JPH10509148A - D−chiro−イノシトールの改良製造方法 - Google Patents
D−chiro−イノシトールの改良製造方法Info
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- JPH10509148A JPH10509148A JP8516162A JP51616296A JPH10509148A JP H10509148 A JPH10509148 A JP H10509148A JP 8516162 A JP8516162 A JP 8516162A JP 51616296 A JP51616296 A JP 51616296A JP H10509148 A JPH10509148 A JP H10509148A
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Abstract
(57)【要約】
Description
【発明の詳細な説明】
D−chiro−イノシトールの改良製造方法 発明の背景
それぞれ構造式
を有するD−chiro−イノシトールおよびmyo−イノシトールは天然に存
在し、より豊富なmyo−異性体は一般にその六燐酸、フィチン酸として或いは
六燐酸の塩、フィチンとして植物中に見られる。哺乳動物においては、これら化
合物の一燐酸型およびポリ燐酸型は細胞膜の成分であって、インシュリン媒介体
として機能しうる。myo−イノシトールからchiro−イノシトールへの変
換が或る型の糖尿病に罹患した哺乳動物では欠乏しているという知見にしたがい
、極く最近では食摂にD−chiro−イノシトールを補充すれば、この病気に
罹患した患者の血糖レベルをコントロールするのに役立つことが提案されている
。
研究的および商業的な量のD−chiro−イノシトールの必要性から、この
化合物の(植物組織からの抽出による)単離、部分合成または完全合成につき幾
つかの方法が開発された。特に有望なものはケニントン等に付与された米国特許
第5,091,596号に記載されたようなアミノグリコシドカスガマイシン(
Streptomyces Kasugaspinus の発酵により生成)の加水分解である。この米国特
許によれば、カスガマイシンをトリフルオロ酢酸により100℃にて3時間処理
し、次いで得られたD−chiro−イノシトールを樹脂およびゲルクロマトグ
ラフィーによって単離し、90%エタノールからの再結晶化により精製する。或
いは、カスガマイシンを塩酸により90℃で8時間にわたり処理した後、樹脂ク
ロマトグラフィーによりD−chiro−イノシトールを単離し、次いで精製す
る。
しかしながら、多量の生成物を製造する場合、上記の酸加水分解法の各欠点は
D−chiro−イノシトールを精製するクロマトグラフィー単離工程の経費で
ある。同様に、たとえば凍結乾燥のような希水溶液からのD−chiro−イノ
シトール生成物の単離を工業的方法の1部として行う場合は不当に時間がかかる
。したがって、高純度のD−chiro−イノシトールを経済的かつ大規模にカ
スガマイシンから製造しうるような
一層効率的な方法に対するニーズが存在する。発明の要旨
今回、一層効率的なルートにより、すなわちアミノグリコシドのアセトリシス
により中間ヘキサ−O−アセチル−D−chiro−イノシトール(「以下、ヘ
キサアセテート」と称する)を生成させることにより、D−chiro−イノシ
トールがカスガマイシンから得られることを突き止めた。このヘキサアセテート
は中間体の脱アセチル化前に容易に単離され精製される。さらに、ヘキサアセテ
ート中間体の脱アセチル化は極めて純粋な形態でD−chiro−イノシトール
の直接的結晶化を可能にする条件下で行われ、最終生成物の徹底的精製の必要性
を排除する。全体として、本発明の半合成はクロマトグラフィー精製なしに満足
しうる純度のD−chiro−イノシトールを生成し、したがって従来方法と比
較して時間および経費の節約となる。
したがって、本発明はカスガマイシンからのD−chiro−イノシトールの
製造方法に関し、この方法は:
(a) カスガマイシンをアセチル化剤と反応させて粗製ヘキサアセテートを生
成させ;
(b) 粗製ヘキサアセテートを精製して精製ヘキサアセテートを生成させ;
(c) 精製ヘキサアセテートを脱アセチル化してD−chiro−イノシトー
ルを生成させ;
(d) D−chiro−イノシトールを単離する
工程を含むことを特徴とする。
上記4工程で単離されたD−chiro−イノシトールは、必要に応じD−c
hiro−イノシトールを再結晶化によりさらに精製する追加工程にかけること
もできる。
さらに第2工程(粗製ヘキサアセテートの精製)は多数の特定ステップ、すな
わち:
(i) アセチル化剤を実質的に除去して残留物を生成させ;
(ii) 残留物を適する溶剤系で希釈して粗製ヘキサアセテートの溶液を生成さ
せ;
(iii) 粗製ヘキサアセテートの溶液を濾過して精製ヘキサアセテートの溶液
を生成させ;
(iv) 溶剤を実質的に除去する
ステップを含むことができる。
必要に応じ、ステップ(ii)と(iii)との間には追加ステッ
プを設けて、ここで粗製ヘキサアセテートの溶液を濾過前に中和することもでき
る。或いは、適宜の中和ステップをステップ(iii)と(iv)との間(すなわち
濾過の後)に設けることもできる。発明の詳細な説明
上記に要約したような本発明の方法においては、種々の純度のカスガマイシン
を、好ましくは酸触媒の存在下に、アミノグリコシドのアセトリシスに好適な条
件下でアセチル化剤と反応させることができる。理想的にはカスガマイシンは塩
酸塩の形態であるが、「カスガマイシン」という用語はカスガマイシン塩基およ
び容易に入手しうると共にここに記載したように使用するのに適する任意の酸付
加塩もしくは塩基付加塩の両者を意味する。
本発明の好適実施態様において、アセチル化剤は無水酢酸、無水酢酸と酢酸と
の混合物、無水トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸とトリフルオロ酢酸と
の混合物およびハロゲン化アセチルと酢酸との混合物から選択される。好適なも
のは約1:1の比(容量)で含む無水酢酸と酢酸との混合物である。酸触媒は鉱
酸およびルイス酸から選択することができる。適する鉱
酸は塩酸、臭化水素酸、弗化水素酸、硝酸、硫酸および過塩素酸を包含する。適
するルイス酸はBF3−エーテル化物およびFeCl3を包含する。特に好適な酸
触媒は濃硫酸および70%過塩素酸を包含し、100mLの全反応容積につき1
0滴で充分である。さらに、限定はしないがIR−120およびA−15(アル
ドリッチ・ケミカル・カンパニー、ミルウォーキー、WI)を包含する酸官能化
された樹脂(acid functionalized resins)も好適である。特に好適な酸官能化
樹脂は樹脂に担持されたスルホン酸を包含する。アセトリシス反応の時間は、温
度および試薬の選択に応じて変更することができる。必要とする時間は2時間〜
3日間の範囲とすることができ、温度は周囲温度〜120℃の範囲で変更するこ
とができる。
アセトリシス反応の生成物はヘキサ−O−アセチル−D−chiro−イノシ
トールであり、或いは無水フルオロ酢酸をアセチル化剤として使用する場合はヘ
キサ−O−トリフルオロアセチル−D−chiro−イノシトールである。本明
細書において、「ヘキサアセテート」という用語はヘキサ−O−アセチル中間体
およびヘキサ−O−トリフルオロアセチル中間体の両者を包含することを意図す
る。
アセトリシスの後、粗製ヘキサアセテートをアセチル化剤を除去して、好まし
くは回転蒸発器におけるような減圧蒸発により精製することができ、典型的には
油状残留物を生成させる。実質的に全てのアセチル化剤を「ストリップ」した後
、残留物を理想的には第1の極性溶剤からなる溶剤系で希釈することができる。
使用しうる極性溶剤の非限定例はアセトン、メタノール、エタノール、酢酸エチ
ル、CH3CN、CH2Cl2、CHCl3および1,2−ジクロルエタンを包含す
る。この溶剤系は必要に応じ長鎖炭化水素および芳香族炭化水素、特にペンタン
、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、キシレンおよびトルエンから選択される第2
の非極性溶剤をも含むことができる。約1:1〜約10:1の比(容量)で第1
の極性溶剤と第2の非極性溶剤とを含む系が好適である。約1:1〜約10:1
の範囲の比(容量)で酢酸エチルとヘキサンとを含む系が特に好適である。
本発明の1実施態様によれば、粗製ヘキサアセテートの得られた溶液を次いで
固体およびアセトリシス反応の汚染副生物を保持する濾過材に通す。溶剤系の選
択に応じ、適する濾過材はシリカゲル、アルミナ、活性炭、珪藻土およびアルミ
ナと珪藻
土との混合物を包含する。上記酢酸エチル/ヘキサン系と共に使用するにはシリ
カゲルが好適である。精製ヘキサアセテートの溶液中に残留する酸を次いで、特
にこの溶液を塩基水溶液で洗浄して中和することができる。好適な塩基水溶液の
非限定例は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリ
ウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムを包含する。特に好ましくは、使用す
る塩基水溶液は重炭酸ナトリウムおよび重炭酸カリウムである。さらに、上記の
冷塩基水溶液を使用して酸を中和することもできる(或いは中和工程を精製前に
たとえば濾過前に粗製ヘキサアセテート溶液の洗浄により行うこともできる)。
有機層(中間体含有)および水層(たとえば重炭酸塩含有)を分離した後、精製
されたヘキサアセテート溶液から再び溶剤をストリップ除去して、典型的には上
記と同様に精製中間体を含有する油状物を生成させる。
残留アセチル化剤(たとえば無水酢酸)または(たとえば重炭酸ナトリウム溶
液による上記中和からの)水が精製ヘキサアセテート中に残留する場合は、適宜
の「共沸乾燥(azeo-drying)」工程を行うことができる。この工程においては
、精製された中間体をたとえばトルエン、イソプロパノールもしく
はn−プロパノールのような適する溶剤に溶解させる。次いで溶剤をストリップ
除去または蒸発させ、これに伴い共沸混合物が溶剤と上記汚染物とにより生成さ
れ、一層高度に精製されたヘキサアセテート生成物が残留する。
さらに本発明の他の実施態様によれば、アセトリシス生成物の精製は次のよう
に行うことができる。粗製ヘキサアセテート混合物を減圧蒸留により濃縮して、
酢酸を除去すると共に過剰の無水酢酸を保持することができる。次いで混合物を
低温の希塩基水溶液で希釈する。この目的に適する塩基の非限定令は水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム
および炭酸カリウムを包含する。希塩基水溶液は残留する酸触媒を中和する(酸
官能化樹脂を触媒として使用する場合は、粗製ヘキサアセテート混合物を濾過し
、濃縮し、次いで水により希釈する)。中和工程の後に得られた生成物を酢酸エ
チルとヘプタンもしくはトルエンとの混合物でに抽出する。有機物を合して水の
み或いは塩基水溶液(たとえば重炭酸塩溶液)で洗浄し、次いで水洗する。
次いで溶液を減圧蒸留(たとえば回転蒸発)により油状物まで濃縮することが
でき、次いで上記溶剤系を用いて共沸乾燥さ
せることにより精製ヘキサアセテートを得る。
必要に応じ、精製ヘキサアセテートを次いで結晶化によりさらに精製すること
もできる。純ヘキサアセテート油状物を加熱しながら溶剤に溶解させ、次いで冷
却させる。使用しうる溶剤の非限定例は1−ブタノール、2−ブタノール、1−
プロパノール、2−プロパノール、エタノール、メタノールもしくは上記溶剤の
水溶液を包含する。
次いで、精製ヘキサアセテートの脱アセチル化(または鹸化)をたとえばCh
em.Ber.、第56巻、第1705頁(1923)およびJ.Chem.S
oc、第3166頁(1960)に記載されたような塩基性条件下で行うことが
できる。特に脱アセチル化は、ヘキサアセテートをメタノールに溶解させ、次い
でリチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、バリウムメトキシドおよびカリ
ウムメトキシドから選択される塩基性触媒(ナトリウムメトキシドが好適である
)を添加して行うことができる(或いは触媒をヘキサアセテートの前に溶剤に添
加することもできる)。触媒の量は約0.01〜約0.05モル当量の範囲とす
ることができる(或いは有意な量のアセチル化剤が残留すればそれ以上である)
。反応を室温で開始して、D−
chiro−イノシトール生成物を即座に沈澱させることができ、次いでたとえ
ば12時間まで加熱還流して反応を継続することができる。冷却すると、生成物
はたとえば濾過および乾燥により容易に単離することができる。
ヘキサアセテートを脱アセチル化する他の可能な手段は、中間体をChem.
Ber.、第92巻、第173頁(1959)に記載されたように酸を含む適量
の溶剤と反応させることを含む。たとえば、中間体をメタノールもしくはエタノ
ールおよび塩酸もしくは硫酸と反応させることができる。好ましくは、メタノー
ルおよび硫酸を使用する。用いうる他の脱アセチル化法はH.S.カーデム、カ
ーボハイドレート・ケミストリー:単糖類およびそのオリゴマー、アカデミック
・プレス社[サンジエゴ、1988](アセトンにおける水酸化ナトリウムを用
いる酢酸エステルの分解)並びにT.W.グリーンおよびP.G.M.ワッツ、
有機合成における保護基、ウィリー・アンド・サンズ社(ニューヨーク、199
1)、第90頁および第418〜480頁(種々可能な試薬および条件の確認)
に記載されている。
上記方法は相当な純度のD−chiro−イノシトール生成
物を生ずるが、この生成物をたとえば再結晶化によりさらに精製することが望ま
しい。この精製工程の実施態様においては、生成物をたとえば水のような適する
溶媒に溶解させ、次いで結晶化を誘発させ(たとえばメタノールおよび/または
エタノールの添加による)、さらに固体生成物を慣用手段によって回収する。さ
らに、生成物の脱色が必要であれば、D−chiro−イノシトールをまだ溶液
状態であるときに活性炭で処理することもできる。
本明細書の全体にわたり、次の用語は以下の特定の意味を有する:
ここで用いる「芳香族炭化水素」という用語は、限定はしないがベンゼン、キ
シレンおよびトルエンを包含する6〜10個の炭素原子を有する環式不飽和炭化
水素を意味する。
ここで用いる「長鎖炭化水素」という用語は、限定はしないがペンタン、ヘキ
サンおよびヘプタンを包含する5〜10個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝
鎖の飽和炭化水素を意味する。
以下、本発明の範囲を限定するものでないが、例示の目的で実施例を参照して
本発明の方法をさらに説明する。本明細書に
おいて引用した文献は、参考のためここに全て引用する。
実施例1 カスガマイシンからのヘキサ−O−アセチル−D−chiro−イノシトールの 製造
本発明の代表的な方法にて、中間体ヘキサ−O−アセチル−D−chiro−
イノシトールを次の手順により作成した。10mLの無水酢酸と10mLの酢酸
と2滴の濃硫酸中のカスガマイシン塩酸塩(0.98g)2.36ミリモル;シ
グマ・ケミカル・カンパニー、セントルイス)を窒素下で24時間にわたり10
0℃にて加熱した。冷却した後、褐色混合物を回転蒸発(最高浴温、65〜70
℃)により褐色油状物まで濃縮した。この油状物を100mLの酢酸エチルと混
合ヘキサンとの1:1混合物(容量)で希釈し、1時間にわたり加熱還流させた
。その結果、褐色固形物を含む透明なややコハク色の溶液が得られた。室温まで
冷却した後、この混合物を予め1:1の酢酸エチル/ヘキサンで濡らした短いシ
リカゲルの短プラグ(約20g)で濾過した。シリカ濾過材を300mLの1:
1酢酸エチル/ヘキサンで洗浄した。集めた有機フラクションを合し、回転蒸発
によりコハク色油状物まで濃縮し、これはシリカゲル
薄層クロマトグラフィープレートにて容易に移動することが判明し(Rf=0.
27、1:1の酢酸エチル/ヘキサンを使用)、1〜2分間にわたり加熱した後
にホスホモリブデン酸で可視化することができた。これらの結果とヘキサ−O−
アセチルmyo−イノシトールにつき報告したデータとの類似性に基づき、生成
物はヘキサ−O−アセチル−D−chiro−イノシトールであると同定された
。
実施例2 ヘキサ−O−アセチル−D−chiro−イノシトールの物理的特性
上記方法で作成した生成物をシリカゲルおよび1:1酢酸エチル/ヘキサンを
用いるクロマトグラフィーによりさらに精製し、淡コハク色油状物まで濃縮した
。65℃にて1晩にわたり減圧オーブン内で残留溶剤を除去して61%の油状物
を得、これは所望生成物と一致する1H NMRスペクトルを示した。回転対称
軸のため、僅か3個のアセテート信号のみがプロトン スペクトルに存在し、比
較的簡単なシグナルパターンが観察された。1
H NMR(300 MHz、CDCl3):δ1.99
(s、6H);2.04(s、6H);2.19(s、6H);5.29(dt
、2H);5.38(d、2H);5.42(dd、2H)。
実施例3 カスガマイシンからのヘキサ−O−アセチル−D−chiro−イノシトールの 製造
本発明による別の方法にて、5mLの無水酢酸と5mLの酢酸と0.26mL
の濃硫酸中のカスガマイシン(1.00g)を窒素下で100℃にて24時間に
わたり加熱した。暗褐色の混合物を室温まで冷却し、回転蒸発により油状物まで
濃縮した。この残留物を酢酸エチルとヘプタンとの3:2混合物(容量)25m
Lに20分間かけてスラリー化させ、次いで予め酢酸エチルで濡らした2gのシ
リカゲルで濾過した。濾過材を15mLの3:2酢酸エチル/ヘキサンで洗浄し
、集めた有機フラクションを合した。次いで、これらを飽和重炭酸ナトリウム水
溶液(4×50mL)と水(1×50mL)とブライン(1×50mL)で洗浄
し、硫酸ナトリウムで脱水した。得られた物質を粗い焼結ガラス漏斗で濾過し、
回転蒸発により油状物まで濃縮した。
次いで、この油状物を20mLのトルエンに溶解し回転蒸発器を用いて再濃縮
することにより共沸乾燥させた。得られた0.95gの淡コハク色油状物はTL
Cによりヘキサアセテート中間体であると同定された。
実施例4 ヘキサ−O−アセチル−D−chiro−イノシトールからD−chiro−イ ノシトールへの変換
実施例3のヘキサアセテート生成物(0.83g)を10mLのメタノールに
溶解した。3滴の25%NaOMe/MeOHを撹拌溶液に添加し、次いでこれ
を15時間にわたり加熱還流させた。このスラリーを室温まで冷却し、固体を濾
過により回収した。集めた固体を次いで周囲温度のエタノール(約5mL)で洗
浄し、次いで一定重量になるまで75℃の減圧オーブン内で乾燥して、D−ch
iro−イノシトール(0.28g、80%収率)を得、これは1H NMRに
より>98%の純度であった。
実施例5 カスガマイシンからのヘキサ−O−アセチル−D−chiro−イノシトールの 製造
275gの酢酸と275gの無水酢酸と12gの硫酸中のカスガマイシン(1
20g)(科研製薬日本)を窒素下に90℃にて15時間にわたり加熱した。こ
の混合物を回転蒸発により332gの正味重量まで濃縮し、次いで室温まで冷却
した。濃縮した反応混合物を、予め5℃まで冷却した350mLの水と350m
Lの酢酸エチル/ヘプタン(5:1、容量/容量)との間に分配させた。有機物
を合して200mLづつの水で3回洗浄し、次いで回転蒸発により濃縮した。得
られた油状物をトルエン(154g)で希釈し、次いで濃縮して油状物(117
g)を得た。この残留油状物をイソプロパノール(80g)に溶解し、油状物ま
で濃縮した(112g)。
残留油状物を温(65℃)イソプロパノール(120g)に溶解することによ
り、ヘキサアセテートを再結晶化させた。冷却溶液を1晩にわたり撹拌した後、
固体を集めて精製ヘキサアセテート(92g)を得た。40%水性メタノール(
142g)からさらに再結晶化させて、ガスクロマトグラフィー(GC)
により測定し>99.5%の純度を有する75gのヘキサアセテートを得た。
実施例6 ヘキサ−O−アセチル−D−chiro−イノシトールの変換
実施例5からのヘキサアセテートを、メタノール(150g)および濃塩酸(
2.5g)にて55℃まで15時間加熱した。5℃まで1時間かけて冷却した後
、固体(27.8g)を回収した。
D−chiro−イノシトールを水(83g)に溶解し、活性炭と共に65〜
75℃にて1時間加熱し、濾過し、次いで65gの正味重量まで回転蒸発により
濃縮した。この溶液を75℃まで加熱し、次いで65℃より高い液温を維持しな
がらエタノールで希釈した。冷却溶液を1晩撹拌した後、固体を集め、次いで2
4.8gまで乾燥させた。水(30g)およびエタノール(149g)からの再
結晶化により、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定して>99.8
%の純度を有するD−chiro−イノシトール24.0gを得た。
以上の詳細な説明および実施例は単に例示であって本発明の範囲を限定するも
のでないことが了解されよう。開示した実施
例につき各種の改変をなしうることも当業者には了解されよう。この種の改変は
限定はしないが本発明の方法で使用した試薬、濃度および反応条件をも含み、本
発明の思想および範囲を逸脱するものでないことが了解されよう。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C07C 29/88 C07C 29/88
29/94 29/94
67/08 67/08
67/62 67/62
69/21 69/21
// C07B 61/00 C07B 61/00
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),AU,CA,JP,MX
(72)発明者 チエンバーリン,ステイーブン・エイ
アメリカ合衆国、イリノイ・60085、ウオ
ーキーガン、ノース・アベニユー・408
(72)発明者 ロビンソン,グレツグ・イー
アメリカ合衆国、イリノイ・60076−2142
スコウキー、キーストーン・8447
【要約の続き】
模製造を可能にする。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. (a) カスガマイシンをアセチル化剤と反応させて粗製ヘキサアセテー トを生成させ; (b) 粗製ヘキサアセテートを精製して精製ヘキサアセテートを生成させ; (c) 精製ヘキサアセテートを脱アセチル化してD−chiro−イノシトー ルを生成させ; (d) D−chiro−イノシトールを単離する 工程を含むことを特徴とするカスガマイシンからのD−chiro−イノシトー ルの製造方法。 2. 工程(a)における反応を酸触媒の存在下に行う請求の範囲第1項に記載 の方法。 3. アセチル化剤を無水酢酸、無水酢酸と酢酸との混合物、無水トリフルオロ 酢酸、無水トリフルオロ酢酸とトリフルオロ酢酸との混合物、およびハロゲン化 アセチルと酢酸との混合物よりなる群から選択する請求の範囲第2項に記載の方 法。 4. アセチル化剤が無水酢酸と酢酸とを約1:1〜10:1の比で含む混合物 である請求の範囲第3項に記載の方法。 5. 酸触媒を鉱酸およびルイス酸よりなる群から選択する請求の範囲第2項に 記載の方法。 6. 鉱酸を塩酸、臭化水素酸、弗化水素酸、硝酸、硫酸および過塩素酸よりな る群から選択する請求の範囲第5項に記載の方法。 7. 酸触媒が酸官能化された樹脂である請求の範囲第2項に記載の方法。 8. 酸触媒が樹脂に担持されたスルホン酸である請求の範囲第7項に記載の方 法。 9. ルイス酸をBF3−エーテル化物およびFeCl3よりなる群から選択する 請求の範囲第5項に記載の方法。 10. 酸触媒を硫酸および過塩素酸よりなる群から選択する請求の範囲第2項 に記載の方法。 11. 工程(b)における精製が、 (i) アセチル化剤を実質的に除去して残留物を生成させ; (ii) 残留物を適する溶剤系で希釈して粗製ヘキサアセテートの溶液を生成さ せ; (iii) 粗製ヘキサ−O−アセチル−D−chiro−イノシトールの溶液を濾 過して精製ヘキサアセテートの溶液を生成さ せ; (iv) 溶剤を実質的に除去する ステップを含む請求の範囲第1項に記載の方法。 12. ステップ(i)におけるアセチル化剤の除去をアセチル化剤の減圧蒸発 により行う請求の範囲第11項に記載の方法。 13. ステップ(ii)における溶剤系がアセトン、メタノール、エタノール、 酢酸エチル、CH3CN、CH2Cl2、CHCl3および1,2−ジクロルエタン よりなる群から選択される第1の極性溶剤を含む請求の範囲第11項に記載の方 法。 14. 溶剤系が長鎖炭化水素および芳香族炭化水素よりなる群から選択される 第2の非極性溶剤をさらに含む請求の範囲第11項に記載の方法。 15. 第2の非極性溶剤をペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、キシレ ンおよびトルエンよりなる群から選択する請求の範囲第14項に記載の方法。 16. 溶剤系が約1:1の比で含む酢酸エチルとヘキサンもしくはトルエンと の混合物である請求の範囲第15項に記載の方法。 17. ステップ(iii)における濾過が、粗製ヘキサアセテー トの溶液をシリカゲル、アルミナ、活性炭、珪藻土およびアルミナと珪藻土との 混合物よりなる群から選択される濾過材を通すことからなる請求の範囲第11項 に記載の方法。 18. 濾過材がシリカゲルである請求の範囲第17項に記載の方法。 19. ステップ(ii)と(iii)との間に、粗製ヘキサアセテートの溶液を中 和する追加ステップを含む請求の範囲第11項に記載の方法。 20. 中和を、粗製ヘキサアセテートの溶液を塩基水溶液で洗浄して行う請求 の範囲第19項に記載の方法。 21. 塩基水溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、 重炭酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムよりなる群から選択する請 求の範囲第20項に記載の方法。 22. ステップ(iii)と(iv)との間に、精製ヘキサアセテートの溶液を中 和する追加ステップを含む請求の範囲第11項に記載の方法。 23. 中和を、精製ヘキサアセテートの溶液を塩基水溶液で洗浄して行う請求 の範囲第22項に記載の方法。 24. 塩基水溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、 重炭酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムよりなる群から選択する請 求の範囲第23項に記載の方法。 25. ステップ(iv)の後に、精製ヘキサアセテートを共沸乾燥させる追加ス テップを含む請求の範囲第11項に記載の方法。 26. 共沸乾燥をトルエン、イソプロパノールおよびn−プロパノールよりな る群から選択される溶剤を用いて行う請求の範囲第25項に記載の方法。 27. 工程(c)における脱アセチル化を、メタノールおよびエタノールより なる群から選択される溶剤にヘキサアセテートを溶解させ、充分量のリチウムメ トキシド、ナトリウムメトキシド、バリウムメトキシドおよびカリウムメトキシ ドよりなる群から選択される塩基性触媒を添加して脱アセチル化を生ぜしめるこ とにより行う請求の範囲第1項に記載の方法。 28. 塩基性触媒がナトリウムメトキシドである請求の範囲第27項に記載の 方法。 29. 工程(c)における脱アセチル化を、ヘキサアセテー トを溶剤および酸と反応させて行う請求の範囲第1項に記載の方法。 30. 溶剤をメタノールおよびエタノールよりなる群から選択する請求の範囲 第29項に記載の方法。 31. 酸を塩酸および硫酸よりなる群から選択する請求の範囲第29項に記載 の方法。 32. 工程(c)における脱アセチル化を、ヘキサアセテートをメタノールお よび硫酸と反応させて行う請求の範囲第29項に記載の方法。 33. 溶剤をメタノールおよびエタノールよりなる群から選択する請求の範囲 第29項に記載の方法。 34. 酸を塩酸または硫酸よりなる群から選択する請求の範囲第29項に記載 の方法。 35. 工程(d)における単離の後に、再結晶化によりD−chiro−イノ シトールを精製する追加工程を含む請求の範囲第1項に記載の方法。 36. D−chiro−イノシトールの再結晶化が、 (i)D−chiro−イノシトールを水に溶解させ; (ii)D−chiro−イノシトールを溶液から沈澱させる ステップを含む請求の範囲第35項に記載の方法。 37. (a) カスガマイシンをアセチル化剤と反応させて粗製ヘキサアセテ ート混合物を生成させ; (b) 粗製ヘキサアセテート混合物を濃縮し; (c) 粗製ヘキサアセテート生成物を溶剤系で抽出し; (d) 粗製ヘキサアセテートを水洗し; (e) 粗製ヘキサアセテート溶液を濃縮して精製ヘキサアセテートを生成させ ; (f) 精製ヘキサアセテートを脱アセチル化してD−chiro−イノシトー ルを生成させ; (g) D−chiro−イノシトールを単離する 工程を含むことを特徴とするカスガマイシンからのD−chiro−イノシトー ルの製造方法。 38. 粗製ヘキサアセテートを減圧蒸留により濃縮する請求の範囲第37項に 記載の方法。 39. 濃縮された粗製ヘキサアセテートを、溶剤系で抽出した後に中和する請 求の範囲第37項に記載の方法。 40. 中和を、濃縮された粗製ヘキサアセテートの溶液を塩基水溶液で洗浄し て行う請求の範囲第39項に記載の方法。 41. 塩基水溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、 重炭酸カリウム、炭酸ナトウムおよび炭酸カリウムよりなる群から選択する請求 の範囲第40項に記載の方法。 42. 中和を精製ヘキサアセテートの生成後に行う請求の範囲第39項に記載 の方法。 43. 中和を、精製ヘキサアセテートの溶液を塩基水溶液で洗浄して行う請求 の範囲第42項に記載の方法。 44. 塩基水溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、 重炭酸カリウム、炭酸ナトウムおよび炭酸カリウムよりなる群から選択する請求 の範囲第43項に記載の方法。 45. 溶剤系が酢酸エチル、CH3CN、CH2Cl2、CHCl3および1,2 −ジクロルエタンよりなる群から選択される第1の極性溶剤を含む請求の範囲第 37項に記載の方法。 46. 溶剤系が長鎖炭化水素および芳香族炭化水素よりなる群から選択される 第2の非極性溶剤をさらに含む請求の範囲第37項に記載の方法。 47. 第2の非極性溶剤をペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、キシレ ンおよびトルエンよりなる群から選択する請 求の範囲第46項に記載の方法。 48. 溶剤系が酢酸エチルとヘキサンもしくはトルエンとを約1:1〜10: 1の比で含む混合物である請求の範囲第37項に記載の方法。 49. ステップ(d)が、粗製ヘキサアセテート生成物を先ず塩基水溶液で洗 浄し、次いで水洗することを含む請求の範囲第37項に記載の方法。 50. 塩基水溶液が重炭酸塩溶液である請求の範囲第49項に記載の方法。 51. 粗製ヘキサアセテートを共沸乾燥により濃縮する請求の範囲第37項に 記載の方法。 52.共沸乾燥をトルエン、イソプロパノールおよびn−プロパノールよりなる 群から選択される溶剤を用いて行う請求の範囲第51項に記載の方法。 53. 精製ヘキサアセテートを、純ヘキサアセテートを溶剤中に加熱しながら 溶解させ、次いでこれを冷却させることによりさらに精製する請求の範囲第37 項に記載の方法。 54. 溶剤を1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロ パノール、エタノール、メタノールおよび上 記溶剤の水溶液よりなる群から選択する請求の範囲第53項に記載の方法。 55. D−chiro−イノシトールを再結晶化によりさらに精製する請求の 範囲第37項に記載の方法。 56. D−chiro−イノシトールの再結晶化が、 (i) D−chiro−イノシトールを水に溶解させ; (ii) D−chiro−イノシトールを溶液から沈澱させるステップを含む請 求の範囲第55項に記載の方法。 57. 前記溶解されたD−chiro−イノシトールを沈澱前に塩基性樹脂で 中和する請求の範囲第56項に記載の方法。 58. 脱アセチル化工程を、ヘキサアセテートを溶剤および酸と反応させて行 う請求の範囲第37項に記載の方法。 59. 溶剤をメタノールおよびエタノールよりなる群から選択する請求の範囲 第58項に記載の方法。 60. 酸を塩酸または硫酸よりなる群から選択する請求の範囲第58項に記載 の方法。 61. 脱アセチル化工程を、ヘキサアセテートをメタノールおよび硫酸と反応 させて行う請求の範囲第58項に記載の方法。
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