【発明の詳細な説明】
組換え単鎖Fv抗体断片、及び組換えB型肝炎ウイルス表面抗原の免疫精製の
ためのその用途技術分野
本発明は、バイオテクノロジーの分野に関し、特に組換えDNA技術を用いた
単鎖Fv(scFv)抗体断片の作製、及びワクチンの活性成分を構成する組換
えB型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)の精製のためのその用途に関する。背景技術
商業的に入手可能なB型肝炎に対する組換えワクチンは、基本的には遺伝子操
作された酵母内での組換えHBsAgの産生によるものである。
酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)は組換えHB
sAgの大量生産に広く用いられている[W.J.マクアラー(W.J.McAleer)
他、ネイチャー(Nature)307:178、1984年;N.ハーフォード(N.Harford)他
、ポストグラジュエート・メディカル・ジャーナル(Postgraduate Medical Jou
rnal)63 付録2:65、1987年;G.A.ビター(G.A.Bitter)他、ジャーナル・
オブ・メディカル・ヴァイロロジー(Journal of Medical Virology)25:123、1
988年]。ここでは抗原を細胞内で産生させ、様々な細胞破壊法で抽出し、種々
の物理化学的方法で精製している。これらの方法では、動物及びヒト中で証明さ
れているように、血漿
由来の抗原に類似の抗原作用を有する産生物を、97%以上の純度で得ることが
できる[P.ハウザー(P.Hauser)他、ポストグラジュエート・メディカル・ジ
ャーナル(Postgraduate Medical Journal)63 付録2:83、1987年]。
欧州特許出願第480 525号は酵母ピヒア・パストリス(Pichia pastori s
)内で産生した組換えHBsAgの精製方法を開示している。この方法は、特
定のマウスモノクローナル抗体(MAb)CB−Hep.1を用いたイムノアフ
ィニティークロマトグラフィー(immunoaffinity chromatography)を用いる工
程を含んでいる。組換えDNA技術によりサッカロミセス・セレビシエ(Saccha romyces
cerevisiae)を用いて製造し、スミスクライン・ビーカム・バイオロジ
カルズ社(SmithKline Beecham Biologicals)により販売されているワクチン「
エンゲリックスB(Engerix B)」と比較すると、免疫原として優れた免疫原性
を有するHBsAgが上記精製方法により得られる。
天然又は組換え分子の精製法の開発のために、親和性支持体(affinity suppo
rt)の調製において、MAbをリガンドとして用いることは大変よく知られてい
る[B.マチアソン(B.Mattiasson)、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Me
thods in Enzymology)Vol.137、1988年;S.エイヴラミーズ(S.Avrameas)、
T.ターニンク(T.Ternynck)、イムノケミストリー(immunochemistry)6:53-
66、1969年;G.S.
ベテル(G.S.Bethell)他、J.Biol.Chem.254:2572-2574、1979年;H.A.チェ
イス(H.A.Chase)、Chem.Eng.Sci.39:1099-1125、1984年;E.サダ(E.Sada)
他、Biotechnol.Bioeng.28:1497-1502、1986年]。
欧州特許出願第480 525号が目的とする、ピヒア・パストリスからのH
BsAgの精製法で最も重要な工程の一つは、MAb CB−Hep.1を用い
る抗原の免疫精製操作であり、これが高い免疫原性を有する抗原分子を分離する
のに役立っていると思われる。MAb CB−Hep.1を分泌するハイブリド
ーマ[フォンティロチ(Fontirrochi)
icada)10、1:24-30、1993年]は、組換え抗原で免疫処置されたBALB/cマ
ウスから得られるものであり、詳細には、該BALB/cマウスの脾臓細胞とマ
ウスミエローマSp2/O−Ag14とを細胞融合させたものである。セファロ
ースに結合させたMAbは、調製した組換え酵母内に存在する抗原を効率的に精
製する。
上記のように用いられるMAbの作製は、バイオリアクターの使用やハイブリ
ドーマ培養上清の採収といった「生体外」(in vitro)の方法[ハンダ−コリガ
ン(Hnada-Corrigan)、A.Bio/Technology 6:784-786、1988年]、あるいはハイブ
リドーマを腹腔内に接種して、MAbが豊富な分泌液を大量に含んだ腹水腫瘍を
発現させたマウスを用いる「生体内」(in
vivo)の方法[A.キャンベル(A.Campbell)編、モノクローナル抗体テクノロ
ジー(Monoclonal Antibody Technology)Vol.13、“実験室.生化学と分子生物
学における技術(Laboratory.Techniques in Biochemistry and Molecular Biol
ogy)”、エルサビエ出版(Elsevier Pub.Co)、1984年]のいずれによっても行
うことができる。いずれの場合も、MAbの使用に際してその品質及び安全性に
ついて国際規格が厳格に定められており[米国食品医薬品局(FDA)、センター
・フォー・ドラッグス・アンド・バイオロジクス(Center for Drugs and Biolo
gics)、オフィス・オブ・バイオロジクス・リサーチ・アンド・レビュー(Offi
ce of Biologics Research and Review)発行の“ヒトに使用するモノクローナ
ル抗体製品の製造及び試験法における注意事項(Points to Consider in the Ma
nufacture and Testing of Monoclonal Antibody Products for Human Use)”
、メモランダム(Memorandum)、1993年]、MAbを人体に直接用いたり、薬剤
及びワクチンの製造工程に用いたりする場合に、潜在的な生物学的危険を生ずる
怖れのある偶発体が存在しないことを確実にし且つ示す必要があり、製造と上記
の確認に莫大な費用がかかっている。
組換えDNA技術の発達によって、微生物内でのFab、Fv、及びscFv
抗体断片の作製が可能になった[A.プ
1年;M.ウィトロウ(M.Whitlow)、D.フィルプラ(D.Filpula)、方法:酵
素学における方法の手引(In METHODS:A.Companion to Methods in Enzymology
)Vol.2.No.2.pp97-105,1991年]。
ジェネックス社(Genex Corporation)の特許で、後にエンゾン社(Enzon Inc
orporated)が取得した米国特許第4,946,778号では、特異性と親和性
について、全抗体と本質的に類似する性質を有するscFv断片[SCA:単鎖
抗原結合蛋白質(single-chain antigen-binding proteins)とも称される]の
製造にかかわる技術が開示されている。
ジェネンテック社(Genentech Incorporated)の有する米国特許第4,816
,567号には、組換え免疫グロブリンであるマウス−ヒトのキメラ抗体及びキ
メラFab断片の調製について記載されている。
1990年に米国カリフォルニア州サンディエゴで開催された「抗体工学:新
技術及びその応用(Antibody Engineering:New Technology and APPlication I
mplications)」の第1回国際会議[IBC USA コンフェレンス社(IBC U
SA Conferences Inc.)により運営]の議事録、及び1993年に米国カリフォ
ルニア州コロナードで開催された第4回抗体工学国際会議(上記と同じ団体によ
り運営)の議事録には、ヒト血小板のフィブリノーゲン受容体に特異的なマウス
MAbのH鎖可変領域中の相補性決定部位(CDR3)のア
ミノ酸配列に含まれる情報から合成したペプチドを、サイトゲン社(Cytogen Co
rporation)が報告している。合成ペプチドは、オリジナルの抗体と同じ抗原認
識性を有する。
近年、M.J.ベリー(M.J.Berry)他が、組換えDNA技術により作製した
Fv抗体断片を多孔性シリカに固定する方法、及び鶏卵リゾチームの精製におけ
る上記Fv抗体断片の使用について、全抗体を用いた場合との比較と共に報告し
ている[ジャーナル・オブ・クロマトグラフィー(Journal of Chromatography
)587:161-169、1991年]。著者は、イムノアフィニティークロマトグラフィー
に抗体断片の使用が有利である理由として、第一に、哺乳類の細胞培養内で全抗
体を作製するのに比べて、大腸菌(E.coli)内での抗体断片の作製には費用がか
からないことを挙げている。次に、質量比で考えた場合、断片は全抗体より高い
抗体価(antigen capacity)力を有することを挙げている。最後に、断片は充分
に小さいので、シリカ基質の小孔の大きさをそれほど損うことなく、小孔内に固
定できることを挙げている。
M.J.ベリー(M.J.Berry)とJ.J.ピアース(J.J.Pierce)は、更に、
鶏卵リゾチームの免疫精製において、Fv断片とscFv断片の両方を、臭化シ
アンで活性化したセファロースに固定して用いることが可能であることを示した
[ジャーナル・オブ・クロマトグラフィー(Journal of Chromatography)629:1
61-168、1993年]。彼らの研究では、精
製サイクルを100回繰り返した後でも、これら免疫吸着剤が抗原を捉える能力
を失わずに安定していることを示している。
最近、T.M.スピッツナゲル(T.M.Spitznagel)とD.S.クラーク(D.S.
Clark)は、固定化した全抗体及び抗体断片の、表面密度(surface density)及
び配向性(orientation)の研究に関する論文を発表した。そこでは、FvはF
abや全抗体より優れた抗原結合能力を有すると結論付けている。このように、
論文には、不必要な蛋白質部分(すなわち抗体の定常部)を除去することで免疫
吸着剤の全能力を向上できることが示されている(Bio/Technology、11:825-828
、1993年)。発明の概要
本発明は、ワクチン抗原の精製法のイムノアフィニティークロマトグラフィー
工程において、従来用いられているMAb CB−Hep.1(欧州特許出願第
480 525号)の代替を提供するものである。MAb CB−Hep.1の
可変領域をコードする遺伝子から構築したscFvを用いることによって、培養
に真核細胞(ハイブリドーマ)を用いる必要や実験動物(BALB/cマウス)
をMAbの供給源として用いる必要がなくなる。MAb及びその親和性支持体(
affinity support)を用いようとする場合には、国際的に定められたガイドライ
ンに従って、培養技術や実験マウスに
用いられる、ハイブリドーマや血漿に、生物学的危険を生ずる怖れのある偶発体
が存在しないことを保証しなければならない[米国食品医薬品局(FDA)、セン
ター・フォー・ドラッグス・アンド・バイオロジクス(Center for Drugs and B
iologics)、オフィス・オブ・バイオロジクス・リサーチ・アンド・レビュー(
Office of Biologics Research and Preview)、“ヒトに使用するモノクローナ
ル抗体製品の製造及びテストにおける考慮点(Points to Consider in the Manu
facture and Testing of Monoclonal Antibody Products for Human use)”、
メモランダム(Memorandum,1993年]が、全抗体の代わりにscFvを用いるこ
とで、MAb及びその親和性支持体(affinity support)を用いようとする場合
に必要となる面倒な調製工程及び確認の工程を実質的に軽減しかつ単純化できる
。イムノアフィニティーにより精製したワクチン抗原の、最終調製における確認
工程についても、同様のことがあてはまる[米国食品医薬品局(FDA)、センタ
ー・フォー・ドラッグス・アンド・バイオロジクス(Center for Drugs and Bio
logics)、オフィス・オブ・バイオロジクス・リサーチ・アンド・レビュー(Of
fice of Biologics Reseatch and Review)“組換えDNA技術により作製した
新薬及び新生物製剤の製造及び試験における注意事項(Points to Consider in t
he Production and Testing of New Drugs and Biologicals Produced by Recom
binant DNA Technology),”
草稿,1985年]。
scFvは大腸菌(E.coli)内で作製できるため、MAbを用いた場合に必要
だった調節工程を実質的に軽減しかつ単純化でき、その結果費用が節減でき、又
、大腸菌(E.coli)の発酵規模を拡大することで、ワクチン抗原を産生する能力
を向上できる。本発明の1つの目的は、抗体断片及びHBsAg抗原の精製にお
けるその用途を提供することにある。
本発明に関連して見出された驚くべきことは、scFv抗体断片は、大腸菌(E.coli
)のバクテリアペリプラズム(periplasm)へ転送されずに、内膜に結合
することである。MAb CB−Hep.1のH鎖可変領域中の特定のアミノ酸
配列に関連したこの特徴は、精製を容易にするために、大腸菌(E.coli)内で発
現する他の融合蛋白質に持たせることができる。本発明の他の1つの目的は、上
記のことを提供することにある。図面の簡単な説明
図1:15%SDS−ポリアクリルアミドゲル内でバイオマス試料を分析した
ところ、この条件下で、32〜33kDaの不溶性で細胞構造に関連した蛋白質
が新たに発現したことを示している。大腸菌(E.coli)株MM294内でのその
発現レベルは、全バクテリア蛋白質の約15〜20%であった。発明の詳細な説明
HBsAgに特異なscFv抗体断片を構築するために、まず、MAb CB
−Hep.1を分泌するハイブリドーマ細胞から全RNAを抽出した。このRN
Aを第1のDNA鎖(cDNA)合成の鋳型として用いた。文献[M.アヤラ(
M.Ayala)他、バイオテクニークス(BioTechniques)13:790-799、1992年]にあ
るように、cDNAに、PCR法[PCR、C.アスティ(C.Oste)、バイオテ
クニークス(BioTechniques)6:162-167、1988年]及び合成ヌクレオチド1セ
ットを用いて、H鎖可変領域(VH)及びL鎖可変領域(VL)をコードする遺
伝子を特異的に増幅させた。
増幅したVH及びVLをサブクローンし、それらの共通ヌクレオチド配列の配列
決定をした。この配列から、VH−リンカー−VLの順序を有するscFvを構築
するために、合成ヌクレオチドを新たに作製した。使用したリンカーの構造とし
ては、ショウドハリー(Chaudhary)他により報告されているもの(Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 87:1066-1070、1990年)を用いた。PCR法で得たscFv断片を
、適当な制限酵素で切断した後、予め同じ制限酵素で切断した発現ベクターpP
ACIB.1[J.ガヴィロンド(J.Gavilondo)他、第4回「抗体工学」国際
会議議事録、米国カリフォルニア州コロナード、1993年12月]に連結させた。連
結させた物質で大腸菌(E.coli)MC1061コンピテント細胞を形質転換させ
、半固形選択培地に形成された形質転換MC1061のコ
ロニーについて、制限酵素による切断を行って、クローン遺伝子の存在を調べた
。
上記で作製し選択したプラスミド(PPACIB.1/scFv抗HBsAg
と称す)を、種々の大腸菌(E.coli)株(MM294,coliB,W3110
,BMH71−18)の形質転換に用いて、発現を調べた。SDS−ポリアクリ
ルアミドゲル内での電気泳動(SDS−PAGE)を用いて、組換えMM294
細胞及び組換えcoliB細胞において、分子量約32−33kDaの細胞内不
溶性蛋白質が新たに発現したことを確認した。特定の抗血清を用いたウェスタン
ブロット法によって、上記の蛋白質が抗HBsAg scFvであることが判明
した。
この新たな蛋白質の生物学的活性を調べるために、形質転換した細菌株MM2
94を300mlシェーカーフラスコ(shaker flask)内で生育させ、6M尿素
を用いて細胞膜片からscFvを抽出した。溶解したこの蛋白質をpH8.0の
リン酸緩衝溶液で透析し、組換えHBsAgでコートしたポリスチレンプレート
を用いてELISAを行った。ELISAにおいて、西洋ワサビペルオキシダー
ゼに結合させた、CB−Hep.1のFabに特異性を有する複合抗体を用いた
ところ、抗体断片と抗原が反応していることが示された。
scFvがHBsAgを特異的に認識することがELISAにおいて示された
ので、その断片を、上記のように溶解し
透析した蛋白質から精製した。発現プラスミドpPACIB.1が、アミノ末端
に6−ヒスチジン領域(ヒスチジンを6個有する領域)を有するscFv蛋白質
を産生するという特性を利用して、固定金属アフィニティークロマトグラフィー
(Immobilized metal affinity chromatography)(セファロース−IDAを用
いる)を行った。
精製したscFvについて、溶液中の組換えHBsAgとの結合能力を調べた
。この実験では、種々の異なった濃度のscFvと組換えHBsAgを混合し、
上記のELISAで分析し、信号阻害(シグナル・インヒビション)(signal i
nhibition)を記録した。scFvと組換えHBsAgを反応させる前にインキ
ュベートすると、固相をコートしている抗原にscFvが結合する量が減少する
ことが示された。
最後に、この抗HBsAg抗体を臭化シアンで活性化したセファロースCL−
4Bに固定し、得られた支持体(support)を用いて、精製HBsAg及び未精
製の組換え酵母菌HBsAg抽出物の両方について吸着及び脱着の試験を行なっ
た。このテストにより、抗HBsAg scFvが抗原を精製する能力を有する
ことが明らかになった。実施例
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれら
に限定されるものではない。実施例1
PCR法による、MAb CB−Hep.1のH鎖可変領域(VH)及びL鎖可
変領域(VL)をコードする遺伝子の増幅。クローニング及び塩基配列決定。
手順(a)RNAの単離
MAb CB−Hep.1を分泌するハイブリドーマ細胞から、ゴーフ(Goug
h)他による方法(Anal.Biochem.173:93-95、1988年)を用いて、全RNAを
単離した。以下、単離の手順を簡単に述べる。5×106個の培養細胞を遠心分
離で採集し、リン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄した。細胞を200μlの冷却し
た溶液A(10mMトリス/HCl、150mM NaCl、1.5mM Mg
Cl2、0.65%NP−40、pH7.5)に渦巻ミキサー(vortex mixer)
で懸濁し、溶液を8,000rpmで5分間遠心分離し、200μlの溶液B(
7M尿素、1%SDS、30mM NaCl、10mM EDTA、10mMト
リス/HCl、PH7.5)が入った反応瓶に移し、静かに混合した。フェノー
ルとクロロフォルムの1:1の混合液を添加し、渦巻きミキサー(vortex mixer
)で1分間撹拌した。12,000rpmで5分間遠心分離した後、新たに用意
した反応管に水相を移し、冷却した無水エタノールと塩でRNAを沈澱させた。
手順(b)cDNAの合成
第1の相補的DNA鎖(cDNA)の合成に、鋳型としてのRNA、様々なデ
オキシヌクレオチド、プライマーとして
のオリゴdT、及び逆転写酵素を用いた。[J.V.ガヴィロンド(J.V.Gavilo
ndo)他、ハイブリドーマ9:407-417、1990年]。
手順(c)PCR法による増幅
VH及びVLをコードするCB−Hep.1の遺伝子の、リーダー(シグナルペ
プチド)からCH1又はCkまでをコードする領域を、PCR法を用いて特異的に
増幅させた。免疫グロブリンの可変領域塩基配列について、入手可能なデータベ
ースに基づいて、オリゴヌクレオチドを合成した。PCR法の条件については、
文献[J.V.ガヴィロンド(J.V.Gavilondo)他、ハイブリドーマ(Hybridoma
)9:407-417、1990年]と同様である。
増幅した配列を低融点のアガロースからフェノール抽出法により精製し、配列
決定用ベクター(シークエンシングベクター)に組み込んでクローニングするた
めEcoRV及びSalIで切断した[サムブルック(Sambrook)、フリッシュ(Fr
itsch)、マニアチス(Maniatis)、分子クローニング、実験マニュアル(Molecula
r Cloning,A Laboratory Manual)第2版、1989年]。
手順(d)配列決定を目的とする、増幅したVH及びVLのプラスミド ブルー
スクリプト(Bluescript)(pBS)IIks+/-内でのクローニング
pBSを上記制限酵素で切断し、このベクターとPCRで増幅させた2つの挿
入物とを次の2つの異なる反応[(1)pBS+VH(2)pBS+VL]で連結
させた。連結による生成物を、コンピテント大腸菌(E.coli)細胞(株MC10
61)の形質転換に用い、半固形選択培地上で、37℃で生育させた[サムブル
ック(Sambrook)、フリッシュ(Fritsch)、マニアチス(Maniatis)、分子クロー
ニング、実験マニュアル(Molecular Cloning,A Laboratory Manual)第2版、
1989年]。
培地上の多数のバクテリアコロニーからプラスミドを精製し、制限酵素で切断
して、予想される連結生成物を確認[サムブルック(Sambrook)、フリッシュ(Fri
tsch)、マニアチス(Maniatis)、分子クローニング、実験マニュアル(Molec
ular Cloning,A Laboratory Manual)第2版、1989年]、すなわち、pBS(
約2.7kb)に相当するバンド及び挿入された可変領域(約500bp)に相
当するバンドを確認した後、組換えベクターを選択した。VH及びVLの各領域に
ついて少なくとも5個のクローンを、塩基配列決定用に選択した。
手順(e)MAb CB−Hep.1のVH及びVLをコードする遺伝子の塩基
配列決定
サンガー(Sanger)法[サムブルック(Sambrook)、フリッシュ(Fritsch)、マ
ニアチス(Maniatis)、分子クローニング、実験マニュアル(Molecular Cloning
,A Laboratory Manual)第2版、1989年]により(10NのNaOHで処理し
て)変性させたプラスミドの二重らせん鎖について、万能プライマー[プラスミ
ドの多重クローニング領域(multiple cloning region)の外側とハイブリッド
を形成し、クローニングされた遺伝子の両方向の配列決定を可能にする]を用い
て配列決定した。
1991年までに報告されている、免疫グロブリン可変領域配列のデータベー
ス{カバット(Kabat)他[E.A.カバット(E.A.Kabat)、T.T.ウー(T.T.
Wu)、H.M.ピーリー(H.M.Peery)、K.S.ゴッテスマン(K.S.Gottesman)
、C.フォウラー(C.Foeller)]、免疫学的に重要な蛋白質の配列(Sequences o
f Proteins of immunological i
nterest)Vol.11、第5版.米国厚生省.NIH出版No.91-3242、1991年)に
基づき、新たに配列決定した可変領域を、既存の幾つかのサブグループのうちの
1つに分類した。上で配列決定したVHはサブグループIIICに、VLはサブグルー
プIに分類された。
VHの塩基配列(小文字)及びアミノ酸配列(大文字)
Mab CB−Hep.1:[配列(a)]
VLの塩基配列(小文字)及びアミノ酸配列(大文字)
MAb CB−Hep.1:[配列(b)]
実施例2
VH及びVLを末端に有するscFv抗体断片(VH−リンカー−VL)の構築;
大腸菌(E.coli)発現ベクター内でのクローニング。
手順(a)単鎖Fvの構築
まずPCR法による増幅を通じて、制限酵素認識部位を有するリンカーの半分
をコードする塩基[ショウドハリー(Chaudhary)他、Proc.Natl.Acad.Sci.
USA 87:1066-1070、1990年]を更に含むように、実施例1で配列決定したVH及び
VLをコードする領域を変形させた。この制限酵素認識部位を有するリンカーは
、変形させたVH及びVLの連結を可能にし、発現ベクターにscFvを挿入して
scFvのクローニングを可能にする。表IIにVH及びVLの正確な配列に基づい
て合成し、PCR法による増幅に用いたオリゴヌクレオチドを示す。
増幅の後、変形させたVH及びVLを精製し、BamHIで切断し、T4DNA
リガーゼを用いて等量を連結させた[サムブルック(Sambrook)、フリッシュ(
Fritsch)、マニアチス(Maniatis)、分子クローニング、実験マニュアル(Mol
ecular Cloning,A Laboratory Manual)第2版、1989年]。この連結による生
成物(約720bpの遺伝子断片)を、scFvを増加させるために、オリゴヌ
クレオチド5及び8(表II)を用いて2回目のPCR法による増幅を行った。次
に、scFvを精製し、EcoRI及びEcoRVで切断し、同じ制限酵素で予
め切断したpPACIB.1ベクターに連結させた。pPACIB.1は、大腸
菌(E.coli)のペリプ
ラズムで異種蛋白質を発現するプラスミドである。このプラスミドは以下に挙げ
る調節配列を有する。すなわち、それらの調節配列は、プロモーター(トリプト
ファン)、蛋白質分泌に用いられるompAシグナルペプチドをコードする領域
、固定金属イオンアフェニティークロマトグラフィー(immobilized metal ion
affinity chromatography)を用いた精製に利用され、完全に発現した蛋白質の
N末端に現われる、6−ヒスチジンをコードする領域[J.V.カヴィロンド(
J.V.Gavilondo)他、第4回抗体工学会議議事録(Proceedings of the IV Annua
l Conference on Antibody Engineering)、IBCコンフェレンス社(IBC Conf
erence Inc.)、米国カリフォルニア州コロナード、1993年12月8日〜10日]、で
ある。
ベクターにscFv遺伝子を挿入連結して生成されたものは、大腸菌(E.coli
)MC1061コンピテント細胞の形質転換に用いられた。半固形選択培地に上
記の菌を播種し、37℃で成育させた。組換えベクターの選択のために、上で得
たバクテリアコロニーを液体培地に播種し、プラスミドDNAの抽出を行った[
サムブルック(Sambrook)、フリッシュ(Fritsch)、マニアチス(Maniatis)、分子
クローニング、実験マニュアル(Molecular Cloning,A Laboratory Manual)第
2版、1989年]。プラスミドDNAをエンドヌクレアーゼEcoRI及びEco
RVで切断し、アガロースゲルに導入
し、紫外線を照射して明視化した。切断物のパターンとして表われた線形PPA
CIB.1(約2.9kb)に相当するバンド及びscFv(約720bp)に
相当するバンドの2つのバンドを示すものから、組換えクローンを選択した。
手順(b)大腸菌(E.coli)内でのscFvの発現
4種の大腸菌(E.coli)株(BMH71−18、coliB、W3110、及
びMM294)を、手順(a)で選択した組換えプラスミドを2つ用いて形質転
換させ、発現を調べた。基本的には、組換えバクテリアをアンピシリンを加えた
液体培地(LB)内で、37℃で一晩生育させた。アンピシリンを加えたLBで
新たに培養を始め、37℃で3時間インキュベートした。培養にβ−インドール
アクリル酸(beta-indoleacrylic acid)を加えて蛋白質の発現を誘導した。1
5%SDS−ポリアクリルアミドゲル内でバイオマス試料を分析したところ、こ
の条件下で、32〜33kDaの不溶性で細胞構造に関連した蛋白質が新たに発
現したことが示された。MM294内での発現水準は、全バクテリア蛋白質の約
15〜20%であった(図1)。
ウサギポリクロナル抗体を、CB−Hep.1のFab断片(パパインにより
切断)に対応するように作製し、バックグラウンドになるのを避けるためにFa
b断片を大腸菌(E.coli)の蛋白質に吸着させ、組換え抗原を用いて抗体を免疫
精製した。このウサギポリクロナル抗体を用いてウエスタン
ブロット[サムブルック(Sambrook)、フリッシュ(Fritsch)、マニアチス(Maniat
is)、分子クローニング、実験マニュアル(Molecular Cloning,A Laboratory M
anual)第2版、1989年]を行ったところ、上記の蛋白質は抗HBsAg sc
Fvであることが判明した。ウエスタンブロット法又は特殊ELISAでは、ペ
リプラズム中にscFv蛋白質を検出しなかった(下記参照)。実施例3
バクテリア培養からのscFvの作製、再生及び抗原に対する特異性のアッセイ
。
手順(a)抗HBsAg scFvの抽出及び再生
組換えバクテリアからscFvを抽出するために、超音波でバクテリアを破壊
し、可溶性と不可溶性の細胞片を分離し、SDS−ボリアクリルアミドゲル電気
泳動を行い、ニトロセルロースに転写し、ウエスタンブロットを行った。その結
果、scFv蛋白質は不溶性の細胞片に結合していることが判明した。透過型電
子顕微鏡で調べたところ封入体は存在していなかった。これはscFv蛋白質が
バクテリアの内膜に結合していることを示している。VH先端の24残基のうち
幾つかをコードする塩基を突然変異させたところ、VH中のある基本アミノ酸が
、scFvとバクテリアの内膜との結合に関与し、scFvがバクテリアのペリ
プラズムへ移転するのを防げていることが示された。この予想外の状況により、
以下
の段階を含む工程から単離できる蛋白質の精製度は70%であった。すなわち、
(a)超音波破壊及び遠心分離による不溶性及び可溶性細胞物質の分離、(b)
低尿素モル濃度(2M)での洗浄、(c)高尿素モル濃度(6M)での溶解、で
ある(図1に結果を示した)。蛋白質を再生するために可溶性物質をpH8.0
、低温下で、PBSにより繰り返し透析した。透析した物質を遠心分離にかけ、
再生したscFvを含む可溶相を更なる研究に用いた。
手順(b)scFvによる(EIAボリスチレンプレート上の)固定抗原の認
識
ウエスタンブロットにより免疫同定された大腸菌(E.coli)scFv蛋白質に
ついて上記の再生工程を行い、EIAプレートをコートしたHBsAgを認識す
る能力を検定した。以下簡単に手順を述べる。炭酸塩−重炭酸塩溶液中に5μg
/mlの濃度に調整した組換えHBsAgをポリスチレンプレート(コースター
)に導入し、pH9.6、4℃で一晩置いてポリスチレンプレートをコートした
。2%スキムミルクを含むpH7.2のPBSを用いて、37℃で2時間、プレ
ートをブロックした。以下の異なる試料をプレートに添加した。すなわち、(a
)再生したscFvをPBS−1%スキムミルクで1:2から1:32まで希釈
したもの、(b)MAb CB−Hep.1を酵素で切断して得たFabを様々
な濃度にしたもの、(c)ネガティブコントロールとしての、1
μg/mlの抗癌胎児性抗原(抗CEA)scFv[アヤラ(Ayala)他、バイ
オテクニークス(BioTechniques)13:790-799、1992年]、である。これらの試
料を室温で2時間インキュベートし、PBS−1%スキムミルク中に4μg/m
lの濃度に調整した、CB−Hep.1 Fabに特異性を有するウサギ抗体を
添加した。37℃で1時間置いた後、PBS−1%スキムミルクに、1:300
0の割合で希釈したプロテインA−西洋ワサビペルオキシダーゼを添加し、OP
D−過酸化水素を反応させた。オートマチック・プレート・リーダー(automati
c plate reader)[マルチスキャンMC340(Multiscan MC340)、フロー研
究所(Flow Laboratories)]を用いて、492nmでの吸光度を測定した。各
段階の後に、プレートを繰り返し(10回)洗浄した。
手順(c)固定金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)を
用いたscFvの精製
手順(a)で得たscFvを、pH8.0の0.1Mリン酸ナトリウム及び0
.5M NaCl[結合溶液(coupling solution)]で透析した後、セファロ
ース−IDA−Ni+2に導入し、蛋白質中の6−ヒスチジン領域を利用して精製
した。このような特徴の領域を有する蛋白質は、上記のような型のクロマトグラ
フィー支持体に対し高い親和性を有することが報告されており、この特徴を利用
して精製工程を単純且つ再現性よく行うことができる[スケラ(Skerra)他、バ
イオテクノロジー(Biotechnology)9:273-278、1991年;J.ポラス(J.Pora
th)、蛋白質の発現と精製(Protein Expression and Purification)3: 263-2
8L1992年]。
scFvとセファロースの結合を行った後、[大腸菌(E.coli)の不要な蛋白
質を溶出させるために]pH6.3で、ゲルの10倍の体積の結合溶液(coupli
ng solution)でゲルを洗浄し、PH5.0で同様に洗浄した。同じ溶液を用い
てpH4.0でscFvを溶出させた。
15%SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に現われた結果は、精製度が
約90%であることを示した。scFvを含むフラクションをトリス塩で直ちに
中和した。抗原に対する特異的認識性をELISAで調べたところ、溶離したS
cFvは活性を維持することが示された(表III)。
手順(d)溶液中における、scFvの抗原に対する結合能力
ポリスチレンプレートにコートされた組換え抗原に対する、(MAb CB−
Hep.1を切断し、精製して得た)精製scFv及びFabの最適結合濃度(
飽和度)を、上で説明したように調べた。scFv及びFabの最適結合濃度は
それぞれ37μg/ml及び1μg/mlであった。最適結合濃度の各タイプの
抗体断片を、溶液中の様々なモル比(scFvについては1:3.5から、Fa
bについては1:10からそれぞれ順に5倍、2倍に希釈した)の抗原と共に、
室温で2時間インキュベートした。2時間後、抗原でコートされたプレートに混
合液をそれぞれ導入した。ELISAの手順は上記のように行った。コートした
抗原に対する、抗体断
片の結合を阻害する割合(%)は、吸収値から算出した(この%を、溶液中での
抗原に対する、抗体断片の結合能力の指標とした)。
実施例4
組換えHBsAgの免疫精製に用いるscFvの検定
手順(a)抗HBsAg scFvのセファロースCL−4Bへの固定。精製
した抗原との結合及びその溶離の研究。
scFvを臭化シアンで活性化したセファロースに固定するために、精製断片
を、塩化ナトリウムを含むpH8.6の
炭酸塩−重炭酸塩緩衝溶液で透析した。3.0mg/mlの濃度のscFv溶液
を、予め水和し炭酸塩−重炭酸塩/塩化ナトリウム緩衝溶液で洗浄したゲルに、
素速く添加した。室温で一晩インキュベートした後、結合しなかった断片を除去
した。ネガティブコントロールとして、リガンドを固定させないゲルを同じ手順
で調製した。結合−溶離アッセイ(binding elusion assay)用に、pH7.8
、20mMのトリスHCl及びNaClを含む溶液中に、飽和量の組換えHBs
Agを添加した。溶液を導入したゲルを洗浄後、PH7.8、20mMのトリス
HClに3Mのチオシアン酸カリウムを溶解したものを用いて抗原を溶離した。
表Vの結果は、固定されたscFvが、組換えHBsAgと結合しそれを溶離す
る能力を有することを示している。
手順(b)粗抽出物からのHBsAgの免疫精製を目的とした組換えscFv
抗体断片の使用
セファロースCL−4Bゲルの製造元[スウェーデン国ファルマシア(Pharma
cia)社]が推薦するように、精製した組換えscFvを、臭化シアンで活性化
したセファロースCL−4Bゲルに結合させた。結合したリガンドの密度は、活
性化ゲル1mlに対して蛋白質約5mgであった。実験のコントロールとして、
モノクローナル抗体CB−Hep.1を、同じ方法で、同じ基質に結合させた。
ゲルを線流速(linear flow rate)50cm/hで1.2mlカラム(直径0.
7cm)に詰めた。
形質転換した酵母菌ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)を遺伝子処理し
て得たHBsAgの半精製物をカラムに入れた。このHBsAgは細胞内で産生
され、細胞破壊、酸を用いた沈澱、及びセライトによる吸着によって抽出した(
欧州特許出願第480 525号)。この半精製物は15〜20%の純度のHB
sAgを含んでいた。この実験のコン
トロールとして、高度に精製されたHBsAgを用いた(純度95%以上)。
pH7.2で、20mMトリス−HCl、1M NaCl及び3mM EDT
Aで希釈した、2mgのHBsAgを、全てのクロマトグラフィーに線流速(li
near flow rate)25cm/hで導入した。この段階の後、カラム体積の5倍の
体積の上記緩衝液を、ポンプにより50cm/hの速度で送りカラムを洗浄した
。溶離の段階は、上記緩衝液に3MのKSCNを加えたものを用いて行った。カ
ラム出口において、280nmにおける吸光度を測定した。その結果、結合した
scFvは表面抗原を特異的に認識したことが判明した。溶離したHBsAgは
SDS−PAGEにより、完全なモノクローナル抗体と同様に90%以上の純度
を示した。更に、吸着能力はCB−Hep.1と同じ位であった(表VI参照)。
実施例5
MAb CB−Hep.1 VH先端の24個のアミノ酸及びトレポネーマ・
パリダム(Treponema pallidum)細胞膜抗原から構成される不溶性融合蛋白質の
大腸菌(E.coli)内における発現並びに精製
トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)細胞膜抗原(TmpA)を、
患者から採取した標本にPCR法を行い、大腸菌(E.coli)内でクローンした。
TmpAは、可溶性細
胞質蛋白質として、全バクテリア蛋白質の約30%のレベルで発現した。様々な
クロマトグラフィー(ゲル内でのサイズ排除クロマトグラフィー及びイオン交換
クロマトグラフィー)を組み合わせたが、SDS−PAGEで得られた純度は6
0%未満であった。主要な不純物はバクテリア可溶性細胞質蛋白質であった。
このような不純物を排除し、目的の抗原の精製工程を促進させるために、目的
の蛋白質を、そのアミノ酸末端にMAbCB−Hep.1 VH先端の24個の
アミノ酸を融合させることにより「不溶化」した。このためにまずPCR法でク
ローニングしたTmpA塩基配列の5’末端に上記24個のアミノ酸をコードす
る合成アダプターをつなげ、融合遺伝子を構築し、発現ベクターpPACIB.
1に挿入した。
新たな蛋白質が、大腸菌(E.coli)W3110に、全バクテリア蛋白質を10
%より高いレベルで、不溶性蛋白質として発現した。患者の血清を用いてウエス
タンブロットを行ったところ、新たな蛋白質はTmpAを含有することが確認さ
れた。新たな融合蛋白質を精製するために、組換えバクテリアを超音波で破壊し
て得た不溶性断片を、尿素及び塩化グアニジウムで処理し、セファロース−ID
A−Cu2+ゲルに導入し[固定金属アフィニティークロマトグラフィー(immobi
lized metal affinity chromatography)]、融合蛋白質をSDS−PAGEに
よって、最終純度90%以上で選択的に
溶離させた。
図1の説明。15%ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
。株MM294内における抗HBsAg scFvの発現。組換え蛋白質抽出工
程。
レーン1:組換えMM294内の全蛋白質
レーン2:バクテリアペレットをPBS−リゾチームと共
にインキュベートした後の上清み
レーン3:レーン2のペレット
レーン4:レーン3のペレットを超音波破壊した後の上清
み
レーン5:壊破したペレット
レーン6:レーン5のペレットをPBS−2M尿素で洗浄
して得た上清み
レーン7:PBS−2M尿素で洗浄した後のペレット
レーン8:6M尿素で可溶化した後の上清み
レーン9:可溶化後のペレット
註:矢印は32−33kDa scFvの位置を示す。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
//(C12P 21/02
C12R 1:19)
(72)発明者 ハヴィロンド コウレイ、ジョルヘ ヴィ
クトル
キューバ国、シー.デ ラ ハバナ、プラ
ザ デ ラ レヴォルシオン、カレ ジー
ナンバー 460 エントレ 19 イ 21
(72)発明者 フェルナンデズ デ コシオ ドルタ−ド
ゥク、マリア エレナ
キューバ国、シー.デ ラ ハバナ、プラ
ーヤ、アプト 27 ピソ 6、アヴェニュ
ー 31 ナンバー 18207 エントレ 182
イ 184
(72)発明者 カナン−ハデン フリアス、レオンラド
ミフエル
キューバ国、シー.デ ラ ハバナ、プラ
ーヤ、アプト 3 ディー、カレ 186
ナンバー 3117 エントレ 31 イ 33
(72)発明者 デル カルメン ドミンフエズ ホルタ、
マリア
キューバ国、マタンザス、マタンザス、カ
レ 13 ナンバー 2016 エントレ 20
イ 22
【要約の続き】
るため、抗体断片は、HBsAgを認識又は検出するイ
ムノアッセイにも用いることができる。MAb CB−
Hep.1のH鎖可変領域の蛋白質配列の一部を、大腸
菌(E.coli)内で発現しバクテリアの内膜に結合する融
合蛋白質の構築に用いることで、精製工程を容易にする
ことができる。