synthesizer) によって得ることができ、この合成器は、順次スキャンができ、また、ランダム アクセスでホップすることもできる。 結晶内を(複屈折結晶と圧電結晶との間の接合面に対して平行に)透過する広 帯域スペクトルの(例えばハロゲンランプからの)白色光は、圧電結晶内の音の 音響周波数と一致する単一の光学的周波数を備えたビームとして出力される。A OTFフィルターにより選択される代表的IR波長は、1〜3μm(近赤外線) または2〜5μm(中間赤外線)である。 同調した赤外線ビームは、試料で反射するか試料を透過して、試料のスペクト ルとして測定され、試料が識別される。プラスチックや他の材料からなる試料を 識別するために、光の周波数掃引ビームを未測定材料の表面に照射すると、材料 は照射された光の異なる割合を様々な周波数ごとに反射する。反射光の検出には 光検出器(photodetector)が使用でき、光検出器で反射光を電気的な信号に変換 する。IR又は光の周波数における材料の反射パターンは、電子回路によりプロ ットでき、このパターンを、様々な材料に対応する既知のパターンと照合して材 料を識別する。 IR分光計は、様々な割合の成分を含んだ試料を識別するために回路を調整す ると、試料の成分比率を測定することができる。この割合はベール(Beer)の法則 によって求めることも可能である。 回折格子やFTIRを用いた他の分光計測装置等と比較すると、AOTF分光 計は、可動部分がなく、波長の同調が早く、小型であるという利点を備えている が、反面、従来のAOTF分光計は、相当にかさばる重たい電子機器と光学モジ ュールとから構成されていたので、携帯性に乏しく手に持って使用することがで きないばかりか高価でもあった。更に、もともと遠く離れた場所にある試料を測 定するためには、計測装置と試料との間を光を伝達させる光ファイバーを用いて 繋げる必要があった。 また、従来のAOTFシステムでは、AOTFから放出されたIRは、1本の 光ファイバー又は光ファイバーの束に送り込まれ伝送されるが、伝送においては かなりの損失を伴い、特に、長いIR波長において相当の損失を伴う(光ファイ バーは可視光線ならわずかな減衰で伝送することができるがIRは相当に吸収さ れる)。IRが伝達されるファイバー又はその束の端部は、材料の近傍に配置さ れ、反射光は集光用の他のファイバー束によって取り込まれて光検出器に伝送さ れる。 光ファイバーによると、簡単にその光放射端部を所望の位置に配備できるが、 IRの伝送においては、前記課題の他にも多くの課題が認められる。第1に、光 ファイバーは高価であり、第2に、光ファイバーは折れ易く、第3に、ランプや AOTFのような光源の光をファイバーに取り入れる際の効率が悪く、利用可能 な光のうちわずかな部分しか光ファイバーには伝わらない。また、光ファイバー はきわめて細く、伝送された光は光ファイバーの端部から広範囲に広がって分散 するので、ファイバー束の端部を検査材料の表面にほとんど接触するように配置 したとしても更に多くの光が失われる。 前記ように光ファイバーは損失が大きいので、AOTFの正面には非常に明る い50〜100Wのランプを設ける必要がある。しかし、ワット数の大きなラン プは、一般的に冷却ファンを必要とし、大きなワット数のランプと冷却ファンと で、必要な電源は大型になる。また、大型の電源には放熱フィンプレート又はフ ァンが必要となり、これにより、更に多くの電力を浪費し、装置の寸法と容積は 更に大きくなる。更に、装置のフレーム又はハウジングは、これらの付加的な部 品を支持するためにより大きくて重たいものとなり、価格は増加して携帯性は減 少する。 従来技術によるAOTF分光計は、前記のようにどうすることもできない寸法 と制限された重量とで制約されている。ランプやAOTFのユニットは、その嵩 張りにより、試料に近接させることが難しいので、光ファイバーを使用してユニ ットから試料にIRを伝達することになる。しかし、光ファイバーではエネルギ ーが減衰するので、ユニットのハウジングは大きく重たいものになってしまう。 この分野における従来の当業者は、この寸法と重量の課題について根本的原因を 認識していなかったので、携帯性のあるAOTF分光計を実現できなかった。 また、従来のAOTF分光計の関連する課題として、RF電力が独立したハウ ジング内に置かれた電力増幅器から同軸ケーブルを経由して圧電結晶に送られて いることが挙げられる。この構成では、ケーブルでの減衰と、RF増幅器のケー ブルに対するインピーダンス整合及びケーブルの結晶に対するインピーダンス整 合による損失とによって、電気エネルギーが消耗される(ケーブルは、一般的に は、約50オームのインピーダンスを有するが、圧電結晶のインピーダンスはと ても低くいとともに周波数によって変化する)。 更に、従来のAOTF分光計は、AOTF結晶に必要以上の大きなRF電力を 与えていた。 大きすぎるRF電力と、光ファイバー及び同軸ケーブルの双方を用いることに よる電力消費は、バッテリーパワーに対して過大な負荷となるため、電源には、 AC120ボルトが用いられ、そのためAC120ボルトの変圧回路が必要とな り、また、電源コード及びプラグも必要となる。したがって、ユニットの搬送及 び使用がさらに困難となる。 分光計の技術分野における通常の知識を有する者は、上記電力消費を取り除く ことにより手で持てる携帯性を実現することはできなかった。この分野における 従来の技術者は、分離独立した部品によって生じるエネルギー消耗が、AOTF 分光計の携帯性を妨げている主要な課題であることを明らかに認識していなかっ た。彼らは、検出器とRF増幅器とを別々のハウジングに納め、これらを、かさ ばって電力損失の原因となる同軸ケーブルによって接続していた。また、AOT F結晶及びランプは、携帯性を損なう別々のハウジングに配置した。更に、RF 増幅器を結晶と同じ筐体又はハウジングに納めると、RF電力を削減できること を彼らは理解していなかった。 発明の概要 よって、本発明は、特に、前記従来技術における課題を克服することを目的と したものである。 また、本発明の別の目的は、手に持てる携帯型のあるユニットとしての分光計 を提供することにある。 また、本発明の別の目的は、すべての光学的構成部材を光学的に整列させるこ とにより、携帯性のあるユニットを実現することにある。 また、本発明の別の目的は、構成部材を互いに隣接配置させることでケーブル や光ファイバーを削減して第1の目的を実現することにある。 また、本発明の別の目的は、AOTF分光計のユニット価格を下げることにあ る。 また、本発明の更に別の目的は、すべての構成部材をハウジングに収納させ、 ハウジングには、整列させた光学的構成部材の空間部材として動作する窓を設け ることにある。 このように、本発明は、試料分析をおこなう現場へ運ぶのに十分小型軽量であ って、携帯式の手に持てる(ハンドヘルド)AOTF分光計に関している。本発 明の分光計の利用の1つには、プラスチック廃棄物をリサイクルするために識別 することが例示できる。この場合、分光計装置はプラスチック廃棄物に接触させ ることができ、プラスチックを識別するためのスペクトルの測定が1秒以内で行 える。 前記ハンドヘルドAOTF分光計の筐体又はハウジングは、ビデオカメラの筐 体と略同じ大きさとなり、(光源と、AOTF結晶と、反射検出器とを備える) 小型光学ベンチと、(周波数合成器(synthesizer)と、A/D変換器と、検出器 プリアンプと、ノイズリダクション回路と、コンピュータインタフェースとを含 む)全ての電子機器を有する小型回路基板とを備えている。また、良好なインピ ーダンス整合及び低い消費電力を得るために、小型RF増幅器をAOTF結晶の 間近に配置している。前記『間近』とは、約5cmまたは約6cmぐらいを意味し、 好適には、単一ユニットのように互いが直接接することを意味する。反射検出器 は、一例として、数個の平坦な硫化鉛検出器を備え、硫化鉛検出器は、散乱反射 光を検出するために検査試料に対峙接面させる。コンピュータは内蔵又は装置の 外部に準備してもよい。オプションとして装置全体をバッテリー駆動にする。光 ファイバーを使用しないので、信号は大きくなり、装置は安価になる。 RF電力を約1ワットに抑制することで、消費電力の少ない小型RF電力増幅 器の使用が可能となり、また、小型RF電力増幅器は結晶122の隣に取付ける ことができるので、同軸ケーブルの使用が省ける。同軸ケーブルは必要な電力を さらに減少させる。これらによる駆動電力の抑制は、AOTFからの光信号を低 減させる。なぜなら、AOTFは、一般的に、最大効率に達するには1〜3ワッ トの電力を必要とするからである。 しかしながら、本出願人は、従来の技術者には知られていない事実、つまり、 駆動電力が減少すれば、ワット数の低い増幅器により(特に、検出器プリアンプ がRF増幅器の近傍に配置された場合)電磁波障害(EMI)が減少してノイズ レベルも減少することを発見した。このため、小型増幅器を用いたときのSN比 は、従来の大型増幅器による場合とほぼ同じに保て、装置の作動が妨げられるこ とはない。この意外に高いSN比こそRF増幅器をより小型にすることを可能に し、もってハンドヘルド分光計が可能になった。 本発明では、ほぼ半球形を呈する角錐型検出器を、変調されたIRビームが照 射される試料上の領域にほぼ直接隣接させ、集光効率を改善し、複数の検出器素 子(セル)は角錐内部に配置する。この構成は、1個の検出器素子に導かれる集 光用ファイバーにおいては不可能である。 更に、本発明では、周波数二倍器を用いることによって節電している。従来の 分光計では、AOTF圧電結晶を駆動するのに100MHz までの周波数発生器を 使用していたが、本発明では、電力消費の少ない50MHz 若しくはそれ以下の発 生器を使用し、50MHz の信号は周波数二倍器に導くようにしてある。しかし、 二倍器は高調波を発生し、この高調波により可視光線の領域にある光学的高調波 がAOTFを通過することになる。これが従来の技術者が二倍器を使用しなかっ た理由となる。そこで本発明においては、可視光線の通過は阻害しIRのみを通 過させる窓を用いている。光は試料で反射して検出器に到達する間に、窓を2回 通過し、これにより可視光線は大きく減衰して装置の動作を損なうことはなくな る。好適な周波数発生器はディジタル制御の合成器(synthesizer)であり、電圧 制御発振器(oscillator)よりも素早く、簡単に制御でき、かつ、きわめて良好な 安定性及び解像度を備えている。 試料のスペクトルが得られたら、コンピュータソフトウェアにより予め記憶し てある較正アルゴリズムを用いて測定スペクトルを分析し、試料の種類及び分量 を判定する。プラスチック等の識別結果は、例えば、リサイクルや品質管理のた めに、PVC又はポリスチレン等とコンピュータにより表示できる。 図面の簡単な説明 本発明の前記目的及び他の目的は、本発明の特徴と利点とともに、図面を参照 して以下の実施例の詳細な説明からより明白となる。 図1は、本発明の概略部分側面図である。 図2は、本発明の透視斜視図である。 図3は、ポリスチレンの光反射スペクトルを示すグラフ図である。 図4は、本発明の実施例の具体例の平面図である。 図5は、図4に示した具体例の正面図である。 好ましい実施例の詳細な説明 次の用語及びその意味は、この詳細な説明、および、請求の範囲の記載に適応 される。 『光(light)』は、光学的手段によって生成され、検出され、又は制御され得 る全ての電磁波を意味し、特に明記しない限り、赤外線(IR)、可視光、及び 紫外線(UV)が含まれる。 『角錐検出器(pyramid detector)』は、孔に隣接して配置された1個又は2個 以上の光/電気変換トランスデューサーを備えたあらゆる検出器を意味する。 『窓(window)』は、光ビームの通過を許容する不透明壁の開口、又は間隙を意 味する。 図1は、本発明によるハンドヘルド(手持ち型)AOTF分光計の内部を示し ており、未検査の材料又は試料Mの識別に使用される。前記分光計はプラスチッ ク成形の筐体又はハウジング10に収納され、前記ハウジング10には、窓15 と、トリガー17を備えたハンドル19と、前記ハンドル19内に設けられたバ ッテリーBのバッテリー室とが設けられる。前記窓15は、好適には、可視光に 対して不透明若しくは少なくとも部分的に不透明であるが、IRは透過させる。 前記ハウジング10は、ハンドルを含めてほぼハンドヘルド(手持ち型)ビデオ カメラと同じ大きさ及び外形を呈している。前記トリガー17により分光計ユニ ット、つまり、分光計の回路は給電され、測定する。トリガー17に代わって、 小さなソナー装置や、材料Mとの接触により作動する瞬間接触スイッチのような 近接センサー18を使用することも可能である。 前記ハウジング10の内部には、光学ベンチ100と、全システム電子機器を 備えた1つのプリント回路基板200とが設けられる。図では、分光計の装置に データの分析及び表示用のコンピュータ202が組み込まれているが、コンピュ ータ202は、シリアルポート又はパラレルポート232を介して接続すること により所望の外部に置くこともできる。また、オンボードのコンピュータ202 を、ポート232に接続した外部のコンピュータで支援することも可能である。 本装置では、電源コード(図示なし)を壁のコンセントに差し込むこともできる が、好適には、バッテリーBによる駆動とする。 光学モジュールは、前記ベンチ100に取付けられた数個の光学部品から構成 される。前記ベンチ100は、好適には、長さ約8インチ(約20.3cm)、幅約5 インチ(約12.7cm)で、例えばアルミニウム製の堅固なプレートであり、プラス チック製の前記ハウジング内に固定される。前記光学部品には、光源又はランプ 110(タングステン−ハロゲンランプ等)、AOTFの結晶及びケース120 、集束レンズ130、及び、反射検出器140が含まれ、これらは直線関係で配 置される。AOTF結晶は、好適にはTeO2(二酸化テルル)を備え、長さ約1イ ンチ(約2.5cm)、幅約0.5インチ(約1.3cm)である。AOTF120は、複屈折 性のTeO2結晶の片面に結合された、好適にはLiNoからなる圧電トランスデューサ ーを備えている。結晶122の間近には小型RF電力増幅器124を取付ける。 電力増幅器124は、20〜100MHz の周波数範囲において約1ワットのRF 電力を生成する。 前記ランプ110はビームを平行にするためにパラボラミラー112内に取付 けられる。前記ビームはAOTF結晶120内を通過して、約8mm×8mmの大き さの同調された狭帯域赤外線ビームとして出力され、レンズ130及び窓15を 通過して分析されるべき試料Mに至る。前記レンズ130は、前記ビームを試料 Mに集束させる。 前記光学ベンチの端部には前記反射検出器140が取付けられる。前記検出器 には、4個までの或はより多くの硫化鉛(PbS)又はセレン化鉛(PbSe)の平坦な検 出素子、つまりトランスデューサー145が設けられる。各トランスデューサー は、約10mm×10mmの大きさで、窓15を介して試料に対峙させる。トランス デューサーは、45度に傾斜した角錐又は円錐の内面に配置される。角錐又は円 錐の頂部には、光ビームを通過させる孔143が設けられる。角錐又は円錐の底 面側は試料に対峙させる。したがって、赤外線ビームは試料に投射されたら、そ こで散乱反射し、(図1の矢印で示された)散乱反射光は、検出素子145で検 出される。 図4は、搬送用のベルト19’及び図1に示したいくつかの部材を備えた本発 明の実施例の具体例を示している。 図5は、図4に示した具体例の正面図であり、ハウジング10の外側から見た ときの孔143と検出素子145とが示されている。 前記のように、ハウジングに設けられた窓15は、好適な実施例では、可視光 の透過は殆どないが、広帯域のIRは透過させる透明部材であり、黒く見える。 窓15の光学的特性は、他の光学的部材の特性と同じように、純白のセラミック 材料を用いて装置を較正すると、自動的に補整される。 窓15は任意のハウジング延長部13の端部に設けられる。延長部13は、試 料Mの表面に直接に置かれ、これにより、試料Mの表面と光学ベンチ100及び ベンチに取付けられた部品との間隔を好ましい間隔に保て、光の効率を最大限に できる。 前記小型プリント回路基板200は、光学ベンチ100の上部に設けられ、全 システム電子機器204が備えられる。電子機器には、(無線周波数を生成して AOTFを同調させるのに使用される)デジタル制御周波数合成器と、検出器プ リアンプ及びそのバイアス電圧と、A/D変換器と、コンピュータインタフェー ス(例えば、RS−232)とが含まれる。また、SN比を改善するためにRF 信号を約5KHz で変調する振幅変調(及び復調)回路が設けられる。前記周波数 合成器は、好適には、二倍器を駆動する(例えば、50MHz までの)低周波数発 生器であり、この構成は少ない電力を使用する。 回路基板を検出器及び光学部品の間近に置くことにより、ケーブル及びコネク タが殆ど不要となって、サイズが小型になり、ノイズが減少し、また安価になる という効果を得られる。 また、マイクロコンピュータ回路202に加えて、(図1において裏面がハウ ジング100の内側に示される)キーパッド206、及び『ポリスチレン:25 %』のように英数字のメッセージを表示するためにハウジング上にディスプレイ 208を設けることも可能である。これらの付加によって、ノートブック型コン ピュータの使用を省略できる。更に、ユニット全体をバッテリーBにより駆動で きるようにし、携帯性を完璧なものにする。 発明の効果 AOTF120と組込式(built-in)の反射検出器140とを1個の小型光学ベ ンチに設けることにより、以下のような効果が得られる。 手に持てるハウジング10内の小型光学ベンチ100上で、光学部品と、RF 増幅器124と、反射検出器140とを1つに組み合わせることにより、SN比 が改善される。また、(分光計測装置を検査対象の試料に直接に接触させること で)光ファイバーを必要としないので、より大きな信号が得られる。また、必然 的に電力消費がより少ないものとなり、バッテリー駆動が可能となる。また、装 置はとても頑丈となり、他の設計と比較して相対的に製作費が安価となる。更に 、(筐体を別々にしてケーブル接続するのではなく)RF増幅器124をAOT F120の圧電結晶の近傍に配置するので、インピーダンス整合が良好となり、 従来より5倍も少ない電力消費となり、かつ、小型になる。 また、RF電力を約1ワットにまで減少させることで節電もきる。 また、電力消費をさらに減少させるために、AOTFの振幅変調の“オフ”サ イクルの間、電子回路は“スリープ”モードに置かれる。 AOTFの波長選択度における温度ドリフトを(オーダーによって(by order o f magnitude))減少させるために、周波数合成用クロック発生器(発振器)は、 符号を逆にしたAOTFの温度依存値を用いて温度に依存させる。RF合成器の 出力周波数は、クロック発生器の周波数に線形に対応する。クロック発生器及び AOTFの双方は、互いに隣接させて同じ小型密閉容器120に配置することで 、クロック発生器及びAOTFは同じ温度変化を有することになる。これにより 、熱によるAOTFの波長ドリフトは補整される。 光ファイバーと、大型RF増幅器と、各種コネクタ及びケーブルとを省き、か つ、ワット数の低いランプ(及び小型電源)を用いることで、部品のコストを削 減できる。加えて、光学部品及び電子部品の数を減らし、かつ、単一のプラスチ ック製筺体及び光学的ベースプレート(ベンチ)により全体構造を簡素化してあ るので、組立時間が低減する。このことによって、従来の大型で複雑なAOTF 分光計に比較して極安価に大量に製造することができる。本発明による測定装置 の価格は、15,000ドル以下に見積もることができ、現在購入することがで きるAOTF分光計よりも約3倍は安く見積もることができる。 また、ランプ110と、AOTF120と、レンズ130と、検出器140の 孔143とは直線状に光学的に整列しており、これらの部品は、ハウジング10 の窓15から最適な間隔に固定されているから、従来装置に対して、光学的な損 失が少なく最大の光学的な効率を得られる。例えば、レンズ130は、検出器1 45での検出が最適になるように、最大限の利用可能の光を試料に集束させるこ とができる。全部材をベンチに取付けることにより、ファイバーオプティクスを 省略でき、これにより、本発明はランプに必要とされる電力を1桁削減でき、ハ ンドヘルドユニットを実現することができる。 UV及び可視領域光を感知できる(シリコンのような)検出器を用い、かつ、 明るい窓を用いると、紫外線及び可視光の反射スペクトルを測定できるようにな る。この装置は、例えば、塗料、植物、鉱物等の色を現場で判定するとき等に用 いられる。 透過スペクトルは、試料の背面側にミラーを設置することでも得ることができ る。AOTFから送出されたビームは試料を透過した後、ミラーで反射されて再 び試料を通過し、検出器で検出される。この応用は、例えば、透明なプラスチッ クボトルあるいは各種の液体を識別するときに利用できる(この方法は、廃棄さ れたソーダボトルを識別するのに使用されている)。 具体例 図4に示した動作可能のシステムを組み立て、リサイクル目的でプラスチック を識別するのに使用した。未識別のプラスチック製試料をこの装置で試験スキャ ンした。装置はセラミック製基準試料と1組の見本試料とを用いて予め較正して おいた。近赤外線散乱反射スペクトルは1秒以内で測定され、測定スペクトルは 基準スペクトルを用いて正規化し、ソフトウェアアルゴリズムによりプラスチッ クの種類を識別した。装置の検出器は、試料に直接接触さることができたので、 ファイバーオプティクスの使用が省け、それゆえ、より大きな信号が得られた。 試験によりプラスチックの種類は、PVC、ポリスチレン、ポリプロピレン、P ET等と識別された。小型で携帯性のある装置であるため、装置を現場に持ち込 むことができた。光ファイバーの未使用により高い信号レベルが得られため、白 色試料だけでなく暗色のプラスチック試料の識別も可能であった。 実施例に基づく前述までの記載により、本発明の全般的な特徴は詳細に充分に 開示されており、よって、この分野に通常の知識を有する者は、そのときの技術 を用いることによって、本発明の一般概念から逸脱することなく、また、不当な 実施を伴わずに、容易に本発明を様々な用途に変更及び/又は改造することがで きるであろう。したがって、このような変更及び改造は、開示した実施例と同等 の意味及び範囲に含まれるものである。開示された様々な機能を実現するための 手段及び材料は、本発明から逸脱することなく異なった様々な形態をとることが できるものである。ここに用いられた表現又は用語は、説明のためのものであり これによって限定されるものではない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 サムエル ケレム アメリカ合衆国,メリーランド 20851, ロックビル,グルーエンサー アベニュー 1608 (72)発明者 ウラジミル マドロスキー アメリカ合衆国,メリーランド 21136, レイスタースタウン,ボンファイヤー ド ライブ 12323

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.試料の光反射測定用ハンドヘルド装置において、外壁に窓を有するハウジン グと、前記ハウジングの前記窓に対して整列させた反射検出器と、超音波光学チ ューナブルフィルターと、光源と、前記光源及び前記超音波光学チューナブルフ ィルターから掃引波長を備えた光ビームを発生させる発生手段と、前記光ビーム を前記窓に光学的に整列させて前記窓から前記光ビームを放出する整列手段と、 前記反射検出器からの電気信号を受け取る電気回路手段とを備え、もって、前記 反射検出器と前記超音波光学チューナブルフィルターと前記光源と前記発生手段 と前記整列手段とは、前記ハウジングの内部に配置したハンドヘルド装置。 2.請求項1において、前記ハンドヘルド装置はバッテリー駆動としたハンドヘ ルド装置。 3.請求項1又は2において、前記窓は、少なくとも、可視光の通過は部分的に 妨げるが赤外線は透過させるハンドヘルド装置。 4.請求項1〜3のいずれか1つにおいて、前記光ビームを発生させる前記発生 手段には、前記超音波光学チューナブルフィルターの結晶の間近に位置させたR F増幅器を設けたハンドヘルド装置。 5.請求項1〜4のいずれか1つにおいて、前記整列手段はレンズを備えたハン ドヘルド装置。 6.請求項1〜5のいずれか1つにおいて、前記ハウジングはハンドルを備えた ハンドヘルド装置。 7.請求項1〜6のいずれか1つにおいて、前記ハウジングはトリガースイッチ を備えたハンドヘルド装置。 8.請求項1〜7のいずれか1つにおいて、前記ハウジングは近接センサーを備 えたハンドヘルド装置。 9.請求項4〜8のいずれか1つにおいて、前記RF増幅器は3ワットより小さ い出力としたハンドヘルド装置。 10.請求項9において、前記RF増幅器は1.5ワットより小さい出力としたハ ンドヘルド装置。 11.請求項1〜10のいずれか1つにおいて、前記超音波光学チューナブルフィ ルターの熱波長ドリフトは、補整したハンドヘルド装置。 12.請求項1において、前記ハンドヘルド装置は、プラスチックの分析手段を備 えたハンドヘルド装置。 13.請求項1において、前記反射検出器は、前記ハウジングの前記窓に対して整 列した孔と、光強度を電気信号に変換する少なくとも1個の検出素子トランスデ ューサーとを備えたハンドヘルド装置。 14.請求項1において、前記検出素子トランスデューサーは、前記孔を包囲する 前記反射検出器の内側面に配置したハンドヘルド装置。 15.請求項14において、前記検出素子トランスデューサーは、前記ハウジング の前記窓の近傍の試料からの反射ビーム光を集めるために前記掃引波長ビームに 対してオフセットさせたハンドヘルド装置。 16.請求項1において、前記光ビームを前記窓に光学的に整列させる前記整列手 段には、前記ハウジング内の光学ベンチに取付けた前記反射検出器と前記超音波 光学チューナブルフィルターと前記光源と前記レンズとを備えたハンドヘルド装 置。 17.請求項16において、前記光ビームを発生させる前記発生手段には、RF増 幅器を備えたハンドヘルド装置。 18.請求項1において、前記電気回路手段には、スペクトルを測定してデータ分 析を行うコンピュータ手段を備えたハンドヘルド装置。 19.請求項18において、前記ハウジングは、前記電気回路手段を囲うようにし たハンドヘルド装置。 20.請求項18において、前記ハウジングの外面にはディスプレイを配置し、デ ータを分析する前記コンピュータ手段には前記試料の種別及び比率を前記ディス プレイに表示する表示手段を備えたハンドヘルド装置。 21.請求項20において、スペクトルを測定してデータ分析を行う前記コンピュ ータ手段は、反射スペクトルを測定し、前記反射スペクトルを記録済の材料スペ クトル群と照合し、前記反射スペクトルの照合により識別された材料の種類 を前記ディスプレイに表示する手段を備えたハンドヘルド装置。 22.請求項1において、掃引波長を備えた光ビームを発生させる前記発生手段は 、前記超音波光学チューナブルフィルターの振幅変調の“オフ”サイクルを備え 、前記電気回路手段は、電力消費を抑制するために前記超音波光学チューナブル フィルターの振幅変調の“オフ”サイクルの間、“スリープ”モードに入るよう にしたハンドヘルド装置。 23.請求項1において、前記電気回路手段は、スペクトルを測定してデータ分析 を行うコンピュータに接続される手段を備えたハンドヘルド装置。 24.試料の材料構成を識別する方法において、 (a) ハウジングと、前記ハウジングの外壁の外面に設けられ前記試料の表面に 置かれ得る窓と、前記ハウジング内に設けられ光を前記試料の前記表面領域に集 中させるレンズと、前記領域に近接した反射検出器と、前記レンズに対して整列 され前記試料の前記表面領域に光を放出するランプと、前記材料構成を測定する 光学分析手段とを備え、 前記光学分析手段には、前記ランプと前記レンズとの間に配置された超音 波光学チューナブルフィルターと、前記超音波光学チューナブルフィルターを掃 引周波数で駆動させ前記試料の反射スペクトルを基準スペクトルと比較し前記材 料構成を測定し更に前記材料構成の分析結果を出力する電子手段とを設け、 前記ランプと前記超音波光学チューナブルフィルターと前記窓とは共通光 学軸上に整列させ、前記反射検出器には前記共通光学軸上に整列させた孔を設け 、前記反射検出器には前記共通光学軸からオフセットさせた少なくとも1個の検 出素子を設けた 光反射測定用ハンドヘルド装置を準備し、 (b) 前記窓は前記試料に対峙させた 試料の材料構成を識別する方法。 25.請求項24において、前記試料は透明であり、前記試料の前側で前記窓が置 かれる部分とは反対側となる後側の近傍にミラーを設置する工程を備えた試料の 材料構成を識別する方法。
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