JPH10507625A - 宿主細胞における蛋白産生の改良 - Google Patents

宿主細胞における蛋白産生の改良

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JPH10507625A JP8508356A JP50835696A JPH10507625A JP H10507625 A JPH10507625 A JP H10507625A JP 8508356 A JP8508356 A JP 8508356A JP 50835696 A JP50835696 A JP 50835696A JP H10507625 A JPH10507625 A JP H10507625A
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Abstract

(57)【要約】 蛋白をコードする核酸がエクソンにAおよび/またはT富裕領域を有する場合に宿主細胞で該蛋白産生を増加させる方法。該方法は、Aおよび/またはT富裕領域の量を低下させ、さらに該改変核酸を宿主細胞にトランスフェクションさせて該核酸の発現を得ることを含む。本発明はまた、該リコンビナント核酸構築物、精製蛋白調製物および製造された医薬組成物の他、該精製蛋白調製物を利用する治療方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 宿主細胞における蛋白産生の改良発明の分野 本発明は、一般に宿主細胞における蛋白の改良された産生に関する。特に、本 発明は、治療または試薬に利用するために必要でありながら、十分な量を得るこ とが困難である蛋白の改良された産生に関する。本発明はまた、当該蛋白をコー ドする組換え体(リコンビナント)核酸分子を製造する方法、該リコンビナント 核酸分子およびそれを含むリコンビナント構築物、並びにそれによって製造され る蛋白に関する。特に重要なものは、ホルモン、サイトカイン、成長因子、レセ プターおよびそのリガンド、並びに補体調節蛋白を含む細胞表面蛋白をコードす る核酸分子である。発明の背景 有用な蛋白をコードする多くの遺伝子およびcDNAが分離されたが、研究者 が直面している主要な問題は、一層の研究のためおよび診断または治療的利用の ために十分量のリコンビナント蛋白を製造することである。このことは、該蛋白 の産業的生産が必要とされる場合に特に言えることである。特に、ホルモン、サ イトカイン、成長因子、レセプターとそのリガンドおよび組み換え手段による他 の蛋白の製造が試みの中心となっている。 例を挙げれば、細胞表面分子、CD46(膜補助因子ま たはMCPとしても知られている)は、真核細胞宿主では種々の発現ベクターを 用いる他のcDNA構築物の場合と同様に発現されなかった。同様な懸念がCD 55(DAF)およびCD35(CR1)並びにH因子について生じたが、これ らは、CD46と同様に補体活性化調節物質(Regulators of Complement Activa tion(RCA))と呼ばれる種類の蛋白に属する。 補体活性化調節物質は補体カスケードの増幅を制御する。この種類に属するも のは各々構造的な特徴、主に〜60−65アミノ酸の小コンセンサスリピート( SCR)モジュールを共有するが、これは、補体結合と調節機能を担当する。こ の種類に属するものをコードする遺伝子は染色体1q3.2と連動し、この染色 体にマッピングされている。 これら分子は炎症および恒常性について生物学的に重要である。しかしながら 、これらの分子は、人間への移植のためにブタおよび他の器官の使用の可能性に ついて現時点でまた別の利用性を有する。そのような外来性器官は抗体および補 体仲介過敏性拒絶反応を受ける。 CD46および他のRCAに関する研究の限界は、一時的または安定系のいず れかでリコンビナント蛋白をコードする構築物をトランスフェクション(transf ection)させた際、極めて僅かな細胞しかトランスフェクションされず、しかも それらは僅かな蛋白しか発現しないということであった。実際、本発明者らおよ び他の研究室では、巧妙な細胞の分類、クローニングおよび選別工程が適切な細 胞を分離するために必要であった。このことは、特にリコンビナ ントCD46の分析、その生理学的役割および治療剤としての価値に関して問題 をもたらした。 本発明につながる研究で、驚くべきことに本発明者らは、CD46をコードす る核酸の改変はトランスフェクションさせた真核細胞宿主で高レベルのCD46 の産生をもたらすことを見出した。CD46の野性型遺伝子から得られる場合の 8倍に及ぶ蛋白産生が認められた。これらの改変は、核酸のアデニン(A)およ び/またはチミン(T)富裕領域におけるAおよび/またはTの量もしくは割合 の減少を含む。 本発明者らは、エクソンのAT富裕領域における改変は蛋白産生の増加をもた らすことを発見した最初の者である。発明の要旨 本発明は、宿主細胞での蛋白産生を増加または改良する方法を提供する。この 場合、該蛋白をコードする核酸はエクソンに存在するAおよび/またはT富裕領 域を有し、当該方法は、当該領域のAおよび/またはT量を減少もしくは低下さ せることによって核酸を変化させ、さらに当該核酸を宿主細胞にトランスフェク ションさせ、適切な条件下で当該核酸を発現させることを含む。 本発明の別の特徴は、宿主細胞のRCA蛋白の産生を増強させる方法を提供す ることであるが、この場合、RCAをコードする核酸はそのエクソンの1つまた は2つ以上に存在するAおよび/またはT富裕領域をもち、本方法は、当該Aお よび/またはT富裕領域のAおよび/またはT量 を低下させることによって核酸を変化させ、当該核酸を宿主細胞にトランスフェ クションさせ、さらに適切な条件下で当該核酸を発現させることを含む。 本発明のまた別の特徴は宿主細胞でのRCA蛋白の産生を増加させる方法に関 し、これは、AT富裕領域を含むSCRモジュールまたはその部分を欠失させる ことによってRCAをコードする核酸を変化させ、当該改変核酸を宿主細胞にト ランスフェクションさせ、さらに適切な条件下で当該核酸を発現させることを含 む。 本発明はまた宿主細胞で蛋白の産生を高めることができるリコンビナント核酸 構築物に関する。この場合、該蛋白をコードする核酸内のエクソンの1つまたは 2つ以上に存在する1つまたは2つ以上のAおよび/またはT富裕領域のAおよ び/またはT量が減少させられる。 本発明はまた、本発明の方法によって製造された蛋白、本発明の構築物によっ てコードされた蛋白、医薬組成物、該構築物をトランスフェクションさせた宿主 細胞、および該蛋白を発現する遺伝子導入(transgenic)動物に関する。 本発明はまた蛋白をコードする変異遺伝子の製造方法に関する。この場合、当 該変異遺伝子は該蛋白の産生を高めることができ、当該方法は、Aおよび/また はT富裕領域のAおよび/またはT量を減少もしくは低下させることによって、 1つまたは2つ以上のエクソンに存在する1つまたは2つ以上の当該領域につい て遺伝子を変異させることを含む。図面の簡単な説明 図1:変異SCR2およびSCR3領域のCD46構築物の配列。該配列の番 号付与はcDNAクローンpm5.1(Purcellら、1991)を基にし、ヌクレオチ ド303(nt303)の末端からSCR3(nt564)の開始点へと伸長する。SCR結合 部は示されている。構築物wtSCR(pm5.1に匹敵)の完全な配列は、対 応する一文字記号のアミノ酸配列によってその上に示されている。構築物のいず れかの置換されたヌクレオチドには下線を付してある。subSCR2、sub SCR3およびsubSCR2+3構築物については、wtSCRと一致する配 列はドット(.)で示され、置換されたヌクレオチドは表示されている。欠失変 異体構築物は、SCR2欠失は空白で表示されているという点を除き他の構築物 の場合と同様である。 図2:野性型および変異体構築物による一時的トランスフェクション後のCO S細胞のフローサイトメトリー。フローサイトメトリーは材料と方法の項で述べ るように実施した。全ての細胞はCD46mAbE4.3で染色した。パネルA は擬似トランスフェクションさせたCOS細胞を示す。パネルBはsubSCR 2トランスフェクション細胞(―)を上に重ねたwtSCRトランスフェクショ ン細胞(----)についての像を示し、パネルCはsubSCR3(―)を上に重 ねたwtSCR(----)を示し、パネルDはsubSCR2+3(―)を上に重 ねたwtSCR(----)を示し、パネルEはdelSCR2/subSCR3( ―)を上に重ねたwtSCR(----)を示す。変異構築物は各々 の事例において右に移動した像を出現させた。 図3:CD46構築物(材料と方法の項参照)でトランスフェクションさせた COS細胞溶解物のウェスタンブロット分析。レーンは5×106/mlの希釈 の細胞溶解物40μlを含む。レーンの左から右の順で、トランスフェクション 体WOP−5.10L(CD46BC2)(1/5希釈);DNAの非存在下で トランスフェクションさせたCOS細胞の溶解物の1/10希釈および1/50 希釈;wtSCR2でトランスフェクションさせたCOS細胞溶解物の1/10 希釈および1/50希釈;subSCR2でトランスフェクションさせたCOS 細胞溶解物の1/10希釈および1/50希釈;subSCR3でトランスフェ クションさせたCOS細胞溶解物の1/10希釈および1/50希釈;並びにs ubSCR2+3でトランスフェクションさせたCOS細胞溶解物の1/10希 釈および1/50希釈。分子量マーカーは表示されている。 図4:COS細胞溶解物の準定量放射性免疫アッセー(材料と方法を参照)。 同等数のトランスフェクションされた細胞を各サンプルについて用いた。標準誤 差とともに結合平均カウント数(二組)を希釈因子に対して示す。滴定曲線は、 擬似(■)、wtSCR(□)およびsubSCR2+3(●)トランスフェク ションされた細胞の溶解物についてである。 図5:CD46構築物でトランスフェクション後168時間のCOS細胞の無 血清上清のウェスタンブロット分析(材料と方法を参照)。レーンは40μlの 未希釈上清を 含む。左から右へ順に、細胞表面構築物subSCR2+3、可溶性構築物so l−wtSCR、ブランク、可溶性構築物sol−subSCR3およびDNA 無し(擬似トランスフェクション)でトランスフェクションさせた細胞の上清を 含む。分子量マーカーは表示されている。 図6:COS細胞上清の準定量放射性免疫アッセー(材料と方法を参照)。各 サンプルについて同等量の組織培養上清を用いた。結合平均カウント数(二組) を希釈因子に対して示す。滴定曲線は、擬似(■)、sol−wtSCR(□) およびsol−subSCR3(●)トランスフェクション細胞の上清について である。 図7:トランスフェクションCOS細胞のCD46mRNAのノザンブロット 分析。トランスフェクション後48時間のCOS細胞から調製した全RNAを電 気泳動で分離した(10μg/トラック)。ノザンブロットの方法は材料と方法 の項で述べるとおりである。28Sおよび18SリボソームRNAバンドの位置 は表示されている。レーン1−5は、DNA無し、wtSCR、subSCR2 、subSCR3およびsubSCR2+3でトランスフェクションさせたCO S細胞から調製したRNAをそれぞれ含んでいる。 図8:トランスフェクションさせたCOS細胞のCD46mRNAのサザンブ ロット。トランスフェクションさせた後48時間のCOS細胞から調製したDN Aを電気泳動(5μg/トラック)で分離した。サザンブロットの方法は材料と 方法で述べるとおりでる。レーン1−5は、DN A無し、wtSCR、subSCR2、subSCR3およびsubSCR2+ 3でトランスフェクションさせたCOS細胞から調製したRNAをそれぞれ含ん でいる。 図9:野性型および変異体構築物で安定的にトランスフェクションさせた後の CHO細胞のフローサイトメトリー。フローサイトメトリーは、材料と方法の項 で述べる通りである。全ての細胞をCD46mAbE4.3で染色した。パネル Aはpgk−neoトランスフェクションCHO細胞を示す。パネルBは、su bSCR2トランスフェクション細胞(―)を上に重ねたwtSCRトランスフ ェクション細胞(----)についての像を示し、パネルCはsubSCR3(―) を上に重ねたwtSCR(----)を示し、パネルDはsubSCR2+3(―) を上に重ねたwtSCR(----)を示す。 図10:合成CD46転写物のインビトロ翻訳。レーンは、表示したキャップ 付加mRNAの35Sメチオニン標識インビトロ翻訳生成物を含む。矢印は予想 される非グリコシル化蛋白サイズを示し、分子量マーカーは表示されている。 図11:CHO−K1細胞溶解物の準定量放射性免疫アッセー(材料と方法を 参照)。同等数のトランスフェクション細胞を各サンプルにつき用いた。標準誤 差とともに結合平均カウント数(二組)を希釈因子に対して示す。滴定曲線は、 擬似(■)、可溶性wtScR(□)および可溶性subSCR3(●)トラン スフェクション細胞についてである。配列リストの要約 配列番号1 アミノ酸翻訳を示すwtSCRのCDNA配列 配列番号2 アミノ酸翻訳を示すsubSCR2のcDNA配列 配列番号3 アミノ酸翻訳を示すsubSCR3のcDNA配列 配列番号4 アミノ酸翻訳を示すsubSCR2+3のcDNA配列 配列番号5 アミノ酸翻訳を示すdelSCR2subSCR3のcDNA配列好ましい実施例の詳細な説明 本発明の第一の特徴は宿主細胞における蛋白産生の増加または改良の方法を提 供することである。この場合、該蛋白をコードする核酸はエクソンに存在するA およびT富裕領域を有し、当該方法は、当該領域のAおよび/またはTの量を減 少もしくは低下させることによって該核酸を変化させ、宿主細胞を当該核酸でト ランスフェクションさせ、さらに適切な条件下で当該核酸を発現させることを含 む。 “蛋白産生を増加または改善する”という語句は、宿主細胞で日常的に発現さ れるよりも多く所望蛋白の産生をもたらすことを指し、蛋白産生の強化を含む。 本発明の方法は、蛋白産生レベルが至適なものより低い場合にはるかに高い蛋白 産生レベルを提供することを特に目的とするが、 このような状況に限定されるものではない。 “宿主細胞”とは、該蛋白をコードする核酸を発現することができるいずれの 細胞も意味する。原核細胞および真核細胞の両方が含まれる。 “蛋白をコードする核酸”とはDNAおよびRNAを含む核酸を意味し、イン トロンおよびエクソン並びにcDNA分子を含む遺伝子を包含する。この用語は また、合成プリンおよびピリミジン塩基を含むかまたはそれらで構成される核酸 を含む。 “Aおよび/またはT富裕領域”という語句は、平均量よりも多いAおよび/ またはTを含む一続きのヌクレオチドを指し、また別には“AT富裕領域”とも 呼ばれる。これは、その核酸が由来する特定の種の平均より多いAT含有量をも つ一続きのヌクレオチドを意味する。例えば、ヒトの蛋白をコードする核酸のA T富裕領域は、特定の区間のヌクレオチド配列で60%より多いAおよび/また はTを含む領域であろう。AT富裕領域という用語は、核酸がRNAの場合には AU富裕領域を含み、さらに“Aおよび/またはT”はまたRNAの場合には“ Aおよび/またはU”を含むことは理解されよう。 “エクソン”という用語は実際に蛋白をコードする核酸部分を意味する。 “当該領域でAおよび/またはTの量を減少させまたは低下させることによっ て核酸を変化させる”という語句は、AT富裕領域のAおよび/またはTヌクレ オチドを他の塩基(例えばGもしくはCまたは合成ヌクレオチド)によっ て置換すること、またはこれらのヌクレオチドを別の塩基で置換しないで欠失さ せることを意味する。通常そのような欠失は“枠内(インフレーム)”欠失であ り、したがって読み枠移動(フレームシフト)を生じない。Aおよび/またはT 量の減少もしくは低下は、Gおよび/またはCヌクレオチドに対してAおよび/ またはTの比率を低下させることも含む。“変異”という用語はまた本明細書を 通してそのような変化を指すために用いられる。 ヌクレオチドが他の塩基によって置換される場合、該コドンが同じアミノ酸を コードすることができるように生じた変化は非表現型(silent)である。非表現型 変異(silent mutation)は当業者には周知で、最も一般的にはコドンの第三のヌ クレオチドの改変を伴う。 また別にこの置換は保存的、すなわち、具体的な本来のアミノ酸と同様な特性 を有するアミノ酸に特異的なコドンをもたらす。適切な保存的アミノ酸置換は下 記の表Aに示される。どの塩基が保存的アミノ酸置換を付与する置換かを当業者 は知りえるであろう。 典型的置換は表Aにしたがって実施される置換である。 また別に、完全に異なるコドンを、所望される蛋白に応じてAもしくはT以外 のヌクレオチドの挿入によって作出することができる。 “トランスフェクション”という用語は、核酸を細胞に取り込ませることを意 味する。核酸は通常は発現ベクターなどの成分として存在する。結果として生じ るトランスフェクションは、一時的なもの(この場合遺伝子はエピゾーム上に存 在する)であっても安定的なものであってもよい。安定なトランスフェクション は、遺伝子が細胞ゲノムに組み込まれ安定的な遺伝が可能になる場合に達成され る。核酸はまた、宿主細胞に、例えばリコンビナントワクシニ アもしくはアデノウイルスの感染によってウイルスベクターを介して導入するこ とができる。 本発明の方法は、そのエクソン内にAT富裕領域をもつ核酸によってコードさ れる全ての蛋白の産生を高めることを包含するが、この場合該蛋白は真核細胞系 で産生されることが所望される。候補蛋白をコードする核酸は、例えばジェンバ ンク(GenBank)データベースのサーチのような標準的な手法によってそのエクソ ン内のAT富裕領域についてスクリーニングすることができる。これらの核酸に は、細胞表面蛋白、ペプチドホルモン、サイトカイン、成長因子、レセプターと そのリガンド、蛋白の産生を高めることが所望される治療的用途もしくは試薬と しての新規なリコンビナント蛋白をコードする核酸が含まれる。補体調節蛋白、 特に小コンセンサスリピートドメインを含む蛋白(例えばCD46)が特に重要 である。 本方法で用いられる原核細胞は、所望の遺伝子を発現するに適した何れの原核 細胞でもよい。これには、大腸菌(例えば、Escherichia coli MC1061, E .coli DH5α,E. coli NM522,EK12 およびE .coli W3110)、桿菌(例えば、Bacillus subtilis または他の腸内細菌(例えば、Salmonella typhimuriumまたはSerratia marcesans および種々のPseudomonas種)が含まれる。好ましくは、これらの微 生物の非病原性、弱毒株が用いられる。 本方法で用いられる真核細胞は、所望の遺伝子の発現に適したいずれの真核細 胞でも可能である。当業者に周知の適切な細胞は、COS-7,CHO-K1,WOP-3027,C 127,VERO, HeLa,W138,BHK,293,MDCKおよびL929のような動物細胞を含む。他のもの、例 えばSaccharomyces ,KluyveromycesPichia pastoris ,Schwanniomyces およびHansenula もまた適切である。 宿主細胞に核酸を導入するために用いられる適切なベクターは当業者には周知 である。適切な原核細胞ベクターには、pGEX、pKC30、pKK173− 3、pET−3および他のものが含まれる。これらのベクターは好ましくは、上 記のような選択宿主細胞に適合するレプリコンおよび制御配列を含む。例えば、 哺乳類細胞では、真核細胞での発現に対する制御機能は、通常ウイルス源(例え ばアデノウイルス2、ポリオーマ、HIV−1、ヒトサイトメガロウイルスおよ びSV40)によってもたらされる。 “適切な条件下で”という語句は、核酸の発現および蛋白の産生を得るために 適切な条件を意味する。培養条件、例えば栄養物、温度などは当業者には周知で あろう。 エクソンに存在するAT富裕領域のAおよび/またはT含有量を低下させるこ とにより提供される蛋白産生レベルの増加の機構について多くの説明が存在する ようである。そのような説明には、転写の安定性の改善、mRNAの細胞質への 移送の増加、リボソームによる翻訳効率の改善、mRNAの上部構造による翻訳 の増加または実際にはこれら要素の2つもしくはそれ以上の組合せが含まれる。 一般的に、蛋白産生の増加は蛋白翻訳速度の増加によって説明できるというのが 妥当なようである。蛋白産生の増加は無傷の細胞に限られ、無細胞翻訳系では明 らかではないとい うことを示唆するデータによって、この作用は、基質利用性や単純な構造的影響 や蛋白翻訳成分の単純な相互作用ではなく、むしろmRNA、転写物、リボソー ム、ポリゾーム、RNA結合蛋白および/または他の因子(例えば配列依存性三 次元mRNA構造)間の相互作用に起因するものであることが示唆される。 本発明に付随する蛋白産生の改良の要因となる正確な機構についてなおいくつ かの推測が存在する一方、細胞表面分子の発現については20倍またはそれを越 える蛋白産生の増加を得ることができる。特にCD46の翻訳の場合、Aおよび /またはT含有量における減少が開始コドンから約540塩基までの領域内で発 生するときにこの蛋白産生の増加がもっとも著しいようである。 好ましい具体例では、本方法で用いられる宿主細胞は真核細胞である。これは 、リコンビナント蛋白の翻訳後修飾(例えばグリコシル化、これは原核細胞宿主 または幾つかの昆虫細胞では必ずしも起こらないが。)を得ることがしばしば望 ましいことによる。 別の好ましい具体例では、核酸はそのエクソンの1つまたは2つ以上にAおよ び/またはT富裕領域を有するRCAをコードする。RCAは、とりわけCD4 6、CD55、CD35またはH因子であろう。 特に好ましい具体例では、本発明は、真核細胞でのCD46の産生の増加また は改善方法に関するが、ここでは、CD46をコードする遺伝子を、当該遺伝子 の1つもしくは2つ以上のエクソン内のAおよびT富裕領域のAおよび /またはT量を減少または低下させることによって変化させ、当該改変遺伝子を 真核細胞にトランスフェクションさせ、さらに適切な条件下で当該遺伝子を発現 させる。 本明細書で用いる“CD46”という用語は全ての天然のアイソフォームおよ びリコンビナント短縮(スプライス)変形体(ヒト細胞では通常発現されない天 然形を含む)を指す。 天然形であれリコンビナントであれ、いずれのCD46遺伝子も改変CD46 遺伝子の合成用出発点として用いることができる。これには天然のCD46遺伝 子およびPCT/AU91/00199(この文献は参照により本明細書に含ま れる)に開示されたCD46構築物が含まれる。定義によりエクソンを含むcD NACD46構築物が好ましい。本明細書の実施例ではPCT/AU91/00 199のクローンpm5.1が出発点として用いられる。 本発明の特に好ましい特徴として、当該改変は、小コンセンサスリピート(S CR)ドメインまたは仮定的ポリアデニル化シグナルをコードするAT富裕領域 に対して行われる。このことは、仮定的ポリアデニル化シグナルが蛋白コードエ クソン内に不適切に生じる場合に特に言えることである。より好ましいものは、 CD46cDNA構築物の第3および第4エクソン周辺の境界または結合部に対 する改変である。この第3および第4エクソンはSCRの1つをコードし、その 78%がAまたはTである一続きの49ヌクレオチドを含み、これを改変するこ とができる。さらに、隣接するエクソン5内のより小さなA富裕領域に対す る改変もまた別個に、または上記の改変と合わせて実施することができる。 これまで述べてきた当該改変の標的はエクソン3、4および5はではあったが 、CD46遺伝子の他の領域、例えばエクソン6および14も意図している。 改変は、AまたはTヌクレオチドを他の塩基で置換するか、または上記のよう に他の塩基で置換しないでAまたはTヌクレオチドを欠失させることによって達 成することができる。置換は必要とされる蛋白の構造によって左右され、非表現 型または保存的であろう。 さらにより好ましくは、図1のヌクレオチド406から454の間の領域のA T含有量は78%から約60%、より好ましくは約55%に減少する。 また別により好ましくは、SCR3のA富裕領域が減少させられるが、これは 野性型CD46遺伝子上の仮定的ポリAシグナルを遮断させる。そして置換ヌク レオチドはSCR2をコードする領域の末端に5’を伸長させる。 また別により好ましくは、SCR2が欠失し、場合によってSCR3に置換が 存在する。 上記の改変に加え、CD46蛋白を可溶性にする変異が行われる。好ましくは 、終止コドンは、AをGに変えることによって例えばpm5.1(Purcellら(19 91))の1022位に作出される。 さらに好ましい形として、本発明は、図1に示すようにsubSCR2、su bSCR3、subSCR2/3およびdelSCR2/subSCR3の構築 物を用いる方 法に関する。説明のために、エクソン3および4に置換を含む構築物はsubS CR2と表示され、エクソン5の置換はsubSCR3と表示され、エクソン3 、4および5の置換はsubSCR2+3と表示される。SCR2の欠失を含み 且つSCR3に置換を含む構築物はdelSCR2/subSCR3と称する。 AまたはTヌクレオチドの置換を所望する場合は、スプライスオーバラップ伸 長(splice overlap extension)PCR(SOE-PCR)を用いることができる。他の 方法、例えばPCR利用突然変異誘発および適切に変異させた合成ヌクレオチド の連結(ligation)は当業者には周知である。AまたはTヌクレオチドの欠失また はヌクレオチドの伸長は、標準的な位置特異的変異誘導技術によって実施できる 。 好ましくは、改変CD46cDNAを含む最初の構築物は細菌ベクターで作ら れる。一旦、所望の構築物が得られたことが確認されたら、続いてこの改変CD 46遺伝子を真核細胞ベクター(例えばpcDNA1、pCDM8、PGK−n eo、pEE6.hCMV.GS、pHIV、pHMG、pMJ601、その他 )に連結することができる。 さらに、改変遺伝子を含む所望の構築物を用いて適切な宿主細胞にトランスフ ェクションさせる。好ましくはこれは真核宿主細胞である。標準的なトランスフ ェクション手法がリポフェクタミン(Gibco-BRL製、ガイザースバーグ、USA)また は同様な試薬を用いて行われる。好ましくは、COS−7またはCHO−K1細 胞にトランスフェクションさせることができるが、他の真核細胞(例えばWPO −3 027、L929など)を用いてもよい。 本発明の関連する特徴として、宿主細胞でのRCA蛋白の産生を強化する方法 が提供される。ここで、RCAをコードする核酸はそのSCRモジュールの1つ または2つ以上に存在するAおよび/またはT富裕領域を有し、当該方法は、当 該Aおよび/またはT富裕領域のAまたはT量を低下させることによって該核酸 を改変し、当該核酸を宿主細胞にトランスフェクションさせ、適切な条件下で当 該核酸を発現させることを含む。 “Aおよび/またはT富裕領域”および“Aおよび/またはT量を低下させる ”という語句は上記と同じ意味を有する。 好ましくは、上記に述べたような方法の場合は真核宿主細胞が用いられる。 より好ましくはSCR2およびSCR3のAT富裕領域が改変に付される。 上記の方法は、CD46のSCR2およびSCR3モジュールをコードするヌ クレオチドにおける改変は、産生される蛋白量を強力に増加させる付加的効果を もたらすという観察に基づいている。 好ましくはこの核酸はCD46をコードする。 好ましくは該改変は非表現型ヌクレオチド置換によって得られる。 より好ましくは、該核酸は本明細書で開示する構築物subSCR2+3であ る。 第二の特徴として、本発明は宿主細胞でのRCA蛋白の 産生を高める方法に関し、当該方法は、AT富裕領域を含む1つまたは2つ以上 のSCRモジュール、またはその部分を欠失させることによってRCAをコード する核酸を改変し、当該改変核酸を宿主細胞にトランスフェクションさせ、さら に適切な条件下で当該核酸の発現を得ることを含む。 好ましくは、例えば上記で述べたような真核宿主細胞が当該方法で用いられる 。 場合によって、上記の方法で該核酸のSCRモジュールの外のAT富裕領域を 含む他の部分もまた、AT富裕領域のAおよび/またはT量を例えば減少させる ことによって改変させることができる。 好ましくは、該改変核酸はCD46アイソフォームをコードする。より好まし くは、CD46をコードする該核酸は本明細書に開示するdelSCR2/su bSCR3である。 第三の特徴として、本発明はまた、宿主細胞で蛋白の産生を高めることができ るリコンビナント核酸構築物に関し、この場合、エクソンの1つまたは2つ以上 に存在するAおよび/またはT富裕領域におけるAおよび/またはT量が減少さ せられる。 “リコンビナント核酸構築物”という用語は、異なる起源から一緒に結合させ た核酸から作製され、宿主細胞にトランスフェクションさせることができる分子 を指す。 “産生が高められ”という語句は以前の構築物(問題の蛋白をコードする天然 の遺伝子を含む構築物を含む)で発 現されるよりも高レベルの発現を意味する。 “Aおよび/またはT富裕領域”、“エクソン”、“宿主細胞”および“Aお よび/またはT富裕領域のAおよび/またはT量の減少”という語句はこれまで に述べたものと同じ意味を有する。 そのような構築物は先に述べた方法で作出される。 好ましくは宿主細胞は真核宿主細胞である。 好ましくは該構築物は蛋白をコードする核酸を含み、天然の状態の当該遺伝子 はそのエクソンにAおよび/またはT富裕領域を含む。該核酸は蛋白、例えば細 胞表面蛋白、ペプチドホルモン、成長因子、レセプターとそのリガンド、治療的 用途もしくは試薬のための新規なリコンビナント蛋白をコードするものでもよい 。補体調節蛋白、特に小コンセンサスリピートドメインを含むものが含まれる。 本発明の特に好ましい特徴として、該構築物は改変CD46cDNA配列をコ ードする。いずれのCD46cDNAも出発点として用いることができるが、一 方、PCT/AU91/00199(この文献は参照により本明細書に含まれる )に開示されるもの、特にクローンpm5.1が好ましい。 より好ましい特徴として、該構築物は、CD46構築物またはその同等物の図 1の次のAT富裕領域の1つまたは2つ以上に改変を含む。すなわちヌクレオチ ド406から454、504から516および530から561である。 本発明の好ましい特徴として、本発明のCD46構築物は、SCRドメインの AT富裕領域のAおよび/またはT の割合もしくは量が減少し、さらに場合によっては仮定的ポリAシグナルが除去 されるように改変される。 本発明のさらに好ましい特徴として、該構築物は、第3および第4のエクソン 周辺の境界もしくは結合部のAT富裕領域のAおよび/またはT量を減少させる 改変を含む。 さらに好ましいものは、その78%が第3および第4エクソン内のAおよび/ またはTを含む49ヌクレオチド鎖におけるAおよび/またはTの減少、または 隣接する第5エクソン内のA富裕領域の減少を含む。 最も好ましい特徴として、本発明は構築物subSCR2、subSCR3、 subSCR2+3およびdelSCR2/subSCR3に関する。 上記の構築物または、細胞表面のCD46の産生をもたらすそれらの誘導物を 用いて、遺伝子導入動物、例えば細胞表面CD46をその器官が産生する遺伝子 導入ブタを作出することができる。そのような器官は移植治療に用いることがで きる。上記の“誘導物”という用語は、改変CD46遺伝子または上記構築物に 由来する遺伝子セグメントを含むリコンビナント構築物を指す。 本発明はまた、本発明の第一および第二の特徴によって製造された蛋白の精製 調製物、並びに本発明の第三の目的の構築物によってコードされた蛋白の精製調 製物に関する。 “精製調製物”という用語は、宿主細胞の蛋白および他の構成物から少なくと もある程度分離された蛋白調製物を指す。好ましくは、該蛋白は、重量、活性、 アミノ酸類似性、抗体反応性または他の手段で他の蛋白または構成物と 比較したとき、少なくとも純度50%、好ましくは純度60%、より好ましくは 純度70%、さらに好ましくは純度80%、さらに好ましくは純度90%または それ以上である。 好ましくは該蛋白はCD46BC1である。最も好ましくは本発明は、開示し たsol−subSCR3(表1参照)または同等物によってコードされる可溶 性CD46(sCD46(BC))蛋白に関する。 本発明はまた、本発明の第一および第二の特徴により作製された所望の蛋白を 発現する宿主細胞、または本発明の第三の特徴の構築物で形質転換させた宿主細 胞に関する。 特に好ましい特徴として、本発明は安定的に形質転換された宿主細胞または所 望の蛋白を発現する遺伝子導入動物に関する。 本発明はまた、蛋白の産生を高めることができる、該蛋白をコードする改変遺 伝子を作製する方法に関し、当該方法は、1つまたは2つ以上のエクソンに存在 する1つまたは2つ以上のAおよび/またはT富裕領域をもつ遺伝子を当該領域 のAまたはTに対する量を減少もしくは低下させることによって改変することを 含む。 上記で用いられる改変遺伝子を作製するについての用語、語句および方法は上 で説明した。 好ましくは、該改変遺伝子は真核宿主細胞で蛋白の産生増加をもたらすことが できる。 好ましくは、該改変遺伝子はCD46コードセグメントを含む。 改変CD46遺伝子を作製するために、好ましくは表1に挙げたプライマーが スプライスオーバーラップ伸長PCRにおいて用いられる。 また別の特徴として、本発明は、活性な成分として上記した精製蛋白調製物を 医薬的に適切な担体または希釈剤とともに含む医薬組成物を包含する。 該医薬組成物は、その活性成分がその治療に必要であることが示された疾患の 治療に用いることができる。該活性成分がCD46である場合には、該組成物は 、補体介在または炎症介在組織損傷の防止に、腫瘍およびウイルスに対する免疫 強化に、受精過程の制御に、妊娠中の胎児の再発性自然流産の防止に、および移 植組織の移植片定着の促進に、PCT/AU91/00199(この文献は参照 により本明細書に含まれる)で先に開示されたように用いることができる。 医薬組成物の形成は当分野で一般に周知で、手頃な「レミントンの薬剤学」(R emington's Pharmaceutical Sciences,17版、Mack Publishing Co.ペンシルバ ニア、USA)を参照することができる。 好ましい特徴として、本発明は、上記の方法にしたがって作製され、または上 記の構築物に由来するたCD46を医薬的に適切な担体または希釈剤とともに含 む医薬組成物を含む。 特に好ましい特徴として、本発明は、本明細書で開示するように可溶性CD4 6蛋白を含む医薬組成物を含む。 本発明は以下の非制限的具体例を参考にさらに詳述され るであろう。 実施例1 材料と方法 CD46アイソフォームの命名法 CD46遺伝子は選択的RNAスプライシングによって4つの通常発現される mRNA(全部で14)を生じる(Russellら(1992))。CD46蛋白のアイソフ ォームを簡潔に呈示するために、種々にスプライスされる領域、STP−A、B 、Cセグメント(エクソン7、8および9によってコードされる)および細胞質テ ール(テール1はエクソン13によってコードされ、一方テール2はエクソン1 3のスプライシングによる切り出しの後エクソン14によってコードされる)の みを(本発明の目的のために変異させないかぎり)示す。本明細書で用いる“変 異させる”という用語は先に述べた改変と同じことを意味する。本明細書で産生 される野性型蛋白アイソフォームはSTP−BおよびC(エクソン8、9)およ び細胞質テール1を含み、CD46(BC1)(同等な蛋白はpm5.1cDN Aによってコードされる(Purcellら(1991)およびPCT/AU91/00199)と表示される 。STP−BおよびC並びに細胞質テール2を含む蛋白アイソフォームはCD4 6(BC2)と表示される。本明細書で産生される可溶性蛋白はsCD46(B C)と称されるが、その終止コドンが予想される膜内外境界部にあるからである 。 ヌクレオチド置換構築物および生成物は、標的エクソン によってコードされる蛋白ドメインによって名づけられる。したがってエクソン 3および4に置換を含む構築物はsubSCR2であり、エクソン5の置換はs ubSCR3であり、エクソン3、4および5に対する置換はsubSCR2+ 3である。SCR2欠失をコードしさらにSCR3置換を含む構築物はdelS CR2/subSCR3と称される。CD46cDNAの変異誘発 非表現型ヌクレオチド置換は、スプライスオーバーラップ伸長PCR(SOE-PCR )(Hortonら(1988))を用いて実施した。第一に、2つのPCR反応で2つのオ ーバーラップDNAフラグメントを増幅させた。このフラグメントは、一方の末 端の相補的配列に必要とされる変異および他方の末端にEcoRI部位を含んで いた。第二に、EcoRI部位を含むプライマーを用いてこの2つのフラグメン トをSOE−PCR反応でともにスプライスした。このPCRプライマーおよび それらがアニールするヌクレオチド部位は表1Aに示す。変異を含むオーバーラ ップDNAフラグメントは、表1Bに示す鋳型とオリゴヌクレオチド組合せを用 いて2つのPCR反応で生成された。 最初の各々の変異体のための2つのPCR反応生成物、5’および3’PCR フラグメントを低温溶融アガロース(Nusieve)で電気泳動した後分離し、希釈し てSOE−PCR反応の鋳型として直接用いた。非変異野性型CD46を含む全 てのSOE−PCR反応でオリゴヌクレオチドとしてOn232およびOn24 1を用いた。PCRおよび SOE反応は、アンプリターク(Amplitaq)酵素と緩衝液(Perkin Elmer Cetus 製)を用いてDNAサーマルサイクラー(DNA Thermal Cycler,Perkin Elmer C etus製)で実施した。最初の2通りのPCRのサイクル条件は、94℃で2分、 50℃で1分および72℃で1分を3サイクル、続いて94℃で30秒、60℃ で1分および72℃で1分を22サイクルであった。SOE−PCRのサイクル 条件は、94℃で2分、44℃で1分および72℃で2分を3サイクル、続いて 94℃で30秒、60℃で1分および72℃で2分を22サイクルであった。一 般的に上記の変異は、哺乳類の核酸で見出される通常のAT/GCバランス(A T:GC比)に復元するようであり、このバランス復元は蛋白産生の増強をもた らすようである変異体DNA構築物および発現ベクター PCR生成物はDNAポリメラーゼ(クレノーフラグメント)(Boehringer Mann heim製)で末端充填し、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs製) で燐酸化した。このDNAをNA45濾紙(DEAE)(Schleicher & Schuell 製)を用いてアガローズゲル電気泳動後、続いてマジックプレプDNAクリーン アップシステム(Magic Prep DNA clean-up system,Promega Corp.製)で精製 した。DNA生成物をpBluescriptIISK(Stratagene製)のSm aI部位に連結し(DNAリガーゼ、New England Biolabs 製)、XL1 Bl ue大腸菌(Stratagene製)を形質転換した。プラスミドDNAをマクシプレプ (Maxiprep,Promega Corp.製)を用いて変異を (SequenaseTM)キット(United States Biochemical Corp.)を用いてジデオキシシ ークェンシングによって確認した。すべての生成物はPCRエラーがなくヌクレ オチド変異を含んでいた。DNA挿入物をpBluescriptベクターから EcoRI消化で遊離させ、DNAポリメラーゼで(クレノーフラグメント)(B oehringer Mannheim製)末端充填し、pcDNAI(Invitrogen Corp.製)のE coRV部位に連結し、MC1061/P3大腸菌を形質転換した。クローニン グ部位をジデオキシシークェンシングで確認した。トランスフェクション用プラ スミドDNAはウィザードマクシプレプ(WizardTMMaxiprep)DNA精製システム (Promega Corp.製)を用いて調製した。トランスフェクション COS−7ミドリザル線維芽細胞およびCHO−K1チャイニーズハムスター 卵巣線維芽細胞を、20μg/mlのグルタミン、100U/mlのペニシリン 、100μg/mlのストレプトマイシンおよび10%v/vウシ胎児血清(C HO−K1用培養液はまた20μg/mlプロリン、14μg/mlヒポキサン チンおよび3.9μg/mlチミジンを含む)を補充したDMEM培養液で10 %CO2含有湿潤雰囲気中で培養した。 製造元の指示にしたがって、プラスミドDNA(pcDNA1−CD46構築 物)を無血清、無抗生物質DMEM培養液中でリポフェクタミン(Gibco-BRL)を 用いて培養細胞に導入した。6培養穴(ウェル)プレートのCOS−7 細胞に各構築物をトランスフェクションさせた。細胞表面CD46(BC1)を トランスフェクションさせた細胞を核酸導入後48時間で採集し適量に分けて、 サザンブロット、ノザンブロット、ウェスタンブロット、細胞溶解物の放射性免 疫アッセー(RIA)、蛍光顕微鏡観察およびフローサイトメトリーで分析した 。可溶性CD46構築物の発現については、COS−7細胞を無血清培養液中で 培養し、トランスフェクション後120または148時間で採集した。安定的に 構築物が組み込まれたトランスフェクションさせたCHO−K1細胞世代につい ては、PGK−neoプラスミド(Richard Harvey博士(WEHI メルボルン、オ ーストラリア)提供)を10倍過剰モル濃度のpcDNA1−CD46構築物プ ラスミドDNAとともに同時トランスフェクションさせた。1.2mg/mlの G418を用いて安定的発現についてトランスフェクションさせたCHO細胞を 選別し、2週間以上経ってからCD46の細胞表面発現を調べた。免疫蛍光による細胞表面CD46(BC1)産生の分析 細胞質膜上で処理されたCD46蛋白(または浸透性付与細胞内の細胞内蛋白 としてのCD46蛋白)を二段階免疫蛍光標識によって分析した。一次抗体の抗 CD46mAb(E4.3IgG2a(Sparrow & McKenzie(1983))またはM17 7IgG1(Seyaら(1990))またはアイソタイプコントロールmAb(MEM− 43IgG2a抗−CD95(Stefanovaら(1989))を細胞とともに氷上で30 分以上維持した。細胞を洗浄し、FITCヒツジ(Fab)−抗 マウスIg(Silenus製、メルボルン、オーストラリア)を氷上でさらに30分添 加した。細胞浮遊液のフローサイトメトリー(FACScan II,Becton Dickinson製 )またはほぼ密集に近い細胞単層の顕微鏡観察によって蛍光を調べた。全細胞溶解物のCD46(BC1)の分析 全細胞溶解物を5×106細胞/mlの濃度で記載にしたがって調製した。全 てのサンプルについて同等数の細胞を用い、記載(Laemmli(1970))にしたがって ウェスタンブロッティングを実施した。溶解物中に存在する蛋白を非還元性SD S−PAGEで分離し、ブロットしmAbE4.3をプローブとして調べた。C D46蛋白の捕捉用にmAbE4.3を、トレーサーとして125I標識M177 (Seya提供)を用いて捕捉/トレーサーRIAを記載にしたがって実施したが、 この場合トレーサーには10000cpmをインプットカウントとして用いた( Johnstoneら(1993))。DNAおよびRNAの分析 RNAはシャーギンら(Chirgwinら(1979))の方法を改変した方法を用いて調 製した。ノザンブロッティングは下記の点を除き記載(Millandら、(1990))にし たがって実施した。すなわち、ブロット用膜はハイボンド−N(アマーシャム製 )を用い、ブロットの移転は下方向に重力にしたがって実施した。細胞DNAの 調製およびサザンブロッティングは記載(Southern)にしたがって、膜としてハ イボンド−N+(アマーシャム製)を用いて実施した。ノザンおよびサザンブロ ットでは、ハイブリダイゼーション用プロ ーブはpm5.1cDNA(Purcellら(1991))で、メガプライム(Megaprime)DN A標識システム(アマーシャム製)を用いて標識した。プラスミド構築物 SCR変異の配列は図1に示す。最終的構築物は全てpcDNA1ベクターに 存在し、PCRのために使用したオリゴヌクレオチドに由来する同じクローニン グ部位を含んでいた。非変異(wtSCR)配列を含む構築物は最初のpm5. 1cDNAクローン(Purcellら、1991)に由来する。これと下記で考察する非表 現型置換構築物の各々は野性型CD46(BC1)蛋白をコードする。subS CR2構築物はエクソン3/4スプライス部位の周辺のSCR2の領域内に非表 現型ヌクレオチド置換を含み、野性型CD46(BC1)蛋白をコードする。こ の置換は、ヌクレオチド406と454との間の領域のA/T含有量を78%か ら55%へ減少させる。subSCR3構築物はSCR3のA富裕領域に対して 非表現型ヌクレオチド置換(SCR2の末端の1個の置換を含む)を含み、さら にまた仮定的ポリアデニル化シグナルを遮断して野性型CD46(BC1)蛋白 をコードする。subSCR2+3構築物はSCR2とSCR3の改変の組合せ を含み、野性型CD46(BC1)蛋白をコードする。最終的な細胞表面構築物 、delSCR2/subSCR3はSCR2の欠失およびSCR3に対する置 換を有する。この構築物はSCR2を欠く変異蛋白をコードし、CD46(de lSCR2/BC1)と称される。2つのDNA構築物を変異させ、 sCD46(BC)と呼ばれる可溶性蛋白をコードさせた。最初の構築物、so l−wtSCRは、トランスメンブレンドメインの前に終止コドンを作出するた めにヌクレオチド1022でGをAで置換して作製された。sol−subSC R3構築物は終止コドン変異および上記のSCR3に非表現型ヌクレオチド置換 を含む。非表現型ヌクレオチド置換は細胞表面CD46(BC1)の産生を高める 最初に本発明者等は、顕微鏡写真技術によって変異はCD46の蛋白産生を高 めることを示した。これらの実験では、細胞をウェルでトランスフェクションさ せ、E4.3で染色した。結果は呈示していない。蛋白産生増加の順位はwtS CR、subSCR2、subSCR3、subSCR2+3およびdelSC R2/subSCR3であった。CD46産生の改善はまたWOP−3027細 胞のトランスフェクションさせた後にも認められた(データは呈示せず)。 フローサイトメトリーによって、より多くのCOS−7細胞がその表面にCD 46を産生し、変異構築物をトランスフェクションさせた後ではwtSCR構築 物と較べて極めて高レベルで産生されることが示された(図2)。産生における この改善は、顕微鏡写真技術による観察でも同じ順位であった。予想したように 、一部分の細胞集団は擬似トランスフェクションさせた細胞に対して同様な蛍光 を有し、細胞表面CD46をもたない非トランスフェクション細胞とトランスフ ェクション細胞とを示したが、パネルC、 DおよびEでは変異構築物に曝された全ての細胞がトランスフェクションされC D46を発現しているようであった。すなわち各々の事例の全体像は野性型をト ランスフェクションさせた細胞と比較して右に移動している。非表現型ヌクレオチド置換は細胞溶解物でCD46(BC1)の産生を高める 細胞溶解物はトランスフェクションさせた細胞から調製した。これらの溶解物 は、大量の細胞表面CD46を産生しない細胞を高比率で含むトランスフェクシ ョンさせた細胞全てを含む。全ての事例で、CD46(BC1)のトランスフェ クションさせた後に産生される蛋白はウェスタンブロッティングによる予想サイ ズが66kDaであった(図3)。変異CD46DNAをトランスフェクション させた細胞の溶解物には非変異CD46DNAの場合と較べてより多くのCD4 6が存在する。産生の改善の順位は細胞表面発現の場合と同じで、subSCR 2+3構築物でトランスフェクションさせた細胞がwtSCR構築物と比較して 最も優れた結果をもたらした。 CD46蛋白レベルの違いについてもっと明瞭な比較を可能にするために、R IAを実施した(図4)。subSCR2またはsubSCR3をトランスフェ クションさせた細胞集団は、wtSCR感染細胞と比較して細胞溶解物中に約2 倍のCD46を含んでいた。subSCR2+3をトランスフェクションさせた 細胞は、wtSCR感染細胞と比較して細胞溶解物中に約8倍のCD46を含ん でいた。これらの結果は、SCR2およびSCR3のヌクレオ チド配列は何らかの形で相互作用している可能性を示している。なぜならば、S CR2およびSCR3に対する非表現型置換は付加的な方法で蛋白発現レベルを 改善するように思えるからである。蛋白発現レベルに影響を与えるSCR2に他 のヌクレオチド配列がまた存在する可能性がある。なぜならば、SCR2の完全 な欠失はSCR2+3の非表現型ヌクレオチド置換よりも発現レベルを増加させ るからである。非表現型ヌクレオチド置換は可溶性CD46(BC)の産生を高める SCR3の非表現型ヌクレオチド置換もまた一時的COS系で発現されるsC D46(BC)量を顕著に高めることができた。sol−subSCR3構築物 は、COS−7細胞のトランスフェクション後148時間で無血清細胞上清にウ ェスタンブロットで検出可能な蛋白を生じた(図5)。同様にトランスフェクシ ョンさせた細胞のトランスフェクション後120時間の上清をRIAで調べた。 sol−subSCR3をトランスフェクションさせた細胞から分泌された可溶 性物質レベルは、sol−wtSCRをトランスフェクションさせた細胞のそれ より約9倍であった(図6)。 subSCR2+3(図5)またはdelSCR2/subSCR3(データ は提示せず)をトランスフェクションさせたCOS細胞は、細胞表面に発現され たCD46に加えてさらに、組織培養上清に顕著な量のCD46蛋白を放出また は分泌した。他の細胞表面トランスフェクション 体のいずれも検出可能量のCD46を上清に産生しなかった。非表現型ヌクレオチド置換によってもたらされるCD46(BC1)産生の増加 はmRNAまたはトランスフェクションさせたDNAの発現増加のためではない ようである 全RNAを種々の構築物をトランスフェクションさせた細胞集団から調製し、 mRNA発現レベルをノザンブロットによって求めた(図7)。全RNAのmR NAレベルは、wtSCR構築物の場合のレベルと比較して非表現型変異を含む 構築物の場合に類似していた(図7)。この発現レベルは全細胞集団のそれを表 し、細胞当たりの発現レベルを示していない。細胞集団に存在するプラスミド量 はサザンブロティングによって決定した(図8)が、他の構築物のいずれとも顕 著な違いはなかった。非表現型ヌクレオチド置換は安定なトランスフェクション系でのCD46(BC 1)の産生を高める トランスフェクションさせG418薬剤選別を実施した後、CHO−K1トラ ンスフェクション体をフローサイトメトリーで調べた。非表現型変異を含む構築 物でトランスフェクションさせた選別細胞集団はCD46を発現するもっと多く の細胞を含み、さらにそれらははるかに高レベルのCD46を発現し(図9)、 subSCR2+3構築物では最高の増加が認められた(パネルD)。 実施例2 変異誘導CD55構築物の調製 本発明の適用のための具体例は、CD55(DAF:崩壊加速因子(Decay Acc elerating Factor))(構造的に関連を有するRCA分子)をコードする核酸に よって提供される。CD55遺伝子は、CD55のSCR2、SCR3およびS CR4モジュールをコードするエクソン内にATヌクレオチド富裕領域を有する 。非表現型ヌクレオチド置換は、残基388から412(SCR2をコード); 590から602、633から645および658から674(SCR3をコー ド);718から728および844から854(SCR4をコード)内に含ま れる配列に向けて個々に誘導される。変異誘発のための特定のPCRプライマー は、予想されるアミノ酸配列を変更させることなくこれら領域のためのコドンの Aおよび/またはT含有量を減少させるためにデザインされる(これは当業者に は明瞭であろう)が、これは、最初のPCRのプライミングを可能にさせるため に十分な長さのcDNA鋳型に相補的な配列を有する。CD55遺伝子の番号付 与はルブリンとアトキンソン(Lublin & Atkinson,Curr.Top Micro.Immunol. 153,123,1989)の図3に対応している。これらのプライマーは、具体的に上記 で詳述したようにスプライス−オーバーラップ伸長PCRにおける変異PCR生 成物のアニーリングを可能にするように、相補対(5’および3’方向において 前進方向プライマーおよび逆進方向プライマー)としてデザインされる。制限酵 素切断部位を含むまた別の前進方向および逆進方向プライマーがデザインされる が、これは、当業者には明白であろうが、3’−UTR内の仮 定的ポリアデニル化信号の3’および5’−UTRに隣接する位置で野性型cD NA鋳型とアニールする。上記で特定しリストに挙げた6つのAT富裕配列は、 トランスフェクションさせた細胞での蛋白産生の増強についての要請を様々な形 で受け入れることができるかもしれない。各変異構築物は個々に作出し、一続き の多変異ヌクレオチド配列を含む組合せをさらに調製することができる。 PCR生成物を精製し、さらに、完全な配列決定のためにSKベクターにクロ ーニングして、必要な変異配列の完全性を確認して後、適切な発現ベクター(例 えばpcDNA1)へのクローニングや真核細胞へのトランスフェクションを行 う。CD55蛋白の産生は1H4抗CD55単クローン性抗体を用いてフローサ イトメトリーで調べ、さらに、トランスフェクションさせた細胞におけるCD5 5の相対的発現と変異誘発構築物との関係を調べる。したがって蛋白の翻訳に影 響を与える変異に関する階層を構築することができる。 至適構築物でトランスフェクションさせた細胞を、崩壊加速活性として発現C D55によって仲介される補体介在溶解反応に対する防御についてさらに検査す る。このアッセーによって、該蛋白が適切に発現され正常に機能していることが 証明される。 実施例3 CD46トランスフェクションデータの要約 ヌクレオチド構築物(野性型または変異(置換)型のい ずれか)を発現ベクター、pcDNA1(上述)およびAPEX−3にクローニ ングした。 これらの発現構築物を哺乳類培養細胞株にトランスフェクションさせた。トラ ンスフェクションを繰り返すことによって、表示されたいずれの発現の変化も定 常的なものであり異常な人工産物でないことを確認した。COS−7細胞のpc DNA1ベクター構築物(一時的発現)は様々に発現され、具体的なCD46構 築物中の非表現型ヌクレオチド変異に左右される。この作用は、細胞表面CD4 6をコードする構築物についても、可溶性CD46をコードする構築物について も一致していた。他の細胞株を野性型および変異構築物の発現について検査した 。変異は、一時的トランスフェクションWOP−3027細胞でも安定的トラン スフェクションCHO−K1細胞でも細胞表面CD46蛋白の発現を改善した。 可溶性蛋白はまた、ヒト293細胞および293−Ebna細胞で定常的で予想 された発現で産生された。したがって、変異の効果はCOS−7アフリカミドリ ザル腎線維芽細胞様細胞に限定されず、WOP−3027(ポリオーマウイルス 癌化)マウス胎児線維芽細胞、CHO−K1ハムスター卵巣細胞および293( ヒト胎児腎)細胞でも認められる。従ってこの作用は他の細胞でもまた認められ るであろうと考えられる。 変異構築物の発現に対するベクターの効果を調べるために、可溶性CD46コ ード型をAPEX−3ベクターにクローニングした。変異依存性発現強化はCO S−7および293(ヒト胎児腎)細胞で認められた。従って、これは この作用は1種のベクターに限定されないようである。 表IIは、一連のベクター、細胞株および構築物を用いて得られるトランスフ ェクションによる細胞表面CD46および可溶性CD46の発現レベルを示して いる。記号“±”は基準となる野性型の発現レベルを示し、各検査で示す“+” の数はCD46発現レベルに対して正比例する。 実施例4 無細胞翻訳系における翻訳速度に関する実験 合成CD46野性型および変異型の転写物をウサギ網状赤血球を含む無細胞翻 訳系でインビトロ翻訳を実施した(図10参照)。wtSCR、subSCR2 、subSCR3およびsubSCR2+3DNA配列から転写された等量のR NAを含むレーンは全て同じような量の蛋白を生じ、転写物の配列に関係なく同 じ効率で翻訳が進行することを示した。蛋白は非グリコシル化CD46について 予想されるサイズ(38−40kD)であった。 実施例5 CHO−K1、WOP−3027および293細胞における可溶性CD46の発 現強化 可溶性wtSCRおよび可溶性subSCR構築物をWOP、CHO−K1お よび293細胞にトランスフェクションさせた。トランスフェクションさせたW OP細胞から集めた上清を放射性免疫アッセーによる準定量を実施したときほぼ 同じ傾向が観察された。可溶性subSCR3に よる一時的にトランスフェクションさせてから96時間後に集めたCHO細胞の 無血清上清は蛋白発現について4倍の増加を示した(図11参照)。これは、可 溶性subSCR2+3とpgKNeopAで同時トランスフェクションさせた 後、表面CD46を発現している安定的な親CHO細胞株を樹立させたときに観 察された増加と一致した。トランスフェクション後6日で293細胞の無血清上 清を集め、ドットブロッティングで準定量すると、非表現型ヌクレオチド変更を 含む構築物(可溶性subSCR3)を用いたときはより多くの蛋白(典型的に は3倍)が認められた。これらのデータは、変異構築物をトランスフェクション させた後に産生される可溶性CD46蛋白の増加はCOS−7細胞に限定されな いことを明瞭に示している。 実施例6 APEX発現プラスミドを用いた可溶性CD46発現強化 CD46をコードする挿入物をAPEX発現プラスミドに連結し、2つの構築 物(APEX3−sol−wtSCRおよびAPEX3−sol−subSCR 3)をCOS−7細胞および293細胞にトランスフェクションさせた。トラン スフェクション後6日して無血清上清を集め、ドットブロッティングで準定量し た。非表現型ヌクレオチド変更を含む構築物(APEX3−sol−subSC R3)を細胞にトランスフェクションさせたとき蛋白発現の増加(典型的には3 倍)が認められた。この結果によって、観察された蛋白発現の増加はプラスミド に特異的ではないこ とが確認された。 実施例7 蛋白発現強化のメカニズム決定の研究 (a)一時的にトランスフェクションさせたCOS細胞は、変異配列(非表現 型ヌクレオチド置換)または野性型配列のいずれでトランスフェクションさせた かに関係なく、サザンブロット分析で測定した場合同じ量のプラスミドDNAを 含む。したがって、CD46蛋白産生の顕著な増加は、おそらく転写または翻訳 調節によるものであって、トランスフェクション、DNA安定性またはプラスミ ドDNA複製の効率の変化によるものではない。 (b)変異または野性型CD46プラスミド構築物をトランスフェクションさ せたCOS細胞は同じ量のCD46mRNAを含むがCD46蛋白の量は異なる 。2つの構築物(subSCR3およびsubSCR2+3)ではあいまいなポ リアデニル化信号は除去されたが、これは短縮mRNA種を生じるかもしれなか った(野性型ではdelSCR2またはsubSCR2構築物)。しかしながら 、短縮mRNA種はノザンブロットでは観察されず、mRNAの安定性または半 減期の変化をもたらすと予想されるmRNA量の違いは認められない。したがっ て、CD46蛋白の増加はおそらく翻訳の調節によって生じるのであろう。 (c)トランスフェクションさせたCOS細胞の各々から分離した同等量のm RNAを鋳型として用いたインビトロ翻訳によって、同等量のCD46蛋白が生 成され、一方、 細胞表面蛋白発現の20倍もの増加がトランスフェクションさせたCOS細胞で 再現性をもって観察される。このことは蛋白翻訳のメカニズムに注意を向けさせ る。なぜならば、それは特に無傷の細胞内に限って生じるように思えるからであ る。 (d)CD46産生の増加は蛋白によるものであるのか否かを決定するために 、COS−7細胞を、35S−Cysおよび35S−Metで生合成的に標識し たwtSCR、subSCR2+3またはsubSCR3で別々にトランスフェ クションさせた。細胞溶解物と上清からCD46蛋白を免疫沈澱させ、さらにS DS−PAGEで調べた。subSCR2+3をトランスフェクションさせた細 胞は、wtSCRをトランスフェクションさせた細胞よりもっと多くの標識CD 46を合成した。上清にはCD46蛋白は検出されなかった。生合成によって標 識したCD46はsolSCR3でトランスフェクションさせた細胞によって産 生され上清に分泌されたが、予想のとおり溶解物中では検出されなかった。アイ ソタイプコントロールmAb(MEM−43)で免疫沈澱させた溶解物および上 清は予想サイズの標識物質を全く示さなかった。 実施例8 核酸導入動物の作出のための変異誘発CD46およびCD55(野性型蛋白をコ ード)遺伝子の使用 至適変異構築物(例えばSCR2+3構築物をコードするCD46(上記参照 ))または適切なCD55構築物が 真核細胞株の繰り返しインビトロトランスフェクションによって一旦証明された ら、このDNAベクターを遺伝子導入に適するように十分に精製する。当業者に 周知の方法にしたがって、このDNA(トランスジーン)を受精マウス単細胞卵 母細胞に注入し、これを予め偽妊娠状態にしたマウスに再移植する。小ちさな組 織サンプルから得たDNAをサザンブロットで分析してトランスジーンの組み込 みについて子孫をスクリーニングする。さらに、創始マウスを組織の細胞溶解物 のウェスタンブロッティングによってトランスジーンの発現について検査する。 該蛋白を発現している創始マウスを交配し、さらに適切に戻し交配を実施して適 切なマウス株を得る。各世代の個々のマウスをまたトランスジーンの蛋白発現に ついてスクリーニングし、発現動物のみを用いる。そのような遺伝子導入マウス の組織サンプルを、補体介在溶解反応、補体介在移植片拒絶反応、および補体介 在組織炎症アッセー(これらの各々は確立され日常的なアッセーである)でトラ ンスジーン蛋白の機能について検査する。 補体介在細胞損傷に対して抵抗性を増大させるために十分な量のCD46また はCD55遺伝子導入蛋白をその細胞上に発現している動物のみが、マウスの遺 伝子導入系統を樹立するために維持される。 遺伝子導入マウスの組織を用いて(それによって適切なトランスジーンDNA 構築物が特定される)機能を一旦確認したら、同じ遺伝子導入操作をブタの卵母 細胞を用いて繰り返し遺伝子導入ブタを作出する。適切な遺伝子導入ブ タは、腎、心、肝、膵など移植を必要とする人間のための異種移植の仮のドナー と考えられる。 本発明の重要な応用は、CD46を発現している遺伝子導入動物とCD55を 発現している遺伝子導入動物との遺伝的交配であるが、この場合、両分子の同時 発現は補体介在損傷に対する抵抗性を増大させる。 上記の例は器官移植のドナーを提供する遺伝子導入動物の作出に関するが、本 発明の構築物を含む遺伝子導入動物または本発明の方法にしたがって蛋白を産生 するその細胞は、他の目的のためにも作出することができる。例えば、そのミル ク中にリコンビナント蛋白を産出する遺伝子導入乳牛を作出することが要望され るかもしれない。 本発明は例示により開示してきたが、添付の請求の範囲に規定された本発明の 範囲を外れることなく、それら例示に対して当業者にとって明白な修飾および/ または変更を加えることができる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1996年5月7日 【補正内容】 CD46および他のRCAに関する研究の限界は、一時的または安定系のいず れかでリコンビナント蛋白をコードする構築物をトランスフェクション(transf ection)させた際、極めて僅かな細胞しかトランスフェクションされず、しかも それらは僅かな蛋白しか発現しないということであった。実際、本発明者らおよ び他の研究室では、巧妙な細胞の分類、クローニングおよび選別工程が適切な細 胞を分離するために必要であった。このことは、特にリコンビナントCD46の 分析、その生理学的役割および治療剤としての価値に関して問題をもたらした。 本発明につながる研究で、驚くべきことに本発明者らは、CD46をコードす る核酸の改変はトランスフェクションさせた真核細胞宿主で高レベルのCD46 の産生をもたらすことを見出した。CD46の野性型遺伝子から得られる場合の 8倍に及ぶ蛋白産生が認められた。これらの改変は、核酸のアデニン(A)およ び/またはチミン(T)富裕領域におけるAおよび/またはTの量もしくは割合 の減少を含む。 本発明者らは、エクソンのAT富裕領域における改変は蛋白産生の増加をもた らすことを発見した最初の者である。発明の要旨 本発明は、RNAの安定性を明白に変化させることなく 宿主細胞での哺乳類の蛋白産生を増加または改良する方法を提供する。この場合 、該哺乳類蛋白をコードする核酸はエクソンに存在するAおよび/またはT富裕 領域を有し、当該方法は、当該領域のAおよび/またはT量を減少もしくは低下 させることによって核酸を変化させ、さらに当該核酸を宿主細胞にトランスフェ クションさせ、適切な条件下で当該核酸を発現させることを含む。 本発明の別の特徴は、宿主細胞のRCA蛋白の産生を増強させる方法を提供す ることであるが、この場合、RCAをコードする核酸はそのエクソンの1つまた は2つ以上に存在するAおよび/またはT富裕領域をもち、本方法は、当該Aお よび/またはT富裕領域のAおよび/またはT量を低下させることによって核酸 を変化させ、当該核酸を宿主細胞にトランスフェクションさせ、さらに適切な条 件下で当該核酸を発現させることを含む。 本発明のまた別の特徴は宿主細胞でのRCA蛋白の産生を増加させる方法に関 し、これは、AT富裕領域を含むSCRモジュールまたはその部分を欠失させる ことによってRCAをコードする核酸を変化させ、当該改変核酸を宿主細胞にト ランスフェクションさせ、さらに適切な条件下で当該核酸を発現させることを含 む。 本発明はまた、明白にRNAの安定性を変化させることなく宿主細胞での哺乳 類の蛋白産生を高めることができるリコンビナント核酸構築物に関する。この場 合、該核酸構築物の1つまたは2つ以上のエクソンに存在する1つまたは2つ以 上のAおよび/またはT富裕領域のAおよび/またはT量が減少させられる。 本発明はまた、本発明の方法によって製造された蛋白、本発明の構築物によっ てコードされた蛋白、医薬組成物、該構築物をトランスフェクションさせた宿主 細胞、および該蛋白を発現する遺伝子導入(transgenic)動物に関する。 本発明はまた蛋白をコードする変異遺伝子の製造方法に関する。この場合、当 該変異遺伝子は該蛋白の産生を高めることができ、当該方法は、Aおよび/また はT富裕領域のAおよび/またはT量を減少もしくは低下させることによって、 1つまたは2つ以上のエクソンに存在する1つまたは2つ以上の当該領域につい て遺伝子を変異させることを含む。図面の簡単な説明 図1:変異SCR2およびSCR3領域のCD46構築物の配列。該配列の番 号付与はcDNAクローンpm5.1(Purcellら、1991)を基にし、ヌクレオチ ド303(nt303)の末端からSCR3(nt564)の開始点へと伸長する。SCR結合 部は示されている。構築物wtSCR(pm5.1に匹敵)の完全な配列は、対 応する一文字記号のアミノ酸配列によってその上に示されている。構築物のいず れかの置換されたヌクレオチドには下線を付してある。subSCR2、sub SCR3およびsubSCR2+3構築物については、wtSCRと一致する配 列はドット(.)で示され、置換されたヌクレオチドは表示されている。欠失変 異体構築物は、SCR2欠失は空白で表示されているという点を除き他の構築物 の場合と同様である。 そのような説明には、転写の安定性の改善、mRNAの細胞質への移送の増加、 リボソームによる翻訳効率の改善、mRNAの上部構造による翻訳の増加または 実際にはこれら要素の2つもしくはそれ以上の組合せが含まれる。一般的に、蛋 白産生の増加は蛋白翻訳速度の増加によって説明できるというのが妥当なようで ある。蛋白産生の増加は無傷の細胞に限られ、無細胞翻訳系では明らかではない ということを示唆するデータによって、この作用は、基質利用性(例えばRNA 安定性の効果)や単純な構造的影響や蛋白翻訳成分の単純な相互作用ではなく、 むしろmRNA、転写物、リボソーム、ポリゾーム、RNA結合蛋白および/ま たは他の因子(例えば配列依存性三次元mRNA構造)間の相互作用に起因する ものであることが示唆される。 本発明に付随する蛋白産生の改良の要因となる正確な機構についてなおいくつ かの推測が存在する一方、細胞表面分子の発現については20倍またはそれを越 える蛋白産生の増加を得ることができる。特にCD46の翻訳の場合、Aおよび /またはT含有量における減少が開始コドンから約540塩基までの領域内で発 生するときにこの蛋白産生の増加がもっとも著しいようである。 好ましい具体例では、本方法で用いられる宿主細胞は真核細胞である。これは 、リコンビナント蛋白の翻訳後修飾(例えばグリコシル化、これは原核細胞宿主 または幾つか の昆虫細胞では必ずしも起こらないが。)を得ることがしばしば望ましいことに よる。 別の好ましい具体例では、核酸はそのエクソンの1つまたは2つ以上にAおよ び/またはT富裕領域を有するRCAをコードする。RCAは、とりわけCD4 6、CD55、CD35またはH因子であろう。 特に好ましい具体例では、本発明は、真核細胞でのCD46の産生の増加また は改善方法に関するが、ここでは、CD46をコードする遺伝子を、当該遺伝子 の1つもしくは2つ以上のエクソン内のAおよびT富裕領域のAおよび/または T量を減少または低下させることによって変化させ、当該改変遺伝子を真核細胞 にトランスフェクションさせ、さらに適切な条件下で当該遺伝子を発現させる。 請求の範囲 1. 哺乳類の蛋白をコードする核酸がエクソンに存在するAおよび/または T富裕領域を有する場合に、明白にRNA安定性を変化させることなく宿主細胞 における該哺乳類蛋白の産生を増加または改善する方法であって、当該方法が、 当該領域におけるAおよび/またはTの量を減少または低下させることによって 該核酸を改変し、さらに当該改変核酸を宿主細胞にトランスフェクションさせ、 適切な条件下で当該核酸の発現を得ることを含む前記蛋白産生の増加または改善 方法。 2. 当該改変核酸が、リコンビナント核酸構築物の成分として当該宿主細胞 にトランスフェクションされる請求の範囲第1項の方法。 3. 核酸の当該改変が、1つまたは2つ以上の非表現型変異を生み出すこと による請求の範囲第1項または第2項の方法。 4. 核酸の当該改変が1つまたは2つ以上の保存的変異を生み出すことによ る請求の範囲第1項または第2項の方法。 5. 核酸の当該改変が、AまたはT以外のヌクレオチドの1つまたは2つ以 上の挿入による請求の範囲第1項または第2項の方法。 6. 核酸の当該改変が、Aおよび/またはTの欠失または、Aおよび/また はT富裕領域の欠失による請求の範囲第1項または第2項の方法。 7. 核酸の当該改変が、下記のいずれかの2つまたは3つ以上の組合せによ る請求の範囲第1項または第2項の方法: a.1つまたは2つ以上の非表現型変異 b.1つまたは2つ以上の保存的変異 c.AまたはT以外のヌクレオチドの1つまたは2つ以上の挿入 d.Aおよび/またはTの欠失またはAおよび/またはT富裕領域の欠失。 8. 当該核酸が、そのSCRモジュールの1つまたは2つ以上に存在するA および/またはT富裕領域を有するRCA蛋白をコードする、請求の範囲第1項 から7項までのいずれかの方法。 9. 当該核酸がそのSCRモジュールの1つまたは2つ以上で改変される請 求の範囲第8項の方法。 10.請求の範囲第6項の方法において、核酸の当該改変が1つまたは2つ以 上のSCRモジュールまたはその部分の欠失による請求の範囲第9項の方法。 11.当該RCA蛋白がCD46である請求の範囲第8項から第10項のいず れかの方法。 12.構築物subSCR2、subSCR3、subSCR2+3またはd elSCR/subSCR3の1つを利用する請求の範囲第11項の方法。 13.請求の範囲第2項の方法において、当該リコンビナント核酸構築物が真 核細胞ベクターを含む請求の範囲第3項から第12項のいずれかの方法。 14.当該宿主細胞が真核宿主細胞である請求の範囲第1項から第13項のい ずれかの方法。 15.当該宿主細胞がCOS−7またはCHO−K1である請求の範囲第14 項の方法。 16.該核酸構築物の1つまたは2つ以上のエクソンに存在する1つまたは2 つ以上のAおよび/またはT富裕領域のAおよび/またはTの量が減少させられ た、明白にRNA安定性を変化させることなく宿主細胞における哺乳類蛋白の産 生を増加させることができるリコンビナント核酸構築物。 17.改変RCAcDNA配列をコードする請求の範囲第1項に記載のリコン ビナント核酸。 18.改変CD46cDNA配列をコードする請求の範囲第17項に記載のリ コンビナント核酸。 19.リコンビナント核酸構築物subSCR2、subSCR3、subS CR+3およびdelSCR2/subSCR3。 20.動物の遺伝情報中に請求の範囲第16項から第19項のいずれかに記載 の構築物またはその誘導物を取り込むことによる遺伝子導入動物の作出方法。 21.動物の遺伝情報中に請求の範囲第18項から第19項のいずれかに記載 の構築物またはその誘導物を取り込むことによりその器官が細胞表面CD46を 産生する遺 伝子導入動物の作出方法。 22.当該動物がブタである請求の範囲第21項の方法。 23.請求の範囲第21項または第22項のいずれかの方法にしたがって作出 される遺伝子導入動物の器官を利用する、人間または動物への器官移植の方法。 24.請求の範囲第1項から第15項のいずれかによって製造される精製蛋白 調製物。 25.請求の範囲第16項から第19項のいずれかに記載の核酸構築物によっ て製造される精製蛋白調製物。 26.1つまたは2つ以上の医薬的に適切な担体または希釈剤と結合させた、 請求の範囲第24項または第25項のいずれかに記載の精製蛋白調製物を含む医 薬組成物。 27.1つまたは2つ以上の医薬的に適切な担体または希釈剤と場合によって 結合させた、請求の範囲第24項または第25項のいずれかに記載の精製蛋白の 有効量を投与することを含む、人間または動物において (a)補体介在性または炎症介在性組織損傷の治療; (b)腫瘍またはウイルスに対する免疫の強化; (c)受精の制御;または (d)自然流産の防止のための方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 38/00 ADU C12P 21/02 C ADY C12N 5/00 B AED A61K 37/02 ABE 48/00 ADT ADU C07K 14/705 ADY C12N 5/10 ACV C12P 21/02 AED //(C12P 21/02 C12R 1:91) (72)発明者 ラブランド,ブルース オーストラリア ヴィクトリア 3147,ア ッシュバートン,テイラー ストリート 13 (72)発明者 クリスチャンセン,デール オーストラリア ヴィクトリア 3095,エ ルサム ビュー ヒル クレセント 50 (72)発明者 マッケンジー,イーアン エフ.シー. オーストラリア ヴィクトリア 3056,ブ ランスウィック ブランウィック ロード 359

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 蛋白をコードする核酸がエクソンに存在するAおよび/またはT富裕領 域を有する場合に、宿主細胞における該蛋白産生を増加または改善する方法であ って、当該方法が、当該領域におけるAおよび/またはTの量を減少または低下 させることによって該核酸を改変し、さらに当該改変核酸を宿主細胞にトランス フェクションさせ、適切な条件下で当該核酸を発現させることを含む前記蛋白産 生の増加または改善方法。 2. 当該改変核酸が、リコンビナント核酸構築物の成分として当該宿主細胞 にトランスフェクションされる請求の範囲第1項の方法。 3. 核酸の当該改変が、1つまたは2つ以上の非表現型変異を生じさせると による請求の範囲第1項または第2項の方法。 4. 核酸の当該改変が1つまたは2つ以上の保存的変異を生じさせるとによ る請求の範囲第1項または第2項の方法。 5. 核酸の当該改変が、AまたはT以外のヌクレオチドの1つまたは2つ以 上の挿入による請求の範囲第1項または第2項の方法。 6. 核酸の当該改変が、Aおよび/またはTの欠失または、Aおよび/また はT富裕領域の欠失による請求の範囲第1項または第2項の方法。 7. 核酸の当該改変が、下記のいずれかの2つ以上の 組合せによる請求の範囲第1項または第2項の方法: a.1つまたは2つ以上の非表現型変異 b.1つまたは2つ以上の保存的変異 c.AまたはT以外のヌクレオチドの1つまたは2つ以上の挿入 d.Aおよび/またはTの欠失またはAおよび/またはT富裕領域の欠失。 8. 当該核酸が、そのSCRモジュールの1つまたは2つ以上に存在するA および/またはT富裕領域を有するRCA蛋白をコードする核酸である、請求の 範囲第1項から7項までのいずれかの方法。 9. 当該核酸がそのSCRモジュールの1つまたは2つ以上で改変される請 求の範囲第8項の方法。 10.請求の範囲第6項の方法において、核酸の当該改変が1つまたは2つ以 上のSCRモジュールまたはその部分の欠失による請求の範囲第9項の方法。 11.当該RCA蛋白がCD46である請求の範囲第8項から第10項のいず れかの方法。 12.構築物subSCR2、subSCR3、subSCR2+3またはd elSCR/subSCR3の1つを利用する請求の範囲第11項の方法。 13.請求の範囲第2項の方法において、当該リコンビナント核酸構築物が真 核細胞ベクターを含む請求の範囲第3項から第12項のいずれかの方法。 14.当該宿主細胞が真核宿主細胞である請求の範囲第1項から第13項のい ずれかの方法。 15.当該宿主細胞がCOS−7またはCHO−K1である請求の範囲第14 項の方法。 16.該核酸構築物の1つまたは2つ以上のエクソンに存在する1つまたは2 つ以上のAおよび/またはT富裕領域のAおよび/またはTの量が減少させられ た、宿主細胞における蛋白産生を増加させることができるリコンビナント核酸構 築物。 17.改変RCAcDNA配列をコードする請求の範囲第16項に記載のリコ ンビナント核酸構築物。 18.改変CD46cDNA配列をコードする請求の範囲第17項に記載のリ コンビナント核酸構築物。 19.リコンビナント核酸構築物subSCR2、subSCR3、subS CR+3およびdelSCR2/subSCR3。 20.動物の遺伝情報中に請求の範囲第16項から第19項のいずれかに記載 の構築物またはその誘導物を取り込むことによる遺伝子導入動物の作出方法。 21.動物の遺伝情報中に請求の範囲第18項から第19項のいずれかに記載 の構築物またはその誘導物を取り込むことによりその器官が細胞表面CD46を 産生する遺伝子導入動物の作出方法。 22.当該動物がブタである請求の範囲第21項の方法。 23.請求の範囲第21項または第22項のいずれかの方法にしたがって作出 される遺伝子導入動物の器官を利用する、人間または動物への器官移植の方法。 24.請求の範囲第1項から第15項のいずれかによっ て製造される精製蛋白調製物。 25.請求の範囲第16項から第19項のいずれかに記載の核酸構築物によっ て製造される精製蛋白調製物。 26.1つまたは2つ以上の医薬的に適切な担体または希釈剤と結合させた、 請求の範囲第24項または第25項のいずれかに記載の精製蛋白調製物を含む医 薬組成物。 27.1つまたは2つ以上の医薬的に適切な担体または希釈剤と場合によって 結合させた、請求の範囲第24項または第25項のいずれかに記載の精製蛋白の 有効量を投与することを含む、人間または動物において (a)補体介在または炎症介在組織損傷の治療; (b)腫瘍またはウイルスに対する免疫の強化; (c)受精の制御;または (d)自然流産の防止のための方法。
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