【発明の詳細な説明】
ヘリコバクター細菌類を撲滅するためのピペラジノチオピリジン
発明の使用分野
本発明は、製薬工業において医薬品を製造するための作用物質として使用され
る化合物に関する。
公知技術の背景
欧州特許第150586号明細書には、4位の分子のピリジン部分で特にアル
キルチオーまたはアリールチオ基によって置換されていてもよい2−(ピリジル
メチルチオ−もしくはピリジルメチルスルフィニル−)−ベンズイミダゾールが
開示されている。記載された化合物には、胃酸分泌抑制が長時間持続することが
記載されている。国際特許出願公表第WO89/03830号明細書には、同一
の化合物、ならびに他の構造が類似した化合物は骨多孔症の治療に適当であるこ
とが記載されている。国際特許出願公表第WO92/12976号明細書には、
ヘリコバクター(Helicobacter)細菌類に対して作用を有する一定の方法で置換
された2−(ピリジルメチルチオ−もしくはピリジルメチルスルフィニル)−ベ
ンズイミダゾールが記載されており、この化合物については、さらにこの化合物
が一連の胃の疾患の予防および治療に適当であること
が開示されている。更に、国際特許出願公表第WO93/24480号明細書に
は、ヘリコバクター細菌類に対して作用を有する一定の方法で置換された2−(
ピリジルメチルチオ−もしくはピリジルメチルスルフィニル)−ベンズイミダゾ
ールが記載されている。
発明の記載
本発明の対象は、式I
〔式中、
R1は水素、1〜4C−アルキル、1〜4C−アルコキシまたはハロゲンを表わ
し、
R2は水素、1〜4C−アルキル、1〜4C−アルコキシ、ハロゲンまたはトリ
フルオルメチルを表わし、
R3は水素、1〜4C−アルキル、R4によって置換された1〜4C−アルキル
、1〜4C−アルキルカルボニル、2〜4C−アルケニルカルボニル、ハロゲン
−1〜4C−アルキルカルボニル、N(R14)R15−1〜4C−アルキルカ
ルボニル、ジ−1〜4C−
アルキルカルバモイルまたは1〜4C−アルキルスルホニルを表わし、
R4はヒドロキシ、1〜4C−アルコキシ、カルボキシ、1〜4C−アルコキシ
カルボニルまたは−N(R14)R15を表わし、
R5は水素、1〜4C−アルキルまたは1〜4C−アルコキシを表わし、
R6はR8およびR9によって置換された、ベンゾール、フラン、チオフェン、
ピロール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、チアゾリン、イソチア
ゾール、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾー
ル、チアジアゾール、チアジアゾール−1−オキシド、オキサジアゾール、ピリ
ジン、ピリジン−N−オキシド、ピリミジン、トリアジン、ピリドン、ベンズイ
ミダゾール、イミダゾピリジン、ベンズチアゾールおよびベンズオキサゾールか
らなる群から選択された環式化合物または二環式化合物を表わし、
R7は水素、1〜4C−アルキルまたは1〜4C−アルコキシを表わし、
R8は水素、1〜4C−アルキル、ヒドロキシ、1〜4C−アルコキシ、ハロゲ
ン、ニトロ、グアニジノ、カルボキシ、1〜4C−アルコキシカルボニル、R1
0によって置換された1〜4C−アルキルまたは−N(R11)R12を表わし
、
R9は水素、1〜4C−アルキル、ヒドロキシ、1〜4C−アルコキシ、ハロゲ
ンまたはトリフルオルメチルを表わし、
R10はヒドロキシ、1〜4C−アルコキシ、カルボキシ、1〜4C−アルコキ
シカルボニルまたは−N(R11)R12を表わし、この場合
R11は水素、1〜4C−アルキルまたは−CO−R13を表わしかつ
R12は水素または1〜4C−アルキルを表わすか、またはこの場合
R11とR12は一緒になって、双方が結合している窒素原子を含めてピペリジ
ノ−またはモルホリノ基を表わし、
R13は水素、1〜4C−アルキルまたは1〜4C−アルコキシを表わし、
R14は1〜4C−アルキルを表わし、
R15は1〜4C−アルキルを表わすか、またはこの場合
R14とR15は一緒になって、双方が結合している窒素原子を含めてピペリジ
ノ−またはモルホリノ基を表わし、
WはCHまたはNを表わし、
XはO(酸素)、N−1〜4C−アルキルまたはS(硫黄)を表わし、
YはNまたはCHを表わし、
ZはO(酸素)、CO(カルボニル)、S(硫黄)またはSO2を表わし、
mは2〜5の数を表わし、
nは0、1または2の数を表わし、
rは0〜5の数を表わし、
uは0〜3の数を表わし、かつ
vは0または1の数を表わす〕で示される化合物およびその塩〔この場合、
R6は、R5が水素または1〜4C−アルキルを表わしかつvが0の数を表わす
場合には、ベンゾールを表わさず、
rは、YがNを表わしかつZがO、SまたはSO2を表わす場合には、0の数を
表わさず、
Zは、uが0の数を表わしかつvが1の数を表わす場合には、SO2を表わさず
、かつ
R6は、ZがO、SまたはSO2を表わしかつvが1の数を表わしかつuが0の
数を表わす場合には、N(窒素)を介して結合した環式化合物または二環式化合
物を表わさない〕である。
1〜4C−アルキルは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状ア
ルキル基を表わす。例示的にブチル基、イソブチル基、第二ブチル基、第三ブチ
ル基、プロピル基、イソプロピル基、エチル基およびメチル基が挙げられる。
1〜4C−アルコキシは、酸素原子とともに前記の
1〜4C−アルキル基の中の1個を有する基を表わす。例示的にメトキシ基およ
びエトキシ基が挙げられる。
ハロゲンは、本発明の範囲内で臭素、塩素および殊に弗素である。
1〜4C−アルキルカルボニルは、カルボニル基とともに前記の1〜4C−ア
ルキル基の中の1個を有する基を表わす。例示的にアセチル基が挙げられる。
2〜4C−アルケニルカルボニルは、カルボニル基とともに2〜4C−アルケ
ニル基、例えばプロペニル基またはブテニル基を有する基を表わす。例示的にア
クリロイル基が挙げられる。
ハロゲン−1〜4C−アルキルカルボニルは、カルボニル基とともにハロゲン
置換された1〜4C−アルキル基を有する基を表わす。例示的にγ−クロルブチ
リル基が挙げられる。
N(R14)R15−1〜4C−アルキルカルボニルは、カルボニル基ととも
に−N(R14)R15によって置換された1〜4C−アルキル基を有する基を
表わす。例示的に3−ジメチルアミノ−プロピニル基が挙げられる。
ジ−1〜4C−アルキルカルバモイルは、カルボニル基とともにジ−1〜4C
−アルキルアミノ基を有する基を表わす。ジ−1〜4C−アルキルアミノ基は、
前記の1〜4C−アルキル基の中の2個の同じかまた
は異なる基によって置換されているアミノ基である。例示的にジメチルアミノ基
、ジエチルアミノ基およびジ−イソプロピルアミノ基が挙げられる。ジ−1〜4
C−アルキルカルバモイル基としては、例えばジメチルカルバモイル基およびジ
エチルカルバモイル基が挙げられる。
1〜4C−アルキルスルホニルは、スルホニル基(−SO2−)とともに前記
の1〜4C−アルキル基の中の1個を有する基を表わす。例示的にメチルスルホ
ニル基が挙げられる。
1〜4C−アルコキシカルボニルは、カルボニル基とともに前記の1〜4C−
アルコキシ基の中の1個を有する基を表わす。例示的にメトキシカルボニル基お
よびエトキシカルボニル基が挙げられる。
例示的に、R4によって置換された1〜4C−アルキル基としては、2−メト
キシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニ
ルメチル基、カルボキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基
、2−メトキシエチル基、ジメチルアミノメチル基および2−ジメチルアミノエ
チル基が挙げられる。
R6の環式化合物もしくは二環式化合物としては、例えば次の基が挙げられる
:フェニル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、3−ピロ
リル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、4−イ
ソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、3−イソチアゾリル
、2−イミダゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、1,2,3−トリアゾ
ール−4−イル、1,2,5−チアジアゾール−4−イル、1,2,5−チアジ
アゾール−4−イル−1−オキシド、1,2,4−トリアゾール−3−イル、テ
トラゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、1,2,3−
チアジアゾール−4−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、2−ピ
リジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、1,3,4−トリアジン−2−イル
、2−ベンズイミダゾリル、2−イミダゾピリジル、2−ベンズチアゾリルおよ
び2−ベンズオキサゾリル。
置換基R8およびR9は、環式化合物もしくは二環式化合物において全ての考
えうる位置に結合していてもよい。例示的に、R8およびR9によって置換され
た基R6としては、次のものが挙げられる:4−メチルフェニル、3−ジメチル
アミノメチルフェニル、3−ピペリジノメチルフェニル、3−カルボキシメチル
フェニル、2−ジメチルアミノメチル−5−メチル−3−フリル、1−メチルピ
ロール−3−イル、4,5−ジメチル−オキサゾール−2−イル、3,5−ジメ
チル−イソオキサゾール−4−イル、4,5−ジメチル−チアゾール−2−イル
、4−メチル−5−カルボキシメチル−チアゾール−2−イル、1−メチル−イ
ミダゾール−2−イル、1−メチル−ピラゾール−3−イル、1−(2−ジメチ
ルアミノエチル)−ピラゾール−3−イル、5−メチル−1,3,4−オキサジ
アゾール−2−イル、1−メチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル、1−
メチル−1,2,4−トリアゾール−3−イル、1−(2−ジメチルアミノエチ
ル)−1,2,3−トリアゾール−4−イル、1−メチル−テトラゾール−5−
イル、1−(2−ジメチルアミノエチル)−テトラゾール−5−イル、1−カル
ボキシメチル−テトラゾール−5−イル、5−メチル−1,3,4−チアジアゾ
ール−2−イル、5−トリフルオルメチル−1,3,4−チアジアゾール−2−
イル、1−(2−ヒドロキシエチル)−テトラゾール−5−イル、2−アミノ−
1,3,4−チアジアゾール−2−イル、3−アミノ−1,2,4−トリアゾー
ル−5−イル、4−メチル−5−トリフルオルメチル−1,2,4−トリアゾー
ル−3−イル、4−アミノ−ピリミジン−2−イル、3−メチル−2−フリル、
2−メチル−3−フリル、5−メチル−2−フリル、5−エチル−2−フリル、
3−メトキシ−2−フリル、5−ジメチルアミノメチル−2−フリル、5−N−
モルホリノメチル−2−フリル、5−メトキシメチル−2−フリル、5−ヒドロ
キシメチル−2−フリル、5−N−ピペリジノメチル−2−フリル、5−クロル
−2−フリル、5−フルオル−2−フリル、5−メチ
ル−2−チエニル、5−クロル−2−チエニル、3−メチル−2−チエニル、3
−アミノ−2−チエニル、3−グアニジノ−2−チエニル、3−メトキシ−2−
チエニル、2−メチル−3−チエニル、5−ジメチルアミノメチル−2−チエニ
ル、5−N−モルホリノメチル−2−チエニル、5−メチル−2−ピロリル、2
,5−ジメチル−1−ピロリル、1,5−ジメチル−2−ピロリル、1−メチル
−2−ピロリル、2−アミノ−4−チアゾリル、2−メチル−4−チアゾリル、
2−アミノ−5−メチル−4−チアゾリル、4−メチル−5−チアゾリル、2−
ジメチルアミノメチル−4−チアゾリル、2−グアニジノ−4−チアゾリル、2
−ホルミルアミノ−4−チアゾリル、2−N−モルホリノメチル−4−チアゾリ
ル、4−メチル−5−オキサゾリル、3−グアニジノ−1−ピラゾリル、3−グ
アニジノ−4−ピラゾリル、2−メチル−4−イミダゾリル、5−メチル−4−
イミダゾリル、2−メチル−1−イミダゾリル、2−メチル−5−ニトロ−1−
イミダゾリル、4,5−ジメチル−2−イミダゾリル、4−ヒドロキシメチル−
5−メチル−1−イミダゾリル、3−メチル−1−ピラゾリル、5−アミノ−1
,2,4−チアジアゾール−3−イル、4−メトキシ−2−ピリジニル、4−メ
トキシ−3−メチル−2−ピリジニルおよび3,4−ジメトキシピリジニル。
基−CmH2m−、−CrH2r−および−CuH
2u−としては、直鎖状または分枝鎖状の基がこれに該当する。例示的にペンチ
レン基、イソペンチレン基、(3−メチルブチレン)基、ネオペンチレン基、(
2,2−ジメチルプロピレン)基、ブチレン基、イソブチレン基、第二ブチレン
基、第三ブチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、エチレン基および(−
CuH2u−および−CrH2r−について)メチレン基が挙げられる。
基−CmH2m−としては、有利にエチレン基(−CH2CH2−)、ブチレン基
(−CH2CH2CH2CH2−)および殊にプロピレン基(−CH2CH2CH2−
)を挙げることができる。
基−CrH2r−としては、有利にエチレン基、プロピレン基およびメチレン基
を挙げることができる。もう1つの好ましい実施態様の場合には、rは0の数を
表わし、したがって−CrH2r−の表現は、消滅するかまたは結合線を表わす。
基−CuH2u−としては、有利にメチレン基、エチレン基およびプロピレン基
を挙げることができる。もう1つの好ましい実施態様の場合には、uは0の数を
表わし、したがって−CuH2u−の表現は、消滅するかまたは結合線を表わし、
かつ基R6は、直接に基Zに結合している。
もう1つの好ましい実施態様の場合には、Vは0の数を表わし、したがって−
Z−CuH2u−の表現は
、消滅するかまたは結合線を表わし、かつ基R6は、直接に基CrH2rに結合し
ている。
nが0の数を表わすような式Iの化合物に対する塩としては、全ての酸付加塩
がこれに該当する。特に、製剤学において常用されている無機酸および有機酸の
薬理学的に認容性の塩が挙げられる。例えば、本発明による化合物の製造の際に
工業的規模で目的生成物として最初に生じうる薬理学的に認容性の塩は、当業者
に公知の方法によって薬理学的に認容性の塩に変換される。このようなものとし
ては、例えば塩酸、臭化水素酸、燐酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グル
コン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)−安息香酸、酪酸、スル
ホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、琥珀酸、蓚酸、
酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸ま
たは3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のような酸との水溶性および水不溶性の酸
付加塩が適当であり、この場合これらの酸は、塩の製造の際に一塩基性酸が重要
であるかまたは多塩基性酸が重要であるかに応じて、また、如何なる酸が望まし
いか応じて、等モル量でかまたはそれとは異なる量比で使用される。
また、nが1の数を表わすような式Iの化合物および/またはカルボキシ基を
有する化合物に対して、塩としては、塩基との塩がこれに該当する。塩基性塩に
対する例としては、リチウム−、ナトリウム−、カリウム−、カルシウム−、ア
ルミニウム−、マグネシウム−、チタン−、アンモニウム−、メグルミン−また
はグアニジウム塩が挙げられ、この場合も本明細書中で塩の製造の際に塩基が等
モル量でかまたはそれとは異なる量比で使用される。
強調すべき化合物は、式I
〔式中、R1は水素、1〜4C−アルコキシまたはハロゲンを表わし、
R2は水素またはハロゲンを表わし、
R3は水素、1〜4C−アルキル、R4によって置換された1〜4C−アルキル
、1〜4C−アルキルカルボニル、2〜4C−アルケニルカルボニル、ハロゲン
−1〜4C−アルキルカルボニル、N(R14)R15−1〜4C−アルキルカ
ルボニル、ジ−1〜4C−アルキルカルバモイルまたは1〜4C−アルキルスル
ホニルを表わし、
R4は−N(R14)R15を表わし、
R5は水素、1〜4C−アルキルまたは1〜4C−アルコキシを表わし、
R6はR8およびR9によって置換された、ベンゾール、フラン、チオフェン、
チアゾール、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジンおよびピリド
ンからなる群から選択された環式化合物または二環式化合物を表わし、
R7は水素または1〜4C−アルキルを表わし、
R8は水素、1〜4C−アルキル、ヒドロキシ、1〜4C−アルコキシ、ハロゲ
ン、ニトロ、グアニジノ、カルボキシ、1〜4C−アルコキシカルボニル、R1
0によって置換された1〜4C−アルキルまたは−N(R11)R12を表わし
、
R9は水素、1〜4C−アルキル、ヒドロキシまたは弗素を表わし、
R10はカルボキシ、1〜4C−アルコキシカルボニルまたは−N(R11)R
12を表わし、この場合
R11は1〜4C−アルキルを表わしかつ
R12は水素または1〜4C−アルキルを表わすか、またはこの場合
R11とR12は一緒になって、双方が結合している窒素原子を含めてピペリジ
ノ−またはモルホリノ基を表わし、
R14は1〜4C−アルキルを表わし、
R15は1〜4C−アルキルを表わすか、またはこの場合
R14とR15は一緒になって、双方が結合している窒素原子を含めてピペリジ
ノ−またはモルホリノ基を表わし、
WはCHまたはNを表わし、
XはO(酸素)、N−1〜4C−アルキルまたはS(硫黄)を表わし、
YはNまたはCHを表わし、
ZはO(酸素)、CO(カルボニル)、S(硫黄)またはSO2を表わし、
mは2〜4の数を表わし、
nは0または1の数を表わし、
rは0〜3の数を表わし、
uは0〜2の数を表わし、かつ
vは0または1の数を表わす〕で示されるものおよびその塩〔この場合、
R6は、R5が水素または1〜4C−アルキルを表わしかつvが0の数を表わす
場合には、ベンゾールを表わさず、
rは、YがNを表わしかつZがO、SまたはSO2を表わす場合には、0の数を
表わさず、
Zは、uが0の数を表わしかつvが1の数を表わす場合には、SO2を表わさず
、かつ
R6は、ZがO、SまたはSO2を表わしかつvが1
の数を表わしかつuが0の数を表わす場合には、N(窒素)を介して結合した環
式化合物または二環式化合物を表わさない〕である。
特に強調すべき化合物は、式I
〔式中、R1は水素、1〜4C−アルコキシまたはハロゲンを表わし、
R2は水素またはハロゲンを表わし、
R3は水素、R4によって置換された1〜4C−アルキル、N(R14)R15
−1〜4C−アルキルカルボニルまたは1〜4C−アルキルスルホニルを表わし
、
R4は−N(R14)R15を表わし、
R5は水素、1〜4C−アルキルまたは1〜4C−アルコキシを表わし、
R6はR8およびR9によって置換された、ベンゾール、フラン、チオフェン、
チアゾール、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジンおよびピリド
ンからなる群から選択された環式化合物または二環式化合物を表わし、
R7は水素を表わし、
R8は水素、1〜4C−アルキル、1〜4C−アルコキシ、ハロゲン、ニトロま
たはR10によって置換された1〜4C−アルキルを表わし、
R9は水素、1〜4C−アルキルまたは弗素を表わし、
R10は−N(R11)R12を表わし、この場合
R11は1〜4C−アルキルを表わしかつ
R12は1〜4C−アルキルを表わすか、またはこの場合
R11とR12は一緒になって、双方が結合している窒素原子を含めてピペリジ
ノ−またはモルホリノ基を表わし、
R14は1〜4C−アルキルを表わし、
R15は1〜4C−アルキルを表わすか、またはこの場合
R14とR15は一緒になって、双方が結合している窒素原子を含めてピペリジ
ノ−またはモルホリノ基を表わし、
WはCHまたはNを表わし、
XはO(酸素)またはS(硫黄)を表わし、
YはNまたはCHを表わし、
ZはO(酸素)、CO(カルボニル)、S(硫黄)ま
たはSO2を表わし、
mは2〜4の数を表わし、
nは0または1の数を表わし、
rは0〜3の数を表わし、
uは0〜2の数を表わし、かつ
vは0または1の数を表わす〕で示されるものおよびその塩〔この場合、
R6は、R5が水素または1〜4C−アルキルを表わしかつvが0の数を表わす
場合には、ベンゾールを表わさず、
rは、YがNを表わしかつZがO、SまたはSO2を表わす場合には、0の数を
表わさず、
Zは、uが0の数を表わしかつvが1の数を表わす場合には、SO2を表わさず
、かつ
R6は、ZがO、SまたはSO2を表わしかつvが1の数を表わしかつuが0の
数を表わす場合には、N(窒素)を介して結合した環式化合物または二環式化合
物を表わさない〕である。
例示的な化合物は、式I
〔式中、R1は水素を表わし、
R2は水素を表わし、
R3は水素を表わし、
R5は1〜4C−アルキルまたは1〜4C−アルコキシを表わし、
R6はR8およびR9によって置換された、ベンゾール、フラン、チオフェン、
チアゾール、ピリジンまたはピリミジンからなる群から選択された環式化合物ま
たは二環式化合物を表わし、
R7は水素を表わし、
R8は水素、1〜4C−アルキル、ハロゲンまたはR10によって置換された1
〜4C−アルキルを表わし、
R9は水素を表わし、
R10は−N(R11)R12を表わし、この場合
R11は1〜4C−アルキルを表わしかつ
R12は1〜4C−アルキルを表わし、
WはCHを表わし、
XはS(硫黄)を表わし、
YはNまたはCHを表わし、
ZはCO(カルボニル)またはS(硫黄)を表わし、
mは3の数を表わし、
nは0の数を表わし、
rは0〜3の数を表わし、
uは0の数を表わし、かつ
vは0または1の数を表わす〕で示されるものおよびその塩〔この場合、
R6は、R5が1〜4C−アルキルを表わしかつvが0の数を表わす場合には、
ベンゾールを表わさず、
rは、YがNを表わしかつZがSを表わす場合には、0の数を表わさない〕であ
る。
本発明のもう1つの実施形式(実施形式b)は、vが1の数を表わし、ZがS
(硫黄)を表わし、YがNを表わし、rが2または3の数を表わし、かつuが0
または1の数を表わすような全ての化合物または式Iの全ての強調すべき、特に
強調すべき例示的な化合物である。
本発明のもう1つの実施形式(実施形式c)は、vが0の数を表わしかつrが
0〜3の数を表わすような全ての化合物または式Iの全ての強調すべき、特に強
調すべき例示的な化合物である。
例示的な本発明による化合物は、次表中に記載されている:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は2−フリルを表わし、
かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は4−メチル−5−チア
ゾリルを表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示さ
れる化合物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、Vは0を表わし、R6は1−メチル−5−テト
ラゾリルを表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示
される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は4−ピリジルを表わし
、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は1−イミダゾリルを表
わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示される化合物
:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は5−クロル−2−チエ
ニルを表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示され
る化合物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は2−メチル−5−ニト
ロ−1−イミダゾリルを表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を
有する〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は2−ピリジン−3−カ
ルボン酸を表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示
される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は2−チアゾリルを表わ
し、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は2−イミダゾリルを表
わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示される化合物
:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は5−ニトロ−1−イミ
ダゾリルを表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示
される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は2−ピリジニルを表わ
し、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は2−ピリミジニルを表
わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示される化合物
:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は4−メチル−3−トリ
アゾリルを表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示
される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は2−メチル−5−チア
ジアゾリルを表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で
示される化合物:
〔式中、第1表〜第15表に定義されたものと同じものであるが、しかし、Yが
Nを表わす代わりにYがCHを表わす〕で示される化合物。
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6はフェニルを表わし、か
つ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は4−フルオルフェニル
を表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示される化
合物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は4−メチルフェニルを
表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示される化合
物:
〔式中、WはCHを表わし、置換基R1は5位でベンズイミダゾールに結合し、
R2はHを表わし、R3はHを表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、X
はSを表わし、YはNを表わし、vは0を表わし、R6は4−メトキシフェニル
を表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有する〕で示される化
合物:
〔式中、第31表〜第34表に定義されたものと同じものであるが、しかし、Y
がNを表わす代わりにYがCHを表わす〕で示される化合物。
〔式中、WはCHを表わし、R1はHを表わし、R2はHを表わし、R3はHを
表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、vは1を表わし、XはSを表わし
、R6はフェニルを表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有す
る〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、R1はHを表わし、R2はHを表わし、R3はHを
表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、vは1を表わし、XはSを表わし
、R6は2−フリルを表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号を有
する〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、R1はHを表わし、R2はHを表わし、R3はHを
表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、vは1を表わし、XはSを表わし
、R6は4−フルオルフェニルを表わし、かつ次に示されている他の置換基およ
び符号を有する〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、R1はHを表わし、R2はHを表わし、R3はHを
表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、vは1を表わし、XはSを表わし
、R6は5−クロル−2−チエニルを表わし、かつ次に示されている他の置換基
および符号を有する〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、R1はHを表わし、R2はHを表わし、R3はHを
表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、vは1を表わし、XはSを表わし
、R6は2−メチル−5−ニトロ−1−イミダゾリルを表わし、かつ次に示され
ている他の置換基および符号を有する〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、R1はHを表わし、R2はHを表わし、R3はHを
表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、vは1を表わし、XはSを表わし
、R6は2−ピリジニルを表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号
を有する〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、R1はHを表わし、R2はHを表わし、R3はHを
表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、vは1を表わし、XはSを表わし
、R6は1−メチル−5−テトラゾリルを表わし、かつ次に示されている他の置
換基および符号を有する〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、R1はHを表わし、R2はHを表わし、R3はHを
表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、vは1を表わし、XはSを表わし
、R6は4−ピリジニルを表わし、かつ次に示されている他の置換基および符号
を有する〕で示される化合物:
〔式中、WはCHを表わし、R1はHを表わし、R2はHを表わし、R3はHを
表わし、R7はHを表わし、nは0を表わし、vは1を表わし、XはSを表わし
、R6は5−ニトロ−1−イミダゾリルを表わし、かつ次に示されている他の置
換基および符号を有する〕で示される化合物:
ならびに前記表中に記載された化合物の塩。
本発明のもう1つの対象は、式Iの化合物およびそ
の塩の製造法である。
この方法は、
a)式II
〔式中、W、R1、R2およびR3は上記の意味を有する〕で示されるメルカプ
トベンズイミダゾールを、式III
〔式中、R5、R6、R7、X、Y、Z、m、r、uおよびvは上記の意味を有
しかつAは適当な脱離基である〕で示されるピコリン誘導体IIIと反応させる
かまたは
b)式IV
〔式中、W、R1、R2、R3、R5、R7、Xおよびmは上記の意味を有し、
nは0の数を表わし、かつAは適当な脱離基を表わす〕で示される化合物を、式
V
〔式中、R6、Y、Z、r、uおよびvは上記の意味を有する〕で示される化合
物と反応させるかまたは
c)式VI
〔式中、W、R1、R2、R3、R5、R7およびnは上記の意味を有し、かつ
Halはハロゲン原子である〕で示される化合物を、式VII
〔式中、R6、X、Y、Z、m、r、uおよびvは上記の意味を有する〕で示さ
れる化合物と反応させるかまたは
d)式VIII
〔式中、R1、R2、R3およびWは上記の意味を有し、かつAは適当な脱離基
である〕で示されるベンズイミダゾールを、式IX
〔式中、R5、R6、R7、X、Y、Z、m、r、uおよびvは上記の意味を有
する〕で示されるピリジンと反応させ、
(nが1または2でありおよび/またはZがSO2であるような式Iの化合物が
望ましい最終生成物である場合には)引続きnが0でありおよび/またはZがS
であるような得られた化合物を酸化し、および/または得られた化合物を所望の
場合には、引続き塩に変換しおよび/または得られた塩を所望の場合には、引続
き遊離化合物に変換することによって特徴付けられる。
前記反応の場合には、出発化合物は、それ自体使用することができるかまたは
場合によっては塩の形で使用することができる。
適当な脱離基Aとしては、例えばハロゲン原子、殊に塩素を挙げることができ
るかまたはエステル化(例えば、p−トルエンスルホン酸を用いて)によって活
性化されたヒドロキシル基が挙げられる。
IIとIIIとの反応は、適当な、有利に極性のプ
ロトン性または非プロトン性溶剤(例えば、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、ジメチルスルホキシド、アセトン、ジメチルホルムアミドまたはアセ
トニトリル)中で水の添加下または水の遮断下に行なわれる。この反応は、例え
ばプロトン受容体の存在下に実施される。このようなものとしては、アルカリ金
属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸カリウ
ム、または第三アミン、例えばピリジン、トリエチルアミンもしくはエチルジイ
ソプロピルアミンが適当である。また、この反応は、プロトン受容体なしに実施
することもでき、この場合には、出発化合物の種類に応じて場合によっては最初
に酸付加塩は、特に純粋な形で分離されることができる。反応温度は、0℃〜1
50℃の間にあることができ、この場合プロトン受容体の存在下では20℃〜8
0℃の温度が有利であり、プロトン受容体なしの場合には、60℃〜120℃、
殊に使用される溶剤の沸騰温度が有利である。反応時間は、0.5〜30時間の
間にある。
化合物IVと化合物Vとの反応は、化合物IIと化合物IIIとの反応の場合
と同様の方法で、所望の場合には、触媒量のアルカリ金属沃化物、例えば沃化ナ
トリウムの添加下に行なわれる。
化合物VIと化合物VIIとの反応は、チオールおよびハロゲン化芳香族化合
物からの硫化物の製造の関
して当業者に公知であるような自体公知の方法で行なわれる。ハロゲン原子Ha
lは、有利に塩素原子である。
化合物VIIIと化合物IXとの反応は、原理的に化合物IIと化合物III
との反応と同様の方法で行なわれる。
スルホキシドもしくはスルホンへの硫化物の酸化は、スルホキシドもしくはス
ルホンへの硫化物の酸化に対して当業者に常用されているような条件下で行なわ
れる[これに関しては、例えばJ.Drabowicz und M.Mikolajczyk,Organic pre
paration and proceduresint.14(1 - 2),45 - 89(1982)またはE.Block in
S.Patai,The Chemistry of Function Groups,Supplement E.Part 1,第53
9〜608頁,John Wiley and Sons(Interscience Publication),1980参照]
。酸化剤としては、スルホキシドもしくはスルホンへの硫化物の酸化に常用され
ている全ての試薬、殊にペルオキシ酸、例えばペルオキシ酢酸、トリフルオルペ
ルオキシ酢酸、3,5−ジニトロペルオキシ安息香酸、ペルオキシマレイン酸、
マグネシウムモノペルオキシフタレートまたは有利にm−クロルペルオキシ安息
香酸がこれに該当する。
反応温度は、(酸化剤の反応度に応じておよび希釈度に応じて)−70℃ない
し使用される溶剤の沸騰温度の間にあるが、しかし、有利には、−30℃〜+2
0℃の間にある。また、ハロゲンもしくは次亜ハロゲン酸塩(次亜塩素酸ナトリ
ウム水溶液)を用いての酸化は、好ましいことが判明し、この場合この酸化は、
有利に0℃〜50℃の間で実施される。この反応は、有利に不活性溶剤中、例え
ば芳香族または塩素化炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、ジクロルメタンも
しくはクロロホルム中、特にエステルまたはエーテル中、例えば酢酸エチルエス
テル、酢酸イソプロピルエステルまたはジオキサン中、またはアルコール中、特
にイソプロパノール中で実施される。
本発明によるスルホキシドは、光学活性化合物である。置換基の種類に応じて
、他のキラリティー中心が分子中に存在していてもよい。従って、本発明は、エ
ナンチオマーおよびジアステレオマーならびにその混合物およびラセミ体を包含
する。エナンチオマーは、自体公知の方法で(例えば、相応するジアステレオア
イソマー化合物の製造および分離によって)分離されることができる(例えば、
WO92/08716参照)。
置換基R6の種類に応じて、スルホン(この場合、ZはSO2である)は、ス
ルホキシドn=1もしくはスルホンn=2への酸化の際にも得られる。更に、そ
れぞれの硫化物もしくはスルホキシドまたはスルホンは、適当な出発化合物を選
択することによって得ることができるかまたは選択された酸化剤を使用すること
によって得ることができる。
化合物IIは、例えばWO86/02646、欧州特許第134400号明細
書、欧州特許第127763号明細書またはWO93/24480の記載から公
知である。化合物IIIは、例えば次の実施例中の記載と同様にして得ることが
できる。
IIIの製造に必要とされる出発化合物は、例えば相応するハロゲン化合物か
らJ.Med.Chem.14(1971)349 の記載と同様にして得ることができる。
化合物IV、V、VI、VII、VIIIおよびIXは、同様に公知であるか
、または自体公知の方法により公知の出発化合物から同様に得ることができる。
即ち、例えば式VIの化合物は、式IIの化合物と式IIIの化合物に相応する
4−ハロゲンピリジンとの反応によって得られる。化合物IVは、例えば(以下
の実施例中に詳細に記載されているように)式IIの化合物と式IIIの化合物
に相応する4−(ω−ハロゲンアルキルチオ)−ピリジンとの反応によって得ら
れる。
次の実施例は、本発明を詳説するものであるが、本発明を限定するものではな
い。本発明による化合物および出発化合物は、実施例の記載と同様に得ることが
できる。略符号RTは室温を表わし、hは時間を表わし、Schmp.は融点を表わ
し、かつZers.は分解を表わす。
実施例
1.2−{[3−メチル−4−[3−[4−(2−ピリミジニル)−ピペラジン
−1−イル]−プロピルチオ−2−ピリジニル]メチル]チオ}−1H−ベンズ
イミダゾール
2−{[[4−(3−クロルプロピルチオ)−3−メチル−2−ピリジニル]
メチル]チオ}−1H−ベンズイミダゾール(3ミリモル)をN−(2−ピリミ
ジニル)−ピペラジン(3.1ミリモル)、炭酸カリウム(15ミリモル)およ
び沃化ナトリウム(0.3ミリモル)と一緒にアセトニトリル(20ミリモル)
中で100℃で36時間撹拌する。無機塩を濾過し、蒸発濃縮し、かつ水の添加
によって結晶化させる。目的化合物が得られる;黄灰色の粉末;融点100〜1
03℃;収率理論値の81%。
2.2−{[3−メチル−4−[3−[4−(2−ピリジニル)−ピペラジン−
1−イル]−プロピルチオ−2−ピリジニル]メチル]チオ}−1H−ベンズイ
ミダゾール
例1)に記載された作業法により、N−(2−ピリジニル)−ピペラジンとの
反応によって目的化合物が得られる;融点79〜82℃;収率理論値の75%。
3.2−1{[[−[3−[4−(5−クロルチオフェン−2−イル−メチル)
−ピペラジン−1−イル]−プロピルチオ]−3−メチル−2−ピリジニル]メ
チル]−チオ}−1H−ベンズイミダゾール
例1)に記載された作業法により、N−(5−クロルチオフェン−1−イル−
メチル)−ピペラジンを用いてシリカゲルでのクロマトグラフィー処理(酢酸エ
チル/メタノール/アンモニア)後および次のジクロルメタン//ジイソプロピ
ルエーテルからの結晶化後に目的化合物が得られる;融点125℃(分解);収
率84%。
4.2−{[3−メチル−4−[3−[4−(2−ピリジニルチオプロピル)−
ピペラジン−1−イル]−プロピルチオ−2−ピリジニル]メチル]チオ}−1
H−ベンズイミダゾール
例1)および例3)に記載された作業法により、N−(2−ピリジニルチオプ
ロピル)−ピペラジンを用いて目的化合物が得られる;融点116〜118℃;
収率29%。
5.2−{[[4−[3−[4−(4−フルオルベンゾイル)−ピペリジン−1
−イル]−プロピルチオ−3−メチル−2−ピリジニル]メチル]チオ}−1H
−ベンズイミダゾール
例1)および例3)に記載された作業法により、4−(4−フルオルベンゾイ
ル)−ピペリジンを用いて目的化合物が得られる;融点126〜129℃;収率
44%。
6.2−{[[4−[3−(4−ベンゾイル−ピペリ
ジン−1−イル)−プロピルチオ]−3−メチル−2−ピリジニル]メチル]チ
オ}−1H−ベンズイミダゾール三塩酸塩
例1)および例3)に記載された作業法により、4−ベンゾイルピペリジンを
用いてイソプロパノール中の濃塩酸での塩酸塩への変換後に目的化合物が得られ
る;融点180〜182℃;収率63%。
7.2−{[[4−[3−[4−(5−ジメチルアミノメチル−フラン−2−イ
ル−メチル)−ピペラジン−1−イル]プロピルチオ]−3−メチル−2−ピリ
ジニル]メチル]チオ}−1H−ベンズイミダゾール五塩酸塩
例1)、例3)および例6)に記載された作業法により、N−(5−ジメチル
アミノメチル−フラン−2−イル−メチル)−ピペラジンを用いて目的化合物が
得られる;融点150℃分解;収率63%;無色の結晶。
8.2−{[[3−メチル−4−[3−[4−[(4−メチル−チアゾール−5
−イル)−2−エチル]−ピペラジン−1−イル]−プロピルチオ]−2−ピリ
ジニル]メチル]チオ}−1H−ベンズイミダゾール三塩酸塩
例1)、例3)および例6)に記載された作業法により、N−[(4−メチル
−チアゾール−5−イル)−2−エチル]−ピペラジンを用いて目的化合物が得
られる;融点120℃分解;収率57%。
9.2−{[[4−[3−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−プロピルチ
オ]−3−メトキシ−2−ピリジニル]メチル]チオ}−1H−ベンズイミダゾ
ール三塩酸塩
例1)、例3)および例6)に記載された作業法により、2−{[[4−(3
−クロルプロピルチオ)−3−メトキシ−2−ピリジニル]メチル]チオ}−1
H−ベンズイミダゾールをN−ベンジルピペラジンと反応させ、かつ引続き塩酸
塩に変換することによって目的化合物が得られる;融点180℃分解;無色の結
晶;収率理論値の59%。
10.2−{[[4−[3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)−プロピル
チオ]−3−メトキシ−2−ピリジニル]メチル]チオ}−1H−ベンズイミダ
ゾール
例1)に記載された作業法により、2−{[[4−(3−クロルプロピルチオ
)−3−メトキシ−2−ピリジニル]メチル]チオ}−1H−ベンズイミダゾー
ルをN−ベンジルピペリジンと反応させることによって目的化合物が得られる;
黄灰色の結晶;融点73〜75℃(含水)。
11.2−{[[4−[3−(4−フェニルピペラジン−1−イル)−プロピル
チオ]−3−メトキシ−2−ピリジニル]メチル]チオ}−1H−ベンズイミダ
ゾール三塩酸塩
例1)、例3)および例6)に記載された作業法により、2−{[[4−(3
−クロルプロピルチオ)−3−メトキシ−2−ピリジニル]メチル]チオ}−1
H−ベンズイミダゾールをN−フェニルピペラジンと反応させ、かつ引続きアセ
トン中で塩酸塩に変換することによって目的化合物が得られる;無色の結晶;融
点105℃分解;収率73%。
12.2−{[[4−[3−[4−(5−クロルチオフェン−2−イル−メチル
)−ピペラジン−1−イル]−プロピルチオ]−3−メチル−2−ピリジニル]
メチル]−スルフィニル}−1H−ベンズイミダゾール
2−{[[4−[3−[4−(5−クロルチオフェン−2−イル−メチル)−
ピペラジン−1−イル]−プロピルチオ]−3−メチル−2−ピリジニル]メチ
ル]−チオ}−1H−ベンズイミダゾール0.7g(1.28ミリモル)をジオ
キサン15mlと2モルのNaOH 2.57ml(5.14ミリモル)との混
合物中に溶解する。12%の次亜塩素酸ナトリウム溶液1.63ml(3.2ミ
リモル)を30分間徐々に滴加する。引続き、1モルのチオ硫酸ナトリウム2m
lを添加する。室温で10分間撹拌させる。ジオキサンを取り除く。残留物を燐
酸水素ナトリウム溶液で中和し、かつ3回ジクロルメタンで抽出する。合わせた
有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、かつ蒸発濃縮する。残留物を
酢酸エステル/メタノール/濃アンモニア=8.5/1/0.5を用いてシリカ
ゲルでクロマトグラフィー処理する。目的化合物は、蒸発濃縮の際に結晶化する
。収量0.3g(理論値の42%)融点54〜58℃。
13.2−{[[4−[3−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−プロピル
チオ]−3−メチル−2−ピリジニル]メチル]チオ}−5−フルオル−IH−
ベンズイミダゾール二塩酸塩
例1)に記載された作業法により、2−{[[4−(3−クロルプロピルチオ
)−3−メチル−2−ピリジニル]メチル]チオ}−5−フルオル−1H−ベン
ズイミダゾールをN−ベンジルピペラジンと反応させることによって目的化合物
が黄灰色の粉末として得られる。収率80%、融点130〜133℃。
14.2−{[[4−[3−[4−(5−クロルチオフェン−2−イル−メチル
)−ピペラジン−1−イル]−プロピルチオ]−3−メチル−2−ピリジニル]
メチル]チオ}−5−フルオル−IH−ベンズイミダゾール
例1)に記載された作業法により、2−{[[4−(3−クロルプロピルチオ
)−3−メチル−2−ピリジニル]メチル]チオ}−5−フルオル−1H−ベン
ズイミダゾールをN−(5−クロルチオフェン−1−
イル−メチル)−ピペラジンと反応させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー処
理(酢酸エチル/メタノール/アンモニア=19:1:0.1)後および次のジ
イソプロピルエーテルからの結晶化後に目的化合物が黄灰色の粉末として得られ
る;収率20%、融点116〜119℃。
15.2−{[[4−[3−[4−(5−クロルチオフェン−2−イル−メチル
)−ピペラジン−1−イル]−プロピルチオ]−3−メチル−2−ピリジニル]
−メチル]チオ}−5,6−ジフルオル−IH−ベンズイミダゾール
例1)に記載された作業法により、2−{[[4−(3−クロルプロピルチオ
)−3−メチル−2−ピリジニル]メチル]チオ}−5,6−ジフルオル−1H
−ベンズイミダゾールをN−(5−クロルチオフェン−1−イル−メチル)−ピ
ペラジンと反応させ、かつ次に酢酸エステルからの結晶化によって目的化合物が
黄灰色の粉末として得られる;収率50%、融点79〜82℃。
16.2−{[[4−[3−[4−(5−クロルチオフェン−2−イル−メチル
)−ピペラジン−1−イル]−プロピルチオ]−3−メチル−2−ピリジニル]
メチル]チオ}−5−フルオル−6−メトキシ−IH−ベンズイミダゾール二フ
マル酸塩
例1)に記載された作業法により、2−{[[4−
(3−クロルプロピルチオ)−3−メチル−2−ピリジニル]メチル]チオ}−
5−フルオル−6−メトキシ−1H−ベンズイミダゾールをN−(5−クロルチ
オフェン−1−イル−メチル)−ピペラジンと反応させ、酢酸エステルでの抽出
、有機抽出液の蒸発濃縮および次の熱いアセトンからの2当量のフマル酸を用い
ての結晶化後に目的化合物が黄灰色の粉末として得られる;収率45%、融点1
41〜146℃。
出発化合物
A1.2−{[[4−(3−クロルプロピルチオ)−3−メチル−2−ピリジニ
ル]メチル]チオ}−IH−ベンズイミダゾール
エタノール40mlおよび1Nの苛性ソーダ液21ml中の2−メルカプト−
1H−ベンズイミダゾール(1.5g/10ミリモル)の溶液に1当量の2−ク
ロルメチル−4−(3−クロルプロピルチオ)−3−メチルピリジン塩酸塩(水
10mlに溶解した)を40℃で20分間で滴加する。引続き、50〜60℃で
2〜3時間撹拌し、かつさらに室温で3〜4時間撹拌し、エタノールを回転蒸発
器(1kPA/40℃)で留去し、3回ジクロルメタン20ml宛で抽出し、0
.1Nの苛性ソーダ液で洗浄し、炭酸カリウム上で乾燥し、かつ真空中で完全に
蒸発濃縮する。精製のために粗製生成物をシリカゲルでクロマトグラフィー処理
し(ジクロルメタン/メタノール20:1);捕集し
た純粋な画分を一緒に真空中で蒸発濃縮し、かつジクロルメタン/ジイソプロピ
ルエーテルから結晶させる。引続き、メタノール/トルオールから再結晶させる
。融点112〜114℃の無色の固体としての目的化合物の収量2.67g(7
4%)。
A2.2−クロルメチル−4−(3−クロルプロピルチオ)−3−メチルピリジ
ン塩酸塩
a)2,3−ジメチル−4−(3−ヒドロキシプロピルチオ)ピリジン−N−オ
キシド
無水N−メチルピロリドン(NMP)50mlに(60%の)NaH6gを少
量ずつ添加し、この混合物を15分間撹拌し、3−ヒドロキシ−プロピルメルカ
プタン9.5g(0.11モル)を20分間で供給し、かつガスの発生が終結す
るまで再び30分間撹拌する。引続き、NMP100ml中の4−クロル−2,
3−ジメチルピリジン−N−オキシド14.4g(0.1モル)の溶液を20分
間で滴加し、この反応混合物を室温で1時間撹拌し、引続き70℃で1時間撹拌
し、かつその後に100℃でなお1時間撹拌する。
反応の終結後、冷却させ、水で稀釈し、かつ4回ジクロルメタン300ml宛
で抽出する。合わせた有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、蒸発
濃縮し、かつトルオールから結晶化する。メタノール/トルオールからの再結晶
化後、目的化合物が融点106〜107℃(昇華)の黄灰色の固体として得られ
る:収率:理論値の68%。
b)2−ヒドロキシメチル−4−(3−ヒドロキシプロピルチオ)−3−メチル
ピリジン
a)で得られた黄色の油状物を無水酢酸100ml中に溶解し、かつ100℃
で2時間撹拌する。真空中での蒸発濃縮後、褐色の油状残留物を球管状蒸留装置
中で蒸留し、かつ精製なしにさらに反応させる。
油状の留出物を2Nの苛性ソーダ液100mlおよびイソプロパノール100
ml中で撹拌しながら2時間還流温度に加熱し、イソプロパノールを留去し、残
留物を3回ジクロルメタン100ml宛で抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し
、炭酸カリウム上で乾燥し、かつ真空中で蒸発濃縮した。2−ヒドロキシメチル
−4−(3−ヒドロキシプロピルチオ)−3−メチルピリジン5.0gが得られ
、これを精製なしにさらに反応させる。イソプロパノールから濃塩酸を用いて目
的化合物の一塩酸塩を得ることができる;融点188〜190℃(分解)。
c)2−クロルメチル−4−(3−クロルプロピルチオ)−3−メチルピリジン
塩酸塩
b)からの油状物5.0gをジクロルメタン(100ml)中に溶解し、4当
量の塩化チオニルを滴加し、かつ室温で20時間撹拌する。完全に蒸発濃縮し、
目的化合物4.5gを油状の徐々に結晶化する残留物として得る、イソプロパノ
ール/ジイソプロピルエー
テルからの結晶化により、目的化合物が無色の固体として生じる;融点142〜
144℃(分解)。
B1.2−{[[4−(2−クロルエチルチオ)−3−メチル−2−ピリジニル
]メチル]チオ}−IH−ベンズイミダゾール
例A1.に記載の作業法により、2−メルカプト−1H−ベンズイミダゾール
を4−(2−クロルエチルチオ)−2−クロルメチル−3−メチルピリジン塩酸
塩およびNaOHと反応させることによって酢酸エステルからの結晶化後に目的
化合物(理論値の62%)が融点178〜180℃の無色の固体として得られる
。
B2.4−(2−クロルエチルチオ)−2−クロルメチル−3−メチルピリジン
塩酸塩
a)2,3−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエチルチオ)ピリジン−N−オキ
シド
例A2.a)に記載の作業法により、4−クロル−2,3−ジメチルピリジン
−N−オキシドを2−メルカプトエタノールおよび水素化ナトリウムと反応させ
ることによって目的化合物が油状の残留物として得られ、これは後精製なしに次
の工程に使用される。
b)4−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−ヒドロキシメチル−3−メチルピ
リジン
例A2.b)に記載の作業法により、a)で得られた油状物を無水酢酸と反応
させ、かつ引続きNaOH
で鹸化することによって目的化合物が油状の残留物として得られ、これは後精製
なしに次の工程に使用される。
c)4−(2−クロルエチルチオ)−2−クロルメチル−3−メチルピリジン塩
酸塩
例A2.c)に記載の作業法により、b)で得られた油状物を塩化チオニルと
反応させることによって目的化合物が油状の残留物として得られ、これはエタノ
ール中の溶液として2−メルカプトベンズイミダゾールとの反応のために使用さ
れる。
C1.2−{[[4−(3−クロルプロピルチオ)−3−メトキシ−2−ピリジ
ニル]メチル]チオ}−IH−ベンズイミダゾール二塩酸塩
2−メルカプト−1H−ベンズイミダゾール(1g)および2−クロルメチル
−4−(3−クロルプロピルチオ)−3−メトキシピリジン塩酸塩(1当量)を
イソプロパノール150mlおよび水15ml中で80℃で5時間撹拌し、冷却
し、沈殿した固体から濾過し、かつイソプロパノール/水から再結晶させる。目
的化合物が明褐色の粉末として得られる;融点117〜119℃(分解);収率
理論値の67%。
C2.2−クロルメチル−4−(3−クロルプロピルチオ)−3−メトキシ−ピ
リジン塩酸塩
例A2.a)、b)およびc)に記載の作業法により、4−クロル−3−メト
キシ−2−メチルピリジン
−N−オキシドから出発して目的化合物が徐々に結晶化する油状物として得られ
、これを直接に後反応させる。
D1.2−{[[4−(3−クロルプロピルチオ)−3−メチル−2−ピリジニ
ル]メチル]チオ}−IH−イミダゾ−[4,5−b]−ピリジン二塩酸塩
例C1.に記載の作業法により、2−メルカプト−1H−ベンズイミダゾ−[
4,5−b]−ピリジンを2−クロルメチル−4−(3−クロルプロピルチオ)
−3−メチル−ピリジン塩酸塩と反応させた際に目的化合物が無色の粉末として
得られる;融点186〜188℃;収率理論値の88%。
E1.2−{[[4−(3−クロルプロピルチオ)−3−メチル−2−ピリジニ
ル]メチル]チオ}−5−フルオル−IH−ベンズイミダゾール
例A1.に記載の作業法により、5−フルオル−2−メルカプト−1H−ベン
ズイミダゾールを4−(2−クロルエチルチオ)−2−クロルメチル−3−メチ
ルピリジン塩酸塩およびNaOHと反応させることによってイソプロパノールか
らの結晶化後に目的化合物(理論値の94%)が融点188〜191℃の無色の
固体として得られる。
F1.2−{[[4−(3−クロルプロピルチオ)−3−メチル−2−ピリジニ
ル]メチル]チオ}−5,6−ジフルオル−IH−ベンズイミダゾール二塩酸塩
例A1.に記載の作業法により、5,6−ジフルオル−2−メルカプト−1H
−ベンズイミダゾールを4−(2−クロルエチルチオ)−2−クロルメチル−3
−メチルピリジン塩酸塩およびNaOHと反応させることによって酢酸エステル
からの結晶化後に目的化合物(理論値の90%)が融点205℃の無色の固体と
して得られる。
G1.2−{[[4−(3−クロルプロピルチオ)−3−メチル−2−ピリジニ
ル]メチル]チオ}−5−フルオル−6−メトキシ−IH−ベンズイミダゾール
二塩酸塩
例A1.に記載の作業法により、5−フルオル−6−メトキシ−2−メルカプ
ト−1H−ベンズイミダゾールを4−(2−クロルエチルチオ)−2−クロルメ
チル−3−メチルピリジン塩酸塩およびNaOHと反応させることによって酢酸
エステルからの結晶化後に目的化合物(理論値の96%)が融点203〜205
℃の無色の固体として得られる。
工業的使用可能性
ヘリコバクター細菌類に抗する式Iの化合物およびその塩の顕著な作用は、ヘ
リコバクター細菌類に基づく疾病の治療のための作用物質としての人体医学にお
ける使用を可能にする。
従って、本発明のもう1つの対象は、ヘリコバクター細菌類に基づく疾病に罹
っている哺乳動物、殊にヒ
トを治療するための方法である。この方法は、疾病に罹っている個体に治療に有
効で薬理学的に認容性の量の式Iの1つまたはそれ以上の化合物および/または
その薬理学的に認容性の塩を投与することによって特徴付けられる。
更に、本発明の対象は、ヘリコバクター細菌類に基づく疾病を治療する際に使
用するための式Iの化合物および薬理学的に認容性の塩である。
同様に、本発明は、ヘリコバクター細菌類に基づく疾病を撲滅するために使用
される医薬品の製造の際の式Iの化合物およびその薬理学的に認容性の塩の使用
を包含する。
本発明のもう1つの対象は、一般式Iの1つまたはそれ以上の化合物および/
またはその薬理学的に認容性の塩を含有するヘリコバクター細菌類を撲滅するた
めの医薬品である。
式Iの化合物が抗菌作用の点で有効であることが判明したヘリコバクター細菌
類の菌株の中、殊にヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)菌株が挙
げられる。
医薬品は、自体公知で当業者に常用の方法により得られる。式Iの薬理学的に
有効な化合物およびその塩(=作用物質)は、医薬品としてそれ自体で使用され
るかまたは特に適当な製薬学的助剤との組合せ物で、例えば錠剤、施糖衣剤、カ
プセル剤、乳濁液、懸濁液
、ゲル剤または溶液の形で使用され、この場合作用物質含量は、有利に0.1〜
95%の間にある。
望ましい医薬品調剤に対して如何なる助剤が適当であるのかは、当業者にとっ
てその専門的知識から周知のことである。溶剤、ゲル形成剤、錠剤助剤および別
の作用物質担持剤とともに、例えば酸化防止剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、矯味
剤、保存剤、溶解助剤、染料または浸透促進剤および複合体形成剤(例えば、シ
クロデキストリン)を使用することができる。
作用物質は、例えば腸管外(例えば、静脈内)登用することができるかまたは
殊に経口投与することができる。
一般に、人体医学において作用物質は、体重1kg当たり約0.2〜50mg
、特に1〜30mgの日用量で、場合によっては望ましい結果を達成させるため
によりいっそう多くの、特に2〜6個の個別投与量の形で投与される。
これに関連して、本発明における本質的な視点として、特にnが0を表わすよ
うな式Iの化合物は、ヘリコバクター細菌類に抗して既に、治療の目的に十分な
胃酸分泌の抑制を達成するために使用される用量よりも低い用量を投与する際に
有効であることが判明することを述べることができる。
nが1の数を表わすような式Iの化合物は、ヘリコバクター細菌類に抗する作
用とともに顕著な胃酸分泌
抑制作用を有する。相応して、この化合物は、高められた胃酸分泌に基づく疾病
の治療のために使用することもできる。
また、本発明による化合物は、胃酸を中和する物質および/または胃酸分泌を
抑制する物質および/またはヘリコバクター・ピロリを古典的に撲滅するのに適
した物質と一緒の定められたかまたは自由の組合せ物で投与することができる。
胃酸を中和する物質としては、例えば炭酸水素ナトリウムまたは別の制酸剤(
例えば、水酸化アルミニウム、アルミン酸マグネシウムまたはマガルドラート(
Magaldrat))が挙げられる。胃酸分泌を抑制する物質としては、例えばH2遮
断薬(例えば、シメチジン、ラニチジン)、H+/K+−ATPアーゼ抑制剤(例
えば、ランソプラゾール(Lansoprazol)、オメプラゾール(Omeprazol)または
殊にパントプラゾール(Pantoprazol))ならびに所謂末梢抗コリン作用薬(例
えば、ピレンゼピン(Pirenzepin)、テレンゼピン(Telenepin))が挙げられ
る。
ヘリコバクター・ピロリを古典的に撲滅するのに適した物質としては、殊に抗
菌作用を有する物質、例えばペニシリンG、ゲンタマイシン、エリトロマイシン
、ニトロフラゾン、チニダゾール、ニトロフラントイン、フラゾリドン、メトロ
ニダゾールおよび殊にアモキシシリンが挙げられるか、またはビスマス酸塩、例
えばクエン酸ビスマスが挙げられる。
生物学的試験
式Iの化合物をヘリコバクター・ピロリに抗する作用に関連してトモユキ イ
ワヒ(Tomoyuki Iwahi)他(Antimicrobial Agents and Chemotherapy,1991,4
90 - 496)によって記載された方法によりコランビア寒天(Columbia-agar)(
オキソイド(Oxoid))を使用しながら4日間の成長期間で試験した。この場合
、試験された化合物については、次表A中に記載された凡そのMIC50値が判
明した(化合物の記載された番号は、明細書中の例の番号と一致している)。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C07D 401/14 233 C07D 401/14 233
405/14 213 405/14 213
409/14 213 409/14 213
417/14 213 417/14 213
471/04 107 471/04 107A
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),AU,BG,BY,CA,C
N,CZ,EE,FI,HU,JP,KR,LT,LV
,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,SI,
SK,UA,US
(72)発明者 ペーター ツィマーマン
ドイツ連邦共和国 D−78462 コンスタ
ンツ トゥルニールシュトラーセ 2アー
(72)発明者 ヴォルフガング オプファークーフ
ドイツ連邦共和国 D−44801 ボーフム
シンケルシュトラーセ 31
(72)発明者 ヨルク ゼン ゼルフィンガー
ドイツ連邦共和国 D−78464 コンスタ
ンツ ゼンティスシュトラーセ 7
(72)発明者 ゲルハルト グルントラー
ドイツ連邦共和国 D−78464 コンスタ
ンツ メールスブルガーシュトラーセ 4
(72)発明者 ベルンハルト コール
ドイツ連邦共和国 D−78465 コンスタ
ンツ ツムブリュール 9