【発明の詳細な説明】
ポリオレフィンおよびフルオロポリマー用の接着バインダー、
該接着バインダーを用いる複合材料の製造方法、並びにかくし
て得られた複合材料 技術分野
本発明は、バインダーの不存在下では相互に殆んど若しくは全く接着しないポ
リオレフィンおよびフルオロポリマー用の接着バインダーに関する。先行技術
熱可塑性ポリオレフィン特にポリエチレン(PE)は、それらの易加工性、そ
れらの低コストおよびそれらの良好な機械的性質のために多くの用途を有する。
挙げられ得る用途の例は、シート、パイプ、中空体、フィルム等のような成型さ
れた、押し出されたおよび吹込成型された物体である。しかしながら、溶媒特に
炭化水素および自動車燃料に対するそれらの不浸透性は優秀でない。
フルオロポリマーは、それらの良好な熱挙動(120℃より高い溶融温度)、
それらの化学的抵抗性(特に、溶媒に対する)、酷烈な天候に対するおよび輻射
線例えばUVに対するそ
れらの抵抗性、気体に対するおよび液体に対するそれらの不浸透性並びに電気的
絶縁としてのそれらの特質のために知られている。しかしながら、例えばポリア
ミド、ポリオレフィンおよびポリスチレン群のような多くのポリマーに対するそ
れらの低いまたは不存在さえの接着性が知られていて、複合材料の製造のための
それらの使用を制限しまたは接着しようとされるポリマーの間に接着バインダー
を用いることを必要とせしめる。
ポリオレフィン/フルオロポリマーの複合材料は、化学製品、溶媒、炭化水素
、油および自動車燃料と直接接触される物体の製造のための経済的かつ有効な解
決手段であり、何故ならかかる構造物はフルオロポリマーの顕著なバリヤー性を
十分利用するからである。かくして、自動車燃料を輸送するための複合パイプま
たは化学製品を貯蔵するための複合ドラムを思い描くことができる。接着しない
ポリマーの少なくとも2層の隣接層を含む多層複合材料の場合、成形段階中の(
または物体の寿命中の)それらの層の分離は多層構造物の機械的性質の低下を伴
いそして化学製品にとっての通路を残し得るが、これに関して該構造物の透過並
びに該複合材料の不可逆的ゆがみの避けがたい結果を伴う界面における蒸気の可
能な凝縮を防ぐことが目的と
されている。
接着バインダーはまた、多層構造物の異なる材料の収縮差を補償するためにも
有用である。本発明の記載
本発明の主題を形成するポリオレフィンおよびフルオロポリマー用の接着バイ
ンダーは、少なくとも1種の任意にグラフト化された脂肪族ポリエステル、好ま
しくはポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)と少なくとも1種のハロゲン化(
好ましくは塩素化)ポリオレフィンとを含む。
脂肪族ポリエステルは、式−(−O−R1−CO−)n−の環状エステル即ちラ
クトンから誘導されたポリマー並びに式−(−O−R2−O−CO−R3−CO)n
−のジオールおよびジカルボン酸から誘導されたもの(ここで、R1、R2およ
びR3は、任意に置換されたアルキレンを指す。)を意味するよう意図されてい
る。それらの重量平均分子量Mwは、一般に10,000と150,000の間
、好ましくは30,000と90,000の間である。
脂肪族ポリエステル−(−O−R1−CO−)n−および−(−O−R2−O−
CO−R3−CO)n−の合成は、例えば、
「エンサイクロペディア・オヴ・ポリマー・サイエンス・アンド・エンジニアリ
ング(Encyclopedia of Polymer Science a
nd Engineering)(EPSE),第2版,第12巻,ポリエステ
ル(Polyester)の項目,ウィレー・インターサイエンス出版」に記載
されている。環状エステルから誘導されるポリエステルは、特に第36〜41頁
に記載されている。
脂肪族ポリエステルは、ポリカプロラクトンまたはポリピバロラクトンまたは
ポリエナントラクトンまたはポリカプリロラクトンのようなポリラクトンから選
ばれ得る。
次のものから選ばれた少なくとも1種のモノマーが、脂肪族ポリエステル上に
グラフト化され得る。
− 不飽和カルボン酸、それらの塩、それらのエステルおよびそれらの無水物;
− エポキシド官能基を有する不飽和化合物;
− ビニルエステル;
− スチレンおよびその誘導体。
例として、次のものが挙げられ得る。
− (メタ)アクリル酸、フマル酸、メサコン酸;
− メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレー
トまたはヒドロキシエチルアクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート
;
− シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、2
−メチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物およびマレイン
酸無水物;
− グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルマレエート、グリシジルイタ
コネート、ビニルグリシジルエーテルおよびアルキルグリシジルエーテルのよう
な脂肪族グリシジルエステルおよびエーテル。
2−シクロヘキセン−1−グリシジルエーテル、ジグリシジルシクロヘキセン
−4,5−ジカルボキシレート、グリシジルシクロヘキセン−4−カルボキシレ
ート、グリシジル5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボキシレートおよび
ジグリシジルエンドシスビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカ
ルボキシレート、ビニルシクロヘキセンモノオキシドおよびMETHBのような
、脂環式グリシジルエステルおよびエーテルもまた挙げられ得る;
− ビニルアセテート。
グラフト化は、ラジカル開始剤の存在下で押出機中で溶融状態で実施され得る
。
グラフト化モノマーの量は、一般に、未グラフト化脂肪族ポリエステルの15
重量%より少ない。
脂肪族ポリエステル特にポリカプロラクトンが過酸化物のような適当な開始剤
の熱分解により開始するラジカル攻撃に感受性である、ということは周知である
。いかなる他の反応体の不存在下では、このラジカル攻撃により、ポリマー鎖が
互いに分枝化して出発物質の分子構造が変化する。この変化は長い分枝化と呼ば
れ、そして生成されるラジカルの量が十分である場合ポリマーの架橋をもたらす
。
更に、一般に重縮合反応により得られるポリラクトンのような脂肪族ポリエス
テルは、線状分子鎖を有し、その結果それらの結晶質領域の融点を越える点では
非常に低い溶融粘度(一般に、例えば押出機を出る生成物の取扱い性の点で不適
合である。)を有する。更に、この低溶融粘度は、混和性または相溶性であると
知られているポリマーであってもこの生成物の良好な相溶性または良好な混和性
を低下させ、そしてその結果ポリマー混合物は所望通りの相溶性を有し得る。ラ
ジカル開始剤の
存在下で押出機中で溶融状態でグラフト化すると、グラフト化反応と並行して起
る分枝化反応の結果として、ポリマーの粘度がかなり増大することおよびポリマ
ーを後続の混合のために一層適合せしめることを可能にする。
例えば、押出機中で溶融状態でのポリ(ε−カプロラクトン)のグラフト化は
、下記の表に記載されているような温度分布を有する二軸同方向回転スクリュー
押出機中で行われる。
ポリカプロラクトン入口帯域は、この物質の低い融点(60℃)のため、供給
口における閉塞および生成物の良好な運搬を避けるべく低く(20℃)保たれる
。
スクリュー速度は、典型的には、おおよそ10kg/hの押出速度の場合20
0回転/分である。
揮発性反応生成物は、最大真空下の脱ガス帯域において除去される。
反応帯域の温度は、いずれのラジカル開始剤も少なくとも99.9%分解され
るように、用いられるラジカル開始剤および反応体の滞留時間に適合される。そ
れらは、典型的には、DHBP(2,5−ジメチル−2,5−(ジ−tert−
ブチルペルオキシ)ヘキサン)もしくはDiCup(ジクミルペルオキシド)の
ような開始剤の場合210℃、TMCH(1,1−ジ(tert−ブチルペルオ
キシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン)の場合190℃、またはベン
ゾイルペルオキシドの場合175℃である。
多くのラジカル開始剤が脂肪族ポリエステルをグラフト化するために用いられ
得る。挙げられ得る例は、ジアシルペルオキシド、ケトン化合物から誘導される
過酸化物、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオ
キシド、有機スルホニル誘導体の過酸化物、およびペルオキシケタールである。
ラジカル開始剤は、通常、溶媒(例えば、トリクロロベンゼン)中に希釈され
るが、ラジカル開始剤が液体である(例えば、DHBP)場合にはそのまま用い
られ得る。ラジカル開始剤は、一般に、計量ポンプにより溶融脂肪族ポリエステ
ル中に、分解
しそして反応し始める前に該溶融物中に適当に混合され得る十分に低い温度にて
注入される。ラジカル開始剤はまた、適当なポリマーの粉末との混合物として、
適当な計量装置により脂肪族ポリエステル顆粒と同じ点で導入され得る。
モノマーは、一般に、それらが液体である場合には計量ポンプにより該溶融物
中にラジカル開始剤の注入帯域と同じ注入帯域中に導入される。モノマーは、時
には、ラジカル開始剤に対する溶媒として用いられ得る。
モノマーが固体形態であるとき、それらは、一般に、適当な計量装置により脂
肪族ポリエステル顆粒と同じ点にて導入される。
ハロゲン化され得るポリオレフィンは、オレフィンと呼ばれる式CnH2nの不
飽和脂肪族炭化水素、特にα−オレフィンの単位から少なくとも50%が誘導さ
れているポリマーを意味するよう意図されている。挙げられ得る例は、ポリエチ
レン(PE)およびポリプロピレン(PP)である。ポリオレフィンはまた、少
なくとも50重量%の上記に定義されたような少なくとも1種のオレフィンポリ
マーを含有するポリマーの混合物を意味するよう意図されている。
ハロゲン化ポリオレフィンは、少なくとも1個の水素原子がハロゲン原子によ
り置換されているポリオレフィンを意味するよう意図されている。本発明による
ハロゲン化ポリオレフィンは、質量基準で、ハロゲン化ポリオレフィンの総質量
に対して少なくとも10%のハロゲン原子を含有する。
ハロゲン化ポリオレフィンの重量平均分子量Mwは、未ハロゲン化ポリオレフ
ィンのそれに依存するが、一般に、10,000と200,000の間にある。
ハロゲン化ポリオレフィンの中で特に挙げられ得るものは、塩素化ポリエチレ
ン(PE)および塩素化ポリプロピレン(PP)、とりわけ塩素含有率が10重
量%と50重量%の間にあるものである。
PEの塩素化は、例えばEPSE第6巻第495〜511頁に記載されている
。
本発明による接着バインダーにおいて、脂肪族ポリエステル対ハロゲン化ポリ
オレフィンの質量比は、一般に、0.05と1.20の間にある。バインダーが
塩素化PEおよび/またはPPとPCLを主成分とするとき、PCL/塩素化P
Eおよび/またはPPの質量比は、0.05と1.20の間好ましくは
0.10と0.45の間にある。
脂肪族ポリエステルおよびハロゲン化ポリオレフィンの他に、接着バインダー
は、バインダーの流動学的もしくは機械的性質または化学的耐性もしくは熱挙動
を改質するために、混合物中に他のポリマーを少量含有し得る。
少量とは、1種以上の他のポリマーの量対脂肪族ポリエステルおよびハロゲン
化ポリオレフィンの質量の質量比が1より低い、好ましくは0.25より低い量
を意味するよう意図されている。
接着バインダーはまた、例えば安定剤、難燃剤、強化または他の充填剤、顔料
、可塑剤等のような添加剤を含有するよう処方され得る。当業者により用いられ
得る添加剤は、すべてではないが、「プラスチックス・コンパウンディング・レ
ッドブック(Plastics Compounding Redbook)(
ISSN0148−9119),技術雑誌プラスチックス・コンパウンディング
(Plastics Compounding)により毎年発行」に記載されて
いる。
本発明の別の主題は、上記した接着バインダーの製造方法である。
バインダーは、例えば押出機、混合機または混練機中で、種々の成分を溶融状
態で混合することにより得られ得る。均質な混合物を得るために、混合中成分を
高剪断に付すことが好ましい。混合操作中、最も高い融点を有するポリマーを確
実に溶融し得るがバインダーの熱分解が過度になる温度より低い温度が選ばれる
。バインダーの成分の混合操作は、プラスチックの加工のための他の機械で用い
られ得る利用可能な粒状物を得ることを可能にするために粒状化押出機にて行わ
れ得る。バインダーはまた、例えば共押出法または共押出ブロー成形法により多
層複合構造物を得ることができる加工機械の押出機中でその場で得られ得る。
本発明はまた、特に化学製品、溶媒、炭化水素または自動車燃料と接触される
ことが意図される多層のフィルム、パイプ、ボトルおよび貯蔵容器のような、少
なくともポリオレフィン/バインダー/フルオロポリマーの組合わせを含む複合
材料の製造のための、上記した接着バインダーの使用に関する。かかる多層複合
材料は一般に共押出により得られるが、ポリオレフィン/バインダー(またはフ
ルオロポリマー/バインダー)の構造物を共押出しそして引き続いてフルオロポ
リマー(またはポ
リオレフィン)の層で被覆することも可能である。
本発明によるバインダーを用いる多層複合材料はポリオレフィン/バインダー
/フルオロポリマーの三層の基本単位(三層構造物)を有するが、この単位は、
例えばポリオレフィン/バインダー/フルオロポリマー/バインダー/ポリオレ
フィンの構造物(五層構造物)を与えるように反復されても良い。
これらの多層構造物の層のうちの1つまたはそれ以上は、全部または部分的に
粉砕再生材料、即ち未使用多層物体またはこれらの物体の製造から生じる廃棄物
を粉砕することにより得られる材料から成り得る。
上記したバインダーにより接着せしめられるポリオレフィンは、その少なくと
も50重量%がオレフィンと呼ばれる式CnH2nの不飽和脂肪族炭化水素、特に
α−オレフィンの単位から誘導されているポリマーを意味するよう意図されてい
る。挙げられ得る例は、次のものである。
− 熱可塑性オレフィン、特に、HD、LLD、VLD、ULDおよびUHMW
のようなポリエチレン(PE)タイプ並びに種々のランダムまたは他のホモ−お
よびコポリマーポリプロピレン(PP);
− ポリオレフィンから作られた物理的混合物である熱可塑性ポリオレフィンエ
ラストマー(TPO);特に、60%より多くポリプロピレンを含有するものお
よびエラストマー相が主である(70%より多い)ものであり、後者は任意に架
橋されることが可能である;EPRおよびEPDMが特に挙げられる;
− エチレンおよびアルキルアセテート、エチレンおよびアルキル(メタ)アク
リレートから誘導されたコポリマー、特に三元共重合体のような、50重量%よ
り多いエチレンを含有するコポリマー;並びに、
− 例えばマレイン酸無水物のような少なくとも1種の不飽和ジカルボン酸無水
物で、グリシジルメタクリレートのようなエポキシ基を含有する化合物またはシ
ランでグラフト化された上記の生成物すべて。
上記したバインダーにより接着せしめられるフルオロポリマーは、少なくとも
85モル%、好ましくは少なくとも90モル%がビニルフルオライドおよび/ま
たはビニリデンフルオライドから誘導されたモノマー単位を含有するすべてのポ
リマーを指す。本発明による多層構造物の製造のために適しているビニルおよび
/またはビニリデンフルオライドポリマーは、それ故、
ビニルフルオライドおよびビニリデンフルオライドのホモポリマー並びに1種ま
たはそれ以上のコモノマーから誘導されたモノマー単位を含有するビニルまたは
ビニリデンフルオライドのコポリマーの両者を含む。ビニルフルオライドまたは
ビニリデンフルオライドからそれぞれ誘導されたモノマー単位を少なくとも90
モル%含有するポリマーが好ましく、任意的な残部は、好ましくは、ビニリデン
フルオライド、ビニルフルオライド、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオ
ロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンのような他のフルオロオレフィンか
ら誘導されたモノマー単位から成る。特に好ましいフルオロポリマーは、ビニル
フルオライドホモポリマーおよび更に特にビニリデンフルオライドホモポリマー
である。
フルオロポリマーはまた、少なくとも50容量%、好ましくは70容量%と他
のポリマーとの混合物を意味するよう意図されている。
これらのフルオロポリマーおよびオレフィンポリマーが可塑剤、充填剤、顔料
、安定剤、耐衝撃性改良剤等を含有していても良い。本発明の実施 例1〜45:接着バインダー並びにそれらを用いる多層材
A)用いられる材料:
PVDFは、5kg下で230℃におけるメルトインデックス(ISO標準規
格1133)8g/10minのVF2ホモポリマー(Kynar(登録商標)
4000HD)である。
ポリオレフィンPE1は、密度0.951および2.16kg下で190℃に
おけるメルトインデックス(ISO標準規格1133)2g/10minのHD
PE(Lacqtene(登録商標)2020SN51)である。
ポリオレフィンPE2は、密度0.952および2.16kg下で190℃に
おけるメルトインデックス(ISO標準規格1133)0.3g/10minの
HDPE(Lacqtene(登録商標)2003SN53)である。
ポリ(ε−カプロラクトン)PCLは、10s-1の剪断速度にて1000Pa
.sより高いおよび1000s-1の剪断速度にて300Pa.sより高い溶融粘
度(190℃)を有する(Capa(登録商標)680)。
ハロゲン化ポリオレフィン(PECl1)は、質量基準で
40%の塩素を含有する密度1.20の塩素化ポリエチレン(Tyrin(登録
商標)BH9000)である。このポリオレフィンは、145s-1の剪断速度に
て1700Pa.sの溶融粘度(190℃)により特徴づけられる。
ハロゲン化ポリオレフィン(PECl2)は、質量基準で25%の塩素を含有
する密度1.10の塩素化ポリエチレン(Tyrin(登録商標)CM674)
である。このポリオレフィンは、145s-1の剪断速度にて1250Pa.sの
溶融粘度(190℃)により特徴づけられる。
ハロゲン化ポリオレフィン(PPCl1)は、質量基準で26%の塩素を含有
しかつ100℃の溶融温度を有する密度1.12の塩素化ポリプロピレン(Ha
rdlen(登録商標)13LP)である。
ハロゲン化ポリオレフィン(PPCl2)は、質量基準で34%の塩素を含有
しかつ85℃の溶融温度を有する密度1.17の塩素化ポリプロピレン(Har
dlen(登録商標)17LP)である。
ポリオレフィンPPは、質量基準で8%のエチレンを含有しかつ2.16kg
下で230℃におけるメルトインデックス
(ISO標準規格1133)12g/10minを有するエチレン−プロピレン
のブロックコポリマー(アップリル社より市販されているPP3120MR5)
である。
ポリオレフィンEPDMは、質量基準で58%のエチレンおよび9%のジエン
を含有しかつカーボンブラック、パラフィン油および硫黄加硫系(ジエン不飽和
のため)が配合されているエチレン−プロピレン−ジエンの三元共重合体である
。125℃におけるそのムーニー粘度ML(1+4)は36である(Vista
lon(登録商標)6630)。
グラフト化ポリ(ε−カプロラクトン)(PCLgGMA)は、GMA含有量
がグラフト化ポリマーの総質量の1.4%に等しい上記したPCLに対応する。
B)バインダーフィルムの製造:
高剪断速度を得ることのできる二軸逆回転スクリュー押出機にて混合すること
により、バインダーを得る。ダイで生成されたレース(lace)を、粒状化す
る前に外気にて冷却する。押出機中の滞留時間は、2分程度である。この押出に
より作られた顆粒を次に、100μmと200μmの間の厚みを有するバインダ
ーのフィルムを生成するようプレスする。この操作は、
実験室プレス機にて次の条件で行われる。即ち、
− 顆粒を、最小圧およびポリマーを確実に溶融させるのに十分な温度に設定さ
れた熱プレス機下に1分30秒間置く、
− 圧力を、フィルム内の微量の空気が除去されるよう高めそして2分30秒間
維持する、
− 最後に、かくして形成されたフィルムを、冷プレス機下で冷却する、
− 得られるフィルムの厚みは、100〜200μm程度である。
C)多層構造物の製造:
次に、ポリマーA/バインダー/ポリマーAの三層フィルム(ここで、ポリマ
ーA=PE、PP、EPR、EPDM、PVDF)を、当該プラスチックフィル
ムを互いに融着させるために加熱されたプレス機にて製造する。当該集成物を、
200kPaの圧力および220℃の温度に1分間付す。これらの対称構造物を
用いて、ポリマーA/バインダーの接着性を測定する。
D)剥離試験:
多層試料の製造から24時間後、上記した多層構造物につい
て剥離試験を200mm/minの速度および180°の剥離角度にて張力計に
て遂行する。測定した接着性を、g/cmで表す。次の対応を用いる。
例1〜7 PECl1およびPCLを主成分とするバインダー
− PEおよびPVDFに対する接着性
例8〜14 PECl2およびPCLを主成分とするバインダー
− PEおよびPVDFに対する接着性
例15〜22(比較例) PE2およびPCLを主成分とするバインダー
− PEおよびPVDFに対する接着性
例23〜24 PECl2/PCLを主成分とするバインダー
− PPおよびPVDFに対する接着性
例25〜29 PECl2/PCLを主成分とするバインダー
− EPDMおよびPVDFに対する接着性
例30〜34 PECl1/PCLを主成分とするバインダー
− EPDMおよびPVDFに対する接着性
例35 PPCl1およびPCLを主成分とするバインダー
− PPおよびPVDFに対する接着性
例36および37 PECl2/PCL/PE2を主成分とするバインダー
− PEおよびPVDFに対する接着性
例38および39 PECl1/PCL/PE2を主成分とするバインダー
− PEおよびPVDFに対する接着性
例40および41 PECl2/PCLgGMAを主成分とするバインダー
− PEおよびPVDFに対する接着性
例42および43 PECl1/PCLgGMAを主成分とするバインダー
− PEおよびPVDFに対する接着性
例44 PECl2/PCLgGMA/PE2を主成分とするバインダー
− PEおよびPVDFに対する接着性
例45 PECl1/PCLgGMA/PE2を主成分とするバインダー
− PEおよびPVDFに対する接着性
多層材の使用例 例46 自動車燃料または他の流体用のバリヤーとして使用可能なPE2/接着 バインダー/PVDFの
複合材料
400μmの総厚みを有するPE2(250μm)/バインダー(50μm)
/PVDF(100μm)の三層フィルムを、適当なダイを通す慣用の共押出法
により製造する。接着バインダーは、質量基準で48%のPECl2、39%の
PCLおよび13%のPE2から成る。用いるPVDFは、前の例のそれと同一
である。この構造物の透過性を、重量損失法を用いて耐漏出性セル中で23℃に
て試験する。試験自動車燃料は、当初該構造物のPE面と接触している。
F1=容量で50/50のトルエンおよびイソオクタンの混合物中に10容量%
のエタノール。
M15=容量で50/50のトルエンおよびイソオクタンの混合物中に15容量
%のメタノール。例47 自動車燃料または他の流体を輸送するために使用可能なHDPE/本発 明によるバインダー/PVDFの共押出パイプ
総厚みおおよそ1mmであるPE2外層(750μm)/本発明によるバイン
ダー(50μm)/PVDF内層(150μm)の、6mmの内径および8mm
の外径を有する多層パイプを、適当なダイを通す慣用の共押出法により製造する
。接着バインダーは、質量基準で60%のPECl2、27%のPCLおよび1
3%のPE2から成る。PVDFは、5kg下で230℃において測定されたメ
ルトインデックス(ISO標準規格1133)13g/10minのVF2ホモ
ポリマー(Kynar(登録商標)6000HD)である。
試験自動車燃料“燃料C”(燃料C=容量で50/50のトルエンおよびイソ
オクタンの混合物)を含有する密閉ジャー中に、100mmの長さの上記多層構
造物を23℃にて15日間
浸漬した後、層間の接着の持続性を試験する。
注記: この試験の実施条件は、バインダー層がパイプの切断面にて試験自動車
燃料に直接曝されるので、炭化水素を輸送するための多層パイプの使用条件より
もはるかに苛酷であることが分かり得る。例48 自動車燃料または他の流体用の貯蔵受け器または貯蔵容器として使用可 能なHDPE/本発明によるバインダー/PVDF/HDPEの多層共押出ボト ル
500ml容量の多層(4層)ボトルを、適当なダイを通じての共押出ブロー
成形により製造する。
ボトルの層は、外側から内側に向かって、PE1外層(150μm)/本発明
によるバインダー(50μm)/PVDF(100μm)/PE1内層(200
μm)である。
接着バインダーは、質量基準で65%のPECl2、26%
のPCLおよび9%のPE2から成る。PVDFは、5kg下で230℃におい
て測定されたメルトインデックス(ISO標準規格1133)13g/10mi
nのVF2ホモポリマー(Kynar(登録商標)6000HD)である。 P
E1内層とPVDFの間にはバインダーが存在せず接着性はない。対照的に、バ
インダーの効果によりPE1外層とPVDF層の間には2000g/cmよりも
大きい接着性を示す。例49〜52
A)用いられる材料:
PVDFは、5kg下で230℃におけるメルトインデックス(ISO標準規
格1133)20g/10minのホモポリマー(Kynar(登録商標)90
00HD)である。
用いられるバインダーは、質量基準で、上記した80%のPECl2および2
0%のPCLの混合物である。
加硫可能なエラストマーEPDM1は、質量基準で58%のエチレンおよび9
%のジエンを含有するエチレン−プロピレン−ジエンのオレフィン三元共重合体
(Vistalon(登録商標)6630)を主成分としかつ36の125℃に
おけるムーニー粘度ML(1+4)により特徴づけられる組成物である。
このEPDMを、慣用の過酸化物を基剤とする系を用いて加硫する。該組成物は
また、強化材として15%のシリカを含有する。
加硫可能なエラストマーEPDM2はEPDM1組成物と同じEPDMを主成
分とするが、加硫系は硫黄を基剤とする。この組成物はまた、強化材として45
%のカーボンブラックを含有する。
熱可塑性オレフィンエラストマーTPO1は、ポリプロピレンおよび加硫化E
PDMを主成分とする混合物である。
(Santoprene(登録商標)10187)
B)エラストマー/バインダー/PVDFの複合材料の製造並びに剥離試験:
各々おおよそ200μmの厚みのバインダーおよびPVDFの2枚の単一フィ
ルムを上記のようにプレスすることにより、二層複合材料を製造する。次いで、
押抜機を用いて100×40×4mmの試験片に切り抜く。並行して、Aに記載
したエラストマーの各々のシートから、ブランク片(100×40×4mm)を
切り抜く。
次いで、エラストマー/バインダー/PVDFの各多層を圧
縮金型中に置き、そして確実にバインダーが溶融し且つエラストマーが任意に加
硫されるのに十分な温度に該金型を数分間加熱する。
次いで、25mm幅の三層試験片を切り抜き、そして24時間後接着性を、上
記した手順に従って張力計にて200mm/minの代わりに50mm/min
の速度にて試験する。
C)結果の表:
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,C
A,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI
,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,
KR,KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,M
G,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO
,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,
TT,UA,UG,US,UZ,VN