【発明の詳細な説明】
急性腎不全の治療用医薬の製造のためのザプリナストの使用
発明の背景
本発明は急性腎不全(ARF)の治療方法、より詳しくは、ザプリナスト(za
prinast)による治療により急性腎不全の回復を改善するための方法に関する。
(注記:下記背景情報ならびに当業者によく知られている従来試験法や実験法お
よび本明細書で使用される他の技術の現状に関する文献は、カッコで示され、明
細書の最後に添付される。)
急性腎不全(ARF)は、現代医学における大きな問題である。
○ 全入院患者の5%がある程度の急性腎機能不全に罹っている(1)。
○ ARFと診断された全患者の50%は死亡して、この疾患に関連する罹患率
および死亡率を立証している(2)。
○ 集中治療、心血管手術後、および死体腎移植後のような種々の臨床状態で、
急性腎不全の発生率は、50%〜75%であると報告されている(1、3)。
多くの条件下で、誰がARFになるかを予測するのは不可能である。したがっ
て、確定した腎不全の治療に有効な薬剤による介入を同定することは、重大な治
療上の躍進となろう。
腎臓は再生性の著しい臓器である。腎動脈血流が大きく低下すると重篤な尿細
管上皮細胞の破壊、腎内出血を引き起こし、そして糸球体濾過量(GFR)が長
期間低下する。
○ GFRの低下は、恐らく尿細管の閉塞と輸入小動脈の血管収縮の両方の結果
である(4)。
○ 多くの状況で、腎臓はこのような傷害から回復する:しかし多くの場合に回
復は、一時的な透析が必要になってからまたはARFに関係する他の合併症が発
症してからである。急性虚血傷害からの回復を促すための、多くの薬剤によらな
い方策および薬剤による方策が試みられてきた。これらには、マンニトールによ
る浸透圧利尿の誘導、尿細管の高い尿流量を維持するためのループ利尿剤の使用
、およびGFRを増加させるためのドーパミンの低用量注入を含む(1、33、
34)。
○ さらに最近になって、心房性ナトリウム利尿因子(ANF)(9、10、1
5、16)およびインスリン様増殖因子I(23、31)のようなペプチドの体
外から投与により、これを薬理学的な用量で注入して、腎臓の回復と再生を加速
している。
○ ARFについて提唱される病態生理学的機作には、尿細管の閉塞および/ま
たは糸球体濾過量(GFR)の低下がある(4)。
○ ANFは、GFRを増加させ、尿細管の体液とナトリウムの流量を促進する
(5〜8);したがって、虚血性ARFの治療において理想的であるはずである
。
○ 最近の実験的検討により、腎傷害の発症前または発症後に投与されるANF
またはANF合成類似体が、虚血性および腎毒性ARFの両方を有効に減弱する
ことが証明された(9〜18)。
○ ANFならびにその合成類似体は、粒状グアニル酸シクラーゼの活性を刺激
し、細胞内cGMP産生を増加させて、そしてcGMPはANFの生物学的機能
の多くを媒介するようである(19〜21)。
○ 興味深いことに、可溶性グアニル酸シクラーゼのアクチベーターである一酸
化窒素(NO)のL−NG−ニトロアルギニンによる阻害は、虚血性腎機能不全
を悪化させる(22、23)。
○ これらの結果は、cGMPが、ANFまたはNOに応答してARFで見られ
る改善を担当する共通の因子であるかもしれないことを示している。
cGMPの細胞内レベルを増加させるための別の可能な方策は、対応するヌク
レオシド5’−リン酸へのその分解を阻害することによる。この加水分解は、多
くの組織中に複数の独特な形で存在するサイクリックヌクレオチドホスホジエス
テラーゼ(PDE)により触媒される(24〜27)。これらのPDEイソザイ
ムは、cGMPおよびサイクリックアデノシン−リン酸(cAMP)を分解する
単一の機作を表し、したがってこれらの細胞内濃度を測定するのに重要な役割を
果たす。
発明の簡単な説明
本発明により、急性腎不全を示している哺乳動物宿主へのザプリナスト(zapr
inast)の投与による急性腎不全(ARF)の治療法が提供される。ザプリナス
トは、少量であるが、このARFからの回復を促進するのに十分な有効量で投与
される。ザプリナストは、1,4−ジヒドロ−5−[2−プロポキシフェニル]
−7H−1,2,3−トリアゾイロ[4,5−d]ピリミジン−7−オンの一般
名であり、これはまた化学的には、2−o−プロポキシフェニル−8−アザプリ
ン−6−オン(M&B22948)として知られている。
ザプリナストは、サイクリックGMP特異的PDEの既知の選択的阻害剤であ
る(PDE−V)(28)。これは、細胞内cGMPを増加させ、動脈圧を用量
依存的に低下させて、また著しいナトリウム尿排泄亢進を誘導する(29、30
)。
本明細書に説明されるように、ザプリナストは、確定した腎不全からの回復を
促進するのに有効であることが見い出された。ヒトでは、ARFはほとんどの場
合重大な腎機能不全が既に確定した後になってやっと診断される。したがって、
本明細書においてザプリナストの効果は、確定した虚血性ARFのラットモデル
で証明される。試験のプロトコールは、ザプリナスト、ANF、または担体を急
性虚血性発作の24時間後にわずか4時間注入することであった。このプロトコ
ールは、ショー(Shaw)ら(11)のものと同様であり、彼らは、ANF類似体
であるウロジラチン(urodilatin)とドーパミンの組合せが、虚血性の確定AR
Fにおける腎機能を改善することを証明した。
ラットでこのプロトコールを使用する例において、急性腎不全は60分間両側
の腎動脈を締めつけることにより誘導した。この虚血性発作の24時間後、ラッ
トに担体(5%デキストロース)、ザプリナスト(0.03または0.3mg/kg/
分)またはANF24(0.2μg/kg/分)を静脈内に4時間投与した。毎日の
血清クレアチニン(1〜7日目)および2日目のイヌリンクリアランスにより測
定した腎機能は、ザプリナスト処理により劇的に改善したがANF処理では改善
しなかつた。腎虚血の48時間後、GFRは担体処理動物では0.14±0.0
4(ml/分/体重100g)であり、ザプリナスト処理動物では0.94±0.2
9であった。cGMP排泄が腎臓の回復に相関するかどうか評価するために尿中
cGMPを測定した。薬剤注入の間、cGMP排泄(fmol/mgクレアチニン)は
、高
用量ザプリナストおよびANF処理ラットで、各々、2570±485および3
709±1014であった。ANF注入の24時間後、尿中cGMP排泄は基礎
レベルに戻った。しかしザプリナスト注入の48時間後に、cGMP排泄はなお
高値であり、注入の72時間後まで基礎レベルに戻らなかった。したがって検討
した用量でザプリナストは、ANFに比較して確定した虚血性ARFの治療にお
いてはるかに有効であることが、予期せず見い出された。ANFに比較してザブ
リナストの高い効力は、確定した虚血性ARFラットにおけるその半減期の長さ
に関係するかもしれないが、本発明者は、どのような特定の科学理論にも制限さ
れることはない。ANFに比較したザプリナストの実際の有益性は、あまり降圧
しない用量で、確定した虚血性ARFからの回復を促進するその大きな能力であ
る。
本発明は、虚血性急性腎不全に関して後述のように詳しく例示されるが、虚血
性傷害により引き起こされるARFに限定されるのではなく、以下のような他の
要因により引き起こされるARFの治療にも適用可能であると理解されるべきで
ある:
1.敗血症、うっ血性心不全などにより起こる灌流低下;
2.例えばクロスクランピング(cross-clamping)からの手術;
3.例えば、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の阻害剤、抗生物質、およ
び間質性腎炎を引き起こす薬剤による医療;および
4.血管造影および種々の他の診断的走査法に使用される造影剤。
本発明の方法は、ラットについて後述のように詳しく説明されるが、他の温血
哺乳動物(例えばヒト)についても同様に有用であることも理解されたい。
発明の詳細な説明
本明細書の最後には、本発明を形成するとみなされる主題を指摘して明瞭に権
利を請求する請求の範囲があるが、本発明は、添付した図面と組合せた以下の本
発明の好適な実施態様からさらに理解が深められるものと考えられる。
図面の簡単な説明
図1は、確定した虚血性ARFに及ぼすザプリナストおよびANFの効果を図
示したものである。血清クレアチニン(mg/dl)は、X軸の日数に対してY軸に
プ
ロットされる。血清クレアチニンは、両側の腎動脈締めつけを60分実施後毎日
測定した。薬剤は1日目にのみ4時間注入した。zap 0.3=ザプリナスト
0.3mg/Kg/分、zap 0.03=ザプリナスト0.03mg/Kg/分、ANF=
200ng/Kg/分。値は、少なくとも4回の測定の平均値±平均値の標準誤差であ
る。
D5W群に対して**p<0.01、*p<0.05。
図2は、確定した虚血性ARFにおける平均動脈圧(MAP)に及ぼすザプリ
ナストおよびANFの効果を図示したものである。MAP変化(mmHg)は、X軸
の時間に対してY軸にプロットされる。MAPは、薬剤注入の間30分毎に、目
覚めているラットで測定した。データは、薬剤注入の前に測定されたMAPから
のmmHgでの絶対変化として表される。zap 0.3=ザプリナスト0.3mg/Kg
/分、zap 0.03=ザプリナスト0.03mg/Kg/分、ANF=200ng/Kg/
分。値は、少なくとも4回の測定の平均値±平均値の標準誤差として表される。
D5W(5%デキストロース溶液)に対して**p<0.01、*p<0.05。
図3は、確定ARFにおける尿中ナトリウム排泄(UNaV)に及ぼすザプリナ
ストおよびANFの効果を示す棒グラフである。UNaV(μ当量/分)レベルは
、薬剤投与前および投与後に示される。ラット尿は、薬剤注入の4時間中に、1
時間毎に集めた。pre=薬剤注入前のUNaV、post=薬剤注入の4時間目
のUNaVozap 0.3=ザプリナスト0.3mg/Kg/分、zap 0.03=ザ
プリナスト0.03mg/Kg/分、ANF=200ng/Kg/分。値は、少なくとも4回
の測定の平均値±平均値の標準誤差として表される。preUNaVに対して*p
<0.05。
図4は、確定ARFにおける尿中cGMP排泄に及ぼすザプリナストおよびA
NFの効果を示す棒グラフである。cGMP(pmol/cGMP/mg Cr)レベル
は、薬剤投与前(0時間)および薬剤投与後の種々の時間に示される。尿は、薬
剤注入の前と最中に1時間毎に集めた。薬剤注入後、ラットを個々の代謝ケージ
に入れて、尿を24時間集めた。尿中cGMP値は、種々のラット群における腎
機能の程度に標準化するために尿中クレアチニンレベルについて標準化した。z
ap 0.3=ザプリナスト0.3mg/Kg/分、zap 0.03=ザプリナスト0
.03mg/Kg/分、ANF=200ng/Kg/分。値は、少なくとも4回の測定の平均
値
±平均値の標準誤差として表される。薬剤注入前のレベルに対して**p<0.0
1、*p<0.05。
さらに詳細に本発明を説明するために、以下の具体的な実験例を行った。具体
的な例と詳細が本明細書で説明されるが、本発明がこれらの具体的な例またはそ
の詳細には制限されないと理解されたい。
例
方法
腎傷害および治療。オスのスプラーグドーリー(Sprague-Dawley)ラット(体
重320〜400グラム)に標準的なラットの餌(プリナ(Purina))を与えて
水道水を自由に飲ませた。手術の日こ、ラットにペントバルビタールナトリウム
(50mg/kg)を腹腔内投与して麻酔した。腹部中線切開により腎臓に接触し、
右と左両方の腎動脈を滑らかな血管クランプで60分間閉塞させた。この虚血性
傷害の24時間後、知覚を制御されたラットに、5%デキストロース溶液(D5
W)、高用量ザプリナスト(0.30mg/Kg/分)、低用量ザプリナスト(0.0
3mg/Kg/分)、またはANF24(0.2μg/Kg/分)のいずれかを大腿静脈か
ら4時間注入した。全ての薬剤はD5Wに溶解して、0.03ml/分の速度で注入
した。
生理学的パラメーター。血圧の測定のためラットの大腿動脈にPE−50チュ
ーブのカテーテルを入れた。ハーバード(Harvard)血圧モニター(モデルVT
−15C)で4時間の薬剤注入の間30分毎に平均動脈圧(MAP)を測定した
。薬剤注入の1時間前および薬剤注入の間1時間毎に、尿量、ナトリウム、およ
びcGMP定量のため尿を集めた。4時間の薬剤注入の後に、毎日の尿中cGM
P排泄を定量するために、ラットを個々の代謝ケージに入れて自由に食餌と水を
摂らせた。市販の酵素免疫定量法(EIA)(ケイメン化学(Caymen Chem.)、
アナーバー、ミシガン州)を使用して尿中cGMPを測定した。尿量は重量によ
り測定し、尿中ナトリウムは炎光光度法(インストルメンテーションラボラトリ
ー(Instrumentation Laboratory)、モデル943)により測定した。血清クレ
アチニンの測定のために毎日尾静脈血を集めた。別の2群のラットでザプリナス
ト(0.03mg/Kg/分)または担体の注入の24時間後イヌリンクリアランス測
定を行つた。イヌリンクリアランスは、ミラー(Miller)らにより発表(31)
さ
れた従来法により行った。
試薬。ANF24(AP−III、米国特許4,496,544号)およびザプ
リナストはモンサント社(Monsanto Company)(セントルイス、ミズーリ州)に
より供与された。イヌリンは、シグマ化学社(Sigma Chemical Co.)(セントル
イス、ミズーリ州)から購入した。
統計解析。統計解析は、解析ソフトウェアパッケージ(インスタット(Instat
)、グラフパッド(GraphPad)、サンジエゴ)を使用して行った。全てのデータ
は、平均値±平均値の標準誤差(SEM)として表した。統計解析は、分散の二
元配置法により行い、差の有意性を評価するためにスチューデントt検定(stud
ent's t-test)を使用した。0.05未満の確率を統計的に有意であると考えた
。
結果。60分間の両側の腎動脈の締めつけにより、血清クレアチニンにより測
定されたように腎機能がかなり低下した(図1)。虚血で誘導されたARFが同
程度であることを保証するため、さらなる検討には虚血24時間後の血清クレア
チニンが3.0〜4.5mg/dlのラットのみを含めた。腎虚血の2日後、D5Wを
注入したラットは、5.3±0.6mg/dlの血清クレアチニンピークにより証明
されるように、さらに腎機能の低下が見られた。対照的に、ザプリナストを投与
したラットは薬剤注入の24時間後腎機能は有意に上昇した。低用量および高用
量ザプリナストで処理後の血清クレアチニンは、各々、2.9±0.3mg/dlお
よび3.0±0.4mg/clに低下した。さらには、ザプリナストで処理したラッ
トでは、担体処理の対照群に比較して、虚血後6日間の血清クレアチニンレベル
は有意に低いままであった。低用量(0.03mg/Kg/分)および高用量(0.3
0mg/Kg/分)ザプリナストは両方とも同等に有効であることが判った。ANFは
、確定した虚血性ARFを改善することが証明されている(9、10、15、1
6)ため、試験動物へのザプリナスト対ANF(0.2μg/Kg/分×4時間)の
相対効力を比較するためにANFを選択した。ANFのこの用量は、平均動脈圧
(MAP)を低下させるその能力において低用量ザプリナストと薬理学的に同等
であることが判っているという理由で選択した(図2)。担体の注入に比較する
とANFは血清クレアチニンを低下させる傾向が認められた;しかし、これは統
計的に有
意ではなかった。したがって、ザプリナストは、ANFに比較して確定した虚血
性ARFを軽減するのに有意に強力である。
血清クレアチニン測定が腎機能を正確に反映していることを確認するため、イ
ヌリンクリアランスを測定することによりGFRを測定した。別の2つの群のラ
ットで、D5Wまたはザプリナスト(0.03mg/Kg/分)で処理した24時間後
にGFRを測定した。下記表1に示されるように、GFRは、担体処理ラット(
0.14±0.04ml/分/100g体重)に比較して、ザプリナスト処理ラット
(0.94±0.29ml/分/100g体重)では有意に高い。これらのデータに
より、これらのラットでは、血清クレアチニンが腎機能を正確に表しており、ザ
プリナストが確定ARFにおいてGFRを確かに増加させることが確認される。
ARFに及ぼすザプリナストの有益な効果は用量依存性ではなかった。しかし
、血圧、尿中ナトリウム排泄(UNaV)、および尿中cGMP排泄については明
白な用量依存性が確立された。高用量ザプリナストは、MAPを最大34mmHg低
下させるが、低用量ザプリナストに応答してMAPはわずか20mmHg低下した(
図2)。ナトリウム排泄は低用量ザプリナストでは変化しなかつたが、高用量ザ
プリナストは、薬剤注入の4時間目にはUNaVを有意に2倍に増加させた(図3
)。ANFは、高用量ザプリナストと同等に尿中ナトリウム排泄を増加させた(
図3)。最後に、尿中cGMP排泄(fmol/mgクレアチニン)は、低用量ザプリ
ナストに応答して基礎レベルの210±29から519±103に、また高用量
ザプリナストを4時間注入後には2570±486に増加した(図4)。ANF
は、高用量ザプリナストと同程度まで尿中cGMP排泄を増加させた。
ANFは、腎摘出動物においてさえ短い血中半減期を有することが証明されて
いる(32);したがって、ANF注入の終了後にはすぐに腎cGMP合成が基
礎レベルに戻るはずである。ザプリナストの代謝およびクリアランスは現在不明
なため、ザプリナスト注入の終了後3日間腎臓におけるcGMPの合成を評価し
た。図4に示されるように、尿中cGMP排泄は、高用量ザプリナスト注入の終
了の48時間は有意に高値のままであり、薬剤注入後3日間までは薬剤投与前の
レベルには戻らなかった。対照的に、ANF注入の24時間後には、尿中cGM
P排泄が基礎レベルに戻った。従って、ANFに比較したザプリナストの効力の
高さは、腎臓に及ぼすその長期の生物学的作用に続発的なものかもしれないとい
う仮説がたてられた。
表1は、確定ARFにおける糸球体濾過量(GFR)に及ぼすザプリナストの
効果を示す。薬剤注入の48時間後、血清クレアチニン用に血液を集めて、イヌ
リンクリアランスによりGFRを測定した。zap 0.03=ザプリナスト0
.03mg/Kg/分。値は、4回の測定の平均値±平均値の標準誤差として表した。
D5W群に対して*p<0.05。
急性腎不全を示す宿主または患者へのザプリナストの投与は、従来法により、
好適には薬剤学的に許容される希釈剤および担体と処方して、行うことができる
。投与量は有効量でなければならず、すなわち、医学的に有益であるが、その使
用に伴う利点に勝る毒性作用を表すことのない量でなければならない。
成人用量は、約100mg以上の活性薬剤の範囲であり、好適には約1.5〜約
15mg/Kg体重の1日用量で投与されることが期待される。投与の適切な経路は
、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、エリキシル剤などの形で経口的に行われるが
、えば、生理食塩水および/または適切な緩衝液と混合した静脈内投与のような
非経口投与も利用することができる。治療投薬形の薬剤学的に許容しうる希釈剤
および担体中の活性薬剤の適切な処方は、例えば、レミントンの製剤科学(Remi
ngton's Pharmaceutical Sciences)、アーサー・オソール(Arthur Osol)編、
第16版、1980年、マック出版社(Mack Publishing Co.)、イーストン、
ペンシルバニア州のような、当業者によく知られているこの分野の一般的な教科
書を参考にして調製することができる。
本開示を読んだ後の当業者には、本発明の精神と範囲から逸脱することなく種
々の他の例が明らかとなるであろう。このような他の例は添付した請求の範囲内
に含まれると解釈される。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1996年7月25日
【補正内容】
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請求の範囲
1.温血哺乳動物の急性腎不全の治療用薬剤を調製するための、少量ではあるが
、急性腎不全からの回復を促進するのに十分な有効量のザプリナストの使用。
2.投与されるザプリナストの量は、1日に約1.5〜約15mg/Kgである、請
求の範囲第1項記載の使用。
3.処理した哺乳動物の血清クレアチニンレベルを標準的な対照レベルと比較す
ることにより、回復の促進は測定される、請求の範囲第1項記載の使用。
4.急性腎不全は、虚血性傷害により引き起こされる、請求の範囲第1項記載の
使用。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
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,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
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