【発明の詳細な説明】
オキシプリンヌクレオシドを用いる敗血症または炎症性疾患の処置方法発明の技術分野
本発明はグアノシン、デオキシグアノシン、イノシン、キサントシン、デオキ
シキサシトシンおよびデオキシイノシンを含めて一般にオキシプリンヌクレオシ
ド、これらヌクレオシドの同族体、およびこれらヌクレオシドおよび同族体のア
シル誘導体に関するものであり、またこれら化合物の予防的および治療的使用法
に関するものである。また本発明はこれら化合物を単独であるいは組合せとして
、非イオン界面活性剤あるいは他の薬剤と共に、あるいは無しに動物へ投与する
方法に関する。これら化合物は健康な健常動物における造血、ならびに照射、化
学療法、中毒、疾患などにより起きた造血器官の損傷あるいは不全をもつ動物に
おける造血機能を改変することができる。本発明の化合物はまた感染に対する宿
主の白血球媒介防御を向上させる。発明の背景
ガン化学療法、抗ウイルス化学療法、あるいはイオン化放射線に対する曝露の
主な合併症は骨髄細胞の損傷あるいはその機能抑制である。更に詳しく言えば、
化学療法ならびにイオン化放射線への曝露は骨髄および脾臓に主として見出され
る造血始原細胞に損傷を与えあるいは破壊し、新しい血球(顆粒球、リンパ球、
赤血球、単球、血小板など)の生産を損なう。例えば、癌患者をシクロホスファ
ミドあるいは5−フルオロウラシルで処置すると、白血球(リンパ球および/ま
たは顆粒球)が破壊され、感染症に対するその患者の罹患率が高くなる結果とな
りうる。多くの癌患者は化学療法あるいは放射線療法後の造血不全による感染症
あるいは他の結果がもとで死亡する。化学療法剤はまた血小板の準正常形成を起
こすことがあり、出血しやすい傾向を生む。同様にマスタードガス中毒は造血系
に対する損傷を起こし、感染症に罹りやすくする。赤血球生産の阻害は貧血を起
こす結果となりうる。生存する骨髄幹細胞が白血球数を補充するのに十分早く増
殖し分化することができなくなると、身体は病原性感染性生物に抵抗できなくな
る。特発性形態を含めて好中球減少症のような種々の疾患状態も造血系の特定成
分の損傷と関係づけられている。
化学薬品、放射線、疾患、あるいは他の造血機能低を伴なう他の病状に起因す
る骨髄損傷または抑制後の造血機能回復を改善または助長する化合物は療法剤あ
るいは予防剤として有用である。
幾つかのポリペプチド造血性成長因子(主として組換えDNA技術によりつくら
れる)は公知である。これらの造血性成長因子はエリトロポイエチン(EPO)、
インターロイキン(とりわけ、インターロイキン-1、インターロイキン-3、お
よびインターロイキン-6)およびコロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー
刺激因子、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子、あるいは幹細胞コロニー
刺激因子)は造血向上にある利用性を有することが報告されている。「生物学的
応答改変剤」(BRM)として広く特徴づけられた幾つかの薬物も何らかの造血指
標を増進しうる。造血を改変するBRMには細菌性エンドトキシン、二本鎖RNA、ア
ジメキソン、グルカンならびに他の酵母および細菌多糖類、デキストランサルフ
ェート、マレイン酸ジビニルエーテルポリアニオン(MVE2)、および腫瘍壊死因
子が包含される。
D.W.BennettおよびA.N.Drury J.Physiol.72:288(1931)はグアノシン100
mgを腹腔内注射によってウサギへ投与すると白血球数の強い減退を起こすことを
開示した。白血球数の初期レベルは7700個/mm3であったが、グアノシン投与後の
白血球数は僅か500から1000個/mm3に減少した。10時間後、そしてその後24時間
の間、白血球増加症(11,000個/mm3)があった。
D.G.Wright.Blood 69:334-337(1987)は特別なヒト骨髄性白血病細胞系(HL
-60)の培養に及ぼすグアノシンおよびグアニンの効果を報告した。インビトロ
での未熟芽球から成熟顆粒球への変換は、種々の化学薬剤(レチン酸、ジメチル
ホルムアミドおよびチアゾフリンを含む)により誘発されることが報告された。
HL-60細胞をグアニンまたはグアノシンと共にキュベーションすると機能性好中
球への熟成誘発が妨げられ、イノシンとのインキュベーションは成熟化の誘発に
効果を及ぼさなかった。
A.K.Oshita等、Blood 49:585-591(1971)は、環状ヌクレオチド(例えば、3
’,5’-環状アデノシン一リン酸(cAMP)あるいは3’,5’-環状グアノシン
一リン酸(cGMP)が細胞増殖の調節に関与することを示唆した。マウス骨髄細胞
の培養において、cGMPはエンドトキシン処置マウスから採取した血清の刺激影響
下で形成されるコロニーの数を増加させた。cGMPはポスト−エンドトキシン血清
の非存在下では効果を有しなかった。5’-グアノシン一リン酸およびcAMPは不
活性であった。
Beljanskiら、Cancer Treat.Rep.67:6II-619(1983)はE.coliリポソームRNA
を部分的に加水分解すると、シクロホスファミドで処置したウサギに何らかの明
白な白血球生成活性を有する短い(塩基約40個)オリゴヌクレオチドを生ずるこ
とを開示した。著者等はこのオリゴヌクレオチドが骨髄細胞におけるDNA合成
の複製プライマーとして作用することを提唱した。彼等はまたポリリボヌクレオ
チドポリグアノシン一リン酸、ポリアデノシン一リン酸、およびアデニンヌクレ
オチドとグアニンヌクレオチドとの共重合体は白血球生成を刺激しないことも開
示した。
T.Sugaharaら、Brookhaven Symposia in Biology :284-302(1968)は、酵母RNA
加水分解物、アデノシン、シチジン、グアノシン、ウリジン、およびそれらの対
応する3’-リボヌクレオシド一リン酸からなる混合物が、イオン化放射線の急
性致死量に曝露後の生存を改善しなかったことを報告した。これら化合物は準致
死量のガンマ線照射に操り返し曝露中に定期的にマウスに投与したときその生存
を改善した。著者等はこの処置剤が生存する幹細胞の増殖あるいは分化を改善し
てしていたのではなく、損傷を受けた成熟細胞の生存を見掛け上長引かせていた
と論述した。これら加水分解物、リボヌクレオシド、およびリボヌクレオシド一
リン酸はすべて、未処置照射コントロールマウスと比較して、脾臓および骨髄(
主要造血部位)における核形成した細胞および造血細胞コロニー(コロニー形成
単位)の数を減少させた。
Goodmanら(米国特許第4539205号、第4849411号および第4643992号明細書)
は、グアニン部分の8位に水素より大きい電子求引効果をもつ置換基を有するア
ルドシルグアニン誘導体を免疫応答の調節に使用する方法を開示した。
オキシプリンヌクレオシドの幾つかのアシル誘導体がオリゴヌクレオチドある
いはヌクレオシドまたはヌクレオチドのアナログの合成における保護中間体とし
て使用するために合成された。Shigma Chemical Company 1991年版カタログ、1
702-1704頁参照。
W.A.Fleming およびT.A.McNeill、J.Cell,Physiol.88:323-330(1976)
は、非イオン界面活性化合物であるPolysorbate 80およびSaponinが準至適量の
コロニー刺激因子の影響に対する培養中の骨髄細胞の応答を増加させることを報
告した。これら界面活性剤は非常にせまい濃度範囲で活性であり(10ng/mlで最
大活性を有する)、10倍大きいあるいは10倍低い濃度で最小の活性を示した。造
血に及ぼす界面活性剤のインビボ効果は調べなかった。発明の目的
本発明の主たる目的は造血を効果的に増進する、あるいは他の仕方で改変する
一群の化合物を提供することにある。造血系の損傷の前後、あるいは損傷中の動
物へこれら化合物を投与すると、造血障害が防止あるいは処置される。
本発明の更に一つの目的は、種々の造血傷害および低血球数を含めて他の病状
の処置のための一群の化合物を提供することにある。
本発明の更に一つの目的は、感染に対する宿主の白血球媒介防御を改善する一
群の化合物を提供することにある。
本発明の更に一つの目的は、造血を改変することができそして経口的にあるい
は非経口的に投与することのできる化合物を提供することにある。発明の要旨
本発明のこれらの目的および他の目的は、哺乳動物、例えばヒト、を含めて動
物へ投与できるオキシプリンヌクレオシド、例えばグアノシン、イノシン、キサ
ントシン、デオキシキサントジン、デオキシイノシン、およびデオキシグアノシ
ン、このようなオキシプリンヌクレオシドの同族体、およびこのようなオキシプ
リンヌクレオシドおよび同族体のアシル誘導体およびアルキル誘導体によって達
成される。これら化合物の単独投与あるいは組合せとしての投与は動物における
造血の改変に有用である。
従って、本発明の化合物は単独あるいは組合せとして照射または化学薬剤によ
り誘発された造血の諸傷害の処置に有用であり:癌および抗ウイルス化学療法に
対する補助剤として有用であり:感染に対する宿主の白血球媒介防御の改善に有
用であり;そして他の病状の処置に有用である。
本発明の一つの重要な面はオキシプリンヌクレオシド、例えばグアノシン、デ
オキシグアノシン、イノシン、キサントシン、デオキシキサントシン、およびデ
オキシイノシン、このようなヌクレオシドの同族体、およびこのようなヌクレオ
シドおよび同族体のアシル誘導体およびアルキル誘導体が予想外の処置性を有す
るという発見である。
本発明はまたインビボ投与された界面活性剤化合物が、本発明の化合物に限
らずエリトロポイエチン、コロニー刺激因子、あるいはインターロイキンを含め
て造血刺激物質の効果を高めうるという発見も包含する。
本発明はまた、動物における細菌または真菌感染を処置または予防する方法を
包含し、上記動物に本発明の化合物または組成物の薬学的有効量を投与する工程
を包含する。本発明の化合物
すべての場合特に断らない限り、本発明の化合物の化学構造中の種々な置換基
を記号化している文字および下つき文字の付いた文字はその記号の説明にすぐ先
行する構造にのみ適用される。
造血を改変する上で有用な化合物は下記の構造を有する:
RA=Hまたは2〜30炭素原子を有する、カルボン酸、アルキルホスホン酸
、またはアルキルスルホン酸のアシル基、リン酸アルキルまたは硫酸アルキルの
アシル基、またはアルキル基、および
RB=Hまたは2〜30炭素原子を有する、カルボン酸、アルキルホスホン酸
、またはアルキルスルホン酸のアシル基、リン酸アルキルまたは硫酸アルキルの
アシル基、またはアルキル基、および
Z=H、OH、=O、またはNHRC(ここで、RC=Hまたは2〜30炭素原子
を有するカルボン酸のアシル基、または2〜30の炭素原子を有するアルキル基)
、および
L=HまたはORD(ここで、RD=Hまたは2〜30炭素原子を有する、カル
ボン酸、アルキルホスホン酸、またはアルキルスルホン酸のアシル基、リン酸ア
ルキルまたは硫酸アルキルのアシル基、またはアルキル基)、および
M=HまたはORE(ここで、RE=Hまたは2〜30炭素原子を有する、カル
ボン酸、アルキルホスホン酸、またはアルキルスルホン酸のアシル基、リン酸ア
ルキルまたは硫酸アルキルのアシル基、またはアルキル基)、ただしLおよびM
の少なくとも一つはHであることを条件とする、および
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭素
−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、あ
るいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはア
ルキル基である)、
そしてアルドース部分の2’位と3’位との間には、必要に応じてC−C結合
が存在する;
Z=NHRC(ここで、RC=Hまたは2〜30炭素原子を有するカルボン酸、
あるいは2〜30炭素原子を有するアルキル基)、および
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭素
−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、あ
るいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはア
ルキル基である)。
本発明の新規組成物は上記化合物(必要に応じて、薬学的に受容可能な塩とし
て)(ここで、RA、RB、RC、RDまたはREの少なくとも一つはHでなく、ま
たZがNH2かNHRCである化合物においては、QはHまたはNHRF(ここで
、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む、アシル基またはアルキル基である)
である)を薬学的に受容可能なキャリアと共に含有してなる。
概して、グアノシン、その同族体、およびそれらのアシルおよびアルキル誘導
体は、式(I)、あるいはその薬学的に受容可能な塩によって表される:
ここでRA、RB、RCおよびRDは、同じであるか、または異なり、そして各々は、
水素(H)、アシル基、またはアルキル基であり、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭
素原子を含むアシル基またはアルキル基である)、=O、またはORH(ここで
、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはアルキル基である)。
概して、イノシン、その同族体、およびそれらのアシルおよびアルキル誘導体
は、式(II)、あるいはその薬学的に受容可能な塩によって表される:
ここでRA、RB、RCおよびRDは、同じであるか、または異なり、そして各々は、
水素(H)、アシル基、またはアルキル基であり、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭
素原子を含むアシル基またはアルキル基である)、=O、またはORH(ここで
、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはアルキル基である)。
概して、キサントシン、その同族体、およびそれらのアシルおよびアルキル誘
導体は、式(III)、あるいはその薬学的に受容可能な塩によって表される:
ここでRA、RB、RCおよびRDは、同じであるか、または異なり、そして各々は、
水素(H)、アシル基、またはアルキル基であり、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭
素原子を含むアシル基またはアルキル基である)、=O、またはORH(ここで
、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシルまたはアルキル基である)。
概して、デオキシイノシン、その同族体、およびそれらのアシルおよびアルキ
ル誘導体は、式(IV)、あるいはその薬学的に受容可能な塩によって表される:
ここでRA、RB、RCおよびRDは、同じであるか、または異なり、そして各々は、
水素(H)、アシル基、またはアルキル基であり、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシルまたはアルキル基である)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素
原子を含むアシル基またはアルキル基である)、=O、またはORH(ここで、
RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはアルキル基である)。
概して、デオキシグアノシン、その同族体、およびそれらのアシルおよびアル
キル誘導体は、式(V)、あるいはその薬学的に受容可能な塩によって表される
:
ここでRA、RB、RCおよびRDは、同じであるか、または異なり、そして各々は、
水素(H)、アシル基、またはアルキル基であり、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシルまたはアルキル基である)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素
原子を含むアシル基またはアルキル基である)、=O、またはORH(ここで、
RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはアルキル基である)。
概して、デオキシキサントシン、その同族体、およびそれらのアシルおよびア
ルキル誘導体は、式(VI)、あるいはその薬学的に受容可能な塩によって表され
る:
ここでRA、RB、RCおよびRDは、同じであるか、または異なり、そして各々は、
水素(H)、アシル基、またはアルキル基であり、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシルまたはアルキル基である)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素
原子を含むアシル基またはアルキル基である)、=O、またはORH(ここで、
RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはアルキル基である)。
概して、イノシン2’,3’-非環式ジアルコール、その同族体、およびそれ
らのアシルおよびアルキル誘導体は、式(VII)、あるいはその薬学的に受容可
能な塩によって表される:
ここで、RA、RBおよびRDは同一かまたは異なり、そして各々は水素(H)ま
たはアシル基またはアルキル基であり、そしてZはH、OH、=O、またはNH
RC(ここで、RC=Hまたは2〜30炭素原子を有するカルボン酸のアシル基)
であり、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシルまたはアルキル基である)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素
原子を含むアシル基またはアルキル基である)、=O、またはORH(ここで、
RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはアルキル基である)。
概して、グアニン、その同族体、およびそれらのアシルおよびアルキル誘導体
は、式(I)、あるいはその薬学的に受容可能な塩によって表される:
ここで、RCはアシル基またはアルキル基であり、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシルまたはアルキル基である)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素
原子を含むアシル基またはアルキル基である)、=O、またはORH(ここで、
RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはアルキル基である)。
本発明に従い使用したとき効用および安全性の両方から望ましい新規誘導体の
部類は次の通りである:
(1)下式を有するグアノシンまたはその同族体のアシル誘導体またはアルキル
誘導体:
ここで、RA、RB、およびRDは同一または異なり、そして水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、チロシ
ン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、システイン、アスパ
ラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジンおよびオルニチンか
ら成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.4〜22の炭素原子を含むシクロアルキルカルボン酸、
e.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、または
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル
但し、RA、RB、およびRDのすべてが水素であるとは限らないことを条件とし
、RCは水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.4〜22の炭素原子を有するシクロアルキルカルボン酸
e.ニコチン酸、または
f.7〜22の炭素原子を有する置換または非置換芳香族カルボン酸、
g.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、および
J=HまたはNHRI、(ここで、RIはHまたは1〜10の炭素原子を有する
アシル基またはアルキル基である):
(2)下式を有するイノシンまたはその同族体のアシル誘導体またはアルキル誘
導体:
ここで、RAは水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
c.ニコチン酸、または
d.4〜22の炭素原子を含むシクロアルキルカルボン酸、
e.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有
するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、および
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル、
ここで、RBおよび/またはRDは水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.3〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.ニコチン酸または
e.4〜22の炭素原子を含むシクロアルキルカルボン酸、
f.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、または
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル、
但し、RA、RB、およびRDのすべてが水素でないことを条件とし、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭素
−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、あ
るいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはア
ルキル基である);
(3)下式を有するキサントシンまたはその同族体のアシル誘導体またはアルキ
ル誘導体:
ここで、RA、RB、およびRDは同一または異なり、そして水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親
水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプリン、セリン、トレオニン、シ
ステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジンお
よびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.ニコチン酸または
e.4〜22の炭素原子を含む、シクロアルキルカルボン酸、
f.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、または
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル、
但し、RA、RBおよびRDの全てが水素ではないことを条件とし、
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭素
−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、あ
るいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはア
ルキル基である);
(4)下式を有するデオキシイノシンまたはその同族体のアシル誘導体またはア
ルキル誘導体:
ここで、RAとRBとは同一または異なり、そして水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.ニコチン酸、または
e.4〜22の炭素原子を有するシクロアルキルカルボン酸、
f.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、および
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル
但し、RAとRBのうち少なくとも一つは水素ではないことを条件とし、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭素
−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、あ
るいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはア
ルキル基である);
(5)下式を有するデオキシグアノシンまたはその同族体のアシル誘導体または
アルキル誘導体:
ここで、RAおよびRBは同一または異なり、そしてそれぞれは水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、チロシ
ン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、システイン、アスパ
ラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジンおよびオルニチンか
ら成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.ニコチン酸、または
e.4〜22の炭素原子を含むシクロアルキルカルボン酸、
f.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、および
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル
但し、RAおよびRBの両方とも水素ではなく、そして
RCは水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.4〜22の炭素原子を有するシクロアルキルカルボン酸、
e.ニコチン酸、または
f.7〜22の炭素原子を有する置換または非置換芳香族カルボン酸、
g.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、
またRCがHでない場合には、そのときRAおよび/またはRBはまたアセチル
であってもよい、そして
J=HまたはNHRF(ここでRFはHまたは1〜10の炭素原子を含むアシル
またはアルキル基である);
(6)下式を有するデオキシキサントシンまたはその同族体のアシル誘導体また
はアルキル誘導体:
ここで、RAとRBは同一または異なり、そして水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端の
炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される
親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.ニコチン酸または
e.4〜22の炭素原子を含む、シクロアルキルカルボン酸、
f.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、または
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル、
但し、RAとRBの少なくとも1つは水素ではない、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基
またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した
炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)
、あるいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である);
(7)下式を有するイノシン非環式2’,3’−ジアルコールまたはその同族体
のアシル誘導体またはアルキル誘導体:
ここで、RA、RB、およびRDは同一または異なり、そして水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.ニコチン酸または
e.4〜22の炭素原子を含むシクロアルキルカルボン酸、
f.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有
するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、または
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル
但し、RA、RB、およびRDのすべてが水素ではない、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭素
−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、あ
るいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはア
ルキル基である)、そして
ZはH、OH、=O、またはNHRC(ここでRC=Hまたは2〜30の炭素原
子を有するカルボン酸のアシル基または2〜30炭素原子を有するアルキル基)
である;
(8)下式を有するグアニンまたはその同族体のアシル誘導体またはアルキル誘
導体:
ここで、RCは水素または以下から誘導されるアシル基である;
i.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
ii.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
iii.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
iv.4〜22の炭素原子を有するシクロアルキルカルボン酸
v.ニコチン酸、または
vi.7〜22の炭素原子を有する置換または非置換芳香族カルボン酸、
vii.以下から誘導されるカルボン酸:
1.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
2.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
viii.3〜22の炭素原子を有する枝分かれのない脂肪酸(必要に応じて、
末端の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択
される親水性部分で置換される)、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭素
−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、あ
るいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはア
ルキル基である)。
上記構造のすべてに対して、プリン塩基の2位における置換基(Z)あるいは
プリン塩基の8位における置換基(QまたはL)が二重結合でプリン塩基に付く
場合(例えば、=Oまたは=S)、プリン塩基における隣接炭素−窒素二重結合
となり、そしてこの炭素−窒素単結合の窒素上には更に一つの水素が付く。
上記化合物の薬学的に受容可能な塩も本発明に包含される。図面の簡単な説明
図1は、実施例37に記載のように、生理食塩水、グアニンおよびグアノシン
で処置後のマウスの脾臓重量を比較するグラフである。(この図中またはその後
の各回中の星印(★)は策計学的有意差を示す)。
図2は、実施例37に記載のように、生理食塩水、グアニンおよびグアノシン
で処置後のマウスの白血球数を比較するグラフである。
図3は、実施例37に記載のように、生理食塩水、グアニンおよびグアノシン
で処置後のマウスの好中球数を比較するグラフである。
図4は、実施例38に記載のように、生理食塩水、Tween-80、グアノシン、ト
リアセチルグアノシン、オクタノイルグアノシン、ラウリルグアノシンおよびパ
ルミドイルグアノシンで処置後のマウスの脾臓重量を比較するグラフである。
図5は、実施例38に記載のように、生理食塩水、Tween-80、グアノシン、ト
リアセチルグアノシン、オクタノイルグアノシン、ラウリルグアノシンおよびパ
ルミドイルグアノシンで処置後のマウスにおける白血球数を比較するグラフであ
る。
図6は、実施例38に記載のように、生理食塩水、Tween-80、グアノシン、ト
リアセチルグアノシン、オクタソイルグアノシン、ラウリルグアノシンおよびパ
ルミドイルグアノシンで処置後のマウスにおける好中球数を比較するグラフであ
る。
図7は、実施例40に記載のように、シクロホスファミド処置後のコロニー数
/大腿を示すグラフである。
図8は、実施例41に記載のように、生理食塩水、Tween-80およびパルミトイ
ルグアノシンで種々の時間処置した後のマウスの脾臓重量を比較するグラフであ
る。
図9は、実施例41に記載のように、食増水、Tween-80およびパルミトイルグ
アノシンで処置後のマウスにおける白血球数を比較するグラフである。
図10は、実施例41に記載のように、生理食塩水、Tween-80、およびパルミ
トイルグアノシンで処置後のマウスにおける好中球酸を比較するグラフである。
図11は、実施例41に記載のように、生理食塩水、Tween-80およびパルミト
イルグアノシンで処置後のマウスにおけるリンパ球数を比較するグラフである。
図12は、実施例42に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルグアノ
シンで処置後のマウスの脾臓重量を比較するグラフである。「5FU」は5−フ
ルオロウラシルである。
図13は、実施例42に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルグアノ
シンで処置後のマウスにおけるリンパ球数を比較するグラフである。
図14は、実施例42に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルグアノ
シンで処置後のマウスにおける好中球数を比較するグラフである。
図15は、実施例42に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルグアノ
シンで処置後のマウスにおける白血球数を比較するグラフである。
図16は、実施例43に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルグアノ
シンで処置後のマウスにおける血小板数を示すグラフである。
図17は、実施例43に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルグアノ
シンで処置後のマウスの脾臓重量を比較するグラフである。
図18は、実施例43に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルグアノ
シンで処置後のマウスにおける好中球数を示すグラフである。
図19は、実施例43に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルグアノ
シンで処置後のマウスにおける白血球数を示すグラフである。
図20は、実施例44に記載のように、Tween-80、およびパルミトイルグアノ
シンおよびパルミトイルデオキシイノシンで処置後のマウスの脾臓重量を比較す
るグラフである。
図21は、実施例44に記載のように、Tween-80およびパルミトイルグアノシ
ンおよびパルミトイルデオキシイノシンで処置後のマウスにおける白血球数を比
較するグラフである。
図22は、実施例44に記載のように、Tween-80、パルミトイルグアノシンお
よびパルミトイルデオキシイノシンで処置後のマウスにおける好中球数を比較す
るグラフである。
図23は、実施例44に記載のように、生理食塩水、Tween-80およびオクタノ
イルグアノシンで処置後のマウスの脾臓重量を比較するグラフである。
図24は、実施例44に記載のように、生理食塩水、Tween-80およびオクタノ
イルグアノシンで処置後のマウスにおける白血球数を比較するグラフである。
図25は、実施例45に記載のように、生理食塩水、Tween-80およびオクタノ
イルグアノシンで処置後のマウスにおける好中球数を比較するグラフである。
図26は、実施例46に記載のように、生理食塩水、Tween-80およびオクタノ
イルグアノシンで処置後のマウスの脾臓重量を比較するグラフである。
図27は、実施例46に記載のように、生理食塩水、Tween-80およびオクタノ
イルグアノシンのシクロホスファミド処置マウスにおける造血成績に及ぼす効果
を示すグラフである。
図28は、実施例46に記載のように、生理食塩水、Tween-80およびオクタノ
イルグアノシンで処置後のマウスにおける白血球数を比較するグラフである。
図29は、実施例46に記載のように、生理食塩水、Tween-80およびオクタノ
イルグアノシンで処置後のマウスにおける好中球数を比較するグラフである。
図30は、実施例47に記載のように、生理食塩水、ベンゾイルグアノシンお
よびパルミトイルグアノシンで処置後のマウスにおける白血球数を比較するグラ
フである。
図31は、実施例47に記載のように、生理食塩水、ベンゾイルグアノシンお
よびパルミトイルグアノシンで処置後のマウスにおける好中球酸を比較するグラ
フである。
図32は、実施例47に記載のように、生理食塩水、ベンゾイルグアノシンお
よびパルミトイルグアノシンで処置後のマウスの脾臓重量を比較するグラフであ
る。
図33は、実施例47に記載のように、生理食塩水、ベンゾイルグアノシンお
よびパルミトイルグアノシンで処置後のマウスにおける血小板数を比較するグラ
フである。
図34は、実施例48に記載のように、生理食塩水、パルミトイルイノシンお
よびパルミトイルキサントシンで処置後のマウスの脾臓細胞を比較するグラフで
ある。
図35は、実施例48に記載のように、生理食塩水、パルミトイルデオキシイ
ノシンおよびパルミトイルキサントシンで処置後のマウスにおける白血球数を比
較するグラフである。
図36は、実施例48に記載のように、生理食塩水、パルミトイルデオキシイ
ノシンおよびパルミトイルキサントシンで処置後のマウスにおける好中球数を比
較するグラフである。
図37は、実施例49に記載のように、生理食塩水、パルミトイルキサントシ
ン、パルミトイルイノシン、パルミトイルグアノシン、ラウリルグアノシンおよ
びオクタノイルグアノシンで処置後のマウスの脾臓重量を比較するグラフである
。
図38は、実施例49に記載のように、生理食塩水、パルミトイルキサントシ
ン、パルミトイルイノシン、パルミトイルグアノシン、ラウリルグアノシンおよ
びオクタノイルグアノシンで処置後のマウスにおける白血球数を比較するグラフ
である。
図39は、実施例49に記載のように、生理食塩水、パルミトイルキサントシ
ン、パルミトイルイノシン、パルミトイルグアノシン、ラウリルグアノシンおよ
びオクタノイルグアノシンで処置後のマウスにおける好中球数を比較するグラフ
である。
図40は、実施例50に記載のように、Tween-80、パルミトイルアシクロビル
、パルミトイルアラピソシルヒポキサンチン、パルミトイル-8-チオグアノシン
、パルミトイルデオキシグアノシン、パルミトイルアラビノシルグアニン、パル
ミトイルデオキシイノシン、およびモノパルミトイルグアノシン2’,3-非環式
ジアルコールで処置後のマウスにおける好中球数を比較するグラフである。
図41は、実施例50に記載のように、Tween-80、パルミトイルアシクロビル
、パルミトイルアラビソシルヒポキサンチン、パルミトイル-8-チオグアノシン
、パルミトイルデオキシグアノシン、パルミトイルアラビソシルグアニン、パル
ミ
トイルデオキシイノシン、およびモノパルミトイルグアノシン2’,3’-非環式
ジアルコールで処置後のマウスにおける白血球数を比較するグラフである。
図42は、実施例50に記載のように、Tween-80、パルミトイルアシクロビル
、パルミトイルアラビノシルヒポキサンチン、パルミトイル-8-チオグアノシン
、パルミトイルデオキシグアノシン、パルミトイルアラビノシルグアニン、パル
ミトイルデオキシイノシン、およびモノパルミトイルグアノシン2’,3’-非環
式ジアルコールで処置後のマウスにおける脾臓重量を比較するグラフである。
図43は、実施例51に記載のように、Tween-80、3’-O-パルミトイルデオ
キシグアノシン、ブチリルデオキシグアノシン、パルミトイル-N-イソブチリル
デオキシグアノシン、ラウリルデオキシグアノシン、オクタノイルデオキシグア
ノシン、およびパルミトイルデオキシグアノシンで処置後のマウスにおける脾臓
重量を比較するグラフである。
図44は、実施例51に記載のように、Tween-80、3’-O-パルミトイルデオ
キシグアノシン、ブチリルデオキシグアノシン、パルミトイル-N-イソブチリル
デオキシグアノシン、ラウリルデオキシグアノシン、オクタノイルデオキシグア
ノシン、およびパルミトイルデオキシグアノシンで処置後のマウスにおける好中
球数を比較するグラフである。
図45は、実施例51に記載のように、Tween-80、3’-O-パルミトイルデオ
キシグアノシン、ブチリルデオキシグアノシン、パルミトイル-N-イソブチリル
デオキシグアノシン、ラウリルデオキシグアノシン、オクタノイルデオキシグア
ノシン、およびパルミトイルデオキシグアノシンで処置後のマウスにおける白血
球数を比較するブラフである。
図46は、実施例52に記載のように、4通りの異なる用量、即ち0.2、0.4、
1.0および2.0μモル/マウスで生理食塩水およびパルミトイルデオキシグアノシ
ンにより処置した後のマウスにおける脾臓重量を比較するグラフである。
図47は、実施例52に記載のように、4通りの異なる用量、即ち0.2、0.4、
1.0および2.0μモル/マウスで生理食塩水およびパルミトイルデオキシグアノシ
ンにより処置後のマウスにおける白血球数を比較するグラフである。
図48は、実施例52に記載のように、4通りの異なる用量、即ち0.2、0.4、
1.0および2.0μモル/マウスで生理食塩水およびパルミトイルデオキシグアノシ
ンにより処置後のマウスにおける好中球数を比較するグラフである。
図49は、実施例53に記載のように、4通りの異なる用量、即ち0.2、0.4、
1.0および2.0μモル/マウスで生理食塩水、パルミトイルデオキシグアノシン、
およびパルミトイルグアノシンにより処置後のマウスにおける脾臓重量を比較す
るグラフである。
図50は、実施例53に記載のように、4通りの異なる用量、即ち0.2、0.4、
1.0および2.0μモル/マウスで生理食塩水、パルミトイルデオキシグアノシン、
およびパルミトイルグアノシンにより処置後のマウスにおける白血球数を比較す
るグラフである。
図51は、実施例53に記載のように、4通りの異なる用量、即ち0.2、0.4、
1.0および2.0μモル/マウスで生理食塩水およびパルミトイルデオキシグアノシ
ン、およびパルミトイルグアノシンにより処置後のマウスにおける好中球数を比
較するグラフである。
図52は、実施例54に記載のように、6通りの異なる用量、即ち0.04、0.08
、0.2、0.4、0.6または0.8μモル/マウスで生理食塩水、およびパルミトイルデ
オキシグアノシンにより処置後のマウスにおける脾臓重量を比較するグラフであ
る。
図53は、実施例54に記載のように、6通りの異なる用量、即ち0.04、0.08
、0.2、0.4、0.6または0.3μモル/マウスで生理食塩水およびパルミトイルデオ
キシグアノシンにより処置後のマウスにおける白血球数を比較するグラフである
。
図54は、実施例54に記載のように、6通りの異なる用量、即ち0,04、0.08
、0.2、0.4、0.6または0.8μモル/マウスで生理食塩水およびパルミトイルデオ
キシグアノシンにより処置後のマウスにおける好中球数を比較するグラフである
。
図55は、実施例55に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルデオキ
シグアノシンで処置後のマウスにおける白血球数を比較するグラフである。
図56は、実施例55に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルデオキ
シグアノシンで処置後のマウスにおける好中球数を比較するグラフである。
図57は、実施例55に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルデオキ
シグアノシンで処置後のマウスにおける血小板数を比較するグラフである。
図58は、実施例55に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルデオキ
シグアノシンで処置後のマウスにおけるリンパ球数を比較するグラフである。
図59は、実施例56に記載のように、生理食塩水、パルミトイル-8-ブロモ
グアノシン、モノパルミトイルグアノシン2’,3’-非環式ジアルコール、パ
ルミトイルグアノシン、およびパルミトイルデオキシグアノシンで処置後のマウ
スにおける脾臓重量を比較するグラフである。
図60は、実施例56に記載のように、生理食塩水、パルミトイル-8-ブロモ
グアノシン、モノパルミトイルグアノシン2’,3’-非環式ジアルコール、パル
ミトイルグアノシン、およびパルミトイルデオキシグアノシンで処置後のマウス
における血小板数を比較するグラフである。
図61は、実施例56に記載のように、生理食塩水、パルミトイル-8-ブロモ
グアノシン、モノパルミトイルグアノシン2’,3’-非環式ジアルコール、パル
ミトイルグアノシン、およびパルミトイルデオキシグアノシンで処置後のマウス
における骨髄細胞数/大腿を比較するグラフである。
図62は、実施例57に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルデオキ
シグアノシンで処置後のマウスにおける血小板数を比較するグラフである。
図63は、実施例57に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルデオキ
シグアノシンで処置後のマウスにおける脾臓重量を比較するグラフである。
図64は、実施例57に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルデオキ
シグアノシンで処置後のマウスにおける好中球数を比較するグラフである。
図65は、実施例57に記載のように、生理食塩水およびパルミトイルデオキ
シグアノシンで処置後のマウスにおける白血球数を比較するグラフである。
図66は、実施例58に記載のように、パルミトイルグアノシンと共にあるい
は無しに、種々な濃度のTween-80で処置後のマウスにおける好中球数を比較する
グラフである。
図67は、実施例59に記載のように、生理食塩水およびパルミトイル8−ア
ミノグアノシンで処置したマウスにおける好中球数を比較するグラフである。
図68は、実施例59に記載のように、生理食塩水およびパルミトイル8−ア
ミノグアノシンで処置したマウスにおける脾臓重量を比較するグラフである。
図69は、PdGによる幹細胞の動員(mobilization)を示すグラフである。
以下の詳細な説明は、下記の実施例に並べられた実験結果を例示する図面を参
照しながら読めば、この説明から本発明ならびに他の目的、特徴および利点を一
層明快にかつ完全に理解できるであろう。発明の詳細な説明
本発明は、オキシプリンヌクレオシド、これらのヌクレオシドの同族体、およ
びこれらのヌクレオシドおよびそれらの同族体のアシル誘導体およびアルキル誘
導体、およびこれらの化合物のヒトを含む動物の造血の改変のための使用に関す
る。
A.定義
本明細書中で用いた用語「オキシプリン塩基」は、6位に環外酸素基またはヒ
ドロキシル基を、また2位に水素、酸素、ヒドロキシル基またはアミノ基を有す
るプリン塩基を意味する。
本明細書中で用いた用語「オキシプリンヌクレオシド」は、9位の窒素から5
−炭素アルドースの1’位に結合したオキシプリン塩基を意味する。用語オキシ
プリンヌクレオシドは、化合物グアノシン、イノシン、デオキシイノシン、キサ
ントシン、デナキシキサントシン、およびデオキシグアノシンを包含するが、こ
れらに限定はしない。
本明細書中で使用されている用語「同族体」は、プリン環部分の7位または8
位に付いた置換基を有するオキシプリンヌクレオシド、および/または環開裂し
たアルドースを有するオキシプリンヌクレオシド(例えば、グアノシン2’,3
’ジアルコール)を意味する。
本明細書中で用いた用語「アシル誘導体」は、カルボン酸から誘導された実質
的に無毒性の有機アシル置換基が、オキシプリンヌクレオシドのリボース部分の
遊離ヒドロキシル基の一つ以上にエステル結合によって付いたオキシプリンヌク
レオシドまたは同族体の誘導体、および/またはこのような置換基がグアノシン
のプリン環上のアミン置換基へアミド結合により付いたオキシプリンヌクレオシ
ドまたは同族体の誘導体を意味する。このようなアシル置換基は乳酸、アミノ酸
、脂肪酸、ニコチン酸、ジカルボン酸、β-アミノ安息香酸およびオロチン酸か
ら
なる群から選択される化合物を包含する(これら化合物に限定されない)カルボ
ン酸から誘導される。有利なアシル置換基は食物構成成分として、または中間代
謝物として身体の中に通常存在する化合物である。
本明細書中で用いた用語「薬学的に受容可能な塩」は、誘導体の薬学的に受容
可能な酸付加塩を意味し、前記酸には硫酸、塩酸、またはリン酸が包含されるが
、これらに限定されない。
用語「同時投与」は、本発明の化合物の少なくとも二つを、それぞれの薬理活
性期が重なる時間枠の間に投与することを意味する。
本明細書中で用いた用語「アミノ酸」には、グリシン、およびL形のアミノ酸
、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、
プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、
メチオニン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リ
ジン、ヒスチジン、オルニチン、ヒドロキシリジン、カルニチン、および他の天
然に存在するアミノ酸が包含されるが、これらに限定されない。
本明細書中で用いた用語「脂肪酸」は、2〜22炭素原子を有する脂肪酸カル
ボン酸を意味する。このような脂肪酸は飽和、部分飽和または多不飽和のいずれ
でもよい。
本明細書中で用いた用語「ジカルボン酸」は、第二のカルボン酸置換基をもつ
脂肪酸を意味する。
本明細書中で用いた用語「治療有効量」は、所定の症状および投与計画に対し
治療効果を生ずる量を指す。
B.本発明の化合物
造血を改変する上で有用な化合物は下記の構造を有する:
RA=Hまたは2〜30炭素原子を有する、カルボン酸、アルキルホスホン酸
、またはアルキルスルホン酸のアシル基、リン酸アルキルまたは硫酸アルキルの
アシル基、またはアルキル基、および
RB=Hまたは2〜30炭素原子を有する、カルボン酸、アルキルホスホン酸
、またはアルキルスルホン酸のアシル基、リン酸アルキルまたは硫酸アルキルの
アシル基、またはアルキル基、および
Z=H、OH、=O、またはNHRC(ここで、RC=Hまたは2〜30炭素原子
を有するカルボン酸のアシル基、または2〜30の炭素原子を有するアルキル基)
、および
L=HまたはORD(ここで、RD=Hまたは2〜30炭素原子を有する、カル
ボン酸、アルキルホスホン酸、またはアルキルスルホン酸のアシル基、リン酸ア
ルキルまたは硫酸アルキルのアシル基、またはアルキル基)、および
M=HまたはORE(ここで、RE=Hまたは2〜30炭素原子を有する、カル
ボン酸、アルキルホスホン酸、またはアルキルスルホン酸のアシル基、リン酸ア
ルキルまたは硫酸アルキルのアシル基、またはアルキル基)、ただしLおよびM
の少なくとも一つはHであることを条件とする、および
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、そ
の隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合
している)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基ま
たはアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭
素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、
あるいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基または
アルキル基である)、
そしてアルドース部分の2’位と3’位との間には、必要に応じてC−C結合
が存在する;
Z=NHRC(ここで、RC=Hまたは2〜30炭素原子を有するカルボン酸、
あるいは2〜30炭素原子を有するアルキル基)、および
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭素
−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、あ
るいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはア
ルキル基である)。
本発明の新規組成物は上記化合物(ここで、RA、RB、RC、RDまたはREの
少なくとも一つはHでなく、またZがNH2かNHRCである化合物においては、
QはHまたはNHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む、アシル
基またはアルキル基である)である)を薬学的に受容可能なキャリアと共に含有
してなる。
概括的に言えば、本発明の新規化合物には下記のものが包含されるが、これら
に限定されない:
(1)下式を有するグアノシンまたはその同族体のアシル誘導体またはアルキル
誘導体:
ここで、RA、RB、およびRDは同一または異なり、そして水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、チロシ
ン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、システイン、アスパ
ラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジンおよびオルニチンか
ら成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.4〜22の炭素原子を含むシクロアルキルカルボン酸、
e.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポ
リマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、または
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル
但し、RA、RB、およびRDのすべてが水素であるとは限らないことを条件とし
、RCは水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.4〜22の炭素原子を有するシクロアルキルカルボン酸
e.ニコチン酸、または
f.7〜22の炭素原子を有する置換または非置換芳香族カルボン酸、
g.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性
部分で置換される)、および
J=HまたはNHRI、(ここで、RIはHまたは1〜10の炭素原子を有する
アシル基またはアルキル基である):
(2)下式を有するイノシンまたはその同族体のアシル誘導体またはアルキル誘
導体:
ここで、RAは水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
c.ニコチン酸、または
d.4〜22の炭素原子を含むシクロアルキルカルボン酸、
e.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、および
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル、
ここで、RBおよび/またはRDは水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.3〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.ニコチン酸または
e.4〜22の炭素原子を含むシクロアルキルカルボン酸、
f.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、または
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル、
但し、RA、RB、およびRDのすべてが水素でないことを条件とし、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭素
−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、あ
るいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはア
ルキル基である);
(3)下式を有するキサントシンまたはその同族体のアシル誘導体またはアルキ
ル誘導体:
ここで、RA、RB、およびRDは同一または異なり、そして水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3、PO3、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される
親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプリン、セリン、トレオニン、シ
ステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジンお
よびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.ニコチン酸または
e.4〜22の炭素原子を含む、シクロアルキルカルボン酸、
f.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、または
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル、
但し、RA、RBおよびRDの全てが水素ではないことを条件とし、
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭素
−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、あ
るいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはア
ルキル基である);
(4)下式を有するデオキシイノシンまたはその同族体のアシル誘導体またはア
ルキル誘導体:
ここで、RAとRBとは同一または異なり、そして水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.ニコチン酸、または
e.4〜22の炭素原子を有するシクロアルキルカルボン酸、
f.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、および
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル
但し、RAとRBのうち少なくとも一つは水素ではないことを条件とし、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭素
−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、あ
るいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはア
ルキル基である);
(5)下式を有するデオキシグアノシンまたはその同族体のアシル誘導体または
アルキル誘導体:
ここで、RAおよびRBは同一または異なり、そしてそれぞれは水素または
I.以下から誘導されるアシル基
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、チロシ
ン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、システイン、アスパ
ラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジンおよびオルニチンか
ら成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.ニコチン酸、または
e.4〜22の炭素原子を含むシクロアルキルカルボン酸、
f.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、および
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル
但し、RAおよびRBの両方とも水素ではなく、そして
RCは水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3、SO3 -からなる群から選択される
親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.4〜22の炭素原子を有するシクロアルキルカルボン酸、
e.ニコチン酸、または
f.7〜22の炭素原子を有する置換または非置換芳香族カルボン酸、
g.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、
またRCがHでない場合には、そのときRAおよび/またはRBはまたアセチル
であってもよい、そして
J=HまたはNHRF(ここでRFはHまたは1〜10の炭素原子を含むアシル
またはアルキル基である);
(6)下式を有するデオキシキサントシンまたはその同族体のアシル誘導体また
はアルキル誘導体:
ここで、RAとRBは同一または異なり、そして水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端の
炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される
親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.ニコチン酸または
e.4〜22の炭素原子を含む、シクロアルキルカルボン酸、
f.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、または
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル、
但し、RAとRBの少なくとも1つは水素ではない、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基
またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した
炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)
、あるいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である);
(7)下式を有するイノシン非環式2’,3’−ジアルコールまたはその同族体
のアシル誘導体またはアルキル誘導体:
ここで、RA、RB、およびRDは同一または異なり、そして水素または
I.以下から誘導されるアシル基:
a.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
b.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
c.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
d.ニコチン酸または
e.4〜22の炭素原子を含むシクロアルキルカルボン酸、
f.以下から誘導されるカルボン酸:
i.HOOC(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m(CH2CH2O)nCH3、の構造を
有
するエチレングリコールのポリマー、または
ii.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
II.3から22の炭素原子を有する非分枝アルキル基(必要に応じて、末端の炭
素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択される親
水性部分で置換される)、または
III.以下から誘導されるアシル基:
a.アルキルホスホン酸またはアルキルスルホン酸、または
b.リン酸アルキルまたは硫酸アルキル
但し、RA、RB、およびRDのすべてが水素ではない、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭素
−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、あ
るいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはア
ルキル基である)、そして
ZはH、OH、=O、またはNHRC(ここでRC=Hまたは2〜30の炭素原
子を有するカルボン酸のアシル基または2〜30炭素原子を有するアルキル基)
である;
(8)下式を有するグアニンまたはその同族体のアシル誘導体またはアルキル誘
導体:
ここで、RCは水素または以下から誘導されるアシル基である;
i.6〜22の炭素原子を有する枝分れのない脂肪酸(必要に応じて、末端
の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択され
る親水性部分で置換される)、
ii.グリシン、L形のフェニルアラニン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、
システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
およびオルニチンから成る群より選択されるアミノ酸、
iii.3〜22の炭素原子を有するジカルボン酸、
iv.4〜22の炭素原子を有するシクロアルキルカルボン酸
v.ニコチン酸、または
vi.7〜22の炭素原子を有する置換または非置換芳香族カルボン酸、
vii.以下から誘導されるカルボン酸:
1.HOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CH2O)nCH3、の構造
を有するエチレングリコールのポリマー、または
2.HOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nHまたはHOOC-(CH2)m-(CH2CHOH)nCH3、(ここ
で、mは0〜3でありそしてnは2〜8である)の構造を有するビニルアルコール
のポリマー、または
viii.3〜22の炭素原子を有する枝分かれのない脂肪酸(必要に応じて、
末端の炭素において、NH2、OH、OPO3 -、PO3 -、OSO3 -、SO3 -からなる群から選択
される親水性部分で置換される)、そして
Q=H、ハロゲン、NHRF(ここで、RFはHまたは1〜10炭素原子を含む
アシル基またはアルキル基である)、炭素に2価で結合したS(この場合、その
隣接した炭素−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合し
ている)、SRG(ここで、RGはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基また
はアルキル基である)、炭素に2価で結合したO(この場合、その隣接した炭素
−窒素二重結合は単結合であり、そのとき、Hはその窒素に結合している)、あ
るいはORH(ここで、RHはHまたは1〜10炭素原子を含むアシル基またはア
ルキル基である)。
また上記化合物の薬学的に受容可能な塩も本発明に包含される。
本発明の有利な化合物はデオキシグアノシン、デオキシイノシン、グアノシン
、イノシン、デオキシキサントシンおよびキサントシンの脂肪酸エステル、とり
わけアシル置換基に8個以上の炭素原子を有するもの、である。特に有利な化合
物はアシル置換基に12〜18炭素原子をもつデオキシグアノシンまたはデオキ
シイノシンの脂肪酸エステルである。3',5'-O-N2-トリパルミトイル-2'-デオ
キシグアノシンは特に活性である。アルドース部分のヒドロキシル基、またはグ
アノシンあるいはデオキシグアノシンの環外アミノ基のいずれかに結合した極性
のアミノ酸置換基(例えば、リジンまたはアルギニン)、および任意にアルドー
ス部分のヒドロキシル基にエステル化された脂肪酸を有する化合物は、水性製薬
キャリア中での処方に特に適している。
本発明の1つの実施態様において、高い水溶性をもつ本発明の誘導体は、プリ
ンヌクレオシドのアルドース部分の遊離ヒドロキシ基にリン酸部分または硫酸部
分を結合することにより調製される。
別の実施態様において、短鎖アルキルまたは置換アルキル基(例えばメチル、
エチルまたはプロピル)のような置換基を上記化合物のオキシプリン部分の1、
3および/または7位に結合する。
本発明の別の実施態様においては、グアノシン、デオキシグアノシンまたはそ
れらの同族体の環外アミノ基は二つのアシル置換基をもつことがあり、そしてこ
れらは同一でも異なってもよい。このような場合、アシル置換基はグアノシン、
デオキシグアノシンおよびそれらの同族体の説明の中でRCと呼ばれるアシル基
の群から選択される。非イオン界面活性剤
種々の非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンアシレート(例え
ばTween 80[ポリオキシエチレンソルビタンモノ−オレエート]、Tween 60[ポ
リオキシエチレンソルビタンモノステアレ−ト]など);ポリオキシエチレンエ
ーテル(例えばBrij 96[ポリオキシエチレン−10−オレイルエーテル]およびT
riton X-100);またエチレンオキシド縮合物(例えばNonidet 40-P[オクチル
フェノール−エチレンオキシド縮合物])を包含するが、これらに限定されな
い)は、インビボでの造血に対する本発明の化合物の効果を増進させることが分
かった。さらに、これらの界面活性剤は、シクロホスファミドのような血球減少
剤(cytoreductive agent)により起こる骨髄損傷後の造血の回復を単独で早める
(実施例52を参照のこと)。本発明の新規組成物は、1種以上の上記非イオン
界面活性剤とエリスロポイエチン、インターロイキン、コロニー刺激因子、また
造血を刺激し得る他の化合物とを含有する。
本発明の組成物
本発明の1つの実施態様において、新規医療品組成物は活性薬剤としてのグア
ノシン、イノシン、キサントシン、デオキシキサシトシン、デオキシイノシン、
デオキシグアノシンから選択される1種以上のオキシプリンヌクレオシド、これ
らオキシプリンヌクレオシドの同族体、ならびにこれらオキシプリンヌクレオシ
ドおよび同族体のアシル誘導体、およびアルキル誘導体を薬学的に受容可能なキ
ャリアと共に含有してなる。
別の実施態様においては、本発明の組成物は1種以上の本発明の化合物に加え
て、造血に影響を与える少なくとも1種の次の化合物、即ち非イオン界面活性剤
、インターロイキン(例えばIL-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-8(IL-
1-、3および6が有利))、コロニー刺激因子(例えば顆粒球コロニー刺激因
子(G-CSF)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF))、エリス
ロポイエチン(EPO)、グルカン、ポリイノシン−ポリシチジン、あるいは造血
に有利な効果をもつ他の薬剤を含有する。本発明の組成物はその企図された使用
法により液体、懸濁液、錠剤、カプセル、糖衣錠、注射溶液、局所用溶液、また
は坐薬の形態で製造される(下記の処方の説明を参照のこと)。
本発明の別の実施態様においては、組成物は少なくとも1種の本発明の化合物
と放射線保護化合物とからなる。
本発明の別の実施態様においては、組成物は少なくとも1種の本発明の化合物
と抗ウイルス剤または抗腫瘍剤、または血球数を滅少させる他の薬剤とからなる
。本発明の化合物および組成物の処置への使用法
本発明の化合物の治療活性は、疾患状態の少なくとも3つの主な階級に分類さ
れる:血球減少または造血の欠陥、細菌感染、および炎症性疾患である。これら
の疾患状態における本発明の化合物の治療有用性を示す生物学的活性を実施例に
示す。
本発明の化合物は動物における造血過程および免疫系作用を改変し、改善し、
あるいは助長するのに有用である。本化合物は化学薬品、放射線、または疾患に
より起きた骨髄損傷または抑制後の造血または血球数を回復させ、化学薬品、放
射線、または疾患による損傷から保護し、そして動物における血球(例えば、白
血球および血小板)の数または活性を改変する。本発明の化合物はヒトを処置す
るのに有用であるが、本発明をそのように制限する意図はなく、本発明の活性化
合物の投与から有益な効果を経験するあらゆる動物を処置することが本発明の企
図の中にある。
本発明の化合物を放射線保護化合物と共に使用する場合には、イオン化放射線
の効果が実質的に緩和される。
本発明は血球数の減少した患者、骨髄機能の損傷した患者、あるいは他の原因
で造血活性を増加させる必要のある患者の造血を改善する目的に対し、グアノシ
ン、デオキシグアノシン、イノシン、キサントシン、デオキシキサントシン、デ
オキシイノシン、このようなヌクレオシドの同族体、あるいはこのようなヌクレ
オシドまたは同族体のアシル誘導体、およびアルキル誘導体を含む薬学的化合物
または組成物の全身的投与によって更に具体化される。
本発明の化合物、組成物、および方法を用いて利益が得られる特定な状態には
造血改善が望まれる状況が包含される。このような状態は、血球を減少させる癌
化学療法、抗ウイルス化学療法、イオン化放射線に対する療法上のあるいは偶発
的な曝露に供された動物(例えばヒトの患者)、感染に対する宿主の白血球媒介
防御の改善を必要とする動物、および疾患または偶発的中毒により起きた貧血ま
たは骨髄発育不全をもつ動物の処置を包含する。本発明の化合物、組成物、およ
び方法を用いることにより、次の方法で、即ち、例えば感染に対する宿主の抵抗
を向上させるために、正常な血球数をもつ動物の白血球数を増加させる、例えば
凝血能力を向上させるために(例えば、外科手術前)、正常な血球数をもつ動物
の血小板数を増加させる、抗癌または抗ウイルス化学療法(または処置上の照射
)を受けるように計画された動物の前処置、骨髄移植の提供者の前処置、骨髄
移植後の回復の促進または改善、移植前の培養中の骨髄細胞の処理、培養中の骨
髄細胞の処理に(研究目的で、または移植前のいずれかのために)利益が得られ
る。特に血球数の調節を必要とする獣医用の応用面が含まれる。
血球減少症の(cytopenic)動物の血球数を回復するのに加えて、本発明の化
合物は、細菌感染との戦いおよび炎症応答の減衰において活性を示す。これを実
施例20に示す。血球減少症
本発明の化合物および組成物は以下に列挙し説明された血球減少症の処置に有
用である。
A.好中球減少症
癌または、癌化学療法による好中球滅少症;抗ウイルス化学療法による好中球
減少症:イオン化放射線への曝露(偶発的または処置上の曝露)による好中球減
少症;免疫抑制化学療法(例えば、リウマチ様関節炎のような自己免疫障害の細
胞毒薬物による処置)による好中球減少症;火傷患者における好中球減少症(ひ
どい火傷を負った患者に好中球減少が一般に見られる):ウイルス感染による好
中球減少症(例えば、AZTのような骨髄抑制薬での処置により疾患に拡大された
エイズ患者にしばしば見られる汎血球減少) :無形成性貧血または骨髄形成異常
症候群に二次的に派生する好中球減少:中毒(例えば、ベンゼン、また多数の倫
理的薬剤は副作用として顆粒球減少をあげる)による好中球減少症:特発性好中
球減少症;慢性好中球減少症;毛状細胞白血球病あるいは他のリンパ球性白血球
;他の原因から起きる好中球減少症;ヒト以外の動物における好中球減少症(獣
医関係)。
B.血小板減少症
癌化学療法による低血小板数;抗ウイルス化学療法による血小板減少症:イオ
ン化放射線に対する曝露(偶発的かまたは処置上の曝露)による血小板減少症:
免疫抑制化学療法(例えば、細胞毒薬物によるリウマチ様関節炎のような自己免
疫障害の処置)による低血小板数:ウイルス感染による血小板減少症(例えば、
AZTのような骨髄抑制薬での処置によって疾患に拡大されたエイズ患者にしばし
ば見られる汎血球減少症);無形成性貧血、骨髄形成異常症候群または発育不全
骨髄症候群に二次的に派生する血小板減少症;他の原因から来る血小板減少症。
C.リンパ球減少症
癌化字療法による低リンパ球数:抗ウイルス化学療法によるリンパ球減少症:
イオン化放射線への曝露(偶発的かまたは処置上の曝露)による低リンパ球数:
免疫抑制化学療法(例えば、細胞毒薬物によるリウマチ様関節炎のような自己免
疫障害の処置)による低リンパ球数:ウイルス感染によるリンパ血球減少、例え
ばAIDS;他の原因から来るリンパ球減少症。
D.貧血
腎臓透析による低赤血球数;腎臓障害による低赤血球数;無形成性貧血ウイル
ス感染または骨髄抑制化学療法剤による貧血;感染または疾患(例えば、マラリ
ア)による貧血:出血による貧血:他の原因から来る貧血。放射線曝露に関連する合併症の処置
本発明の活性化合物が放射線障害の処置に臨床的に有用であり得る3つの状況
は、1)核事故の場合のようなイオン化放射線に対する偶発的曝露; 2)ラジ
オグラフィー中の放射線に対する診断目的の曝露;および 3)癌の放射線処置
法のような処置目的の放射線曝露である。
最初の場合、1つの実施態様においては、達成される効果により、活性化合物
を非経口注射およびそれに続く経口または非経口投与に適した製剤として、造血
を高めるのに十分な用量、例えば0.01から3グラム/日、を1日1回から数回投
与する。
第二の場合、即ち診断用ラジオグラフィー中のX線曝露の場合、1つの実施態
様おいては、活性化合物を曝露の前後に経口的に与える。
癌放射線処置法中の第三の場合には、照射中の好ましくないが避けることので
きない機能抑制を起こした後で、活性化合物は骨髄機能の回復に特に有用である
。
本発明の化合物は放射線曝露の前、曝露中、および/または曝露後に投与され
る。
本発明の化合物は他の放射線保護化合物、例えばWR-2721、NAC、DDC、システ
アミン、2-メルカプトエタノール、メルカプトエチルアミン、ジチオトレイト
ール、グルタチオン、2-メルカプトエタンスルホン酸、WR-1065、ニコチンアミ
ド、5-ヒドロキシトリプタミン、2-β-アミノエチルイソチオウロニウム−Br
−Hbr、グルカンス、GLP/BO4、GLP/BO5、OK-432、Biostim、PSK、Lentinan、Sch
izophyllan、Rhodexman、Levan、Mannozym、MVE-3、MNR、MMZ、IL-1、IL-2、
TNF、胸腺因子TF-5、グルタチオンペルオキシダーゼ、スーパーオキシドジスム
ターゼ、カタラーゼ、グルタチオンレダクターゼ、グルタチオントランスフェラ
ーゼ、セレン、CdCl2、MnCl2、Zn酢酸塩、ビタミンA、ベータ−カロチン、プロ
スタグランジン、トコフェロールおよびメチレンブルーおよびPABA、と同時投与
したとき、イオン化放射線の影響の防止または改善に有用である。これら保護化
合物を本発明の化合物と共に投与すると、これら化合物あるいは他の放射線保護
剤を単独で投与したときよりも保護効果が大となる。癌化学療法に関連する合併症の処置
標準的抗腫瘍化学療法剤(例えば、5-フルオロウラシル、フルオロデオキシ
ウリジン、ビンカアルカロイド、シクロホスフアミドおよび他のアルキル化剤(
例えばブスルファン、ヘキサレンまたはメルファラン)、ダウノルビシン、ドキ
ソルビシン、メトトレキセート、シトシンアラビノシド、6-メルカプトプリン
、6-メチルメルカプトプリンリボシド、チオグアノシン、ポドフィロトキシン
、シスプラチン、このような血球減少剤の組合わせ、あるいは血球減少剤+モジ
ュレーター、例えばロイコボリン、PALA、またはWR-2721)で処置された患者の
白血球数、とりわけ好中球数はしばしば著しく減少する。本発明の化合物、例え
ばパルミトイルデオキシグアノシン(あるいはデオキシグアノシンの他のアシル
誘導体)の有効用量(例えば、0.01から3.0グラム)を幾日間か毎日経口投与(
あるいは非経口注射)すると、化学療法開始後数日経って起こるはずの好中球数
降下が減少あるいは完全になくなる。化学療法剤レシピエントをアシル化デオキ
シグアノシンで処置した場合も、化学療法計画だけを受けている患者と比較して
、好中球およびリンパ球を含め全白血球数が後日増加する。この処置は処置の進
行中ずっと感染の可能性を小さくし、患者にもっと多量の化学処置剤を投与でき
るようにし、そして(または)デオキシグアノシン誘導体(複数のことがある)
で処置しなかった同程度の患者よりも速く繰り返し投与できるようにする。
本発明の化合物は抗腫瘍剤の投与の前、投与中および/または投与後に投与さ
れる。抗ウイルス化学療法と関連する合併症の処置
エイズまたはエイズ関連症候群をもつ患者をアジドチミジン(AZT)および他
の抗ウイルス剤で処置すると貧血、好中球減少、および血小板減少によって複雑
化する。本発明の化合物、例えばパルミトイルグアノシン(あるいはグアノシン
の他のアシル化形態)の適切な用量を幾日間か(あるいは抗ウイルス処置のプロ
トコルにより処置の過程中ずっと)投与すると、AZTおよび/またはddCで誘発さ
れた好中球減少、貧血、血小板減少、および他の副作用が著しく減少する。これ
により敗血性合併症の確立が下がり、本発明の化合物で処置しなかった患者より
大用量の抗ウイルス化合物を短い期間に患者へ与えることができるようになる。
本発明の化合物は抗ウイルス剤投与の前、投与中、および/または投与後に投
与される。種々の薬物による中毒および副作用と関連する合併症の処置
ベンゼン中毒あるいは多くの処方薬、例えば抗甲状腺薬、スルホンアミド、フ
ェニルチアジン、フェニルブタゾン、およびアミノピリンを含めて種々な物質の
副作用は顆粒球減少および好中球減少を起こす。血球減少はベンゼン中毒により
、およびマスタードガスや関連するアルキル化剤によっても起こる。このような
中毒の被害者あるいはこのような薬物のレシピエントへ本発明の化合物を投与す
ると、好中球のような血球の生産が刺激されることにより回復が改善される。種々の疾患と関連する血球減少症の処置
数多くの疾患が種々の形態の血球減少と関連する。例えば、毛様細胞白血病は
好中球減少と関連する。血小板減少性紫斑病および無形成性貧血は血小板のレベ
ルの減少と関連がある。本発明の化合物を投与すると、このような疾患で悩まさ
れている患者の好中球、リンパ球、および血小板のレベルが増加する。HIV 感染と関連する合併症の処置
HIV感染患者、とりわけエイズに悩まされている患者はその結果生ずる種々の
症状および疾患を被り、ある場合、罹患免疫系を更に重度に悪化させる。これら
患者の多くは抗ウイルス化学処置剤、例えばAZTの投与を受けているが、この薬
剤も身体の免疫機能に有害な影響をもち、あらゆる種類の感染症に対する抵抗力
を更に低下させる。本発明の化合物を経口、静脈内、または非経口注射により投
与すると、ウイルス感染による低い血球数が上昇し、エイズ患者に見られる汎血
球減少に対抗する。このような処置は好中球、リンパ球、および血小板レベルを
高め、それにより免疫能力の回復を助ける。感染に対する大きな感受性はエイズ
患者の化学療法処置において用量および速度制限因子となるので、本発明の化合
物による患者の処置は化学療法の副作用を少なくし(従って、生活の質を良くす
る)、より強力な化学療法計画を使用できるようにする。
HIV感染患者においては、炎症性サイトカインもまた、AIDS関連の病理学に役
割を果たす。炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)はウイルスの複製
を刺激する。実施例75に示すように、本発明の化合物は、炎症性刺激に応答して
TNF産生を減衰させる。さらに、他の炎症性サイトカイン、例えば、インターフ
ェロンγは、AIDS関連の合併症に関与する。インターフェロンγは、AIDS患者に
おける悪液質および神経学の問題に寄与する(Brownら、Adv.Exp.Med.Biol.294:
425〜35頁、1991年)。本発明の化合物はまた、インターフェロンγ産生を減衰
させる(実施例75を参照のこと)。アポトーシスの調節
プログラム細胞死(アポトーシス)は、造血、リンパ球産生、およびリンパ球
の抗原特異的選択の多くの病理学的および生理学的局面に関連する。薬剤、例え
ば、コルチコステロイドまたは細胞毒性ガン化学療法剤は、アポトーシスを誘導
する。電離放射線曝露後の細胞死は、部分的にアポトーシスによる。AIDSの病原
は、リンパ球の過剰なアポトーシスを含む。本発明の化合物は、好都合にデオキ
シグアノシンの長鎖脂肪酸アシル誘導体(例えば、3',5'-ジ-O-パルミトイルデ
オキシグアノシン、またはN2,3',5'-トリパルミトイルデオキシグアノシン)は
血球のアポトーシスを調節する。アポトーシスの調節能力により、血球(白血球
および血小板を含む)の産生および生存の治療的改変、免疫系の機能および活性
ならびに他の細胞および器官系の治療的改変が可能となる。癌と関連する合併症の処置
癌の幾つかの変種は、血球減少化学療法によって起こる血球減少とは無関係に
血液学的血球減少と関連がある。毛様細胞白血病はしばしば好中球減少と関連す
る。新生物による骨髄の浸潤はしばしば造血を損なう。本発明の化合物の投与は
かかる疾患で苦しむ患者の好中球およびその他の細胞型のレベルを増加させる。
ある型の顆粒性白血病は未熟、未分化の顆粒球前駆体の過剰生産により特徴づけ
られる。下記の実施例41から実施例65に示されるように、本発明の化合物は
好中球前駆体の末端分化の増進を誘起し、顆粒球性白血病のような白血病の処置
における利用性を示している。
ガンの一般的な合併症は、悪液質(体重の減少および栄養素の利用不能により
特徴付けられる)である。悪液質は、一般的にTNFおよびインターフェロンγの
ような炎症性サイトカインのレベルの上昇と関連する(Brownら、Adv.Exp.Med.B iol.
294:425〜35、1991)。実施例75に示すように、本発明の化合物は、これら
の炎症性サイトカインの産生を弱める。本発明の化合物は、悪液質およびそのよ
うなサイトカインに関連する他のガンの合併症の処置に有用である。骨髄移植における本発明の化合物の使用
骨髄移植は、偶発的か治療上の放射線曝露および血球減少化学療法(抗ウイル
スおよび/または抗腫瘍)の影響を被る患者を処置するために用いられる。本発
明の化合物は種々の方法で骨髄移植を援助するために用いられる。骨髄移植片提
供者に本発明の化合物を投与すると、末梢血中の種々の型の血球(例えば好中球
、リンパ球、骨髄巨核細胞、および血小板)、とりわけ骨髄自身の中のこれらの
始原細胞のレベルが高まる。移植前後、あるいは移植中の骨髄レシピエントに本
発明の化合物を投与すると、造血の回復が早まる。さらに、骨髄細胞を移植に先
立ち本発明の化合物と培地でインキュベーションすると移植片の品質が向上する
。自家輸血に対する本発明の化合物の使用
自家輸血、あるいは輸血のためにある量の患者自身の血液の計画的な貯蔵、例
えば選択的外科手術の前の、あるいは輸血を必要とする不測の事態に構えて用心
としての血液保存、は他の提供者からの血液がHIVまたは肝炎ウイルスといっ
たウイルスで汚染される可能性から考えて重要である。本発明の化合物は、患者
の血液を保存のために取り除いた後に投与すると、血球数の回復に役立つ。ある
いは、これら化合物は血球数を高めるために血液を取り出す前に投与してもよい
。実施例76に示すように、本発明の化合物は、造血幹細胞を骨髄から末梢性の循
環
(circulation)へ移動させる。これは、末梢血からの十分な数の造血始原細胞
の収集を容易にし、患者の骨髄からの苦痛を伴いかつ不便な幹細胞の吸引の必要
性が避けられる。本発明の化合物の予防的使用
種々の投与を予測して造血系の状態を高める、あるいは他の仕方で改変するこ
とが望ましい多くの臨床的および獣医学上の状況がある。
例えば、外科手術の手順あるいはウイルスまたは細菌感染への曝露を予測して
、感染に対する抵抗力を向上させることが有益となる多くの状況がある。正常な
血球数をもつ動物へ本発明の化合物を投与すると、白血球数が増加し、感染に対
する宿主の抵抗力が向上する。
例えば、外科手術の前に、動物の凝血能を向上させることが有用となる状況が
ある。外科手術の前に本発明の化合物を投与すると、血小板数が増加し、それに
より凝血能が向上する。
例えば、抗癌または抗ウイルス化学療法または処置上の照射におけるように、
骨髄および/または造血系の損傷が予想される状況にあっては、造血機能を向上
させる、あるいは高めることが有利である。このような療法を受けるように計画
された動物を本発明の化合物で前処置すると、白血球および血小板の生産が促進
され、そして/または血球前駆体への損傷が軽減される。本発明の化合物は造血
系を予防的に積極的に改変する。
骨髄移植片の提供者へ提供に先立ち本発明の化合物を投与すると、末梢血管の
血液中の種々の型の血球、例えば好中球、リンパ球、骨髄巨核細胞、および血小
板のレベルが上昇し、また骨髄自身の中の造血始原細胞が上昇する。感染の処置または予防
実施例73に示すように、本発明の化合物は、腸内細菌によって引き起こされる
重篤な複数菌感染における生存率を非常に向上させる。グラム陰性細菌およびグ
ラム陽性細菌の両方が、この感染モデルには存在する。本発明の化合物は、様々
な方法で使用された場合に細菌感染と戦うのに有用である。予防処置は、危険の
大きい手術の前に、または病原体への曝露あるいは免疫機能の欠陥による感染の
危険がある患者に施される。この処置は、感染を予防する(細菌の増殖を減衰さ
せ、そしてそれにより感染プロセスの臨床的症状発現のすべてを除去する)。本
発明の化合物はまた、感染が定着した患者に投与される場合に有用であり、そし
て必要に応じて抗生物質(例えば、ペニシリン、エリスロマイシン、セファロス
ポリン、ゲンタマイシン、またはメトロニダゾル)とともに使用される。本発明
の化合物は、細菌を除去する内因性の機構を改善し、そしてまた細菌の炎症性成
分に対する有害な応答を減衰させる(実施例74を参照のこと)。本発明の化合物
はまた、真菌感染の処置または予防にも有用である。
感染の処置には、予防的にまたはすでに感染が存在する後に、本発明の化合物
の有効用量が、適切な製剤形態で経口的にまたは非経口的に投与される。1ミリ
グラムから1グラムの範囲の用量が、治療効果に応じて選択される。用量は、疾
患の重篤度および患者の応答に応じて毎週1回と毎日数回との間で投与される。炎症性疾患の処置または減衰
本発明の化合物はまた、炎症性疾患においても治療活性を有する。実施例74に
示すように、本発明の化合物は、別の方法で致死用量の細菌性エンドトキシンに
おいても動物が生存することを可能にする。エンドトキシンである細菌の細胞壁
のリポ多糖類成分は、強力な炎症性刺激である。これは、炎症性サイトカインお
よび他のメディエーターの分泌を誘導する。これらのメディエーター(腫瘍壊死
因子(TNF)、インターロイキン-1、インターロイキン-6、γ-インターフェロ
ン、ロイコトリエンおよび他の薬剤を含む)は、エンドトキシンの炎症活性を説
明する。これらのメディエーターは、マクロファージ、リンパ球および他の細胞
タイプから放出され、エンドトキシンが主要な刺激として関与しない場合におい
ても、また様々な炎症性疾患状態の病原に関与する。
本発明の化合物は、炎症性刺激(エンドトキシンを含むが、しかしこれに限定
されない)に応答してサイトカインの放出を調節する。他の炎症性刺激としては
、細菌、真菌類、またはウイルス成分が挙げられる。実施例75に示すように、本
発明の化合物は、エンドトキシンの投与に応答して血清サイトカインレベルを減
少させる。この抗炎症活性は、致死用量のエンドトキシンでの生存率の顕著な改
善と一致する(実施例74を参照のこと)。
本発明の化合物は、エンドトキシンまたは炎症性サイトカインが病原に寄与す
る疾患状態において有用である。このような状態は、自己免疫状態、感染に二次
的な炎症、または突発性の炎症状態を含む。自己免疫疾患状態(ここではサイト
カインが本発明の化合物によって調節される)は、乾癬、多発性硬化症、慢性関
節リウマチ、自己免疫肝炎、および狼瘡を含むが、これらに限定されない。その
ようなサイトカインが関与する炎症状態は、ウイルス、細菌または真菌感染(全
身性の炎症性応答症候群(敗血症)を含む)に対する炎症性応答、ならびにウイ
ルス性肝炎、AIDS(例えば、悪液質および神経障害)およびポリオのような疾患
における局所的組織炎症および損傷を含むが、これらに限定されない。同様に、
炎症性サイトカインは、ガン患者の悪液質および異質遺伝子型の器官または組織
移植片の拒絶に関与する。
炎症皮膚状態の処置には、本発明の化合物は、局所投与用に処方され、毎週1
回から毎日数回の頻度で適用される。局所処方物の濃度の範囲は、0.01mg/ml〜5
0mg/mlである。
全身性炎症疾患の処置のためには、本発明の化合物の有効用量は、適切な製剤
形態で経口または非経口投与される。1ミリグラムから1グラムの範囲の用量が
治療効果に応じて選択される。用量は、疾患の重篤度に応じて毎週1回と毎日数
回との間で投与される。同様の用量および養生が、感染性疾患の処置に適切であ
る。
D.本発明の化合物および組成物の投与と処方
本発明の化合物および組成物は経口的に、非経口注射により、静脈内に、局所
的に、または他の手段により投与されるが、これは処置される症状により決まる
。
本発明の化合物および組成物は長期にわたり、あるいは断続的に投与される。
これら化合物および組成物は、造血系への損傷を起こす現象(例えば、照射ある
いは血球減少化字療法剤への曝露)の前後にまたは処置中に投与される。現象後
の場合、本発明の化合物および組成物は、血球数または骨髄細胞数が最低に達す
る前および/または後に投与される。
本発明の化合物は経口投与あるいは皮下移植後に化合物を持続的に放出させる
ため、生分解性、生物侵食性、あるいは他の徐放性マトリックス中に処方される
。静脈内または筋肉内注射の場合には、本化合物を任意にリポソームに処方する
。
薬理学的に活性な化合物を任意に適切な薬学的に受容可能なキャリアと合わせ
る。該キャリアは活性化合物の処理を容易にする付形剤および補助剤からなって
いる。これらを錠剤、糖衣錠、カプセルおよび坐薬として投与する。本組成物は
、例えば経口的、直腸内、膣内に投与され、あるいは口内の頬嚢を経て解放され
、溶液の形態で注射により、経口的に、あるいは局所投与により適用される。本
組成物は約0.1から99%、好ましくは約50から90%の活性化合物(複数のことが
ある)を付形剤(複数のことがある)と共に含有しうる。
注射または静脈内点滴による非経口投与に対しては、活性化合物を無菌水また
は生理食塩溶液のような水性媒質に懸濁させるかまたは溶解させる。注射可能溶
液または懸濁液は、任意に界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンエ
ステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンエーテル、リン脂質、あるい
はプロピレングリコールまたはエタノールのような可溶化剤を含む。本発明の化
合物をエタノールに溶解し、次いでそれを、超音波処理または激しく撹拌しなが
ら、生理食塩水に加えることによりひとつの適切な製剤を調製する。それは、0.
5から約20パーセントの範囲の最終エタノール濃度を有する。界面活性剤(例え
ば、Tween 80またはホスファチジルコリン)は、必要に応じて含有される。本発
明の化合物は非経口投与のため任意に注射用脂肪乳濁液に懸濁あるいは溶解させ
ることができる。本発明の化合物はまた、必要に応じてリン脂質複合体に処方さ
れる。この溶液または懸濁液は一般に0.01から5%の活性化合物を含む。活性化
合物は任意に筋肉内注射のため製薬等級の植物油に溶解される。このような調製
物は油中に約1%から50%の活性化合物(複数のことがある)を含む。
適切な付形剤には糖類のような充填剤(例えば、ラクトース、スクロース、マ
ンニトール、またはソルビトール)、セルロース調製物および/またはリン酸カ
ルシウム(例えば、リン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム)、ならび
に結合剤(例えば、デンプンのり(例えば、とうもろこしデンプン、小麦デンプ
ン、米デンプン、またはばれいしょデンプンを用いる)、ゼラチン、トラガカン
ト、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドンが含まれる。
補助剤には流動調節剤および滑沢剤(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸
またはその塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウ
ム))および/またはポリエチレングリコールが包含される。糖衣錠の核は適切
なコーティングを備え、これは必要に応じ、耐胃液性とすることができる。この
目的のために濃い糖溶液が用いられ、そしてこの溶液は任意にアラビアガム、タ
ルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チ
タン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有する。耐胃液
性のコーティングを作製するために、適切なセルロース調製物、例えばアセチル
セルロースフタレートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロ−スフタレートの
溶液を用いる。例えば、同定のため、あるいは異なる化合物用量を特徴づけるた
め、錠剤または糖衣錠コーティングに染料あるいは顔料が添加されるがこれは任
意である。
本発明の薬学的調製物は、公知の方法、例えば、通常の混合、顆粒化、糖衣錠
製造、溶解、または凍結乾燥プロセスを用いて製造される。このようにして、経
口用の薬学的調製物を、活性化合物(複数のことがある)を固体付形剤と合わせ
、得られた混合物を任意に粉砕し、所望であれば、あるいは必要であれば、錠剤
または糖衣錠の核を得るために、適切な補助剤を添加した後に、顆粒混合物を処
置加工することにより得る。
経口送達に有用な他の薬学的調製物にはゼラチンからつくられるプッシュ−フ
ィットカプセルならびにゼラチンと可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビ
トール)からつくられるソフト−シールカプセルが含まれる。プッシュ−フィッ
トカプセルは活性化合物(複数のことがある)を顆粒の形態で含み、これは充填
剤(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)および/または滑沢剤
(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウム)、および必要に応じて安定
剤と任意に混合される。軟質カプセルの場合には、好ましくは活性化合物を適切
な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィン、またはポリエチレングリコール)に
溶解するか懸濁させる。さらに、任意に安定剤が添加される。
別の実施態様においては、本発明の化合物はリン脂質複合体、リポソーム、ま
たは混合脂質-界面活性剤ミセルとして経口投与用に処方される。ミセルの成分
としては、トリグリセリド、脂肪酸(不飽和または飽和)、リン脂質(ホスファ
チジルコリンおよびホスファチジルセリンを含む)、胆汁塩、および合成非イオ
ン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。脂質-界面活性剤ミセ
ルは、本発明の化合物の、経口投与後の腸のリンパ系への送達を改善する。
直腸に使用される薬学的調製物には、例えば、活性化合物と坐薬基剤との組合
せからなる坐薬が含まれる。適切な坐薬基剤は、例えば天然または合成トリグリ
セリド、パラフィン炭化水素、ポリエチレングリコールあるいは高級アルカノー
ルである。さらに、活性化合物と基剤の組合せからなる直腸用ゼラチンカプセル
も有用である。基剤材料には、例えば液体トリグリセリド、ポリエチレングリコ
ール、またはパラフィン炭化水素が含まれる。
非経口投与に適した製剤には水溶性形態(例えば、水溶性塩)の活性化合の水
溶液が含まれる。さらに、適切な活性化合物の油性注射ビヒクル、プロピレング
リコールのような溶媒、あるいは脂質−水性乳濁液中の懸濁液または溶液も投与
される。適切な親油性溶媒またはビヒクルには脂肪油(例えば、胡麻油)、ある
いは合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド)が
含まれる。水性注射用懸濁液は、任意に懸濁液の粘度を増加させる物質を含有し
、これには、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよ
び/またはデキストランが含まれる。懸濁液は任意に安定剤を含む。
別の実施態様においては、活性化合物を局所投与のためのスキンローションの
一部として処方する。適切な親油性溶媒またはビヒクルには脂肪油(例えば、胡
麻油またはヤシ油)、あるいは合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチル
またはトリグリセリド)が含まれる。
E.本発明の化合物の合成
オキシプリンヌクレオシドのアシル化誘導体は、オキシプリンヌクレオシドま
たは同族体を活性化カルボン酸と反応させることにより合成される。活性化カル
ボン酸は、適切な試薬で処理することにより元のカルボン酸の場合よりもそのカ
ルボキシレート炭素が一層求核攻撃を受け易くしたものである。本発明の化合物
の合成に有用な活性化カルボン酸の例は、酸塩化物、酸無水物、n-ヒドロキシ
スクシンイミドエステル、あるいはBOP-DCで活性化されたカルボン酸である。カ
ルボン酸はまたジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のようなカップリング
試薬を用いてオキシプリンヌクレオシドまたは同族体に結合させることもできる
。
所望のアシル誘導体の酸源がアシル化反応を妨害する基、例えはヒドロキシル
またはアミノ基、を有する場合には、本発明のアシル化合物の調製に際し、これ
らの基を無水物の調製の前に保護基、例えばt−ブチルジメチルシリルエーテル
またはt-BOC基でそれぞれブロックする。例えば、乳酸をt-ブチルジメチルク
ロロシランで2-t-ブチルジメチルシロキシプロピオン酸に変換し、その後、得
られたシリルエステルを塩基水溶液で加水分解する。この保護された酸をDCCと
反応させると無水物が形成される。アミノ酸の場合には標準技術を用いることに
よりN-t-BOC誘導体を調製し、次にこれをDCCで無水物に変換する。1個以上の
カルボキシレート基を含む酸(例えば、コハク酸、フマル酸、またはアジピン酸
)の場合には、所望のジカルボン酸の酸無水物を、ピリジン、またはピリジンと
ジメチルホルムアミドまたはピリジンとジメチルアセトアミド中でオキシプリン
ヌクレオシドまたは同族体と反応させる。
アミノ酸は、適切な溶媒、特に(i)塩化メチレンと(ii)ジメチルアセトア
ミドまたはジメチルホルムアミドとの混合物中のDCCを使用する標準法により、
グアノシンおよびデオキシグアノシンの環外アミノ基へ、またオキシプリンヌク
レオシドまたはそれらの同族体のアルドース部分のヒドロキシル基へ結合される
。
下記の例は例示であって、本発明の方法および組成物を制限しない。当業者に
とって明白な臨床療法で通常遭遇する種々の条件や可変因子の適切な他の変法お
よび適用は本発明の主旨と範囲の中にある。
実施例
以下の実施例は、本発明の化合物を調製するための方法に関する。実施例1:
オクタノイルグアノシンの調製
100mLフラスコにグアノシン(2.0g、7.06mmol)およびN,N-ジメチル-4-アミノピ
リジン(0.017g、0.14mmol)を加えた。N,N-ジメチルホルムアミド(25mL)は撹拌し
ながらカニューレにより加え、フラスコはアルゴンガスでパージし、そしてピリ
ジン(14mL)をカニューレにより加えた。このスラリーを氷/NaClバス中で10分間
冷却し、そして塩化オクタノイル(1.6mL、9.2mmol)を滴下して加えた。この混合
物を撹拌しつつ、ゆっくりと25℃に温めた。18時間後、この混合物を氷冷0.1M重
炭酸ナトリウム溶液300mLに注ぎ、白色固体を得、これを吸引濾過により単離し
、3×100mL温水で洗浄し、風乾し、そして温メタノールから再結晶した。実施例2:
ラウロイルグアノシンの調製
100mLフラスコにグアノシン(2.0g、7.06mmol)およびN,N-ジメチル-4-アミノピ
リジン(0.017g、0.14mmol)を加えた。N,N-ジメチルホルムアミド(25mL)は撹拌し
ながらカニューレにより加え、フラスコはアルゴンガスでパージし、そしてピリ
ジン(14mL)をカニューレにより加えた。このスラリーを氷/NaClバス中で10分間
冷却し、そして塩化ラウロイル(2.12mL、9.2mmol)を滴下して加えた。この混合
物を撹拌しつつ、ゆっくりと25℃まで温めた。18時間後、この混合物を氷冷0.1M
重炭酸ナトリウム溶液300mLに注ぎ、白色固体を得、これを吸引濾過により単離
し、3×100mL温水で洗浄し、風乾し、そして温メタノールから再結晶した。実施例3:
パルミトイルグアノシンの調製
100mLフラスコにグアノシン(2.0g、7.06mmol)およびN,N-ジメチル-4-アミノピ
リジン(0.017g、0.14mmol)を加えた。N,N-ジメチルホルムアミド(25mL)を撹拌し
ながらカニューレにより加え、フラスコをアルゴンガスでパージし、そしてピリ
ジン(14mL)をカニューレにより加えた。このスラリーを氷/NaClバス中で10分間
冷却し、そして塩化パルミトイル(2.8mL、9.2mmol)を滴下して加えた。この混合
物を撹拌しつつ、ゆっくりと25℃まで温めた。18時間後、この混合物を氷冷0.1M
重炭酸ナトリウム溶液300mLに注ぎ、白色固体を得、これを吸引濾過により単離
し、3×100mL温水で洗浄し、風乾し、そして温2-メトキシエタノールから再結晶
した。実施例4:
ベンゾイルグアノシンの調製
100mLフラスコにグアノシン(2.0g、7.06mmol)およびN,N-ジメチル-4-アミノピ
リジン(0.017g、0.14mmol)を加えた。N,N-ジメチルホルムアミド(30mL)は撹拌し
ながらカニューレにより加え、フラスコはアルゴンガスでパージし、そしてピリ
ジン(16mL)をカニューレにより加えた。このスラリーを氷/NaClバス中で10分間
冷却し、そして塩化ベンゾイル(1.2mL、8.5mmol)を滴下して加えた。この混合物
を撹拌しつつ、ゆっくりと25℃まで温めた。72時間後、この混合物を0.1M重炭酸
ナトリウム溶液300mL(60℃まで温めた)に注ぎ、白色固体を得、これを吸引濾過(
中度ガラスフリットを用いて)により単離し、3×100mL冷水で洗浄、そして風乾
した。実施例5:
パルミトイルキサントシンの調製
50mLフラスコにキサントシンニ水和物(1.0g、3.52mmol)およびN,N-ジメチル-4
-アミノピリジン(0.0086g、0.07mmol)を加えた。N,N-ジメチルホルムアミド(16m
L)は撹拌しながらカニューレにより加え、フラスコをアルゴンガスでパージし、
そしてピリジン(8mL)をカニューレにより加えた。このスラリーを氷/NaClバス中
で10分間冷却し、そして塩化パルミトイル(1.6mL、9.2mmol)を滴下して加えた。
この混合物を撹拌しつつ、ゆっくりと25℃まで温めた。18時間後、この混合物を
氷冷0.1M重炭酸ナトリウム溶液300mLに注ぎ、白色固体を得、これを吸引濾過に
より単離し、3×100mL温水で洗浄し、風乾し、そして温メタノールから再結晶し
た。実施例6:
パルミトイルイノシンの調製
50mLフラスコにイノシン(1.0g、3.73mmol)およびN,N-ジメチル-4-アミノピリ
ジン(0.017g、0.074mmol)を加えた。N,N-ジメチルホルムアミド(16mL)は撹拌し
ながらカニューレにより加え、フラスコをアルゴンガスでパージし、そしてピリ
ジン(8mL)をカニューレにより加えた。このスラリーを氷/NaClバス中で10分間冷
却し、そして塩化パルミトイル(1.3mL、4.1mmol)を滴下して加えた。この混合物
を撹拌しつつ、ゆっくりと25℃に温めた。18時間後、この混合物を氷の小塊でク
エンチし、そして溶媒をエバポレートし、白色ゴム状物を得た。このゴム状物か
らトルエン(20mL)をエバポレートし、そして次いで、1:1酢酸エチル-ジエチルエ
ーテルで完全に粉砕した。その上清を吸引濾過によって単離し、そして溶媒をエ
バポレートしてシロップを得、そしてそれは真空デシケーター中で24時間後に軟
性の非晶性の固体に変化した。実施例7:
パルミトイルデオキシイノシンの調製
100mLフラスコにデオキシイノシン(1.5g、5.95mmol)およびN,N-ジメチル-4-ア
ミノピリジン(0.036g、0.297mmol)を加えた。N,N-ジメチルホルムアミド(35mL)
は撹拌しながらカニューレにより加え、フラスコはアルゴンガスでパージし、そ
してピリジン(15mL)をカニューレにより加えた。このスラリーを氷/NaClバス中
で10分間冷却し、そして塩化パルミトイル(2.0mL、6.54mmol)を滴下して加えた
。この混合物を撹拌しつつ、ゆっくりと25℃まで温めた。18時間後、この混合物
を氷冷0.1M重炭酸ナトリウム溶液300mLに注ぎ、白色固体を得、これを吸引濾過
により単離し、100mLの水で洗浄し、一晩真空デシケーター中で乾燥し、パルミ
トイルデオキシイノシン2.72g(93%)を得た。実施例8:
(5-カルボキシペンタノイル)グアノシンの調製
無水ピリジン中のグアノシン500mgにアジピン酸(5モル当量)およびビス(2-オ
キソ-3-オキサゾリジニル)-ホスフィン酸クロライド(BOPDC)(1.0モル当量)を加
えた。この混合物を室温で18時間撹拌し、次いで溶媒を減圧下で除去した。残渣
を氷冷水100mlに加え、そしてその水層をpH3.0に調整し、そして次いで酢酸エチ
ル60mLで3回抽出した。合わせた抽出液を無水硫酸マグネシウムにより乾燥させ
、そして減圧下でエバポレートした。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフ
し、そしてクロロホルム-エタノールの混合物で溶出し、溶出液は減圧下でエバ
ポレートした。実施例9〜11:
(5-カルボキシヘキサノイル)グアノシン、(5-カルボキシヘプタ
ノイル)グアノシン、および(5-カルボキシノナノイル)グアノシンの調製
(5-カルボキシヘキサノイル)グアノシン、(5-カルボキシヘプタノイル)グア
ノシン、および(5-カルボキシノナノイル)グアノシンを、それぞれピメリン酸、
スベリン酸、およびセバシン酸を用いて、グアノシンから、(5-カルボキシペン
タ
ノイル)グアノシンの調製に用いたものと同じ方法で、調製した。実施例12:
3',5'-O,O-ビス-(5-カルボキシペンタノイル)グアノシンの調製
無水ピリジン中のグアノシン500mgにアジピン酸(10モル当量)およびビス(2-オ
キソ-3-オキサゾリジニル)-ホスフィン酸クロライド(BOPDC)(2.0モル当量)を加
えた。この混合物を室温で18時間撹拌し、次いで溶媒を減圧下で除去した。残渣
を氷冷水100mLに加え、そしてその水層をpH3.0に調整し、そして次いで酢酸エチ
ル60mLで3回抽出した。合わせた抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そし
て減圧下でエバポレートした。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフし、そ
してクロロホルム-エタノールの混合物で溶出し、溶出液を減圧下でエバポレー
トした。実施例13〜15:
3',5'-O,O-ビス-(5-カルボキシヘキサノイル)グアノシン、3',
5'-O,O-ビス-(5-カルボキシヘプタノイル)グアノシン、および3',5'-O,O-ビス-(
5-カルボキシノナノイル)グアノシンの調製
3',5'-O,O-ビス-(5-カルボキシヘキサノイル)グアノシン、3',5'-O,O-ビス-(5
-カルボキシヘプタノイル)グアノシン、および3',5'-O,O-ビス-(5-カルボキシノ
ナノイル)グアノシンを、それぞれピメリン酸、スベリン酸、およびセバシン酸
を用いて、グアノシンから、(5-カルボキシペンタノイル)グアノシンの調製に用
いたものと同じ方法で、調製した。実施例16:
(Na-FMOC-Ne-CBZ-リジル)グアノシンの調製
無水ピリジン中のグアノシン500mgにNa-FMOC-Ne-CBZ-リジン(2モル当量、Sig
ma製)およびジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1.0モル当量)を加えた。こ
の混合物を室温で18時間撹拌し、次いで溶媒を減圧下で除去した。残渣に氷冷水
100mLを加え、そしてその水層をpH3.0に調整し、そして次いで酢酸エチル60mLで
3回抽出した。合わせた抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして減圧下
でエバポレートした。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフし、そしてクロ
ロホルム-エタノールの混合物で溶出し、溶出液は減圧下でエバポレートした。実施例17:
(Nα-FMOC-Nε-CBZ-リジル)-2',3'-O-イソプロピリデングアノシン
の調製
無水ピリジン中の2',3'-O-イソプロピリデングアノシン(Sigma製)2.0gにNα-F
MOC-Nε-CBZ-リジン(2モル当量、Sigma製)およびジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(DCC)(1.0モル当量)を加えた。この混合物を室温で18時間撹拌し、次いで溶
媒を減圧下で除去した。残渣に氷冷水100mLを加え、そしてその水層をpH3.0に調
整し、そして次いて酢酸エチル60mLで3回抽出した。合わせた抽出液を無水硫酸
マグネシウムで乾燥し、そして減圧下でエバポレートした。残渣をシリカゲルカ
ラムでクロマトグラフし、そしてクロロホルム-エタノールの混合物で溶出し、
溶出液は減圧下でエバポレートした。実施例18:
(Nα-FMOC-Nε-CBZ-リジル)グアノシンの調製
18mLの50%水性HCO2H中の(Nα-FMOC-Nε-CBZ-リジル)-2',3'-O-イソプロピリ
デングアノシン1.5gの溶液を室温に20時間放置した。この溶液を乾固するまでエ
バポレートして残渣を得、これをMeOH-EtOAcから再結晶した。実施例19:
(Nα-FMOC-リジル)グアノシンの調製
DMF150mL中の(Nα-FMOC-Nε-CBZ-リジル)グアノシン1.0gの溶液を、0.7gの10
%Pd/Cの存在下、48psiで3.5時間水素添加した。この混合物を濾過し、そしてこ
の濾液をエバポレートし、次いで30mLのEtOHで処理し、そして引き続き20mLのH2
Oで処理した。得られた固体をMeOH-EtOAcから再結晶した。実施例20:
リジルグアノシンの調製
無水ピリジン中の(Nα-FMOC-リジル)グアノシン800mgの撹拌溶液に無水ピペリ
ジン(4モル当量)を加えた。この混合物を0℃で5時間撹拌し、そして次いでエ
バポレートして乾燥させた。残渣をDMFに溶解し、そしてEtOH-Et2Oの迅速に撹拌
した溶液へのDMFのゆっくりとした添加により精製し、そして沈殿物を生成させ
た。実施例21:
パルミトイル-2'-デオキシグアノシンの調製
250mLフラスコに2'-デオキシグアノシン一水和物(5.0g、17.5mmol)、トリエチ
ルアミン(3.13mL、22.4mmol)およびN,N-ジメチル-4-アミノピリジン(0.046g、0.
37mmol)を加えた。N,N-ジメチルホルムアミド(130mL)を撹拌しながらカニューレ
により加え、そしてフラスコをアルゴンガスでパージした。このスラリーを氷/N
aClバス中で10分間冷却し、そして塩化パルミトイル(6.3mL、20.6mmol)を滴下し
て加えた。この混合物を撹拌しつつ、ゆっくりと25℃まで温めた。72時間後、こ
の混合物を、水と飽和水性重炭酸ナトリウム溶液の約60℃に温めた1:1混合物400
mLに撹拌しながら注いだ。得られた白色固体を吸引濾過により単離し、水で洗浄
し、そして乾燥した。実施例22:
3'-O-パルミトイル-2'-デオキシグアノシンの調製
本化合物は、2'-デオキシグアノシン一水和物を適切な量の5'-O-ジメトキシト
リチル-デオキシグアノシンに代えて、パルミトイル-2'-デオキシグアノシンの
手順を用いて調製し、そして5'ヒドロキシル基の脱保護を以下のように行った:
80%酢酸水溶液中での25℃、1時間の撹拌によりジメトキシトリチル基を除去し
、濾過により粗生成物を単離し、メタノール中で1時間にわたり粗生成物を粉砕
し、濾過により生成物を回収し、そして乾燥した。実施例23:
3,5'-O,O-ジパルミトイル-2'-デオキシグアノシンの調製
本化合物は、上記で調製した5'-O-パルミトイル-2'-デオキシグアノシンから
の副産物として得、そして以下のようにして単離した:シリカゲルと共にトルエ
ン中に粗生成物を懸濁させ、トルエンをエバポレートし、アルミナの短層(short
layer)でキャップされたシリカゲルのカラムへ得られた固体を適用し、クロロ
ホルム-メタノールを用いてカラムを溶出し、そして適切な画分をエバポレート
した。実施例24:
オクタノイル-2'-デオキシグアノシンの調製
本化合物は、パルミトイルクロライドを適切な量のオクタノイルクロライドに
代えて、パルミトイル-2'-デオキシグアノシンの手順を用いて調製した。実施例25:
ラウロイル-2'-デオキシグアノシンの調製
本化合物は、パルミトイルクロライドを適切な量のオクタノイルクロライドに
代えて、パルミトイル-2'-デオキシグアノシンの手順を用いて調製した。実施例26:
ベンゾイル-2'-デオキシグアノシンの調製
本化合物は、パルミトイルクロライドを、適切な量のベンゾイルクロライド、
そして後処理における氷水と飽和重炭酸ナトリウム水溶液の1:1混合物に代えて
、パルミトイル-2'-デオキシグアノシンの手順を用いて調製した。実施例27:
ブチリル-2'-デオキシグアノシンの調製
本化合物は、パルミトイルクロライドを適切な量のブチリルクロライドに代え
て、パルミトイル-2'-デオキシグアノシンの手順を用いて調製し、そして以下の
ように単離した:72時間後に溶媒をエバポレートし、1:1ジエチルエーテル−酢
酸エチル中で得られた物質を粉砕し、そして濾過により生成物を回収した。実施例28:
パルミトイル-8-ブロモ-2'-デオキシグアノシンの調製
本化合物は、2'-デオキシグアノシン一水和物を適切な量の8-ブロモグアノシ
ンに代えて、パルミトイル-2'-デオキシグアノシンの手順を用いて調製した。実施例29:
パルミトイル-8-メルカプト-2'-デオキシグアノシンの調製
本化合物は、2'-デオキシグアノシン一水和物を適切な量の8-メルカプトグア
ノシンに代えて、パルミトイル-2'-デオキシグアノシンの手順を用いて調製した
。実施例30:
パルミトイルグアノシン2,3'-非環式ジアルコールの調製
本化合物は、2'-デオキシグアノシン一水和物を適切な量のグアノシン2',3'-
非環式ジアルコールに代えて、パルミトイル-2'-デオキシグアノシンの手順を用
いて調製した。実施例31:
3',5'-O-N2-トリパルミトイル-2'-デオキシグアノシンの合成
オーブンで乾燥した500 mLの丸底フラスコに、2'-デオキシグアノシン一水和
物(1.0g、1当量)を加えた。カニューレによって、乾燥N,N-ジメチルホルムア
ミド(DMF、100mL)を撹拌しなから添加し、この混合物を、その固形物質の全てが
溶解するまで、(ヒートガンを用いて)加熱しつつ、撹拌した。次いで、水和水を
除去するために、このDMFを、ロータリーエバポレーターによってストリッピン
グした。このフラスコに、磁石撹拌棒を加え、このフラスコをセプタムでフタを
し、撹拌しつつ、カニューレによって、乾燥ジメチルアセトアミド(DMA、120mL)
および乾燥ピリジン(60mL)を添加した。このフラスコをアルゴンガスでパージし
、そのスラリーを氷浴で10分間冷却し、パルミトイルクロライド(3.1当量)を15
分間にわたって滴下し加えた。この混合物を撹拌し、その間、ゆっくりと25℃ま
で温めた。18時間後、この混合物を0.5 Mの重炭酸ナトリウム溶液800 mLに注ぐ
と、白色の固体が得られ、これを吸引濾過により単離し、100 mLの水で3回洗浄
し、風乾し、そして最後に、高減圧下にて乾燥すると、幾分ワックス状の白色粉
末が得られた。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル床
、クロロホルム−メタノールで溶出)により2回精製すると、透明なガラス状物(
融点59℃)が得られた。1H-NMRおよび元素分析のデータは、指定の構造に一致し
ていた。実施例32
: 3',5'-O-N2-トリパルミトイル-2'-デオキシグアノシンの別の合成
100 mlの乾燥した丸底フラスコに、2'-デオキシグアノシン1gおよび無水N,N
-ジメチルホルムアミド15 mlを加えた。ロートバプ装置を用いる2回の連続的な
エバポレーションにより、ジエチルホルムアミドを除去して、乾燥2'-デオキシ
グアノシンを得た。この乾燥2'-デオキシグアノシン0.56g(2 mM)を、還流冷却
器で固定された100 mlの丸底フラスコに加え、そして乾燥ジメチルホルムアミド
10 mlを添加した。次いで、乾燥ピリジン3 mlおよび乾燥パルミチン酸無水物2.
9g(6 mM)を添加し、この反応混合物を油浴で6時間還流した。次いで、この混
合物を室温で冷却し、そしてロータリーエバポレーションにより、ジメチルホル
ムアミドおよびピリジンを除去した。氷水を添加し、得られた混合物を15分間撹
拌した。この残渣をブフナー漏斗を用いて濾過し、(水1回につき30 ml)で3回
洗浄した。次いで、この残渣を、40〜50 mlの乾燥エーテルを含む100 mlビーカ
ーに移し、5〜7分間撹拌し、濾過により単離し、そしてエーテル(1回につき2
5 ml)で3回洗浄した。得られた化合物を、シリカゲル(230〜240メッシュ)にて
、溶媒としてクロロホルム:メタノール(98:2、1.5リットル)を用いて、カラ
ムクロマトグラフィーにより精製した。
同じRf値を有する物質を含む画分を集め、濃縮し、得られた物質を、クロロホ
ルム−メタノール(9:1)中で、分取TLC(シリカゲル、0.5 mm、蛍光性)により
さらに精製した。0.689のRf値を有する物質を単離した(融点、59℃)。1H-NMRお
よび元素分析のデータは、指定の構造に一致していた。実施例33:
5'-O-N2-トリパルミトイル-2'-デオキシグアノシンの合成
オーブンで乾燥した100 mLの丸底フラスコ(これは、撹拌棒を含む)に、N2-パ
ルミトイル-2'-デオキシグアノシン(0.75g、1当量)を加えた。このフラスコを
セプタムでフタをし、撹拌しつつ、カニューレによって、乾燥ジメチルアセトア
ミド(DMA、32 mL)および乾燥ピリジン(16 mL)を加えた。このフラスコをアルゴ
ンガスでパージし、そのスラリーを氷浴で10分間冷却し、パルミトイルクロライ
ド(1.1当量)を5分間にわたって滴下して加えた。この混合物を撹拌し、その間
、ゆっくりと25℃まで温めた。88時間後、この混合物を再び冷却し、さらに0.8
当量のパルミトイルクロライドを添加した。この混合物を再び撹拌し、その間、
ゆっくりと25℃まで温めた。5時間後、この混合物を0.5 Mの重炭酸カリウム溶
液200 mLに注ぐと、白色の固体が得られ、これを吸引濾過により単離し、30 mL
の水で3回洗浄し、風乾し、そして最後に、高減圧下にて乾燥すると、白色の粉
末が得られた。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル床
、クロロホルム−メタノールで溶出)により精製すると、白色の粉末が得られた
。1H-NMRおよび元素分析のデータは、指定の構造に一致していた。実施例34:
5'-O-パルミトイル-N2-イソブチリル-2'-デオキシグアノシンの合
成
オーブンで乾燥した100 mLの丸底フラスコ(これは、撹拌棒を含む)に、N2-イ
ソブチリル-2'-デオキシグアノシン(0.75g、1当量)を加えた。このフラスコに
セプタムキャップをし、撹拌しつつ、カニューレによって、乾燥ジメチルアセト
アミド(DMA、32mL)および乾燥ピリジン(16 mL)を加えた。このフラスコをアルゴ
ンガスでパージし、そのスラリーを氷浴で10分間冷却し、パルミトイルクロライ
ド(2.5当量)を5分間にわたって滴下して加えた。この混合物を撹拌し、その間
、ゆっくりと25℃まで温めた。24時間後、この混合物を0.5 Mの重炭酸カリウム
溶液200 mLに注ぐと、白色の固体が得られ、これを吸引濾過により単離し、30 m
Lの水で3回洗浄し、風乾し、そして最後に、高減圧下にて乾燥すると、白色の
粉末が得られた。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル
床、クロロホルム−メタノールで溶出)により精製すると、白色の粉末が得られ
た。1H-NMRおよび元素分析のデータは、指定の構造に一致していた。実施例35:
3',5'-O-N2-トリオレイル-2'-デオキシグアノシンの合成
100 mlの乾燥した丸底フラスコに、2'-デオキシグアノシン1gおよび乾燥N',
N'-ジメチルホルムアミド15 mlを加えた。ロートバプ装置を用いる2回の連続的
なエバポレーションにより、ジエチルホルムアミドを除去して、乾燥2'-デオキ
シグアノシンを得た。この乾燥2'-デオキシグアノシン0.56g(2 mM)を、還流冷
却器で固定された100 mlの丸底フラスコに加え、そして乾燥ジメチルホルムアミ
ド10 mlを添加した。次いで、乾燥ピリジン3 mlおよび乾燥パルミチン酸無水物
3.27g(6 mM)を添加し、この反応混合物を油浴で6時間還流した。次いで、こ
の混合物を室温で冷却し、そしてロータリーエバポレーションにより、ジメチル
ホルムアミドおよびピリジンを除去した。氷水を添加し、得られた混合物を15分
間撹拌した。この反応混合物を、クロロホルム30 mlで2回抽出し、その後、こ
のクロロホルム抽出物を、(飽和)NaHCO3および水(25 ml)で2回洗浄した。次い
で、このクロロホルム抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そしてエ
バポレートした。得られた残渣を、シリカゲル(230〜240メッシュ)にて、溶媒と
してクロロホルム:メタノール(98:2、1.5リットル)を用いて、カラムクロマ
トグラフィーにより精製した。
同じRf値を有する物質を含む画分を集め、濃縮して、得られた物質を、クロロ
ホルム−メタノール(9:1)中で、分取TLC(シリカゲル、0.5 mm、蛍光性)によ
りさらに精製した。0.689のRf値を有する物質を単離した。1H-NMRおよび元素分
析のデータは、指定の構造に一致していた。実施例36:
3',5'-O-N2-トリステアロイル-2'-デオキシグアノシンの合成
100 mlの乾燥した丸底フラスコに、2'-デオキシグアノシン1gおよび乾燥N',
N'-ジメチルホルムアミド15 mlを加えた。ロートバプ装置を用いる2回の連続的
なエバポレーションにより、ジエチルホルムアミドを除去して、乾燥2'-デオキ
シグアノシンを得た。この乾燥2'-デオキシグアノシン0.56g(2 mM)を、還流冷
却器で固定された100 mlの丸底フラスコに加え、そして乾燥ジメチルホルムアミ
ド10 mlを添加した。次いで、乾燥ピリジン3 mlおよびパルミチン酸無水物3.3
g(6 mM)を添加し、この反応混合物を油浴で6時間還流した。次いで、この混
合物を室温で冷却し、そしてロータリーエバポレーションにより、ジメチルホル
ムアミドおよびピリジンを除去した。氷水を添加し、得られた混合物を15分間撹
拌した。次いで、この残渣をブフナー漏斗を用いて濾過し、水(1回につき30 ml
)で3回洗浄した。次いで、この残渣を、40〜50 mlの乾燥エーテルを含む100 ml
ビーカーに移し、5〜7分間撹拌し、濾過により単離し、そしてエーテル(1回
につき25 ml)で3回洗浄した。得られた化合物を、シリカゲル(230〜240メッシ
ュ)にて、溶媒としてクロロホルム:メタノール(98:2、1.5リットル)を用いて
、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
同じRf値を有する物質を含む画分を集め、濃縮して、得られた物質を、クロロ
ホルム−メタノール(9:1)中で、分取TLC(シリカゲル、0.5 mm、蛍光性)によ
りさらに精製した。0.689のRf値を有する物質を単離した。1H-NMRおよび元素分
析のデータは、指定の構造に一致していた。
以下の実施例は、インビボにおける本発明の化合物の利点を示す。実施例37:
グアノシンおよびグアニンは、シクロホスファミド後の造血回復を
改善する
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、30匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の全6日間の各日に、マウス
に、生理食塩水(コントロール)、グアニン(5μmol/マウス/日)、またはグアノ
シン(5μmole/マウス/日)のいずれかの0.4mlを腹腔内注射した。7日目に各3群
の10匹すべてのマウスを採血し、次いで頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を取り出
し、重量を測定し、そして全血球の数を計数した。
グアニンまたはグアノシンのいずれかでの処置により、生理食塩水で処置した
コントロールよりも、脾臓重量が有意に増加した(図1)。同様に、グアニンま
たはグアノシンでの処置によってもまた、末梢全白血球および好中球が有意によ
り増加した(それぞれ図2および図3)。従って、CP損傷後のグアニンまたはグ
アノシンでのマウスの処置は、骨髄造血の再生を明らかに促進する。
実施例38: シクロホスファミド後の造血回復に対するグアノシンアシル置換
基の鎖長の効果
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、70匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の全6日間の各日に、マウス
に、生理食塩水(コントロール)、Tween 80(0.2%)、グアノシン(5μmol/マウス
/日、0.2% Tween 80中)、または2.5μmole/マウス/日での0.2% Tween 80中の以
下のグアノシンのアシル化誘導体(トリアセチルグアノシン、オクタノイルグア
ノシン、ラウロイルグアノシン、またはパルミトイルグアノシン)のいずれかの
0.4mlを腹腔内注射した。CP投与後7日目に各7群の10匹の動物すべてを採血し
、次いで頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を取り出し、重量を測定し、そして全血
球の数を計数した。
生理食塩水、Tween 80、または非アシル化グアノシンで処置した群の間では、
脾臓重量において有意な差は見られなかった。しかし、アセチルグアノシン、オ
クタノイルグアノシン、ラウロイルグアノシン、またはパルミトイルグアノシン
でマウスを処置することにより、コントロールと比較して7日目の脾臓重量は有
意に増加した(図4)。本実施例および後の実施例において、アシル化オキシプリ
ンヌクレオシドまたはこれらの同族体での処置により、赤血球数の一過性の減
少(約10%)が生じた。任意のすべてのこれらの化合物での処置により、白血球(
WBC)数が有意に増加した。しかし、アシル基の鎖長が長くなるほど、この実験に
おいてテストされた化合物の選択内でのWBC数に対する効果もより大きくなった
。この実験では、パルミトイルグアノシンでの処置は、総WBC数に対して最も大
きい効果を有した(図5);アシル基の鎖長と造血性応答の大きさとの間の同様
の関係は、総好中球数でも観察された(図6)。
実施例39: パルミトイルグアノシンは照射されたマウスの生存を改善する
30匹の雌Balb/Cマウス(各々の体重は約20g)に、7.3Rad/分の線量率でコバルト
60γ線を照射した。総量は700、725または750Radであった。24時間後およびその
後の全6日間の各日に、これらのマウスに、生理食塩水(コントロール)または
50mg/kgのパルミトイルグアノシンのいずれかを腹腔内注射した。各々の群にお
いて生存している動物の数を30日間以上観察した。
表1に示すように、生理食塩水で処置したすべての照射されたマウスは、最も
低い照射量の場合でも、30日の観察期間内に死んだ。全く対照的に、パルミトイ
ルグアノシンで処置したマウスは全て生存した(パルミトイルグアノシンで処置
したマウスは2種のより高い照射量においてだけテストした)。
従って、放射後のパルミトイルグアノシンでのマウスの処置は生存を増強した
。
照射前のパルミトイルグアノシンでのマウスの前処置もまた、生存を増強した
。
実施例40: パルミトイルグアノシンは、シクロホスファミド処置から回復する
マウスの骨髄中のコロニー形成単位を増加させる
72匹のBalb/C雌マウス(各々の体重は約20g)に、腹腔内注射(i.p)によりシク
ロホスファミド(275mg/kg)を与えた。24時間後およびその後の毎日、マウスに、
生理食塩水(コントロール)またはパルミトイルグアノシン(2.5μmol/マウス/
日、0.2% Tween 80中)のいずれかの0.4mlを腹腔内注射した。CP投与後、3日目
、5日目、7日目および10日目で、各群から6匹の動物を頚椎脱臼により屠殺し
、そして各動物の左大腿骨を無菌法により得た。次いで、骨髄細胞を、23-ゲー
ジ針を用いて、大腿骨からMcCoy's 5a改変培地へ流し出した。同じ群内での大腿
骨からの細胞をプールし、簡単にボルテックスすることにより分散し、血球測定
器を用いて計数した。細胞懸濁液を、McCoy's改変5a培地(15%仔ウシ血清、等量
のカナマイシン、0.3%寒天、および3%エンドトキシン刺激血清を含有する)に添
加した。次いで、3日目を除いて、この懸濁液を1.2×105細胞/mlの密度でプレ
ートした。3日目だけは、この時点でのより少ない細胞数のために、1.0×105の
密度でプレートした。各群を5枚一組でプレートした。培養内(37℃、5%CO2お
よび湿った空気中)で7日目、50個以上の細胞の凝集体(「コロニー」)を、25
倍の解剖顕微鏡を用いて計数した。
各々の時点でのパルミトイルグアノシンで処置したマウス由来の1大腿骨あた
りで観察されたコロニーの数は、生理食塩水で処置した群由来のコロニー数より
も有意に増加した(図7および表2。群の間での差異は5日目に最大となったこ
とが見られた)。
実施例41: シクロホスファミド後の造血回復に対するパルミトイルグアノシン
投与時間効果
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、81匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後、処置を始めた。マウスに、生理食塩水(
コントロール)、Tween 80(0.2%)、またはパルミトイルグアノシン(5μmol/マウ
ス/日、0.2% Tween 80中)のいずれかの0.4mlを腹腔内注射した。処置時間をその
群内で変化させた。コントロール群には1〜6日間生理食塩水を与えた。Tween
80を与えるマウスを、1〜4日間、4〜6日間、または1〜6日間のいずれかで
処置した。パルミトイルグアノシン処置マウスを、1〜2日間、1〜4日間、3
〜5日間、4〜6日間、または1〜6日間のいずれかで処置した。処置日に、マ
ウスの群にTween 80またはパルミトイルグアノシンを与えなかった場合、生理食
塩水を腹腔内注射によって投与した。従って、全部で9群9匹の動物となった。
CP投与後7日目に全ての動物を採血し、次いで頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を
取り出し、重量を測定し、そして全血球の数を計数した。
脾臓重量は、全ての処置群において、1〜4日間、Tween 80を与えた群だけを
除き、生理食塩水のコントロールと比較して増加した(図8)。いずれの試験期
間でもパルミトイルグアノシンの投与(1〜2日間の処置だけも含む)は、コン
トロールと比較して脾臓重量が有意に増加した(図8)。さらに、パルミトイル
グアノシンの処置(いずれの期間)によって、Tween 80で処置したマウスよりも
脾臓重量が増加した。1〜4日間または1〜6日間のパルミトイルグアノシンで
の処置によって、脾臓重量が最大となる効果があった。
全白血球(WBC)数は、生理食塩水のコントロールよりもパルミトイルグアノシ
ンを受けた各々の群で有意に増加した(図9)。さらに、全パルミトイルグアノ
シン処置マウス由来のWBC数は、4〜6日間だけ処置した群を除いて、いずれの
期間でも、Tween 80で処置したマウスよりも有意に増加した。パルミトイルグア
ノシンで1〜6日間処置したマウスが最大効果を示した。この群でのWBC数もま
た、いずれの他のパルミトイルグアノシンで処置した群よりも、有意に増加した
。WBC数に関連する結果のパターンを好中球データにより反映した(図10)。こ
の中では、1〜6日間のパルミトイルグアノシンの処置により、全好中球数が最
も増加した。1〜2日間だけのパルミトイルグアノシンの処置によって、生理食
塩水コントロールまたはTween 80処置マウスのいずれと比較しても全好中球数が
有意に増加する。
リンパ球数は、いずれの期間のTween 80(または生理食塩水)の処置によっても
影響を受けなかった。1〜2日間または1〜6日間(これもまた最大効果であっ
た)のパルミトイルグアノシンの処置によってのみ、リンパ球数が増加した(図
11)。実施例42:
パルミトイルグアノシンは、5-フルオロウラシル後の造血回復を改
善する
5-フルオロウラシル(5-FU)(150mg/kg、腹腔内)を、40匹のBalb/C雌マウス(各
々の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の全8日間の各日に、
マウスに、生理食塩水(コントロール)または5'-O-パルミトイルグアノシン(2
.5μmol/マウス/日、0.2% Tween 80中)のいずれかの0.4mlを腹腔内注射した。7
日目および14日目に、各群の半数の5-FU投与動物から採血し、次いで頚椎脱臼に
より屠殺した。脾臓を取り出し、重量を測定し、そして全血球数を計数した。
7日目にわずかであるが、統計的には有意な脾臓重量の増加が、パルミトイル
グアノシンで処置した群において観察された(図12)。7日目では、コントロー
ルと処置した動物との間には、何の違いも見られなかった。しかし、14日目では
、パルミトイルグアノシンを受けた動物の群には、全ての白血球、リンパ球、好
中球および血小板の数が有意に増加し、さらに脾臓重量も有意に増加した(図13-
15)。実施例43:
パルミトイルグアノシンは5-フルオロウラシル後の造血回復を改善
する
5-フルオロウラシル(5-FU)(150mg/kg、腹腔内)を、44匹のBalb/C雌マウス(各
々の体重は約20g)に投与した。24時間後、およびその後の全7日間の各日に、マ
ウスに、生理食塩水(コントロール)またはパルミトイルグアノシン(2.5μmol/
マウス/日、0.2% Tween 80中)のいずれかの0.4mlを腹腔内注射した。5-FUの投与
後、8日目、10日目、および12日目に、各群の9匹の動物から採血し、次いで頚
椎脱臼により屠殺した。脾臓を取り出し、重量を測定し、そして全血球数を計数
した。
8日目に、パルミトイルグアノシンで処置したマウス由来の血液サンプル中の
血小板数は、コントロール群の血小板数よりも有意に増加していた(図16)。8
日目には、処置群の間での他の有意な統計的な差は見られなかった。10日目には
、処置した動物の群の血小板数がより増加していたことに加えて、パルミトイル
グアノシンを与えたマウス由来の脾臓もまた、生理食塩水だけを与えた群よりも
有意により増加していた(図17)。12日目では、処置群の動物の脾臓重量は、コ
ントロールマウスの2倍を越えていた。そして処置群の血中での好中球数は、コ
ントロールサンプルよりも3倍増加していた(図17および図18)。白血球細胞数
にも見られる(図19)。実施例44:
パルミトイルデオキシイノシンおよびパルミトイルグアノシンは正
常マウスの造血を高める
正常、そうでなければ未処置のBalb/C雌マウス(各々の体重は約20g)に、Tween
-80(0.2%)(コントロール)、パルミトイルグアノシン(2.5μmol/マウス/日)、
またはパルミトイルデオキシイノシン(2.5μmol/マウス/日)のいずれかの0.4ml
を全部で4回または9回(1回/日)、腹腔内注射した。4回目または9回目の
処置後の24時間後、各3群からの5匹または6匹の動物の群から採血し、次いで
頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を取り出し、重量を測定し、そして全血球数を計
数した。
5日目の脾臓重量は、生理食塩水で処置した群よりも、パルミトイルグアノシ
ンおよびパルミトイルデオキシイノシンで処置したマウスでは有意により増加し
ていた(図20)。10日目、脾臓重量、総白血球数、および好中球数は、すべてTw
een 80コントロールの群よりも、パルミトイルデオキシイノシンで処置したマウ
スで有意に増加していた(図20〜22)。総白血球数もまた、コントロールと比べ
てパルミトイルグアノシンで処置したマウスで有意に上昇した。実施例45:
シクロホスファミド後の造血回復の改善におけるオクタノイルグア
ノシンについての用量応答性
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、45匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の全6日間の各日に、マウス
に、生理食塩水(コントロール)、Tween 80(0.5%)、または3つの異なる用量の
オクタノイルグアノシンの1つ(0.5、2.5、または5μmol/マウス/日、0.5% Twee
n 80中)のいずれかの0.4mlを腹腔内注射した。CP投与後7日目に、各5群から9
匹の動物すべてを採血し、次いて頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を取り出し、重
量を測定し、そして全血球の数を計数した。
これらのCP無防備(compromised)マウスをTween 80で処置すると、平均脾臓重
量がいくらか増加するが、各3つの試験用量のオクタノイルグアノシンで処置す
ることにより、コントロールよりも有意に脾臓がより大きくなり、かつTween 80
処置マウスよりも大きくなった(図23)。最も高い用量のオクタノイルグアノシ
ン(10μmol)で処置したマウスは、最大の脾臓を有した(データーは示さす)。
より重要なことに、白血球の総数および好中球の総数は、用量依存的様式でコン
トロール値よりも有意に増加した(図24および25)。しかし、中間用量のオクタ
ノイルグアノシン(2.5μmol)は、造血再生を促進することにおいて、最も高い
投与量の場合とほぼ同じほど効果的であった。実施例46:
シクロホスファミド後のオクタノイルグアノシンで処置したマウス
由来の脾臓の組織学的試験
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、30匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の全6日間の各日に、マウス
に、生理食塩水(コントロール)、Tween 80(0.5%)、またはオクタノイルグアノ
シン(5.0μmol/マウス/日、0.5%Tween 80中)のいずれかの0.4mlを腹腔内注射し
た。CP投与後7日目に各3群から10匹の動物全てを採血し、次いで頚椎脱臼によ
り屠殺した。脾臓を取り出し、重量を測定し、そして後の組織学的試験のために
10%ホルマリン中で固定した。集めた血液上の全血球数を計数した。
Tween 80のみで処置したマウスは、生理食塩水で処置したコントロールと比べ
て、脾臓重量が適度に増加した。しかし、オクタノイルグアノシンでの処置によ
って、脾臓重量は、生理食塩水で処置したコントロールまたはTween 80で処置し
たマウスのいずれかよりも有意に増加した(図26)。脾臓の組織学的試験による
と、すべての処置群において組織学的に正常な組織が明らかになり、そして生理
食塩水で処置したコントロールおよびTween 80で処置したマウスと比べてオクタ
ノイルグアノシンで処置したマウスの脾臓において、リンパ球生成(白色脾髄の
増加)および骨髄造血(赤色脾髄の増加)が大きく増加したことが明らかになっ
た(図27)。これらの観察は、CP無防備マウスのオクタノイルグアノシン処置は
、少なくとも脾臓のレベルにおいて、骨髄造血およびリンパ球生成の両方を促進
することを示す。
オクタノイルグアノシンで処置したマウスではまた、末梢の白血球(WBC)およ
び好中球の数が、コントロールまたはTween 80で処置したマウスのいずれかで見
られるよりも、明らかに有意に増加した(それぞれ図28および29)。実施例47:
ベンゾイルグアノシンはシクロホスファミド後の造血回復を改善す
る
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、48匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の全6日間の各日に、マウス
に、生理食塩水(コントロール)、ベンゾイルグアノシン(2.5μmol/マウス/、0
.2% Tween 80中)、またはパルミトイルグアノシン(2.5μmol/マウス/日、0.2% T
ween 80中)のいずれかの0.4mlを腹腔内注射した。CP投与後7日目および10日目
に、各3群から8匹の動物を採血し、次いで頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を取
り出し、重量を測定し、そして全血球数を計数した。
7日目での総白血球、好中球、および脾臓重量は、ベンゾイルグアノシン処置
マウスおよびパルミトイルグアノシン処置マウスの両方においてコントロールに
比べて、有意に増加した(それぞれ図30〜32)。これらの2つの処置群の間には
、統計学的に有意な差異はなかった。10日目でのアシル化グアノシンの両方の群
の血小板数は、コントロール群よりも有意に増加した(図33)。実施例48:
パルミトイルキサントシンおよびパルミトイルデオキシイノシンは
シクロホスファミド後の造血回復を改善する
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、36匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の全4日間または全6日間の
各日に、マウスに、生理食塩水(コントロール)、パルミトイルデオキシイノシ
ン(2.5μmol/マウス)、またはパルミトイルキサントシン(2.5μmol/マウス)のい
ずれかの0.4mlを腹腔内注射した。CP投与後5日目および7日目に、各3群から1
2匹中6匹の動物を採血し、次いで頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を取り出し、
重量を測定し、そして全血球数を計数した。
脾臓重量、総白血球数、および好中球数は、コントロールに比べて、パルミト
イルデオキシイノシンで処置した群では5日目に有意に増加した(それぞれ図34
、図35および図36)。この時点では、同様に総白血球数および好中球数は、パル
ミトイルキサントシンで処置したマウスのそれらに比べて、有意に増加した。
CP投与後7日目に、脾臓重量、総白血球、および好中球は、パルミトイルキサ
ントシン処置群およびパルミトイルデオキシイノシン処置群の両方で、コントロ
ールに比べて、有意に増加した(図34、図35、および図36)。実施例49:
パルミトイルイノシンはシクロホスファミド後の造血回復を改善す
る
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、48匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の全6日間の各日に、マウス
に、生理食塩水(コントロール)、オクタノイルグアノシン(2.5μmol/マウス)
、ラウロイルグアノシン(2.5μmol/マウス)、パルミトイルグアノシン(2.5μmol
/マウス)、パルミトイルイノシン(2.5μmol/マウス)、またはパルミトイルキサ
ントシン(2.5μmol/マウス)のいずれかの0.4mlを腹腔内注射した。CP投与後7日
目に6群の各々から8匹の動物を採血し、次いで頚椎脱臼により屠殺した。脾臓
を取り出し、重量を測定し、そして全血球数を計数した。
脾臓重量、総白血球数、および好中球数は、コントロールに比べて5つの処置
群の各々において有意に増加した(それぞれ図37、図38、および図39)。この時
点では、5つの処置群の比較では、統計学的に有意な差異は見られなかった。実施例50:
オキシプリンヌクレオシド同族体のアシル誘導体はシクロホスファ
ミド後の造血回復を改善する
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、96匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の各日に、マウスに、Tween-
80(0.2%)(コントロール)、パルミトイルデオキシグアノシン(2μmol/マウス)
、パルミトイルデオキシイノシン(2μmol/マウス)、パルミトイルアシクロビル(
2μmol/マウス)、パルミトイルアラビノシルグアニン(2μmol/マウス)、パルミ
トイルアラビノシルヒポキサンチン(2μmol/マウス)、モノパルミトイルグアノ
シン 2',3'-非環式ジアルコール(2μmol/マウス)、およびパルミトイル-8-
チオグアノシン(2μmol/マウス)のいずれかの0.4mlを腹腔内注射した。CP投与後
5日目および7日目に、8群の各々から6匹の動物を採血し、次いで頚椎脱臼に
より屠殺した。脾臓を取り出し、重量を測定し、そして全血球数を計数した。
本実施例に関連した3つの図(40〜42)のすべてにおいて、次の略語を用いる:
TW = Tween-80
ACV = パルミトイルアシクロビル
AHx = パルミトイルアラビノシルヒポキサンチン
8TG = パルミトイル-8-チオグアノシン
PdG = パルミトイルデオキシグアノシン
AG = パルミトイルアラビノシルグアニン
dI = パルミトイルデオキシイノシン
ACG = モノパルミトイルグアノシン2',3'-非環式ジアルコール
総好中球数は、5日目および7日目の8つすべての処置群において、コントロ
ールと比べて有意に増加した(図40)。
白血球数は、5日目の1つの処置群(1-O-パルミトイルアシクロビル)以外の
すべておよび7日目の8つの処置群のすべてにおいて、コントロールと比べて有
意に増加した(図41)。
脾臓重量は、5日目の次の群においてコントロールと比べて有意に増加した:
モノパルミトイルグアノシン 2',3'-非環式ジアルコール、パルミトイルデオ
キシイノシン、パルミトイルグアノシン。7日目においては、パルミトイルアラ
ビノシルグアニンおよびパルミトイルアラビソシルヒポキサンチン以外のすべて
の処置群で有意に増加した(図42)。実施例51:
デオキシグアノシンのアシル誘導体はシクロホスファミド後の造血
回復を改善する
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、88匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の各日に、マウスに、Tween
80(0.2%)(コントロール)、3'-O-パルミトイルデオキシグアノシン(2μmol/マ
ウス)、ブチリルデオキシグアノシン(2μmol/マウス)、パルミトイル-N-イソブ
チリルデオキシグアノシン(2μmol/マウス)、ラウリルデオキシグアノシン(2
μmol/マウス)、オクタノイルデオキシグアノシン(2μmol/マウス)、およびパル
ミトイルデオキシグアノシン(2μmol/マウス)のいずれかの0.4mlを腹腔内注射し
た。CP投与後5日目および7日目に7群の各々から6匹または7匹の動物を採血
し、次いて頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を取り出し、重量を測定し、そして全
血球数を計数した。
脾臓重量および総好中球数は、5日目の次の群においてコントロールと比べて
有意に増加した:3'-O-パルミトイルデオキシグアノシン、パルミトイル-N-イ
ソブチリルデオキシグアノシン、およびパルミトイルデオキシグアノシン(図43
および図44)。7日目には脾臓重量および総好中球数は、すべての処置群におい
て、コントロールと比べて有意に増加した。
白血球数は、パルミトイルデオキシグアノシンの群において、5日目に有意に
増加した。7日目には、白血球数は、処置群すべてにおいて、コントロールと比
べて有意に増加した(図45)。実施例52:
シクロホスファミド後の造血回復の改善におけるパルミトイルデオ
キシグアノシンの用量応答特性
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、85匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の各日に、マウスに、生理食
塩水(コントロール)、または4つの異なる用量(0.2、0.4、1.0、または2.0μ
mol/マウス)のうちの1つのパルミトイルデオキシグアノシンのいずれかの0.4m
lを腹腔内注射した。CP投与後5日目および7日目に5群の各々からそれぞれ9
匹または8匹の動物を採血し、次いで頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を取り出し
、重量を測定し、そして全血球数を計数した。
脾臓重量、白血球数、および総好中球数は、5日目のパルミトイルデオキシグ
アノシンの最低用量(0.2)を除いて、5日目および7日目の4つ処置群すべてに
おいて、コントロールと比べて有意に増加した(図46、図47、および図48)。用
量の増加に伴い、脾臓重量が増加および細胞数が増加し、明らかな用量応答性傾
向が見られた。実施例53:
シクロホスファミド後の造血回復の改善におけるパルミトイルデオ
キシグアノシンおよびパルミトイルグアノシンの比較的な用量応答特性
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、96匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の各日に、マウスに、生理食
塩水(コントロール)、4つの異なる用量(0.2、0.4、1.0、または2.0μmol/マ
ウス)のうちの1つのパルミトイルグアノシン、または1.0μmol/マウスの用量
のパルミトイルデオキシグアノシンのいずれかの0.4mlを腹腔内注射した。CP投
与後5日目および7日目に6群の各々から8匹の動物を採血し、次いで頚椎脱臼
により屠殺した。脾臓を取り出し、重量を測定し、そして全血球数を計数した。
脾臓重量、白血球数、および総好中球数は、5日目の最大テスト用量(2.0μm
ol/マウス)のパルミトイルグアノシンのおよびパルミトイルデオキシグアノシ
ン群において、コントロールと比べて有意に増加した(図49、図50、および図51
)。1.0μmol/マウスの用量のパルミトイルグアノシンもまた、5日目に総好中
球数が有意に増加した。7日目には、脾臓重量、白血球数、および総好中球数は
、1.0μmol/マウスおよび2.0μmol/マウスのパルミトイルグアノシンを与えた群
ならびにパルミトイルデオキシグアノシンの群において、コントロールと比べて
有意に増加した。パルミトイルグアノシンの用量の増加に伴い、脾臓重量が増加
および細胞数が増加し、明らかな用量応答性傾向が見られた。パルミトイルデオ
キシグアノシンは、これらのパラメーターを増大させることにおいて、パルミト
イルグアノシンの同量または2倍以上もの用量の場合よりも強力であるようであ
る。実施例54:
シクロホスファミド後の造血回復の改善におけるパルミトイルデオ
キシグアノシンの用量応答特性
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、112匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の各日に、マウスに、生理食
塩水(コントロール)、または6つの異なる用量(0.04、0.08、0.2、0.4、0.6
、または0.8μmol/マウス)のうちの1つのパルミトイルデオキシグアノシンの
いずれかの0.4mlを腹腔内注射した。CP投与後5日目および7日目に7群の各々
から8匹の動物を採血し、次いで頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を取り出し、
重量を測定し、そして全血球数を計数した。
脾臓重量は、5日目の0.2μmol/マウス以上の用量を与えたすべてのパルミト
イルデオキシグアノシンの群、および7日目の0.04μmol/マウスだけの用量を与
えた群を除くすべての群において、コントロールと比べて有意に増加した(図52
)。
白血球数は、5日目の0.4μmol/マウス以上の用量を与えたすべてのパルミト
イルデオキシグアノシンの群において、コントロールと比べて有意に増加した(
図53)。7日目には、すべての用量において、統計学的に有意な差異が見られた
。
総好中球数は、5日目および7日目の両方の試験した6つの用量すべてにおい
て、コントロールに比べて有意に増加した(図54)。
用量の増加に伴って、より重い脾臓がもたらされ、そしてより多い細胞数がも
たらされるという明らかな用量応答相関が見られた。実施例55:
パルミトイルデオキシグアノシンは、シクロホスファミド後のラッ
トでの好中球数、血小板数、およびリンパ球数の回復を改善する
シクロホスファミド(CP)(40mg/kg、腹腔内)を、16匹のF344雄ラット(各々の体
重は約200g)に投与した。24時間後およびその後の各日に、ラットに、生理食塩
水(コントロール)、または10μmol/ラットの用量のパルミトイルデオキシグア
ノシンのいずれかの0.5mlを腹腔内注射した。CP投与後5日目、7日目および10
日目に両群から8匹の動物のすべてを採血し、そして全血球数を計数した。10日
目にすべてのラットを屠殺し、そしてこれらの脾臓を取り出し、重量を測定した
。
白血球数および総好中球数は、3つの時点全てで生理食塩水のコントロールの
ラットに比べて、パルミトイルデオキシグアノシンで処置したラットにおいて有
意に増加した(図55および図56)。血小板およびリンパ球は、10日目に、パルミ
トイルデオキシグアノシンで処置した群において有意に増加した(図57および図
58)。処置したラットの脾臓重量は、コントロールと比べて有意に増加した。
ラットでのこれらの結果は、プリンヌクレオシドのアシル化誘導体が化学的損
傷後の造血回復を劇的に改善するという、上述のマウスにおける知見を確認およ
び拡張する。本実験において特に注目すべきことは、パルミトイルデオキシグア
ノシンでの処置の中断後に白血球数増加が持続することである。実施例56:
オキシプリンヌクレオシド同族体のアシル誘導体は正常マウスにお
いて造血を増強する
正常なBalb/C雌マウス(各々の体重は約20g)に、4日間毎日、生理食塩水(コ
ントロール)、パルミトイルグアノシン(2.6μmol/マウス)、パルミトイルデオ
キシグアノシン(2.6μmol/マウス)、モノパルミトイルグアノシン2',3'-非環
式ジアルコール(2.6μmol/マウス)、およびパルミトイル-8-ブロモグアノシン(2
.6μmol/マウス)のいずれかの0.4mlを腹腔内注射した。5日目に5群の各々から
3匹の動物すべてを採血し、次いで頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を取り出し、
重量を測定し、そして全血球数を計数した。各々のマウス由来の大腿骨髄を回収
し、分化細胞数を骨髄スミア上で計数した。
本実施例(59〜61)に関連した各々の図において、次の略語を用いる:
P8BG = パルミトイル-8-ブロモグアノシン
PG-Cl = モノパルミトイルグアノシン 2',3'-非環式ジアルコール
PG = パルミトイルグアノシン
PdG = パルミトイルデオキシグアノシン
脾臓重量は、次の群においてコントロールと比べて有意に増加した:パルミト
イルグアノシン 2',3'-非環式ジアルコール、パルミトイルデオキシグアノシ
ン、およびパルミトイルグアノシン(図59)。
血小板数は、パルミトイルグアノシン 2',3'-非環式ジアルコールを除く全
ての処置群で、有意に増加した(図60)。
骨髄球(必須好中球前駆体)数はまた、モノパルミトイルグアノシン 2',3'
-非環式ジアルコール、パルミトイルデオキシグアノシン、およびパルミトイル-
8-ブロモグアノシン群において、コントロールよりも有意に多かった(図61)。
これらの結果は、正常動物においてポジティブに造血を改変することにおける
、いくつかの特定の化合物の有効性を示している。この証拠は、これらの化合物
が骨髄レベルにおいて効果的であることを明白に示している。実施例57:
パルミトイルデオキシグアノシンでのマウスの前処置は、フルオロ
ウラシルからの造血回復を改善する
28匹のBalb/C雌マウス(各々の体重は約20g)に3日間毎日、生理食塩水(コン
トロール)、またはパルミトイルデオキシグアノシン(1μmol/マウス)のいずれ
かの0.4mlを腹腔内注射した。4日目に5-フルオロウラシル(5-FU)(150mg/kg、腹
腔内)を28匹の動物全てに投与した。5-FU投与後5日目、8日目、および11日目
に、両群から4匹(5日目)または5匹(8日目および11日目)の動物を採血し
、次いで頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を取り出し、重量を測定し、そして全血
球数を計数した。
5日目の血小板数は、コントロール群に比べて処置群において有意に増加した
。8日目の脾臓重量、血小板数、および総好中球数は、パルミトイルデオキシグ
アノシンで前処置した群において有意に高かった。11日目には、パルミトイルデ
オキシグアノシンで前処置した動物群は、生理食塩水のコントロール群に比べて
、有意に高い脾臓重量、総白血球数、血小板数、総好中球数およびリンパ球数を
有した。(図62、図63、図64および図65)。
これらの結果は、パルミトイルデオキシグアノシンでの動物の前処置が免疫系
および血球数において5-FUの効果を劇的に改善することを示す。実施例58:
Tween 80は、シクロホスファミド後の造血回復を増強し、そしてオ
クタノイルグアノシンの効果を増強する
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、45匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の全6日間の各日に、マウス
を7群に分け、そして、生理食塩水(コントロール)、各々3つの濃度(0.02%、
0.2%および1%)のTween 80、または3つの異なる濃度(0.02%、0.2%および1%)のTw
een 80中のオクタノイルグアノシン(50mg/kg/用量)のいずれかの0.4mlを腹腔内
注射した。CP投与後7日目に5群の各々から9匹の動物すべてを採血し、次いで
頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を取り出し、重量を測定し、そして全血球数を計
数した。
シクロホスファミドの投与後7日目に、好中球数は、シクロホスファミド後に
生理食塩水のみを与えたマウスと比べて全ての処置群において増加し、そして1.
0% Tweenのみで処置したマウス群ならびに0.02%および0.2% Tween 80中のオクタ
ノイルグアノシンで処置したマウス群において、コントロールよりも有意な差異
があった(図66)。0.2% Tween 80中の50mg/kgオクタノイルグアノシンを与えた
動物における好中球数は、0.02% Tween 80中のオクタノイルグアノシンの同用量
を与えた動物よりも、有意に高かった。
種々の他の非イオン性界面活性剤(Tween 20、Tween 40、Nonidet P-40、Brij
96、Triton X-100を包含する)はまた、シクロホスファミドで処置したマウスの
血球数の回復を増強した。実施例59:
パルミトイル-8-アミノグアノシンはシクロホスファミド後の造血回
復を増強する
シクロホスファミド(CP)(275mg/kg、腹腔内)を、28匹のBalb/C雌マウス(各々
の体重は約20g)に投与した。24時間後およびその後の4日間の各日に、マウスに
、生理食塩水(コントロール)またはパルミトイル-8-アミノグアノシン(0.2% T
ween 80中25mg/kg/日)のいずれかの0.4mlを腹腔内注射した。CP投与後5日目お
よび7日目に2群の各々から7匹の動物を採血し、次いで頚椎脱臼により屠殺し
た。脾臓を取り出し、重量を測定し、そして全血球数を計数した。
5日目および7日目に、好中球および脾臓重量は、パルミトイル-8-アミノグ
アノシンで処置したマウスにおいて、コントロールと比べて有意に増加した(そ
れぞれ図67〜68)。実施例60:
N2-パルミトイルグアニンは、5-フルオロウラシルの投与前に投与
したとき、脾臓、血小板および白血球の回復を改善する
それぞれ、およそ20グラムの重量の12匹の雌Balb/Cマウスに、Tween-DMSOビヒ
クル(生理的食塩水中の0.2%Tween-80および7.5%DMSO)中のN-パルミトイルグア
ニン(25 mg/kg/1回処置)かビヒクルのみかいずれかの腹腔内注射0.4 mlを、1
日1回、3日間にわたって与えた。4日目に、12匹の動物全てに、5-フルオロウ
ラシル(5-FU;150 mg/kg、腹腔内)を投与した。5-FUの投与に続いて7日目に、
これらの12匹の動物全てを採血し、次いで、頚椎脱臼により屠殺した。6匹の未
処置のマウスもまた、血を抜き取って屠殺し、標準(基礎)値のデータを得た。脾
臓を除去して重量を計り、そして完全な血球数の計数を行った。
N-パルミトイルグアニンで前処置したこれらの動物の脾臓重量、白血球数、血
小板数およびリンパ球数は、全て、ビヒクルのみで前処置した動物(コントロー
ル)のものより著しく高かった(表3)。
実施例61: N2-パルミトイルグアニンは、シクロホスファミドの投与後に投与
したとき、脾臓および白血球の回復を改善する
それぞれ、およそ20グラムの重量の12匹の雌Balb/Cマウスに、Tween-DMSOビヒ
クル(生理的食塩水中の0.2%Tween-80および7.5%DMSO)中のN-パルミトイルグア
ニン(25 mg/kg/1回処置)かビヒクルのみかいずれかの腹腔内注射0.4 mlを、1
日1回、5日間にわたって与え、続いて、シクロホスファミド(CP)(250 mg/kg
、腹腔内)を1回注射した。CPの投与に続いて7日目に、12匹のこれらの動物全
てを採血し、次いで、頚椎脱臼により屠殺した。6匹の未処置のマウスもまた、
血を抜き取って屠殺し、標準(基礎)値のデータを得た。脾臓を除去して重量を計
り、そして完全な血球数の計数を行った。
N-パルミトイルグアニンで処置したこれらの動物の脾臓重量、白血球数、およ
び好中球数は、全て、ビヒクルのみで処置したマウス(コントロール)よりも、著
しく高かった。これらのデータを表4に示す。N-パルミトイルグアニンで処置し
たマウスの血小板数もまた、コントロール動物のものと比較して高かったが、コ
ントロール群の多様性のために、統計的に有意な大きさには達しなかった。
実施例62: トリパルミトイル−およびジパルミトイルデオキシグアノシンは、
シクロホスファミドの投与後に投与したとき、造血回復を改善する
それぞれ、およそ20グラムの重量の36匹の雌Balb/Cマウスに、Tween-DMSOビヒ
クル(生理的食塩水中の0.2%Tween-80および7.5%DMSO)中にて、25 mg/kg/1回
処置の用量にて3',5'-O-N2-トリパルミトイル-2'-デオキシグアノシン(triPdG)
か、トリパルミトイルデオキシグアノシン25 mg/kgのモル当量に等しい用量にて
3',5'-O-ジパルミトイル-2'-デオキシグアノシン(diPdG)かビヒクルのみかいず
れかの腹腔内注射0.4 mlを、1日1回、5日間にわたって与え、続いて、シクロ
ホスファミド(CP)(250 mg/kg、腹腔内)を1回注射した。CPの投与に続いて5
日目および7日目に、これらの各3個の群の6匹の動物を採血し、次いで、頚椎
脱臼により屠殺した。6匹の未処置のマウスもまた、採血して屠殺し、標準(基
礎)値のデータを得た。脾臓を除去して重量を計り、完全な血球数の計数を行っ
た。
両方の処置群中の脾臓重量および全好中球数は、ビヒクルコントロール中で処
置した動物と比較して著しく高かった(表5)。TriPdGで処置したマウスもまた、
同時点でのコントロールよりも、白血球数が著しく高かった。
7日目に、diPdGで処置した動物およびtriPdGで処置した動物の両方の脾臓重
量、白血球数、および全好中球数は、コントロールマウスよりも著しく増加した
(表6)。血小板数もまた、triPdG処置を受けたマウスのコントロール7日目にお
いて、コントロール値よりも著しく高かった。
実施例63: デオキシグアノシンのアシル化誘導体は、シクロホスファミドの投
与後に投与したとき、造血回復を改善する
それぞれ、およそ20グラムの重量の58匹の雌Balb-Cマウスに、シクロホスファ
ミド(250 mg/kg、腹腔内)を1回注射し、次いで、ビヒクルコントロール群(生理
的食塩水中の0.2%Tween-80+7.5%DMSO;n=12)または5個の処置群の1個に
分配した:
TriPdG − 3',5'-O-N2-トリパルミトイル-2'-デオキシグアノシン n=10
TrisOdG − 3',5'-O-N2-トリオレイル-2'-デオキシグアノシン n=8
TrisSdC − 3',5'-O-N2-トリステアリル-2'-デオキシグアノシン n=8
DiPdG − 5'-O-N2-トリパルミトイル-2'-デオキシグアノシン n=10
NIbuPdG − N2-イソブチリル-5'-O-パルミトイル-2'-デオキシグアノシン
n=10
ビヒクルまたは処置剤を、1日1回、5日間にわたって、腹腔内注射により、
0.4 mlの容量で、マウスに投与した。TriPdGは、25 mg/kg/1回処置の用量で与
えた。他の4種の試薬は、TriPdGの25 mg/kg/1回処置のモル当量に相当する用
量で与え得た。CPの投与に続いて5日目および7日目に、各6個の群の半分の動
物を採血し、次いで、頚椎脱臼により屠殺した。5匹の未処置のマウスもまた、
採血して屠殺し、標準(基礎)値のデータを得た。脾臓を除去して重量を計り、完
全な血球数の計数を行った。
TriPdG(3',5'-O-N2-トリパルミトイル-2'-デオキシグアノシン)で処置したマ
ウスの脾臓重量、白血球数、血小板数、および好中球数は、5日目の時点にて、
ビヒクルコントロール動物のものよりも、著しく高かった(表7)。diPdG(5'-O-N2
-ジパルミトイル-2'-デオキシグアノシン)で処置した動物の脾臓重量もまた、
5日目でのコントロールよりも著しく高かった。
CPの投与に続いて7日目に、5種の試薬のそれぞれを、コントロール値と比較
したとき、造血回復の少なくとも2個のパラメーターを著しく改善した(表8)。
TriOdG(3',5'-O-N2-トリオレイル-2'デオキシグアノシン)は、血小板数およびリ
ンパ球数の両方を高めたのに対し、NIbuPdG(N2-イソブチリル-5'-O-パルミトイ
ル-2'-デオキシグアノシン)は、脾臓重量および血小板数を著しく改善した。Tri
sPdG、TrisSdG(3',5'-O-N2-トリステアリル-2'-デオキシグアノシン)およびDiPd
G(5'-O-N2-ジパルミトイル-2'-デオキシグアノシン)は、全て、コントロール値
と比較して、脾臓重量、白血球数および全好中球数を著しく高めた。TriPdGはま
た、血小板数を著しく高めた。
実施例64: N-イソブチリルデオキシグアノシンは、シクロホスファミドの投与
後に投与したとき、造血回復を改善する
それぞれ、およそ20グラムの重量の14匹の雌Balb/Cマウスに、Tweenビヒクル(
生理的食塩水中の0.2%Tween-80)中のN-イソブチリルデオキシグアノシン(50mg/
kg/1回処置)かビヒクルのみかいずれかの腹腔内注射0.4 mlを、1日1回、5日
間にわたって与え、続いて、シクロホスファミド(CP)(250 mg/kg、腹腔内)
を1回注射した。CPの投与に続いて7日目に、14匹の動物全てを採血し、次いで
、頚椎脱臼により屠殺した。脾臓を取り出して重量を計り、そして完全な血球数
の計数を行った。
N-イソブチリルデオキシグアノシンは、コントロールと比較するとき、シクロ
ホスファミド損傷からの造血回復を著しく促進した。N-イソブチリルデオキシグ
アノシンで処置した動物における脾臓重量(116.3±8.0 対 72.7±2.7、p<0.001
)、白血球数(8.9±0.5 対 4.6±0.5、p<0.001)、全好中球数(6.6±0.5 対 3.3
±0.4、p<0.001)、およびリンパ球数(2.1±0.2 対 1.2±0.2、p<0.02)は、全
て、ビヒクルのみを与えたマウスのものよりも著しく大きかった。実施例65:
トリパルミトイルデオキシグアノシンは、5-フルオロウラシル投与
前に投与したとき、用量依存様式で造血回復を改善する
それぞれ、およそ20グラムの重量の60匹の雌Balb/Cマウスを、5個の処置群の
1個に分配し、そしてTween-DMSOビヒクル(生理的食塩水中の0.2%Tween-80およ
び7.5%DMSO)中の1、5、10、25または50 mg/kg/1回処置のいずれかの用量の3
',5'-O-N2-トリパルミトイル-2'-デオキシグアノシンを腹腔内注射することによ
り、1日1回、3日間にわたって、処置した。注射用量は、0.4 mlであった。別
の12匹の動物(コントロール)に、これらの3日間、ビヒクルのみを与えた。4日
目に、72匹の動物の全てに、150mg/kgの用量で、5-フルオロウラシル(5-FU)を1
回腹腔内注射した。5-FUの投与に続いて7日目および10日目に、各群の6匹のマ
ウスを採血し、次いで、頚椎脱臼により屠殺した。6匹の未処置のマウスもまた
、採血して屠殺し、標準(基礎)値のデータを得た。脾臓を取り出して重量を計り
、そして完全な血球数の計数を行った。
7日目に、トリパルミトイルデオキシグアノシンの用量を増やした結果、脾臓
重量が対応して増加した(表9)。10mg/kgおよびそれ以上の用量において、コン
トロール値と比較したとき、脾臓重量において、統計学的に有意な差異が達せら
れた。血小板数もまた、5mg/kg以上およびそれ以上の用量にてコントロールと
比較して、著しい増加を示した。最高値は、高い用量レベルと比較すると、統計
的に有意な差があるわけではないが、5mg/kgの処置群において見られた。
10日目には、脾臓重量、白血球数、全好中球数、およびリンパ球数において、
明白な用量依存の傾向が認められた(表10)。しかしながら、これらの各パラメー
ターおよび全てのパラメーターに対する値は、25 mg/kgの用量のトリパルミトイ
ルデオキシグアノシンにおいて、最大であると思われた。
実施例66: パルミトイルデオキシグアノシンでの前処置は、マウスの胸腺にお
けるコルチコステロイド誘発されたアポトーシスに対して保護する
胸腺のリンパ球または胸腺細胞は、種々の刺激物(イオン化放射線、カルシウ
ムイオノホア、グルココルチコイドホルモンおよび他の試薬を包含する)に応答
して、アポトーシスまたはプログラム細胞死として知られている自殺プロセスを
行う。アポトーシスはまた、発生およびリンパ球(および他の細胞)選択の正常な
生理学的プロセスの一部でもある。グルココルチコイドで誘発したプログラム細
胞死の周知のモデルを用いて、以下の結果は、パルミトイルデオキシグアノシン
での前処置が、マウス胸腺におけるコルチコステロイド誘発されたアポトーシス
に対して保護することを証明している。
およそ25グラムの重量の8匹の雄B6D2F1マウスを、Tween-DMSOビヒクル(生理
的食塩水中の0.02%Tweenおよび7.5%DMSO)中のパルミトイルデオキシグアノシ
ン(25 mg/kg、腹腔内)かビヒクルのみかいずれかを1回注射した。48時間後、こ
れらのマウスに、長期間作用するコルチコステロイドであるメチルプレドニゾロ
ンアセテート(Depo-Medrol;250 mg/kg)を腹腔内注射した。コルチコステロイド
の投与に続いて48時間後、これらの動物8匹全ておよび別の4匹の未処置の動物
(基礎)を、頚椎脱臼により屠殺し、その胸腺および脾臓を取り出し、そして重量
を計り、そして胸腺細胞数および生存率を、確立した方法により測定した。胸腺
および脾臓重量は、両方のコルチコステロイド処置された群において、劇的に減
少したものの、胸腺当たりの細胞数および胸腺細胞の生存率は、パルミトイルデ
オキシグアノシンで前処置したマウスにおいて、著しく増加した(表11)。
実施例67: パルミトイルデオキシグアノシンは、インビトロでのIL-3依存性骨
髄細胞のアポトーシスを防止する
IL-3依存性細胞の培養物からインターロイキン-3(IL-3)を取り出すことにより
、アポトーシスまたはプログラム細胞死が導かれる。この実験は、IL-3を奪った
IL-3依存性細胞の培養物へのパルミトイルデオキシグアノシンの添加が、プログ
ラム細胞死滅を防止することを立証している。
3匹の雄B6D2F1マウスの大腿骨をフラッシュすることにより、骨髄細胞を得た
。この細胞を10%ウシ胎児血清および25単位/mlの組み換えIL-3を加えたMEMにて
、5.0×105/mlで24時間〜48時間プレートした。次いで、接着細胞から非接着細
胞を分離し、さらに12日間維持した。IL-3を細胞から洗浄し、そしてIL-3の存在
下または非存在下において、パルミトイルデオキシグアノシン(1ミリリットル
当たり10ミクログラム)またはデオキシグアノシン(1ミリリットル当たり10ミク
ログラム)を添加して、または添加することなく、10%ウシ胎児血清を加えたMEM
中にプレートした。トリパンブルー除去法を用いて細胞数を数え、そして洗浄に
続いて、24時間、40時間、60時間および84時間後、死滅細胞の割合(トリパンブ
ルー陽性)を決定した。細胞死滅の機構は、DNA断片分析により、アポトーシスで
あると証明された。
この洗浄後にIL-3を与えた培養物における死滅細胞の割合は、24時間で7.5%
から84時間で13.0%の範囲であった。この死滅細胞の割合は、IL-3を奪った培養
物では、24時間で18.5%から84時間で75.3%まで、一定割合で著しく増加した(
表12)。IL-3を奪った培養物にパルミトイルデオキシグアノシンを添加すること
により、この死滅細胞の割合が著しく低下したのに対して、デオキシグアノシン
自体の添加は、IL-3の剥奪によるアポトーシス細胞死を全く防止しなかった。
これらのデータは、IL-3を奪ったIL-3依存性細胞の培養物へのパルミトイルデ
オキシグアノシンの添加が、プログラム細胞死滅を防止することを立証している
。
実施例68: パルミトイルデオキシグアノシンは、長期間の培養における骨髄細
胞の増殖を刺激する;骨髄移植に対するインプリケーション
骨髄移植は、種々の血液疾患および腫瘍疾患を治療するために、その使用が増
加している。この骨髄移植の質は、正常な造血細胞の増殖を高めるかおよび/ま
たはコロニー形成細胞の産生を刺激する因子を伴った短期間または長期間のイン
キュベーションにより、改善され得る。この実験は、正常なマウス骨髄細胞に由
来の長期間の培養物にパルミトイルデオキシグアノシンを添加することにより、
コントロール培養物と比較して、全細胞数およびコロニー形成細胞の割合を著し
く高めることを立証している。
B6D2F1マウスの大腿骨に由来の骨髄細胞を、長期間の骨髄培養を確立するため
に使用した。4週間後、その間質層が融合したとき、この間質から全ての細胞を
取り除くために、この培養物をミクロフェノール酸で処理した。次いで、同じ起
源に由来の新しい正常な骨髄細胞(1×105/ml)を、この間質層を「再充填する」
のに使用した。1ml当たり10ミクログラムの濃度で、この培養物の半分に、パル
ミトイルデオキシグアノシンを添加した。パルミトイルデオキシグアノシンの添
加に続いて、1日目、3日目、5日目および7日目に、細胞数を数えた。4日目
および7日目に、この培養物に由来の細胞を取り出し、洗浄し、そしてメチルセ
ルロースで再プレート化した。1週間後に、顆粒球単球コロニーの数を数えた。
表13および14に示すように、パルミトイルデオキシグアノシンは、全細胞数お
よびコロニー形成細胞の割合を著しく高めた。
実施例69: デオキシグアノシンのアシル誘導体は、用量依存様式で、インビト
ロでの多潜能力の造血細胞の増殖を阻害する
多潜能力の幹細胞に対する造血因子の効果を予測するための適切なインビトロ
モデルとして、FDCPmix細胞系を使用した。これらの細胞は、IL-3の存在下にて
、未分化状態で維持するか、または特定の造血性成長因子の存在下にて、多系発
生を受けることができる。
MTT(テトラゾリウム塩)比色アッセイを用いて、種々の試験化合物を添加する
かまたは添加せすに、IL-3の存在下にて、FDCPmix細胞の増殖を測定した。最適
用量のIL-3を細胞培養物に添加してから48時間後に、FDCPmix細胞の最大増殖を
測定した。このレベルの増殖(100%)は、コントロール値として役立った。試験
化合物による増殖の阻害は、コントロールのパーセントとして表わした。
FDCPmix細胞を、IMDM培地+10%ウシ胎児血清を用いて1ウェルあたり5×104
個の細胞密度で96ウェルプレート(5×105/ml)にプレートした。この培養物に添
加したIL-3の最適用量は、25単位/mlであった。10マイクログラム/mlから1ナ
ノグラム/mlの範囲に濃度を下げて、試験化合物を添加した。この試験化合物と
しては、以下が挙げられる:3',5'-O-N2-トリパルミトイル-2'-デオキシグアノ
シン、3',5'-ジ-O-パルミトイル-2'-デオキシグアノシン、3',5'-O-N2-トリオク
タノイル-2'-デオキシグアノシン、3',5'-ジ-O-オクタノイル-2'-デオキシグア
ノシン、および3',5'-O-N2-トリオレイル-2'-デオキシグアノシン。
3',5'-O-N2-トリパルミトイル-2'-デオキシグアノシンおよび3',5'-ジ-O-パル
ミトイル-2'-デオキシグアノシンは、10マイクログラム/mlから100ナノグラム/m
lの用量で、著しい用量依存阻害効果を有していた(表15)。他の3種の化合物、3
',5'-O-N2-トリオクタノイル-2'-デオキシグアノシン、3',5'-ジ-O-オクタノイ
ル-2'-デオキシグアノシン、および3',5'-O-N2-トリオレイル-2'-デオキシグア
ノシンは、試験した用量では、ほとんどまたは全く阻害効果を有しなかった。
また、正常なマウス(B6D2F1)骨髄由来のIL-3富化細胞集団において、これらの
5種の化合物では、MTT比色アッセイ系を用いて、本質的に同じ結果が得られた
。
実施例70: シスプラチン誘発骨髄抑制に対するN2,3',5'-トリパルミトイルデ
オキシグアノシンの効果
シスプラチンは、精巣癌、卵巣癌、非ホジキンリンパ腫、肺癌および頭や首の
扁平上皮細胞癌の処置に使用される抗腫瘍剤である。シスプラチンの使用に伴う
用量制限毒性は、一般に、腎毒性であるが、この化合物はまた、高用量では、白
血球(リンパ球および好中球を含む)だけでなく血小板の抑制も引き起こす。シス
プラチンは、通常、およそ5日間の長い半減期を有し、多回用量を与えたとき、
蓄積性の骨髄抑制を生じることが知られている。
シスプラチンの血液毒性を低減する際のN2,3',5'-トリパルミトイルデオキシ
グアノシン(PdG)の効果を評価するための研究を行った。雌Balb/Cマウスを、そ
れぞれ、用量および時点あたりにして、5匹の動物の群に分けた。これらの群の
半分には、腹腔内注射により、PdG(25 mg/kg)を3日間連続で毎日用量を与え、
他の半分は、ビヒクルのみで処置した。24時間後、これらの動物に、以下の4種
の用量の1種で、腹腔内注射により、単回用量のシスプラチンを与えた:8、11
、12または15 mg/kg。シスプラチンの投与後、4日目、7日目および11日目にて
、眼窩後方(retro-orbital)の目の採血により、血液サンプルを取った。シス
プラチンの投与後、4日目、7日目および11日目の血球数は、それぞれ、表16、
17および18に挙げた通りであった。
4日目まで、シスプラチンは、最も低いシスプラチン用量(8 mg/kg)でも、Pd
G処置していない動物において、全白血球数、好中球およびリンパ球を著しく抑
制した(基礎コントロールと比較して)。対照的に、PdG処置した動物は、同じシ
スプラチン用量の基礎コントロールと比較して、全白血球数、好中球およびリン
パ球に統計学的に有意な変化がなかった。シスプラチンは、この時点では、血小
板数を減少させなかったが、PdG処置したマウスは、ビヒクル処置したコントロ
ール動物よりも、およそ30%高い血小板数を有していた。この傾向は、正常な非
罹患動物に見られるものと類似している。より高用量のシスプラチンは、PdGを
受けたマウスにおいてさえ、全体の白血球およびリンパ球の涸渇を生じた。しか
しながら、PdGで前処置した結果、コントロールと比較して、これらの数値が高
くなった。いずれの用量でも、PdGの前処置は、好中球の抑制を防止し、コント
ロールと比較して、統計学的に有意な差異が得られた。シスプラチンは、この時
点では、血小板数を減少させなかったが、PdGを受けたマウスでは、4つのシス
プラチン用量の全てにおいて、血小板数が増加した。
7日目では、全ての群の全ての用量において、好中球反跳が存在していた。3
つのより高用量で、コントロール群においては、血小板の抑制が明らかであるが
、処置群では、PdGが血小板の低下を防止した。
11日目では、2つのより低いシスプラチン用量(8および11 mg/kg)群において
、
全白血球数、リンパ球および血小板は、コントロール動物においてさえ、正常な
範囲であるように思われる。しかしながら、12 mg/kgのシスプラチンでは、コン
トロールの60%が11日目までに死亡した。この群に生き残っている2匹のマウス
のみでは意味のある統計を行うことができなかった。PdG処置した動物は、全て
生き残った。使用した最も高いシスプラチン用量(15 mg/kg)では、全てのコント
ロール動物が11日目までに死亡したのに対し、PdGで前処置した群では、5匹の
マウスのうち3匹が生き残った。
いずれの時点でも、赤血球に対しては、シスプラチンまたはPdG処置の効果は
なかった。この実験は、PdG−シスプラチンが、シスプラチンの迅速かつ長期間
にわたる造血毒性からマウスを保護することを示している。好中球および生存に
対するこの効果は、特に注目に値する。実施例71:
ドキソルビシン誘発骨髄抑制に対するN2,3',5'-トリパルミトイル
デオキシグアノシンの効果
ドキソルビシン(アドリアマイシン)は、乳癌、肉腫、小細胞肺癌、卵巣癌、甲
状腺癌、ホジキン病および非ホジキンリンパ腫に対して効果的な、広く使用され
ている抗癌剤である。その臨床用途は、その心臓および血液に対する毒性によっ
て、限定されている。ドキソルビシンの血液毒性を低減する際のN2,3',5'-トリ
パルミトイルデオキシグアノシン(PdG)の効果を評価するための研究を行った。8
0匹の雄CDF8F1マウスを3つの群に分けた。1つの群は、何も処置をせず、基礎
コントロール動物として供した。他の2つの群の動物には、それぞれ、腹腔内注
射により、11 mg/kgの用量で、単回用量のドキソルビシンを与えた。24時間後か
ら始めて、この2つの群の動物に、PdGまたはビヒクルのみのいずれかの腹腔内
注射により、3日間毎日用量を与えた。ドキソルビシンの投与の直前、および投
与後4日目、8日目、11日目および14日目にて、眼窩後方の目の採血により、血
液サンプルを得た。差異を含めた完全な血球数を決定した。データを表19に示す
。ドキソルビシン投与後にPdGを与えると、血球数、脾臓細胞性、および脾臓内
の血液始原細胞が急速かつ効果的に回復した。
実施例72: 経口投与後のN2,3',5'-トリパルミトイルデオキシグアノシン(PdG)
の治療活性
シクロホスファミドモデルにおける好中球回復に対するPdGの腹腔内投与およ
び経口投与の効果
PdGを、グリセロールトリカプリレートおよび胆汁コール酸ナトリウム塩を含
有する混合ミセルの調製物に処方した。10匹の雌Balb/Cマウスの群に、腹腔内注
射により、単回用量のシクロホスファミド(250 mg/kg)を与えた。24時間後から
始めて、これらの動物に、腹腔内注射によるPdG(25 mg/kg)、経口的な栄養補給
によるグリセロールトリカプリレート−コール酸ナトリウム−生理食塩水ビヒク
ル中のPdG(100 mg/kg)、または経口栄養補給によるグリセロールトリカプリレー
ト−コール酸ナトリウム−生理食塩水ビヒクルのみのいずれかの用量を、3日間
毎日与えた。シクロホスファミドの投与の5日後および7日後に、眼窩後方の集
網を介して、血液サンプルを取った。未処置の動物群からもサンプルを取り、こ
れを基礎コントロールとして供した。好中球数は表20に示す通りであった。シク
ロホスファミドの投与後のPdGの経口送達により、コントロール動物と比べて、
好中球の回復が著しく改善された。
実施例73: N2,3',5'-トリパルミトイルデオキシグアノシンは、多菌性感染に
おける生存を改善する
N2,3',5'-トリパルミトイルデオキシグアノシン(PdG)は、好中球の産生を刺激
する。好中球は、細菌に対する防御の際に重要なので、細菌性敗血症における有
益な効果について、PdGを試験した。放射線療法または化学療法の免疫無防備効
果の結果としての細菌感染は、癌患者における重要な死亡原因である。PdGの潜
在的な有用性を、盲腸結紮および穿刺モデル(CLP;これは、多菌性の敗血症のモ
デルであり、このモデルでは、動物の盲腸が、腸の流れを塞ぐことなく、縛ら
れる)において評価し、次いで、盲腸内に取り込まれた糞状物を腹腔に漏らすよ
うに穿刺した(O'Reillyら、Journal of Trauma、33:679〜682)。この放出によ
り、腹膜炎とそれに続く菌血症、ショックおよび死亡が生じる。このCLPモデル
は、グラム陽性およびグラム陰性の両方の細菌に起因する、重篤で複雑な多菌性
の敗血症を起こすことから、特に過酷な誘発試験(challenge)である。このCLPモ
デルは、ヒトにおける破裂した虫垂または穿刺した腸に類似している。
36匹の雌Balb/Cマウスを使用した。これらのマウスを、それぞれ12匹のマウス
の3つの群の1つにランダムに割り当てた。2つの群を、25 mg/kgのPdGまたは
ビヒクルのみのいずれかでの腹腔内注射により、CLPの前に、1日1回、3日間
にわたって処置した。1つの群には、このCLP手順を施したが、他の処置はしな
かった。CLP後、60日間にわたって、生存をモニターした。
両方のコントロール群(ビヒクルのみおよび処置なし)では、CLPの18〜24時間
後に、ショックが観察された。72時間を越えて、1匹のコントロール動物だけが
生き残り、100時間を過ぎると、どのコントロール動物も生存していなかった。P
dG処置した全てのマウスは、CLPの72時間後、生存していた。1匹の動物が3日
目に死亡し、2匹目の動物が4日目に死亡した。残りの動物(10/12、すなわち、
83%)は、全て、60日間の観察期間を通じて、生存していた。実施例74:
N2,3',5'-トリパルミトイルデオキシグアノシンは、細菌性エンド
トキシンで処置した動物における生存を改善する
エンドトキシンは、グラム陰性の細菌の細胞壁に見出されるリポ多糖である。
エンドトキシン(LPS)は、潜在的な炎症性刺激物であり、その有害な効果は、サ
イトカイン、ロイコトリエンおよび他の炎症性メディエーターの合成および放出
の誘発が原因である。エンドトキシンは、消化管壁を横切って循環に移ることが
できるので、LPSは、細菌感染だけでなく、細菌感染が必ずしも存在しない種々
の状態での病気の原因となる。エンドトキシンは、実際には、通常、消化管から
肝臓に至る門脈に見られるが、外傷、ショック、腸の虚血またはやけどを受けた
患者、およびエタノールの摂取後に、転移が高まる。消化管由来のLPSは、種々
の肝臓疾患(ウイルス性およびアルコール性の肝炎、肝臓移植の合併症、および
全ての非経口栄養物に関連した肝臓障害を含む)に関係している。LPS投与後のPd
Gの有益な活性は、本発明の化合物の抗炎症活性を立証している。
エンドトキシンを投与(challenge)された動物に対するN2,3',5'-トリパルミト
イルデオキシグアノシン(PdG)の効果を試験する実験では、42匹の雌Balb/Cマウ
スを、それぞれ14匹の動物の3つの群に分けた。各群には、単回の100μg用量(
5 mg/kg)のSalmonella typhimurium LPSを与えた。これらの群のうちの2つを
、LPSを与える前に、25 mg/kgのPdGまたはビヒクルのみのいずれかの腹腔内注射
により、1日1回、3日間にわたって処置した。第3の群には前処置を行わなか
った。LPSの投薬に続いて、21日間にわたり、動物の生存をモニターした。
LPSだけを与えた群(前処置なし)では、3日目まてに、86%の動物(12/14)が死
亡したが、残りの2匹の動物(14%)は、21日間の観察期間の最後まで生き残った
。LPSおよびビヒクルを与えた動物の全ては、3日目までに死亡した。PdGで処置
した動物の全ては、観察期間の最後まで生き残り、完全に回復したように見えた
。
この実験は、細菌性エンドトキシンの毒性効果に対するPdGの著しい活性を立
証し、従って、エンドトキシンに関連した疾患状態だけでなく、一般的な炎症性
疾患において、本発明のPdGおよび他の化合物の有益な活性を示している。実施例75:
N2,3',5'-トリパルミトイルデオキシグアノシン(PdG)は、炎症性サ
イトカイン活性を調節する
腫瘍壊死因子α(TNF−α)、インターフェロンγ(IFN−γ)を含む炎症性サイト
カインは、種々の炎症性疾患の開始および延長に関与している。これらのサイト
カインのレベルを減少させる能力は、疾患状態を軽減するのに有益である。この
能力を持つ物質は、慢性関節リューマチ、炎症性腸疾患および多発性硬化症のよ
うな疾患、およびエンドトキシン血症に関連するかまたは他の細菌性炎症刺激物
への暴露に関連する状態において、臨床的に有用である。
エンドトキシン(LPS)は、グラム陰性細菌の細胞壁の成分であり、TNF−αおよ
びIFN−γのような炎症性サイトカインの劇的な増加を誘発する炎症性刺激物で
ある。これらの内因性に放出される炎症性物質の効果は、非常に有害で、LPSが
誘導する組織損傷および死亡の原因となり得る。これらのサイトカインはまた、
他の炎症性刺激物により開始される炎症応答を媒介する。
63匹の雌Balb/Cマウスを、3つの群の1つにランダムに割り当てた。1つの群
の動物には、単回の日用量のN2,3',5'-トリパルミトイルデオキシグアノシン(Pd
G)(25 mg/kg、腹腔内)を与えたのに対し、第2の群には、単回の日用量のPdG
処理ビヒクル(コントロール)を与えた。第3の群は未処置のままにした。4日目
に、3つの群の全てに、100μgのSalmonella typhimurium.LPSを投与した。LPS
投与の直前(t=0)、およびLPS投与の2時間後、4時間後、6時間後、8時間
後、10時間後、12時間後、16時間後および20時間後に、血清サンプルを採取した
。次いで、アッセイの時点まで、このサンプルを凍結した。ELISAにより、TNF−
αおよびIFN−γの血清レベルを測定した。
LPSに暴露した動物にPdGを投与することにより、ビヒクルとLPSとを与えた動
物およびLPSのみを与えた動物と比較すると、TNF−αのレベルの増加が著しく減
衰した(表21)。PdG処置した動物のピークレベルは、コントロール群のピークレ
ベルより4倍低かった。IFN−γ応答の減衰は、さらにずっと劇的であり、その
ピークレベルは、コントロール値よりも5倍〜7倍低かった(表22)。全時間経過
にわたるこの曲線下面積(AUC)は、PdGで処置した動物では、著しく低かった。Pd
Gはまた、血清インターロイキン1αおよびインターロイキン6のLPS誘導性上昇
も減衰させた。
以下の表では、サイトカイン濃度の単位は、1 mlあたりのピコグラムである
。数値0は、このアッセイの検出限界以下のサイトカインのレベルを示す(50〜1
00pg/ml)。
炎症性サイトカインは、非常に多くの疾患状態に関与している。この実験で立
証したサイトカイン産生の減衰は、このようなサイトカインまたはエンドトキシ
ンが病因となっている炎症性疾患を処置することにおける本発明の化合物の有用
性を裏付ける。実施例76:
幹細胞の移動に対するN2,3',5'-トリパルミトイルデオキシグアノ
シン(PdG)の効果
自己骨髄移植(ABMT)は、高用量の化学療法後の造血作用の回復を早めるために
使用されている。この技術では、患者自身の幹細胞は、骨髄吸引液を得ることに
より取り出され、次いで化学療法後、その患者に再移植される。最近では、種々
のサイトカインは、幹細胞を骨髄から末梢循環に「移動させる」ことが示されて
おり、末梢循環で、これらの細胞は容易に採取され得る。これらの幹細胞を使用
することにより、ABMTで見られるものよりも、造血細胞の移植が増強する。N2,3
',5'-トリパルミトイルデオキシグアノシン(PdG)がこのような幹細胞の移動を促
進する能力を試験した。
図69に示すように、PdGだけ(25 mg/kg)を投与すると、幹細胞の移動を誘導し
得る(対数目盛であることに注意)。その効果はまた、シクロホスファミド(こ
れは、現在、幹細胞の移動のために臨床的に使用されている化学療法薬剤)の効
果と相乗的であり、シクロホスフェミドに対して、7倍〜8倍の応答を誘導する
。
PdGが、脾臓(これは、マウスでは、幹細胞の供給源であり得るが、ヒトでは、
一般には、幹細胞の供給源ではない)からではなく、骨髄貯蔵部(store)からの移
動を引き起こすことを立証するために、脾臓摘出の効果を研究した。PdGは、イ
ンタクトマウスおよび脾臓摘出マウスの両方において、シクロホスファミドで共
処置したものおよび共処置しなかったもので、幹細胞を移動させることにおいて
同様に効果的であった。このことは、観察されたPdGの効果が、事実上、骨髄部
位からの移動であったことを示している。
従って、本発明の化合物は、自己移植または異種レシピエントへの移植のいず
れてあれ、骨髄移植用のドナー細胞として使用するために、造血幹細胞および他
の始原細胞の末梢血への移動に有用である。
前述の事項は、本発明の例示として意図しており、本発明を限定するものでは
ない。本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、非常に多くの変形お
よび改変を行い得る。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 31/70 AGZ A61K 31/70 AGZ
// C07H 19/167 C07H 19/167
19/173 19/173
19/20 19/20
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C
H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB
,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR,
KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M
N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU
,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT,
UA,UG,UZ,VN
(72)発明者 ヒルトブランド, ブラッドリー エム.
アメリカ合衆国 メリーランド 21044,
コロンビア, リトル パツクセント
パークウェイ 11517
(72)発明者 バトラー, ジェイムズ シー.
アメリカ合衆国 メリーランド 20874,
ガイザースバーグ,ベント ウィロー
サークル 18818
(72)発明者 シラリ, シャム
アメリカ合衆国 メリーランド 20878,
ガイザースバーグ,クインス オーチャ
ード ブールバード ナンバー21 815