【発明の詳細な説明】
ポリヨウ素化化合物、その製法、およびX線放射線医学におけるその使用
本発明は、X線放射線医学用造影剤として使用し得る化合物に関する。
本発明の化合物は、ヨウ素原子3または4個を有するフェニル環を少なくとも
6個有し、臨床的に通例用いられるヨウ素原子濃度のオーダー(100ml当たり
ヨウ素5〜40g)の水溶液を形成し、分子量が3000を越えるにもかかわらず
、溶液は非経口投与に許容し得る粘度を有する。更に、本発明の化合物は、血管
内投与後の血液循環からの排除が、既知の化合物(EP−A−354836およ
びWO93/10824に記載のような、ヨウ素分子がグラフトされたポリマー
は除外する。それらの臨床的使用は、とりわけ広い分子量分布の故に、確立され
ていない)よりも顕著に遅い。
すなわち、本発明のモノマーまたは通常臨床的に用いられる造影剤(例えばイ
オビトリドールまたはイオヘキソール)を同用量(ヨウ素重量換算)で動物に静脈
内注射した後、短時間の間の血中ヨウ素濃度の低下は、本発明化合物が顕著に遅
い。例えばラットにおいて、本発明化合物の濃度は、5分後に通例少なくとも3
倍高い。更に、分子上に適当に分布している親水性基が本発明化合物に良好な水
溶性を付与するので(1l当たりヨウ素25gを越える)、血管コンパートメントの
X線撮影用造影剤として有用である。
本発明化合物は、式I:
[式中、
Ti、Vi、T'iおよびV'i(i=0、1または2)は、同一または異なって、O
、CO−NDおよびND−COから成る群から選択し、DはH、C1−C6アルキ
ル
およびC1−C6(好ましくはC1−C4)ヒドロキシアルキルまたはポリヒドロキシ
アルキルから成る群から選択し;
QiおよびQ'i(i=0、1または2)は、同一または異なって、C1−C6アルキ
レンおよびC1−C6(好ましくはC1またはC2)ヒドロキシアルキレンまたはポリ
ヒドロキシアルキレンから成る群から選択し;
AriおよびAr'i(i=1または2)は、同一または異なって、式II:
(式中、RはCOOHであり、R'はCONR'1R'2およびN(R'1)COR'2から
成る群から選択し、R'1およびR'2はH、C1−C4アルキルおよびC1−C8ヒド
ロキシアルキルまたはポリヒドロキシアルキルから成る群から選択し、それらの
ヒドロキシル基数は合計4個を越え、好ましくは6個を越えるか、あるいは
RおよびR'は、同一または異なって、CONR'1R'2およびN(R'1)COR'2
から成る群から選択し、R'1およびR'2はH、C1−C4アルキルおよびC1−C8
ヒドロキシアルキルまたはポリヒドロキシアルキルから成る群から選択し、そ
れらのヒドロキシル基数は合計少なくとも6個、好ましくは8個を越え、より好
ましくは少なくとも10個である。)
で示される基、または式III:
(式中、Ti、QiおよびVi(i=3または4)は、i=0のものと同意義であり、R
iおよびR'i(i=3または4)は、式IIのRおよびR'と同意義であるか、または
T−Q−V−Arであり、このArは式IIで示され、T、QおよびVはTi、Qiお
よびViと同意義である。)
で示される基から成る群から選択し;
Aは、分子量1200未満の脂肪族または芳香族分子から誘導する生体適合性
基であり、場合により、酸素、窒素およびヨウ素から選択するヘテロ原子を含み
、ToおよびT'oと共にアミドまたはエーテル基を形成するように2個の遊離結
合価を有する。]
で示される化合物、およびそのような酸と塩基との薬学的に許容し得る塩、例え
ばアルカリ金属塩、脂肪族アミン(例えばN−メチルグルカミン)塩またはアミノ
酸(例えばリジン)塩である。
アルキル基は、直鎖または分枝状であり得る。
Aの構造は、場合によりToおよびT'oと共に2個のアミドおよび/またはオ
キシドエーテル基を形成し得るものであれば、どのようなものでもよい。
適当な脂肪族基Aとして、下記化合物から誘導するものを挙げることができる
:
・ジアミン、例えばH2N−(CH2)n−NH2(n=2〜4)であって、アルキレン
鎖中に場合により酸素原子またはアミド基が挿入されており、場合により1個ま
たはそれ以上のヒドロキシル基で置換されているもの;または
・二酸、例えばフマル酸もしくはコハク酸、またはHOOC−(CH2)n−COO
H(n=1〜4);または
・ジアルコール、例えばエチレングリコール;または
・アミノ酸、例えばγ−アミノ酪酸。
適当な芳香族基Aとして、置換(場合によりヨウ素置換)または不置換フェニル
環が挙げられる。すなわち、基T'o−A−Toは、フェニルジカルボン酸、フェ
ニレンジアミンまたはアミノフェニルカルボン酸(場合によりヨウ素で置換され
ている)、とりわけテトラヨードフタル酸およびその異性体、3−アセチルアミ
ノトリヨードイソフタル酸、ジヨード−p−フェニレンジアミンおよびヨードヒ
ドロキシ安息香酸から誘導し得る。
Aの他の例は、2個のフェニル環を有する基、例えば4,4'−ビフェニルジカ
ルボン酸またはビスフェノールから誘導するものである。
基Aの2個の置換基が同一である化合物、とりわけ置換基Ti−Qi−Vi−Ar
iが同一である化合物が好ましい。
また、化合物を造影剤として使用する場合、化合物は最大数のヨウ素原子を有
することが望ましく、Aがフェニル環上にヨウ素原子を有する化合物が好ましい
。
AriおよびAr'iが式IIIで示され、RiおよびR'iがRおよびR'と同意義であ
る化合物は、優れた血管内滞在時間を示し、好ましい。
本発明は、式Iで示される化合物の製法をも提供する。
本発明化合物の製法においては、第1工程において、適当な反応性基を有する
基Aを、式Iにおいてそれに置換する基の一部を構成する分子、例えばTαo−
Qo−Vαoまたは
と反応させ得る。上記式中、αは、その基が式Iにおける基の前駆体である官能
基であることを意味し、例えばT1がCONHの場合、T1 αはCOOHまたはC
OClであり、T1がOの場合、T1 αはOH、ハロゲンまたはスルホネートであ
る。
次いで、得られた化合物を別の置換基部分と通常のアミド化またはエーテル化
反応によって順次反応させて、式Iで示される化合物を生成する。
しかし、好ましくは最初に、式:
で示される置換基を合成する。式中、Ti、Qi、ViおよびAriは式Iのものと
同意義であり、ZはTαo−Qo−Voであるか、またはVαoであり、この場合、
最後の工程において、To−Qo−Vβo(VβoはVαoとの反応によりVoを生成
する官能基である。)を予めグラフトした基Aと反応させる。
式IVで示される化合物の合成は、下記工程を含んで成る:
1)式:
[式中、Rα、R'αおよびVαはCOClまたはNH2であるか、またはVαは
OHである(式IVのRi、R'iおよびViに応じて)。]
で示される化合物を、RαがCOClの場合はアミノアルコールHNR'1R'2と
反応させ、RαがNH2の場合は、R'2COClまたはR'2COOHと反応させ
、この反応の後、生成したアミドを例えばR'1Clでアルキル化することが可能
であり;
2)得られた生成物を、Tα−Q−Vβ(TαおよびVβはTiおよびViの前駆
体基
である。)と反応させ、反応1および2は逆の順序で行うことが可能であり;
3)得られた生成物を、式:
[式中、βは、T(すなわち化合物IにおいてAriが式IIで示される場合はT1お
よびT2、またはAriが式IIIで示される場合はT3およびT4)の前駆体基である
ことを意味し、
Zは前駆体基Tβi−Qi−Viであるか、または前駆体基Viβであり、この場
合は得られる化合物を次の工程に付す前にTβi−Qi−Vβiと反応させる必要
があり得る。]
で示される化合物と反応させ;
4)場合により、式IのAriが式IIIで示される場合は、得られたT−Q−V−
Arを式VI(TβおよびT'βはT1およびT2の前駆体を意味する)で示される化合
物と更に反応させ;
5)式IVで示される基を、Toの前駆体基で置換されたAと反応させ、場合によ
り、次いで、カルボン酸基を塩に変換する。
基R、TおよびVの構造に応じて、この方法において行う反応は従来のアミド
化またはエーテル化反応であるが、フェニル環上に置換した官能基の反応性は、
2個の隣接する炭素原子がヨウ素原子で置換されている場合には低いことに留意
する。
すなわち、適当なアミンと酸クロリドとを、それらが不溶の非プロトン性溶媒
中で、好ましくは遊離する塩酸を結合し得る化合物、例えば第三級アミン(例え
ばトリエチルアミンまたはトリブチルアミン)の存在下に反応させて、アミドを
生成する。アミドは、ペプチド化学において使用するようなカップリング剤、例
えばN,N'−ジクロロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロ
ピル)−3−エチルカルボジイミドまたは1−エトキシカルボニル−2−エトキ
シ−1,2−ジヒドロキノリン)の存在下、場合により活性剤、ヒドロキシベン
ゾトリアゾールまたはN−ヒドロキシスクシンイミドの存在下に、溶液中でアミ
ンに酸を作用させることによっても得ることができる。
反応する必要のないアミノ基は、例えばフタルイミドとしてブロックする。
エーテル基は、既知の方法で、強塩基の存在下に適当なアルコールまたはフェ
ノールにハライドまたはスルホネートを作用させることによって生成する。
それらの反応の間、アルコール官能基をエステルとして保護することが有利で
あり得る。
トリヨードフェニル環出発物質として、DE(East)43994またはGB79
1997もしくは782313に記載の3,5−ジアミノ−2,4,6−トリヨー
ド安息香酸、およびChem.Abs.69、86643−6に記載の4−ヒドロキシ
−2,4,6−テレフタル酸を挙げることができる。
その酸クロリド(SOCl2の作用によって合成する)を、適当なアミノアルコ
ール(場合により、ヒドロキシル基をエステル化により保護したもの)、またはア
ミンと反応させて、その環およびAまたは他のフェニル環の間に架橋を形成する
;第2工程において、フェノールまたはアニリン官能基を、従来の条件下に反応
させる。
アミノアルコールNHR'1R'2は、R'1およびR'2が、それぞれ少なくとも1
個のヒドロキシルを有し、合計少なくとも6個、とりわけ8個を越えるヒドロキ
シル基を有するものが好ましい。
後者の例として、下記基を有するものを挙げることができる。
− R'1=CH2−(CHOH)4−CH2OHおよびR'2=CH2−(CHOH)4
−CH2OHまたはR'2=CH2−CH2OHまたはR'2=CH2−CHOH−CH2
OH(市販されている)、
および R'2=CH2−CHOH−CH2OH(EP−A−558,395に記載
さ
れている)、
− R'1=R'2=CH2−(CHOH)3−CH2OH[J.Org.Chem.35(2
)464−7(1970)に記載されている]、
− R'1=R'2=CH2−(CHOH)2−CH2OH(US4,661,646に記
載されている)。
他のアミノアルコールは、ベンジルアミンを適当なアルコールのハロまたはス
ルホ誘導体でジ置換した後、得られた化合物を、とりわけH2との反応によって
脱ベンジル化することによって合成し得る;ヒドロキシル化アルデヒド、例えば
サッカリドを第一級アミノアルコールと反応させ、得られるイミンをH2との反
応により還元してもよい。
このようにして、下記基を有する化合物が得られる:
R'2=CH2−CHOH−CH2OHもしくは
R'2=CH2−(CHOH)2−CH2OH、または
− R'1=CH2−(CHOH)3−CH2OH
R'2=CH2−CHOH−CH2OH もしくは
R'2=CH2−(CHOH)2−CH2OH。
本発明は、式Iで示される化合物少なくとも1種をX線吸収生成物として含有
する放射線不透性造影剤組成物をも提供する。本発明の組成物は、適当な医薬形
態で、経口的、直腸的または非経口的に、とりわけ静脈内、動脈内、気管支内ま
たはくも膜内経路で投与し得る。
本発明化合物は、その薬物動態学の故に、心臓および血管の撮影に特に適当で
ある。
担体は放射線診断の分野で従来用いられているものであってよく、それと共に
、浸透圧もしくはpHの調節のために、またはヨウ素化度の高い生成物に知られ
るある種の副作用を軽減するために、既知の添加剤を組み合わせ得る。
静脈内投与、とりわけ血管コンパートメントの撮影のためには、フェニル環に
置換したヨウ素を100ml当たり5〜40g含有するpH約7の等張水溶液10〜
250mlを投与することが好ましい。
以下、本発明化合物の例を記載するが、その前に、コアAに結合し得る分子の
合成を説明する。
A)式VIII:
の化合物C1の合成。
ただし、R=R'=CON−(CH2(CHOH)4CH2OH)2
Tα−Q−V=H2N−CH2−CO−NH
反応式:
工程(a)
ジメチルアセトアミド(1l)中の5−アミノ−2,4,6−トリヨードイソフタ
ル酸(238g)の0℃の溶液に、N−フタロイルグリシンクロリド(258g)を撹
拌しながらゆっくり加える;その混合物を0℃で数時間撹拌し、室温で一晩経過
後、水(20l)にゆっくりと入れる;生成した沈澱を分離し、酢酸エチル(6l)に
溶解する。この溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで水で洗い、乾燥し、濃
縮する。2,4,6−トリヨード−5−フタルイミドアセトアミドイソフタル酸ジ
クロリド(250g)を得る。
工程(b)
上記酸ジクロリド(208g)、市販のアミン(416g)およびトリエチルアミン
(10ml)を、N−メチルピロリドンまたはジメチルアセトアミド(2l)に溶解し
、溶液を70℃に24時間保つ。生成した沈澱を分離し、溶媒を減圧下に留去す
る。残渣を最少量の水(pH3)に溶解し、陽イオン交換樹脂[酸型のAmberlite(
商標)IRN77(1.5l);Rohm and Haasから市販]に通して、不純物を除去
する。そのようにして得たジアミンの水(1.4l)溶液に、ヒドラジン水和物(3
3.2ml)を加え、混合物を80℃に3時間保つ。10N塩酸(53ml)を室温で加
えて混合物を酸性化し、沈澱を分離する。
残った溶液を、塩基性Amberlite IRA67(1l)を充填した陰イオン交換樹
脂カラムに通し、次いで酸型Amberlite IRC50(150ml)カラムに通し、
次いでAmberlite 200C(4l)にグラフトし、そこからNH4OH水溶液で生成
物を溶離する。溶離液を減圧下に濃縮して、所望の生成物を70%の収率で得る
。
HPLCクロマトグラフィー: LiCrosphere(商標)C18カラム; 5μm(Me
rck); l=25cm; d=4mm。
溶離剤(*):CH3CN/P.I.C. (商標)B8、0.05M(Waters)5/95
;流速: 1ml/分。
異性体保持時間: 約8分間。
(*)P.I.C. B8: オクタンスルホン酸/メタノール/酢酸カルシウム/
水混合物。
B)式IVの化合物C2の合成。
ただし、
T1−Q1−V1=T2−Q2−V2=CONH−CH2−CONH
Z=H2N−CH2−CONH
N−メチルピロリドンまたはジメチルアセトアミド(400ml)中の、工程(a)
Aで得た酸ジクロリド(59g)、工程Aで得た第一級アミンC1(200g)、およ
びトリブチルアミン(29.5ml)の溶液を、70℃で24時間保つ。溶媒を減圧
下に除去し、残渣を、Merck(DE)から市販されているシラン化シリカRP2(
3kg)を用い、水で溶離するか、または吸着剤XAD1600(Rohm and Haa
s)(4kg)を用い、CH3OH/H2O混合物で溶離するクロマトグラフィーに付す
。
収率50%で得られた生成物を、上記のようにヒドラジン水和物で処理して、
所望の化合物(収率45%)を得る。
この化合物を、Pharmaciaから市販されている16mm×60cmカラム中のSupe
rdex(商標)30ゲルで0.1M NaCl、0.05M NaH2PO4、および0.01
M NaN3を含む緩衝液(pH=7.2)を用いて、流速1ml/分で濾過する間の溶
離量は、緩衝液250μl中1mgの注入試料に対し102mlである。
HPLCクロマトグラフィー:Symmetry(商標)C18カラム; 5μm(Merck);
l=25cm; d=4.6mm
溶離剤: CH3CN/0.01M KH2PO4(15/85)(最初の5分間はCH3
CNなし)
流速1ml/分間
異性体の保持時間: 約18分間
C)式IVの化合物C3の合成。
ただし、T1−Q1−V1=T2−Q2−V2=CONH−CH2−CONH
Z=H2N−CH2−CONH
N−メチルピロリドンまたはジメチルアセトアミド(100ml)中の、工程(a)
Aの酸ジクロリド(5.65g)、工程Bに従い得られた第一級アミンC2(48g)、
およびトリブチルアミン(3ml)を、70℃で24時間保つ。工程Bのようにして
精製後、ヨードフェニル環7個を有する化合物をヒドラジン水和物で処理して、
粗製の第一級アミンを得る。これを、工程Bのように、酸性形態および塩基性形
態のイオン交換樹脂に通して精製する。場合によっては、続いて、カットオフ限
界10キロダルトンのポリエーテルスルホン膜を有する、Filtron Technology
Corp.(USA)により市販されている、新型のMinisette(商標)カセットで超
濾過すると、所望の生成物は通過する。収率:65%。
工程Bの場合と同様の操作条件下でのこの生成物のゲル溶離量は、91mlであ
り、一方、Superdex75カラムの場合では111mlである。
HPLCクロマトグラフィー:SymmetryC18カラム;5μm(Waters)
溶離剤: CH2CN/0.01M KH2PO4(15/85)(CH3CNなしで5
分間);
流速1ml/分
異性体の保持時間: 約23分間
化合物C2およびC3は、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフランまた
はエチレングリコールモノ−およびジメチルエーテルに実質的に不溶である;ジ
メチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリドンのよう
なアミドには可溶である。
D)式:
の化合物C4の合成。
Tα−Q−V=H2N−CH2−CONH
(1)工程(a)Aで記載した酸ジクロリド(239g)、Aldrichから市販されて
(39ml)を、N,N−ジメチルアセトアミド(1L)に溶解する。室温で24時間
後、水(300ml)を混合物に入れ、次いで、これを48時間45℃に保って、残
留酸クロリドを加水分解する。次いで、溶媒を減圧下に留去し、残渣を上記のよ
うに、Amberlite IRN77(500ml)カラムおよびシラン化シリカRP2(3
kg)カラムに通すことにより精製する。
こうして、モノアミドが収率40%で得られる。
2)この化合物をヒドラジン水和物で処理し、工程Aのように、酸性および塩
基性イオン交換樹脂を通すことにより、精製する。収率70%。
E)式IVの化合物C5の合成。
ただし、T1−Q1−V1=T2−Q2−V2=CONH−CH2−CONH
Z=H2N−CH2−CONH
工程Bの記載と同様の操作条件で処理して、所望の化合物を収率30%で得る
。
上記条件下でのSuperdex30ゲルからのこの化合物の溶離量は、92mlであ
る。
例示化合物は、ポリヒドロキシメタクリレートゲルを充填した直径8mmおよび
長さ30cmの連続配置した4個のカラム[Shodex(JP)から市販;OHpaKSB
−800HQ][SB−804(排除限界=106キロダルトン;標準:pullulan)
+SB−803(105)+SB−802−5(104)+SB−802−5]を用い
る立体排除クロマトグラフィー(SEC)における保持時間によって特徴付ける
;溶離剤は、0.16M NaCl水溶液およびアセトニトリルの混合物(70/3
0(v/v))である。流速0.8ml/分。T=30℃
実施例1
式Iの化合物No.1、式中、
(1)テトラヨードイソフタル酸:
NaNO22gの水溶液30mlを−5℃にて、水性1NNaOH中5−アミノ−
2,4,6−トリヨードフェニル−1,3−ニカルボン酸 11gの溶液60mlに滴
下しながら導入する。次いで、媒体をpH2に、H2SO4水溶液の添加によって
調節し、かくはんしながらさらに3時間、5℃で維持し、その後、水性1NNa
OHの添加によって、pH5にさせる。
水20ml中KI 9.6gの溶液を次いで滴下し、次いで媒体をゆっくりと45
℃にさせ、この温度で2時間維持し、その後氷/HCl混合物に注ぐ。
形成した沈澱物を、重亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次いでCH2Cl2 1
50mlで洗浄する。ベージュ色の結晶を単離する。
TLC:Merckシリカプレート。Rf=0.7(溶離液HCO2H/CH3CO
C2H5/C6H5CH3=25/25/6)
(2)テトラヨードイソフタル酸二塩酸塩:
上記二酸10.4gおよびSOCl2150mlとジメチルホルムアミド0.2ml
の混合物をその還留温度にて8時間維持し、媒体を次いで減圧下に蒸発乾固する
。残渣を石油エーテルから結晶化する。ベージュ色の結晶11gを単離する。
TLC:Rf=0.1(前記条件)
(3)化合物No.1
調製Bで得られた化合物C216g、テトラヨードイソフタル酸二塩酸塩4g
およびトリエチルアミン1.5mlをジメチルホルムアミド120mlに導入し、反
応媒体を80℃で12時間維持する。沈澱物を、冷却後にろ去し、溶媒を減圧下
に留去する。水1l中に溶解した残渣を、ジア(dia)−限外ろ過に、5キロダルト
ンのカットオフ限界値の膜を有するMinisette(商標名)カセットを用いて付し
て、所望の生成物を得た。
実施例2
式Iの化合物、式中、
実施例1(2)として形成したテトラヨードイソフタル酸二塩酸塩1当量およ
び調製Cにおいて得られたアミンC3 2.4当量と共にトリブチルアミン1当量
を最小量のジメチルアセトアミド中に溶解し、混合物を80℃で10時間維持し
、その後、実施例1と同様に処理した。
所望の生成物を、実施例1と同タイプのカセット(ただし、カットオフ限界値
10キロダルトンの膜を使用)を用い、その水溶液の限外ろ過によって単離した
。
実施例3
式Iの化合物No.3、式中、
(1)テトラヨードテレフタル酸
テレフタル酸10gを60%三酸化イオウ含有発煙硫酸80gに100℃で溶
解する。1時間後、この温度でヨウ素40gを滴下し、温度を次いで180℃に
上げ、この温度で約5時間維持し、この後冷却媒体を、3容量氷−水に注ぐ。形
成した沈澱物をNaOH水溶液に溶解し、本質的にヘキサヨードベンゼンからな
る残渣の固体を単離する。二酸を、ろ液の酸性化によって再沈澱させ、沸騰メタ
ノールの処理によって精製する。
ベージュ色の結晶の収率は30%である。
(2)テトラヨードテレフタル酸二塩酸塩
二酸10g、ジメチルホルムアミド1.3mfおよびSOCl2170mlを還留温
度で15時間維持する。減圧下に濃縮後、石油エーテルを残渣に導入して結晶化
させる。
このようにして、固体10gを単離する。
TLC:Rf=0.88(実施例1−1の条件)
(3)化合物No.3
調製Bで得た化合物C2 16g、テトラヨードテレフタル酸4gおよびトリエ
チルアミン1.5mlをジメチルホルムアミド120mlに導入し、反応媒体を80
℃で12時間維持した。沈澱物を、冷却後にろ去し、溶媒を減圧下に留去する。
水1l中に溶解した残渣を、カットオフ限界値5キロダルトンの膜を有する
Minisette(商標名)カセットによってジア−限外ろ過に付して、所望の生成物
を得る。
SEC:化合物No.3の保持時間:37.3分および出発化合物C2の保持時間
:38.7分(SEC:立体排除クロマトグラフィー)
実施例4
式Iの化合物No.4、式中、
2つのヨウ素原子間のフェニル環上で置換されたカルボン酸の低反応性が得ら
れ、この化合物は、実施例1と同様な方法を適用して製造してもよい。
実施例5
式Iの化合物No.5、式中、
実施例2の方法を適用して、化合物C3から出発する化合物No.5を製造する
。ジメチルアセトアミド中のその前処理溶解は、有利には60℃で行う。
最終生成物を収率50%で単離する。
実施例6
式Iの化合物No.6、式中、
アミンC35.5gを約60℃にてジメチルアセトアミド20ml中に完全に溶解
するまで、かくはんしながら非常にゆっくり導入し、次いで二酸0.03g、1
−ヒドロキシベンゾトリアゾール0.11g、1−(3−ジメチルアミノプロピル
)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.16gおよびトリエチルアミン0.13m
lを導入した。かくはん24時間後、5容量の水を加え、ジア−限外ろ過を、カ
ットオフ限界値3キロダルトンの膜によって行った。保留物質(リテンテート(
retentate))を減圧下に濃縮して白色粉末1gを得る。
SEC:化合物No.6の保持時間:34.4分
実施例7
式Iの化合物No.7、式中、
限外ろ過用のカットオフ限界値3キロダルトンの膜を用い、実施例6記載の方
法の適用によって、化合物を収率55%で製造する。
SEC:34.4分
実施例8
式Iの化合物No.8、式中、
限外ろ過用のカットオフ限界値3キロダルトンの膜を用い、実施例6記載の方
法の適用によって、化合物を収率50%で製造する。
実施例9
式Iの化合物No.9、式中、
実施例6記載の方法の適用によって、約20℃で溶解したアミンC2を用い、
カットオフ限界値1キロダルトンの膜を用いる限外ろ過によって、この化合物を
収率48%で製造する。
SEC:化合物No.9の保持時間:36.3分および
出発化合物C2の保持時間:38.7分
実施例10
式Iの化合物、式中、
実施例9記載の方法の適用によって、限外ろ過用のカットオフ限界値1キロダ
ルトンの膜を用い、化合物を収率52重量%で製造する。
SEC:保持時間:36.2分
実施例11
式Iの化合物No.11、式中、
実施例9記載の方法の適用によって、限外ろ過用のカットオフ限界値1キロダ
ルトンの膜を用い、化合物を収率48%で製造する。
SEC:保持時間:36.3分
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,C
Z,EE,FI,GE,HU,IS,JP,KG,KP
,KR,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,MG,
MK,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,S
G,SI,SK,TJ,TM,TT,UA,US,UZ
,VN
【要約の続き】
ドロキシアルキルであり、合計少なくとも4個のヒドロ
キシル基を有するか、またはR1およびR'i(i=0、3
または4)はCONR'1R'2およびN(R'1)COR'2で
あり、R'1およびR'2は合計少なくとも6個のヒドロキ
シル基を有するか、またはRiおよびR'i(i=3また
は4)はT−Q−V−Arであり、T、QおよびVはT
i、QiおよびViと同意義であり、Arは式IIで示され、
Aは分子量1200未満の生体適合性基であり、Toお
よびT'oとアミドまたはエーテル基を形成するように2
個の結合価を有する。]で示される化合物に関する。