【発明の詳細な説明】
ハロゲンイミダゾピリジン発明の使用分野
本発明は、製薬工業において、医薬品の製造のための作用物質として使用され
るべき新規ハロゲンイミダゾピリジンに関する。公知の背景技術
欧州特許出願(EP−A)第0033094号明細書中には、8−位にアリー
ル置換基、有利にはフェニル−、チエニル−、ピリジル基又は塩素、フッ素、メ
チル、t−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はシアノで置換されたフェ
ニル基を有するイミダゾ[1,2−a]ピリジンが記載されている。特に重要な
アリール基として、この欧州特許第0033094号明細書中には、基フェニル
、o−又はp−フルオロフェニル、p−クロロフェニル及び2,4,6−トリメ
チルフェニルが挙げられており、その内、基フェニル、o−又はp−フルオロフ
ェニル及び2,4,6−トリメチルフェニルが特に有利である。欧州特許出願(
EP−A)第0204285号、同第0228006号、同第0268989号
及び同第0308917号明細書中では、3−位に不飽和の脂肪族基、殊に(置
換された)アルキニル基を有するイミダゾ[1,2−
a]ピリジンが記載されており、欧州特許出願(EP−A)第0266890号
明細書中には、8−位でアルケニル−、アルキニル−又はシクロアルキルアルキ
ル基により置換されたイミダゾ[1,2−a]ピリジンが記載されている。発明の詳細な記載
ところで、技術水準の化合物とは殊に3−又は8−位の置換基により異なって
いる、後に詳述する化合物は、意外にもかつ特に重要な特性を有することが判明
した。
本発明の目的物は、一般式I
[式中、R0は、ハロゲン又はチオシアネートを表し、
R1は、C1〜C4−アルキルを表し、
R2は、水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ハロゲン又はトリ
フルオロメチルを表し
、
R3は、C1〜C4−アルコキシを表し、
R4は、水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ハロゲン又はトリ
フルオロメチルを表し、
R5は、水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ又はハロゲンを表し
、
Aは、O(酸素)又はNHを表す]の化合物及びその塩である。
本発明におけるハロゲンは、臭素、塩素又はフッ素である。
C1〜C4−アルキルは、炭素原子数1〜4を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル
基である。例としては、ブチル−、イソ−ブチル−、s−ブチル−、t−ブチル
−、プロピル−、イソプロピル−、エチル−及び殊にメチル基が挙げられる。
C1〜C4−アルコキシは、酸素原子に前記のC1〜C4−アルキル基が結合して
いるものである。メトキシ基が有利である。
式Iの化合物の塩としては、有利に全ての酸付加塩がこれに該当する。特に、
製剤学的に慣用されている無機酸及び有機酸の生理学酌に認容性の塩が挙げられ
る。例えば工業的規模での本発明の化合物の製造時に反応生成物として最初に生
じうる生理学的に非認容性の塩は、当業者に公知の方法で、生理学的に認容性の
塩に変じることができる。そのものとしては、酸、例えば塩酸、臭化水素酸、燐
酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒド
ロキシベンゾイル)−安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリ
ン酸、リンゴ酸、フマル酸、琥珀酸、蓚酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸
、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
との水溶性及び非水溶性の酸付加塩が好適であり、この際、造塩時の酸は、1塩
基性又は多塩基性の酸であるかに応じ、かつ、如何なる塩を所望とするかに応じ
て、当モル量の又はそれからはずれた量比で使用される。
式Iの有利な化合物は、式中のR0が臭素、塩素又はフッ素を表し、R1がC1
〜C4−アルキルを表し、R2がC1〜C4−アルキル、塩素又はフッ素を表し、
R3がC1〜C4−アルコキシを表し、R4が水素を表し、R5が水素を表し、A
がO(酸素)又はNHを表すもの及びその塩である。
特に有利な式Iの化合物は、式中のR0が臭素又は塩素を表し、R1がC1〜
C4−アルキルを表し、R2がC1〜C4−アルキルを表し、R3がC1〜C4−ア
ルコキシを表し、R4が水素を表し、R5が水素を表し、AがO(酸素)又はN
Hを表すもの及びその塩である。
本発明による化合物の例を、次の第1表に挙げる:
及びこの表中に記載の化合物の塩。
本発明の更なる目的は、式Iの化合物及びその塩の製法である。この方法は、
a)式II:
[式中、R0、R1及びAは前記のものを表す]の化合物と式III:
[式中、R2、R3、R4及びR5は前記のものを表し、Xは好適な離脱可能な
基を表す]の化合物とを反応させるか、又は
b)式中のR0が臭素又はチオシアネートを表す式Iの化合物を製造するために
、式IV:
[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びAは前記のものを表す]の化合物を
臭素と、かつ所望の場合には、引き続きアルカリ−チオシアネートと反応させ、
かつ、所望の場合には、引き続き、a)又はb)で得られた化合物Iをその塩に
変じるか、又は所望の場合には、引き続き得られた化合物Iの塩から化合物Iを
遊離させることを特徴とする。
化合物IIと化合物IIIとの反応は、当業者に信頼されている方法で、例え
ば欧州特許出願(EP−A)第0268989号又は同第0308917号明細
書中に記載されているような方法の同様な使用下に行う。
好適な離脱可能な基は、例えばハロゲン原子(有利に塩素又は臭素)又はメタ
ンスルホニルオキシ基である。この反応は、塩基(例えば無機水酸化物、例えば
水酸化ナトリウム又は無機炭酸塩、例えば炭酸カリウ
ム又は有機窒素塩基、例えばトリエチルアミン、ピリジン、コリジン又は4−ジ
メチルアミノピリジン)の存在下に行うのが有利であり、この際、触媒、例えば
沃化アルカリ又はテトラブチルアンモニウムブロミドの添加により反応実施を好
適化することができる。
化合物IVの臭素化及び所望の場合のそれに引き続くアルカリチオシアネート
(アルカリローダニド)との反応は、同様に、このような化合物の製造のために
慣用であるような当業者に公知の方法で、有利には氷酢酸中での化合物IVの臭
素化、かつ所望の場合には、その場で、同じ溶剤中でチオシアン酸ナトリウム又
は同カリウムとの反応により行う。
この方法の実施のために個々の場合に必要な反応条件は、当業者にはその専門
知識に基づき周知である。
本発明による物質の単離及び精製は、自体公知の方法で、例えば溶剤を真空中
で留去し、得られる残分を適当な溶剤から再結晶させるか又は慣用の精製法で、
例えば適当な担体でのカラムクロマトグラフィにかけることにより行う。
酸付加塩は、遊離の塩基を適当な溶剤中に、例えば、所望の酸を含有するか、
又は引き続きそれに所望の酸が添加される水、塩素化炭化水素、例えば塩化メチ
レン又はクロロホルム、低級脂肪アルコール(エタノール、イソプロパノール)
、ケトン、例えばアセトン又はエーテル、例えばTHF又はジイソプロピルエー
テル中に溶かすことにより得られる。
この塩は、濾過、再沈殿、付加塩に対する非溶剤を用いる沈殿又は溶剤の蒸発
により取得される。得られる塩は、例えばアンモニア水溶液を用いるアルカリ性
化により遊離の塩基に変じられ、これは再び酸付加塩に変じることができる。こ
うして、薬物学的に非認容性の酸付加塩は、薬物学的に認容性の酸付加塩に変じ
ることができる。
出発化合物IIは、後の実施例に記載のように、例えば、式中のROが水素原
子であるような化合物IIのハロゲン化(基−AHの中間的保護下に)により製
造することができる。化合物IIは、適当な出発化合物から、欧州特許(EP−
A)第0268989号又は同第0308917号明細書中に記載のような方法
(方法1又は方法A)の使用下に製造することもできる。出発化合物IIIは、
欧州特許出願(EP−A)第0308917号明細書中に記載と同様な方法で製
造することができる。
出発化合物IVは、公知の出発化合物から、かつ/又は公知の方法(欧州特許
(EP−A)第0033094号、同第0268989号及び同第030891
7号参照)の同様な使用下に公知方法で製造できる。
次の実施例を、本発明の化合物の製造の詳細な説明のために使用する。殊に、
方法a及びbによる反応並びに選択された出発化合物の製造を実施例で記載する
ためにもこれらの実施例を使用する。同様に、式Iの他の化合物並びにその製造
が例示されていない他の出発化合物も、類似の又は当業者に信頼されている方法
で、慣用の方法技術を用いて製造することができる。略字RTは「室温」を、h
は「時間」を、minは「分」を、Schmp.は「融点」を、Zers.は「
分解」を意味する。実施例
最終生成物
1.3−クロロ−8−(2−メトキシカルボニルアミノ−6−メチル−ベンジル アミノ)−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]−ピリジン
無水アセトン(100ml)中の8−アミノ−3−クロロ−2−メチル−イミ
ダゾ[1,2−a]ピリジン(1.0g、5.5ミリモル)、2−メトキシカル
ボニルアミノ−6−メチル−ベンジルクロリド(1.2g、5.5ミリモル)、
沃化ナトリウム(1.0g、6.6ミリモル)及び炭酸ナトリウム(1.45g
、13.75ミリモル)の懸濁液を、室温で16時間撹拌する。その後、溶剤を
回転蒸発器で留去する。残分を水(200ml)中に入れ、酢酸エステル(4×
150ml)で抽出する。有機抽出物を水(200ml)で洗浄し、硫酸マグネ
シウム上で乾燥させ、濃縮させる。残留する褐色油状物をシリカゲルのクロマト
グラフィにかける(溶離剤:トルエン/ジオキサン=
9:1)。Rf=0.3のフラクシヨンを濃縮させ、酢酸エステルから結晶させ
る。表題化合物(1.0g、51%)が無色固体として単離される。融点165
〜166℃。
2.3−ブロム−8−(2−メトキシカルボニルアミノ−6−メチル−ベンジル オキシ)−2−メチル−イミダゾ−[1,2−a]ピリジン
氷酢酸(20ml)中の8−(2−メトキシカルボニルアミノ−6−メチル−
ベンジルオキシ)−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン(0.5g,
1.5ミリモル)の懸濁液に、氷酢酸(5ml)中の臭素(0.1ml、1.7
ミリモル)の溶液を強い撹拌下に滴加する。室温でなお1時間撹拌し、その後溶
剤を留去する。残分を水(100ml)中に入れ、酢酸エステル(4×70ml
)で抽出する。有機抽出物を水(100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で
乾燥させ、濃縮させる。残分をシリカゲルのクロマトグラフィ(溶離剤:トルエ
ン/ジオキサン=20:1)により精製する。Rf=0.3のフラクシヨンを濃
縮させ、メタノールから結晶させる。表題化合物(0.18g、30%)が淡黄
色固体として単離される。融点=205℃(分解)。
3.8−(2−メトキシカルボニルアミノ−6−メチル−ベンジルオキシ)−2 −メチル−3−チオシアナート−イミダゾ[1,2−a]ピリジン
氷酢酸(25ml)中の8−(メトキシカルボニルアミノ−6−メチル−ベン
ジルオキシ)−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン(1.0g、3ミ
リモル)及びカリウムローダニド(1.5g、15ミリモル)の懸濁液に、氷酢
酸(5ml)中の臭素(0.15ml、3ミリモル)の溶液を強い撹拌下に滴加
する。室温でなお2時間撹拌し、その後、溶剤を留去する。残分を重炭酸ナトリ
ウム水溶液(150ml)中に入れ、酢酸エステル(4×100ml)で抽出す
る。有機抽出物を水(200ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、
流縮させる。残分をシリカゲルでのクロマトグラフィ(溶離剤:トルエン/ジオ
キサン=10:1)により精製する。Rf=0.2のフラクシヨンを濃縮させ、
酢酸エステルから結晶させる。表題化合物(0.27g、20%)が淡黄色固体
として単離される。融点171〜173℃。
4.3−クロロ−8−(2−メトキシカルボニルアミノ−6−メチル−ベンジル オキシ)−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン
エタノール(10ml)中の8−(2−メトキシカルボニルアミノ−6−メチ
ル−ベンジルオキシ)−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン(0.6g、
1.8ミリモル)の懸濁液にN−クロロスクシンイミドを添加し、室温で30分
間撹拌する。その後、1%塩化ナトリウム溶液(30ml)を添加し、酢酸エス
テル(3×30ml)で抽出する。有機抽出物を食塩溶液(30ml)で洗浄し
、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮させる。酢酸エステルからの結晶化の後
に表題化合物は無色粉末として単離される。収率85%;融点197〜199℃
。
5.3−ブロモ−8−(2−メトキシカルボニルアミノ−6−メチル−ベンジル アミノ)−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン
例1に記載の操作法により、8−アミノ−3−ブロモ−2−メチル−イミダゾ
[1,2−a]ピリジン及び2−メトキシ−カルボニルアミノ−6−メチル−ベ
ンジルクロリドから出発して、シリカゲルでのクロマトグラフィ(溶離剤:トル
エン/ジオキサン=9:1)による精製及び酢酸エステルからの結晶化の後に、
表題化合物がベージュ色粉末として得られる。収率47%;融点178〜179
℃。
6.3−フルオル−8−(2−メトキシカルボニルアミノ−6−メチル−ベンジ ル)アミノ−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン
8−アミノ−3−フルオロ−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン0
.37g(2.2ミリモル)、2−メトキシ−カルボニルアミノ−6−メチル−
ベンジルクロリド0.51g(2.4ml)及び炭酸ナトリウム0.56g(5
.6ミリモル)をアセトン10ml中に懸濁させ、沃化ナトリウム0.09g(
0.6ミリモル)の添加後に室温で16時間激しく撹拌する。その後、この混合
物に水50mlを加え、塩化メチレンで2回抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上
で乾燥させ、真空中で濃縮乾涸させる。シリカゲルでの精製(塩化メチレン/メ
タノール=100:1)及びジエチルエーテルでの接種の後に、融点84〜88
℃の表題化合物0.27gが得られる。
7.3−フルオロ−8−(2−メトキシカルボニルアミノ−6−メチル−ベンジ ル)オキシ−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン
3−フルオロ−8−ヒドロキシ−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジ
ン0.3g(1.8ミリモル)、2−メトキシカルボニルアミノ−6−メチル−
ベンジルクロリド0.42g(2ミリモル)、炭酸ナトリウム0.48g(4.
5ミリモル)、沃化ナトリウム0.07g(0.5ミリモル)及びアセトン10
mlからの混合物を、室温で16時間激しく撹拌する。その後、反応混合物に水
50mlを加え、塩化メチレンで2回抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥
させ、真空中で濃縮の後にシリカゲル(塩化メチレン/メタノール=100:1
)で精製する。融点169〜172℃の表題化合物0.3gが得られる。出発化合物
A1.3−クロロ−2−メチル−8−ピバロイルアミノ−イミダゾ[1,2−a ]ピリジン
8−アミノ−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン及び塩化ピバロイ
ルから製造された2−メチル−8−ピバロイルアミノ−イミダゾ[1,2−a]
ピリジンヒドロクロリド(融点229〜230℃)5.0g(18.6ミリモル
)を氷酢酸(20ml)中に溶かし、15℃で、DC−コントロールによる反応
の終了までゆっくり塩素ガスを導入する(約20分)。次いで、溶剤を留去し、
残分を酢酸エステル/水(それぞれ30ml)中に入れ、飽和炭酸水素ナトリウ
ム溶液で塩基性に調節し、抽出する。引き続き、再度酢酸エステル(3×30m
l)で抽出する。集めた有機抽出物を水(50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウ
ム上で乾燥させ、濃縮させる。残分をシリカゲルのクロマトグラフィ(溶離剤:
トルエン/ジオキサン=9:1)により精製する。Rf=0.2のフラクシヨン
の濃縮の後に、表題化合物(4.1g、83%)が無色固体として得られる。融
点117〜118℃。
A2.8−アミノ−3−クロロ−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン
60%硫酸(25ml)中の3−クロロ−2−メチル−8−ピバロイルアミノ
−イミダゾ[1,2−a]ピリジン(4.0g、15ミリモル)の懸濁液を10
0℃で1時間撹拌する。室温まで冷却の後に、水(100ml)を添加し、10
N苛性ソーダでpH10に調節する。次いで、酢酸エステル(3×50ml)で
抽出する。集めた有機抽出物を水(50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で
乾燥させ、濃縮させる。残分を沸騰トルエン中に入れ、シリカゲルで清澄化させ
、結晶させる。表題化合物がベージュ色固体として単離される。収量1.9g(
70%)、融点126〜127℃。
A3.8−(2−メトキシカルボニルアミノ−6−メチル−ベンジルオキシ)− 2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン
8−ヒドロキシ−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン(4.8g、
32.4ミリモル)を室温で、強い撹拌下に小量ずつ、テトラヒドロフラン(2
00ml)中の水素化ナトリウム(1.1g、パラフィン中の80%)の懸濁液
に加える。更に30分間撹拌し、引き続き、テトラヒドロフラン(100ml)
中の2−メトキシカルボニルアミノ−6−メチル−ベンジルクロリド(6.9g
、32.4ミリモル)の溶液を滴加し、室温で更に3時間撹拌する。その後溶剤
を回転蒸発器で留去し、残分を水(200ml)中に入れ、酢酸エステル(4×
150ml)で抽出する。有機抽出物を水(200ml)で洗浄し、硫酸マグネ
シウム上で乾燥させ、濃縮させる。残留する褐色油状物をシリカゲルでのクロマ
トグラフィにかける(溶離剤:トルエン/ジオキサン9:1〜4:1)。Rf=
0.4のフラクシヨンの濃縮の後に、表題化合物(3
.0g、28%)がベージュ色固体として単離される。融点170〜172℃。
B1.3−ブロモ−2−メチル−8−ピバロイルアミノ−イミダゾ[1,2−a ]ピリジン
氷酢酸(100ml)中の2−メチル−8−ピバロイルアミノ−イミダゾ[1
,2−a]ピリジンヒドロクロリド(10g、37.3ミリモル)の溶液に、4
℃で、氷酢酸(10ml)中の臭素(1.91ml、37.3ミリモル)の溶液
を強い撹拌下に滴加する。その後、4℃で更に30分撹拌し、引き続き、氷酢酸
を留去する。残留油状物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び酢酸エステル(それ
ぞれ100ml)の混合物中に入れ、酢酸エステル(3×100ml)で抽出す
る。有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮させる。残分をシリカゲ
ルのクロマトグラフィ(溶離剤:トルエン/ジオキサン=20:1)により精製
する。ジイソプロピルエーテルからの結晶化の後に、表題化合物がベージュ色固
体として得られる。収率89%;融点144〜146℃。
B2.8−アミノ−3−ブロム−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン
例A2に記載の操作法に従って、3−ブロム−2−メチル−8−ピバロイルア
ミノ−イミダゾ[1,2−a]ピリジンから出発して、表題化合物が、トルエン
からの結晶化の後にベージュ色固体として得られる。
収率45%;融点156〜157℃。
C1.8−ベンジルオキシ−3−フルオロ−2−メチル−イミダゾ[1,2−a ]ピリジン
2−アミノ−3−ベンジルオキシピリジン9g、1−ブロモ−1−フルオロ−
アセトン9.6g及びエタノール50mlからの混合物を還流下に8時間加熱し
、室温で16時間放置の後に真空中で乾燥濃縮させ、飽和炭酸水素ナトリウム溶
液100mlを注ぎ、塩化メチレンで2回抽出する。有機相を乾燥させ、真空中
で濃縮させ、残分をシリカゲル(塩化メチレン/メタノール=100:3)で精
製する。ジエチルエーテルでの接種の後に融点128〜130℃の表題化合物2
.8gが得られる。
C2.3−フルオロ−8−ヒドロキシ−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピ リジン
テトラヒドロフラン10ml中の8−ベンジルオキシ−3−フルオロ−2−メ
チル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン0.5g(1.95ミリモル)、シクロ
ヘキサジエン−1,4 0.4ml(4ミリモル)及びパラジウム/C−型−9
0−触媒0.08gからの混合物を、還流下に4時間加熱し、触媒を濾去し、濾
液を真空中で濃縮させ、残分をシリカゲル(塩化メチレン/メタノール=13:
1)で精製する。融点168〜171℃の表題化合物0.16gが得られる。
C3.3−フルオロ−2−メチル−8−ピバロイルア ミノ−イミダゾ[1,2−a]ピリジン
テトラヒドロフラン12ml中の2−アミノ−3−ピバロイルアミノ−ピリジ
ン1.5g(7.7ミリモル)及び1−ブロモ−1−フルオロ−アセトン1.3
g(8.4ミリモル)からの混合物を還流下に5時間沸騰させ、引き続き濾過し
、濾液を酢酸エチル50ml中に入れ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液と共に撹拌
する。濾液の濃縮及びシリカゲル(塩化メチレン/メタノール=13:1)での
精製の後に、表題化合物0.8gが赤色粘粘凋性の油状物として得られる。
C4.8−アミノ−3−フルオロ−2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジ ン
3−フルオロ−2−メチル−8−ピバロイルアミノ−イミダゾ[1,2−a]
ピリジン0.7g(2.8ミリモル)を60%硫酸10g中で100℃に45分
間加熱し、反応混合物を冷却後に氷水50ml上に注ぎ、6N苛性ソーダ並びに
飽和炭酸水素ナトリウム溶液で8〜9のpHに調節する。この混合物を塩化メチ
レンで2回抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮させる。
融点65〜68℃の表題化合物0.4gが得られる。産業上の使用性
式Iの化合物及びその塩は、これを産業上使用可能にする重要な薬物学的特性
を有する。これらは、殊に温血動物における優れた胃酸分泌抑制及び優れた胃腸
保護作用を有する。この際、本発明による化合物は、高い作用選択率、比較的長
い作用時間、良好な経腸作用、著しい副作用の欠如及び大きな治療領域で優れて
いる。
この関係で、「胃腸保護」とは、例えば胃腸疾病、殊に、微生物(例えばヘリ
コバクター ピロリ)、細胞毒、医薬品(例えば特定の抗消炎剤及び抗リウマチ
剤)、化学品(例えばエタノール)、胃酸又はストレス状態に基因しうる胃腸の
炎症性疾病及び障害(例えば胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、過酸性又は医薬品制
限された胃の刺激)の予防及び処置を意味する。ここで、本発明の化合物は、菌
ヘリコバクター ピロリに対する特有の作用も有する。
その優れた特性で、本発明の化合物は、抗胃潰瘍及び抗分泌特性が測定される
種々のモデルで、意外に技術水準から公知の化合物よりも明らかに優れているこ
とが立証された。この特性に基づき、式Iの化合物及びその薬物学的に認容性の
塩は、ヒト−及び獣医医療における使用のために極めて好適であり、この際、こ
れは、殊に、胃及び/又は腸の疾病の処置及び/又は予防のために使用される。
従って、本発明のもう一つの目的は、本発明の化合物を前記の疾病の処置及び
/又は予防において使用することである。
同様に、本発明は、本発明の化合物を、前記の疾病
の処置及び/又は予防のために使用される医薬品の製造のために使用することを
包含する。
更に、本発明は、本発明の化合物を前記の疾病の処置及び/又は予防のために
使用することを包含する。
本発明のもう一つの目的は、式Iの化合物及び/又はその生理学的に認容性の
塩1種以上を含有する医薬品である。
この医薬品は、自体公知の当業者に慣用の方法で製造される。医薬品として、
本発明の薬物学的に有効な化合物(=作用物質)は、そのものとして、又は有利
に適当な薬物学的助剤−又は担持剤と組み合わせて、錠剤、糖衣丸、カプセル、
坐剤、擦剤(例えばTTSとして)、乳液、懸濁液又は溶液の形で使用され、こ
の際、作用物質含有率は、有利に0.1〜95%であり、助剤−及び担持物質の
適当な選択により、作用物質及び/又は所望の作用開始に正確に適合された製剤
学的適用形(例えば徐放剤形又は胃液抵抗性形)を得ることができる。
所望の医薬品処方のためにいかなる助剤及び担持剤が好適であるかは、当業者
には、その専門知識に基づき周知である。溶剤、ゲル形成剤、坐剤基剤、錠剤助
剤及び他の作用物質担持剤と並んで、例えば酸化防止剤、分散剤、乳化剤、消泡
剤、矯味剤、保存剤、溶解助剤、色素又は殊に浸透促進剤及び錯形成剤(例えば
シクロデキストリン)を使用することができる。
作用物質は、経口、非経腸又は経皮的に適用することができる。
一般に、ヒト医療においで、作用物質を経口適用で、約0.01〜約20、有
利に0.05〜5、殊に0.1〜1.5mg/体重kgの1日量で、場合によっ
ては、複数の、有利に1〜4投与で、所望の結果を得るために適用することが有
利であると立証されている。非経腸的処置の場合には、類似の、又は(殊に作用
物質の静脈適用の場合には)一般に低い適用量を使用することができる。その都
度に必要な最適適用量及び作用物質の適用方法の決定は、各当業者によりその専
門知識に基づき容易に行うことができる。
本発明の化合物及び/又は塩を前記の疾病の処置のために使用すべき場合には
、薬物学的組成物は、他の医薬品群の1種以上の薬物学的に活性の成分、例えば
制酸剤、例えば水酸化アルミニウム、アルミン酸マグネシウム;トランキライザ
ー、例えばベンゾジアゼピン、例えばジアゼパム;抗痙攣剤、例えばビエタミフ
ェリン(Bietamiverin)、カミロフィン(Camylofin)、抗コリン剤、例えばオ
キシフェンサイクリミン(Oxyphencyclimin)、フェンカルバミド(Phencaibami
d);局所麻酔剤、例えばテトラカイン、プロカイン;場合によっては酵素、ビ
タミン又はアミノ酸を含有していてもよい。
この関連において、殊に本発明の化合物と酸分泌を
抑制する医薬品、例えばH2−遮断剤(例えばシメチジン、ラニチジン)、H+/
K+−ATPアーゼ抑制剤(例えばオメプラゾール、パントプラゾール)との組
合せ物又は更にいわゆる末梢性抗コリン剤(例えばピレンゼピン、テレンゼピン
)との及び主要作用を付加的又は過付加的意味において強化し、かつ/又は副作
用を除去するか又は低減させる目的を有するガストリン拮抗剤との組合せ物、又
は更にヘリコバクター ピロリを駆除するための抗細菌作用を有する物質(例え
ばセファロスポリン、テトラサイクリン、ナリジキシン酸、ペニシリン又はビス
マス塩も)との組み合わせ物も優れている。薬物学
本発明の化合物の優れた胃保護作用及び胃酸分泌抑制作用は、動物実験モデル
での試験で立証できる。次に挙げたモデルで試験した本発明の化合物は、実施例
中の化合物の番号に一致する番号を有する。灌流ラッテ胃における分泌抑制作用の試験
次のA表中に、生体内での本発明による化合物の静脈適用の後の、ペンタガス
トリンにより刺激された灌流ラッテ胃の酸分泌への影響を示す。
方法
麻酔されたラッテ(CD−ラッテ、雌、200〜250g;ウレタン1.5g
/kg i.m.)で、気管切開術の後に腹部を正中上腹部切開により開腹し、
PVC−カテーテルを経口で食道中に、かつ更に幽門を経て、ホース末端がなお
胃腔内に侵入しているように固定する。幽門からカテーテルが右腹壁中の側部開
口部を経て外に通じている。
充分な洗浄(約50〜100ml)の後に、この胃に37℃の温生理NaCl
−溶液を連続的に灌流させた(0.5ml/min.pH6.8〜6.9;Brau
n-Unita I)。いずれの場合にも15分間隔で採取した流出液中で、pH−値
(pH測定器632、ガラス電極EA 147;φ=5mm、Metrohm)並びに
新製0.01NNaOHを用いるpH7(Dosimat 665 Metrohm)までの滴
定により、分泌されたHClを測定した。
胃分泌の刺激は、手術終了後(即ち2前フラクシヨンの測定の後)約30分間
ペンタガストリン(V.fem.sin.)1μg/kg(=1.65ml/h
)(i.v.)の連続注入により行った。ペンタガストリン−連続注入の開始後
60分に、試験すべき物質を液体量1ml/kgで静脈から適用した。
動物の体温を、赤外線及びヒートクッシヨン(直腸温度センサーを介してオー
トマチック、無段階制御)
により一定の37.8〜38℃に保持した。
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