JPH10500854A - 新規な寄生虫プロテアーゼの遺伝子およびタンパク質 - Google Patents

新規な寄生虫プロテアーゼの遺伝子およびタンパク質

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JPH10500854A
JPH10500854A JP7530582A JP53058295A JPH10500854A JP H10500854 A JPH10500854 A JP H10500854A JP 7530582 A JP7530582 A JP 7530582A JP 53058295 A JP53058295 A JP 53058295A JP H10500854 A JPH10500854 A JP H10500854A
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アール. フランク、グレン
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼおよび糸状虫システインプロテアーゼのタンパク質、そのようなタンパク質をコードする配列を有する核酸分子、そのようなタンパク質に対して誘発した抗体、ならびに寄生虫の金属エンドペプチダーゼまたはシステインプロテアーゼの活性を阻害できる化合物に関する。本発明は、そのような核酸分子、タンパク質、抗体および阻害剤を得る方法も包含する。本発明は、そのような核酸分子、タンパク質、抗体および阻害剤を含む治療組成物ならびに寄生虫、例えば心糸状虫が生起する疾病から動物を保護するためのそれらの用途も包含する。

Description

【発明の詳細な説明】 新規な寄生虫プロテアーゼの遺伝子およびタンパク質 発明の分野 本発明は、新規な寄生虫プロテアーゼの遺伝子、そのような遺伝子がコードす るタンパク質、そのようなタンパク質に対して誘発した抗体、およびそのような タンパク質を用いて生産したプロテアーゼ阻害剤に関する。本発明の特定のプロ テアーゼは、アスタシン金属エンドペプチダーゼ、およびシステインプロテアー ゼを包含する。本発明は、そのような核酸分子、タンパク質、抗体および阻害剤 を含む治療組成物ならびに寄生虫、例えば、心糸状虫のような組織移動性の蠕虫 が生起する疾病から動物を保護するためのそれらの用途も包含する。 発明の背景 ヒトをはじめとする、動物における寄生虫の感染は、化学的薬物を用いて治療 するのが一般的であるが、それは、入手できる効果的なワクチンが基本的に皆無 だからである。化学的薬物の一つの短所は、頻繁に投与しなければならないこと である。例えば、心糸状虫に対する感受性を有するイヌは、一般に、毎月投与し て、薬物の保護的レベルを維持する。しかし、寄生虫の感染を治療するための薬 物の反復投与は、もはや治療に応答しない耐性系統の発生を招くことが多い。そ の上、化学的薬物の多くは、治療しようとする動物に有害であり、耐性が築かれ るために、より多くの投与量が必要となるにつれて、副作用がはるかに強くなる 。 寄生虫の感染に対するワクチンを開発することは、寄生虫の生活環が複雑なこ とと、寄生虫または寄生虫抗原の投与は、有意な抗体応答の形成へと導くことが できるが、免疫応答が、一般に、感染に対して動物を保護するには不充分である こととの双方のために、特に困難である。 ほとんどの寄生虫に関しては、イヌ糸状虫Dirofilaria immitis、すなわち心 糸状虫を生じる蠕虫の生活環は、様々な生活形態を包含し、その各々が、免疫化 に対して異なる標的を提示し、かつ挑戦する。この寄生虫の成体形は、極めて大 型であり、動物の心臓および肺動脈に優先的に棲息する。雄虫は、一般に、約1 2〜約20センチメートル(cm)の長さで、約0.7〜約0.9ミリメートル (mm)の幅があり;雌虫は、約25〜約31cmの長さで、約1.0〜約1.3mm の幅がある。性的に成熟した成虫は、交尾後に、僅かに約300マイクロメート ル(μm)の長さで、約7μmの幅があるにすぎないミクロフィラリアを生み出す 。ミクロフィラリアは、毛細血管床を横断し、イヌの脈管系を、血液1ミリリッ トル(ml)あたりミクロフィラリア約103〜約105匹の濃度で循環する。イヌ における感染を証明する一つの方法は、循環するミクロフィラリアを検出するこ とである。 イヌを無昆虫の環境に保つならば、寄生虫の生活環は進行しない。しかし、ミ クロフィラリアが、感染したイヌでの血液摂食の際に雌のカ(蚊)によって摂取 されたときは、その後のミクロフィラリアの幼生への発育がカの体内で生じる。 ミクロフィラリアは、2段階の幼生期(L1およびL2)を通過し、最後に、約 1.1mmの長さの成熟した第三期幼生(L3)になり、次いで、カが咬むことに よって、イヌに逆伝搬され得る。したがって、最初の感染の原因となるのは、こ のL3期である。感染の早くも3日後には、L3は第四幼生期(L4)、次いで 、第五期、すなわち未熟成虫へと脱皮する。未熟成虫は、心臓および肺動脈へと 移動し、ここで、成熟かつ繁殖し、こうして血中にミクロフィラリアを生み出す 。イヌでの心糸状虫による「潜在的な」感染は、ミクロフィラリアは全く検出で きないが、胸部検診によって、成体糸状虫の存在が判定できることとして定義さ れる。 脱皮過程および組織移動は、双方とも、プロテアーゼを包含する、1種類また はそれ以上の酵素の作用を必要とするものと思われる。プロテアーゼ活性は、哺 乳動物ならびに多数の寄生虫(幼生の外分泌−分泌生成物も包含する)でも同定 されているが、一見して、いかなる寄生虫のアスタシン金属エンドペプチダーゼ 遺伝子、またはいかなる糸状虫のシステインプロテアーゼ遺伝子も全く同定され ていない。 アスタシン金属エンドペプチダーゼ(ザリガニに見出された金属エンドペプチ ダーゼのアスタシンとの類似性のために、そのように呼ばれる)は、金属プロテ アーゼの比較的新しく認められた部類であって、一見して、ショウジョウバエ属 、 ミバエ、アフリカツメガエル属のカエルおよびウニならびにヒト、マウスおよび ラットでも見出されている;例えば、Gomis-Ruthら、1993、J.Mol.Biol.、229、 945〜968;Jiangら、1992、FEBS Letters 312、110〜114;およびDumermuthら、 1991、J.Biol.Chem.266、21381〜21385を参照されたい。ヒト腸管とマウス腎 臓との刷子縁の金属エンドペプチダーゼは、約82%の相同性をアミノ末端の1 98アミノ酸で共有する。両者は、アスタシン、およびヒトの骨の形態形成タン パク質1のアミノ末端ドメインとは、約30%の相同性を共有する。アスタシン 族の成員は、拡大亜鉛結合ドメインの主題的要素を共有し、その共通配列は、Du mermuthら[前掲]によって、HEXXHXXGFXHE[ここで、Hはヒスチ ジン、Eはグルタミン酸、Gはグリシン、Fはフェニルアラニンであり、Xは、 いかなるアミノ酸であることもできる]であるとして同定された。Gomis-Ruthら [前掲]は、亜鉛結合ドメインの主題的要素を、His−Glu−Uaa−Xa a−His−Xaa−Uaa−Gly−Uaa−Xaa−His[ここで、Uaa は大容積非極性残基を有するアミノ酸である]として定義している。Jiangら[ 前掲]は、HEIGAIGFHE(下線をつけた文字は厳格に保存されてい る)として表した、拡大亜鉛結合ドメインの主題的要素ばかりでなく、アスタシ ン金属エンドペプチダーゼ間で保存された、ほぼ第15番〜ほぼ第19番のアミ ノ酸にわたるDRD、およびほぼ第53番〜ほぼ第61番のアミノ酸にわた るDYXSIMHYを含む、他の2種類の配列も開示して、拡大亜鉛結合ドメ インの主題的要素中の最初のヒスチジンが、アミノ酸第1位であると考えた。第 1、5および11位の3個のヒスチジンは、第61位のチロシンがそうであるよ うに、亜鉛の結合を担うものと思われる。第2位のグルタミン酸は、触媒作用を 担う。その他の重要なアミノ酸は、二次構造に関与する第8位のグリシン、およ び成熟酵素のアミノ末端で塩結合を形成する第12位のグルタミン酸を包含する 。 特に活性部位の前後の、共通配列は、セリンおよびシステインプロテアーゼに ついても同定されている;例えば、Sakanariら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci .USA、86、4863〜4867を参照されたい。システインプロテアーゼ遺伝子は、 いくつかの哺乳動物の源泉、および線虫である捻転胃Haemonchus contonus[例 えば、Prattら、1992、Mol.Biochem.Parasitol.、51、209〜218]およびカエノ ラーブジチス・エレガンスCaenorhabditis elegans[Rayら、1992、Mol.Biochem .Parasitol.、51、239〜250]から単離されているが、そのような遺伝子のクロ ーニングは、新規なシステインプロテアーゼ遺伝子のクローニングが簡単である ことを必ずしも予測させない。その理由としては、特に、異なるシステインプロ テアーゼが共有する配列は、共通配列に基づくプローブおよびプライマーが、高 度に縮重しているようなものだからである。 心糸状虫は、感染後に免疫を発生できない(すなわち、化学療法で治癒した後 でさえ、イヌが再感染することがあり得る)のが一般的である、イヌにおける主 要な問題であるばかりでなく、他の伴侶動物、例えばネコやフェレットにもます ます蔓延するようになっている。心糸状虫の感染は、ヒトでも報告されている。 他の寄生虫の感染も蔓延しており、すべてが、予防的ワクチン計画を包含する、 より優れた処置、および/または標的とする薬物療法を必要としている。 発明の概要 本発明の一実施態様は、厳格な条件下で、イヌ糸状虫のアスタシン金属エンド ペプチダーゼ遺伝子とハイブリダイズできる、単離された寄生虫核酸分子である 。そのような核酸分子、すなわち寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼの核 酸分子は、寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ遺伝子の調節領域を含むこ と、および/または寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ遺伝子の少なくと も一部をコードすることができる。本発明の好適な核酸分子は、配列番号1およ び/または配列番号2の少なくとも一部を含む。本発明は、本発明の寄生虫アス タシン金属エンドペプチダーゼの核酸分子を含む、組換え分子および組換え細胞 も包含する。本発明のそのような核酸、組換え分子および組換え細胞を製造する 方法も包含される。 本発明の別の実施態様は、寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼのタンパ ク質またはそのようなタンパク質のミメトープを含む、単離されたタンパク質で ある。本発明の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質は、好まし くは、アスタシン金属エンドペプチダーゼ活性を有し、および/または、効果的 な方式で動物に投与したとき、天然の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ タンパク質に対する免疫応答を誘発できるタンパク質を含む。本発明は、アスタ シン金属エンドペプチダーゼ活性の阻害剤ならびに本発明の寄生虫アスタシン金 属エンドペプチダーゼタンパク質および/またはそのミメトープを認識する(す なわち選択的に結合する)抗体も包含する。本発明のそのようなタンパク質、阻 害剤および抗体を生産する方法も含まれる。 本発明の更に別の実施態様は、厳格な条件下で、イヌ糸状虫のシステインプロ テアーゼ遺伝子とハイブリダイズできる、糸状虫の線虫の単離された核酸分子で ある。そのような核酸分子、すなわち糸状虫システインプロテアーゼ核酸分子は 、糸状虫のシステインプロテアーゼ遺伝子の調節領域を含むこと、および/また は糸状虫のシステインプロテアーゼタンパク質の少なくとも一部をコードするこ とができる。本発明の好適な核酸分子は、配列番号12の少なくとも一部を含む 。本発明は、本発明の糸状虫システインプロテアーゼ核酸分子を含む組換え分子 および組換え細胞も包含する。本発明のそのような核酸、組換え分子および組換 え細胞を生産する方法も包含される。 本発明の別の実施態様は、糸状虫システインプロテアーゼのタンパク質または そのようなタンパク質を包含する、単離されたタンパク質である。本発明の糸状 虫システインプロテアーゼタンパク質は、好ましくは、システインプロテアーゼ 活性を有し、および/または、有効な仕方で動物に投与したとき、天然の糸状虫 システインプロテアーゼタンパク質に対する免疫応答を誘発できるタンパク質を 含む。本発明は、システインプロテアーゼ活性の阻害剤ならびに本発明の糸状虫 のシステインプロテアーゼタンパク質および/またはそのミメトープを認識する (すなわち選択的に結合する)抗体も包含する。本発明のそのようなタンパク質 、阻害時および抗体を生産する方法も包含される。 本発明の更に別の実施態様は、寄生虫が生起する疾病から動物を保護できる治 療組成物である。そのような治療組成物は、下記の保護化合物のうち1種類以上 を含む:単離された寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質または そのミメトープ;厳格な条件下で、イヌ糸状虫のアスタシン金属エンドペプチダ ーゼ遺伝子とハイブリダイズできる単離された寄生虫核酸分子;抗寄生虫アスタ シン金属エンドペプチダーゼ抗体;寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ活 性を阻害できるその能力によって同定される、アスタシン金属エンドペプチダー ゼ活性の阻害剤;単離された糸状虫線虫システインプロテアーゼタンパク質また はそのミメトープ;厳格な条件下で、イヌ糸状虫システインプロテアーゼ遺伝子 とハイブリダイズできる、単離された糸状虫線虫核酸分子;抗糸状虫線虫システ インプロテアーゼ抗体;および糸状虫線虫システインプロテアーゼ活性を阻害で きるその能力によって同定される、システインプロテアーゼ活性の阻害剤。寄生 虫が生起する疾病から動物を保護する方法であって、本発明の治療組成物を効果 的な仕方で動物に投与することを含む方法も包含される。本発明の好適な治療組 成物は、動物を心糸状虫から保護できる組成物である。 本発明は、寄生虫のアスタシン金属エンドペプチダーゼ活性を阻害できる化合 物を同定する方法も包含する。そのような方法は、(a)単離された寄生虫アス タシン金属エンドペプチダーゼタンパク質を、推定される阻害化合物の不在下で は、アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質がアスタシン金属エンドペプ チダーゼ活性を有するという条件下で、推定される阻害化合物と接触させること ;および(b)該推定阻害化合物がアスタシン金属エンドペプチダーゼ活性を阻 害するか否かを決定することを含む。アスタシン金属エンドペプチダーゼ活性を 阻害できる化合物を同定するための試験キットであって、アスタシン金属エンド ペプチダーゼ活性を有する、単離された寄生虫アスタシン金属エンドペプチダー ゼタンパク質、および推定阻害化合物の存在下で、アスタシン金属エンドペプチ ダーゼ活性の阻害の程度を決定する手段を含む試験キットも包含される。 寄生虫のシステインプロテアーゼ活性を阻害できる化合物を同定する方法も、 本発明に包含される。そのような方法は、(a)単離された糸状虫システインプ ロテアーゼタンパク質を、推定阻害化合物の不在下では、糸状虫システインプロ テアーゼタンパク質がシステインプロテアーゼ活性を有するという条件下で、推 定阻害化合物と接触させること;および(b)該推定阻害化合物がシステインプ ロテアーゼ活性を阻害するか否かを決定することを含む。寄生虫のシステインプ ロテアーゼ活性を阻害できる化合物を同定するための試験キットであって、シス テインプロテアーゼ活性を有する、単離された糸状虫システインプロテアーゼタ ンパク質、および推定阻害化合物の存在下で、システインプロテアーゼ活性の阻 害の程度を決定する手段を含む試験キットも包含される。 発明の詳細な説明 本発明は、イヌ糸状虫のような寄生虫が、アスタシン金属エンドペプチダーゼ を発現するという発見を包含する。そのため、本発明は、そのようなタンパク質 をコードする核酸分子ならびに該タンパク質自体も包含する。本発明者らの知る ところでは、アスタシン金属エンドペプチダーゼは、以前は、ヒト、マウス、ラ ット、ザリガニ、ショウジョウバエ属、アフリカツメガエル属およびウニでのみ 見出されているにすぎない。本発明は、糸状虫線虫のシステインプロテアーゼを コードする核酸分子とシステインプロテアーゼ自体との、本発明者らによるその ような核酸分子の困難で、時間のかかる探求の後の、最初の同定および単離も包 含する。本発明の単離された核酸分子およびタンパク質は、そのような核酸分子 やタンパク質の同族体も含めて、寄生虫の感染から動物を保護することと、下記 に開示されるものをはじめとするその他の適用との双方に役立つ。 本発明の一実施態様は、単離された寄生虫(もしくは寄生虫性)アスタシン金 属エンドペプチダーゼタンパク質またはそのミメトープ(すなわち寄生虫アスタ シン金属エンドペプチダーゼタンパク質のミメトープ)である。本発明によれば 、単離されたか、または生物学的に純粋なタンパク質は、その自然の環境から取 り出されたタンパク質である。そのため、「単離(された)」および「生物学的 に純粋な」は、該タンパク質が精製された程度を必ずしも反映しない。単離され た寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質は、その天然の源泉から 得られる。そのような単離タンパク質は、組換えDNA技術または化学的合成を 用いても製造できる。 本明細書に用いられるように、単離された寄生虫アスタシン金属エンドペプチ ダーゼタンパク質は、完全な長さのタンパク質、またはそのようなタンパク質の いかなる同族体、例えば、該同族体がアスタシン金属エンドペプチダーゼ活性を 有し、および/または天然のイヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタン パク質に対する免疫応答を誘発できるように、アミノ酸を削除し(例えば、該タ ンパク質の断端した翻案、例えばペプチド)、挿入し、転化し、置換し、および /または(例えばグリコシル化、リン酸化、アセチル化、ミリスチル化、プレニ ル化、パルミチン酸付加、アミド化および/またはグリコシルホスファチジルイ ノシトールの付加によって)誘導体化したタンパク質であることもできる。本明 細書に用いられるように、その完全な長さの翻案が拡大亜鉛結合ドメインを含む タンパク質である、アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質は、アスタシ ン、および「アスタシン族の金属エンドペプチダーゼ」のその他の成員に類似の 特徴性を有する;例えばDumermuthら[前掲]を参照されたい。アスタシン金属 エンドペプチダーゼ活性を有するタンパク質は、亜鉛依存性プロテアーゼのアス タシンに類似の仕方でタンパク質を切断できるタンパク質である。アスタシン活 性は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)および1,10−フェナントロリン のような金属キレート化剤によって阻害されるが、サーモリシンや中性エンドペ プチダーゼを包含するいくつかの他の金属エンドペプチダーゼの阻害剤である、 ホスホラミドンによっては阻害されない。そのような活性は、当業者が検出でき る(例えばDumermuthら[前掲]を参照されたい)。天然タンパク質に対する免 疫応答を誘発できるタンパク質は、当業者に公知の手法を用いて、そのタンパタ 質(例えば該天然タンパク質またはその同族体)を免疫原として動物に投与した とき、該天然タンパク質(例えば、イヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダー ゼまたはイヌ糸状虫システインプロテアーゼ)に対する免疫応答(体液性および /または細胞性)を誘発できる1個以上のエピトープを有するタンパク質である 。免疫応答を遂行できるタンパク質の能力は、当業者に公知の手法を用いて測定 できる。免疫応答を測定する方法(例えば抗体検出、感染に対する耐性)の例を 、本明細書に開示する。 完全な長さのタンパク質の同族体を包含する、本発明の寄生虫アスタシン金属 エンドペプチダーゼタンパク質は、厳格な条件下で、イヌ糸状虫アスタシン金属 エンドペプチダーゼ遺伝子と(すなわちそれに)ハイブリダイズできる核酸分子 によってコードされているという別の特徴性を有する。本発明の好適なアスタシ ン金属エンドペプチダーゼタンパク質は、厳格な条件下で、配列番号1および/ または配列番号2として開示される核酸配列の少なくとも一部とハイブリダイズ できる。本明細書に用いられるように、ある実体「の少なくとも一部」という語 句は、その実体の機能的側面を有するのに少なくとも充分である、ある量の実体 を指す。例えば、本明細書に用いられるように、核酸配列の少なくとも一部とは 、厳格なハイブリダイゼーション条件下で、安定したハイブリッドを形成できる 、ある量の核酸配列である。本明細書に用いられる限りで、厳格なハイブリタイ ゼーション条件とは、類似の配列を同定するために、オリゴヌクレオチドも包含 する核酸の分子(または配列)が用いられる、標準的なハイブリダイゼーション 条件を指す。そのような標準的な条件は、例えばSambrookら[Molecular Clonin g:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Labs.Press、1989]に開示されて いる。そのような条件の例は、実施例のセクションで与えられる。安定したハイ ブリッドを形成するのに必要な相同性の程度は、相同な配列が、核酸分子全体に 散在しているか、または核酸分子の明確な領域に密集(すなわち局在)している かによって、変動し得ることに留意しなければならない。また、本発明によれば 、アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質の少なくとも一部は、アスタシ ン金属エンドペプチダーゼ活性を有するのに、および/または天然の寄生虫アス タシン金属エンドペプチダーゼに対する免疫応答を誘発できるのに充分な大きさ のタンパタ質である。 配列番号1および配列番号2は、それぞれnDiMPA11299およびnDiM PA22126で示される、2個のcDNA(相補的DNA)核酸分子の推定配列を 表し、その生産は、実施例に開示する。核酸配列決定の技術が完全に誤りかない わけではないため、配列番号1および配列番号2は、最良でも、それぞれの核酸 分子の見かけの核酸配列を表すことに留意しなければならない。下記に更に詳細 に考察するとおり、核酸分子nDiMPA11299およびnDiMPA22126は、 配列番号1および配列番号2から推定されるとおり、重複する開放読み枠を見か け上含む。 核酸分子nDiMPA11299は、本明細書ではPDiMPA1ORF1、PDiM PA1ORF2およびPDiMPA1ORF3と呼ぶ3個の開放読み枠を見かけ上含み、 その推定アミノ酸配列を、それぞれ配列番号3、配列番号4および配列番号5に 開示する。核酸分子nDiMPA22126は、本明細書ではPDiMPA2ORF1、 PDiMPA2ORF2、PDiMPA2ORF3、PDiMPA2ORF4およびPDiM PA2ORF5と呼ぶ5個の開放読み枠を見かけ上含み、その推定アミノ酸配列を、 それぞれ配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10 に開示する。両核酸分子の開放読み枠が重複することは、生体内での機能的なア スタシン金属エンドペプチダーゼの翻訳が枠移動を伴い得るという、可能性を増 大させる。配列番号1および配列番号2は、ともに、ステム−ループ構造を包含 する核酸配列を含み、それらが、枠移動ウイルス遺伝子発現のために、リボソー ムの減速に、したがって枠移動翻訳にも関係している。核酸分子nDiMPA11299 およびnDiMPA22126は、交互的なスプライシングの形状の結果でもあ り得る。 配列番号11は、nDiMPA22126がコードする5個の開放読み枠から導出 される複合アミノ酸配列を表す。そのため、配列番号11は、開示された開放読 み枠の組合せ、この場合は、PDiMPA2ORF1、PDiMPA2ORF2、PDi MPA2ORF3、PDiMPA2ORF4およびPDiMPA2ORF5の組合せの例であ る。配列番号11のアスタシンドメインは、ザリガニアスタシンのアミノ酸配列 との、約29%のアミノ酸配列の相同性(すなわち比較できる領域内での同一性 )を有する。本明細書に用いられるように、アスタシンドメインは、ザリガニア スタシンとの有意な相同性を共有する約200アミノ酸のアミノ酸配列であり、 これは200アミノ酸タンパク質である。配列番号11のアスタシンドメインは 、ほぼアミノ酸第99〜296位までにわたる。配列番号11のアスタシンドメ インは、ヒト骨形態形成タンパク質1、マウス腎刷子縁金属エンドペプチダーゼ 、ヒト腸管刷子縁金属エンドペプチダーゼおよびアフリカツメガエルXenopuslae vis の胚タンパク質UVS.2のアスタシンドメインとも、それぞれ約30%、 31%、33%および33%のアミノ酸レベルでの相同性を共有する(Dumermut hら[前掲]に与えられた配列を用いた)。 本発明の好適なアスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質は、配列番号1 1のアスタシンドメインとの(すなわち配列番号11のア タシンドメインの対 応する領域との)、約35%以上の、より好ましくは約45%以上の、さらに好 ましくは約60%以上の、はるかに好ましくは約75%以上のアミノ酸の相同性 を有するアミノ酸配列を含む。本発明の、より好適なアスタシン金属エンドペプ チダーゼタンパク質は、下記の開放読み枠のうち一つ以上の少なくとも一部を含 む:PDiMPA1ORF1、PDiMPA1ORF2、PDiMPA1ORF3、PDiM PA2ORF1、PDiMPA2ORF2、PDiMPA2ORF3、PDiMPA2ORF4お よびPDiMPA2ORF5:その推定アミノ酸配列を、それぞれ配列番号3、配列 番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および 配列番号10に開示する。 本発明の好適なアスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質は、拡大亜鉛結 合ドメインの主題的要素を含む。より好適なアスタシン金属エンドペプチダーゼ タンパク質は、Jiangら[前掲]によって同定され、上記に開示したとおりの、 チロシン亜鉛結合アミノ酸含有ドメインも含む。 寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質の同族体は、天然の対立 遺伝子の変異、または自然突然変異の結果であることができる。同族体は、該タ ンパク質に対する直接の修飾、あるいは、例えば、無作為の、もしくは標的とす る突然変異誘発を実施するための古典的な、または組換えDNAによる手法を用 いた、該タンパク質をコードする遺伝子に対する修飾を包含するが、それらに限 定されない、当技術に公知の手法を用いても、生産できる。同族体も包含する本 発明の単離アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質は、アスタシン金属エ ンドペプチダーゼ活性を遂行でき、および/または寄生虫アスタシン金属エンド ペプチダーゼタンパク質に対する免疫応答を誘発できる、該タンパク質の能力に よって、簡明な方式で同定できる。そのような同定手法の例を本明細書に開示す る。 本発明の単離のタンパク質の最小の大きさは、1エピトープを形成するのに充 分であって、一般的には、少なくとも約7〜約9アミノ酸の大きさである。当業 者が認識するとおり、エピトープは、天然には互いに隣接するアミノ酸、および 、天然タンパク質の三次構造のために、エピトープを形成するのに充分なだけ近 接しているアミノ酸を包含できる。 いかなる寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼも、本発明の適切なタンパ ク質である。タンパク質を単離する(天然タンパク質の単離、または組換えもし くは合成手法による該タンパク質の生産を包含する)のに適した寄生虫は、線虫 、条虫、吸虫、ノミ、ハエ、ダニ、シラミ、半翅類、およびバベシアBabesia、 クリプトスポリジウムCryptosporidium、アイメリアEimeria、エンケファリトゾ ーオンEncephalitozoon、ヘパトゾーオンHepatozoon、球虫Isospora、レーシュ マニアLeishmania、ネオスポラNeospora、小芽胞菌Nosema、マラリア原虫Plasmo dium 、ニューモシスチスPneumocvstis、タイレリアTheileria、トキソプラズマT oxoplasma およびトリパノソーマTrypanosmaという属の原生動物のような、しか しそれらに限定されない寄生性の蠕虫、原生動物および外部寄生虫を包含する。 好適な寄生虫は、組織移動性の寄生性蠕虫、特に組織移動性の線虫を包含する。 好適な線虫は、糸状虫、回虫、円虫および毛様線虫という線虫を包含する。特に 好適な組織移動性線虫は、アカントケイロネーマAcanthocheilonema、ネコ円虫A elurostrongylus 、ズビニ鉤虫Ancylostosma、アンギオストロンギルスAngiostro ngylus 、回虫Ascaris、ブルギアBrugia、ブノストマムBunostomum、肺吸虫Dicty ocaulus 、腎虫Dioctophyme、ディペタロネーマDipetalonema、イヌ糸状虫Dirofi laria 、メディナ虫Dracunculus、フィラロイデスFilaroides、ラゴキルアスカリ スLagochilascaris、ロア糸状虫Loa、マンソネラMansonella、ミュレリウスMuel lerius 、アメリカ鉤虫Necator、回旋糸状虫Onchocerca、パラフィラリアParafil aria 、ウマ回虫Parascaris、プロトストロンギルスProtostrongylus、セタリアS etaria 、ステファノフィラリアStephanofilaria、糞線虫Strongyloides、円虫St rongylus 、テラジアThelazia、トキスアスカリスToxascaris、イヌ回虫Toxocara 、旋毛虫Trichinella、極東鉤虫Uncinariaおよび糸状虫Wuchereriaという属の寄 生虫 を包含する。その他の特に好適な線虫は、毛細線虫Capillaria、カベルティアCh abertia 、クーパリアCooperia、ギョウ虫Enterobius、捻転胃虫Haemonchus、ネ マトディルスNematodirus、エソファゴストマムOesophagostomum、オステルタギ アOstertagia、毛様線虫Trichostrongylusおよびベン虫Trichurisという属の寄 生虫を包含する。好適な糸状虫線虫は、イヌ糸状虫属、アカントケイロネーマ属 、ブルギア属、ディペタロネーマ属、ロア糸状虫属、回旋糸状虫属、パラフィラ リア属、セタリア属、ステファノフィラリア属および糸状虫属の糸状虫線虫を包 含する。特に好適な寄生虫は、イヌ糸状虫属の線虫であり、心糸状虫を生起する 寄生虫であるイヌ糸状虫D. immitisが、さらに好適である。 本発明によれば、タンパク質のミメトープは、該タンパク質の能力を模倣でき るいかなる化合物をも意味し、それは、ミメトープが、該タンパク質を模倣する 構造を有するためであることが多い。例えば、寄生虫アスタシン金属エンドペプ チダーゼタンパク質のミメトープは、本発明の単離された寄生虫アスタシン金属 エンドペプチダーゼタンパク質の活性に類似する活性を有する化合物である。ミ メトープは、減成に対するその感受性が低下するよう修飾したペプチド;抗イデ ィオタイプおよび/もしくは触媒性抗体またはそのフラグメント;単離タンパク 質の非タンパク質性の免疫原性部分(例えば炭水化物構造);ならびに、核酸も 包含する合成または天然有機分子であることができるが、それらに限定されない 。このようなミメトープは、本発明のタンパク質のコンピュータで生成した構造 を用いて設計できる。ミメトープは、分子、例えばオリゴヌクレオチド、ペプチ ドその他の有機分子の無作為試料を生成すること、およびそのような試料を、例 えば本発明のタンパク質に対して誘発した抗体を用いるアフィニティークロマト グラフィーの手法によって、スクリーニングすることによって、得ることもでき る。 本発明の好適な寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質またはミ メトープは、効果的な仕方で動物に投与したとき、アスタシン金属エンドペプチ ダーゼ活性を阻害する治療に対して感受性を有する寄生虫が生起する疾病から、 該動物を保護できる化合物である。そのため、該寄生虫は、好ましくは、本発明 の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質で、好ましくはイヌ糸状 虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質で免疫した動物には、疾病を生 起することが基本的に不可能である。本発明によれば、寄生虫による疾病から動 物を保護できる本発明のタンパク質またはミメトープの能力とは、寄生虫が生起 する、疾病に至る感染も包含する疾病を、好ましくは該寄生虫に対する免疫応答 を誘発することによって、治療、軽減および/または予防できる、そのタンパク 質またはミメトープの能力を指す。そのような免疫応答は、体液性および/また は細胞性の免疫応答を包含できる。標的とするのに適した寄生虫は、本発明の寄 生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質を投与した動物に、基本的に は疾病を生起できないいかなる寄生虫をも包含する。そのため、標的とすべき寄 生虫は、本発明の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質に対する 体液性および/もしくは細胞性の応答が標的とすることができ、ならびに/また は寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ活性を実質的に阻害できる化合物が 標的とすることができて、それによって、動物に疾病を生起できる寄生虫の能力 の低下を招く、1個またはそれ以上のエピトープを有するタンパク質を生産する 、いかなる寄生虫をも包含する。標的とするのに適切かつ好適な寄生虫は、上記 に開示した寄生虫である。標的とするのに好適な部類の寄生虫は、組織移動性の 寄生性蠕虫を包含する。標的とするのに特に好適な線虫である蠕虫は、心糸状虫 を生じるイヌ糸状虫である。 本発明の一実施態様は、融合セグメントに結合した寄生虫アスタシン金属エン ドペプチダーゼのドメインを有する融合タンパク質である。本発明のタンパク質 の一部としての融合セグメントを有することは、生産、貯蔵および/または使用 の際のタンパク質の安定性を高めることができる。セグメントの特性に応じて、 融合セグメントは、そのような融合セグメントを含む本発明のタンパク質で免疫 した動物が備える免疫応答を増強するための、免疫強化剤としても作用できる。 その上、融合セグメントは、本発明のタンパク質の精製を単純化するための、例 えば、得られた融合タンパク質の、アフィニティークロマトグラフィーを用いた 精製を可能にするための手段として、機能できる。適切な融合セグメントは、望 みの機能を有する(例えば、増大した安定性をタンパク質に与え、増大した免疫 原性をタンパク質に与え、および/またはタンパク質の精製を単純化する)いか なる大きさのドメインであることもできる。1個またはそれ以上の融合セグメン トを用いることは、本発明の範囲内にある。融合セグメントは、該タンパク質の アスタシン金属エンドペプチダーゼ含有ドメインのアミノおよび/またはカルボ キシル末端に結合できる。融合セグメントと、融合タンパク質のアスタシン金属 エンドペプチダーゼ含有ドメインとの結合は、そのようなタンパク質のアスタシ ン金属エンドペプチダーゼ含有ドメインの簡明な回収を可能にするために、切断 に対して感受性を有することができる。融合タンパク質は、寄生虫アスタシン金 属エンドペプチダーゼ含有ドメインのカルボキシルおよび/またはアミノ末端の いずれかに結合した融合セグメントを有するタンパク質をコードする、融合核酸 分子で形質転換した組換え細胞を培養することによって、生産するのが好ましい 。 本発明に用いるのに好適な融合セグメントは、グルタチオン結合ドメイン、例 えば日本住血吸虫Schistosoma japonicumのグルタチオンS転移酵素(G T) 、またはグルタチオンに結合できるその一部;金属結合ドメイン、例えば二価金 属イオンに結合できるポリヒスチジンセグメント;免疫グロブリン結合ドメイン 、例えばプロテインA、プロテインG、T細胞、B細胞、Fc受容体もしくは補 体タンパク質の抗体結合ドメイン;麦芽糖結合タンパク質からの麦芽糖結合ドメ インのような、糖結合ドメイン;および/または「タグ」ドメイン(例えば、β −ガラクトシダーゼの少なくとも一部、ストレプタグペプチド、該ドメインに結 合する化合物、例えばモノクローナル抗体を用いて精製できるその他のドメイン )を包含する。より好適な融合セグメントは、金属結合ドメイン、例えばホリヒ スチジンセグメント;麦芽糖結合ドメイン;ストレプタグペプチド、例えば米国 フロリダ州TampaもBiometra社から入手できるもの;およびS10ペプチドを包 含する。本発明の好適な融合タンパク質の例は、PHIS−PDiMPA2804 であり、その生産を本明細書に開示する。 本発明の別の実施態様は、動物を1種類またはそれ以上の疾病から保護できる 、1個以上の追加のタンパク質セグメントも有する寄生虫アスタシン金属エンド ペプチダーゼタンパク質である。そのような多面的保護タンパク質は、互いに結 合 させた2個またはそれ以上の核酸ドメインを含む核酸分子で形質転換した細胞を 培養することによって生産できるが、その結合は、得られる核酸分子が、例えば 1種類以上の感染性作用因が生起する疾病から動物を保護できる、2種類以上の 保護化合物またはその部分を含む多面的保護化合物として発現されるようにする 。 多面的保護化合物の例は、他の1種類もしくはそれ以上の寄生虫タンパク質に 、本発明の糸状虫線虫システインプロテアーゼタンパク質とのように結合した、 寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質を包含するが、それらに限 らない。多面的保護化合物のその他の例は、他の1種類もしくはそれ以上の感染 性作用因、特にネコもしくはイヌに感染する作用因、例えば、それらに限られな いが、カリシウイルス、ジステンパーウイルス、ネコヘルペスウイルス、ネコ免 疫不全ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ伝染性腹膜炎、肝炎、鉤虫、レプト スピラ症、汎白血球減少症ウイルス、パルボウイルス、狂犬病およびトキソプラ ズマ症に対して保護する、1種類もしくはそれ以上の化合物に結合した寄生虫ア スタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質を包含する。 適切な心糸状虫多面的保護タンパク質は、1種類以上のその他のイヌ糸状虫タ ンパタ質、例えば、それらに限られないが、イヌ糸状虫Gp29タンパク質、イ ヌ糸状虫P39タンパク質、イヌ糸状虫P22Uタンパク質、イヌ糸状虫P22 Lタンパク質、イヌ糸状虫P20.5タンパク質、イヌ糸状虫P4タンパク質、 イヌ糸状虫Di22タンパク質、ならびに/またはL3および/もしくはL4幼 生で発現されるイヌ糸状虫プロテアーゼに結合した、本発明のイヌ糸状虫アスタ シン金属エンドペプチダーゼおよび/またはイヌ糸状虫システインプロテアーゼ ならびに有意な相同性をそのようなイヌ糸状虫タンパク質と共有するその他の蠕 虫タンパク質を包含するが、それらに限られない。有意な相同性を別のタンパク 質と共有するタンパク質とは、そのようなタンパク質をコードしている核酸配列 の、例えばSambrookら[前掲]に記載されたとおりの、厳格なハイブリダイゼー ション条件下で、安定したハイブリダイゼーション複合体を相互に形成できる能 力を指す。1994年3月8日出願された「イヌ糸状虫Gp29タンパク質、核酸分 子およびその用途」と題する米国特許願第08/208,885号明細書は、それらを コードするイヌ糸状虫Gp29タンパク質および核酸分子を開示している。1993 年1月12日出願された「免疫原性幼生タンパク質」と題する米国特許願第08/003 ,389号明細書は、本明細書ではP39と呼ぶ、39kD(キロダルトン)のイヌ糸 状虫タンパク質(大きさはトリスグリシンSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナト リウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)によって決定)、およびそれをコード する核酸配列を開示している。1993年1月12日出願された「ワクチンの同定のた めの試薬および方法」と題する米国特許願第08/003,257号明細書は、本明細書で はP22LおよびP20.5と呼ぶ、22kDおよび20.5kDのイヌ糸状虫タン パク質(大きさはトリスグリシンSDS−PAGEによって決定)、ならびにそ れらをコードする核酸配列を開示している。1993年8月19日出願された「新規な 寄生性蠕虫タンパク質」と題する米国特許願第08/109,391号明細書は、イヌ糸状 虫P4およびイヌ糸状虫P22Uとともに、それらをコードする核酸配列を開示 している。1993年5月10日出願された「心糸状虫ワクチン」と題する米国特許願 第08/060,500号明細書は、イヌ糸状虫Di22タンパク質、およびそれをコード する核酸配列を開示し(Genbankデータベース受入番号M82811に収録);特許願 第08/060,500号は、1991年4月8日出願された米国特許願第07/683,202号の継続 出願である。1993年11月16日出願された「心糸状虫に対するプロテアーゼワクチ ン」と題する米国特許願第08/153,554号明細書は、イヌ糸状虫の幼生プロテアー ゼを開示し;特許願第08/153,554号は、1991年11月12日出願された米国特許願第 07/792,209号の継続出願である。これらの特許明細書は、それぞれ、本明細書中 に参考としてその全体を援用する。 特に好適な寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質は、配列番号 1または配列番号2の少なくとも一部によってコードされたタンパク質であり、 そのため、それぞれ、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列 番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10で表される開放読み枠のう ち1個以上の少なくとも一部を含むアミノ酸配列を有するタンパク質である。好 適なタンパク質は、そのような読み枠の、機能性タンパク質を生じる組合せ、例 えば配列番号11を含むことができる。これらの開放読み枠を用いた相同性の検 索は、配列番号10以外のすべてが、アスタシン金属エンドペプチダーゼ族の公 知の成員、およびカエノラーブジチス・エレガンスCaenorhabditis elegansR1 51.5遺伝子産物(Genbank受入番号U00036[Wilsonら、1994、Nature、368、 32〜38])との有意な相同性を共有することを示し、カエノラーブジチス・エレ ガンスも、アスタシン金属エンドペプチダーゼをコードすることが示唆される。 拡大亜鉛結合ドメインの主題的要素、およびチロシン含有ドメインの主題的要素 が、特に充分に保存され、配列全体の相同性は、約24%である。 本発明の特に好適なタンパク質は、配列番号11のアスタシンドメインを有す るタンパク質、該ドメインを含むタンパク質(例えば、それらに限られないが、 完全な長さのタンパク質、融合タンパク質、および多面的保護を与えるタンパク 質)、ならびに該ドメインの、断端された同族体であるタンパク質を包含する。 それよりさらに好適なタンパク質は、PDiMPA2804およびPHIS−PD iMPA2804を包含する。 本発明の別の実施態様は、厳格な条件下で、イヌ糸状虫アスタシン金属エンド ペプチダーゼ遺伝子とハイブリダイズできる、単離された寄生虫核酸分子である 。本明細書で用いられるように、イヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ 遺伝子は、該遺伝子がコードするイヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ タンパク質の生産を制御する調節領域(例えば、それらに限られないが、転写、 翻訳または翻訳後の調節領域)、およびコード領域それ自体のような、天然のイ ヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ遺伝子に関連するすべての核酸配列 を包含する。本発明の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ核酸分子は、単 離された天然のいかなる寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ遺伝子または その同族体も包含できる。本発明の核酸分子は、1個所もしくはそれ以上の調節 領域、完全な長さの、もしくは部分的なコード領域、またはそれらの組合せを包 含できる。本発明の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼの核酸分子の最小 の大きさは、厳格なハイブリダイゼーション条件下で、安定したハイブリッドを 形成できる最小の大きさである。 本発明によれば、単離された核酸分子は、その自然な環境から取り出された (すなわち、大為操作に付された)核酸分子である。そのため、「単離(された )」は、該核酸分子が精製された程度は反映しない。単離核酸分子は、DNA、 RNA、またはDNAもしくはRNAのいずれかの誘導体を包含できる。 本発明の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼの単離核酸分子は、その天 然の源泉から、全体的な(すなわち完全な)遺伝子、または該遺伝子と安定した ハイブリッドを形成できるその一部のいずれとしても得ることができる。寄生虫 アスタシン金属エンドペプチダーゼの単離核酸分子は、組換えDNA技術(例え ばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、クローニング)または化学合成を用い ても製造できる。寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼの単離核酸分子は、 天然の核酸分子、ならびに、天然の対立遺伝子変異体および修飾した核酸分子を 包含するが、それらに限られないその同族体を包含するが、この修飾は、本発明 の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質をコードできるか、また は、厳格な条件下で、天然の単離体と安定したハイブリッドを形成できる核酸分 子の能力に、そのような修飾が実質的に干渉しないようにして、ヌクレオチドを 挿入、削除、置換および/または転化するものである。 寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼの核酸分子の同族体は、当業者に公 知の多くの方法(例えばSambrookら[前掲]を参照されたい)を用いて製造でき る。例えば、古典的な突然変異誘発の手法および組換えDNAの手法、例えば部 位指向性突然変異誘発、突然変異を誘発するための核酸分子の化学処理、制限酵 素による核酸フラグメントの切断、核酸フラグメントの連結、核酸配列の選ばれ た領域のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅および/または突然変異誘発、核 酸分子の混合物を「形成する」ためのオリゴヌクレオチド混合物の合成や混合物 群の連結、ならびにそれらの組合せを包含するが、それらに限られない、様々な 手法を用いて、核酸分子を修飾できる。核酸分子の同族体は、修飾した核酸の混 合物から、該核酸がコードするタンパク質の機能(例えば、アスタシン金属エン ドペプチダーゼ活性、または寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク 質の1個以上のエピトープに対して免疫応答を誘発できる能力)についてのスク リーニングによって、および/または厳格な条件下での寄生虫アスタシン金属 エンドペプチダーゼの単離核酸とのハイブリダイゼーションによって選択できる 。 本発明の単離核酸分子は、本発明の1種類以上の寄生虫アスタシン金属エンド ペプチダーゼタンパク質をコードする核酸配列を含むことができ、そのようなタ ンパク質の例を本明細書に開示する。語句「核酸分子」は、物理的な核酸分子を 専ら指し、語句「核酸配列」は、核酸分子上のヌクレオチドの配列を専ら指すが 、二つの語句は、特にタンパク質をコードできる核酸分子または核酸配列に関し ては、互換可能な形で用いることができる。これまで開示したとおり、本発明の 寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質は、完全な長さのアスタシ ン金属エンドペプチダーゼコード領域を有するタンパク質、部分的なアスタシン 金属エンドペプチダーゼコード領域を有するタンパク質、融合タンパク質、多面 的保護タンパク質およびそれらの組合せを包含するが、それらに限られない。 本発明の一実施態様は、厳格な条件下で、核酸分子であるnDiMPA11299 および/または核酸分子であるnDiMPA22126とハイブリダイズできる、寄 生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼの核酸分子である。そのようなものとし て、好適なアスタシン金属エンドペプチダーゼ核酸分子は、配列番号1および配 列番号2で表される核酸分子と、安定したハイブリッドを形成できる。特に好適 なアスタシン金属エンドペプチダーゼの核酸分子は、核酸分子nDiMPA112 99 および/または核酸分子nDiMPA22126の少なくとも一部を含む。そのた め、本発明の好適な核酸分子は、配列番号1または配列番号2の少なくとも一部 を有する核酸配列を含む。そのような核酸分子は、nDiMPA11299またはn DiMPA22126であることができ、nDiMPA11299またはnDiMPA22126 の他にもヌクレオチドを含むことができ、あるいはnDiMPA11299また はnDiMPA22126の断端フラグメントであることができる。特に好適な核酸 分子は、nDiMPA1689、nDiMPA11299、nDiMPA22126、nD iMPA2804、nDiMPA2271およびBvMPA2を包含し、それらの生産 を実施例に開示する。 本発明の一好適実施態様は、下記のアミノ酸配列で示されるとおりの、一個以 上の下記の開放読み枠をコードする核酸分子とハイブリダイズできる、寄生虫ア スタシン金属エンドペプチダーゼの核酸分子である:配列番号3、配列番号4、 配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10 および配列番号11。好ましくは、そのような核酸分子は約35%以上の、より 好ましくは約45%以上の、より一層好ましくは約60%以上の、そしてさらに 好ましくは約75%以上のアミノ酸の相同性を配列番号11と共有する、タンパ ク質をコードする。より好適なアスタシン金属エンドペプチダーゼ核酸分子は、 一個以上のそのような開放読み枠の少なくとも一部をコードする。特に好適なア スタシン金属エンドペプチダーゼの核酸分子は、拡大亜鉛結合ドメインの主題的 要素(すなわち、該主題的要素のカルボキシル末端まで、ならびに亜鉛結合ドメ イン全体まで)をコードする核酸分子と、より好ましくは、アスタシン金属エン ドペプチダーゼの開示されたその他の保存ドメイン、例えば、亜鉛と結合するも のと考えられる、チロシンを含む主題的要素をコードする核酸分子とも、安定し たハイブリッドを形成できる。 本発明のある種の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ核酸分子の核酸配 列を知ることは、当業者が、これらの核酸分子の複製を作成すること、ならびに そのような核酸分子、および寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼのその他 の核酸分子同族体の、少なくとも一部を含む核酸分子を得ることも可能にする。 そのような核酸分子は、本発明の抗体による適切な発現ライブラリーのスクリー ニング;本発明のオリゴヌクレオチドプローブを用いて適切なライブラリーもし くはDNAをスクリーニングする、慣用のクローニング手法;および本発明のオ リゴヌクレオチドプライマーを用いた適切なライブラリーもしくはDNAのPC R増幅を包含する、様々な方法で得ることができる。スクリーニングし、または それから増幅するのに好適なライブラリーは、寄生虫の幼生(特にL3、L4) および成虫のcDNAライブラリー、ならびにゲノムDNAのライブラリーを包 含する。同様に、スクリーニングし、またはそれから増幅するのに好適なDNA 源は、寄生虫の幼生(特にL3、L4)および成虫のcDNA、ならびにゲノム DNAを包含する。遺伝子をクローニングかつ増幅する手法は、例えばSambrook ら[前掲]に開示されている。 本発明は、本発明のその他の、好ましくはより長い、核酸分子の相補的領域、 例えば、イヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼの遺伝子の相補的領域を 包含する、寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼの遺伝子の相補的領域と、 厳格な条件下でハイブリダイズできるオリゴヌクレオチドである核酸分子も包含 する。そのようなオリゴヌクレオチドは、厳格な条件下で、nDiMPA11299 またはnDiMPA22126の相補的領域と、nDiMPA11299またはnDiM PA22126の少なくとも一部を含む核酸分子の相補的領域と、および、厳格な条 件下で、nDiMPA11299またはnDiMPA22126とハイブリダイズする核 酸分子の相補的領域とハイブリダイズできる。そのようなオリゴヌクレオチドは 、RNA、DNA、またはそのいずれかの誘導体であることができる。そのよう なオリゴヌクレオチドの最小の大きさは、与えられたオリゴヌクレオチドと、本 発明の別の核酸分子上の相補的配列との間に、安定したハイブリッドを形成する のに必要な大きさである。そのため、その大きさは、核酸の組成、および該オリ ゴヌクレオチドと相補的配列との相同性の百分率、ならびにハイブリダイゼーシ ョン条件それ自体(例えば温度、塩濃度)に左右される。ATに富む核酸配列、 例えば寄生性蠕虫のそれに対しては、オリゴヌクレオチドは、一般に、約15〜 約17塩基以上の長さである。オリゴヌクレオチドの大きさは、また、本発明に よるオリゴヌクレオチドの用途に充分でなければならない。本発明のオリゴヌク レオチドは、追加の核酸分子を同定するためのプローブとして、核酸分子を増幅 もしくは延長するためのプライマーとして、または、例えば寄生虫によるアスタ シン金属エンドペプチダーゼの発現を阻害するための治療の用途でのそれを包含 するが、それらに限られない様々な用途に用いることができる。そのような治療 的用途は、例えばアンチセンスに、トリプレックス形成に、リボザイムに、およ び/またはRNA薬物に基づく技術における、そのようなオリゴヌクレオチドの 用途を包含する。したがって、本発明は、そのような技術のうち一つまたはそれ 以上を用いることによって、アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質の生 産に干渉するための、そのようなオリゴヌクレオチドおよび方法を包含する。適 切なオリゴヌクレオチド含有治療組成物は、動物を疾病から保護するために、当 業 者に公知の手法を用いて、イヌ糸状虫のような寄生性蠕虫による感染の前後に該 動物に投与することができる。 本発明の別の実施態様は、糸状虫線虫の単離システインプロテアーゼタンパク 質またはそのミメトープである。本明細書で用いられるように、糸状虫線虫の、 または糸状虫の単離システインプロテアーゼタンパク質は、完全な長さの糸状虫 システインプロテアーゼタンパク質、またはそのようなタンパク質のいかなる同 族体であることもできる。糸状虫線虫のシステインプロテアーゼタンパク質は、 その同族体も含めて、寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質につ いて、本明細書に開示した方法に従って、単離かつ生産できる。糸状虫システイ ンプロテアーゼタンパク質の同族体およびミメトープは、寄生虫アスタシン金属 エンドペプチダーゼタンパク質の同族体およびミメトープと同様にして、定義さ れる。糸状虫システインプロテアーゼタンパク質(同族体を包含する)およびそ のミメトープは、それぞれ、糸状虫システインプロテアーゼタンパク質に対する 免疫応答を誘発でき(すなわち、免疫応答を誘発できる少なくとも1個のエピト ープを有する)、および/またはシステインプロテアーゼ活性を遂行できる。シ ステインプロテアーゼ活性は、免疫応答を遂行できるタンパク質の能力とともに 、当業者に公知の手法を用いて測定できる。システインプロテアーゼ活性は、シ ステインプロテアーゼ切断部位を有するペプチド、例えばz−Val−Leu− Arg−AMCを切断できるその能力によって測定できるが、そのような活性は 、例えばシステインプロテアーゼ阻害剤のE−64(Boehringer Mannheim社、 米国インジアナ州インジアナポリスより入手可能)によって阻害できる。好適な 糸状虫は、本明細書に開示されている。特に好適な糸状虫は、イヌ糸状虫である 。 本発明の糸状虫システインプロテアーゼタンパク質は、そのいかなる同族体も 含めて、厳格な条件下で、糸状虫システインプロテアーゼタンパク質をコードす る核酸配列の少なくとも一部を含む核酸分子とハイブリダイズできる核酸分子に よってコードされているという、追加的な特性を有する。好適なタンパク質は、 nDiCP143(その生成は、実施例で詳細に説明する)の少なくとも一部と、 安定したハイブリッドを形成する核酸分子がコードしている。配列番号12は、 推定されるその翻訳産物が、nDiCP143と呼ばれる、配列番号13で表され る47アミノ酸の配列である、nDiCP143の推定配列を表す。核酸配列決定 の技術が完全に無謬ではないため、配列番号12は、最良でも、完全な長さのイ ヌ糸状虫システインプロテアーゼの少なくとも一部をコードする核酸分子の、見 かけの核酸配列を表すことに留意しなければならない。更に、配列番号13は、 配列番号12が見かけ上開始コドンも終止コドンも保有しないため、イヌ糸状虫 システインプロテアーゼの内部アミノ酸配列を見かけ上表す。しかし、配列番号 13は、多数のシステインプロテアーゼ間で保存されているアミノ酸配列を有す る。 配列番号13と、公知の寄生虫システインプロテアーゼ遺伝子の対応する領域 との比較から、配列番号13は、捻転胃虫H. contortus(線虫の1種)、マンソ ン住血吸虫Schistosoma mansoni(吸虫の1種)、カエノラーブジチス・エレガ ンスC. elegans(線虫の1種)、カンテツFasciola hepatica(吸虫の1種)、 赤痢アメーバEntamoeba histolytica(原生動物の1種)、クルーズトリパノソ ーマTrypanosoma cruzi(原生動物の1種)およびブルーストリパノソーマT. br ucie からのシステインプロテアーゼと、それぞれ約16%、約22%、約24% 、約35%、約39%、約44%および約49%のアミノ酸レベルでの相同性を 共有することが示される。配列番号13は、ヒトカテプシンLとの約50%のア ミノ酸相同性、ニワトリカテプシンLとの約45%のアミノ酸相同性、およびウ エステルマン肺吸虫Paragonimus westermani(吸虫)のシステインプロテアーゼ との約56%のアミノ酸相同性も共有する。配列番号13のほぼ第30位のセリ ン、およびほぼ第37位のシステインは、これらのシステインプロテアーゼのす べてにおいて保存されている。上記に参照した配列のリストについては、例えば 下記を参照されたい:Heusslerら、1994、Mol.Biochem.Parasitol.、64、11〜 23;Eakinら、1990、Mol.Biochem.Parasitol.、39、1〜8;Rayら、前掲、Pratt ら、前掲、Sakanariら、前掲;Hamajimaら、ヨーロッパ公開特許第0524834A2号 公報、1993年1月27日公開。 本発明の好適な糸状虫プロテアーゼタンパク質は、配列番号13との約60% 以上の、より好ましくは約70%以上の、そしてさらに好ましくは約80%以上 の相同性を共有するアミノ酸配列を含む。本発明の特に好適な糸状虫システイン プロテアーゼタンパク質は、PDiCP142、PDiCP142を含むタンパク質( 完全な長さのタンパク質、融合タンパク質および多面的保護タンパク質を包含す るが、それらに限られない)、およびPDiCP142の少なくとも一部を含むタ ンパク質を包含する。 好適な糸状虫システインプロテアーゼタンパク質またはそのミメトープは、効 果的な方式で動物に投与したとき、システインプロテアーゼ活性を阻害する組成 物による治療に感受性を有する寄生虫が生起する疾病から、該動物を保護できる 化合物である。標的とするのに適した寄生虫は、本発明の糸状虫線虫のシステイ ンプロテアーゼタンパク質に対する体液性および/もしくは細胞性の応答が標的 とすることができ、ならびに/または糸状虫システインプロテアーゼ活性を実質 的に阻害できる化合物が標的とすることができ、それによって、動物に疾病を生 起できる寄生虫の能力の低下を招くことができる、1個またはそれ以上のエピト ープを有するタンパク質を生産するいかなる寄生虫でもある。適切かつ好適な寄 生虫は、上記に開示されている。標的とするのに好適な部類の寄生虫は、組織移 動性の寄生性蠕虫を包含する。標的とするのに特に好適な線虫は、心糸状虫を生 じるイヌ糸状虫である。 少なくとも1種類の糸状虫システインプロテアーゼタンパク質を含む、融合タ ンパク質および多面的保護タンパク質も、本発明に包含される。そのようなタン パク質は、寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質について開示し たのと同様の融合セグメントおよび/または多面的保護ドメインを含むことがで き、本発明の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質について開示 したのと同様な方式で生産できる。特に好適な融合タンパク質は、PHIS−P DiCP142を包含する。 本発明の更に別の実施態様は、厳格な条件下で、イヌ糸状虫システインプロテ アーゼ遺伝子とハイブリダイズできる、糸状虫線虫の単離された核酸分子である 。そのような核酸分子を、糸状虫線虫の、または糸状虫のシステインプロテアー ゼ 核酸分子と呼ぶ。本明細書で用いられるように、糸状虫システインプロテアーゼ 遺伝子は、該遺伝子がコードするイヌ糸状虫システインプロテアーゼタンパク質 の生産を制御する調節領域、およびコード領域それ自体のような、天然の糸状虫 システインプロテアーゼ遺伝子に関連するすべての核酸配列を包含する。本発明 の糸状虫システインプロテアーゼ核酸分子は、単離された天然の糸状虫システイ ンプロテアーゼ遺伝子またはその同族体を包含できる。本発明の核酸分子は、1 個所もしくはそれ以上の調節領域、完全な長さの、もしくは部分的なコード領域 、またはそれらの組合せを包含できる。本発明の糸状虫システインプロテアーゼ 核酸分子の最小の大きさは、厳格なハイブリダイゼーション条件下で、イヌ糸状 虫システインプロテアーゼ遺伝子と安定したハイブリッドを形成できる最小の大 きさである。糸状虫イミチスのシステインプロテアーゼ核酸分子は、寄生虫アス タシン金属エンドペプチダーゼ核酸分子の生産および単離について本明細書に教 示した方法に従って、単離かつ生産できる。システインプロテアーゼ核酸分子の 同族体は、該核酸がコードするタンパク質の機能(例えばシステインプロテアー ゼ活性、および/または糸状虫システインプロテアーゼタンパク質の1個以上の エピトープに対して免疫応答を誘発できる能力)についてのスクリーニング、お よび/または単離したイヌ糸状虫システインプロテアーゼ核酸との厳格な条件下 でのハイブリダイゼーションによって、修飾した核酸の混合物から選ぶことがで きる。 本発明の単離された糸状虫システインプロテアーゼ核酸分子は、本発明の1種 類以上の糸状虫システインプロテアーゼタンパク質をコードする核酸配列を含む ことができ、そのようなタンパク質の例を、本明細書に開示する。これまで開示 したとおり、本発明の糸状虫システインプロテアーゼタンパク質は、完全な長さ の糸状虫システインプロテアーゼコード領域、部分的な糸状虫システインプロテ アーゼコード領域を有するタンパク質、融合タンパク質、多面的保護タンパク質 、およびそれらの混合物を包含するが、それらに限られない。本発明は、そのよ うな核酸分子を発現しようとする細胞のコドンの用い方の特性に適合するよう修 飾した、糸状虫システインプロテアーゼタンパク質をコードする核酸分子も包含 す る。 本発明の一実施態様は、厳格な条件下で、イヌ糸状虫核酸分子のnDiCP14 3 (その推定配列を、配列番号12に開示する)とハイブリダイズできる核酸配 列を含む、糸状虫システインプロテアーゼ核酸分子である。好適な糸状虫システ インプロテアーゼ核酸分子は、配列番号13と、約60%以上の、より好ましく は約70%以上の、さらに好ましくは約80%以上のアミノ酸の相同性を有する タンパク質をコードする。配列番号13の少なくとも一部を含むイヌ糸状虫シス テインプロテアーゼタンパク質をコードする核酸分子が、より好適である。 本発明の好適な核酸分子は、イヌ糸状虫核酸分子nDiCP143の少なくとも 一部を含む。そのような核酸分子は、nDiCP143であることができ、nDi CP143の他にもヌクレオチドを含むことができ(例えば、それらに限られない が、完全な長さのタンパク質をコードする核酸分子、融合タンパク質をコードす る核酸分子、または多面的保護化合物をコードする核酸分子)、またはnDiC P143の断端フラグメントであることができる。特に好適な糸状虫システインプ ロテアーゼ核酸分子は、nDiCP143およびnDiCP142を含む。 本発明の発明者らには、クローニングされているシステインプロテアーゼが非 常に多様であるにもかかわらず、イヌ糸状虫システインプロテアーゼ核酸分子を 単離するという困難があった。公知の寄生虫システインプロテアーゼ遺伝子を包 含する、公知のシステインプロテアーゼ遺伝子から導出される共通配列を用いて 、本発明者らが設計したプライマーには、イヌ糸状虫システインプロテアーゼ遺 伝子を引き出すには基本的に過大である縮重があった。本発明者らは、イヌ糸状 虫コドンの用い方の偏りを組み込んだプライマーを用いることが、イヌ糸状虫シ ステインプロテアーゼ核酸分子、すなわちnDiCP143の初めての同定を可能 にすることを発見した。 核酸分子nDiCP143を同定すると、当業者は、この核酸分子の複製を作成 すること、ならびに完全な長さの遺伝子およびその同族体も包含する、他の糸状 虫線虫のシステインプロテアーゼ核酸分子を得ることもできる可能性がある。そ のような核酸分子は、本発明の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ核酸分 子の単離および生産について述べたような、様々な方法で得ることができる。ス クリーニングし、またはそれから増幅するのに好適なライブラリーは、糸状虫の 幼生(特にL3、L4)および成虫のcDNAライブラリー、ならびに糸状虫の ゲノムDNAライブラリーを包含する。同様に、スクリーニングし、またはそれ から増幅するのに好適なDNA源は、糸状虫の幼生(特にL3、L4)および成 虫cDNA、ならびに糸状虫ゲノムDNAを包含する。用いるのに好適なプライ マーおよびプローブは、与えられた糸状虫についてコドンを偏らせてある。 本発明は、厳格な条件下で、本発明のその他の、好ましくはより長い、核酸分 子の相補的領域と、例えば糸状虫システインプロテアーゼ遺伝子の相補的領域と ハイブリダイスできる、オリゴヌクレオチドである核酸分子も包含する。そのよ うなオリゴヌクレオチドは、厳格な条件下で、nDiCP143の相補的領域と、 nDiCP143の少なくとも一部を含む核酸分子の相補的領域と、および厳格な 条件下でnDiCP143とハイブリダイズする核酸分子の相補的領域とハイブリ ダイスできる。そのようなオリゴヌクレオチドは、RNA、DNA、またはその いずれかの誘導体であることができる。その他の基準、例えば最小の長さ、およ びそのようなオリゴヌクレオチドを生産し、かつ用いるための方法は、本発明の 寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼのオリゴヌクレオチドについて開示し たとおりである。 本発明は、核酸分子を宿主細胞内に送達できるいかなるベクターにも挿入され た、本発明の1種類以上の核酸分子(例えば寄生虫アスタシン金属エンドペプチ ダーゼ核酸分子および/または糸状虫システインプロテアーゼ核酸分子、その例 は本明細書に開示されている)を含有する組換えベクターも包含する。そのよう なベクターは、異種核酸配列、すなわち、天然には本発明の核酸分子の近隣には 見出されず、かつ、好ましくは、該核酸分子が導出された種以外の種から導出さ れた、核酸配列を有する。該ベクターは、RNAまたはDNAのいずれであるこ とも、原核性または真核性のいずれであることもでき、一般的には、ウイルスま たはプラスミドである。組換えベクターは、本発明の、イヌ糸状虫を包含する寄 生虫の核酸分子のクローニング、配列決定および/またはそれ以外の操作に用い ることができる。組換えベクターの一類型は、本明細書では組換え分子と呼び、 より詳細に下記に説明するが、本発明の核酸分子の発現に用い得る。好適な組換 えベクターは、形質転換した細胞内で複製できる。 本発明の組換えベクターに含ませるのに好適な核酸分子は、下記のうちの1種 類以上である:nDiMPA11299の少なくとも一部を含む核酸分子、nDiM PA22126の少なくとも一部を含む核酸分子、およびnDiCP143の少なくと も一部を含む核酸分子。本発明の組換えベクターに含ませるのに特に好適な核酸 分子は、nDiMPA1689、nDiMPA11299、nDiMPA22126、nD iMPA2804、nDiMPA2271、BvMPA2、nDiCP143およびnD iCP142を包含する。 本発明の単離タンパク質は、天然タンパク質の生産および回収、組換えタンパ ク質の生産および回収、ならびにタンパク質の化学合成を包含する様々な方法で 生産できる。一実施態様では、本発明の単離タンパク質は、該タンパク質を生産 するのに効果的な条件下で、該タンパク質を発現できる細胞を培養し、該タンパ ク質を回収することによって製造する。培養するのに好適な細胞は、本発明の1 種類またはそれ以上の核酸分子で宿主細胞を形質転換することによって生成され る、該タンパク質を発現できる組換え細胞である。細胞内への核酸分子の形質転 換は、核酸分子を該細胞に挿入できるいかなる方法を用いても達成できる。形質 転換の手法は、核酸移入、電気穿孔、微量注入、リポソーム移入、吸着およびプ ロトプラスト融合を包含するが、それらに限られない。組換え細胞は、単細胞性 のままでも、または組織、器官もしくは多細胞生物体へと増殖させてもよい。本 発明の形質転換された核酸分子は、染色体外に留まることも、または形質転換し た(すなわち組換えた)細胞の染色体内の1個所もしくはそれ以上の部位へと、 発現させようとするそれらの能力が保持されるような仕方で組み込むこともでき る。細胞を形質転換するのに好適な核酸分子は、本発明の寄生虫アスタシン金属 エンドペプチダーゼ核酸分子および/または糸状虫システインプロテアーゼ核酸 分子を包含する核酸分子である。細胞を形質転換するのに特に好適な核酸分子は 、nDiMPA1689、nDiMPA11299、nDiMPA22126、nDiMP A 2804、nDiMPA2271、BvMPA2、nDiCP143およびnDiCP142 を包含する。 形質転換するのに適した宿主細胞は、形質転換できるいかなる細胞も包含する 。宿主細胞は、形質転換されていない細胞、または1種類以上の核酸分子で既に 形質転換された細胞のいずれであることもできる。本発明の宿主細胞は、本発明 の、イヌ糸状虫を包含する寄生虫のタンパク質を内因的に(すなわち天然に)生 産できるか、または本発明の1種類以上の核酸分子で形質転換した後に、そのよ うなタンパク質を生産できるかのいずれかである。本発明の宿主細胞は、本発明 の1種類以上のタンパク質を生産できるいかなる細胞であることもでき、細菌、 真菌(酵母を包含する)、動物寄生虫(蠕虫、原生動物および外部寄生虫を包含 する)、昆虫、動物および植物の細胞を包含する。好適な宿主細胞は、細菌、マ イコバクテリア、酵母、蠕虫、昆虫および哺乳動物の細胞である。より好適な宿 主細胞は、サルモネラ属Salmonella、エスケリキア属Escherichia、バシルス属B acillus 、サッカロマイセス属Sacchromyces、スポドプテラ属Spodoptera、マイ コバクテリア属Mycobacteria、トリコプルシア属Trichoplusia、BHK(仔ハム スター腎)細胞、MDCK細胞(イヌヘルペスウイルス培養用正常イヌ腎細胞系 )、CRFK細胞(ネコヘルペスウイルス培養用正常ネコ腎細胞系)およびCO S細胞を包含する。特に好適な宿主細胞は、大腸菌K−12誘導体を包含する大 腸菌Escherichia coli;チフス菌Salmonella typhi;UK−1x3987および SR−11x4072のような弱毒株を包含するネズミチフス菌Salmonella typ himurium ;スポドプテラ・フルギペルダSpodoptera frugiperda;トリコプルシ ア・ニーTrichoplusia ni;BHK細胞;MDCK細胞;CRFK細胞および非 腫瘍原性マウス筋原細胞G8細胞(例えばATCC:CRL1246)である。 追加される適切な哺乳動物細胞の宿主は、その他の腎細胞系(例えばCV−1サ ル腎細胞系)、その他の線維芽細胞の細胞系(例えば、ヒト、ネズミまたはニワ トリの胚線維芽細胞の細胞系)、骨髄腫細胞系、チャイニーズハムスター卵巣細 胞および/またはHeLa細胞を包含する。 組換え細胞は、好ましくは、一つまたはそれ以上の転写調節配列を有する発現 ベクターに機能的に結合された、本発明の1種類またはそれ以上の核酸分子をそ れぞれ含む、1種類またはそれ以上の組換え分子で宿主細胞を形質転換させるこ とによって生成する。機能的に結合されたという語句は、発現ベクターへの核酸 分子の、宿主細胞内に形質転換したときに、該分子が発現できるような方式での 挿入を指す。本明細書に用いられるように、発現ベクターは、宿主を形質転換で き、かつ指定された核酸分子の発現を遂行できるDNAまたはRNAベクターで ある。好ましくは、該発現ベクターは、宿主細胞内で複製することもできる。発 現ベクターは、原核性または真核性のいずれであることもでき、一般的には、ウ イルスまたはプラスミドである。本発明の発現ベクターは、細菌、真菌、動物寄 生虫、昆虫、動物および植物の細胞を包含する、本発明の組換え細胞内で機能す る(すなわち遺伝子発現を支配する)いかなるベクターも包含する。本発明の好 適な発現ベクターは、細菌、酵母、蠕虫その他の寄生虫、昆虫および哺乳動物の 細胞内で、より好ましくは、これまで開示された細胞型内で遺伝子発現を支配で きる。 本発明の発現ベクターは、(a)発現された本発明のタンパク質(すなわち、 寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質および/もしくは糸状虫シ ステインプロテアーゼタンパク質)が、該タンパク質を生産する細胞から分泌さ れるのを可能にするための分泌シグナル(すなわち、シグナルセグメントの核酸 配列)を有してもよく、そして/または(b)挿入された本発明の核酸分子の、 融合タンパク質としての発現を招く融合配列を有してもよい。真核性組換え分子 は、本発明の核酸分子の核酸配列の周囲および/または内部に、干渉性の、およ び/または翻訳されない配列を含んでよい。融合セグメントの核酸がコードする 適切な融合セグメントの例は、開示されている。適切なシグナルセグメントは、 天然のシグナルセグメント(例えば、寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ またはシステインプロテアーゼのシグナルセグメント)、または本発明のタンパ ク質の分泌を支配できるいかなる異種シグナルセグメントも包含する。好適なシ グナルセグメントは、組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)、インター フェロン、インターロイキン、成長ホルモン、組織適合性およびウイルス外皮の 糖タンパク質のシグナルセグメントを包含するが、それらに限られない。 本発明の核酸分子は、プロモーター、オペレーター、リプレッサー、エンハン サー、終止配列、複製開始点、およびその他の、組換え細胞に適合し、本発明の 核酸分子の発現を制御する調節配列のような、調節配列を有する発現ベクターに 機能的に結合できる。特に、本発明の組換え分子は、転写調節配列を有する。転 写調節配列は、転写の開始、延長および終結を制御する配列である。特に重要な 転写調節配列は、転写開始を制御する配列、例えばプロモーター、エンハンサー 、オペレーターおよびリプレッサー配列である。適切な転写調節配列は、本発明 の組換え細胞のうち1種類以上で機能できる、いかなる転写調節配列も包含する 。様々なそのような転写調節配列が、当業者には公知である。好適な転写調節配 列は、細菌、酵母、蠕虫その他の寄生虫、昆虫および哺乳動物の細胞で機能する それ、例えば、それらに限られないが、tac、lac、trp、trc、ox y−pro、omp/lpp、rrnB、バクテリオファージラムダ(λ)(例 えば、λpLおよびλpR、ならびにそのようなプロモーターを含む融合)、バク テリオファージT7、T7lac、バクテリオファージT3、バクテリオファー ジSP6、バクテリオファージSP01、メタロチオネイン、α交配因子、ピキ ア属アルコール酸化酵素、アルファウイルスのサブゲノムプロモーター(例えば シンドビスウイルスのサブゲノムプロモーター)、バキュロウイルス、ヘリオチ ス・ゼアHeliothis zea昆虫ウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス 、ポックスウイルス、アデノウイルス、シミアンウイルス40、レトロウイルス アクチン、レトロウイルスの長い末端重複、ラウス肉腫ウイルス、熱ショック、 リン酸および硝酸転写調節配列ならびに、原核もしくは真核細胞での遺伝子発現 を制御できるその他の配列を包含する。追加される適切な転写調節配列は、組織 特異的なプロモーターおよびエンハンサー、ならびにリンホカイン誘導可能プロ モーター(例えば、インターフェロンまたはインターロイキンで誘導できるプロ モーター)を包含する。本発明の転写調節配列は、単離する前に寄生性蠕虫、例 えばイヌ糸状虫の分子に天然に付随する、天然に産する転写調節配列も包含でき る。 本発明の組換え分子は、形質転換しようとする細胞での核酸分子の発現を効果 的に調節できる、いずれかの転写調節配列のうち1種類以上に機能的に結合され た、これまで述べたいずれかの核酸分子のうち1種類以上を含み得る分子であっ て、その例は、本明細書に開示されている。特に好適な組換え分子は、pβga l−nDiMPA11299、pβgal−nDiMPA22126、ptrcHis− nDiMPA2804、pλPRHis−nDiMPA2804、pBBIII−nDiM PA22126およびptrcHis−nDicP142を包含する。そのような組換 え分子の生産に関する詳細は、本明細書に開示する。 本発明の組換え細胞は、本発明のいずれかの核酸分子のうち1種類以上で形質 転換したいかなる細胞も包含する。好適な組換え細胞は、寄生虫アスタシン金属 エンドペプチダーゼ核酸分子、例えばnDiMPA1689、nDiMPA11299 、nDiMPA22126、nDiMPA2804、nDiMPA2271もしくはBvM PA2の少なくとも一部、および/または糸状虫システインプロテアーゼ核酸分 子、例えばnDiCP143もしくはnDiCP142の少なくとも一部を含む核酸分 子で形質転換した細胞である。特に好適な組換え細胞は、大腸菌:pβgal− nDiMPA11299、大腸菌:pβgal−nDiMPA22126、大腸菌:pt rcHis−nDiMPA2804、大腸菌:pλPRHis−nDiMPA2804 、スポドプテラ・フルギペルダ:pBBIII−nDiMPA22126および大腸菌 :ptrcHis−nDicP142を包含する。これらの組換え細胞の生産に関 する詳細は、本明細書に開示する。 本発明の組換え細胞は、1種類またはそれ以上の本発明のタンパク質(例えば 寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質および/または糸状虫シス テインプロテアーゼタンパク質)と、1種類もしくはそれ以上の保護化合物を含 有できる多面的ワクチンの生産に役立つ、1種類またはそれ以上のその他のタン パク質とをコードする核酸分子を含む1種類またはそれ以上の組換え分子で同時 形質転換することもできる。 当業者には、組換えDNA技術の利用は、例えば、宿主細胞中の核酸分子のコ ピー数、これらの核酸分子が転写される効率、得られた転写体が翻訳される効率 、および翻訳後修飾の効率を操作することによって、形質転換された核酸分子の 発 現を改良できることが認識される可能性がある。本発明の核酸分子の発現を増大 させるのに役立つ組換え手法は、核酸分子と高コピー数のプラスミドとの機能的 な結合、1個またはそれ以上の宿主細胞染色体への核酸分子の組込み、プラスミ ドへのベクター安定性配列の付加、転写調節シグナル(例えばプロモーター、オ ペレーター、エンハンサー)の置換または修飾、翻訳調節シグナル(例えばリボ ソーム結合部位、シャイン−ダルガルノ配列)の置換または修飾、宿主細胞のコ ドンの用い方に対応させるための、本発明の核酸分子の修飾、転写体を不安定化 する配列の削除、および発酵の際に組換え細胞の増殖を組換え酵素生産から一時 的に分離する調節シグナルの利用を包含するが、それらに限られない。発現され た本発明の組換えタンパク質の活性を、そのようなタンパク質をコードする核酸 分子を分断、修飾または誘導体化することによって、向上させてよい。 本発明によれば、本発明の組換え細胞は、本発明の1種類またはそれ以上のタ ンパク質を、そのようなタンパク質を生産するのに効果的な条件下でそのような 細胞を培養し、かつ該タンパク質を回収することによって、生産するのに用いる ことができる。タンパク質を生産するのに効果的な条件は、タンパク質生産を可 能にする適切な培地、バイオリアクター、温度、pHおよび酸素の条件を包含する が、それらに限られない。適切な培地とは、本発明の細胞を培養したときに、そ れが本発明の、イヌ糸状虫タンパク質を包含する寄生虫タンパク質を生産できる 、いかなる培地も意味する。効果的な培地は、一般に、同化できる炭水化物、窒 素およびリン酸塩の供給源ならびに、適切な塩類、無機質、金属およびその他の 栄養素、例えばビタミン類を含む水性培地である。該培地は、複合栄養素を含ん でよく、または規定された最小培地でもよい。本発明の細胞は、回分式、流加培 養式、細胞再循環式および連続式の発酵槽を包含するが、それらに限られない慣 用の発酵バイオリアクターで培養できる。培養は、振盪フラスコ、試験管、微量 滴定ディッシュおよびペトリ皿中でも実施できる。培養は、組換え細胞に適した 温度、pHおよび酸素含量で実施する。そのような培養条件は、充分に当業者の熟 練の範囲内にある。適切な条件の例は、実施例のセクションに含まれている。 生産に用いられるベクターおよび宿主系に応じて、得られる本発明のタンパク 質は、組換え細胞内に残留するか;発酵培地に分泌されるか;2細胞膜間の空間 、例えば大腸菌の細胞周辺腔に分泌されるか;または細胞もしくはウイルスの膜 の外表面に保持されてよい。語句「タンパク質を回収する」とは、該タンパク質 を含有する発酵培地全体を単に捕集することを意味し、分離または精製の追加的 段階を含意する必要はない。本発明のタンパク質は、様々な標準的タンパク質精 製手法、例えば、それらに限られないが、アフィニティークロマトグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィー、濾過、電気泳動、疎水性相互作用クロマトグラ フィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、コンカナバリ ンAクロマトグラフィー、クロマトフォーカシングおよび示差可溶化を用いて精 製できる。本発明のタンパク質は、好ましくは、「実質的に純粋な形態」で回収 される。本明細書に用いられるように、「実質的に純粋」とは、治療組成物また は診断剤としてのタンパク質の効果的な使用を可能にする純度を指す。例えば、 動物用ワクチンは、実質的な毒性を全く示さず、かつ予防接種した動物での抗体 の生産を刺激できなければならない。 本発明は、本発明のタンパク質またはそのミメトープに選択的に結合できる単 離抗体も包含する。本発明の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク 質に選択的に結合できる抗体は、抗寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ抗 体と呼ばれる。本実施態様の特に好適な抗体は、抗イヌ糸状虫アスタシン金属エ ンドペプチダーゼ抗体である。本発明の糸状虫システインプロテアーゼタンパク 質に選択的に結合できる抗体は、抗糸状虫システインプロテアーゼ抗体と呼ばれ る。この実施態様の特に好適な抗体は、抗イヌ糸状虫システインプロテアーゼ抗 体である。単離抗体は、その天然の環境から取り出された抗体である。用語「単 離(された)」は、そのような抗体の純度の状態を意味しない。そのため、単離 抗体は、様々な程度に精製された、そのような1種類または数種類の抗体を含有 する抗血清を包含できる。本明細書に用いられるように、用語「選択的に結合す る」とは、そのような抗体の、本発明の指定されたタンパク質およびそのミメト ープに優先的に結合できる能力を意味する。結合は、免疫ブロット検定、免疫沈 降検定、放射線免疫検定、酵素免疫検定(例えばELISA)、免疫蛍光抗体検 定、および免疫電子顕微鏡検査を包含する、当業者に公知の様々な方法を用いて 測定できる;例えばSambrookら[前掲]を参照されたい。 本発明の抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体のいずれであるこ ともできる。本発明の抗体は、該抗体を得るのに用いられるタンパク質のエピト ープまたはミメトープのうち1個以上に選択的に結合できる、一本鎖抗体も包含 する抗体フラグメント、および遺伝的に加工された抗体のような機能的等価物を 包含する。好適な抗体は、本発明の核酸分子が少なくとも部分的にコードしてい る、タンパク質またはそのミメトープに応答して誘発される。 本発明の抗体を生産する好適な方法は、(a)該抗体を生産するのに効果的な 量の本発明のタンパク質またはそのミメトープを動物に投与すること、および( b)該抗体を回収することを含む。規定されたタンパク質またはミメトープに対 して誘発した抗体は、好都合であり得るが、それは、そのような抗体は、治療組 成物に用いたならば診断用検定における干渉または副作用をあるいは生じかねな い、その他の物質に対する抗体で実質的に汚染されていないからである。 本発明の抗体は、本発明の範囲内にある各種の潜在的な用途を有する。例えば 、そのような抗体は、(a)動物を受動的に免疫して、そのような抗体による治 療に感受性を有する寄生虫から該動物を保護するワクチンとして、(b)そのよ うな寄生虫による感染を検出する検定での試薬として、および/または(c)タ ンパク質とその他の汚染物質との混合物から望みの本発明のタンパク質を回収す る手段として用いることができる。 その上、本発明の抗体は、本発明の寄生虫を細胞傷害性薬剤の標的にさせて、 そのような寄生虫を直接殺すのに用いることができる。標的化は、当業者に公知 の手法を用いて、そのような抗体を該細胞傷害性薬剤に接合(すなわち安定的に 結合)することによって達成できる。適切な細胞傷害性薬剤は、二本鎖毒素(す なわち、AおよびB鎖を有する毒素)、例えばジフテリア毒素、リシン毒素、シ ュードモナス外毒素、モデッシン毒素、アブリン毒素および志賀毒素;一本鎖毒 素、例えばアメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、αアマニチンおよびリボ ソーム阻害タンパク質;ならびに化学毒素、例えばメルファラン、メトトレキサ ート、窒素マスタード、ドキソルビシンおよびダウノマイシンを包含するが、そ れらに限られない。好適な二本鎖毒素は、該毒素の毒性ドメインおよび転位ドメ インは含むが、毒素の固有細胞結合ドメインを欠くように修飾される。 本発明の一実施態様は、効果的な仕方で動物に投与したとき、下記の処置のう ち少なくとも一つに感受性を有する寄生虫が生起する疾病から、該動物を保護で きる治療組成物である:本発明の単離寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ による免疫化、本発明の単離糸状虫システインプロテアーゼによる免疫化、アス タシン金属エンドペプチダーゼ活性の阻害剤の投与、またはシステインプロテア ーゼ活性の阻害剤の投与。本明細書に用いられるように、そのような処置に感受 性を有する寄生虫は、そのような処置を効果的な仕方で動物に施したならば、該 動物に疾病を生起できる能力の実質的低下を示す寄生虫である。そのような寄生 虫は、直前に列挙したもの以外の処置にも感受性を有し得ることを理解しなけれ ばならない。そのような処置は、本明細書に開示された追加処置または治療組成 物を包含できるが、それらに限られない。 本発明の治療組成物は、下記の保護化合物のうち1種類以上を含む:(a)単 離された寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質、またはそのミメ トープ;(b)厳格な条件下でイヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ遺 伝子とハイブリダイズできる、単離寄生虫核酸分子;(c)抗寄生虫アスタシン 金属エンドペプチダーゼ抗体;(d)寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ 活性を阻害できるその能力によって同定される、アスタシン金属エンドペプチダ ーゼ活性の阻害剤;(e)単離された糸状虫線虫システインプロテアーゼタンパ ク質またはそのミメトープ;(f)厳格な条件下でイヌ糸状虫システインプロテ アーゼ遺伝子とハイブリダイズできる、単離された糸状虫線虫核酸分子;(g) 抗糸状虫線虫システインプロテアーゼ抗体;および(h)糸状虫線虫システイン プロテアーゼ活性を阻害できるその能力によって同定される、システインプロテ アーゼ活性の阻害剤。本明細書に用いられるように、保護化合物は、効果的な仕 方で動物に投与されたとき、本発明の寄生虫が生起する疾病を治療、軽減および /または予防できる化合物を指す。標的とするのに好適な寄生虫は、これまでに 開示されている。本発明のタンパク質、核酸分子および抗体の例は、本明細書中 に開示されている。本発明のアスタシン金属エンドペプチダーゼ阻害剤およびシ ステインプロテアーゼ阻害剤は、下記により詳細に説明する。 本発明は、本発明の1種類以上の、アスタシン寄生虫金属エンドペプチダーゼ または糸状虫線虫システインプロテアーゼに基づく保護化合物を、1種類または それ以上の感染性作用因に対して保護する1種類以上の追加の化合物と組合せて 含む治療組成物も包含する。そのような化合物および感染性作用因の例は、これ までに開示されている。 本発明の治療組成物は、そのような治療法に感受性を有するいかなる動物にも 、好ましくは哺乳動物に、より好ましくはイヌ、ネコ、ヒト、フェレット、ウマ 、ウシ、ヒツジならびに他の愛玩および/または実利的食用動物に投与できる。 保護するのに好適な動物は、イヌ、ネコ、ヒトおよびフェレットであり、イヌお よびネコが特に好適である。 一実施態様では、本発明の治療組成物は、心糸状虫の蔓延を防ぐために、その 中で寄生虫がミクロフィラリアからL3へと発育する媒介生物、例えばカに投与 することができる。そのような投与は、経口的にか、または本発明の1種類以上 の治療組成物を生産できるトランスジェニックな媒介生物を発生させることによ って、実施できると思われる。別の実施態様では、媒介生物、例えばカは、本発 明の治療組成物を投与された宿主の血中に存在する治療組成物を摂取できる。 本発明の治療組成物は、治療しようとする動物が耐容できる賦形剤中に配合で きる。そのような賦形剤の例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース 液、ハンクス液、およびその他の生理的均衡塩類水溶液を包含する。非水性賦形 薬、例えば不揮発油、ゴマ油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド類も用い てよい。その他の有用な配合物は、増粘剤、例えばカルボキシルメチルセルロー スナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含有する懸濁液を包含する。 賦形剤は、少量の添加物、例えば、等張性および化学的安定性を高める物質も含 有できる。緩衝剤の例は、リン酸緩衝剤、重炭酸緩衝剤およびトリス緩衝剤を包 含し、一方、防腐剤の例は、チメロサール、m−またはo−クレゾール、ホルマ リンおよびベンジルアルコールを包含する。標準配合物は、液体注射可能物、ま たは、注射に適した懸濁液もしくは溶液としての液体に溶解できる固体のいずれ であることもできる。したがって、液体でない配合物では、賦形剤は、デキスト ロース、ヒト血清アルブミン、防腐剤等々を含むことができ、投与の前に無菌の 水または生理食塩水をこれに加えることができる。 本発明の一実施態様では、治療組成物は、免疫強化剤、例えばアジュバントま たは担体も含有できる。アジュバントは、一般に、特異抗原に対する動物の免疫 応答を全般的に強化する物質である。適切なアジュバントは、フロインドアジュ バント;他の細菌の細胞壁成分;アルミニウム系の塩類;カルシウム系の塩類; シリカ;ポリヌクレオチド;トキソイド;血清タンパク質;ウイルスコートタン パク質;他の細菌に由来する製剤;γインターフェロン;ブロック共重合体アジ ュバント、例えばハンターのTitermaxアジュバント(Vaxcel[登録商標]社、米 国ジョージア州Norcross);Ribiアジュバント(Ribi ImmunoChem Research社[ 米国モンタナ州Hamilton]より入手可能);ならびにサポニンおよびそれらの誘 導体、例えばQuil A(デンマータ国のSuperfos Biosector A/Sより入手可能)を 包含するが、それらに限られない。担体は、一般に、投与された動物での治療組 成物の半減期を増大させる化合物である。適切な担体は、重合体の徐放性配合物 、生物分解できる移植物、リポソーム、細菌、ウイルス、油類、エステルおよび グリコール類を包含するが、それらに限られない。 本発明の寄生虫が生起する疾病から動物を保護するには、本発明の治療組成物 を、該組成物が、寄生虫が生起する疾病から該動物を保護できるような効果的な 方式で、該動物に投与する。例えば、単離されたタンパク質またはそのミメトー プは、効果的な仕方で動物に投与したとき、該動物を疾病から保護するのに充分 である、好ましくは体液性および細胞性の応答をともに包含する、免疫応答を誘 発(すなわち刺激)できる。同様に、本発明の抗体は、効果的な仕方で動物に投 与したとき、少なくとも一時的には、該動物を疾病から保護するのに充分である 力価で該動物中に存在するような量で投与する。本発明のオリゴヌクレオチドの 核酸分子も、効果的な仕方で投与し、それによってアスタシン金属エンドペプチ ダーゼまたはシステインプロテアーゼのタンパク質の発現を低下させて、本発明 に従って標的とされた寄生虫の発育に干渉することができる。 本発明の治療組成物は、感染前に動物に投与して、感染を防止でき、および/ または感染後に動物に投与して、該寄生虫が生起する疾病を治療できる。例えば 、タンパク質、そのミメトープおよびその抗体を免疫療法剤として用いることが できる。 治療組成物を効果的な仕方で投与するための、許容され得るプロトコルは、個 別的な投与分の多少、投与分の回数、投与分投与の頻度、および投与の様式を包 含する。そのようなプロトコルの決定は、当業者が達成できる。適切な一回投与 分は、適切な期間にわたって1回またはそれ以上投与したとき、動物を疾病から 保護できる投与分である。例えば、タンパク質、ミメトープまたは抗体の治療組 成物の好適な一回投与分は、動物の体重1kgあたり該治療組成物約1マイクログ ラム(μg)〜約10ミリグラム(mg)である。ブースター予防接種は、当初の 投与の約2週〜数年後に投与できる。ブースター予防接種は、好ましくは、動物 の免疫応答が疾病から動物を保護するのに不充分になったときに、投与する。好 適な投与計画は、動物の体重1kgあたりワクチン約10μg〜約1mgを、約2週 〜約12ケ月の期間にわたって約1〜約2回投与する計画である。投与の様式は 、皮下、皮内、静脈内、鼻内、経口、経皮および筋内の経路を包含できるが、そ れらに限られない。 一実施態様によれば、本発明の核酸分子は、動物に、疾病から保護しようとす る該動物での保護タンパク質または保護RNA(例えばアンチセンスRNA、リ ボザイムまたはRNA薬)への該核酸分子の発現を可能にする様式で投与できる 。核酸分子は、(a)直接の注射(例えば、Wolffら[Science、247、1465〜146 8、1990年]に例えば教示されたような、「露出した」DNAもしくはRNA分 子として)、または(b)組換えウイルス粒子ワクチンもしくは組換え細胞ワク チンとして包装(すなわち、組換えウイルス粒子ワクチンおよび組換え細胞ワク チンよりなる群から選ばれる賦形薬によって細胞に送達される)を包含するが、 それらに限られない様々な方法で動物に送達できる。 本発明の組換えウイルス粒子ワクチンは、ウイルスコートに包装され、投与後 に動物で発現できる本発明の組換え分子を含有する。好ましくは、該組換え分子 は包装物を欠く。アルファウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、ヘル ペスウイルスおよびレトロウイルスに基づくものを包含するが、それらに限られ ない多数の組換えウイルス粒子を用いることができる。好適な組換え粒子ウイル スは、アルファウイルス(例えばシンドビスウイルス)、ヘルペスウイルスおよ びポックスウイルスに基づくウイルスである。組換えウイルス粒子ワクチンを生 産かつ使用する方法は、「組換えウイルス粒子ワクチン」と題する、1993年2月 8日出願の米国特許願第08/015,414号明細書に開示され、その全体を本明細書中 に参考として援用する。 動物に投与したとき、本発明の組換えウイルス粒子ワクチンは、免疫された動 物の体内で細胞に感染し、本発明の寄生虫が生起する疾病から該動物を保護でき る、保護タンパク質またはRNA核酸分子の生産を支配する。例えば、本発明の イヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ核酸分子および/またはイヌ糸状 虫システインプロテアーゼ核酸分子を含む組換えウイルス粒子を、自身を心糸状 虫から保護するのに充分な免疫応答を生じる動物を生み出すプロトコルに従って 、投与する。本発明の組換えウイルス粒子ワクチンの好適な一回投与量は、動物 の体重1kgあたり約1x104〜約1x107ウイルスプラータ形成単位(pfu) である。投与プロトコルは、タンパク質に基づくワクチンについて本明細書に記 載したものと同様である。 本発明の組換え細胞ワクチンは、本発明の少なくとも1種類のタンパク質を発 現する本発明の組換え細胞を含有する。好適な組換え細胞は、サルモネラ属、大 腸菌、マイコバクテリウム属、スポドプテラ・フルギペルダ、仔ハムスター腎、 筋原細胞G8、COS、MDCKおよびCRFKの組換え細胞を包含し、サルモ ネラの組換え細胞がより好適である。そのような組換え細胞は、様々な方法で投 与できるが、経口的に、好ましくは体重1kgあたり細菌約108〜約1012個と いう範囲の投与分で、投与できるという利点を有する。投与プロトコルは、タン パク質に基づくワクチンについて本明細書に記載したものと同様である。組換 え細胞ワクチンは、全細胞または細胞溶解物を含むことができる。 他のほとんどの腸内病原体と共通して、サルモネラ属の菌株は、通常、経口的 に宿主に侵入する。一度腸管内に達したならば、粘膜表面と作用し合って、通常 は、侵襲性感染を確立する。ほとんどのサルモネラ属の感染は、上皮表面で制御 されて、代表的なサルモネラ誘発性胃腸炎を生じる。チフス菌、およびいくつか のネズミチフス菌分離株を包含する、何種類かのサルモネラ属の菌株は、宿主内 により深く侵入できる能力を発達させていて、拡散した全身性感染を生じる。そ のような菌株は、マクロファージその他の免疫細胞の殺傷作用に抵抗する力量を 有するものと思われる。チフス菌は、通性細胞内寄生体として長期間存在できる 。何種類かの生ワクチンの菌株も、単核食細胞系内に長期間存続できる。そのよ うにして感染した宿主は、粘膜の免疫応答に加え、サルモネラ属に対する全身的 な細胞性および血清抗体性の応答を発生する。したがって、強毒性であれ弱毒性 であれ、侵襲性のサルモネラ属は、局所的な非侵襲性消化管感染を生起するにす ぎない他の多くの腸内病原体とは異なり、強度の免疫応答を刺激できる。生きた サルモネラ属の強力な免疫原性は、それらを、本発明の核酸分子、およびそれら がコードするタンパク質を免疫系へと輸送するための、関心が惹かれる候補にし ている。 組換え細胞に基づく好適なワクチンは、該細胞が弱毒化されているワクチンで ある。例えば、ネズミチフス菌の菌株は、生体内での増殖および生存に決定的に 重要な遺伝子に突然変異を導入することによって、弱毒化できる。例えば、サイ クリックアデノシン−リン酸(cAMP)受容体タンパク質またはアデニル酸シ クラーゼをコードする遺伝子を削除して、非強毒性のワクチン菌株を形成する。 そのような菌株は、抗原を消化管内のリンパ系組織に送達できるが、脾臓および 腸間膜リンパ節を侵襲できる力量の低下を示す。これらの菌株は、依然として、 哺乳動物である宿主の体液性および細胞性の免疫をともに刺激できる。 組換え細胞ワクチンは、本発明のタンパク質を動物の免疫系に導入するのに用 いることができる。例えば、サルモネラ属で機能する発現ベクターに機能的に結 合させた、本発明の核酸分子を含む組換え分子は、サルモネラ属宿主細胞内への 形質転換ができる。次いで、得られる組換え細胞を、保護しようとする動物に導 入する。好適なサルモネラ属宿主細胞は、その生存が、組換え分子を維持できる その能力に依存する細胞(すなわち、均衡致死宿主−ベクター系)である。その ような好適な宿主/組換え分子の組合せの例は、アスパラギン酸βセミアルデヒ ド脱水素酵素を生産できないサルモネラ属の菌株(例えば、UK−1x3987 またはSR−11x4072)と、該酵素もコードできる組換え分子とを組合せ た組合せである。アスパラギン酸βセミアルデヒド脱水素酵素は、asd遺伝子 にコードされ、ジアミノピメリン酸(DAP)を生産する経路の重要な酵素であ る。DAPは、グラム陰性菌、例えばサルモネラ属の細胞壁のペプチドグリカン の必須成分であり、そのため、細胞の生存に必要である。したがって、機能的な asd遺伝子を欠くサルモネラ属は、機能的なasd遺伝子も発現できる組換え 分子を維持する場合にのみ、生存できるにすぎない。 一実施態様では、本発明の核酸分子をpTECH−1という発現ベクター(Me deva社[英国ロンドン]より入手可能)に挿入し、得られる組換え分子をサルモ ネラ属の菌株、例えばBRD 509(Medeva社より入手可能)に核酸移入して 、組換え細胞を形成する。そのような組換え細胞は、コードされた対応するタン パク質を生産するのに、または組換え細胞ワクチンとして、用いることができる 。 本発明の一好適実施態様は、動物を心糸状虫から保護するための、本発明の核 酸分子およびタンパク質、特にイヌ糸状虫の核酸分子およびタンパク質の用途で ある。好適な治療組成物は、循環系に侵入する前の、L3幼生、第三脱皮、L4 幼生、第四脱皮および未成熟成虫を包含するこの寄生虫の発生周期の部分中の、 少なくとも一段階を阻害できる組成物である。イヌでは、発生周期のこの部分は 約70日である。そのため、好適な治療組成物は、イヌ糸状虫アスタシン金属エ ンドペプチダーゼおよびイヌ糸状虫システインプロテアーゼに基づく、本発明の 治療化合物を含有する。そのような組成物を、動物を心糸状虫から保護するのに 効果的な仕方で該動物に投与する。これまでに開示したその他のイヌ糸状虫タン パク質、核酸分子および抗体を包含する、追加の保護化合物を投与することによ って、追加的な保護を得てもよい。 本発明の一実施態様は、酵素活性を有する本発明の寄生虫アスタシン金属エン ドペプチダーゼおよび/または糸状虫線虫システインプロテアーゼというタンパ ク質の、そのような酵素活性の阻害剤を同定するための用途である。理論にとら われるものではないが、寄生虫は、そのようなプロテアーゼを、胚および幼生の 発生を遂行すること、脱皮を遂行すること、ならびに幼生および成虫の双方とし て組織移動を遂行することを包含するが、それらに限られない数多くのことに用 いると考えられる。そのようなプロテアーゼは、そのような機能を促進するため に、皮膚の結合組織の高分子ならびに他のタンパク質性材料を減成できる。ウニ 類、ショウジョウバエ属およびアフリカツメガエル属で同定されたアスタシン金 属エンドペプチダーゼが、それぞれの生物の発生および成熟に関連しているのは 興味深いことである。そのため、アスタシン金属エンドペプチダーゼおよび/ま たはシステインプロテアーゼ活性の阻害剤は、寄生虫全般による胚および/もし くは幼生の発生または脱皮、ならびにそのような移動ができるこれらの寄生虫に よる組織移動を混乱させるのに、特に有益であり得ると思われる。そのような阻 害剤を開発するのに寄生虫酵素を用いることも好都合であるが、それは、該寄生 虫に高度に選択的である阻害剤を、処置しようとする動物への不当な副作用を生 じることなく、同定できるからである。 本発明の一治療組成物は、寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ活性の阻 害剤、すなわち、イヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ活性の阻害剤に よる阻害に対して感受性を有する、寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼの 機能に実質的に干渉できる化合物を含有する。アスタシン金属エンドペプチダー ゼの阻害剤は、酵素活性を有する、寄生虫、好ましくはイヌ糸状虫のアスタシン 金属エンドペプチダーゼタンパク質を用いて同定できる。 本発明の一実施態様は、寄生虫のアスタシン金属エンドペプチダーゼ活性を阻 害できる化合物を同定する方法である。そのような方法は、(a)単離された寄 生虫、好ましくはイヌ糸状虫のアスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質を 、推定される阻害化合物に、該化合物の不在下では該タンパク質がアスタシン金 属 エンドペプチダーゼ活性を有する条件下で接触させる(例えば結合する、混合す る)段階、および(b)該推定される阻害化合物がアスタシン金属エンドペプチ ダーゼ活性を阻害するか否かを決定する段階を含む。スクリーニングすべき推定 阻害化合物は、有機分子、抗体(その機能的等価物を包含する)および基質類似 体を包含する。アスタシン金属エンドペプチダーゼ活性を決定する方法は、当業 者に公知である;例えば、Gomis-Ruthら[前掲]、およびその中に引用された参 考文献を参照されたい。 本発明は、寄生虫のアスタシン金属エンドペプチダーゼ活性を阻害できる化合 物を同定するための試験キットも包含する。そのような試験キットは、アスタシ ン金属エンドペプチダーゼ活性を有する、寄生虫、好ましくはイヌ糸状虫の単離 されたアスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質、および推定阻害化合物の 存在下で(すなわち、それによって遂行される)、アスタシン金属エンドペプチ ダーゼ活性の阻害の程度を決定する手段を含む。 そのような方法および/または試験キットによって単離されたアスタシン金属 エンドペプチダーゼ阻害剤は、そのような阻害剤に感受性を有するいかなるアス タシン金属エンドペプチダーゼを阻害するのに用いることもできる。阻害するの に好適なアスタシン金属エンドペプチダーゼ酵素は、寄生虫が生産するそれであ る。本発明の特に好適なアスタシン金属エンドペプチダーゼ阻害剤は、心糸状虫 から動物を保護できる。本発明の阻害剤を用いて、動物のアスタシン金属エンド ペプチダーゼ関連障害を標的とすることも、本発明の範囲内である。本発明のア スタシン金属エンドペプチダーゼ阻害化合物を含む治療組成物は、標的とされた アスタシン金属エンドペプチダーゼ酵素が生起する疾病から動物を保護するのに 、好ましくは心糸状虫から動物を保護するのに効果的な仕方で、動物に投与でき る。効果的な量および投与法は、当業者に公知の手法を用いて決定できる。 本発明の別の治療組成物は、寄生虫システインプロテアーゼ活性の阻害剤、す なわち、糸状虫線虫のシステインプロテアーゼ活性の阻害剤による阻害に対して 感受性を有する、寄生虫システインプロテアーゼの機能に実質的に干渉できる化 合物を包含する。システインプロテアーゼ阻害剤は、酵素活性を有する、本発明 の糸状虫線虫、好ましくはイヌ糸状虫の単離されたシステインプロテアーゼタン パク質を用いて同定できる。 本発明の一実施態様は、寄生虫のシステインプロテアーゼ活性を阻害できる化 合物を同定する方法である。そのような方法は、(a)糸状虫線虫、好ましくは イヌ糸状虫のシステインプロテアーゼタンパク質を、推定される阻害化合物に、 該化合物の不在下では該タンパク質がシステインプロテアーゼ活性を有する条件 下で接触させる(例えば結合する、混合する)段階、および(b)該推定される 阻害化合物がシステインプロテアーゼ活性を阻害するか否かを決定する段階を含 む。スクリーニングすべき推定阻害化合物は、有機分子、抗体(その機能的等価 物を包含する)および基質類似体を包含する。アスタシン金属エンドペプチダー ゼ活性を決定する方法は、これまでに開示したとおり、当業者には公知である。 本発明は、寄生虫のシステインプロテアーゼアスタシン金属エンドペプチダー ゼ活性を阻害できる化合物を同定するための試験キットも包含する。そのような 試験キットは、アスタシン金属エンドペプチダーゼ活性を有する寄生虫、好まし くはイヌ糸状虫の単離されたアスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質、お よび推定阻害化合物の存在下で(すなわち、それによって遂行される)、アスタ シン金属エンドペプチダーゼ活性の阻害の程度を決定する手段を含む。 そのような方法および/または試験キットで単離された阻害剤は、そのような 阻害剤に対して感受性を有するいかなるシステインプロテアーゼを阻害するのに 用いることもできる。阻害するのに好適な酵素のシステインプロテアーゼは、寄 生虫が生産するそれである。本発明の特に好適なシステインプロテアーゼ阻害剤 は、動物を心糸状虫から保護できる。本発明の阻害剤を用いて、動物のシステイ ンプロテアーゼ関連障害を標的とすることも、本発明の範囲内にある。本発明の システインプロテアーゼ阻害化合物を含む治療組成物は、標的とされたシステイ ンプロテアーゼが生起する疾病から動物を保護するのに効果的な方式で、動物に 投与できる。効果的な量および投与様式は、当業者に公知の手法を用いて決定で きる。 寄生虫が生起する疾病から動物を保護するための、本発明の治療組成物の薬効 は、(例えば、本発明のタンパク質またはミメトープを用いる)保護抗体の検出 、処置された動物体内の細胞性免疫の検出、または処置された動物が疾病に耐性 であるか否かを決定するための、寄生虫に対する処置された動物の挑戦を包含す るが、それらに限られない様々な方法で試験できる。そのような手法は、当業者 に公知である。 本発明によれば、本発明者らは、プロテアーゼ阻害剤が寄生虫の幼生の発生を 阻害できることを示した。例えば、ベスタチンおよびホスホラミドンは、イヌ糸 状虫幼生の脱皮を阻害することが示されたが、それを実施例で、より詳細に説明 する。 本発明の別の実施態様は、寄生虫幼生の外分泌/分泌(ES)産物からの、金 属プロテアーゼおよびシステインプロテアーゼを包含する、プロテアーゼの単離 を含む。米国特許願第08/153,554号明細書[前掲]に最初に記載されたプロトコ ルの修正した翻案を用いて、本発明者らは、例えば、約60kDのタンパク質(ト リス−グリシン=硫酸ドデシルナトリウムポリアミドゲル電気泳動(SDS−P AGE)によって測定した限りで)のタンパク質を含む、H−Phe−AMCを 切断できる該タンパク質の能力によって決定される限りでの金属プロテアーゼ活 性を有する分画を単離した。サイズ排除クロマトグラフィーに付したとき、該活 性分画は、ウシ血清アルブミンとともに溶出し、約62〜約66kDの近似分子量 を示す。より詳細に実施例で説明するこの修正プロトコルは、寄生虫、好ましく はイヌ糸状虫の幼生ESを、陰イオン交換クロマトグラフィー、次いでサイズ排 除クロマトグラフィーおよび等電点電気泳動に付すことを包含する。該活性分画 は、約6.8のpIを有する。 別の実施態様では、本発明者らは、コラーゲンを減成できる、ESからの1種 類以上の寄生虫金属プロテアーゼを同定した。例えば、ゼラチンを基剤とする基 質中でのイヌ糸状虫幼生ESの電気泳動は、約60、95、および少なくとも約 200kDの見かけ分子量で移動する、単離された活性分画へと導く。そのような 分画のタンパク質分解活性は、EDTAによって、基本的に完全に阻害される。 単離された本発明のタンパク質、ミメトープ、核酸分子および抗体を、寄生虫 による感染を探知するための診断用試薬として用いることも、本発明の範囲内で ある。そのような診断用試薬は、該寄生虫の生活環のその他の相を探知できる追 加の化合物で補強することができる。 下記の実施例は、例示の目的で与えたものであって、本発明の範囲を限定しよ うとするものではない。 実施例 下記の実施例は、当業者に公知である多くの組換えDNAおよびタンパク質化 学の手法を含む;例えばSambrookら[前掲]を参照されたい。実施例1 本実施例は、本発明の2種類の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ核酸 分子のクローニングおよび配列決定を開示する。本実施例は、本発明の組換え分 子および組換え細胞の生産も開示する。 下記の仕方で、イヌ糸状虫の第3期幼生のcDNA発現ライブラリーを調製し た。ChomczynskiおよびSacchi[Anal.Biochem.、162、156〜159、1987年]が記 載した方法に類似の、酸グアニジニウム・フェノール・クロロホルム法を用いて 、イヌ糸状虫の第3期幼生(L3)から総RNAを抽出した。約230,000のL3 をRNA調製に用いた。Collaborative Research Inc.社[米国マサチューセッ ツ州Waltham]からのOligo dTセルロースを、製造者が推奨する方法に従って用 い、オリゴdTセルロースクロマトグラフィーによって、ポリA+選択RNAを 総RNAから分離した。 発現ベクターであるラムダ(λ)Uni−ZAP(商品名)XR(Stratagene Cloning System社[米国カリフォルニア州La Jola]より入手可能)にL3のポ リA+RNAを挿入することによって、発現ライブラリーを構成したが、それに はStratagene社のZAP−cDNA合成キット(商品名)のプロトコルおよびL 3ポリA+RNA約6〜7μgを用いた。得られたライブラリーを、約96%の 組換え体で、約4.88x109pfu/mlの力価まで増幅した。最初のL3cDN Aの増幅したライブラリーから無作為に選んだアリコートの更に1回の増幅によ って、10個のミニライブラリーを形成した。これらのミニライブラリーフ ァージを、ファージ希釈緩衝液(例えば10mMトリス−HCl、pH7.5、10 mM硫酸マグネシウム)中で捕集し、4℃で貯蔵した。 約689ヌクレオチドのイヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ核酸分 子は、部分的なイヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ遺伝子を表し、n DiMPA1689と呼ばれるが、これを、下記の2種類のプライマー:配列番号 14を有する4倍縮重プライマー、すなわち5’ACWCATGAAATIGS ICAT3’(MP1と呼ぶ;WはAまたはTであることができ;SはCまたは Gであることができ;Iはイノシンである)、および配列番号15を有するアン チセンスオリゴヌクレオチド、すなわち5’AATACGACTCACTATA G3’(T7と呼ばれる)を用いて、イヌ糸状虫L3cDNA発現ミニライブラ リーからPCR増幅した。プライマーMP1は、金属プロテアーゼの保存亜鉛結 合ドメインの公表された配列から設計した。プライマーT7は、pBluesc ript[商品名]というベクター(Stratagene社より入手可能)と相補的であ る。 ミニライブラリー第10番から増幅した核酸分子は、nDiMPA1689と呼 ぶが、これをゲル精製し、電気溶出し、クローニングベクターpCRII(Invitr ogen社[米国カリフォルニア州San Diego]より入手可能)内に、製造者の指示 に従ってクローニングし、それによって、組換えベクターpCRII−nDiMP A1689を形成した。nDiMPA1689のヌクレオチド配列を決定し、配列番号 1のほぼヌクレオチド第660位から3’末端にわたるヌクレオチドを含むこと を見出したが、その生成を、より詳細に下記に説明する。 L3cDNAのミニライブラリー第10番を、Sambrookら[前掲]に記載の厳 格な(すなわち標準的な)ハイブリダイゼーション条件を用いて、プローブとし て放射能標識したMP1オリゴヌクレオチドでスクリーニングした。プローブと ハイブリダイズしたプラークを再スクリーニングし、プラーク精製した。イヌ糸 状虫核酸分子のnDiMPA11299を含むプラーク精製したクローンを、本明細 書ではpβgal−nDiMPA11299と呼ぶ二本鎖組換え分子へと転換したが 、これには、Stratagene社のZAP−cDNA合成キット(商品名)に記載の 生体内切り出しプロトコルに従って、R408というヘルパーファージおよび大 腸菌XL1−Blue株を用いた。Sambrookら[前掲]に記載のようにして、ア ルカリ性溶解のプロトコルを用いて、二本鎖プラスミドDNAを調製した。組換 え分子pβgal−nDiMPA11299を大腸菌内に形質転換して、組換え細胞 である大腸菌:pβgal−nDiMPA11299を形成した。 組換え分子pβgal−nDiMPA11299を、Sambrookら[前掲]に記載の とおり、サンガーのジデオキシ鎖終結法を用いて、核酸配列決定に付した。核酸 分子nDiMPA11299約1299ヌクレオチドの共通配列を決定し、配列番号 1として提示した。配列番号1は、3個の重複する開放読み枠を見かけ上コード する。最初の開放読み枠は、PDiMPA1ORF1と呼ばれ、約191アミノ酸で あり(配列番号3に提示)、配列番号1のヌクレオチド第18〜590番を包含 する。第二の開放読み枠は、PDiMPA1ORF2と呼ばれ、配列番号1のヌクレ オチド第508〜約930番のヌクレオチドを包含する。開放読み枠PDiMP A1ORF2は、配列番号4のほぼアミノ酸第36番で始まる、拡大亜鉛結合ドメイ ン、および親水性領域HEIGHTLGIFHEとともに、ドメインYDTGS VMHY(ほぼアミノ酸第87番で始まる)を含むが、これは、アミノ酸第95 番で亜鉛と結合すると考えられるチロシンを有する。第三の開放読み枠は、PD iMPA1ORF3と呼ばれ、約121アミノ酸であり(配列番号5に提示)、配列 番号1のヌクレオチド第785〜1147番を包含する。 無重複タンパク質配列データベースの相同性検索を、BLASTというネット ワークを用い、米国国立バイオテクノロジー情報センターを通じて実施した。こ のデータベースは、+SwissProt+PIR+SPUpdate+Gen Pept+GPUpdateを包含する。配列番号3、配列番号4および配列番 号5を用いて実施した検索は、アスタシン族の金属エンドペプチダーゼの成員に 対して、3種類の開放読み枠のすべてによるアミノ酸レベルでの有意な相同性を 示した。3種類の開放読み枠のすべてを通じての有意な相同性は、カエノラーブ ジチス・エレガンスR151.5遺伝子産物[Genbank受入番号第U00036号]に も付随する。 核酸分子nDiMPA11299の5’末端およびその付近でのpBluescr iptベクター配列から、2個のcDNAフラグメントが、それらの5’末端を 通じて互いに結合して、この核酸分子を形成したことは明らかであった。配列番 号1のヌクレオチド配列と、配列番号2の配列(実施例2に記載の無関係に単離 されたアスタシン金属エンドペプチダーゼ核酸分子であるnDiMPA22166の 見かけのヌクレオチド配列)、およびアスタシン族金属エンドペプチダーゼのそ の他の成員のヌクレオチド配列との比較は、配列番号1のヌクレオチド第56番 が、nDiMPA22126の5’末端の最初のヌクレオチドに対応することを示し 、ヌクレオチド第56番は、nDiMPA11299の異なる2個のcDNA配列の 接点を表すことを示唆する。したがって、nDiMPA11299のヌクレオチド第 1〜55番は、クローニングの前にアスタシン金属エンドペプチダーゼcDNA フラグメントの5’末端に結合した、非アスタシン関連cDNA配列を表す可能 性が最も高い。アミノ酸レベルでのアスタシンの相同性は、nDiMPA11299 の最初の開放読み枠、すなわちPDiMPA1ORF1のアミノ酸第125番に始ま ることを見出すことができる。実施例2 本実施例は、本発明の追加の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ核酸分 子のクローニングおよび配列決定を開示する。本実施例は、本発明の組換え分子 および組換え細胞の生産も開示する。 アスタシン金属エンドペプチダーゼ核酸分子nDiMPA11299の5’末端の 異例の配列のため、nDiMPA22126と呼ぶ、第二のアスタシン金属エンドペ プチダーゼ核酸分子を、下記のとおり、実施例1に記載のL3cDNA発現ライ ブラリーから単離した。 約271ヌクレオチドのイヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ核酸分 子をnDiMPA2271と呼び、イヌ糸状虫L3cDNA発現ミニライブラリー 第9番から、下記の2プライマー:配列番号16を有するオリゴヌクレオチド、 すなわち5’TGGTATTATATCACATGAAATTGGTCATAC 3’(ZNSENと呼ぶ)、および配列番号17を有するアンチセンスオリゴヌ クレオチド、すなわち5’CCCAATTGTGTACTGTTGAAATTT ATCAC3’(MP14と呼ぶ)を用いてPCR増幅した。プライマーZNS ENは、nDiMPA11299の金属プロテアーゼの保存亜鉛結合ドメインをコー ドし、配列番号1のほぼヌクレオチド第600番〜ほぼヌクレオチド第629番 にわたる。プライマーMP14は、nDiMPA11299のほぼヌクレオチド第8 42番〜ほぼヌクレオチド第870番にわたる領域に相補的なアンチセンスプラ イマーである。 核酸分子nDiMPA2271を放射能標識し、L3cDNAミニライブラリー 第9番をスクリーニングするためのプローブとして用いた。このプローブと、厳 格な条件下でハイブリダイズしたプラークを再スクリーニングし、プラーク精製 した。イヌ糸状虫核酸分子nDiMPA22126を含むプラーク精製したクローン を、本明細書ではpβgal−nDiMPA22126と呼ぶ、二本鎖組換え分子へ と転換したが、これには、Stratagene社のZAP−cDNA合成キット(商品名 )に記載の生体内切り出しプロトコルに従って、R408ヘルパーファージおよ び大腸菌XL1−Blue株を用いた。Sambrookら[前掲]に記載のようにして 、アルカリ性溶解のプロトコルを用いて、二本鎖プラスミドDNAを調製した。 組換え分子pβgal−nDiMPA22126を大腸菌内に形質転換して、組換え 細胞の大腸菌:pβgal−nDiMPA22126を形成した。 組換え分子pβgal−nDiMPA22126を、Sambrookら[前掲]に記載の とおり、サンガーのジデオキシ鎖終結法を用いて、核酸配列決定に付した。核酸 分子nDiMPA22126の約2126ヌクレオチドの共通配列を決定し、配列番 号2として提示した。配列番号2は、5個の重複する開放読み枠を見かけ上コー ドしている。最初の開放読み枠は、PDiMPA2ORF1と呼ばれ、約178アミ ノ酸であり(配列番号6に提示)、配列番号2のヌクレオチド第2〜535番を 包含する。第二の開放読み枠は、PDiMPA2ORF2と呼ばれ、約145アミノ 酸であり(配列番号7として提示)、配列番号2のほぼヌクレオチド第453〜 887番を包含する。PDiMPA2ORF2は、配列番号7のほぼアミノ酸第36 番に始まる、拡大亜鉛結合ドメイン、およびほぼアミノ酸第87番に始まる、 チロシン含有主題的要素を含む。第三の開放読み枠は、PDiMPA2ORF3と呼 ばれ、約134アミノ酸であり(配列番号8に提示)、配列番号2のヌクレオチ ド第730〜1131番を含む。第四の開放読み枠は、PDiMPA2ORF4と呼 ばれ、約154アミノ酸であり(配列番号9に提示)、配列番号2のヌクレオチ ド第1112〜1573番を包含する。第五の開放読み枠は、PDiMPA2OR F5 と呼ばれ、約163アミノ酸であり(配列番号10に提示)、配列番号2のヌ クレオチド第1429〜1917番を包含する。 nDiMPA11299(配列番号1)とnDiMPA22126(配列番号2)との 推定される核酸配列の比較から、nDiMPA22126は、nDiMPA11299の ほぼ第1〜55位(配列番号1で番号付けた限りで)のヌクレオチドの範囲を含 まないことが示される。上記に考察したとおり、このヌクレオチドの範囲は、ア スタシン金属エンドペプチダーゼ核酸分子の5’末端に結合した無関係のcDN Aクローンを表すものと考えられる。nDiMPA11299のほぼ第56〜907 位(配列番号1で番号付けた限りで)にわたるヌクレオチドの範囲は、nDiM PA22126のほぼ第1〜852位(配列番号2で番号付けた限りで)にわたるヌ クレオチドの範囲との100%の相同性を共有する。nDiMPA11299のほぼ 第908〜970位(配列番号1で番号付けた限りで)にわたるヌクレオチドの 範囲は、nDiMPA22126から欠けている。nDiMPA11299のほぼ第97 1〜1133位(配列番号1で番号付けた限りで)にわたるヌクレオチドの範囲 は、nDiMPA22126のほぼ第853〜1015位(配列番号2で番号付けた 限りで)にわたるヌクレオチドの範囲との100%の相同性を共有する。核酸分 子nDiMPA22126は、nDiMPA11299より有意に長い3’末端を有する 。 無重複タンパク質配列データベースの相同性検索を、BLASTというネット ワークを用い、米国国立バイオテクノロジー情報センターを通じて実施した。こ のデータベースは、+SwissProt+PIR+SPUpdate+Gen Pept+GPUpdateを包含する。配列番号7、配列番号8、配列番号9 および配列番号10、ならびに配列番号11を用いて実施した検索は、配列番号 7、配列番号8、配列番号9および配列番号10は、それぞれ、アスタシン族の 金属エンドペプチダーゼの既知の成員とのアミノ酸レベルでの有意な相同性を共 有することを示した。それに反して、配列番号11は、既知のアスタシン金属エ ンドペプチダーゼとは有意な相同性を示さなかった。 nDiMPA22126がコードする5個の開放読み枠の複合イヌ糸状虫ORFを 、この5個のORFを既知のアスタシン金属エンドペプチダーゼ配列に対して整 列させることによって形成した。この複合イヌ糸状虫ORFは、200アミノ酸 のアスタシンタンパク質より有意に長い領域にわたり、配列番号11に提示した 。配列番号11のアスタシンドメインとザリガニのアスタシンとの比較は、アミ ノ酸レベルでの約29%の相同性を示した。配列番号11のアスタシンドメイン は、ヒト骨形態形成タンパク質1、マウス腎刷子縁金属エンドペプチダーゼ、ヒ ト腸管刷子縁金属エンドペプチダーゼおよびアフリカツメガエル胚タンパク質U VS.2のアスタシンドメインに対しても、それぞれ、アミノ酸レベルでの約3 0%、31%、33%および33%の相同性を示した。 配列番号11とカエノラーブジチス・エレガンスR151.5遺伝子産物(Ge nbank受入番号第U00036号)との比較は、2配列間の約24%の相同性を示した 。カエノラーブジチス・エレガンス遺伝子産物は、充分に保存された拡大亜鉛結 合ドメインの主題的要素、およびチロシン含有主題的要素も含む。興味深いこと に、カエノラーブジチス・エレガンスR151.5遺伝子産物は、Wilsonら[前 掲]が開放読み枠として同定したが、該出版物の著者らは、自由生活線虫のカエ ノラーブジチス・エレガンスからの2.2メガベースの隣接ヌクレオチド配列を 記載して、R151.5とアスタシン金属エンドペプチダーゼの一族との相同性 を認めることに失敗した。本発明者らは、そのような相同性、およびカエノラー ブジチス・エレガンスがアスタシン金属エンドペプチダーゼをコードしている見 込みに注目した、明らかに最初の者である。実施例3 本実施例は、本発明の組換え細胞の生産、および本発明の寄生虫アスタシン金 属エンドペプチダーゼタンパク質を生産するためのその用途を開示する。 trcという転写調節配列と、6個のヒスチジンを含むポリヒスチジンセグメ ントをコードする融合配列とに機能的に結合した、nDiMPA22126のほぼ第 119〜922位(配列番号2で番号付けた限りで)のヌクレオチドを含む、組 換え分子のptrcHis−nDiMPA2804を、下記の仕方で生産した。n DiMPA22126のほぼ第119番〜ほぼ第922番(配列番号2で番号付けた 限りで)にわたるヌクレオチドを含む、nDiMPA2804と呼ばれる約804 ヌクレオチドのDNAフラグメントを、制限エンドヌクレアーゼのBamHTI で、組換え分子pβgal−nDiMPA22126から切断し、ゲル精製し、Ba mHIで切断しておいた発現ベクターpTrcHisB(Invitrogen社より入手 可能)内にサブクローニングした。得られた組換え分子であるptrcHis− nDiMPA2804を大腸菌内に形質転換して、組換え細胞である大腸菌:pt rcHis−nDiMPA2804を形成した。 組換え細胞の大腸菌:ptrcHis−nDiMPA2804を、約0.1mg/m lのアンピシリンを含有する強化細菌増殖培地を収容する振盪フラスコ中で、3 7℃で培養する。細胞が約0.3のOD600達したとき、約1ミリモルのイソプ ロピルβ−D−チオガラクトシド(IPTG)の添加によって、大腸菌:ptr cHis−nDiMPA2804の発現を誘導し、細胞を約37℃で3時間培養す る。標準的手法を用い、組換え細胞溶解物のSDS−PAGE、次いでクーマシ ーブルー染色によって、タンパク質生産を監視する。組換え細胞の大腸菌:pt rcHis−nDiMPA2804は、本明細書ではPHIS−PDiMPA2804 と呼ぶ融合タンパク質を生産するが、それは、寄生虫核酸分子の挿入断片を欠く pTrcHisBプラスミドで形質転換した細胞によっては、生産されない。実施例4 本実施例は、本発明の寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質を 生産できる、本発明の別の組換え細胞の生産を開示する。 λPRという転写調節配列と、6個のヒスチジンを含むポリヒスチジンセグメ ントをコードする融合配列とに機能的に結合した、nDiMPA22126のほぼ第 119〜922位(配列番号2で番号付けた限りで)のヌクレオチドを含む、組 換え分子のpλPR His−nDiMPA2804を、下記の方式で生産した。 実施例3に記載のとおりに生産した核酸分子nDiMPA2804を、λPR/T7 /RSET−Bという発現ベクターのBamHI制限部位内に結合した。約34 55塩基対(bp)であるこのベクターは、アンピシリン耐性遺伝子、および大腸 菌の複製開始点を含む、pUC19からのPvuIIからAatIIまでの約199 0塩基対;λPRプロモーター、cI857λリプレッサー遺伝子、および溶菌性増 殖を調節するcro遺伝子の22アミノ酸を含む、一端にPvuIIというリンカ ーが加えられたベクターpRK248cIts(ATCC第33766号として入手 可能)からのBglIIからBglIIまでの1100bpのDNAフラグメント;p GEMEX−1(Promega社[米国ウィスコンシン州Madison]より入手可能)か らの、T7プロモーターを含むBglIIからXbaIまでの55bpのセグメント ;T7−S10翻訳エンハンサー、His6融合、11アミノ酸のS10リーダ ー融合、エンテロキナーゼ切断部位および多重クローニング部位を含む、pRS ET−B(Invitrogen社より入手可能)からのXbaIからEcoRIまでの約 170bpのセグメント;ならびに、trpAオペロンからの3個の読み枠のすべ てでのT1 翻訳ターミネーター、バシルス・ツリンギエンシスBacillus thuren giensis の結晶タンパク質からのRNA安定化配列、およびT2というrho非依 存性転写ターミネーターを含む合成翻訳および転写終止シグナルを有する約14 0bpのフラグメントを含んだ。得られた組換え分子を、pλPRHis−nDi MPA2804と呼び、大腸菌内に形質転換して、組換え細胞の大腸菌:pλPRH is−nDiMPA2804を形成した。実施例5 本実施例は、本発明の別の組換え細胞、および本発明の寄生虫アスタシン金属 エンドペプチダーゼタンパク質を生産するためのその用途を記載する。 バキュロウイルスの多角体転写調節配列に機能的に結合した、核酸分子nDi MPA22126(実施例2に記載のとおり生産した)を含む、組換え分子pBBII I−nDiMPA22126を下記の方法で生成した。nDiMPA22126がコード するタンパク質の生産を支配できるバキュロウイルス組換え分子を生産するた めに、実施例2に記載のとおり生産した組換え分子pβgal−nDiMPA22126 をXhoIで消化し、クレノウDNAポリメラーゼで末端充填し、PStI で消化し、ゲル精製し、これをBvMPA2と呼ぶ。バキュロウイルスシャトル プラスミドであるBlueBacIII(BBIII:Invitrogen社より入手可能)を NcoIで消化し、末端充填し、PstIで消化し、ウシ腸管ホスファターゼで 処理した。得られたベクターフラグメントをゲル精製し、BvMPA2に結合し た。得られた組換え分子は、pBBIII−nDiMPA22126と呼び、制限地図 作成によって、適正な挿入断片の方向付けを確認した。この構成体、および線状 のBaculogoldというバキュロウイルスDNA(Pharmingen社)を、宿主細胞のス ポドプテラ・フルギペルダsf9(コロラドバイオプロセシングセンター[米国 コロラド州Fort Collins]により供与)内に同時形質転換した。得られたBvM PAと名付けた組換えウイルスを培養して、組換えウイルスの生産を増大させ、 ウエスタンブロット法によって、nDiMPA22126の発現を確認した。実施例6 本実施例は、本発明の糸状虫線虫のシステインプロテアーゼ核酸分子のクロー ニングおよび配列決定を説明する。 nDiCP143と呼ばれる、約143ヌクレオチドのイヌ糸状虫システインプ ロテアーゼ核酸分子は、部分的なイヌ糸状虫システインプロテアーゼ遺伝子を表 すが、これを、イヌ糸状虫の成雌虫から抽出したイヌ糸状虫のゲノムDNAから 、Sambrookら[前掲]に記載のものと類似の標準プロトコルを用いて、PCR増 幅した。PCR増幅反応に用いた2個のプライマーは、配列番号18、すなわち 5’CGGGATCCTGTGGWTCATGYTGGGC3’(25Cと呼ぶ ;下線をつけたものはBamHI部位;WはAまたはT;YはCまたはT)を有 する4重に縮重したプライマー、および配列番号19、すなわち5’TAICC ICCRTTRCAICCYTC3’(G65と呼ぶ;RはAまたはG;YはC またはT;Iはイノシン)を有する8重に縮重したアンチセンスプライマーを包 含した。両プライマーとも、システインプロテアーゼの公表された配列から設計 した。プライマー25Cを更に精製したが、それは、イヌ糸状虫コドンの偏りが 、 縮重を減少させるように25Cに組み込まれているためである。本発明者らは、 そのようなコドンの偏りは、本発明のイヌ糸状虫システインプロテアーゼ核酸分 子を効果的に単離するのに必要であることを見出した。 増幅したPCRフラグメント、すなわちnDiCP143をゲル精製し、製造者 の指示に従って、pCRIIというクローニングベクター(Invitrogen社[米国カ リフォルニア州San Diego]より入手可能)内にクローニングした。nDiCP1 43 の約143ヌクレオチド配列を決定し、配列番号12として提示する。配列番 号12は、約47アミノ酸のタンパク質を見かけ上コードし、これを配列番号1 3として提示する。該タンパク質の翻訳開始部位および翻訳終止コドンは、この ゲノムクローン内に含まれていない。 無重複タンパク質配列データベースの相同性検索を、BLASTというネット ワークを用い、米国国立バイオテクノロジー情報センターを通じて実施した。こ のデータベースは、+SwissProt+PIR+SPUpdate+Gen Pept+GPUpdateを包含する。検索は、配列番号13を用いて実施し 、多数のシステインプロテイナーゼとの有意な相同性を示した。アミノ酸レベル での最高の評点を得た対合は、ダイズのほぼ確定的なチオールプロテアーゼ前駆 体(Genbank受付番号P22895)、オオムギシステインプロテイナーゼEP−B1 の前駆体(Genbank受付番号P25249)およびオオムギシステインプロテイナーゼ EP−B4の前駆体(Genbank受付番号P25250)を包含する。配列番号13との 相同性を有する寄生虫特異的システインプロテアーゼは、トリパノソーマ・ブル ーセイTrypanosoma brucei(Genbank受付番号S07051およびS12099)、レーシュ マニア・ピファノイLeishmania pifanoi(Genbank受付番号B48566)、レーシュ マニア・メキシカーナL. mexicana(Genbank受付番号S25003),トリパノソーマ ・コンゴレンシスT. congolensis(Genbank受付番号37048)および膣トリコモナ スTrichomonas vaginalis(Genbank受付番号X77220)を包含する。配列番号13 は、捻転胃虫H. contortus(線虫の1種)、マンソン住血吸虫Schistosoma mans oni (吸虫の1種)、カエノラーブジチス・エレガンスC. elegans(線虫の1種 )、カンテツFasciola hepatica(吸虫の1種)、赤痢アメーバEntamoeba histolytica(原生動物の1種)、クルーズトリパノソーマTrypansom acruzi (原生動物の1種)およびトリパノソーマ・ブルーセイT. brucieからの システインプロテアーゼと、それぞれ約16%、約22%、約24%、約35% 、約39%、約44%および約49%のアミノ酸レベルの相同性を共有した。配 列番号13は、ヒトカテプシンLとの約50%のアミノ酸相同性も共有した。配 列番号13は、Hamajimaらによる、1993年1月27日公開されたヨーロッパ公開特 許第0524834A2号公報に報告された、ウェステルマン肺吸虫Paragonimuswesterma ni (吸虫)のシステインプロテアーゼとの約56%のアミノ酸相同性も共有した 。配列番号13のほぼ第30位のセリンおよびほぼ第37位のシステインが、こ れらのシステインプロテアーゼのすべてに保存されていた。これらの相同性の算 出は、配列番号18および配列番号19というDNAプライマーがコードするア ミノ酸を包含しないことに注目されたい。そのため、相同性の算出に用いた領域 は、配列番号13のほぼアミノ酸第6〜41位にわたった。実施例7 本実施例は、本発明の組換え細胞の生産、および本発明の糸状虫線虫のシステ インプロテアーゼタンパク質を生産するためのその用途を開示する。 trcという転写調節配列と、6個のヒスチジンを含むポリヒスチジンセグメ ントをコードする融合配列とに機能的に結合した、nDiCP142のほぼ第2〜 143位(配列番号12で番号付けた限りで)のヌクレオチドを含む、組換え分 子のptrcHis−nDiCP142を、下記の方式で生産した。nDiCP143 のほぼ第2番〜ほぼ第143番(配列番号12で番号付けた限りで)にまたがる ヌクレオチドを含む、nDiCP142と呼ばれる約142ヌクレオチドのDNA フラグメントを、制限エンドヌクレアーゼのBamHI、次いでEcoRIで、 nDiCP143から逐次消化した。核酸分子nDiCP142をゲル精製し、Bam HIおよびEcoRIで切断しておいた発現ベクターpTrcHisA(Invitr ogen社より入手可能)内に指向的にサブクローニングし、次いでゲル精製した。 得られた組換え分子、すなわちptrcHis−nDiCP142を大腸菌内に形 質転換して、組換え細胞である大腸菌:ptrcHis−nDiCP14 2 を形成した。 組換え細胞の大腸菌:ptrcHis−nDiCP142を、約0.1mg/mlの アンピシリンを含有する強化細菌増殖培地を収容する振盪フラスコ中で、37℃ で培養する。細胞が約0.3のOD600達したとき、約1mMイソプロピルβ−D −チオガラクトシド(IPTG)の添加によって、大腸菌:ptrcHis−n DiCP142の発現を誘導し、細胞を約37℃で約3時間培養する。標準的手法 を用い、組換え細胞溶解物のSDS−PAGE、次いでクーマシーブルー染色に よって、タンパク質生産を監視する。組換え細胞の大腸菌:ptrcHis−n DiCP142は、本明細書ではPHIS−PDiCP142と呼ぶ融合タンパク質を 生産するが、それは、糸状虫核酸分子の挿入断片を欠くpTrcHisAプラス ミドで形質転換した細胞によっては、生産されない。実施例8 本発明は、プロテアーゼ阻害剤のベスタチンおよびホスホラミドンが、イヌ糸 状虫幼生の発育、特に脱皮を阻害できることを立証する。ベスタチン(Enzyme S ystems Products社[米国カリフォルニア州Livermore]より入手可能)は、専属 的にではないにしても、主として、アミノペプチダーゼその他のエキソペプチダ ーゼを阻害する。ホスホラミドン(やはりEnzyme Systems Products社より入手 可能)は、サーモリジンおよびコラゲナーゼ、ならびに枯草菌Bacillus subtili s 、ストレプトマイセス・グリセウスStreptomyces griseusおよび緑膿菌Pseudom onas aeruginosaの微生物からの金属エンドプロテアーゼを特異的に阻害する。 イヌ糸状虫の幼生を、例えば米国特許願第08/153,554号明細書[前掲]に記載 のとおりの、NI培地で培養した。NI培地は、NCTC−135とIscoveの改 良ダルベッコ培地の1:1混合物(Sigma Chemical Co.社[米国ミズーリ州セン トルイス]より入手可能)、20%SeruMax、1mlあたり2.5マイクログラム (μg)のアンホテリシンB、1mlあたり0.1ナノグラム(ng)のゲンタマイ シン、1mlあたり50μgのスルファジアジン、および1mlあたり10μgのトリ メトプリムを含有する。NI培地1mlあたり約200のL3という濃度の幼生を 、24ウェルプレートの各ウエル内の0.5mlのアリコートに 分配した。NI培地、およびそれぞれNI培地に溶かしたベスタチンまたはホス ホラミドンの10ミリモル(mM)原液を用いて、各ウエルの体積を1mlに調整し た。培養ウエル内の阻害剤の最終濃度は、0、1、2.5または5mMのいずれか であった。幼生を、約37℃、5%CO2および95%の相対湿度で温置した。 幼生を毎日観察し、脱皮の百分率(脱皮%)を72時間目に判定した。脱皮百分 率は、角皮の数を1ウエルあたりの幼生数で除し、100を乗じることによって 、各ウエルについて算出した。阻害剤のそれぞれの濃度については3ウエル、未 処理の対照については6ウエルが存在した。この研究の結果を表1に示す。 結果は、ベスタチンおよびホスホラミドンによるL3の処理は、脱皮できる幼 生の能力を有意に低下させることを示す。脱皮%を用いて、分散分析を実施した 。全体的な差は有意(P=0.0001)であった。各群を対照と比較するフィッシャ ーのPLSD(Fi)およびシェフのF検定(Sc)による多重比較を、分散分 析後に実施した(*はp≦0.05の有意差を表す。NA=適用できず)。 研究を通して、概して、ベスタチン処理幼生は、対照と比較してはるかに遅く 移動したのに対し、ホスホラミドン処理幼生は、対照と比較して非常に活発であ ることも観察された。角皮の分離は、ホスホラミドン処理幼生に発生するように 思われたが、幼生は、古い角皮を完全に開いて脱出することができなかった。ホ スホラミドン処理幼生は、研究終了まで、劣悪な形状であった。理論に束縛され るものではないが、これらの現象は、二つの別個の効果、および阻害剤が異なる 酵素を標的としている可能性があることを示唆するものと考えられる。実施例9 実施例9は、イヌ糸状虫の幼生の外分泌/分泌(ES)産物からのタンパク質 含有分画の単離および特徴付けを説明する。 例えば米国特許願第08/153,554号明細書[前掲]に記載のとおりに、約11,600 のイヌ糸状虫L3/L4からES産物を採集し、濃縮した。セントリプレプ(Ce ntriprep)10(Amicon Inc.社[米国マサチューセッツ州Beverly]より入手可 能)を用いて、緩衝液を20mMピペラジン−HCl、pH6.0、0.005%ブ リジ(Brij)35に交換した。得られた混合物を、塩化ナトリウムの増加する勾 配を用いて20mMピペラジン−HCl、pH6.0中で平衡させた、モノQカラム (陰イオン交換)(Pharmacia Biotech Inc.[米国ニュージャージー州Piscata way]より入手可能)で分離した。次いで、各分画を0.005%ブリジ35に 導いた。緩衝液Aは20mMピペラジン−HCl、pH6.0であった。緩衝液Bは 20mMピペラジン−HCl、pH6.0への1mM塩化ナトリウムであった。クロマ トグラフィーのプログラムは:(a)0%のBで5分間;(b)0〜約50%の Bで25分以上;(c)3分間保留;(d)約50〜100%のBで5分以上で あった。流速は、毎分0.5mlであった。分画は、1分ごとに 捕集した。 捕集した分画を、蛍光発光化合物であるH−フェニルアラニン−7−アミド− 4−メチルクマリン(H−Phe−AMC)を用いて、金属プロテアーゼ活性に ついて検定した。検定は、下記のとおりに実施した。ジメチルスルホキシド(D MSO)への10mM H−Phe−AMCの原液を、100mMトリス−HCl、p H7.0で1:200に希釈した。希釈した原液約100マイクロリットル(μ l)を、96ウェル微量滴定プレートの望みの数のウエルのそれぞれに入れた。 各ウエルに、試験しようとする分画または対照試料25μlを加えた。得られた 混合物を、約37℃で2時間以上温置した。次いで、微量滴定プレートをUV光 ボックスに置き、写真撮影して、AMCが切断された分画を同定した(放出され たAMCは、そのような条件下では発光する)。 ともに金属タンパク質分解活性を示す分画20および21番を、陰イオン交換 から捕集した。分画21番からのアリコートを濃縮し、SDS−PAGE(14 %トリス−グリシン)によって判定した。約60kDの見かけ分子量で移動する、 1条の主バンドが検出された。 次いで、陰イオン交換分画21番を、米国特許願第08/153,554号明細書[前掲 ]に記載のとおり、サイズ排除クロマトグラフィーにかけた。具体的には、陰イ オン交換カラムからの分画21番を、50mMトリス−HCl、pH7.5、150 mM塩化ナトリウム中で、毎分0.5mlの流速でTSK3000 SWカラム(Beckman Instruments Inc.社[米国カリフォルニア州Fullerton]より入手可能)にかけ た。分画を0.5分ごとに捕集した。微量滴定プレート蛍光検定を用いて検定す ると、分画21および22番が陽性であった。これらの分画の溶出の相対時間は 、約62〜66kDの分子量を有するウシ血清アルブミンの溶出時間に非常に近似 していた。 陰イオン交換分画21番は、「未変性」条件下での等電点電気泳動にも付した 。得られたゲルを1mmの分画にスライスし、切片を微量滴定プレート蛍光検定に よって検定した。活性分画は、約6.8のpIを有する領域中に存在した。 別の研究で、約2500の幼生からのESを、ノベックスザイモゲル(Novex Zymogel:Novex社[米国カリフォルニア州San Diego]より入手可能)の2レー ンのそれぞれを通じての電気泳動に付した。ザイモゲルは約0.1%のゼラチン を含有した。2レーンを、2.5%トリトンX−100に約30分間浸漬し、次 いで、反応緩衝液(50mMトリス−HCl、pH7.0、5mM塩化カルシウム、0 .02%ブリジ35および200mM塩化ナトリウム)中で約30分間洗浄した。 次いで、−レーンを、反応緩衝液中で、約37℃で66時間温置した。もう一方 のレーンを、2mMのEDTAを含有する反応緩衝液中で、同量の時間温置した。 次いで、双方のレーンを、0.5%CBB−R250、40%メタノール、10 %酢酸中で染色し、40%メタノール、10%酢酸で脱染色して、コラゲナーゼ 活性を探知した。活性は、青い背景中の澄んだ帯域によって同定した。EDTA によって完全に阻害される、金属プロテアーゼ活性を示すESタンパク質は、約 60kD、約95kD、および約200kD以上の見かけ分子量で移動した。 本発明の様々な実施態様を詳細に説明したが、これらの実施態様に対する変更 および適応が当業者に生じるであろうことは明白である。しかし、そのような変 更および適応は、本発明の、下記の請求の範囲に記述された範囲内にあることを 明白に理解しなければならない。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1996年4月29日 【補正内容】 5.該核酸分子が、配列番号11のアスタシンドメインとの35%以上の相同 性を有するアスタシンドメインを含むタンパク質をコードする請求項1記載の核 酸分子。 6.該核酸分子が、nDiMPA1689、nDiMPA11299、nDiMPA 22126、nDiMPA2804、nDiMPA2271およびBvMPA2よりなる群 から選ばれる核酸分子を含む請求項1記載の核酸分子。 7.寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質を含む単離されたタ ンパタ質。 8.該タンパク質が、イヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ遺伝子と 、厳格なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする寄生虫核酸分子に よってコードされる請求項7記載のタンパク質。 9.該タンパク質が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配 列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10よりなる群から選ばれる 少なくとも一つのアミノ酸配列の少なくとも一部を含み、該一部は、nDiMP A11299およびnDiMPA22126よりなる群から選ばれる核酸分子と、厳格な ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードさ れる請求項7記載のタンパク質。 10.該タンパク質が、拡大亜鉛結合ドメインの主題的要素を含む請求項7記 載のタンパク質。 11.イヌ糸状虫システインプロテアーゼ遺伝子と、厳格なハイブリダイゼー ション条件下でハイブリダイズする、単離された成虫糸状虫線虫核酸分子。 12.該核酸分子が、システインプロテアーゼタンパク質をコードする核酸配 列を含む請求項11記載の核酸分子。 13.該核酸分子が、核酸分子nDiCP143と厳格なハイブリダイゼーショ ン条件下でハイブリダイズする請求項11記載の核酸分子。 14.該核酸分子が、配列番号12の少なくとも一部を有する核酸配列を含み 、該一部は、nDiCP143と、厳格なハイブリダイゼーション条件下でハイブ リダイズする請求項11記載の核酸分子。 15.該核酸分子が、配列番号13のアミノ酸配列との約60%以上の相同性 を有するタンパク質をコードする請求項11記載の核酸分子。 16.成虫糸状虫線虫のシステインプロテアーゼタンパク質を含む単離された タンパク質。 17.該タンパク質が、配列番号12の核酸配列を含む核酸分子と、厳格なハ イブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ る請求項16記載のタンパク質。 18.該タンパク質が、配列番号13の少なくとも一部を含むアミノ酸配列を 有し、該一部は、nDiCP143と、厳格なハイブリダイゼーション条件下でハ イブリダイズする核酸分子によってコードされる請求項16記載のタンパク質。 19.該核酸分子が、イヌ糸状虫属Dirofilaria、アカントケイロネマ属Acant hocheilonema 、ブルギア属Burgia、ディペタロネマ属Dipetalonema、ロア糸状虫 属Loa、回旋糸状虫属Onchocerca、パラフィラリア属Parafilaria、セタリア属Se taria 、ステファノフィラリア属Stephanofilariaおよび糸状虫属Wuchereriaの核 酸分子よりなる群から選ばれる、糸状虫線虫の核酸分子を含む請求項1または1 1の核酸分子。 20.該核酸分子が、イヌ糸状虫核酸分子を含む請求項1または11記載の核 酸分子。 21.請求項1または11記載の少なくとも1種類の核酸分子を有する細胞を 含む組換え細胞であって、該細胞が、該核酸分子を発現できる組換え細胞。 22.請求項7または16記載のタンパク質と選択的に結合できる単離された 抗体。 23.アスタシン金属エンドペプチダーゼおよびシステインプロテアーゼより なる群から選ばれる少なくとも1種類のプロテアーゼの阻害剤に対する感受性を 有する寄生性蠕虫が生起する疾病から動物を保護できる治療組成物であって、単 離された寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質またはそのミメト ープ;イヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ遺伝子と、厳格なハイブリ ダイゼーション条件下でハイブリダイズする単離された寄生虫核酸分子;抗寄生 虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ抗体;寄生虫アスタシン金属エンドペプチ ダーゼ活性を阻害できるその能力によって同定される、アスタシン金属エンドペ プチダーゼ活性の阻害剤;単離された成虫糸状虫線虫システインプロテアーゼタ ンパク質またはそのミメトープ;イヌ糸状虫システインプロテアーゼ遺伝子と、 厳格なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする、単離された成虫糸 状虫線虫核酸分子;抗成虫糸状虫線虫システインプロテアーゼ抗体;および成虫 糸状虫線虫システインプロテアーゼ活性を阻害できるその能力によって同定され る、システインプロテアーゼ活性の阻害剤よりなる群から選ばれる少なくとも1 種類の保護化合物を含む治療組成物。 24.該寄生虫が、組織移動性蠕虫を含む請求項23記載の組成物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI A61K 48/00 AEB 9356−4H C07K 14/44 C07H 21/04 9735−4B C12N 1/21 C07K 14/44 9152−4B 9/50 C12N 1/21 9637−4B C12P 21/02 C 5/10 9358−4B 21/08 9/50 9051−4C A61K 37/64 AFJ C12P 21/02 9051−4C 37/54 AEC 21/08 9735−4B C12N 5/00 B //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT, UA,UZ,VN (72)発明者 グリーブ、ロバート ビー. アメリカ合衆国 80550 コロラド州 ウ インザー インディアン トレイル ドラ イブ 1013

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.イヌ糸状虫Dirofilaria immitisのアスタシン金属エンドペプチダーゼ遺 伝子と、厳格なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする、寄生虫の 単離された核酸分子であって、該寄生虫が、寄生性蠕虫、原生動物寄生虫および 外部寄生虫よりなる群から選ばれる核酸分子。 2.該核酸分子が、アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質をコードす る請求項1記載の核酸分子。 3.該核酸分子が、nDiMPA11299およびnDiMPA22126よりなる群 から選ばれる核酸分子の少なくとも一部を含み、該一部は、nDiMPA11299 およびnDiMPA22126よりなる群から選ばれる核酸分子と、厳格なハイブリ ダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸分子を含む請求項1記載の核酸 分子。 4.該核酸分子が、PDiMPA1ORF1、PDiMPA1ORF2、PDiMPA 1ORF3、PDiMPA2ORF1、PDiMPA2ORF2、PDiMPA2ORF3、PD iMPA2ORF4、PDiMPA2ORF5、およびこれらの開放読み枠の組合せより なる群から選ばれる開放読み枠の少なくとも一部を含むタンパク質をコードし、 該一部は、nDiMPA11299およびnDiMPA22126よりなる群から選ばれ る核酸分子と、厳格なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸 分子によってコードされる請求項1記載の核酸分子。 5.該核酸分子が、配列番号11のアスタシンドメインとの35%以上の相同 性を有するアスタシンドメインを含むタンパク質をコードする請求項1記載の核 酸分子。 6.該核酸分子が、nDiMPA1689、nDiMPA11299、nDiMPA 22126、nDiMPA2804、nDiMPA2271およびBvMPA2よりなる群 から選ばれる核酸分子を含む請求項1記載の核酸分子。 7.寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質を含む単離されたタ ンパク質。 8.該タンパク質が、イヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ遺伝子と 、 厳格なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする寄生虫核酸分子によ ってコードされる請求項7記載のタンパク質。 9.該タンパク質が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配 列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10よりなる群から選ばれる 少なくとも一つのアミノ酸配列の少なくとも一部を含み、該一部は、nDiMP A11299およびnDiMPA22126よりなる群から選ばれる核酸分子と、厳格な ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードさ れる請求項7記載のタンパク質。 10.該タンパク質が、拡大亜鉛結合ドメインの主題的要素を含む請求項7記 載のタンパク質。 11.イヌ糸状虫システインプロテアーゼ遺伝子と、厳格なハイブリダイゼー ション条件下でハイブリダイズする、糸状虫の線虫の単離された核酸分子。 12.該核酸分子が、システインプロテアーゼタンパク質をコードする核酸配 列を含む請求項11記載の核酸分子。 13.該核酸分子が、核酸分子nDiCP143と厳格なハイブリダイゼーショ ン条件下でハイブリダイズする請求項11記載の核酸分子。 14.該核酸分子が、配列番号12の少なくとも一部を有する核酸配列を含み 、該一部は、nDiCP143と、厳格なハイブリダイゼーション条件下でハイブ リダイズする請求項11記載の核酸分子。 15.該核酸分子が、配列番号13のアミノ酸配列との約60%以上の相同性 を有するタンパク質をコードする請求項11記載の核酸分子。 16.糸状虫の線虫のシステインプロテアーゼタンパク質を含む単離されたタ ンパタ質。 17.該タンパク質が、配列番号12の核酸配列を含む核酸分子と、厳格なハ イブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされ る請求項16記載のタンパク質。 18.該タンパク質が、配列番号13の少なくとも一部を含むアミノ酸配列を 有し、該一部は、nDiCP143と、厳格なハイブリダイゼーション条件下でハ イブリダイズする核酸分子によってコードされる請求項16記載のタンパク質。 19.該核酸分子が、イヌ糸状虫属Dirofilaria、アカントケイロネマ属Acant hocheilonema 、ブルギア属Burgia、ディペタロネマ属Dipetalonema、ロア糸状虫 属Loa、回旋糸状虫属Onchocerca、パラフィラリア属Parafilaria、セタリア属Se taria 、ステファノフィラリア属Stephanofilariaおよび糸状虫属Wuchereriaの核 酸分子よりなる群から選ばれる、糸状虫線虫の核酸分子を含む請求項1または1 1の核酸分子。 20.該核酸分子が、イヌ糸状虫核酸分子を含む請求項1または11記載の核 酸分子。 21.請求項1または11記載の少なくとも1種類の核酸分子を有する細胞を 含む組換え細胞であって、該細胞が、該核酸分子を発現できる組換え細胞。 22.請求項7または16記載のタンパク質と選択的に結合できる単離された 抗体。 23.アスタシン金属エンドペプチダーゼおよびシステインプロテアーゼより なる群から選ばれる少なくとも1種類のプロテアーゼの阻害剤に対する感受性を 有する寄生性蠕虫が生起する疾病から動物を保護できる治療組成物であって、単 離された寄生虫アスタシン金属エンドペプチダーゼタンパク質またはそのミメト ープ;イヌ糸状虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ遺伝子と、厳格なハイブリ ダイゼーション条件下でハイブリダイズする単離された寄生虫核酸分子;抗寄生 虫アスタシン金属エンドペプチダーゼ抗体;寄生虫アスタシン金属エンドペプチ ダーゼ活性を阻害できるその能力によって同定される、アスタシン金属エンドペ プチダーゼ活性の阻害剤;単離された糸状虫線虫システインプロテアーゼタンパ タ質またはそのミメトープ;イヌ糸状虫システインプロテアーゼ遺伝子と、厳格 なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする、単離された糸状虫線虫 核酸分子;抗糸状虫線虫システインプロテアーゼ抗体;および糸状虫線虫システ インプロテアーゼ活性を阻害できるその能力によって同定される、システインプ ロテアーゼ活性の阻害剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の保護化合物 を含む治療組成物。 24.該寄生虫が、組織移動性蠕虫を含む請求項23記載の組成物。
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